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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電力変換装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20231108BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231108BHJP
【FI】
H02M7/12 H
H02M7/12 A
H02M7/48 M
H02M7/48 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019135773
(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公開番号】P2021019483
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】酒井 幸次郎
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-186774(JP,A)
【文献】特開2016-077031(JP,A)
【文献】特開2017-209002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を含み、交流電源から開閉器を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、
前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル、抵抗器及びコンデンサを含み、ノイズを除去するフィルタと、
前記開閉器を開状態にした後に、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を前記抵抗器を介して放電させる制御部と
を備え
前記交流電源は、多相の相電圧を供給する多相交流電源であり、
前記コンバータは、前記交流電源の各相に対応して、互いに直列に接続された上アーム側の前記スイッチング素子及び下アーム側の前記スイッチング素子を有するパワー素子部を複数有し、
前記フィルタは、前記交流電源の各相に対応して、前記リアクトル、前記抵抗器及び前記コンデンサを含み、
前記制御部は、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子を全てオン状態にすることで、前記交流電源の各相に対応して設けられた前記コンデンサに蓄えられた電荷を前記交流電源の各相に対応して設けられた前記抵抗器を介して放電させ、
前記制御部は、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子のいずれか1つをオン状態にするとともに、オン状態になる前記スイッチング素子を順番に切り換える、電力変換装置。
【請求項2】
請求項に記載の電力変換装置であって、
前記交流電源の各相における前記相電圧を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記相電圧が最も高い相に対応する上アーム側の前記スイッチング素子をオン状態にする、電力変換装置。
【請求項3】
請求項に記載の電力変換装置であって、
前記交流電源の各相における前記相電圧を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記相電圧が最も低い相に対応する下アーム側の前記スイッチング素子をオン状態にする、電力変換装置。
【請求項4】
請求項のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
複数の前記パワー素子部は、互いに並列に接続され、
前記パワー素子部の上アーム側の前記スイッチング素子と下アーム側の前記スイッチング素子とが接続されたノードには、対応する相の前記相電圧が供給される、電力変換装置。
【請求項5】
スイッチング素子を含み、交流電源から開閉器を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル、抵抗器及びコンデンサを含み、ノイズを除去するフィルタと、前記開閉器及び前記スイッチング素子を制御する制御部とを備える電力変換装置の制御方法であって、
前記開閉器を開状態にするステップと、
前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を前記抵抗器を介して放電させる放電ステップと
を有し、
前記交流電源は、多相の相電圧を供給する多相交流電源であり、
前記コンバータは、前記交流電源の各相に対応して、互いに直列に接続された上アーム側の前記スイッチング素子及び下アーム側の前記スイッチング素子を有するパワー素子部を複数有し、
前記フィルタは、前記交流電源の各相に対応して、前記リアクトル、前記抵抗器及び前記コンデンサを含み、
前記放電ステップでは、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子を全てオン状態にすることで、前記交流電源の各相に対応して設けられた前記コンデンサに蓄えられた電荷を前記交流電源の各相に対応して設けられた前記抵抗器を介して放電させ、
前記放電ステップでは、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子のいずれか1つをオン状態にするとともに、オン状態になる前記スイッチング素子を順番に切り換える、電力変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンバータの入力電圧又は入力電流が設定値以上である場合に当該コンバータのスイッチングを停止する電力変換装置が開示されている。特許文献1によれば、電気部品の破壊の防止に寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-27774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、コンバータに備えられたスイッチング素子等の破壊を必ずしも良好に防止し得ない。
【0005】
本発明の目的は、スイッチング素子等の破壊を良好に防止し得る電力変換装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による電力変換装置は、スイッチング素子を含み、交流電源から開閉器を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル及びコンデンサを含み、ノイズを除去するフィルタと、前記開閉器を開状態にした後に、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電させる制御部とを備える。
【0007】
本発明の他の態様による電力変換装置の制御方法は、スイッチング素子を含み、交流電源から開閉器を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル及びコンデンサを含み、ノイズを除去するフィルタと、前記開閉器及び前記スイッチング素子を制御する制御部とを備える電力変換装置の制御方法であって、前記開閉器を開状態にするステップと、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電させるステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチング素子等の破壊を良好に防止し得る電力変換装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による電力変換装置の構成を示す図である。
図2】複数のパワー素子部の各々の上アーム側のスイッチング素子を同時にオン状態にした際の放電経路の例を示す図である。
図3】複数のパワー素子部の各々の下アーム側のスイッチング素子を同時にオン状態にした際の放電経路の例を示す図である。
図4】第1実施形態による電力変換装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態による電力変換装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態による電力変換装置の動作の更に他の例を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態による電力変換装置の動作の更に他の例を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態による電力変換装置の構成を示す図である。
