(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】消火システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
A62C 37/36 20060101AFI20231108BHJP
A62C 35/60 20060101ALI20231108BHJP
A62C 35/64 20060101ALI20231108BHJP
G01M 3/08 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
A62C37/36
A62C35/60
A62C35/64
G01M3/08
(21)【出願番号】P 2018155325
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390010342
【氏名又は名称】エア・ウォーター防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀晃
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136507(JP,A)
【文献】特開2000-88178(JP,A)
【文献】実開昭53-44317(JP,U)
【文献】特開2018-007818(JP,A)
【文献】特開2010-253002(JP,A)
【文献】特開昭63-009798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常態で水が溜められるスプリンクラー用配管を有する
加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムの前記スプリンクラー用配管からの漏水個所を特定し、前記スプリンクラー用配管の外側に前記漏水個所を塞ぐように補修材を付着させて前記スプリンクラー用配管を再利用したのちに前記スプリンクラー用配管に負圧ポンプを接続することで負圧スプリンクラーシステムを構成する工程を備えた、消火システムの製造方法。
【請求項2】
前記漏水箇所はピンホールである、請求項1に記載の消火システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火システムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湿式スプリンクラーは、特許第3264939号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッドが故障した場合に、スプリンクラーヘッドから水が放水されるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
消火システムは、スプリンクラーヘッドと、スプリンクラーヘッドに水を供給する内部が負圧の二次配管とを有する負圧スプリンクラーシステムと、負圧スプリンクラーシステムを常態で負圧状態に維持する負圧ポンプとを備え、二次配管には二次配管を厚み方向に貫通するピンホールが形成されており、ピンホールの開口を二次配管の外側から封止する補修材をさらに備える。
【0006】
常態で水が溜められるスプリンクラー用配管を有するスプリンクラーシステムのスプリンクラー用配管からの漏水個所を特定し、スプリンクラー用配管の外側に漏水個所を塞ぐように補修材を付着させたのちにスプリンクラー用配管に負圧ポンプを接続することで負圧スプリンクラーシステムを構成する工程を備える。
【0007】
なお、常態とは、平常状態をいい、火災が発生していない状態をいう。
本発明者は、負圧スプリンクラーシステムにおいて、従来の加圧式または無加圧式スプリンクラーを用いて低コストで負圧スプリンクラーシステムを製造する方法を見出した。
【0008】
通常の建物には、加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムが設けられている。スプリンクラーシステムの配管には水が満たされているため、水が配管を腐食させ、配管にピンホールが形成されることがある。この場合にはピンホールから水が漏れる。
【0009】
一旦ピンホールが形成されて配管を貫通すると、他の部分でも腐食が進行しており、配管を貫通しないピンホールが多数形成されている可能性が高い。そのため、一つのピンホールのみを補修して再度加圧または無加圧式のスプリンクラーシステムとして運転をする場合には顕在化していないピンホールにおいて腐食が進行し、再度の水漏れ発生する。これを防止するためには、加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムの配管を残し、他の部分を撤去する。そして配管を負圧スプリンクラーシステムの二次配管として再利用することで、消火システムを構築する。
【0010】
消火システムは湿式または乾式の負圧スプリンクラーシステムのいずれであってもよい。湿式の負圧スプリンクラーシステムでは二次配管内に水が溜められるため、顕在化していないピンホールにおいて腐食が進行する可能性がある。しかしながら、仮にピンホールの腐食が進行してピンホールが二次配管を貫通したとしてもピンホールを経由して外部から内部へ空気が入るだけでありピンホールから水が漏れることはない。乾式の負圧スプリンクラーシステムでは二次配管内に水が溜められないため、顕在化していないピンホールにおいて腐食が進行することがない。さらに二次配管内は負圧にされるため絶対湿度を低下させることができ、腐食の進行を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に従った消火システムの模式図である。
