(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】切替弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/087 20060101AFI20231108BHJP
F16K 27/06 20060101ALI20231108BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20231108BHJP
F16K 5/06 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
F16K11/087 Z
F16K27/06 C
F16K31/04 Z
F16K5/06 A
(21)【出願番号】P 2019177322
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 俊昭
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-148372(JP,U)
【文献】特開2009-052637(JP,A)
【文献】特開平04-321884(JP,A)
【文献】実開昭63-015365(JP,U)
【文献】特開2006-009937(JP,A)
【文献】特開2004-353846(JP,A)
【文献】特表2009-534615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00 - 5/22
F16K 11/00 -11/24
F16K 27/00 -27/12
F16J 15/16 -15/32
F16J 15/324-15/3296
F16J 15/46 -15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平流路と垂直流路を有するL型流路が形成されたボール弁体がボデー内に配置され、該ボデーの一対の側面に前記水平流路が接続される接続ポートが設けられた複数のボールバルブと、
前記複数のボールバルブの一方の側面同士の接続ポートを連通する流路を有して、前記複数のボールバルブの一対の側面を保持することによって該複数のボールバルブを連結するボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管と、を有し、
前記ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって前記複数のボールバルブを連結してバルブ本体を構成したことを特徴とする切替弁。
【請求項2】
前記バルブ本体は、2つの前記ボールバルブが前記ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって連結して構成され、
前記バルブ本体に搭載されたアクチュエータ本体内には、
前記2つのボールバルブに設けられた各ボール弁体
に篏合したステムを回転する2つの駆動軸を略180度回転可能に連結し、それぞれの駆動軸に取付けられた歯車を逆回転可能に噛合させ、この歯車同士を1個のモータで駆動可能に設けた請求項1に記載の切替弁。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の
バルブ本体は、前記複数のボールバルブが同一形状のL型流路を有して前記ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管で連結された切替弁。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の
複数のボールバルブは、それぞれに設けられたボール弁体を一対のボール弁体保持リングにより挟み込み、前記ボール弁体保持リングに形成したボール保持
球面の中央部に設けたパッキン装着溝に低弾性形状のパッキンを装着して、前記ボール弁体保持リングにより前記ボール弁体を保持しガイド摺動する無圧接触構造である切替弁。
【請求項5】
前記ボール弁体保持リングの外周面をOリングを介して外周シールし、かつ前記ボール弁体保持リングの外周に設けた固定段部を介してこのボール弁体保持リングを固定部材で固定することにより、前記ボール弁体保持リングと前記ボール弁体との間に隙間を設けた請求項4に記載の切替弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替弁に関し、詳しくは、耐久性に優れるとともに小型に構成され、主に流体圧力が真空から大気圧程度で使用されるボールバルブ式の切替弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切替弁は、配管内の流体の流れ方向を切替えて制御するために使用されており、使用目的や条件によって多くの種類や形式があるが、輸送管やプロセス配管においては、流量を確保することができるボールバルブ式の切替弁が最も使用されている。
【0003】
ボールバルブ式の切替弁としては、例えば、特許文献1に記載されている三方ボールバルブを2台接続するとともに、それぞれの三方ボールバルブに開閉操作を行うアクチュエータを搭載して構成された四方切替弁が知られている。
