(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H05K9/00 G
H05K9/00 R
(21)【出願番号】P 2019082014
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2021-10-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 仁博
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】植松 裕
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英之
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】富澤 哲生
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-103371(JP,A)
【文献】特開2001-223489(JP,A)
【文献】特開2006-190726(JP,A)
【文献】特開2019-29476(JP,A)
【文献】特開平2-156597(JP,A)
【文献】特開平5-129790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、集積回路を含む電子部品を搭載し、前記電子部品と接続された信号配線が表面上に形成されている回路基板と、
前記回路基板上に設けられ、前記電子部品よりも高い位置に配置される細長形状の導電性の導体部品と、を備え、
前記導体部品は、前記回路基板に対して立設され、前記回路基板と接続され
る一対の両端部と、前
記一対の両端部の間に設けられ、前記回路基板の面方向と平行に延在する中間部と、を有し、
前記中間部と前記筐体との距離は、前記中間部と前記回路基板との距離よりも短く、
前記中間部は、前記回路基板と前記筐体との間の空間において、前記筐体と直接または熱伝導材を介して接触することなく、前記信号配線と前記筐体との間を通って配置されている電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記導体部品は、前
記一対の両端部において前記回路基板のグラウンド、もしくは前記筐体に対して、電気的に直接、もしくはコンデンサや抵抗を介して接続される電子制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記回路基板は、外部接続端子を搭載し、
前
記一対の両端部の一方は、前記外部接続端子が搭載された近傍に配置される電子制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子制御装置において、
前記外部接続端子は、前記回路基板の一方の辺の近傍に搭載され、
前
記一対の両端部の一方は、前記外部接続端子が搭載された前記回路基板の一方の辺とその反対側の辺に対して、前記一方の辺により近い位置に配置され、
前
記一対の両端部の他方は、前記一方の辺と前記反対側の辺に対して、前記反対側の辺により近い位置に配置される電子制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子制御装置において、
前記回路基板の前記外部接続端子が搭載された面と反対側の面に前記導体部品をさらに搭載する電子制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電子制御装置において、
前記導体部品は前記回路基板のグラウンドと抵抗器を介して接続される電子制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子制御装置において、
前記抵抗器は前記導体部品と前記筐体の断面構造から定まる特性インピーダンスに合わせた抵抗値をとる電子制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記回路基板は、前記回路基板の一方の辺の近傍に外部接続端子を搭載し、
前記中間部は、前記外部接続端子が搭載された一方の辺と平行となるように配置される電子制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記導体部品は、前記回路基板上に複数個配置され、
複数個の前記導体部品のうち少なくとも1つの前記中間部が、前記回路基板と前記筐体との間の空間において、前記筐体と直接または熱伝導材を介して接触することなく、前記信号配線と前記筐体との間を通って配置される電子制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子制御装置において、
複数個の前記導体部品は、前記中間部が前記回路基板の四辺に対してそれぞれ略平行に配置される電子制御装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電子制御装置において、
複数個の前記導体部品は、前記中間部が前記回路基板の対角線上にそれぞれ配置される電子制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記回路基板は、前記回路基板上に前記導体部品を接続するためのランドを複数個有し、
前記ランドは、前記導体部品の複数の配置方向に対応した形状を備える電子制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記導体部品は、前記筐体に直接固定される電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突被害軽減ブレーキなどを初めとする運転支援システムや自動運転などを実現するために、自動車の電子制御装置に要求される計算性能は高くなっている。このため、電子制御装置には動作周波数の高い集積回路が搭載される。
