(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】自動倉庫システム、自動倉庫システムの保守支援方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B65G1/00 511H
B65G1/00 501C
B65G1/00 511J
(21)【出願番号】P 2019038907
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 龍太
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-017898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0340122(US,A1)
【文献】実開昭57-203006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を収容可能な自動倉庫システムであって、
第1方向に前記荷を複数並べて収容可能な保管列が、前記第1方向と交差する第2方向に複数連設される保管棚部と、
前記保管棚部を移動して当該保管棚部の内部を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部の撮像結果を表示する表示部と、
前記荷を搭載して前記保管棚部を移送可能な移送機構と、
を備え、
前記移送機構は、前記荷を搭載して前記保管棚部内を第1方向に走行可能な第1台車と、前記第1台車を搭載して第2方向に走行可能な第2台車と、を含み、
前記撮像部は、前記第2台車と一体的に移動し、第1方向に向けられ前記保管列を撮像可能であ
り、前記第2台車に設けられた前記第1台車を搭載するための台車搭載部から前記第2方向に離間して配置されることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記第1台車と一体的に移動する前記撮像部とは別の撮像部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記撮像部は、前記移送機構が前記荷を移送しているときに前記保管棚部の内部を撮像可能に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記移送機構に対する前記撮像部の姿勢を変更するための操作を受け付ける操作部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記撮像部の撮像結果を出力する出力部を有し、
前記出力部は、前記移送機構に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記撮像部は、前記第2台車が前記第1台車と荷を搭載して移送するときにも撮像できることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記撮像部は、前記保管列で前記第1台車に搭載された荷を撮像できることを特徴とする請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
第1方向に荷を複数並べて収容可能な保管列が、前記第1方向と交差する第2方向に複数連設される保管棚部を備える自動倉庫システムの保守支援方法であって、
前記保管棚部において、前記荷を搭載して第1方向に走行可能な第1台車と、前記第1台車を搭載して第2方向に走行可能な第2台車とを走行させるステップと、
前記第2台車と一体的に移動して撮像範囲が第1方向に向き、
前記第2台車に設けられた前記第1台車を搭載するための台車搭載部から前記第2方向に離間して配置される撮像部によって当該保管棚部の内部を撮像するステップと、
前記撮像部の撮像結果を表示するステップと、
を含むことを特徴とする自動倉庫システムの保守支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムおよび自動倉庫システムの保守支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1によって複数の物品を収容可能な収容棚を備えた自動倉庫システムを開示している。この自動倉庫システムは、保管棚の間で列方向に移動可能な搬送台車と行方向に移動可能な台車とを用いて物品を搬入・搬出するように構成されている。この自動倉庫システムでは、物品をパレットに載置して搬送および収容が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、自動倉庫システムについて以下の認識を得た。
ある自動倉庫システムは、異常を検知すると自動で非常停止する。非常停止した場合、作業員が保管棚の内部に入り、異常内容を確認し、一旦、保管棚から外部に出て、必要な機器や工具を持って再び保管棚の内部に入り復旧作業を行う必要がある。しかし、自動倉庫システムは、誤検知によって停止する場合も多くある。誤検知の場合も作業員が保管棚の内部に入って確認をする必要がある。