【0004】
また、特許文献2には、ボール弁体に2流路を形成して交差切替えを行う四方切替弁が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-130499号公報
【文献】特開2003-28323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、三方ボールバルブを2台接続し、各三方ボールバルブにボール弁体の開閉操作を行うアクチュエータを搭載した四方切替弁では、三方ボールバルブどうしを接続する配管のスペースが必要になるとともに、それぞれの三方ボールバルブにボール弁体の開閉操作を行うアクチュエータを搭載する必要があるため、四方切替弁の全体としての大型化、軽量化が困難となる。
【0007】
さらに、特許文献1の三方ボールバルブでは、弁ケースのボール弁体の挿入孔に取外し部をねじ込み、シートリングを圧縮してシートリングとボール弁体との間をシールする構造であるので、ボール弁体の開閉操作トルクの増加によりアクチュエータの大型化を招くとともに、シートリングが摩耗するため耐久性に問題がある。
【0008】
特許文献2の四方切替弁は、ボール弁体に2流路を形成しているため、流路内径を他の部分の流路内径と同じにしようとすると、ボール弁体の直径が2倍程度に大きくなり、それに伴ってバルブ全体も大きくなるとともに、ボール弁体の操作トルクも大きくなってアクチュエータが大型化し、その結果、四方切替バルブ全体の大型化を招くことになる。また、四方切替バルブの大型化を回避しようとすると、ボール弁体に形成する流路内径が小さくなり、流量が減少してしまう。
【0009】
このように、三方ボールバルブを2台接続して構成した四方切替弁であっても、また、ボール弁体に2流路を形成した四方切替弁ブであっても、従来のボールバルブ式の四方切替弁は、配管スペースが大きくなり、駆動部もバルブ1台ごとの制御が必要となり、全体としての小型化、軽量化が困難であるばかりでなく、一つのボール弁体に2つの流路を設ける構造が知られているが、流路内径を同じにするとボール弁体径が2倍程に大きくなり、駆動トルクが大きく、バルブ全体もアクチュエータも大きくなるという問題がある。
【0010】
それに加え、従来のボールバルブ式の切替弁では、シートリングを圧縮してシートリングとボール弁体との間をシールしているためにボール弁体の操作トルクが大きくなってアクチュエータの大型化を招くだけでなく、シートリングが摩耗し易くなり耐久性にも問題がある。
【0011】
このように、従来のボールバルブ式の切替弁は、小型軽量化や高耐久性が要求される装置内部の配管への使用には適していない。
【0012】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、ボールバルブを使用して流量を確保しつつ、耐久性に優れ、小型軽量に構成された切替弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、水平流路と垂直流路を有するL型流路が形成されたボール弁体がボデー内に配置され、このボデーの一対の側面に水平流路が接続される接続ポートが設けられた複数のボールバルブと、複数のボールバルブの一方の側面同士の接続ポートを連通する流路を有して、複数のボールバルブの一対の側面を保持することによってこの複数のボールバルブを連結するボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管と、を有し、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって複数のボールバルブを連結してバルブ本体を構成したことを特徴とする切替弁である。
【0014】
請求項2に係る発明は、バルブ本体は、2つのボールバルブがボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって連結して構成され、バルブ本体に搭載されたアクチュエータ本体内には、2つのボールバルブに設けられた各ボール弁体に篏合したステムを回転する2つの駆動軸を略180度回転可能に連結し、それぞれの駆動軸に取付けられた歯車を逆回転可能に噛合させ、この歯車同士を1個のモータで駆動可能に設けた切替弁である。
【0015】
請求項3に係る発明は、バルブ本体が、複数のボールバルブが同一形状のL型流路を有してボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管で連結された切替弁である。
【0016】
請求項4に係る発明は、複数のボールバルブは、それぞれに設けられたボール弁体を一対のボール弁体保持リングにより挟み込み、ボール弁体保持リングに形成したボール保持球面の中央部に設けたパッキン装着溝に低弾性形状のパッキンを装着して、ボール弁体保持リングによりボール弁体を保持しガイド摺動する無圧接触構造である切替弁である。
【0017】