【0003】
これに伴い、電子制御装置は、電気的・電磁気的なノイズが回路に結合した場合に不具合が起きやすくなる傾向にある。自動車の電子制御装置においては、自動車の安全性確保のために、外部からの電磁ノイズに対する耐性を評価する手法が、国際規格として定められている。また、同じく電磁ノイズの発生源として問題となりうる静電気に対しても試験方法が、国際規格として規定されている。
【0004】
特許文献1には、基板上の電子部品全体を金属カバーで覆う高周波シールド回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、金属カバーで覆われた電子部品の放熱や、金属カバーの設置にコストがかかる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電子制御装置は、導電性の筐体と、前記筐体の内部に設けられ、集積回路を含む電子部品を搭載し、前記電子部品と接続された信号配線が表面上に形成されている回路基板と、前記回路基板上に設けられ、前記電子部品よりも高い位置に配置される細長形状の導電性の導体部品と、を備え、前記導体部品は、前記回路基板に対して立設され、前記回路基板と接続される一対の両端部と、前記一対の両端部の間に設けられ、前記回路基板の面方向と平行に延在する中間部と、を有し、前記中間部と前記筐体との距離は、前記中間部と前記回路基板との距離よりも短く、前記中間部は、前記回路基板と前記筐体との間の空間において、前記筐体と直接または熱伝導材を介して接触することなく、前記信号配線と前記筐体との間を通って配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品の放熱に優れ、低コストで筐体の隙間から出入りするノイズによる回路基板への影響および不要な電磁波放射を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る電子制御装置の断面図において、電磁ノイズによる電界の分布を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図6】第3の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図7】第4の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図8】第5の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図9】第6の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図10】第7の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図11】第8の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図12】第8の実施形態に係る電子制御装置の回路基板の上面図である。
【
図13】第9の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図14】第10の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図15】第11の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【
図16】第12の実施形態に係る電子制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
[比較例]
図1を参照して、本実施形態との比較例となる車載用の電子制御装置500について説明する。
【0013】
図1は、比較例に係る電子制御装置500の断面図である。電子制御装置500は、金属製の筐体上部501と筐体下部502を有し、筐体上部501と筐体下部502に上下から挟まれる形で回路基板601が内部に格納される。回路基板601上には、集積回路603-1、603-2が搭載される。また、回路基板601上には、回路基板601の端部にコネクタ701が搭載される。コネクタ701は、回路基板601上の回路と接続されるコネクタピン705と、コネクタピン705を覆うハウジング704で構成される。コネクタ701は、雌雄コネクタが接続された状態を示す。コネクタ701内のコネクタピン705は、ワイヤハーネス703と接続され、電子制御装置500の外部へ導出される。
【0014】
コネクタ701周辺の隙間や、コネクタ701のハウジング704の樹脂部分などは、金属製の筐体上部501と筐体下部502によって構成されるシールドの開口部分となり、外部より電磁ノイズが侵入する。また、コネクタ701周辺以外の筐体上部501と筐体下部502の間隙も電磁ノイズの侵入口となる。
【0015】
図1に示すように、侵入した電磁ノイズによる電界803が電子制御装置500の筐体内に発生する。この電界803は、回路基板601と筐体上部501の間の空間を伝播し、回路基板601上の集積回路603-1、603-2、およびそれら周辺の回路基板601上の回路が、電磁ノイズの電界に曝されることで動作不具合に繋がる。特に筐体のサイズと波長が近い周波数帯域においては、筐体内の空間で共振を引き起こし、回路基板と強く結合することで問題を引き起こす。なお、ここでは分かり易さを優先するため、開口部が大きく、電磁ノイズが侵入しやすい筐体上部501と回路基板601の間にのみ電磁ノイズの電界803を記載したが、筐体下部502と回路基板601の間にも電磁ノイズは侵入する。
【0016】
このような問題を解決するには、回路基板601上の集積回路603-1、603-2を金属カバーで完全に覆うことが考えられるが、集積回路603-1、603-2の放熱が困難になり、また、回路基板601上に金属カバーを設置するためにスペースやコストが増加する虞がある。