【0005】
また、一旦作業員が保管棚に入ったら、作業員が保管棚から出るまでは再起動できず、この間システムの停止時間が続き、稼働効率が低下する。さらに、再起動しても復旧作業が不十分であれば非常停止は解除されないので、作業員は再び保管棚の内部に入り作業を繰り返す必要があり、システムの停止時間が一層長くなる。つまり、自動倉庫システムには、異常発生時の復旧作業を容易にする観点で改善すべき余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、異常発生時の復旧作業を容易にする自動倉庫システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を収容可能な自動倉庫システムであって、第1方向に荷を複数並べて収容可能な保管列が、第1方向と交差する第2方向に複数連設される保管棚部と、保管棚部を移動して当該保管棚部の内部を撮像可能な撮像部と、撮像部の撮像結果を表示する表示部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異常発生時の復旧作業を容易にする自動倉庫システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の自動倉庫システムの保管棚部の配置を示す平面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
【
図4】
図1の自動倉庫システムの保管棚部の配置を示す側面図である。
【
図5】
図1の自動倉庫システムの第1台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図1の自動倉庫システムの第2台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図1の自動倉庫システムの表示部を示す模式図である。
【
図10】
図1の自動倉庫システムの操作部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図面を参照して第1実施形態に係る自動倉庫システム100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。
図2は、自動倉庫システム100の保管棚部22の配置を示す平面図である。
図3は、自動倉庫システム100を概略的に示す側面図である。
図4は、自動倉庫システム100の保管棚部22の配置を示す側面図である。これらの図では、柱や梁などの記載を省略している。
【0014】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、X軸方向を「行方向」ということもある。また、Y軸方向を「列方向」ということもある。また、Z軸方向を「上下方向」ということもある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。なお、以降の説明ではXYZ直交座標系を用いて説明するが、必ずしもX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに直交していなくとも、略90度で交差していればよい。
【0015】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。自動倉庫システム100は、多数の荷12を収容可能な保管棚部22を含むシステムである。なお、本明細書では、荷12は、パレットに搭載された状態で扱われるものとする。また、荷12をパレットに載せた状態で移送することを、単に荷12を移送するという。
【0016】
自動倉庫システム100は、保管棚部22、32と、移送機構14、16、撮像部18、20と、第1レール40と、第2レール44と、給電部34と、制御部48と、表示部50と、操作部52と、出力部54、56とを含む。第1実施形態では、第1方向としてY軸方向を、第2方向としてX軸方向を例示している。保管棚部22、32において、第1レール40はY軸方向に延在する。移動通路47は、第2台車16の走行路であって保管棚部22の端部近傍にX軸方向に延設される。第2レール44と給電部34とは移動通路47においてX軸方向に延在する。なお、本明細書では、保管棚部22の移動通路47側の端部を、保管棚部22の間口という。
【0017】
移送機構14、16は、荷12を搭載して保管棚部22、32を移送可能に構成される。本実施形態では、移送機構14、16は、Y軸方向に走行可能な第1台車14と、X軸方向に走行可能な第2台車16とを含む。
【0018】
撮像部18、20は、保管棚部22を移動しながら保管棚部22の内部を撮像可能に構成される。本実施形態では、撮像部18、20は、第1台車14と一体に移動する第1撮像部18と、第2台車16と一体に移動する第2撮像部20とを含む。撮像部18、20は、イメージセンサ等の画像を検知可能なセンサを含んで構成されてもよい。