【
図2】
図1で示す負圧スプリンクラーシステム100における二次配管102の一部分の断面図である。
【
図3】実施の形態1に従った消火システムを製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
(消火システムの構成)
図1は、実施の形態1に従った消火システムの模式図である。
図1で示すように、消火システム1は、たとえば、医療施設、原子力発電所、リチウム電池工場などの水分を嫌う環境で用いられる。消火システム1は建物10に設けられる。建物10は、下層階である第一区画11と、上層階である第二区画とを有する。なお、消火システム1は必ずしも水分を嫌う環境で用いられる必要はなく、加圧式または無加圧式スプリンクラーシステムが用いられる環境で用いられるものでもよい。
【0013】
負圧スプリンクラーシステム100は、一次配管101と、一次配管101に接続された二次配管102と、二次配管102に設けられたスプリンクラーヘッド103と、一次配管101と二次配管102との境界に設けられたバルブ105と一次配管101に水を送るための水ポンプ106とを有する。
【0014】
一次配管101には水が充填されている。この水は、水ポンプ106により加圧されている。水ポンプ106には消火水槽(図示せず)から水が供給される。建物10の最上階の高架水槽から水ポンプ106に水が供給されてもよい。
【0015】
一次配管101は、水ポンプ106から建物10の最上部まで垂直に立ち上がり、各階で分岐されている。この実施の形態では2階建ての建物10を記載しているが、建物10の階は2階に限定されない。
【0016】
一次配管101の水は、バルブ105で止められており、バルブ105が開くことで一次配管101の水が二次配管102へ送られる。バルブ105の開閉は、コンピューター302により制御される。
【0017】
二次配管102はバルブ105に接続されている。二次配管102は第二区画12に配置されている。なお、この実施の形態ではバルブ105が第二区画12に配置されている例を示しているが、バルブ105が第一区画11に配置されていてもよい。
【0018】
二次配管102は第二区画12の天井に配置されている。二次配管102には複数のスプリンクラーヘッド103が設けられている。スプリンクラーヘッド103の数は、第二区画12の広さによって決定される。
【0019】
この実施の形態では、第二区画12にスプリンクラーヘッド103が設けられる例を示しているが、第一区画11に二次配管102およびスプリンクラーヘッド103が配置されていてもよい。
【0020】
スプリンクラーヘッド103は、閉鎖型のスプリンクラーヘッドであり、水を放出する孔が複数設けられている。スプリンクラーヘッド103は感熱機構(可溶金属片)を有する。常態では、水を放出する孔と、一次配管101との間はスプリンクラーヘッド103内で遮蔽されている。感熱機構が火災時の火炎により溶融すると遮断が開放されて一次配管101を経由して水がスプリンクラーヘッド103の孔から放出される。
【0021】
負圧システム200は、負圧用配管201と、負圧用配管201内を負圧にする第一負圧ポンプ204と、負圧用配管201に接続されるアウトレット203と、負圧用配管201と二次配管102とを接続する接続管205とを有する。区画内に接続管205を設けて負圧用配管201と二次配管102とを接続するだけで、負圧のスプリンクラーシステムを実現することができる。なお、アウトレット203は必ずしも設けられなくてもよい。
【0022】
第一負圧ポンプ204は第一区画11に設けられて負圧を発生させる。第一負圧ポンプ204は負圧ポンプにより構成される。この実施の形態では、水ポンプ106および第一負圧ポンプ204は同じ第一区画11に設置されているが、これらが互いに異なる区画に設けられてもよい。
【0023】
第一負圧ポンプ204(吸引ポンプ)は主機および予備機により構成されてもよい。この場合には、故障時、メンテナンス時にも施設全体の使用量を賄える。医療施設で用いる場合には吸引された細菌およびバクテリアを含む空気は大気を汚染しないよう、吸引フィルターによってこれらが採集される。
【0024】
第一負圧ポンプ204に接続された負圧用配管201は第一負圧ポンプ204から建物10の最上階まで垂直に立ち上がり、各階で分岐されている。各階において負圧用配管201が分岐して各部屋に負圧用配管201が張り巡らされている。第二負圧ポンプ214が負圧用配管201に接続される。第一負圧ポンプ204が例えばメンテナンス時に停止した場合には、第二負圧ポンプ214を用いて負圧用配管201に負圧を供給することができる。消火システム1はスプリンクラー用配管としての二次配管102と負圧用配管201に負圧を供給するための第一負圧装置としての第一負圧ポンプ204と、負圧用配管201に負圧を供給するための第二負圧装置としての第二負圧ポンプ214とを備える。
【0025】
医療施設の場合の建物10には、病室、スタッフステーション、共用部、手術室などの区画(部屋)があり、それぞれの区画に負圧用配管201が到達している。病室、手術室では、たとえば患者の痰を吸引するために負圧が用いられる。スタッフステーションおよび共用部では、負圧が発生しているかどうかをモニターする圧力モニターに負圧用配管201が接続されている。
【0026】
アウトレット203は第二区画12に設けられている。アウトレット203に負圧用配管201が接続されている。
【0027】