【0017】
以下に述べる本実施形態では、電子部品の放熱に優れ、低コストで筐体の隙間から出入りするノイズおよび不要な電磁波放射を抑制することができる。
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、
図2乃至
図4を参照して説明する。
図2は、電子制御装置100の断面図である。
図3は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図4は、電子制御装置100の断面図における電磁ノイズによる電界の分布を示す図である。
【0019】
図2に示すように、電子制御装置100は、金属製の筐体上部101と筐体下部102を有し、筐体上部101と筐体下部102に上下から挟まれる形で回路基板201が内部に格納される。以下の説明において、筐体上部101と筐体下部102とを総称して筐体103と記す場合がある。回路基板201上には、集積回路203-1、203-2が搭載される。また、回路基板201上には、回路基板201の端部に外部接続端子であるコネクタ301が搭載される。コネクタ301は、回路基板201上の回路と接続されるコネクタピン305と、コネクタピン305を覆うコネクタハウジング304で構成される。コネクタ301は、雌雄コネクタが接続された状態を示す。コネクタ301内のコネクタピン305は、ワイヤハーネス303と接続され、電子制御装置100の外部へ導出される。
【0020】
図2に示すように、導体部品402がその両端が回路基板201上と接続される形で搭載される。導体部品402の上面と筐体上部101との距離H1は、導体部品402の上面と回路基板201の上面との距離H2よりも短くなるように配置される。
【0021】
図3に示すように、回路基板201の4隅にはネジ固定穴205が設けられ、このネジ固定穴205を介して回路基板201は筐体下部102にネジによって固定される。集積回路203-1や集積回路203-2の周辺の領域には信号配線204が配置されている。これらの領域を跨ぐ、あるいは周辺の上空を通るように、導体部品402-1、402-2が配置される。さらに、導体部品402-1、402-2は、コネクタ301が配置された回路基板201の一方の側と、コネクタ301が配置されていない回路基板201の他方の側を結ぶように配置される。導体部品402-1、402-2は、並列して回路基板201に配置され、その間隔は回路基板201を略等分に分ける間隔である。そして、導体部品402-1、402-2は、コネクタ301の近傍に位置するように配置される。
図3に示す例では、導体部品402-1、402-2を2本配置した例を示したが、複数本配置してもよい。この場合も、略等間隔に配置される。以下の説明において、複数本の導体部品を導体部品402と記す場合がある。
【0022】
導体部品402-1、402-2の両端は回路基板201上のランド206にはんだ付けされる。回路基板201上のランド206は、ビアホール207によって回路基板201の内層のグラウンド層に接続される。ここでは、ビアホールによる接続を例として示したが、回路基板201表層における配線によって、グラウンドに接続しても良い。また、回路基板201内のグラウンドと直接接続しなくとも、コンデンサなどを介してAC的にグラウンドと接続しても良い。また、導体部品402-1、402-2の両端は、筐体上部101や筐体下部102に電気的に直接接続してもよく、筐体上部101や筐体下部102に電気的に接続されたパターンに対して接続しても良い。
【0023】
導体部品402は、銅などの導電性材料により形成される。また、導体部品402は、細長形状であればよく、例えば、板状、線状、棒状、管状などを含む。本実施形態および以下に説明する実施形態では板状を例に説明する。さらに、細長形状の導体部品402は、直線である必要は無く、部品の配置や筐体の形状等に応じて歪曲していてもよい。
【0024】
図4に示すように、侵入した電磁ノイズによる電界603が電子制御装置100の筐体内に発生する。ここで、回路基板201上に配置された導体部品402は、その上面が回路基板201よりも筐体上部101側に近づけて配置されていることから、侵入した電磁ノイズによる電界603は、導体部品402と筐体上部101との間に集中する。これにより、回路基板201上の集積回路203-1、203-2、およびそれら周辺の回路基板201上の信号配線204などが、電磁ノイズの電界の影響を受けにくくなる。
【0025】
本実施形態における導体部品402の配置例においては、コネクタ301側から侵入したノイズが、コネクタ301が配置された回路基板201の一方の側と、コネクタ301が配置されていない回路基板201の他方の側を結ぶ筐体サイズと共振して、定在波を構成する場合に対して効果的である。
【0026】
以上のように、金属製の筐体103内に侵入した電磁ノイズは、回路基板201と筐体103が接近していて、電磁ノイズに対してインピーダンスが低く見える部分に集中して伝播する。回路基板201上に搭載した導体部品402は回路基板201よりも筐体103に近い位置に配置されるため、電磁ノイズはこの導体部品402と筐体103の間に集中し、回路基板201上の集積回路203等は電磁ノイズから守られる。電磁ノイズの経路を制御し集中させるという特性から、従来のシールド構造のように、保護すべき集積回路203等の全体を覆わずとも電磁ノイズから保護する効果が得られるため、放熱構造などとの両立が容易になる。また、導体部品402の設置に必要な回路基板201上の面積も削減でき、構造が簡単でコストの低減が計れる。
【0027】
さらに、電磁気学における相反定理により集積回路203等より発生したノイズ伝播も抑制されることから、回路基板201から外部へ輻射される不要電磁波に対しても抑制効果が得られる。
【0028】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、
