(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】樹脂管
(51)【国際特許分類】
F16L 11/12 20060101AFI20231108BHJP
F16L 47/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F16L11/12 J
F16L47/02
(21)【出願番号】P 2019022063
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2018022557
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 陸太
(72)【発明者】
【氏名】森高 紘平
(72)【発明者】
【氏名】人見 誠一
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-075983(JP,U)
【文献】特表2016-513222(JP,A)
【文献】特開2015-082945(JP,A)
【文献】実公昭07-014164(JP,Y1)
【文献】特開2002-213654(JP,A)
【文献】特開2003-336770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041943(US,A1)
【文献】蔵野 裕己,光シミュレーション用レイトレーシング法の色再現度向上に関する研究,知的システムデザイン研究室,2013年06月,URL:http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/monthly/monthly2013/mlm145/ykurano/ykurano.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/12
F16L 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気融着継手と接続するための管本体と、
前記管本体の外周面に、前記管本体の全長にわたって延びるように
前記管本体と一体に形成され、
1本あたりの周方向の幅が4mm以上50mm以下であり、前記管本体の外径に対する前記幅の比率が5%以上30%以下である帯状部と、
前記管本体の外周面のうち前記帯状部に覆われていない露出面、及び前記帯状部の外面のいずれか一方のみに、前記管本体の全長にわたって延びるように設けられた指標と、
を備え、
前記帯状部の厚さが0.02mm以上2.0mm以下であ
り、前記管本体の厚さよりも薄い樹脂管。
【請求項2】
前記帯状部の厚さが0.1mm以上0.5mm以下である請求項1に記載の樹脂管。
【請求項3】
前記指標は、前記管本体の露出面及び前記帯状部の外面のうち、前記管本体の周方向の長さが長い方に設けられている請求項1又は2に記載の樹脂管。
【請求項4】
前記帯状部が前記管本体の軸線に直交する平面に対してなす角度であるリード角が85°以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂管。
【請求項5】
前記指標が設けられた前記管本体の前記露出面又は前記帯状部の外面、及び前記指標それぞれの色における、JIS Z8781-4:2013に規定されたL*a*b*表色系における色差が1以上である請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の流体を搬送するのに、ポリエチレン樹脂等のオレフィン系樹脂で形成された樹脂管(管本体)を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。樹脂管をオレフィン系樹脂で形成することにより、樹脂管が腐食するのが抑えられる。
【0003】
樹脂管同士を区別するために、樹脂管の色を、水色、黒色等とすることが行われている。樹脂管の種類がさらに増えると、樹脂管の色だけでは区別し切れなくなる。このため、発明者らは、管本体と、管本体の外周面に、管本体の全長にわたって延びるように形成された帯状部と、を備える樹脂管を検討している。帯状部は、管本体の周方向の一部に形成されている。管本体の色と、帯状部の色と、を互いに異ならせると、樹脂管の種類がさらに増えても、管本体の色及び帯状部の色により、樹脂管同士を区別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂管の商品名、型番等を表すのに、樹脂管にステンシル(指標)を設けることが行われている。樹脂管の軸線方向におけるいずれの位置でもステンシルが見やすいように、ステンシルは、樹脂管の全長にわたって延びるように設けられている。