請求項5に係る発明は、ボール弁体保持リングの外周面をOリングを介して外周シールし、かつボール弁体保持リングの外周に設けた固定段部を介してこのボール弁体保持リングを固定部材で固定することにより、ボール弁体保持リングとボール弁体との間に隙間を設けた切替弁である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によると、水平流路と垂直流路を有するL型流路が形成されたボール弁体がボデー内に配置され、このボデーの一対の側面に水平流路が接続される接続ポートが設けられた複数のボールバルブと、複数のボールバルブの一方の側面同士の接続ポートを連通する流路を有して、複数のボールバルブの一対の側面を保持することによってこの複数のボールバルブを連結するボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管と、を有し、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって複数のボールバルブを連結してバルブ本体を構成したので、L型流路を垂直流路周りに回転させて水平流路が接続する接続ポートを切替えることにより流路を交差切替させることができる。
【0019】
また、ボールバルブを使用して切替弁を構成しているので、流量を確保することができる。
【0020】
請求項2に係る発明によるとアクチュエータ本体内には、バルブ本体は、2つのボールバルブがボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管によって連結して構成され、バルブ本体に搭載されたアクチュエータ本体内には、2つのボールバルブに設けられた各ボール弁体に篏合したステムを回転する2つの駆動軸を略180度回転可能に連結し、それぞれの駆動軸に取付けられた歯車を逆回転可能に噛合させ、この歯車同士を1個のモータで駆動可能に設けたので、モータの駆動により、2つのボール弁体をそれぞれ逆方向に回転させ、各ボール弁体の水平流路が接続する接続ポートを切替えて、縦方向流路と横方向流路とを交差切替することができる。
【0021】
また、2つのボール弁体のステムを回転する2つの駆動軸に取付けられた歯車同士を1個のモータで駆動可能に設けたので、1個のモータで両方のボール弁体を連動させて互いに回転させることができるので、アクチュエータの所要数を削減して切替弁を小型軽量に構成することができる。このため、アクチュエータが1台で済むので、四方切替ボールバルブのコストを大幅に削減することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によると、バルブ本体が、複数のボールバルブが同一形状のL型流路を有してボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管で連結されているため、共通するボール弁体、ボデー、その他の部品を使用してバルブ本体を構成することができるので、製造コストを削減することができる。
【0023】
また、ボール弁体のボデーの組立てに必要な接続フランジと集合配管を兼ねたボール弁体設置用のフランジ一体のマニホールド配管により2つのボールバルブのボデーを連結しているので、このボール弁体設置用のフランジ一体のマニホールド配管をボデーの開放された側面に取付けるだけで集合配管を簡単に構成することができるとともに、2つのボールバルブを正確な間隔で固定保持してバルブ本体を構成することができる。
【0024】
請求項4に係る発明によると、複数のボールバルブは、それぞれに設けられたボール弁体を一対のボール弁体保持リングにより挟み込み、ボール弁体保持リングに形成したボール保持球面の中央部に設けたパッキン装着溝に低弾性形状のパッキンを装着して、ボール弁体保持リングによりボール弁体を保持しガイド摺動する無圧接触構造であるので、ボール弁体とパッキンとの間の摩擦力を極少化してボール弁体の操作トルクとパッキンの摩耗を大幅に低減させることができ、これにより、アクチュエータを小型化することができるとともに、バルブの耐久性を向上させることができる。
【0025】
請求項5に係る発明によると、ボール弁体保持リングの外周面をOリングを介して外周シールしているので、ボール弁体保持リングとボデーとの間、ボール弁体保持リングとボール弁体設置用フランジ一体のマニホールドとの間は、ボデーにボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管を取付けるボルトの締付けに影響を受けることなく、確実に外部シールすることができる。
【0026】
また、ボール弁体保持リングの外周に設けた固定段部を介してこのボール弁体保持リングをボデーとボール弁体設置用フランジ一体のマニホールドとの間に挟み込み固定部材で固定しているので、固定段部がボデー11の側面に当接すると、固定部材をそれ以上締付けてもボール弁体保持リングは当接した位置からボール弁体側に押し込まれることがないので、ボール弁体とボール保持球面との間の隙間を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の切替弁に使用する三方ボールバルブの縦断面図である。
【
