(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/02 20060101AFI20231108BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20231108BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A47C7/02 C
A47C7/14 D
A47C7/00 Z
(21)【出願番号】P 2019195352
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕一郎
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198901(JP,A)
【文献】特開2006-110003(JP,A)
【文献】特開2019-063227(JP,A)
【文献】特開2015-093028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0156148(US,A1)
【文献】特開2017-217377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/02
A47C 7/14
A47C 7/00
A47C 4/30
A47C 4/28
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者が着座可能な着座面を有し弾性変形可能なシート状の座面構成部材と、椅子の幅方向に離間し前記座面構成部材が架設される一対の杆材と、を有する座と、
前記幅方向に離間し前記座を前記幅方向に沿う軸の回りに回動可能に支持する一対の座支持部を有する支持構造体と、を備え、
前記座は、前記杆材から前記座支持部に向かって突出し前記軸の回りに回動可能に支持される被支持部を備え、
前記被支持部は、前記軸を挿通可能に前記幅方向の外側に開口する挿通孔を有し、
前記杆材は、前記幅方向の外側に開口し、前記座面構成部材を係合可能な係合溝を有
し、
前記杆材は、1部材からなる座枠を構成しており、前記係合溝は、前記杆材自体に形成されていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
着座者が着座可能な着座面を有し弾性変形可能なシート状の座面構成部材と、椅子の幅方向に離間し前記座面構成部材が架設される一対の杆材と、を有する座と、
前記幅方向に離間し前記座を前記幅方向に沿う軸の回りに回動可能に支持する一対の座支持部を有する支持構造体と、を備え、
前記座は、前記杆材から前記座支持部に向かって突出し前記軸の回りに回動可能に支持される被支持部を備え、
前記被支持部は、前記軸を挿通可能に前記幅方向の外側に開口する挿通孔を有し、
前記杆材は、前記幅方向の外側に開口し、前記座面構成部材を係合可能な係合溝を有
し、
前記杆材は、前記座面構成部材に対して前記幅方向の外側へ張力を付与するように前記幅方向の外側に向かって突出する係合爪を備え、
前記杆材は、前記係合爪の突出端とは反対側の端部に連結され、前記杆材が延びる方向と直交する断面視で前記係合爪よりも断面積が大きい補強部を更に備え、
前記座は、前記杆材の前記幅方向の内側に配置され、前記補強部を前記幅方向の内側及び前記着座面の側から覆うカバーを更に備えることを特徴とする椅子。
【請求項3】
前記杆材は、前記幅方向と交差する方向に延びており、
前記係合溝は、前記杆材が延びる方向にわたって形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の椅子。
【請求項4】
前記杆材は、前記座面構成部材に対して前記幅方向の外側へ張力を付与するように前記幅方向の外側に向かって突出する係合爪を備えることを特徴とする請求項
1に記載の椅子。
【請求項5】
前記杆材は、前記係合爪の突出端とは反対側の端部に連結され、前記杆材が延びる方向と直交する断面視で前記係合爪よりも断面積が大きい補強部を更に備えることを特徴とする請求項
4に記載の椅子。
【請求項6】
前記座は、前記杆材の前記幅方向の内側に配置され、前記補強部を前記幅方向の内側及び前記着座面の側から覆うカバーを更に備えることを特徴とする請求項
5に記載の椅子。
【請求項7】
前記カバーは、前記杆材の前記着座面の側の面と連続する外面を有し、
前記杆材が延びる方向と直交する断面視で、前記カバーの前記外面は、前記幅方向の内側に向かうに従って前記着座面とは反対側に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項
2又は6に記載の椅子。
【請求項8】
前記杆材の前記係合溝は、前記幅方向から見て前記被支持部と重ならない範囲に設けられ、