【0019】
出力部54、56は、撮像部18、20の撮像結果を出力する。本実施形態では、出力部54、56は、第1台車14に設けられる第1出力部54と、第2台車16に設けられる第2出力部56とを含む。
【0020】
表示部50は、撮像部18、20の撮像結果を表示する。操作部52は、撮像部20の姿勢を変更する。
【0021】
制御部48は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、入庫、出庫、配替え等のために荷12の移送を制御する。一例として、制御部48は、所定の収容部と入庫部28、出庫部30との間や複数の収容部間で荷12を移送するように第1台車14および第2台車16を制御する。
【0022】
(保管棚部)
保管棚部22、32は、床部Lg上に複数設置され、多数の荷12を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。本実施形態では、保管棚部22、32は、移動通路47を挟んでY軸方向の両側に設けられる保管棚部22および保管棚部32を含む。保管棚部22、32の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。自動倉庫システム100は、上下方向に層状に重ねられたN(N≧2)段の保管棚部22、32を有する。本実施形態は3段の保管棚部22、32を有する。保管棚部22、32を総称するときは単に保管棚部という。
【0023】
各段の保管棚部22は、X軸方向に連設された複数の保管列24を含む。各保管列24は、起点部24mから順にY軸方向に荷12を複数並べて収容可能である。起点部24mは、保管列24の収容領域の起点であり、保管列24の末端領域であってもよいし、末端領域とは別に予め設定された領域であってもよい。この例では、起点部24mは末端領域である。
【0024】
各段の保管棚部32は、X軸方向に連設された複数の収容部36を含む。各収容部36は、単一の荷12を収容可能である。
【0025】
保管列24において、1つの荷12を保管する単位を収容部26という。各保管列24は、Y軸方向に連設された複数の収容部26を有する。各保管列24の第2レール44側の間口部24nは、保管棚部22の間口に沿っており、第1台車14が出入りする出入口として機能する。間口部24nは保管列24の収容領域の終点であってもよい。
【0026】
第1レール40は、第1台車14が走行するための走行路である。第1レール40は、各保管列24において、Y軸方向に延在する。第2レール44は、第2台車16が走行するためのレールである。第2レール44は、各保管列24を横断するようにX軸方向に延在する。本実施形態の第2レール44は、保管列24の間口部24nに接近した位置に設けられている。第1レール40および第2レール44を総称するときは単にレールという。第1レール40は、X軸方向に延在する第1支持部材42上に支持される。第2レール44は、Y軸方向に延在する横梁46上に支持される。なお、第1支持部材は横梁46上に支持されてもよい。
【0027】
(第1台車)
次に、
図5、
図6も参照して第1台車14について説明する。
図5は、第1台車14の一例を概略的に示す平面図である。
図6は、第1台車14の正面図である。第1台車14は、荷12を移送するために、保管列24の中で第1レール40をY軸方向に走行する。第1台車14は、収容部26に対して荷12を出し入れする。第1台車14は、第2台車16に乗降するために、第2台車16上をY軸方向に走行する。
【0028】
第1台車14は、車体14bと、載置台部14cと、リフト機構14dと、複数(例えば4個)の車輪14fと、第1撮像部18と、第1出力部54とを主に含む。車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、バッテリ(不図示)とを搭載している。第1台車14は、バッテリの電力によってモータを駆動するように構成されている。バッテリは繰り返し充電可能なリチウムイオンバッテリなどの二次電池である。
【0029】
載置台部14cは、荷12を持上げて保持する部分である。リフト機構14dは、載置台部14cを昇降させる機構である。
図6において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、降下状態の載置台部14cを実線で示す。リフト機構14dは、載置台部14cを上昇させ、荷12を収容部26の載置面から持上げることができる。リフト機構14dは、載置台部14cを降下させて荷12を収容部26の載置面に降ろすことができる。複数の車輪14fは第1レール40上および第2台車16上を転動することができる。
【0030】