【0006】
しかしながら、ステンシルが、管本体の外周面のうち前記帯状部に覆われていない露出面、及び帯状部の外面の両方に跨ってステンシルが設けられていると、ステンシルが見にくくなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、指標を見やすくした樹脂管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の樹脂管は、電気融着継手と接続するための管本体と、前記管本体の外周面に、前記管本体の全長にわたって延びるように前記管本体と一体に形成され、1本あたりの周方向の幅が4mm以上50mm以下であり、前記管本体の外径に対する前記幅の比率が5%以上30%以下である帯状部と、前記管本体の外周面のうち前記帯状部に覆われていない露出面、及び前記帯状部の外面のいずれか一方のみに、前記管本体の全長にわたって延びるように設けられた指標と、を備え、前記帯状部の厚さが0.02mm以上2.0mm以下であり、前記管本体の厚さよりも薄いことを特徴としている。
【0009】
また、上記の樹脂管において、前記帯状部の厚さが0.1mm以上0.5mm以下であってもよい。
また、上記の樹脂管において、前記指標は、前記管本体の露出面及び前記帯状部の外面のうち、前記管本体の周方向の長さが長い方に設けられていてもよい。
この発明によれば、周方向の長さが長い面に指標を設けることにより、広い面上で指標をより見やすくできる。
【0010】
また、上記の樹脂管において、前記帯状部が前記管本体の軸線に直交する平面に対してなす角度であるリード角が85°以上であってもよい。
この発明によれば、帯状部が管本体の軸線に対して傾き、管本体の全長にわたって延びる帯状部の外観が低下するのを抑制することができる。
【0011】
また、上記の樹脂管において、前記指標が設けられた前記管本体の前記露出面又は前記帯状部の外面、及び前記指標それぞれの色における、JIS Z8781-4:2013に規定されたL*a*b*表色系における色差が1以上であってもよい。
この発明によれば、指標が設けられた管本体の露出面又は帯状部の外面と、指標と、を容易に視認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂管によれば、指標を見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の樹脂管の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の変形例における樹脂管の側面図である。
【
図4】同樹脂管の製造装置を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態の変形例における樹脂管の側面図である。
【
図7】同樹脂管の帯状部の幅を測定する方法を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る樹脂管の一実施形態を、
図1から
図7を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の樹脂管1は、管本体11と、4本の帯状部13と、ステンシル(指標)15と、を備えている。以下の図では、管本体11と帯状部13とを区別するために、帯状部13にドットによるハッチングを付加して示している。
管本体11は、オレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂を用いて管状に形成されている。ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂等でもよい。なお、オレフィン系樹脂は、ポリエチレン樹脂以外に、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等でもよい。また、オレフィン系樹脂はガラス繊維や炭素繊維、ワラストナイト等の無機繊維を含有していてもよい。さらに、管本体11を、無機繊維を含有する層や酸素バリア性の材料を含む層等の他の層と、オレフィン系樹脂層と、が積層された多層管としてもよい。管本体11を多層管とする場合、視認性のため最外層に帯状部13が形成される。電気融着継手と接続するために、オレフィン系樹脂層は他の層よりも外側とされていることが好ましいが、この場合、他の層よりも外層とされたオレフィン系樹脂層に帯状部13が形成される。
以下の説明においては、管本体11の周方向を単に周方向と言い、管本体11の径方向を単に径方向と言う。
【0015】