図9】開閉器を閉状態にした際の電流経路の例を示す図である。
図10】開閉器を閉状態にした際の電流経路の他の例を示す図である。
図11】U相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図12】V相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図13】W相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図14】U相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図15】V相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図16】W相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。
図17】第2実施形態による電力変換装置の動作の例を示すフローチャートである。
図18】第2実施形態による電力変換装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による電力変換装置及びその制御方法について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による電力変換装置及びその制御方法について図1図7を用いて説明する。図1は、本実施形態による電力変換装置の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態による電力変換装置10には、コンバータ12が備えられている。コンバータ12は、交流電源14から開閉器16を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ12は、例えば公知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)コンバータであるが、これに限定されるものではない。
【0013】
交流電源14は、例えば、多相の相電圧を供給する多相交流電源、より具体的には、3相交流電源であるが、これに限定されるものではない。交流電源14は、例えば、120度ずつ位相がずれたU相、V相及びW相の電圧を供給し得る。
【0014】
開閉器16は、交流電源14から電力変換装置10への交流電圧の供給をオン/オフするためのものである。開閉器16としては、例えば、電磁接触器、ブレーカ等を用い得るが、これに限定されるものではない。
【0015】
電力変換装置10には、フィルタ24が更に備えられている。フィルタ24は、開閉器16とコンバータ12との間に備えられている。フィルタ24は、コンバータ12側から交流電源14側に伝達されるノイズを除去し得るとともに、交流電源14側からコンバータ12側に伝達されるノイズを除去し得る。
【0016】
コンバータ12には、整流回路30が備えられている。整流回路30は、交流電源14から開閉器16を介して供給される交流電圧を直流電圧に整流する。
【0017】
整流回路30には、交流電源14の各相に対応して、パワー素子部32U、32V、32Wが備えられている。
【0018】
U相に対応したパワー素子部32Uには、上アーム側のダイオード36Uuと、下アーム側のダイオード36Udと、上アーム側のスイッチング素子(半導体スイッチング素子)34Uuと、下アーム側のスイッチング素子34Udとが備えられている。
【0019】
V相に対応したパワー素子部32Vには、上アーム側のダイオード36Vuと、下アーム側のダイオード36Vdと、上アーム側のスイッチング素子34Vuと、下アーム側のスイッチング素子34Vdとが備えられている。
【0020】
W相に対応したパワー素子部32Wには、上アーム側のダイオード36Wuと、下アーム側のダイオード36Wdと、上アーム側のスイッチング素子34Wuと、下アーム側のスイッチング素子34Wdとが備えられている。
【0021】
ダイオード一般について説明する際には、符号36を用い、個々のダイオードについて説明する際には、符号36Uu、36Ud、36Vu、36Vd、36Wu、36Wdを用いる。また、上アーム側のダイオード一般について説明する際には、符号36uを用い、個々の上アーム側のダイオードについて説明する際には、符号36Uu、36Vu、36Wuを用いる。また、下アーム側のダイオード一般について説明する際には、符号36dを用い、個々の下アーム側のダイオードについて説明する際には、符号36Ud、36Vd、36Wdを用いる。
【0022】
スイッチング素子一般について説明する際には、符号34を用い、個々のスイッチング素子について説明する際には、符号34Uu、34Ud、34Vu、34Vd、34Wu、34Wdを用いる。また、上アーム側のスイッチング素子一般について説明する際には、符号34uを用い、個々の上アーム側のスイッチング素子について説明する際には、符号34Uu、34Vu、34Wuを用いる。また、下アーム側のスイッチング素子一般について説明する際には、符号34dを用い、個々の下アーム側のスイッチング素子について説明する際には、符号34Ud、34Vd、34Wdを用いる。スイッチング素子34は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を用い得るが、これに限定されるものではない。FET(Field Effect Transistor)をスイッチング素子34として用いるようにしてもよい。
【0023】
上アーム側のダイオード36uと、下アーム側のダイオード36dとは、互いに直列に接続されている。上アーム側のダイオード36uのカソードは、一方の出力線42uに接続されている。上アーム側のダイオード36uのアノードは、下アーム側のダイオード36dのカソードに接続されている。下アーム側のダイオード36dのアノードは、他方の出力線42dに接続されている。
【0024】
上アーム側のスイッチング素子34uと、下アーム側のスイッチング素子34dとは、互いに直列に接続されている。上アーム側のスイッチング素子34uの第1端子は、上アーム側のダイオード36uのカソードに接続されている。スイッチング素子34が例えばIGBTである場合、第1端子はコレクタであり、スイッチング素子34が例えばFETである場合、第1端子はソース/ドレインの一方である。上アーム側のスイッチング素子34uの第2端子は、上アーム側のダイオード36uのアノードに接続されている。スイッチング素子34が例えばIGBTである場合、第2端子はエミッタであり、スイッチング素子34が例えばFETである場合、第2端子はソース/ドレインの他方である。下アーム側のスイッチング素子34dの第1端子は、下アーム側のダイオード36dのカソードに接続されている。下アーム側のスイッチング素子34dの第2端子は、下アーム側のダイオード36dのアノードに接続されている。
【0025】
上アーム側のダイオード36Uuのアノードと、上アーム側のスイッチング素子34Uuの第2端子と、下アーム側のダイオード36Udのカソードと、下アーム側のスイッチング素子34Udの第1端子とに接続されたノード38Uには、U相の電圧が供給される。
【0026】
上アーム側のダイオード36Vuのアノードと、上アーム側のスイッチング素子34Vuの第2端子と、下アーム側のダイオード36Vdのカソードと、下アーム側のスイッチング素子34Vdの第1端子とに接続されたノード38Vには、V相の電圧が供給される。
【0027】
上アーム側のダイオード36Wuのアノードと、上アーム側のスイッチング素子34Wuの第2端子と、下アーム側のダイオード36Wdのカソードと、下アーム側のスイッチング素子34Wdの第1端子とに接続されたノード38Wには、W相の電圧が供給される。
【0028】
電力変換装置10には、平滑コンデンサ18が更に備えられている。平滑コンデンサ18は、コンバータ12の後段に備えられている。平滑コンデンサ18の一端は、一方の出力線42uに接続されている。平滑コンデンサ18の他端は、他方の出力線42dに接続されている。平滑コンデンサ18は、コンバータ12から出力される直流電圧、即ち、整流回路30によって整流された直流電圧を平滑化する。
