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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019151284
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021034476
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】千賀 章弘
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157767(JP,A)
【文献】特開2014-099513(JP,A)
【文献】特開2016-196081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ベース上に配置され、基板を搬送方向に搬入して作業位置に保持し、作業が完了した基板を作業位置から前記搬送方向に搬出する基板保持搬送装置と、
前記搬送方向と直交する方向である直交方向の一端部においてベースに配置されたフィーダ型部品供給装置と、
前記基板保持搬送装置によって保持された基板と前記フィーダ型部品供給装置との間を移動して、前記フィーダ型部品供給装置から供給される部品を、前記作業位置に保持された基板に装着する部品装着ヘッドと、
前記一端部に、作業者が前記フィーダ型部品供給装置にアクセスするための開口が設けられた外装パネルと
を備えた部品装着機であって、
前記直交方向における前記基板保持搬送装置と前記フィーダ型部品供給装置との間に、部品トレイを配置可能とされ、前記開口とは別に、前記搬送方向の一端部において、前記外装パネルに、作業者が前記部品トレイにアクセスするための第2の開口が設けられ
前記第2の開口は、前記外装パネルの前記直交方向の中心に対して、一方の側に設けられており、
前記基板保持搬送装置は、固定板と、前記固定板に対して前記一方の側に設けられた可動板とからなる一対の支持板を備え、前記直交方向の幅を変更可能とされ、前記可動板が前記固定板に近づけられることにより前記基板保持搬送装置が前記直交方向の幅が小さくされた状態において、前記可動板が前記固定板に近づけられたことにより設けられたスペースに前記部品トレイを配置可能とされたことを特徴とする部品装着機。
【請求項2】
前記第2の開口を開閉するための扉が、前記外装パネルに設けられた請求項1に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を装着する部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板保持搬送装置によって搬入されて作業位置に保持された基板に電子部品(以下、単に「部品」という場合がある)を装着する部品装着機では、一般的に、テープに整列して保持された電子部品(以下、単に「部品」という場合がある)から順次部品を供給するフィーダ型部品供給装置を備えている。その一方で、大型の部品は、一般的には、部品が整列して収容された部品トレイから供給される。昨今、1つの基板に装着する部品の種類が多くなっており、1つの部品装着機において、フィーダ型部品供給装置と部品トレイとの両方から部品を供給することが望まれる。一般的には、例えば、フィーダ型部品供給装置は、基板保持搬送装置による基板の搬送の方向(以下、「基板搬送方向」という場合がある)と直交する方向(以下、「直交方向」という場合がある)における一端部に、複数配置される。部品装着機に部品トレイをも配置する場合、一般的には、複数のフィーダ型部品供給装置の一部が配置される箇所に、部品トレイが配置される。その場合、フィーダ型部品供給装置の配置数が少なくなってしまう。
【0003】
そこで、例えば、下記特許文献に記載されているように、基板保持搬送装置が2レーン設けられている部品装着機において、2つのレーンの内の一方に、基板ではなく、部品トレイを搬送しつつ、もう一方のレーンを搬送される基板に、その部品トレイに収容された部品と、フィーダ型部品供給装置から供給される部品とを、装着するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-182025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載された技術は、基板保持搬送装置が2レーンのものであることが前提となっており、そのような基板保持搬送装置を有しない部品装着機では、その技術を採用することができない。本発明は、簡便な構造によって、フィーダ型部品供給装置の配置数を減らすことなく、部品トレイからの部品の供給が可能とされた部品装着機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の部品装着機は、
ベースと、
ベース上に配置され、基板を搬送方向に搬入して作業位置に保持し、作業が完了した基板を作業位置から前記搬送方向に搬出する基板保持搬送装置と、
前記搬送方向と直交する方向である直交方向の一端部においてベースに配置されたフィーダ型部品供給装置と、
前記基板保持搬送装置によって保持された基板と前記フィーダ型部品供給装置との間を移動して、前記フィーダ型部品供給装置から供給される部品を、前記作業位置に保持された基板に装着する部品装着ヘッドと、