なお、吸引用のアウトレット203に隣接して、酸素、笑気、空気、窒素、二酸化炭素などの医療ガス用のアウトレットが設けられてもよい。これらの配管は、中央配管(セントラルパイピング)とすることにより、維持管理の集中化が図れるとともに、壁裏、天井裏に配管することで、スペースを有効活用できる上、衛生的で経済的である。
【0028】
負圧用配管201と二次配管102とは接続管205により接続されている。接続管205と二次配管102とは接続点202で接続されている。これにより、常態において、二次配管102内は負圧とされている。
【0029】
負圧スプリンクラーシステム100が湿式負圧スプリンクラーシステムである場合には、常態では、二次配管102内が負圧とされ、配管102内に水が存在する。負圧とすることで、仮にスプリンクラーヘッド103が破損したとしてもスプリンクラーヘッド103から水が放出されることを防止できる。水が二次配管102から接続管205へ移動することを防止するために、接続点202付近または接続管205内に水蒸気は通過させるが水を通過させない膜または気液分離装置などを設けてもよい。二次配管102内が負圧であるため水は蒸発する。水を補充するために、水が減少すればバルブ105を開いて二次配管102に水を補充してもよい。また、図示しない別の系統から二次配管102に水を補充してもよい。
【0030】
負圧スプリンクラーシステム100が乾式負圧スプリンクラーシステムである場合には状態では二次配管102内が負圧とされ、配管102内に水が存在しない。
【0031】
検知システム300は、火災検知器301およびコンピューター302を有する。第二区画12内で火災が発生すると、その熱または煙を火災検知器301が検知する。コンピューター302とバルブ105とが信号線311により接続されている。コンピューター302と水ポンプ106とが信号線312により接続されている。
【0032】
上記の消火システム1は、スプリンクラーヘッド103と、スプリンクラーヘッド103に水を供給するためのスプリンクラー用配管としての二次配管102とを有し、二次配管102が常態で負圧状態に維持されている負圧スプリンクラーシステム100と、医療施設内で用いる負圧を供給するための負圧用配管201と、二次配管102と負圧用配管201に負圧を供給するための負圧装置としての第一負圧ポンプ204とを備える。医療施設の消火システム1は、医療施設の第二区画12内に設けられて二次配管102と負圧用配管201とを接続する接続管205をさらに備える。負圧用配管201内に常態で水が充填されて負圧状態に保たれているか、水が充填されずに負圧状態に保たれている。温度が0℃超に保たれている第二区画12内にスプリンクラーヘッド103が設置される。
【0033】
図2は、
図1で示す負圧スプリンクラーシステム100における二次配管102の一部分の断面図である。
図2で示すように、二次配管102にはピンホール107が形成されている。ピンホール107は補修材108で外側から塞がれている。
【0034】
二次配管102は、元は二次配管102内が減圧されないスプリンクラー設備の配管である。このような配管として、加圧水または無加圧水が配管内に封入される湿式のスプリンクラー設備の配管がある。
【0035】
配管内の水に含まれる酸素等によりピンホール107が形成される。ピンホール107が存在することで水がピンホール107から流出する。ピンホール107の位置を特定した後に外側から補修材108でピンホール107を防ぐことができる。
【0036】
補修材108としては、アルミテープ、ガラス繊維布にレジンを含ませたテープ、ガムテープがある。さらに金属板を二次配管102に溶接して補修材108を構成することも可能である。
【0037】
負圧スプリンクラーシステム100は、元は加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムであり、ピンホール107が形成されたことでピンホール107を塞ぎ、負圧式に改修されたものである。
【0038】
消火システム1は、スプリンクラーヘッド103と、スプリンクラーヘッド103に水を供給する内部が負圧の二次配管102とを有する負圧スプリンクラーシステム100と、負圧スプリンクラーシステム100を常態で負圧状態に維持する第一負圧ポンプ204とを備え、二次配管102には二次配管102を厚み方向に貫通するピンホール107が形成されており、ピンホール107の開口を二次配管の外側から封止する補修材108をさらに備える。
【0039】
図3は、実施の形態1に従った消火システムを製造する方法を説明するためのフローチャートである。
図3で示すように、通常の加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムの配管から漏水する(ステップS1)。スプリンクラーシステムを設置した後に長期間が経過すると配管内の水分により配管内側から配管外側に向かって腐食が進行し、ついには配管内側から外側に貫通するピンホール107が形成される。
【0040】
配管内には水が存在しているため、ピンホール107を経由して水が漏れ、水が第二区画12内に入る。これにより第二区画12内の人は漏水が発生していることを知る。
【0041】
漏水箇所を特定し、配管の外部からピンホール107を補修する(ステップS2)。漏水個所を含む配管を取り外すことも考えられるが、配管の取り外しとなると、大規模な改修であり、第二区画室12内を養生する手間が増える。さらに、施工費も高くなる。そのため、外部からピンホール107を補修材108で補修することで、漏水を停止させる。後に負圧スプリンクラーシステム100を構築するため、補修材108が負圧によりピンホール107に向かって吸引されることは有っても、ピンホール107から外側に向かって補修材108が加圧されることはない。そのため、補修材108が剥がれることはない。