【0029】
フィルタ24には、リアクトル46U、46V、46Wが備えられている。リアクトル46U、46V、46Wの一端は、フィルタ24の一方の入出力端子44U、44V、44Wにそれぞれ接続されている。フィルタ24の一方の入出力端子44U、44V、44Wには、交流電源14からの交流電圧が開閉器16を介してそれぞれ供給される。
【0030】
フィルタ24には、リアクトル48U、48V、48Wが更に備えられている。リアクトル46U、46V、46Wの他端は、リアクトル48U、48V、48Wの一端にそれぞれ接続されている。リアクトル48U、48V、48Wの他端は、フィルタ24の他方の入出力端子50U、50V、50Wにそれぞれ接続されている。フィルタ24の他方の入出力端子50U、50V、50Wには、ノード38U、38V、38Wがそれぞれ接続されている。
【0031】
フィルタ24には、抵抗器52U、52V、52Wが更に備えられている。抵抗器52U、52V、52Wは、共振現象を抑制するための抵抗器であるダンピング抵抗器である。リアクトル46U、46V、46Wの他端と、リアクトル48U、48V、48Wの一端とに接続されたノード53U、53V、53Wは、抵抗器52U、52V、52Wの一端にそれぞれ接続されている。
【0032】
フィルタ24には、コンデンサ54U、54V、54Wが更に備えられている。コンデンサ一般について説明する際には、符号54を用い、個々のコンデンサについて説明する際には、符号54U、54V、54Wを用いる。コンデンサ54U、54V、54Wの一端は、抵抗器52U、52V、52Wの他端にそれぞれ接続されている。
【0033】
フィルタ24には、抵抗器56U、56V、56Wが更に備えられている。抵抗器56U、56V、56Wは、コンデンサ54U、54V、54Wに対してそれぞれ並列に接続されている。抵抗器56U、56V、56Wは、コンデンサ54U、54V、54Wに蓄えられた電荷を放電させるためのものである。
【0034】
コンデンサ54U、54V、54Wの他端は、互いに接続されている。
【0035】
フィルタ24の一方の入出力端子44U、44V、44Wは、開閉器16の一方の入出力端子66U、66V、66Wに接続されている。開閉器16の他方の入出力端子68U、68V、68Wは、U相の電源線(配電線)70U、V相の電源線70V、W相の電源線70Wをそれぞれ介して交流電源14に接続されている。電源線一般について説明する際には、符号70を用い、個々の電源線について説明する際には、符号70U、70V、70Wを用いることとする。
【0036】
電力変換装置10には、制御回路29が更に備えられている。制御回路29は、コンバータ12を制御するためのものである。具体的には、制御回路29は、制御部64から供給される信号(指令)に基づいて、スイッチング素子34の第3端子(ゲート)に電圧を印加することによって、スイッチング素子34を適宜スイッチングする。制御回路29は、スイッチング素子34を適宜スイッチングすることにより、出力電圧の調整、即ち、平滑コンデンサ18の両端の電圧の調整等を行い得る。
【0037】
電力変換装置10には、制御装置26が更に備えられている。制御装置26は、電力変換装置10の全体の制御を司る。制御装置26には、演算部58と、記憶部60とが備えられている。演算部58は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され得るが、これに限定されるものではない。記憶部60には、例えば、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられている。揮発性メモリとしては、例えばRAM(Random Access Memory)等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。プログラム、データ、テーブル等が、記憶部60に記憶され得る。
【0038】
演算部58には、制御部64が備えられている。制御部64は、記憶部60に記憶されているプログラムが演算部58によって実行されることによって実現され得る。
【0039】
制御部64は、開閉器16の開閉を制御し得る。開閉器16が閉じられると、交流電源14から供給される交流電圧が、開閉器16とフィルタ24とを介してコンバータ12に供給される状態となる。開閉器16が開かれると、フィルタ24及びコンバータ12に交流電圧が供給されない状態となる。
【0040】
制御部64は、例えば、不図示の電圧センサ、電流センサ等によって取得される情報等に基づいて、制御回路29に供給する信号(指令)を生成し得る。制御部64は、制御回路29を用いてスイッチング素子34を適宜スイッチングすることにより、出力電圧の調整、即ち、平滑コンデンサ18の両端の電圧の調整等を行い得る。また、後述するように、制御部64は、制御回路29を用いてスイッチング素子34を適宜スイッチングすることにより、フィルタ24に備えられたコンデンサ54に蓄えられている電荷を放電させ得る。
【0041】
コンデンサ54の両端には、3相交流の線間電圧に応じた電圧が印加される。コンデンサ54には、印加された当該電圧に応じた電荷が蓄えられる。開閉器16が閉状態から開状態に遷移すると、当該タイミングにおいてコンデンサ54に蓄えられている電荷が抵抗器56を介して放電され始める。開閉器16が閉状態から開状態に遷移したタイミングからの経過時間が比較的短い段階においては、コンデンサ54に蓄えられている電荷が十分に放電しきらず、コンデンサ54の両端の電圧は大きい状態のままである。開閉器16を開状態から閉状態に遷移させると、共振電圧がフィルタ24において生じ得る。開状態に遷移した開閉器16を再度閉状態に戻すまでの期間が比較的短く、しかも、開閉器16を開状態に遷移させた際における線間電圧の位相と、開閉器16を閉状態に戻した際における線間電圧の位相とが逆である場合には、共振電圧のピークが著しく大きくなり得る。ピークの著しく大きい共振電圧がスイッチング素子34に印加された場合には、当該スイッチング素子34が破壊される虞がある。そこで、本実施形態では、開閉器16を開状態にした後に、スイッチング素子34をオン状態にする。このため、本実施形態では、コンデンサ54に蓄えられた電荷が速やかに放電される。このため、本実施形態によれば、共振電圧のピークが著しく大きくなるのを防止することができ、ひいては、スイッチング素子34等が破壊されるのを良好に防止することができる。
【0042】
制御部64は、開閉器16を開状態にした後、複数のパワー素子部32の各々の上アーム側のスイッチング素子34uを同時にオン状態にし得る。図2は、複数のパワー素子部の各々の上アーム側のスイッチング素子を同時にオン状態にした際の放電経路の例を示す図である。図2には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合の例が示されている。U相に対応するコンデンサ54Uの電圧よりも、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧の方が高い。また、U相に対応するコンデンサ54Uの電圧よりも、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧の方が高い。このため、図2に示すように、V相に対応するコンデンサ54Vに蓄えられた電荷は、ダイオード36Vuを介して流れ、W相に対応するコンデンサ54Wに蓄えられた電荷は、ダイオード36Wuを介して流れる。ダイオード36Vu、36Wuを介して流れる電荷は、U相に対応するスイッチング素子34Uuを介して流れ、U相に対応するコンデンサ54Uに流入する。複数のパワー素子部32の各々の上アーム側のスイッチング素子34uを同時にオン状態にした場合には、このようにして、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0043】