図5を参照して説明する。
図5は、電子制御装置100の断面図である。本実施形態においては、第1の実施形態の構成に加えて、回路基板201と筐体下部102との間にも導体部品402-2が配置される。第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
回路基板201の裏面には集積回路203-3が配置されている。導体部品402は、回路基板201の裏面に、集積回路203-3の上部を跨ぐように複数本配置される。具体的には、導体部品402-2の下面と筐体下部102との距離H1’は、導体部品402の下面と回路基板201の裏面との距離H2’よりも短くなるように配置される。
【0030】
導体部品402-2の材質、形状等は第1の実施形態で説明したものと同様である。また、導体部品402-2と回路基板201等の接続も第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0031】
本実施形態によれば、回路基板201と筐体下部102との間に侵入した電磁ノイズに対しても、集積回路203-3等を電磁ノイズから保護することができる。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0032】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、
図6を参照して説明する。
図6は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図3等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
本実施形態においては、導体部品402を搭載するためのランド206と回路基板201内のグラウンドとビアホール207との間に抵抗器208が挿入される。導体部品402上で電気的共振が発生し、ノイズが蓄積されてしまう周波数においては、第1の実施形態で述べた効果が低減してしまう可能性がある。本実施形態のように、抵抗器208を介して導体部品402を接続することで、共振エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、効果の低減を回避することができる。
【0034】
抵抗器208の抵抗値は、筐体上部101と導体部品402を伝送線路と見なしたときの特性インピーダンスに近い値とすることで整合終端に近い状況とする。換言すれば、抵抗器208は導体部品402と筐体103の断面構造から定まる特性インピーダンスに合わせた抵抗値をとる。これにより、抵抗器208における反射を抑制し、最も効果的に熱エネルギーに変換することができる。例えば、筐体上部の101と導体部品402の距離が数mm、導体部品が幅3mm/厚さ0.5mm程度の場合で1~10Ω程度の抵抗を用いると良い。
【0035】
導体部品402の材質、形状等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0036】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について、
図7を参照して説明する。
図7は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図3等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
本実施形態においては、コネクタ301が搭載された回路基板201の辺と平行になるように回路基板201のほぼ中央に導体部品402が搭載されている。なお、導体部品402は1本の例を示したが複数本の導体部品402を略等間隔に並列して設けてもよい。電子制御装置100に接続されるセンサ等の増加により、コネクタが多数搭載される場合は、回路基板201はコネクタ301を搭載する辺が長手となるよう構成される場合が多くなる。この場合、長手方向のサイズに起因した共振が一番低い周波数から発生し、問題となりやすいが、本実施形態ではこの方向に平行に導体部品402を配置することで、この共振による問題を起きづらくすることができる。
【0038】
導体部品402の材質、形状等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0039】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態について、
図8を参照して説明する。
図8は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図3等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
本実施形態においては、導体部品402が十字形状となっている。十字形状を構成する各導体部品402の長手方向は、回路基板201の辺と平行になるように回路基板201のほぼ中央に配置される。なお、2本の導体部品402を回路基板201の各辺と平行になるように組み合わせて十字形状に構成してもよい。さらに、回路基板201の各辺と平行に配置される導体部品402は縦横それぞれ複数本を組み合わせて構成してもよい。複数本並列に配置する場合は、導体部品402の間隔を略同間隔に配置する。また、導体部品402の両端における回路基板との接続は、第1の実施形態もしくは第3の実施形態で説明したものと同様である。
【0041】
本実施形態によれば、回路基板201の各辺、すなわち、コネクタ301側から侵入したノイズに対しても、コネクタ301搭載辺と平行な方向の共振によるノイズに対しても、効果的にノイズの影響を抑制することができる。
導体部品402の材質等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0042】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態について、