第1撮像部18は、保管棚部をY軸方向に移動しながら保管棚部の内部を撮像可能に構成される。第1撮像部18は、単一の第1台車14に設けられてもよいし、複数の第1台車14に設けられてもよいし、保管棚部に配置されたすべての第1台車14に設けられてもよい。第1撮像部18は、第1台車14に対する姿勢を変えることで撮像方向を変更できるように構成されてもよい。本実施形態では、第1撮像部18の姿勢は固定されている。
【0031】
搭載される荷12との干渉を避けるために、第1撮像部18は載置台部14cを避けて配置されてもよい。第1撮像部18は、複数の撮像部を含んでもよい。本実施形態の第1撮像部18は、Y軸方向の一方端部に設けられた間口側撮像部18eと、他方端部に設けられた起点側撮像部18fと、下側部に設けられた下側撮像部18dとを含む。
【0032】
間口側撮像部18eは、主に保管列24の間口部24nに向いた撮像範囲18hを撮像可能に配置される。間口側撮像部18eは、第2台車16と、第2台車16に搭載された第1台車14および荷12を撮像することができる。起点側撮像部18fは、主に保管列24の起点部24mに向いた撮像範囲18jを撮像可能に配置される。下側撮像部18dは、下向の撮像範囲18gを撮像可能に配置される。下側撮像部18dは、主に下の段の保管列24を撮像することができる。間口側撮像部18eおよび起点側撮像部18fでは、1段の保管列24の上下範囲を撮像できるように、撮像範囲の中心線Lsを斜め上に向けてもよい。
【0033】
第1出力部54は、撮像部18の撮像結果を出力する。例えば、第1出力部54は、通信回線を介して撮像部18の撮像結果を表示部50に送信するように構成されてもよい。この通信回線は、有線であってもよいし、無線であってもよいし、ネットワーク回線やバス回線であってもよい。ネットワーク回線やバス回線を用いる場合、第1台車14の他の情報の通信に相乗りできるので、システムの簡素化を図れる。第1出力部54は、撮像部18の撮像結果を記憶するメモリ(不図示)を備え、メモリに記憶した撮像結果を出力してもよい。
【0034】
第1撮像部18および第1出力部54は、独自の電源手段を有してもよい。この場合、第1台車14のバッテリの消耗を減らすことができる。本実施形態の第1撮像部18および第1出力部54は、第1台車14のモータを駆動するためのバッテリの電力により動作するように構成されている。この場合、独自の電源手段のためのスペースが不要であり、容量の大きなバッテリで動作するので、電力不足の心配が少ない。
【0035】
(第2台車)
次に、
図7、
図8も参照して第2台車16について説明する。
図7は、第2台車16の一例を概略的に示す平面図である。
図8は、第2台車16の正面図であり、第1台車14を搭載した状態を示している。第2台車16は、第2レール44をX軸方向に走行する。第2台車16は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の第1台車14を移送する。
【0036】
第2台車16は、台車搭載部16cと、筐体部16dと、カバー部16eと、複数(例えば、4個)の車輪16fと、集電ユニット38と、第2撮像部20と、第2出力部56とを主に含む。台車搭載部16cは、第2台車16のX軸方向の中央部に設けられる。台車搭載部16cは、第1台車14を搭載するための部分で、第1台車14をガイドする一対のガイド部16jを有する。各ガイド部16jの正面視の断面は、角張った横向きU字形状を有する。第2台車16は、正面視で台車搭載部16cが左右から凹んだ略凹形状を呈する。
【0037】
筐体部16dおよびカバー部16eは、台車搭載部16cを挟んでX軸方向の両側に離れて設けられる。筐体部16dおよびカバー部16eは、それぞれ、複数の車輪16fの一部を上側から覆う。筐体部16dは、車輪16fを駆動するためのモータ(不図示)と、モータを制御する制御回路(不図示)と、第2撮像部20と、第2出力部56とを収容するケーシングとして機能する。
【0038】
第2台車16は、集電ユニット38を介して給電部34から電力を受け取る。第2台車16は、受け取った電力によってモータ(不図示)を回転させ車輪16fを駆動可能に構成される。第2台車16は、受け取った電力によって、第1台車14のバッテリを充電可能に構成される。
【0039】
第2撮像部20は、保管棚部をX軸方向に移動しながら保管棚部の内部を撮像可能に構成される。第2撮像部20は、第2台車16が第1台車14と荷12を搭載して移送するときにも撮像可能に配置される。第2撮像部20は、複数の撮像部で構成されてもよいが、本実施形態の第2撮像部20は、第2台車16の筐体部16dの上部に設けられる単一の撮像部で構成される。
【0040】
第2撮像部20は、その画角を広くして姿勢を固定してもよい。この場合、一度に広範囲を撮像可能で、構成が簡単になる。本実施形態の第2撮像部20は、第2台車16に対する姿勢を変えることで撮像方向を変更できるように構成される。この場合、広角と比べて対象を拡大して撮像できるので、細かい事象を捉えることができる。