制御部64は、開閉器16を開状態にした後、複数のパワー素子部32の各々の下アーム側のスイッチング素子34dを同時にオン状態にし得る。図3は、複数のパワー素子部の各々の下アーム側のスイッチング素子を同時にオン状態にした際の放電経路の例を示す図である。図3には、開閉器16が開状態であり、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合の例が示されている。U相に対応するコンデンサ54Uの電圧よりも、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧の方が低い。また、U相に対応するコンデンサ54Uの電圧よりも、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧の方が低い。このため、図3に示すように、U相に対応するコンデンサ54Uに蓄えられた電荷は、スイッチング素子34Udを介して流れる。スイッチング素子34Udを介して流れる電荷は、V相に対応するダイオード36Vdと、W相に対応するダイオード36Wdとを介して流れ、V相に対応するコンデンサ54Vと、W相に対応するコンデンサ54Wとに流入する。複数のパワー素子部32の各々の下アーム側のスイッチング素子34dを同時にオン状態にした場合には、このようにして、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0044】
制御部64は、開閉器16を開状態にした後、複数のパワー素子部32の各々の上アーム側のスイッチング素子34uのいずれか1つをオン状態にするとともに、オン状態になるスイッチング素子34uを順番に切り換え得る。例えば、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合、U相に対応するスイッチング素子34Uuがオン状態になった際に、図2に示すような経路で放電が行われる。なお、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合、V相に対応するスイッチング素子34Vuがオン状態になっても、W相に対応するスイッチング素子34Wuがオン状態になっても、図2に示すような放電は行われない。
【0045】
制御部64は、開閉器16を開状態にした後、複数のパワー素子部32の各々の下アーム側のスイッチング素子34dのいずれか1つをオン状態にするとともに、オン状態になるスイッチング素子34dを順番に切り換え得る。例えば、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合、U相に対応するスイッチング素子34Udがオン状態になった際に、図3に示すような経路で放電が行われる。なお、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合、V相に対応するスイッチング素子34Vdがオン状態になっても、W相に対応するスイッチング素子34Wdがオン状態になっても、図3に示すような放電は行われない。
【0046】
本実施形態による電力変換装置10の動作の例について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による電力変換装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS1において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS1においてYES)、ステップS2に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS1においてNO)、図4に示す処理が完了する。
【0048】
ステップS2において、制御部64は、複数のパワー素子部32の各々の上アーム側のスイッチング素子34uを同時にオン状態にする。この後、ステップS3に遷移する。
【0049】
ステップS3において、制御部64は、上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、例えば不図示のタイマによってカウントされ得る。上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS3においてYES)、ステップS4に遷移する。上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS3においてNO)、ステップS3が繰り返される。
【0050】
ステップS4において、制御部64は、複数のパワー素子部32の各々の上アーム側のスイッチング素子34uを同時にオフ状態にする。こうして、図4に示す処理が完了する。
【0051】
本実施形態による電力変換装置10の動作の他の例について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態による電力変換装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS11において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS11においてYES)、ステップS12に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS11においてNO)、図5に示す処理が完了する。
【0053】
ステップS12において、制御部64は、複数のパワー素子部32の各々の下アーム側のスイッチング素子34dを同時にオン状態にする。この後、ステップS13に遷移する。
【0054】
ステップS13において、制御部64は、下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS13においてYES)、ステップS14に遷移する。下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS13においてNO)、ステップS13が繰り返される。
【0055】
ステップS14において、制御部64は、複数のパワー素子部32の各々の下アーム側のスイッチング素子34dを同時にオフ状態にする。こうして、図5に示す処理が完了する。
【0056】
本実施形態による電力変換装置10の動作の更に他の例について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による電力変換装置の動作の更に他の例を示すフローチャートである。U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオン状態にし、この後、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオン状態にし、この後、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオン状態にする場合の例が、図6に示されている。なお、上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にする順番は、これに限定されるものではない。
【0057】
ステップS21において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS21においてYES)、ステップS22に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS21においてNO)、図6に示す処理が完了する。
【0058】
ステップS22において、制御部64は、U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオン状態にする。この後、ステップS23に遷移する。
【0059】
ステップS23において、制御部64は、U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS23においてYES)、ステップS24に遷移する。U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS23においてNO)、ステップS23が繰り返される。
【0060】
ステップS24において、制御部64は、U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuをオフ状態にする。この後、ステップS25に遷移する。
【0061】
ステップS25において、制御部64は、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオン状態にする。この後、ステップS26に遷移する。
【0062】
ステップS26において、制御部64は、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS26においてYES)、ステップS27に遷移する。V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS26においてNO)、ステップS26が繰り返される。