帯状部13は、管本体11の外周面に形成されている。帯状部13は、管本体11の全長にわたって延びている。この例では、各帯状部13は、管本体11の軸線Cに沿って配置されている。各帯状部13は、軸線C周りに互いに間隔を空けて等角度ごとに配置されている。
各帯状部13の厚さ(管本体11の径方向の長さ)は、管本体11の厚さに応じて適宜決定され、例えば、0.02mm以上2.0mm以下が好ましく、0.05mm以上1.0mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がさらに好ましい。各帯状部13の厚さをこの範囲とすることにより、厚さが大きすぎず、電気融着継手との接続の際に行う樹脂管1の表面切削作業により帯状部13を消失させて切削を行ったことを容易に確認することができる。また、厚さが小さすぎず、外部から管本体11の色が帯状部13を通して見えず、帯状部13の識別能力が発揮できる。
帯状部13の周方向の長さは、管本体11の軸線C方向の位置によらず一定である。
【0016】
帯状部13の周方向の幅は、管本体11の外径に応じて適宜決定され、4mm以上50mm以下とされ、8mm以上40mm以下が好ましい。また、管本体11の外径に対する帯状部13の幅の比率は、5%以上30%以下とされ、7%以上25%以下が好ましい。ここで言う管本体11の外径に対する帯状部13の幅の比率とは、帯状部13の幅を管本体11の外径で除した値の、100倍の値のことを意味する。帯状部13の幅をこの範囲とすることにより、幅が狭すぎないため、どのような方向から視認しても帯状部13の識別能力を発揮することができる。また、幅が広すぎないため、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0017】
なお、帯状部13の
周方向の幅は、例えば
図7に示すように、公知のノギス71を使用して測定することができる。ノギス71の本体72に沿ってスライダー73を移動し、測定対象となる帯状部13の径方向外側から見た
図7に示す状態のときに、一対のジョウ75,76の外側用測定面75a,76aを、帯状部13の各第1境界線13aにそれぞれ一致させる。このとき、外側用測定面75a,76aが管本体11の軸線Cに沿うように配置されることが好ましい。
ノギス71の表示部77に表示された値や目盛りを読んで、帯状部13の幅を測定する。帯状部13の幅は、このような測定方法により規定される。
【0018】
図1及び
図2に示すように、管本体11の外周面のうち帯状部13に覆われていない管本体11の露出面11aと帯状部13の外面とは、面一である。帯状部13の外面は、帯状部13における外部に露出した面である。
この例では、帯状部13の外面の周方向の長さよりも管本体11の露出面11aの周方向の長さが長い。しかし周方向において、管本体11の露出面11aの長さと帯状部13の外面の長さとは、互いに同等でもよいし、互いに異なっていてもよい。
なお、4本の帯状部13は、軸線C周りに等角度ごとに配置されていなくてもよい。樹脂管1が備える帯状部13の本数は特に限定されず、1本から3本でもよいし、5本以上でもよい。
【0019】
帯状部13は、管本体11と同一の材料で形成されていることが好ましい。
管本体11の色と帯状部13の色とは、異なる。管本体11及び帯状部13それぞれの色における、JIS Z8781-4:2013に規定されたL*a*b*表色系における色差(ΔE)(以下、単に色差と言う)は、1以上である。この色差は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。例えば、管本体11は青色であり、帯状部13は赤色である。
【0020】
色差は、分光色差計(ハンディ型分光色差計「NF333」日本電色工業(株)製)を用いて測定できる。暗室等の周囲を暗くした状況で、色差を測定することが好ましい。
ここで、色差(ΔE)は、以下の式(1)で算出される。
ΔE=√((L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2)・・・(1)
なお、式(1)中、L1、a1、b1はそれぞれ帯状部13の明度L、赤色方向の色度a、黄色方向の色度bを表し、L2、a2、b2はそれぞれ管本体11の明度L、赤色方向の色度a、黄色方向の色度bを表す。
【0021】
ステンシル15は、管本体11の露出面11aのみに、管本体11の全長にわたって延びるように設けられている。ステンシル15は、管本体11の軸線Cに沿って配置されている。ステンシル15は、例えば樹脂管1の商品名、型番等を表す。ステンシル15は、管本体11に近い材料等により形成されたインクを用いた印刷等により形成されている。例えば、ステンシル15は黒色であり、青色の露出面11a上に黒色のステンシル15が印刷されている。ステンシル15が赤色の帯状部13に設けられることなく青色の露出面11aのみに設けられているため、ステンシル15が見やすい。