【0041】
図7に示すように、第2撮像部20は、撮像範囲20cがY軸方向およびX軸方向に向くよう回転可能に構成される。第2撮像部20は、撮像範囲20cがY軸方向に向くことによって、間口部24nから起点部24mに向かって保管列24の内部を撮像できる。第2撮像部20は、撮像範囲20cがX軸方向に向くことによって、移動通路47の両端側を撮像できる。
【0042】
本実施形態の第2撮像部20は、上下に昇降可能に構成される。
図8において、降下状態の第2撮像部20を破線で示し、上昇状態の第2撮像部20を実線で示す。本実施形態では、降下状態の第2撮像部20の一部または全部が第1筐体部16dに設けた凹部16nに収容される。撮像しないときには、第2撮像部20を凹部16nに収容することにより、第2撮像部20が荷12等に接触する可能性を小さくできる。撮像するときには、第2撮像部20を上昇させ、高い位置から撮像可能にし、死角を減らすことができる。
【0043】
本実施形態の第2撮像部20は、第2台車16に搭載された状態の第1台車14より高い位置に配置される。この場合、当該第1台車14に搭載された荷12を容易に撮像できる。第2撮像部20の第1台車14の上端からの高さHdは10cm~50cmの範囲に設定されてもよい。
【0044】
第2出力部56は、撮像部20の撮像結果を出力する。例えば、第2出力部56は、通信回線を介して撮像部20の撮像結果を表示部50に送信するように構成されてもよい。この通信回線は、有線であってもよいし、無線であってもよいし、ネットワーク回線やバス回線であってもよい。ネットワーク回線やバス回線を用いる場合、第2台車16の他の情報の通信に相乗りできるので、システムの簡素化を図れる。第2出力部56は、撮像部20の撮像結果を記憶するメモリ(不図示)を備え、メモリに記憶した撮像結果を出力してもよい。
【0045】
第2撮像部20および第2出力部56は、独自の電源手段を有してもよいが、本実施形態では、集電ユニット38を介して給電部34から受け取った電力により動作するように構成されている。この場合、独自の電源手段のためのスペースが不要であり、また電力不足の心配が少ない。
【0046】
表示部50を説明する。
図9は、表示部50の一例を示す図である。この図は、保管棚部22の一の保管列24をY軸方向に視た撮像部20の撮像結果の一例を示している(
図1も参照)。表示部50は、保管棚部22の近傍に設置された操作盤(不図示)に設けられてもよい。表示部50は、撮像部18、20の撮像結果を表示可能なものであれば特に制限はない。本実施形態の表示部50は、液晶ディスプレイである。表示部50は、複数の画像を分割領域に表示するモードと、一つの画像を全体に表示するモードとを切り換え可能であってもよい。表示部50は、撮像部18、20の撮像結果を記憶可能なメモリ(不図示)を備えてもよい。
【0047】
操作部52を説明する。
図10は、操作部52の一例を示す図である。操作部52は、表示部50の近傍に設けられてもよい。操作部52は、操作員が操作するためのジョイスティック52sと、操作ボタン52bとを有してもよい。操作員は、ジョイスティック52sを前後および左右に操作することにより撮像範囲を上下および左右に変更できる。操作員は、操作ボタン52bを操作することにより、第1台車14および第2台車16の前進、後退、減速進行、停止等の操作、および撮像部の姿勢を変更することができる。また、操作員は、操作ボタン52bを操作することにより、撮像部20の上昇、降下、回転など姿勢を変更することができる。操作員は、表示部50の表示画像を見ながら台車と撮像部とを操作して撮像範囲を変更し、所望の範囲を重点的に確認することができる。
【0048】
図1、
図2を参照して、自動倉庫システム100の入庫部28および出庫部30を説明する。自動倉庫システム100には、倉庫外部からの荷12を搬入するための入庫部28と、倉庫外部へ荷12を搬出するための出庫部30とを有する。
図1において、入庫部28および出庫部30は、保管棚部22のX軸負方向側において、移動通路47の近傍に配置されている。入庫動作において、倉庫外部からの荷12はフォークリフトなどによって入庫部28に搬入される。入庫部28に搬入された荷12は、第1台車14および第2台車16によって所定の収容部26に移送されて収容される。出庫動作において、所定の収容部26で収容されていた荷12は、第1台車14および第2台車16によって出庫部30に移送される。出庫部30に移送された荷12は、フォークリフトなどによって倉庫外部に搬出される。
以上が、自動倉庫システム100の全体構成の説明である。
【0049】
次に、自動倉庫システム100における復旧作業を説明する。自動倉庫システム100は、荷崩れなどの異常を検知すると自動で非常停止し、所定の警報が出力されるように構成されている。例えば、