【0063】
ステップS27において、制御部64は、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuをオフ状態にする。この後、ステップS28に遷移する。
【0064】
ステップS28において、制御部64は、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオン状態にする。この後、ステップS29に遷移する。
【0065】
ステップS29において、制御部64は、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS29においてYES)、ステップS30に遷移する。W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS29においてNO)、ステップS29が繰り返される。
【0066】
ステップS30において、制御部64は、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuをオフ状態にする。この後、ステップS31に遷移する。
【0067】
ステップS31において、制御部64は、更なる放電が必要であるか否か、即ち、ステップS22~S30の更なる実行が必要であるか否かを判定する。例えば、上述した所定時間が十分に長くない場合には、コンデンサ54に蓄えられている電荷を十分に放電させるべく、複数回の放電が必要である。更なる放電が必要である場合(ステップS31においてYES)、ステップS22以降の処理が再度実行される。更なる放電が不要である場合(ステップS31においてNO)、図6に示す処理が完了する。
【0068】
本実施形態による電力変換装置10の動作の更に他の例について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態による電力変換装置の動作の更に他の例を示すフローチャートである。U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオン状態にし、この後、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオン状態にし、この後、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオン状態にする場合の例が、図7に示されている。なお、下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にする順番は、これに限定されるものではない。
【0069】
ステップS41において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS41においてYES)、ステップS42に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS41においてNO)、図7に示す処理が完了する。
【0070】
ステップS42において、制御部64は、U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオン状態にする。この後、ステップS43に遷移する。
【0071】
ステップS43において、制御部64は、U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS43においてYES)、ステップS44に遷移する。U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS43においてNO)、ステップS43が繰り返される。
【0072】
ステップS44において、制御部64は、U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udをオフ状態にする。この後、ステップS45に遷移する。
【0073】
ステップS45において、制御部64は、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオン状態にする。この後、ステップS46に遷移する。
【0074】
ステップS46において、制御部64は、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS46においてYES)、ステップS47に遷移する。V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS46においてNO)、ステップS46が繰り返される。
【0075】
ステップS47において、制御部64は、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdをオフ状態にする。この後、ステップS48に遷移する。
【0076】
ステップS48において、制御部64は、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオン状態にする。この後、ステップS49に遷移する。
【0077】
ステップS49において、制御部64は、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過した場合(ステップS49においてYES)、ステップS50に遷移する。W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオン状態にしたタイミングから所定時間が経過していない場合(ステップS49においてNO)、ステップS49が繰り返される。
【0078】
ステップS50において、制御部64は、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdをオフ状態にする。この後、ステップS51に遷移する。
【0079】
ステップS51において、制御部64は、更なる放電が必要であるか否か、即ち、ステップS42~S50の更なる実行が必要であるか否かを判定する。例えば、上述した所定時間が十分に長くない場合には、コンデンサ54に蓄えられている電荷を十分に放電させるべく、複数回の放電が必要である。更なる放電が必要である場合(ステップS51においてYES)、ステップS42以降の処理が再度実行される。更なる放電が不要である場合(ステップS51においてNO)、図7に示す処理が完了する。
【0080】
このように、本実施形態によれば、開閉器16を開状態にした後に、スイッチング素子34をオン状態にするため、コンデンサ54に蓄えられた電荷がスイッチング素子34を介して速やかに放電される。このため、本実施形態によれば、共振電圧のピークが著しく大きくなるのを防止することができ、ひいては、スイッチング素子34等が破壊されるのを防止することができる。
【0081】
[第2実施形態]
第2実施形態による電力変換装置及びその制御方法について図8図18を用いて説明する。図8は、本実施形態による電力変換装置の構成を示す図である。図1図7に示す第1実施形態による電力変換装置及びその制御方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略又は簡潔にする。
【0082】
本実施形態による電力変換装置10は、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にするものである。
【0083】
図8に示すように、本実施形態による電力変換装置10には、電圧センサ(検出部)28が更に備えられている。電圧センサ28に備えられた複数の入力端子は、電源線70U、70V、70Wにそれぞれ接続されている。電圧センサ28は、交流電源14の各相における相電圧を検出し得る。より具体的には、電圧センサ28は、交流電源14の各相における相電圧の瞬時値、即ち、電圧瞬時値を取得し得る。電圧センサ28によって取得される電圧瞬時値は、制御装置26に供給される。
【0084】
演算部58には、判定部62が更に備えられている。判定部62は、記憶部60に記憶されているプログラムが演算部58によって実行されることによって実現され得る。
【0085】
判定部62は、電圧センサ28から供給される情報、即ち、電圧センサ28の検出結果に基づいて、相電圧が最も高い相、又は、相電圧が最も低い相を判定し得る。相電圧は時間とともに変化するため、相電圧が最も高い相、及び、相電圧が最も低い相は、時間とともに変化する。