前記一端部に、作業者が前記フィーダ型部品供給装置にアクセスするための開口が設けられた外装パネルと
を備えた部品装着機であって、
前記直交方向における前記基板保持搬送装置と前記フィーダ型部品供給装置との間に、部品トレイを配置可能とされ、前記開口とは別に、前記搬送方向の一端部において、前記外装パネルに、作業者が前記部品トレイにアクセスするための第2の開口が設けられ
前記第2の開口は、前記外装パネルの前記直交方向の中心に対して、一方の側に設けられており、
前記基板保持搬送装置は、固定板と、前記固定板に対して前記一方の側に設けられた可動板とからなる一対の支持板を備え、前記直交方向の幅を変更可能とされ、前記可動板が前記固定板に近づけられることにより前記基板保持搬送装置が前記直交方向の幅が小さくされた状態において、前記可動板が前記固定板に近づけられたことにより設けられたスペースに前記部品トレイを配置可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明の部品装着機によれば、基板保持搬送装置とフィーダ型部品供給装置との間に部品トレイが配置可能とされ、部品トレイが配置された状態において、前記第2の開口から、例えば、その部品トレイの交換等のその部品トレイへのアクセスが簡単に行える。つまり、簡便な構造によって、フィーダ型部品供給装置の配置数を減らすことなく、部品トレイからの部品の供給が可能とされているのである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の部品装着機の正面からの外観図である。
図2】実施例の部品装着機を、正面側の外装パネルを外した状態における正面図である。
図3】実施例の部品装着機におけるフィーダ型部品供給装置および部品トレイの一般的な配置を説明するための図である。
図4】部品トレイを基板保持搬送装置とフィーダ型部品供給装置との間の中間位置に配置した状態(トレイ中間配置状態)とされた実施例の部品装着機を示す正面図である。
図5】トレイ中間配置状態とされた実施例の部品装着機を別の視点から見た斜視図である。
図6】中間位置に配置された部品トレイにアクセスするための開口を説明するための図である。
図7】中間位置に配置された部品トレイに作業者がアクセスする様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例である部品装着機を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【実施例
【0010】
図1に示す実施例の部品装着機10は、いわゆるXYロボット型の部品装着機であり、一般的な構造のものであるため、本発明との関連の小さな部分の説明については、簡単に行う。正面側の外装パネル12を外した状態を示す図2を参照して説明すれば、部品装着機10は、ベース14と、ベース14上に配置された基板保持搬送装置16と、左右方向における両端部の各々においてベース14に配置されるフィーダ型部品供給装置(以下、「部品フィーダ」という場合がある)18と、部品を保持離脱することによって部品フィーダから供給される部品を基板に装着する部品装着ヘッド(以下、「装着ヘッド」と略すことがある)20と、装着ヘッド20を基板保持搬送装置16と部品フィーダ18とに亘って移動させるXYロボット型の移動装置であるヘッド移動装置22とを含んで構成されている。ちなみに、図では、右側の部品フィーダ18は記載されているが、左側の部品フィーダ18は省略されている。
【0011】
基板保持搬送装置16は、いわゆるベルトコンベア式搬送装置を主体とするものであり、左右1対の支持板24a,24bと、それら支持板24a,24bに前後方向に延びるようにそれぞれ支持された1対のコンベアベルト(図示省略)とを含んで構成される。装着作業に供される基板,装着作業が行われた基板は、それぞれ、左右の両端をコンベアベルトに受けられた状態で、基板の搬送方向である前後方向に搬入,搬出される。前後方向における中間に、当該基板に対する装着作業が行われる位置、すなわち、作業位置が設定されており、基板保持搬送装置16は、装着作業にあたって、その作業位置に基板を保持する。
【0012】
図3(a)をも参照しつつ説明すれば、部品フィーダ18は、当該部品装着機10の左右方向における両端部の各々、言い換えれば、基板搬送方向と直交する方向である直交方向における両端部の各々において、フィーダテーブル26に、複数セットされる。フィーダテーブル26がベース14に固定されることで、各部品フィーダ18がベース14に配置されることになる。ちなみに、部品装着機10では、左右方向の両端部の各々に部品フィーダ18が配置可能であるが、一端部のみ、例えば、右端部のみに部品フィーダ18が配置されるように構成されていてもよい。部品フィーダ18は、部品が整列して保持されたテープから、部品を1つずつ順次供給するものであり、テープが巻回されたリール(図示省略)を保持している。部品フィーダ18は、一般的な構造のものであるため、ここでの詳しい説明は省略する。
【0013】