図9を参照して説明する。
図9は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図3等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本実施形態においては、導体部品402がX字形状となっている。X字形状を構成する各導体部品402の長手方向は、回路基板201の対角線上となるように回路基板201のほぼ中央に配置される。なお、2本の導体部品402を回路基板201の対角線上になるように組み合わせてX字形状に構成してもよい。また、導体部品402の両端における回路基板との接続は、第1の実施形態もしくは第3の実施形態で説明したものと同様である。
【0044】
導体部品402を斜めに配置することで、回路基板201の縦および横を含む、複数の共振に対して、どちらもカバーすることが可能となる。また回路基板201の四隅は、中央付近と比較して回路部品等が配置されない場合が多いことから、この部分に導体部品402と接続するランド206を配置しやすいという利点がある。
【0045】
導体部品402の材質等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0046】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図10は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図3等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
本実施形態においては、導体部品402を設置するためのランド206が円形をしているとともに、ランド206を回路基板201上の周囲に複数個所設けている。ランド206は円形になっていることから、回路基板201を設計した後に、回路基板201上のランド206を任意に2点選択して、導体部品402の配置を適宜選択することがでる。
図10に示す例では、導体部品402-1は、コネクタ301が配置された回路基板201の一方の側と、コネクタ301が配置されていない回路基板201の他方の側を結ぶように配置される。導体部品402-2は、回路基板201の角からコネクタ301による開口部を跨るように斜めに配置される。
【0048】
なお、ランド206は円形以外にも、扇形、多角形など導体部品402の複数の配置方向に対応した形状であればよい。
【0049】
筐体103のサイズに起因した共振が起きやすいGHz帯のノイズの振る舞いは、設計時に予測することが困難な場合がある。また、集積回路203の耐ノイズ性も設計時に予め判明しない場合も多い。このような場合に、設計後に導体部品402の取り付け方を適宜変えることにより耐ノイズ性を変更することで、回路基板201の回路パターンを修正せずに、対応することができる。
【0050】
導体部品402の材質等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0051】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態について、
図11、
図12を参照して説明する。
図11は、電子制御装置100の断面図である。
図12は、電子制御装置100内の回路基板201の上面図である。
図2~
図4に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施形態においては、
図11に示すように、導体部品402は回路基板201上に起立した隔壁形状であり、回路基板201上に配置される。
図12に示すように、導体部品402の下面全体が回路基板201のランド206と接続される。導体部品402は、コネクタ301が配置された回路基板201の一方の側と、コネクタ301が配置されていない回路基板201の他方の側を結ぶように配置される。導体部品402は、
図12に示す例では、回路基板201上の集積回路203-1および集積回路203-2が配置されているエリアとその他のエリアを区切っている。
図11に示すように、導体部品402の上面と筐体上部101との距離H1は、導体部品402の上面と回路基板201の上面との距離H2よりも短くなるように配置される。
【0053】
導体部品402は、銅などの導電性材料により形成される。また、導体部品402は、隔壁形状であればよく、例えば、平板形状などエリアを区切るものであればよい。
【0054】
本実施形態によれば、高周波の集積回路203が搭載されているエリアとそれ以外のエリアを導体部品402により区切ることができ、筐体103内の電磁ノイズから保護するエリアを設けることができる。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0055】
[第9の実施形態]
本発明の第9の実施形態について、
図13を参照して説明する。
図13は、電子制御装置100の断面図である。
図2等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図13に示すように、導体部品402はその両端において回路基板201と接続されるが、導体部品402の略中央部も回路基板201と接続点210で接続される。回路基板201との接続は、第1の実施形態と同様であり、回路基板201上のグラウンド等と接続される。
図13では、導体部品402の略中央部の一箇所が回路基板201と接続される例を示したが、例えば、回路基板201の4辺が長い場合は、導体部品402を略等分した複数の箇所が回路基板201と接続するようにしてもよい。すなわち、導体部品402は、導体部品402の両端以外の中間地点においても回路基板201と接続されている。
【0057】