図5】本発明の切替弁による縦方向の流路と横方向の流路との交差切替を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明における切替弁の一実施形態である四方交差切替弁を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明における切替弁の縦断面図であり、
図2は
図1の切替弁のA-A断面図である。
【0029】
図1及び
図2において、切替弁1は、バルブ本体2にアクチュエータ本体3を搭載して構成されている。アクチュエータ本体3は、フランジ4、5を介してバルブ本体2上に搭載されている
【0030】
バルブ本体2は、並列に配置した三方ボールバルブ6、7をボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9により連結して構成されている。
【0031】
三方ボールバルブ6と三方ボールバルブ7は同一の構成であるので、三方ボールバルブ6により構成を説明し、三方ボールバルブ7で三方ボールバルブ6と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図1に示すように、三方ボールバルブ6は、両側面が開放され
たボデー11の中央にボール弁体12を配置している。ボール弁体12は一対のボール弁体保持リング13、13により挟み込まれており、ボール弁体保持リング13、13は、ボデー11の両側面に固定部材である固定ねじ14により取付けられたボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド
配管8、9との間に挟み込まれて固定されている。
【0033】
ボデー11は、上面にボール弁体12と勘合したステム16を挿通させる挿通孔17が、下面に縦方向流路を接続する接続ポート18が設けられており、三方ボールバルブ6の接続ポート18には図示しない縦方向の流路19が、三方ボールバルブ7の接続ポート18には図示しない縦方向の流路20が接続される。
【0034】
ボール弁体12には、
図1に示すように、L型に水平流路22と垂直流路23が形成され、回転可能にステム16に嵌合されており、垂直流路23の中心を回転軸として回転して水平流路22が接続する流路を切替えることができる。また、ステム16には、後述するパッキン28と同材質のOリング24を設けた外部シール構造でボデー11とシールされ、フッ素ベースのグリスを塗布している。
【0035】
ボール弁体保持リング13は、機械的強度、耐摩耗性及び耐熱性等に優れるPEEK(Poly Ether Ether Ketone)製であり、ボール保持球面26の中央部に流路と略45度の角度でパッキン溝27を形成し、ゴム又はパーフルオロエラストマー材で形成されたパッキン28を設けている。ボール保持球面26は、ボール弁体保持リング13、13でボール弁体12を挟み込んだ際に、ボール保持球面26とボール弁体12との間にわずかな隙間が生じるように形成されている。
【0036】
また、ボール弁体保持リング13には固定段部13aが形成されており、ボデー11の両側面とボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9との間にボール弁体保持リング13を挟み込んで固定した際に、この固定段部13aがボデー11の側面に当接すると、それ以上固定ねじ14を締付けてもボール弁体保持リング13は当接した位置からボール弁体12側に押し込まれることがないので、ボール弁体12とボール保持球面26との間のわずかな隙間を確実に維持することができる。
【0037】
パッキン28は、樹脂材と比較して低弾性材であるゴム又はパーフルオロエラストマー材で形成されているため、ボール弁体12とパッキン28との間の摩擦トルクを極少化している。また、パッキン28を耐熱性、耐薬品性に優れたパーフルオロエラストマー材で形成した場合には、三方ボールバルブ6、7の耐久性、信頼性をより一層向上させることができる。
【0038】
以上のように、三方ボールバルブ6、7は、ボール弁体保持リング13のボール保持球面26とボール弁体12との間には僅かな隙間を設けるようにするとともに、低弾性で摩擦トルクが小さい材質で形成されたパッキン28がボール弁体12を保持しガイド摺動する無圧接触構造によりボール弁体12をボデー11内に配置しているので、ボール弁体12の操作トルクを大幅に軽減し、さらにアクチュエータを小型化することができる。
【0039】
また、ボール弁体保持リング13とボデー11との間、ボール弁体保持リング13とボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド8、9との間は、パッキン28と同材質のOリング29によりシールされているため、ボール弁体12とボール弁体保持リング13のボール保持球面26との間に僅かな隙間を設けていても、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9の締付けに影響なく確実に外部シールすることができる。
【0040】
三方ボールバルブ6、7は以上のように構成されているため、主に真空から大気圧程度までの流体圧力について好適に使用することができる。
