IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アプリケーション実行用制御システム 図1
  • 特許-アプリケーション実行用制御システム 図2
  • 特許-アプリケーション実行用制御システム 図3
  • 特許-アプリケーション実行用制御システム 図4
  • 特許-アプリケーション実行用制御システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】アプリケーション実行用制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20231108BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G05B19/409 C
G05B19/05 N
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019143558
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021026479
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】上西 理加
(72)【発明者】
【氏名】松川 都志徳
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-190659(JP,A)
【文献】特開2002-82707(JP,A)
【文献】特開昭62-125402(JP,A)
【文献】特開2004-295348(JP,A)
【文献】特開平2-28809(JP,A)
【文献】特開2005-109744(JP,A)
【文献】国際公開第2016/155996(WO,A1)
【文献】特開2003-50698(JP,A)
【文献】特開2002-341911(JP,A)
【文献】特開2017-187964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
G05B 19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーション実行装置と、自身の内部状態に連携した指示情報を前記アプリケーション実行装置へ発信する数値制御装置と、前記数値制御装置の情報と状態に応じて発信する指示情報を定義した定義ファイルを記憶する定義ファイル記憶部と、を備えたシステムであって、
前記数値制御装置は、
前記定義ファイル記憶部から前記定義ファイルを取得する定義ファイル取得部と、
前記取得した定義ファイルを解析する定義ファイル解析部と、
前記解析の結果に基づいて前記数値制御装置の情報と状態の判定条件を作成する条件作成部と、
前記条件作成部によって作成された判定条件を記憶する条件記憶部と、
前記判定条件に基づいて定期的に前記数値制御装置の種々の情報から条件判定を行う条件判定部と、
前記条件判定を行って前記数値制御装置の情報が前記判定条件に合致した際に、前記定義ファイルによる前記指示情報を発信する指示情報発信部と、を備え、
前記指示情報発信部から発信された前記指示情報により前記アプリケーション実行装置が処理を実行する
アプリケーション実行用制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション実行用制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、例えば、機械工作の分野では、CNC(コンピュータ数値制御:Computerized Numerical Control)技術を適用し、工具の移動量や移動速度などをコンピュータで数値制御することにより、同一加工手順の繰り返し、複雑な形状の加工などを高度に自動化している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
一方、CNCを用いて産業用機械の駆動制御を行う場合などにおいて、アプリケーション設計者が、作成したアプリケーションとCNCを連動させたいとき、CNCの状態や情報の取得が必要になるケースが多い。
【0004】
具体的に、CNCの状態や情報に応じて、アプリケーションの表示内容を切り替えたい場合には、例えば、(1):CNCの状態や情報を取得する、(2):(1)に応じて、表示する内容を決定する、といった流れで作業を進めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-251651号公報
【文献】特開2011-140076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記(1)、(2)のような作業の流れ、仕組みは全てアプリケーション側で用意する必要がある。
【0007】
しかしながら、アプリケーションはCNCと連携し続けるために、CNCの状態や情報を定期的に取得・解析し続ける必要があり、アプリケーション側の負担が非常に大きくなってしまう。
【0008】
また、CNCの情報を取得・解析する仕組みはアプリケーション側にあるため、同じ情報を利用するアプリケーションであっても、アプリケーション設計技術者の各人によって設計が異なる場合が当然にあり、結果、品質(アプリケーション自体の保守性や効率性など)にバラツキが生じるおそれがあった。
【0009】
このため、アプリケーション側の負担を軽減し、且つ設計が異なることによって、品質にバラツキが生じることを確実に解消できる手法の開発が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のアプリケーション実行用制御システムの一態様は、内部状態に連携した動作指示情報をアプリケーション実行装置へ発信する制御装置を備えたシステムであって、前記制御装置の情報と状態に応じて発信する指示情報を定義した定義ファイルを記憶する定義ファイル記憶部と、前記定義ファイルを取得する定義ファイル取得部と、前記取得した定義ファイルを解析する定義ファイル解析部と、前記解析の結果に基づいて前記制御装置の情報と状態の判定条件を作成する条件作成部と、前記条件作成部によって作成された判定条件を記憶する条件記憶部と、前記判定条件に基づいて前記制御装置の種々の情報から条件判定を行う条件判定部と、前記条件判定を行って前記制御装置の情報が前記判定条件に合致した際に、前記定義ファイルによる前記指示情報を発信する指示情報発信部と、を備え、前記指示情報発信部から発信された前記指示情報により前記アプリケーション実行装置が処理を実行するように構成した。