【0086】
制御部64は、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dを、順番にオン状態にし得る。
【0087】
本実施形態において、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dを順番にオン状態にするのは、以下のような理由によるものである。即ち、スイッチング素子34がオン状態になっているスイッチング素子34が、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34uでもなく、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dでもない場合、以下のようになる。このような場合において、開状態から閉状態への意図しない遷移が開閉器16において生じた場合には、オン状態になっているスイッチング素子34によって電源線70が短絡状態となり、当該スイッチング素子34に大電流が流れ、当該スイッチング素子34が破壊されてしまう。一方、オン状態になっているスイッチング素子34が、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dである場合には、以下のようになる。即ち、オン状態になっているスイッチング素子34は、導通しているダイオード36に対して並列に接続されているスイッチング素子34であるため、開状態から閉状態への意図しない遷移が開閉器16において生じた場合であっても、特段の問題は生じない。このような理由により、本実施形態では、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dを順番にオン状態にする。なお、開状態から閉状態への意図しない遷移は、例えば、開閉器16がユーザ等によって操作されることによって生じ得る。
【0088】
図9は、開閉器を閉状態にした際の電流経路の例を示す図である。図9には、相電圧が最も高い相がU相であり、相電圧が最も低い相がW相である場合の例が示されている。相電圧が最も高い相がU相であり、相電圧が最も低い相がW相である場合、図9に示すように、ダイオード36Uuとダイオード36Wdとが導通する。このような場合には、ダイオード36Uuに対して並列に接続されたスイッチング素子34Uuをオン状態にしても、当該スイッチング素子34Uuが破壊されることはない。また、このような場合には、ダイオード36Wdに対して並列に接続されたスイッチング素子34Wdをオン状態にしても、当該スイッチング素子34Wdが破壊されることはない。従って、相電圧が最も高い相がU相であり、相電圧が最も低い相がW相である場合、コンデンサ54に蓄えられた電荷がスイッチング素子34Uuを介して放電されている際に開閉器16が閉状態に遷移したとしても、当該スイッチング素子34Uuは破壊されない。また、相電圧が最も高い相がU相であり、相電圧が最も低い相がW相である場合、コンデンサ54に蓄えられた電荷がスイッチング素子34Wdを介して放電されている際に開閉器16が閉状態に遷移したとしても、当該スイッチング素子34Wdは破壊されない。
【0089】
図10は、開閉器を閉状態にした際の電流経路の他の例を示す図である。図10には、相電圧が最も高い相がV相であり、相電圧が最も低い相がU相である場合の例が示されている。相電圧が最も高い相がV相であり、相電圧が最も低い相がU相である場合、図10に示すように、ダイオード36Vuとダイオード36Udとが導通する。このような場合には、ダイオード36Vuに対して並列に接続されたスイッチング素子34Vuをオン状態にしても、当該スイッチング素子34Vuが破壊されることはない。また、このような場合には、ダイオード36Udに対して並列に接続されたスイッチング素子34Udをオン状態にしても、当該スイッチング素子34Udが破壊されることはない。従って、相電圧が最も高い相がV相であり、相電圧が最も低い相がU相である場合、コンデンサ54に蓄えられた電荷がスイッチング素子34Vuを介して放電されている際に開閉器16が閉状態に遷移したとしても、当該スイッチング素子34Vuは破壊されない。また、相電圧が最も高い相がV相であり、相電圧が最も低い相がU相である場合、コンデンサ54に蓄えられた電荷がスイッチング素子34Udを介して放電されている際に開閉器16が閉状態に遷移したとしても、当該スイッチング素子34Udは破壊されない。
【0090】
なお、上記では、相電圧が最も高い相がU相であり、相電圧が最も低い相がW相である場合の例と、相電圧が最も高い相がV相であり、相電圧が最も低い相がU相である場合の例とを示したが、相電圧が最も高い相と相電圧が最も低い相との組み合わせは、上記に限定されるものではない。他の組み合わせにおいても、上記と同様に考えることができる。
【0091】
図11は、U相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図11には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合の例が示されている。U相に対応するコンデンサ54Uの電圧よりも、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧、及び、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧の方が高い。このため、図11に示すように、V相に対応するコンデンサ54Vに蓄えられた電荷は、ダイオード36Vuを介して流れ、W相に対応するコンデンサ54Wに蓄えられた電荷は、ダイオード36Wuを介して流れる。ダイオード36Vu、36Wuを介して流れる電荷は、U相に対応するスイッチング素子34Uuを介して流れ、U相に対応するコンデンサ54Uに流入する。このように、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合には、U相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Uuがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0092】
図12は、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図12には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がV相に対応するコンデンサ54Vである場合の例が示されている。V相に対応するコンデンサ54Vの電圧よりも、U相に対応するコンデンサ54Uの電圧、及び、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧の方が高い。このため、図12に示すように、U相に対応するコンデンサ54Uに蓄えられた電荷は、ダイオード36Uuを介して流れ、W相に対応するコンデンサ54Wに蓄えられた電荷は、ダイオード36Wuを介して流れる。ダイオード36Uu、36Wuを介して流れる電荷は、V相に対応するスイッチング素子34Vuを介して流れ、V相に対応するコンデンサ54Vに流入する。このように、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がV相に対応するコンデンサ54Vである場合には、V相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Vuがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0093】
図13は、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図13には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がW相に対応するコンデンサ54Wである場合の例が示されている。W相に対応するコンデンサ54Wの電圧よりも、U相に対応するコンデンサ54Uの電圧、及び、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧の方が高い。このため、図13に示すように、U相に対応するコンデンサ54Uに蓄えられた電荷は、ダイオード36Uuを介して流れ、V相に対応するコンデンサ54Vに蓄えられた電荷は、ダイオード36Vuを介して流れる。ダイオード36Uu、36Vuを介して流れる電荷は、W相に対応するスイッチング素子34Wuを介して流れ、W相に対応するコンデンサ54Wに流入する。このように、両端の電圧が最も低いコンデンサ54がW相に対応するコンデンサ54Wである場合には、W相に対応する上アーム側のスイッチング素子34Wuがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0094】