装着ヘッド20は、部品を負圧にて吸着する吸着ノズルと、その吸着ノズルを昇降させるノズル昇降装置とを含む一般的な構造のものである。装着ヘッド20は、ヘッド移動装置22によって、いずれかの部品フィーダ18の上方に移動させられて、その部品フィーダ18から部品を受け取ってその部品を保持する。その後、装着ヘッド20は、ヘッド移動装置22によって、基板保持搬送装置16によって作業位置に保持されている基板の上方に移動させられ、保持している部品を、その基板に装着する。このような動作を繰り返して、1つの基板に対する装着作業を完了する。
【0014】
比較的大型の部品等を供給する際、部品フィーダ18からではなく、部品トレイに載置された状態で供給することが行われる。その場合、図3(b)に示すように、フィーダテーブル26には、部品フィーダ18の一部の代わりに、トレイステージ28がセットされる。このトレイステージ28に部品トレイが配置されることにより、部品トレイからの部品の供給が可能となる。
【0015】
しかしながら、トレイステージ28をセットした場合、フィーダテーブル26にセットされる部品フィーダ18の数が少なくなることから、1つの基板に装着する種類が制限され、当該部品装着機10では、1つの基板への部品装着作業が完遂できないことが起こり得る。
【0016】
そこで、本部品装着機10では、図4,別の視点での図5に示すように、基板保持搬送装置16と、部品フィーダ18との間に、部品トレイ30を配置することが可能とされている。詳しく言えば、基板保持搬送装置16は、装着作業に供される基板の幅(左右方向の寸法)に応じて、支持板24a,24bの間隔を変更するようにされている。具体的には、支持板24aは固定板、支持板24bは可動板とされており、基板の幅が小さい場合には、支持板24bが、支持板24aに近づけられる。そうすることで、左右方向における部品フィーダ18と基板保持搬送装置16との間にスペースができ、そのスペースにトレイステージ32が置かれ、その上に、部品トレイ30が配置される。つまり、本部品装着機10は、部品トレイ30を基板保持搬送装置16と部品フィーダ18との間の中間位置に配置した状態であるトレイ中間配置状態とされるのである。
【0017】
部品装着機10は、図2に示すように、左右の端部の各々において、外装パネル12に、図5に示すような開口34が設けられており、それら開口34は、図6に示すように、扉36によって閉じられている。この扉36は、跳ね上げ扉であり、その扉36が上方に跳ね上げられることにより、開口34は開かれる。ちなみに、図2図4図5,後に説明する図7では、扉36は記載が省略されている。部品フィーダ18の作動エラーからの回復,メンテナンス等を行う際には、作業者OPは、扉36を跳ね上げて開口34を開き、図4に示すように、その開かれた開口34から、部品フィーダ18にアクセスする。つまり、作業者OPは開口34から手を差し延ばすことによって、部品フィーダ18に対する作業を行う。
【0018】
一方で、部品トレイ30は、自身に収容されている部品が無くなったときに、部品が収容されているものと交換される。この交換も作業者OPによって行われる。図3(b)に示すように、フィーダテーブル26にセットされたトレイステージ28に載置された部品トレイ30に対する作業者OPのアクセスは、部品フィーダ18へのアクセスと同様に、開口34から行われる。
【0019】
しかしながら、基板保持搬送装置16と部品フィーダ18との間の中間位置に配置された部品トレイ30に対しては、開口34からの作業者OPのアクセスが困難である。簡単に言えば、左右方向の端部から部品トレイ30までの距離が遠過ぎて、作業者OPの手が届かないのである。
【0020】
そこで、本部品装着機10では、上記中間位置に配置された部品トレイ30へのアクセスに配慮して、基板搬送方向における一端部(具体的には、図2図4における奥側の端部であり、図6の手前側の端部)において、外装パネル12に、開口34とは別の第2の開口であるトレイ交換用窓38が設けられている。そして
そのトレイ交換用窓38に対応して、外装パネル12に、スライド扉(いわゆる引き戸である)40が設けられ、そのスライド扉40によって、トレイ交換用窓38が開閉される。ちなみに、図6(a)は、トレイ交換用窓38が閉じられた状態を、図6(b)は、トレイ交換用窓38が開かれた状態を、それぞれ示している。
【0021】
したがって、本部品装着機10では、図7に示すように、作業者OPは、部品フィーダ18に対しては、開口34を介して、中間位置に配置された部品トレイ30に対しては、トレイ交換用窓38を介して、それぞれアクセス可能とされている。つまり、本部品装着機10では、簡便な構造によって、部品フィーダ18の配置数を減らすことなく、部品トレイ30からの部品の供給が担保されているのである。
【符号の説明】
【0022】
10:部品装着機 12:外装パネル 14:ベース 16:基板保持搬送装置 18:フィーダ型部品供給装置(部品フィーダ) 20:部品装着ヘッド 22:ヘッド移動装置 24a,24b:支持板 26:フィーダテーブル 28:トレイステージ 30:部品トレイ 32:トレイステージ 34:開口 36:扉 38:トレイ交換用窓〔第2の開口〕 40:スライド扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7