【発明の効果】
【0011】
本開示のアプリケーション実行用制御システムの一態様によれば、アプリケーションが必要なCNCなどの制御装置の情報を全て監視することなく、発行された指示情報に応答して処理を行うだけでCNCなどの制御装置との連携が可能になる。これにより、アプリケーションの負荷軽減と開発工数の削減を図ることが可能になる。
【0012】
また、判定条件や指示情報を事前に用意しておくことで、アプリケーション側の設計を統一(標準化)でき、従来のように品質にバラツキが生じるという不都合を解消することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のアプリケーション実行用制御システムの一態様を示すブロック図である。
図2】本開示のアプリケーション実行用制御システムの一態様において、アプリケーション実行装置に指示情報を送信する制御の方法、手順を示すフロー図である。
図3】実施例1の説明に用いた図である。
図4】実施例2の説明に用いた図である。
図5】実施例1、実施例2の説明に用いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図5を参照し、一実施形態に係るアプリケーション実行用制御システムについて説明する。ここで、本実施形態では、アプリケーション実行用制御システムが産業用機械の工作機械など、CNCを用いた制御システムであるものとして説明を行う。
【0015】
本実施形態のアプリケーション実行用制御システム1は、例えば、図1に示すように、アプリケーション実行装置2と、内部状態に連携した動作指示情報をアプリケーション実行装置2へ発信する制御装置のCNC(コンピュータ数値制御装置:Computerized Numerical Control)3と、CNC3の情報と状態に応じて発信する指示情報を定義した定義ファイル4を記憶する定義ファイル記憶部5と、を備えている。
【0016】
本実施形態のCNC3は、CNC3の情報に基づいて、定義ファイル記憶部5から定義ファイル4を取得する定義ファイル取得部6と、取得した定義ファイル4を解析する定義ファイル解析部7と、解析の結果に基づいてCNC3の情報と状態の判定条件を作成する条件作成部8と、条件作成部8によって作成された判定条件を記憶する条件記憶部9と、を備えている。
【0017】
また、定義ファイル取得部6と定義ファイル解析部7と条件作成部8と条件記憶部9とによって、条件読込部10が構成されている。
【0018】
本実施形態のCNC3は、条件読込部10で取得した判定条件に基づいて、CNC3の種々の情報から条件判定を行う条件判定部11と、条件判定を行ってCNC3の情報が判定条件に合致した際に、定義ファイル4による指示情報を発信する指示情報発信部12と、を備えている。
【0019】
そして、本実施形態のアプリケーション実行用制御システム1は、指示情報発信部12から発信された指示情報によりアプリケーション実行装置2が処理を実行するように構成されている。
【0020】
ここで、定義ファイル4は、入力手段であり、テキスト画面、XMLパラメータなど、特にその形式を限定する必要はない。
【0021】
本実施形態のアプリケーション実行用制御システム1では、アプリケーション設計者が、CNC3の情報と状態、及び発信する指示情報を定義した定義ファイル4を定義ファイル記憶部5に記憶する。
【0022】
定義ファイル記憶部5に定義ファイル4がある場合、CNC3は条件読込部10において、定義ファイル4の取得と解析を行い、CNC3の情報と状態からなる判定条件を作成し、その判定条件及び条件に合致した際に発信する指示情報を定義ファイル記憶部5に記憶する。
【0023】
また、本実施形態では、条件読込部10で取得した判定条件に基づいて、条件判定部11にて定期的にCNC3の種々の情報から条件判定を行うようにし、判定条件に合致した際に、指示情報発信部12から指定された指示情報を発信する。
【0024】
図2図1)、図3図4図5を参照し、より具体的に、工作機械の制御において、本実施形態のアプリケーション実行用制御システム1を用いてアプリケーション実行装置2に指示情報(動作指示情報)を送信する制御を行う方法について説明する。
【0025】
アプリケーション実行装置2に指示情報を送信する制御を行う際には、図2に示すように、定義ファイル取得部6が、CNC3の情報と状態に応じて発信する指示情報を定義した定義ファイル4を定義ファイル記憶部5から取得する(STEP1)。
【0026】
<実施例1>
ここで、図3図5)に示すように、CNC3の情報と状態を示す現在の画面が工具オフセット、パラメータの画面である場合には、画面上にテンキーを表示するようにし、テンキー表示の指示情報を発信するように、定義ファイル4を定義する。
【0027】
また、CNC3では、定期的にCNC3の種々の情報から条件判定を行う定期処理によって現在の画面を確認する現在画面確認処理が行われる。
【0028】
具体的に、定期処理、現在画面確認処理では、まず、図2図3図5)に示すように、定義ファイル取得部6が定義ファイル4を取得するとともに、定義ファイル解析部7によって、取得した定義ファイル4の解析が行われ、定義があるか否かが確認される(STEP2、STEP3)。
【0029】
定義がない場合には、アプリケーション実行装置2への動作指示情報の発信が行われずに終了する。
【0030】