図14は、U相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図14には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合の例が示されている。V相に対応するコンデンサ54Vの電圧、及び、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧よりも、U相に対応するコンデンサ54Uの電圧の方が高い。このため、図14に示すように、U相に対応するコンデンサ54Uに蓄えられた電荷は、スイッチング素子34Udを介して流れる。スイッチング素子34Udを介して流れる電荷は、V相に対応するダイオード36Vdと、W相に対応するダイオード36Wdとを介して流れる。V相に対応するダイオード36Vdを介して流れる電荷は、コンデンサ54Vに流入し、W相に対応するダイオード36Wdを介して流れる電荷は、コンデンサ54Wに流入する。このように、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がU相に対応するコンデンサ54Uである場合には、U相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Udがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0095】
図15は、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図15には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がV相に対応するコンデンサ54Vである場合の例が示されている。U相に対応するコンデンサ54Uの電圧、及び、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧よりも、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧の方が高い。このため、図15に示すように、V相に対応するコンデンサ54Vに蓄えられた電荷は、スイッチング素子34Vdを介して流れる。スイッチング素子34Vdを介して流れる電荷は、U相に対応するダイオード36Udと、W相に対応するダイオード36Wdとを介して流れる。U相に対応するダイオード36Udを介して流れる電荷は、コンデンサ54Uに流入し、W相に対応するダイオード36Wdを介して流れる電荷は、コンデンサ54Wに流入する。このように、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がV相に対応するコンデンサ54Vである場合には、V相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Vdがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0096】
図16は、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子をオン状態にした際の放電経路を示す図である。図16には、開閉器16が開状態であり、且つ、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がW相に対応するコンデンサ54Wである場合の例が示されている。U相に対応するコンデンサ54Uの電圧、及び、V相に対応するコンデンサ54Vの電圧よりも、W相に対応するコンデンサ54Wの電圧の方が高い。このため、図16に示すように、W相に対応するコンデンサ54Wに蓄えられた電荷は、スイッチング素子34Wdを介して流れる。スイッチング素子34Wdを介して流れる電荷は、U相に対応するダイオード36Udと、V相に対応するダイオード36Vdとを介して流れる。U相に対応するダイオード36Udを介して流れる電荷は、コンデンサ54Uに流入し、V相に対応するダイオード36Vdを介して流れる電荷は、コンデンサ54Vに流入する。このように、両端の電圧が最も高いコンデンサ54がW相に対応するコンデンサ54Wである場合には、W相に対応する下アーム側のスイッチング素子34Wdがオン状態になった際に、コンデンサ54に蓄えられた電荷が放電される。
【0097】
本実施形態による電力変換装置10の動作の例について図17を用いて説明する。図17は、本実施形態による電力変換装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0098】
ステップS61において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS61においてYES)、ステップS62に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS61においてNO)、図17に示す処理が完了する。
【0099】
ステップS62において、判定部62は、電圧センサ28の検出結果に基づいて、相電圧が最も高い相を判定する。この後、ステップS63に遷移する。
【0100】
ステップS63において、制御部64は、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にする。この後、ステップS64に遷移する。
【0101】
ステップS64において、制御部64は、相電圧が最も高い相が変化したか否かを判定する。相電圧が最も高い相が変化していない場合(ステップS64においてNO)、ステップS64が繰り返される。相電圧が最も高い相が変化した場合(ステップS64においてYES)、ステップS65に遷移する。
【0102】
ステップS65において、制御部64は、オン状態になっていた上アーム側のスイッチング素子34uをオフ状態にする。この後、ステップS66に遷移する。
【0103】
ステップS66において、制御部64は、上アーム側のスイッチング素子34uをオン状態にする処理が、全ての上アーム側のスイッチング素子34uに対して完了したか否かを判定する。上アーム側の複数のスイッチング素子34uのうちのいずれかのスイッチング素子34uに対して当該処理が完了していない場合(ステップS66においてNO)、ステップS62以降の処理が繰り返される。全ての上アーム側のスイッチング素子34uに対して当該処理が完了した場合(ステップS66においてYES)、ステップS67に遷移する。
【0104】
ステップS67において、制御部64は、更なる放電が必要であるか否か、即ち、ステップS62~S66の更なる実行が必要であるか否かを判定する。例えば、スイッチング素子34uをオン状態に遷移させてからオフ状態に遷移させるまでの時間が十分に長くない場合には、コンデンサ54に蓄えられている電荷を十分に放電させるべく、複数回の放電が必要である。更なる放電が必要である場合(ステップS67においてYES)、ステップS62以降の処理が再度実行される。更なる放電が不要である場合(ステップS67においてNO)、図17に示す処理が完了する。
【0105】
本実施形態による電力変換装置10の動作の他の例について図18を用いて説明する。図18は、本実施形態による電力変換装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【0106】
ステップS71において、制御部64は、開閉器16が閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移した場合(ステップS71においてYES)、ステップS72に遷移する。開閉器16が閉状態から開状態に遷移していない場合(ステップS71においてNO)、図18に示す処理が完了する。
【0107】
ステップS72において、判定部62は、電圧センサ28の検出結果に基づいて、相電圧が最も低い相を判定する。この後、ステップS73に遷移する。
【0108】