【0042】
補修された配管を残し、加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムでのみ用いる部材を除去する(ステップS3)。加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムと負圧スプリンクラーシステム100では多くの構成部品が異なる。そのため、加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムでのみ用いる機器を除去する。
【0043】
負圧スプリンクラーシステム100の機器を設置する(ステップS4)。具体的には、検知システム300は再利用できる場合には再利用する。その他の負圧スプリンクラーシステム100にのみ存在する負圧に関する装置を設置することで消火システム1が完成する。
【0044】
消火システム1の製造方法は、常態で水が溜められるスプリンクラー用配管を有するスプリンクラーシステムのスプリンクラー用配管からの漏水個所を特定し、スプリンクラー用配管の外側に漏水個所を塞ぐように補修材108を付着させたのちにスプリンクラー用配管に第一負圧ポンプ204を接続することで負圧スプリンクラーシステム100を構成する工程を備える。
【0045】
(消火システムの動作)
第二区画12で火災が発生すると、火災による熱または煙を火災検知器301が検知する。検知された情報は火災検知器301からコンピューター302に送られる。コンピューター302はバルブ105を開くようにバルブ105に信号を与える。コンピューター302は水ポンプ106を駆動させるか、水ポンプ106の駆動力を増大させる。これにより、乾式の負圧スプリンクラーシステム100においては常態では水が存在せず負圧状態であった二次配管102内に水が充填される。湿式の負圧スプリンクラーシステム100においては常態では二次配管102内は負圧状態で水が充填される。
【0046】
火災による熱は、スプリンクラーヘッド103の感熱機構を溶融させる。これにより、スプリンクラーヘッド103の水放出用の孔と二次配管102とが接続される。バルブ105が開かれたことでスプリンクラーヘッド103の水放出用の孔からは水が放出されて消火することができる。
【0047】
(効果)
このように構成された医療施設の消火システム1では、第一負圧ポンプ204は吸引用のポンプであり、かつ、二次配管102を負圧にするポンプでもある。吸引用のポンプは本来医療施設に備わっているものであるため、新たな装備を追加することなく、二次配管102内を負圧にすることができる。
【0048】
常態においてスプリンクラーヘッド103が損傷して水放出用の孔が二次配管102に連通すると、その孔は第二区画12内の空気を吸引して音を発生させる。医療施設では吸引などの作業を負圧を用いて行うため、空気の吸込音は医療施設の至る所で発生している。損傷したスプリンクラーヘッド103から吸込音が発生したとしても、それは医療施設の至る所で発生している音であり、患者は不安を感じることは無い。
【0049】
接続管205は、負圧用配管201および二次配管102が設けられる第二区画12に設けられる。そのため、負圧用配管201および二次配管102の接続管205を短くすることができ、施工コストを低下させることができる。
【0050】
さらに、常態において二次配管内が常圧の乾式スプリンクラーシステム(予作動式スプリンクラーシステム)と比較して、実施の形態1に従った負圧スプリンクラーシステム100(医療施設の消火システム1)は以下の効果がある。常圧乾式スプリンクラーシステムでは、火災時にポンプが作動して二次配管内に水が充填されるが、この時、二次配管内の空気が水で圧縮されるため、スムーズに(短時間で)二次配管内に水が充填されない。これに対して、湿式の負圧スプリンクラーシステム100では二次配管102内が負圧で水が充填されているため、早期にスプリンクラーヘッド103から散水できる。そのため、従来の乾式のスプリンクラー(予作動式スプリンクラー)の欠点であった、スプリンクラーヘッドからの水の散水が遅れるという問題を解決することができる。乾式の負圧スプリンクラーシステム100の場合であっても二次配管102内が負圧であるため早急に二次配管102内に水が充填されるため早期にスプリンクラーヘッド103から散水できる。
【0051】
二次配管102は加圧式または無加圧式のスプリンクラーシステムで用いられていたものであるため新たに設置するものと比較して製造コストを低減させることができる。さらに二次配管102の外側に補修材108を張り付けているが、二次配管102内が常態では負圧であるためピンホール107から再度水が漏れることが無い。
【0052】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 消火システム、10 建屋、11 第一区画、12 第二区画、100 負圧スプリンクラーシステム、101 一次配管、102 二次配管、103 スプリンクラーヘッド、105 バルブ、106 水ポンプ、107 ピンホール、108 補修材、200 負圧システム、201 負圧用配管、202 接続点、203 アウトレット、204 第一負圧ポンプ、205 接続管、214 第二負圧ポンプ、300 検知システム、301 火災検知器、302 コンピューター、311,312 信号線。