【0041】
ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9は、
図3に示すように、ボデー11との間にボール弁体保持リング13を挟み込むためのフランジと、三方ボールバルブ6、7のボデー11、11の同じ側の側面に形成された接続ポート31、33、並びに接続ポート32、34を連結するマニホールド配管を一体に構成したものであり、アルミ合金等の金属材で製造される。
【0042】
ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9で三方ボールバルブ6、7の同じ側の側面に形成された接続ポート31と接続ポート33、並びに接続ポート32と接続ポート34を連結することにより、接続ポート31、33と連通した横方の向流路36と、接続ポート32、34と連通した横方向の流路37を簡単に構成することができる。
【0043】
また、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9はアルミ合金等の金属材で製造されていて剛性を有するため、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管8、9を固定ねじ14により三方ボールバルブ6のボデー11及び三方ボールバルブ7のボデー11に取付けることにより、アクチュエータ本体3に対する三方ボールバルブ6、7の位置係を確実に保持することができる。
【0044】
アクチュエータ本体3は、三方ボールバルブ6、7のボール弁体12、12を回転させ、ボール弁体12、12に形成した水平流路22、22が接続する接続ポートを切替えるための駆動装置である。アクチュエータ本体3は、三方ボールバルブ6のボール弁体12と嵌合するステム16と一体の駆動軸38と、三方ボールバルブ7のボール弁体12と嵌合するステム16と一体の駆動軸39とを備え、駆動軸38、39の上端部にはピッチ円半径が同一の平歯車41、42が取付けられている。
【0045】
平歯車41と平歯車42とは、噛み合った状態で駆動軸38、39の上端部に取付けられているため、駆動軸38と駆動軸39は互いに逆方向に回転するように連結されていることになり、駆動軸38と嵌合している三方ボールバルブ6のボール弁体12と、駆動軸39と嵌合している三方ボールバルブ7のボール弁体12とは互いに逆方向に回転することになる。
【0046】
図4に示すように、平歯車41に噛み合った平歯車42には、さらにモータ43に取付けられた平歯車44が噛み合ってアクチュエータ本体3の歯車列が構成されている。
【0047】
このように、本発明の切替弁のアクチュエータ本体3においては、1個のモータにより2個の三方ボールバルブのボール弁体を互いに逆方向に回転させて流路の交差切替えを行うことができるが、これは、無圧接触構造によりボール弁体をボデー内に支持することにより、ボール弁体の操作トルクを極少化したことによる効果である。
【0048】
また、モータの数を1個にしただけでなく、
図2に示すように、歯車列方向の三方ボールバルブ7のボデー11の背面にモータ43を配置し、三方ボールバルブ6、7の上方にモータ43が突出しないように構成し、切替弁の小型化を図っている。
【0049】
フランジ4、5は、バルブ本体2の上面にアクチュエータ本体3を直付けするためのアダプターであり、アルミ合金等の金属材で製造される。以下、三方ボールバルブ6、7の上面にアクチュエータ本体3を直付け搭載する構成について説明する。
【0050】
本発明の切替弁では、アクチュエータ本体の取付け用部材を用いることなく、上述した様に小型化したアクチュエータ本体をバルブ本体の上面に直付け搭載可能に構成することにより、切替弁の更なる小型化を図っている。
【0051】
図1及び
図2に示すように、アクチュエータ本体3はフランジ4、5を介して三方ボールバルブ6、7の上面に搭載されている。
図2において、ボルト46は、アクチュエータ本体3とフランジ4、5を三方ボールバルブ6、7の上面に固定するためのボルトである。
【0052】
図4に示すように、駆動軸38、39の上端部に取付けられた平歯車41、42には複数の穴48が設けられており、これらの穴は、アクチュエータ本体3の上方からボルト46を視認することができるとともに、ボルト46を着脱するための工具をこれらの穴を挿通させてボルト46に到達させることが可能な位置及び大きさで開口されている。
【0053】
このように構成されているため、三方ボールバルブ6、7にアクチュエータ本体3を取付ける際には、アクチュエータ本体3を駆動軸38、39とボール弁体12、12を嵌合させるようフランジ4、5を介して三方ボールバルブ6、7の上面に載置した後、平歯車41、42に設けた穴48にボルト46を挿通させ、工具でボルト46を螺着することでアクチュエータ本体3をバルブ本体2に取付けることができる。
【0054】
また、何らかの理由によりアクチュエータ本体3を取り外す必要が生じた際には、平歯車41、42に設けた穴48に工具を挿通させてボルト46を取り外すことにより、簡単にアクチュエータ本体3をバルブ本体2から取り外すことができる。