ステンシル15が設けられた管本体11の露出面11a及びステンシル15それぞれの色における色差は、1以上であることが好ましい。この色差は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
【0022】
なお、
図3に示す樹脂管2のように、帯状部13が管本体11の外周面に螺旋状に形成されていて、帯状部13が管本体11の軸線Cに直交する平面Pに対してなす角度であるリード角(捻じれ角)θが85°以上90°未満であってもよい。この場合においても、ステンシル15は、管本体11の露出面11aのみに、管本体11の全長にわたって延びるように設けられている。なお、帯状部13が管本体11の軸線Cに沿って配置されている場合は、リード角θは約90°になる。
【0023】
例えば、管本体11、帯状部13、及びステンシル15の仕様が以下のような場合について説明する。管本体11の外径が216.3mm(呼び径200A)、長さが5mとする。帯状部13の幅(周方向の長さ)が10mm、本数が4本とする。ステンシル15の幅が10mmとする。
この場合、周方向における帯状部13間の距離は約160mmである。リード角θが約88.3°未満だと、
図3中に二点鎖線で示すように、ステンシル15が、管本体11の露出面11aだけでなく帯状部13の外面にも設けられることになり、ステンシル15が見にくくなる。
【0024】
次に、以上のように構成された樹脂管1を製造する製造装置について説明する。
図4に示すように、製造装置51は、共押出成形機52と、冷却部53と、印刷機55と、引取り機54と、切断機56と、を備えている。なお、
図4では、後述する成形金型52aのうち第2流路52cを形成する部分を、内部が見やすいように二点鎖線で示している。
共押出成形機52、冷却部53、印刷機55、引取り機54、及び切断機56は、この順で樹脂管1(後述する連続樹脂管1A)が搬送される上流側から下流側に向かって並べて配置されている。
【0025】
共押出成形機52が有する成形金型52aには、第1流路52b及び第2流路52cが形成されている。本実施形態では、成形金型52aに4つの第2流路52cが形成されている。4つの第2流路52cは、第1流路52bに第1流路52bの側方から合流する。第1流路52bには、管本体11を形成する樹脂材料が溶融した状態で供給される。第2流路52cには、帯状部13を形成する樹脂材料が溶融した状態で供給される。
成形金型52aから下流側には、連続樹脂管1Aが押し出される。連続樹脂管1Aは、樹脂管1が軸線C方向に連続的に連なったものである。
図5に、下流側から上流側に向かって見た共押出成形機52の成形金型52aの中心軸線C1を示す。なお、中心軸線C1の位置を中心に説明するため、成形金型52aを二点鎖線で示す。
【0026】
冷却部53は、水槽等で構成されている。冷却部53は、共押出成形機52で成形された連続樹脂管1Aを水等を用いて冷却する。
【0027】
図5に示すように、引取り機54は、複数の無限軌道58を有している。複数の無限軌道58は、所定の中心軸線C2周りに互いに間隔を空けて配置されている。この例では、引取り機54は、4基の無限軌道58を有している。
各無限軌道58は、複数の保持部材59を有している。保持部材59における幅方向(周方向)の中央部には、凹部59aが形成されている。図示しない駆動モータを回転させると、無限軌道58における中心軸線C2に対向する部分が、下流側や上流側に移動する。
【0028】
無限軌道58は、公知の距離調節機構60を介して支持部材61等により支持されている。各支持部材61は、図示しないフレーム等に固定されている。例えば、距離調節機構60にはレバー(不図示)が設けられている。レバーを回転させると、支持部材61に対して無限軌道58とが接近及び離間し、無限軌道58と中心軸線C2との距離が調節される。
距離調節機構60は、中心軸線C2に接近及び離間する第1方向D1における無限軌道58の位置を調節する。
【0029】
複数の無限軌道58は、連続樹脂管1Aを中心軸線C2上で保持する。このとき、無限軌道58における各保持部材59の凹部59a内に、連続樹脂管1Aの外周面の一部が入る。これにより、複数の無限軌道58が連続樹脂管1Aを確実に保持する。複数の無限軌道58に保持された連続樹脂管1Aの軸線Cは、中心軸線C2上に配置される。
各無限軌道58が所定の方向に回転すると、連続樹脂管1Aが下流側に引き取られる。
【0030】