定義がある場合には、条件作成部8によって、解析結果に基づいてCNC3の情報と状態からなる判定条件が作成され(STEP4)、条件記憶部9にその判定条件及び条件に合致した際に発信する指示情報が記憶される(STEP5)。
【0031】
また、条件判定部11によって定期的に定期処理が開始され(STEP6)、例えば、運転モード、画面番号、フォーカスなど(現在の画面のパラメータなど)のCNC3の種々の情報が参照され(STEP7)、判定条件に合致する条件があるか否かが確認される(STEP8)。
【0032】
合致する判定条件がない場合には、アプリケーション実行装置2への動作指示情報の発信が行われずに終了する。
【0033】
合致する判定条件がある場合には、指示情報発信部12から指定された指示情報が発信され(STEP9)、定期処理が終了する(STEP10)。
【0034】
アプリケーション実行装置2(アプリケーション側)は、指示情報発信部12から発信された指示情報を受信し、指示情報の解析処理を行い、キーボード(テンキー)表示処理などを行う。
【0035】
<実施例2>
次に、アラーム発生時に、発生したアラームの情報をマニュアルで検索する例について説明する。
【0036】
図4図5)に示すように、CNC3の情報と状態を示す現在の画面が工具オフセット、パラメータの画面である場合には、マニュアル表示の指示情報とアラームNoの情報を発信するように、定義ファイル4を定義する。
【0037】
また、CNC3では、定期的にCNC3の種々の情報から条件判定を行う定期処理によってアラームを確認するアラーム確認処理が行われる。
【0038】
定期処理、アラーム確認処理では、図2図4図5)に示すように、定義ファイル4の取得、取得した定義ファイル4の解析が行われ、定義があるか否かが確認される(STEP2、STEP3)。
【0039】
定義がない場合には、アプリケーション実行装置2への動作指示情報の発信が行われずに終了し、定義がある場合には、解析結果に基づいてCNC3の情報と状態からなる判定条件が作成され(STEP4)、条件記憶部9にその判定条件及び条件に合致した際に発信する指示情報が記憶される(STEP5)。
【0040】
また、条件判定部11によって定期的に定期処理が開始され(STEP6)、現在の画面のアラーム状態が確認され(STEP7)、判定条件に合致する条件があるか否かが確認される(STEP8)。
【0041】
合致する判定条件がない場合には、アプリケーション実行装置2への動作指示情報の発信が行われずに終了する。
【0042】
合致する判定条件がある場合には、すなわち、アラームの発生が確認された場合には、アラームNoの取得が行われ、指示情報発信部12から指定された指示情報が発信され(STEP9)、定期処理が終了する(STEP10)。
【0043】
アプリケーション実行装置2(アプリケーション側)は、指示情報発信部12から発信された指示情報を受信し、指示情報の解析処理を行い、マニュアル表示処理、マニュアル検索処理などを行う。
【0044】
したがって、上記のように構成した本実施形態のアプリケーション実行用制御システム1においては、アプリケーションが必要なCNC3などの制御装置の情報を全て監視することなく、発行された指示情報に応答して処理を行うだけでCNC3などの制御装置との連携が可能になる。これにより、アプリケーションの負荷軽減と開発工数の削減を図ることが可能になる。
【0045】
また、判定条件や指示情報を事前に用意しておくことで、アプリケーション側の設計を統一(標準化)でき、従来のように品質にバラツキが生じるという不都合を解消することが可能になる。
【0046】
以上、アプリケーション実行用制御システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
例えば、本実施形態では、アプリケーション実行用制御システムが産業用機械の工作機械など、CNCを用いた制御システムであるものとして説明を行った。
【0048】
これに対し、アプリケーション実行用制御システムは、制御装置をCNCに限定する必要はなく、ロボットコントローラ、PLC(programmable logic controller)など、他の制御装置を用いたシステムであっても構わない。
【0049】
言い換えれば、アプリケーション実行用制御システムの制御装置で制御する対象は、工作機械、ロボット、搬送機、計測器、試験装置、プレス機、圧入器、印刷機、ダイカストマシン、射出成型機、食品機械、包装機、溶接機、洗浄機、塗装機、組立装置、実装機、木工機械、シーリング装置、切断機などの産業用機械に限らず、自動倉庫、エレベータ、自動ドア、ボイラ、テーマパークの各種アトラクションなど、自動制御を必要とするあらゆる装置を含む。
【0050】
そして、上記のような自動制御を必要とするあらゆる装置の制御に、アプリケーション実行用制御システムを適用することで、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0051】
また、アプリケーション実行装置2は、複数あってもよい。この場合には、中継アプリケーション実行装置を備え、指示情報発信部12から発信された指示情報を中継アプリケーション装置で受け、中継アプリケーション装置から指示情報を発信すべきアプリケーション実行装置2に指示情報を発信するように構成してもよい。このような中継アプリケーション装置を備えることで、CNC3側で指示情報発信部12から発信される指示情報の送信先を選ぶ必要がない。また、アプリケーション実行装置2を起動していなくても、CNC3側(指示情報発信部12)から指示情報を発信する処理を完了させることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 アプリケーション実行用制御システム
2 アプリケーション実行装置
3 CNC(制御装置)
4 定義ファイル
5 定義ファイル記憶部
6 定義ファイル取得部
7 定義ファイル解析部
8 条件作成部
9 条件記憶部
10 条件読込部
11 条件判定部
12 指示情報発信部
図1
図2
図3
図4
図5