ステップS73において、制御部64は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にする。この後、ステップS74に遷移する。
【0109】
ステップS74において、制御部64は、相電圧が最も低い相が変化したか否かを判定する。相電圧が最も低い相が変化していない場合(ステップS74においてNO)、ステップS74が繰り返される。相電圧が最も低い相が変化した場合(ステップS74においてYES)、ステップS75に遷移する。
【0110】
ステップS75において、制御部64は、オン状態になっていた下アーム側のスイッチング素子34dをオフ状態にする。この後、ステップS76に遷移する。
【0111】
ステップS76において、制御部64は、下アーム側のスイッチング素子34dをオン状態にする処理が、全ての下アーム側のスイッチング素子34dに対して完了したか否かを判定する。下アーム側の複数のスイッチング素子34dのうちのいずれかのスイッチング素子34dに対して当該処理が完了していない場合(ステップS76においてNO)、ステップS72以降の処理が繰り返される。全ての下アーム側のスイッチング素子34dに対して当該処理が完了した場合(ステップS76においてYES)、ステップS77に遷移する。
【0112】
ステップS77において、制御部64は、更なる放電が必要であるか否か、即ち、ステップS72~S76の更なる実行が必要であるか否かを判定する。例えば、スイッチング素子34dをオン状態に遷移させてからオフ状態に遷移させるまでの時間が十分に長くない場合には、コンデンサ54に蓄えられている電荷を十分に放電させるべく、複数回の放電が必要である。更なる放電が必要である場合(ステップS77においてYES)、ステップS72以降の処理が再度実行される。更なる放電が不要である場合(ステップS77においてNO)、図18に示す処理が完了する。
【0113】
このように、本実施形態によれば、相電圧が最も高い相に対応する上アーム側のスイッチング素子34u、又は、相電圧が最も低い相に対応する下アーム側のスイッチング素子34dを順番にオン状態にする。オン状態になっているスイッチング素子34が、このようなスイッチング素子34である際には、開状態から閉状態への意図しない遷移が開閉器16において生じた場合であっても、スイッチング素子34を介した電源線70の短絡は生じない。従って、本実施形態によれば、スイッチング素子34等の破壊をより良好に防止し得る電力変換装置10を提供することができる。
【0114】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
【0115】
電力変換装置(10)は、スイッチング素子(34Uu、34Vu、34Wu、34Ud、34Vd、34Wd)を含み、交流電源(14)から開閉器(16)を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ(12)と、前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル(46U、46V、46W、48U、48V、48W)及びコンデンサ(54U、54V、54W)を含み、ノイズを除去するフィルタ(24)と、前記開閉器を開状態にした後に、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電させる制御部(64)とを備える。このような構成によれば、開閉器を開状態にした後、コンデンサに蓄えられた電荷がスイッチング素子を介して速やかに放電される。このため、このような構成によれば、共振電圧のピークが著しく大きくなるのを防止することができ、ひいては、スイッチング素子34等が破壊されるのを良好に防止することができる。
【0116】
前記交流電源は、多相の相電圧を供給する多相交流電源であり、前記コンバータは、前記交流電源の各相に対応して、互いに直列に接続された上アーム側の前記スイッチング素子及び下アーム側の前記スイッチング素子を有するパワー素子部(32U、32V、32W)を複数有し、前記フィルタは、前記交流電源の各相に対応して、前記リアクトル及び前記コンデンサを含み、前記制御部は、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子を全てオン状態にすることで、前記交流電源の各相に対応して設けられた前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電させるようにしてもよい。このような構成によれば、両端の電圧が大きいコンデンサがいずれの場合であっても、当該コンデンサに蓄えられた電荷を、スイッチング素子を介して放電させることができる。
【0117】
前記制御部は、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子を同時にオン状態にするようにしてもよい。このような構成によれば、スイッチング素子を順番にオン状態にする場合と比較して、放電に要する時間を短縮することができる。
【0118】
前記制御部は、複数の前記パワー素子部の各々の上アーム側又は下アーム側の前記スイッチング素子のいずれか1つをオン状態にするとともに、オン状態になる前記スイッチング素子を順番に切り換えるようにしてもよい。
【0119】
前記交流電源の各相における前記相電圧を検出する検出部(28)を更に備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記相電圧が最も高い相に対応する上アーム側の前記スイッチング素子をオン状態にするようにしてもよい。このような構成によれば、開状態から閉状態への意図しない遷移が開閉器において生じた場合であっても、スイッチング素子を介して電源線が短絡されるのを防止することができ、ひいては、スイッチング素子が破壊されるのを防止することができる。
【0120】
前記交流電源の各相における前記相電圧を検出する検出部を更に備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記相電圧が最も低い相に対応する下アーム側の前記スイッチング素子をオン状態にするようにしてもよい。このような構成によれば、開状態から閉状態への意図しない遷移が開閉器において生じた場合であっても、スイッチング素子を介して電源線が短絡されるのを防止することができ、ひいては、スイッチング素子が破壊されるのを防止することができる。
【0121】
複数の前記パワー素子部は、互いに並列に接続され、前記パワー素子部の上アーム側の前記スイッチング素子と下アーム側の前記スイッチング素子とが接続されたノード(38U、38V、38W)には、対応する相の前記相電圧が供給されるようにしてもよい。
【0122】
電力変換装置の制御方法は、スイッチング素子を含み、交流電源から開閉器を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記開閉器と前記コンバータとの間に設けられ、リアクトル及びコンデンサを含み、ノイズを除去するフィルタと、前記開閉器及び前記スイッチング素子を制御する制御部とを備える電力変換装置の制御方法であって、前記開閉器を開状態にするステップ(S1)と、前記スイッチング素子をオン状態にすることで、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電させるステップ(S2)とを有する。
【符号の説明】
【0123】
10:電力変換装置 12:コンバータ
14:交流電源 16:開閉器
18:平滑コンデンサ 52U、52V、52W:抵抗器
24:フィルタ 26:制御装置
28:電圧センサ 29:制御回路
30:整流回路 32U、32V、32W:パワー素子部
34Ud、34Uu、34Vd、34Vu、34Wd、34Wu:スイッチング素子
36Ud、36Uu、36Vd、36Vu、36Wd、36Wu:ダイオード
38U、38V、38W、53U、53V、53W:ノード
42d、42u:出力線
44U、44V、44W、50U、50V、50W、66U、66V、66W、68U、68V、68W:入出力端子
46U、46V、46W、48U、48V、48W:リアクトル
54U、54V、54W:コンデンサ 56U、56V、56W:抵抗器
58:演算部 60:記憶部
62:判定部 64:制御部
70U、70V、70W:電源線
図1
図2
図3
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