図9に示すように、荷12の上部側が幅方向にずれて管理限界線Lcを超えた場合にシステムは非常停止することがある。このままの状態で移送すると荷12が保管棚部22の柱等に接触する可能性が高く、最悪の場合、荷12の一部が落下する懸念もある。このため、本実施形態では、システムが非常停止した場合に、以下のような復旧作業を行うことができる。
【0050】
(1)システム100が非常停止したら、作業員は異常発生箇所を確認する。
(2)異常発生箇所を確認したら、作業員は操作部52を操作して、第1、第2台車14、16をマニュアル運転モードに切換える。
【0051】
(3)作業員は、マニュアル運転により第1、第2台車14、16を異常発生箇所が撮像可能な位置まで移動させる。
(4)台車が異常発生箇所の近傍に移動したら、作業員は、撮像部18または撮像部20により異常発生箇所の近傍を撮像させ、その撮像結果を表示部50に表示させる。
【0052】
(5)撮像結果が表示されたら、作業員は、その表示を見ながら、適切な範囲を撮像するように台車を低速で移動させたり、撮像部20の姿勢を変えたりする。このときの台車の移動速度は荷12を移送するときより低速であってもよい。
【0053】
(6)異常発生箇所の表示結果から誤検知と判明した場合には、作業員は、システム100の再起動の操作をしてもよい。
(7)異常発生箇所の表示結果から異常が発見された場合には、作業員は、その復旧作業に用いる工具や設備を持参して、保管棚部22の内部に入り異常発生箇所の復旧作業を行う。
【0054】
(8)復旧作業を行ったら、作業員は、保管棚部22から退出してシステム100の再起動の操作をしてもよい。
(9)システム100が再起動したら復旧作業は終了する。
【0055】
このように、本実施形態によれば、誤検知の場合には、作業員が保管棚部22の内部に入らずにシステム100を再起動することもできる。また、異常が発見された場合にも、その内容を把握できるので、作業員が保管棚部22の内部に入る回数を減らすことができる。
【0056】
本発明の一態様の概要について説明する。本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷12を収容可能な自動倉庫システムであって、第1方向に荷12を複数並べて収容可能な保管列24が、第1方向と交差する第2方向に複数連設される保管棚部22と、保管棚部22を移動して当該保管棚部22の内部を撮像可能な撮像部18、20と、撮像部18、20の撮像結果を表示する表示部50と、を備える。
【0057】
この態様によれば、保管棚部22を撮像してその撮像結果を表示部50に表示できるので、作業員が保管棚部22の内部に入り込まなくても異常発生箇所の状態を確認できる。このことにより、異常発生時の復旧作業を容易にし、システムの停止時間を短縮できる。
【0058】
荷12を搭載して保管棚部22を移送可能な移送機構14、16を有し、撮像部18、20は、移送機構14、16と一体的に移動するように構成されてもよい。この場合、別に移動機構を設けなくても、撮像部18、20を移動させることができる。
【0059】
移送機構14、16は、荷12を搭載して保管棚部22内を第1方向に走行可能な第1台車14を含み、撮像部18、20は、第1台車14と一体的に移動する第1撮像部18を含んでもよい。この場合、第1台車14の経路に沿って第1撮像部18を移動させて保管棚部22の内部を撮像することができる。
【0060】
移送機構14、16は、荷12を搭載して保管棚部22内を第1方向に走行可能な第1台車14と、第1台車14を搭載して第2方向に走行可能な第2台車16と、を含み、撮像部18、20は、第2台車16と一体的に移動する第2撮像部20を含んでもよい。この場合、第2台車16の経路に沿って第2撮像部20を移動させて保管棚部22の内部を撮像することができる。
【0061】
撮像部18、20は、移送機構14、16が荷12を移送しているときに保管棚部22の内部を撮像可能に構成されてもよい。この場合、異常停止中でないときも荷12を移送しながら保管棚部22の内部を撮像することができる。
【0062】
移送機構14、16に対する撮像部18、20の姿勢を変更するための操作を受け付ける操作部52を有してもよい。この場合、操作部52を操作して撮像部18、20の姿勢を変更することにより、より適切な範囲を捉えることができる。
【0063】
撮像部18、20の撮像結果を出力する出力部54、56を有し、出力部54、56は、移送機構14、16に設けられてもよい。この場合、移送機構14、16の電源手段によって出力部54、56を動作させることができるので、電池切れを生じ難い。また、出力部54、56を移送機構14、16の通信手段と兼用できるので、構成が簡単になる。