【0055】
以上のように、本発明の切替弁では、上方からアクチュエータの着脱作業を行うことができるように構成しているので、作業性に優れている。
【0056】
次に、本発明の切替弁の作用について説明する。切替弁1を組立てる際には、
図3に示すように、三方ボールバルブ6の垂直流路23と三方ボールバルブ7の垂直流路23を並列状態に配置するとともに、三方ボールバルブ6の水平流路22の向き(ボール弁体12に水平流路22が開口している方向)と、三方ボールバルブ7の水平流路22の向きが反対方向となるように三方ボールバルブ6と三方ボールバルブ7を配置する。
【0057】
このように、三方ボールバルブ6の水平流路22の向きと三方ボールバルブ7の水平流路22の向きを反対に配置すると、三方ボールバルブ6の駆動軸38と三方ボールバルブ7の駆動軸39は互いに逆方向に回転するように連結されているため、モータ43の作動に伴い、三方ボールバルブ6のボール弁体12と三方ボールバルブ7のボール弁体12は互いに逆方向に180度回転する。
【0058】
すなわち、
図3に示すように、当初、三方ボールバルブ6のボール弁体12の形成した水平流路22は横方向の流路36と連通し、三方ボールバルブ7のボール弁体12の形成した水平流路22は横方向の流路37と連通した状態から、三方ボールバルブ6のボール弁体12と三方ボールバルブ7のボール弁体12が互いに逆方向に180度回転すると、三方ボールバルブ6のボール弁体12の形成した水平流路22は横方向の流路37と連通し、三方ボールバルブ7のボール弁体12の形成した水平流路22は横方向の流路36と連通する状態となる。
【0059】
このとき、三方ボールバルブ6のボール弁体12は垂直流路23の中心を軸に回転し、また三方ボールバルブ7のボール弁体12は垂直流路23の中心を軸に回転するため、三方ボールバルブ6の接続ポート18と三方ボールバルブ7の接続ポート18に接続する流路は切替わらないので、縦方向の流路19、20と横方向の流路36、37とが交差切替される。
【0060】
切替弁1による交差切替の状況を模式的に示したが
図5である。(a)は交差切替え前の状態を示しており、三方ボールバルブ6の水平流路22は横方向の流路36に連通するとともに三方ボールバルブ7の水平流路22は横方向の流路37に連通し、
図3に示す状態と同じである。このとき、流体は、図中の矢印が示すように、縦方向の流路19から横方向流路36へ流れるとともに、縦方向の流路20から横方向の流路37へ流れている。
【0061】
(b)は、交差切替え後の状態を示しており、三方ボールバルブ6の水平流路22は横方向の流路37に連通するとともに三方ボールバルブ7の水平流路22は横方向の流路36に連通し、流体の流れは、図中の矢印が示すように、縦方向の流路19から横方向の流路37へ、また縦方向の流路20から横方向の流路36へと切替わっている。
【0062】
以上のとおり、本発明の切替弁は、ボール弁体を無圧接触構造で保持し、ボール弁体とパッキンとの間の摩擦トルクを極少化した三方ボールバルブ2個を並列に配置して、1個のモータを備えたアクチュエータで2個の三方ボールバルブを作動させて流路の交差切替ができるようにしたので、流量を確保しつつ、装置全体を小型軽量に構成されるとともに、高い耐久性を有している。
【0063】
また、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管により、同一形状ボデーのボールバルブを複数接続すると同時に配管作業が完成するようにしているので、部品数を削減を図るとともに、組立時の作業性を大きく向上させている。
【0064】
これらに加え、アクチュエータ本体をバルブ本体の上面に直付け搭載し、アクチュエータ本体の上方からアクチュエータの着脱作業を可能な構成にしているので、アクチュエータ本体のメンテナンス作業等が極めて容易になっている。
【0065】
以上の説明は、2個の三方ボールバルブを並列に配置したバルブ本体により四方交差切替弁を構成する場合について行ったが、本発明は、3個以上の二方ボールバルブや三方ボールバルブを並列に配置してバルブ本体を構成し、四方交差切替弁以外の切替弁を構成する場合についても適用することができる。
【0066】
本発明の切替弁は、小型軽量に構成されるとともに高い耐久性を有するので、これらの特性が要求される装置内部の配管への使用に好適である。また、本発明の切替弁に用いたボール弁体の無圧接触構造、ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管及びアクチュエータ本体は、四方交差切替ボールバルブ以外にも適用可能な拡張性を有している。
【符号の説明】
【0067】
1 切替弁
2 バルブ本体、
3 アクチュエータ本体
4、5 フランジ
6、7 三方バルブ
8、9 ボール弁体設置用フランジ一体のマニホールド配管
11 ボデー
12 ボール弁体
13 ボール弁体保持リング
14 固定ねじ
16 ステム
17 挿通孔
22 水平流路
23 垂直流路
24 Oリング
26 ボール保持球面
28 パッキン