なお、引取り機54が、中心軸線C2を中心とする円の接線方向となる第2方向D2における無限軌道58の位置を調節する位置調節機構を備えてもよい。このように構成すると、複数の無限軌道58の中心が中心軸線C2からずれた場合に、位置調節機構及び距離調節機構60を用いて、複数の無限軌道58の中心が中心軸線C2に一致するように調節できる。
【0031】
印刷機55は、連続樹脂管1Aの露出面11aにステンシル15を印刷する。切断機56は、連続樹脂管1Aを所定の長さに切断して、樹脂管1にする。
以上説明した製造装置51により、樹脂管1が製造される。
【0032】
樹脂管は、帯状部13が管本体11の軸線Cに沿って配置されて、帯状部13のリード角θが約90°であることが好ましい。帯状部13が螺旋状に捻じれてリード角θが90°よりも小さくなる原因としては、以下の(1)及び(2)の事項等が考えられる。
(1)共押出成形機52の成形金型52aの中心軸線C1と引取り機54の中心軸線C2とが、同一直線上に配置されていないこと。
(2)各無限軌道58と中心軸線C2との距離の違い等による、各無限軌道58と連続樹脂管1Aとが接触する力に差が生じていること。
【0033】
(1)の事項については、例えば、レーザー光を用いて測量し、両方の中心軸線C1,C2が同一直線上に配置されるように位置を調節する対策方法がある。前述の距離調節機構60及び位置調節機構を用いて複数の無限軌道58の中心軸線C2を移動させて、両方の中心軸線C1,C2が同一直線上に配置されるように調節してもよい。例えば、中心軸線C1,C2間のズレは、水平面に沿って10mm以内、かつ鉛直方向に10mm以内であることが好ましい。
(2)の事項については、レバーにより各無限軌道58と中心軸線C2との距離を調節して接触する力を調節する対策方法がある。
このようにして帯状部13の捻じれを抑えると、樹脂管中の残留応力を低減できる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の樹脂管1によれば、管本体11の露出面11aのみにステンシル15が設けられるため、互いに色が異なる管本体11の露出面11a及び帯状部13の外面の両方に跨ってステンシル15が設けられることなく、ステンシル15を見やすくできる。
ステンシル15は、管本体11の露出面11a及び帯状部13の外面のうち周方向の長さが長い露出面11aに設けられている。周方向の長さが長い露出面11aにステンシル15を設けることにより、広い露出面11a上でステンシル15をより見やすくできる。
【0035】
帯状部13のリード角θが85°以上であるため、帯状部13が管本体11の軸線Cに対して傾き、管本体11の全長にわたって延びる帯状部13の外観が低下するのを抑制することができる。
管本体11の露出面11a及びステンシル15それぞれの色における色差が1以上であるため、管本体11の露出面11aとステンシル15とを容易に視認することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、
図6に示す樹脂管3のように、ステンシル15は、1本の帯状部13の外面のみに、管本体11の全長にわたって延びるように設けられていてもよい。この場合、ステンシル15が設けられた帯状部13の外面及びステンシル15それぞれの色における色差は、1以上であることが好ましい。この色差は、30以上であることがより好ましい。
【0037】
製造装置51において、印刷機55を引取り機54と切断機56との間に配置してもよい。製造装置51をこのように構成すると、管本体11の軸線Cに対して帯状部13が捻じれるのを抑えることができる。
ステンシル15のリード角は、帯状部13のリード角θと同様に、85°以上であることが好ましい。指標はステンシル15以外にも、樹脂管の製造者名や、注意書き等の文字や記号等でもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、帯状部13は共押出成形により管本体11と一体に成形されていたが、帯状部13の形成方法はこれに限られない。例えば管本体11を成形した後、管本体11の外周面に着色剤を含有するインキを印刷することにより帯状部13を形成してもよい。
この場合、ステンシル15の印刷は、帯状部13の印刷と同時か、帯状部13の印刷後に行うことが好ましい。樹脂管1をこのように製造することで、帯状部13がステンシル15上に印刷されてしまいステンシル15が隠ぺいされてしまうことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0039】
1,2,3 樹脂管
11 管本体
11a 露出面
13 帯状部
15 ステンシル(指標)
C 軸線
P 平面
θ リード角