【0064】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は自動倉庫システムの保守支援方法である。この方法は、第1方向に荷12を複数並べて収容可能な保管列24が、第1方向と交差する第2方向に複数連設される保管棚部22を備える自動倉庫システムの保守支援方法であって、保管棚部22において、荷12を搭載して移送可能な台車を走行させるステップと、台車と一体的に移動する撮像部18、20によって当該保管棚部22の内部を撮像するステップと、撮像部18、20の撮像結果を表示するステップと、を含む。
【0065】
本実施形態によれば、保管棚部22を撮像してその撮像結果を表示部50に表示できるので、作業員が保管棚部22の内部に入り込まなくても異常発生箇所の状態を確認できる。このことにより、異常発生時の復旧作業を容易にし、システムの停止時間を短縮できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0067】
(変形例)
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0068】
第1実施形態の説明では、撮像部18、20が第1、第2台車14、16によって移動する例を示したが、本発明はこれに限られない。撮像部18、20は、これらとは別の移動手段によって移動してもよい。
【0069】
第1実施形態の説明では、第1台車14が3つの撮像部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。第1台車14は単一の撮像部を備えてもよい。また、第1台車14は撮像部を備えなくてもよい。
【0070】
第1実施形態の説明では、第1撮像部18が、間口側撮像部18eと、起点側撮像部18fと、下側撮像部18dとを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、第1撮像部18は、上方や側方(X軸方向)を撮像可能な撮像部を含んでもよい。
【0071】
第1実施形態の説明では、第2撮像部20が昇降可能であり、また旋回可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。第2撮像部20のこれらの動作は必須ではない。
【0072】
第1実施形態の説明では、第2撮像部20は、第2台車上でY軸、X軸方向に移動しない例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、第2台車16に進退機構を設け、第2撮像部20は、この進退機構によりY軸、X軸方向に進退可能に構成されてもよい。この場合、第2撮像部20を保管列24内に進出させて撮像可能な範囲を拡げることができる。
【0073】
第1実施形態の説明では、表示部50および操作部52が操作盤に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、表示部50および操作部52は、タブレット端末等の携帯可能な情報端末内に実現されてもよい。この場合、操作員は、情報端末のタッチパネルにより、台車と撮像部の動作を操作することができ、情報端末の液晶画面に表示された画像により保管棚部22の内部を確認することができる。操作員は、表示画像を見ながら台車と撮像部とを操作して撮像範囲を変更し、所望の範囲を重点的に確認することができる。
【0074】
第1実施形態の説明では、荷12の出入口部が保管列24の一端に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。荷12の出入口部は保管列24の両端それぞれに設けられてもよい。
【0075】
複数の段の保管棚部22の間で荷12を昇降するための昇降機構が設けられてもよい。
【0076】
第1実施形態の説明では、台車がレールを有する走行路を走行する例を示したが、本発明はこれに限られない。台車はレールを有しない走行路を走行するものであってもよい。
【0077】
第1台車14を備えることは必須ではない。第1台車14に代えて別の構成を有する移送手段が備えられてもよい。
【0078】
第2台車16を備えることは必須ではない。第1台車14を搭載して第2方向に移動可能な移動機構であればよく、例えば第2台車16の代わりにスタッカークレーンが備えられてもよい。
【0079】
フォークリフトに代えて、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって、荷12を搬入、搬出するようにしてもよい。
【0080】
これらの各変形例は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0081】
上述した第1実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0082】
12・・・荷、14・・・第1台車、14・・・第2台車、16・・・第2台車、18・・・第1撮像部、20・・・第2撮像部、22・・・保管棚部、24・・・保管列、50・・・表示部、52・・・操作部、54・・・出力部、100・・・自動倉庫システム。