本実施形態によれば、導体部品402が複数の個所で回路基板201に固定されることにより、振動や加速度に対する耐性を高めることができる。
導体部品402の材質、形状等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0058】
[第10の実施形態]
本発明の第10の実施形態について、
図14を参照して説明する。
図14は、電子制御装置100の断面図である。
図2等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図14に示すように、回路基板201の一部にネジ固定穴が設けられ、導体部品402は回路基板201を介して筐体下部102に対してネジ209により直接固定される。なお、
図14では筐体下部102にネジ209で直接固定した例を示したが、筐体下部102に突起部を設け、この突起部に回路基板201および導体部品402を挿通して固定してもよい。すなわち、導体部品402は、回路基板201を介して筐体103に直接固定される。
【0060】
本実施形態によれば、導体部品402をネジ止め等により筐体103に固定することでその固定をより堅固にすることができる。
導体部品402の材質等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0061】
[第11の実施形態]
本発明の第11の実施形態について、
図15を参照して説明する。
図15は、電子制御装置100の断面図である。
図2等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図15に示すように、導体部品402はその両端において回路基板201と接続されるが、導体部品402の略中央部は筐体上部101とネジ211で固定される。
図15では、導体部品402の略中央部の一箇所が筐体上部101と接続される例を示したが、例えば、回路基板201の4辺が長い場合は、導体部品402を略等分した複数の箇所が筐体上部101と接続するようにしてもよい。すなわち、導体部品402は、導体部品402の中間地点において筐体103と接触している。
【0063】
本実施形態においては、導体部品402がその途中において筐体上部101と1箇所または複数個所ネジで固定されており、導通がとられている。これにより筐体上部101と導体部品402との間に直接的な経路が発生するため、よりノイズの経路を集中させる効果が得られる。また、導体部品402の途中を固定することで、振動や加速度に対する耐性が向上する。
導体部品402の材質等は第1の実施形態で説明したものと同様である。その他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0064】
[第12の実施形態]
本発明の第12の実施形態について、
図16を参照して説明する。
図16は、電子制御装置100の断面図である。
図2等に示す第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
本実施形態においては、導体部品402と筐体上部101の間に誘電体106が挿入される。誘電体106が挿入されることで、より強くノイズ電界が集中する効果が得られることから、導体部品402と筐体上部101の距離H3に対する位置制約が緩和される。具体的には、誘電体106の比誘電率εrとしたときに、導体部品402と筐体上部101との距離H3のεr分の1が、導体部品402と回路基板201との距離H4よりも短いように構成される。換言すれば、導体部品402から回路基板201までの距離H4と誘電体の比誘電率εrとの乗算値よりも、導体部品402から筐体上部101までの距離H3が短い。
【0066】
なお、第1の実施形態~第11の実施形態において、導体部品402と筐体上部101の間に誘電体106が挿入される構成としてもよい。
本実施形態のその他の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0067】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子制御装置100は、導電性の筐体103と、筐体103の内部に設けられ、集積回路203を含む電子部品を搭載する回路基板201と、回路基板201上に設けられ、電子部品よりも高い位置に配置される細長形状の導電性の導体部品402と、を備え、導体部品402は、導体部品402と回路基板201との距離よりも、導体部品402と筐体103との距離が短い。これにより、電子部品の放熱に優れ、低コストで筐体の隙間から出入りするノイズによる回路基板への影響および不要な電磁波放射を抑制することができる。
【0068】
(2)電子制御装置100は、導電性の筐体103と、筐体103の内部に設けられ、集積回路203を含む電子部品を搭載する回路基板201と、回路基板201上に設けられ、電子部品よりも高い位置に配置される細長形状の導電性の導体部品402と、導体部品402と筐体103の間に挿入される誘電体106と、を備え、導体部品402から回路基板201までの距離と誘電体106の比誘電率との乗算値よりも導体部品402から筐体103までの距離が短い。これにより、電子部品の放熱に優れ、低コストで筐体の隙間から出入りするノイズによる回路基板への影響および不要な電磁波放射を抑制することができる。
【0069】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の実施形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 電子制御装置
101 筐体上部
102 筐体下部
103 筐体
106 誘電体
201 回路基板
203-1、203-2 集積回路
204 信号配線
205 ネジ固定穴
206 ランド
207 ビアホール
208 抵抗器
209 ネジ
304 コネクタハウジング
305 コネクタピン
402 導体部品