前記座は、前記幅方向から見て前記被支持部と重なる範囲を含む範囲で前記被支持部に対して前記幅方向の内側に設けられ前記杆材の前記係合溝と連続する第2係合溝を有し、前記杆材に取り付けられる溝形成部材を更に備えることを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子において、着座者が着座可能な着座面を有し弾性変形可能なシート状の座面構成部材と、椅子の幅方向に離間し座面構成部材が架設される一対の杆材と、を有する座と、幅方向に離間し座を幅方向に沿う軸の回りに回動可能に支持する一対の座支持部を有する支持構造体と、を備えるものが公知である。
例えば、特許文献1では、座体は、背凭れの一対の背側連結片に対応する一対の座側固定片を備える。座体は、座側固定片に左右方向に延びる軸体を通して背側連結片に連結されることにより、軸体の回りに回動可能とされている。座体は、平面視で四角形の枠体に囲まれた領域に、着座面となるシート状部材が張り掛けられたものである。枠体は、表側枠体と裏側枠体とが表裏方向に重ねられたものである。シート状部材は、表側枠体に張り掛けられている。
このように枠体にシート状の座面構成部材を張設して構成される座においては、座面構成部材の周縁部を枠体の係合溝に係合させることにより、座面構成部材を枠体に張設するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、係合溝を開口させるための金型の抜き方向と、軸体の挿通孔を開口させるための金型の抜き方向とが異なると、同じ金型によって一度に成型できない場合がある。この場合、成型工程が一工程増えるため、座を容易に成形する上で改善の余地があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、座を容易に成形することが可能な椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る椅子は、着座者が着座可能な着座面を有し弾性変形可能なシート状の座面構成部材と、椅子の幅方向に離間し前記座面構成部材が架設される一対の杆材と、を有する座と、前記幅方向に離間し前記座を前記幅方向に沿う軸の回りに回動可能に支持する一対の座支持部を有する支持構造体と、を備え、前記座は、前記杆材から前記座支持部に向かって突出し前記軸の回りに回動可能に支持される被支持部を備え、前記被支持部は、前記軸を挿通可能に前記幅方向の外側に開口する挿通孔を有し、前記杆材は、前記幅方向の外側に開口し、前記座面構成部材を係合可能な係合溝を有し、前記杆材は、1部材からなる座枠を構成しており、前記係合溝は、前記杆材自体に形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る椅子は、着座者が着座可能な着座面を有し弾性変形可能なシート状の座面構成部材と、椅子の幅方向に離間し前記座面構成部材が架設される一対の杆材と、を有する座と、前記幅方向に離間し前記座を前記幅方向に沿う軸の回りに回動可能に支持する一対の座支持部を有する支持構造体と、を備え、前記座は、前記杆材から前記座支持部に向かって突出し前記軸の回りに回動可能に支持される被支持部を備え、前記被支持部は、前記軸を挿通可能に前記幅方向の外側に開口する挿通孔を有し、前記杆材は、前記幅方向の外側に開口し、前記座面構成部材を係合可能な係合溝を有し、前記杆材は、前記座面構成部材に対して前記幅方向の外側へ張力を付与するように前記幅方向の外側に向かって突出する係合爪を備え、前記杆材は、前記係合爪の突出端とは反対側の端部に連結され、前記杆材が延びる方向と直交する断面視で前記係合爪よりも断面積が大きい補強部を更に備え、前記座は、前記杆材の前記幅方向の内側に配置され、前記補強部を前記幅方向の内側及び前記着座面の側から覆うカバーを更に備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、挿通孔及び係合溝が同じ幅方向の外側に開口することで、金型を同一方向にスライドさせることにより、挿通孔及び係合溝を同じ金型によって一度に成型することができる。したがって、座を容易に成形することができる。
【0008】
本発明の一態様において、前記杆材は、前記幅方向と交差する方向に延びており、前記係合溝は、前記杆材が延びる方向にわたって形成されていてもよい。
この構成によれば、座面構成部材の縁部を杆材が延びる方向にわたる係合溝に係合することにより、座面構成部材には取付用の孔等を設ける必要がないため、座面構成部材の強度を維持するとともに、体裁をよくすることができる。
【0009】
本発明の一態様において、前記杆材は、前記座面構成部材に対して前記幅方向の外側へ張力を付与するように前記幅方向の外側に向かって突出する係合爪を備えてもよい。
この構成によれば、座面構成部材の張力(幅方向の内側への張力)によって、座の高さ方向への係合爪の弾性変形を生じさせることができるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えることができる。
【0010】
本発明の一態様において、前記杆材は、前記係合爪の突出端とは反対側の端部に連結され、前記杆材が延びる方向と直交する断面視で前記係合爪よりも断面積が大きい補強部を更に備えてもよい。
この構成によれば、杆材は座面構成部材が架設されるという機能上、杆材には大きな剛性が要求されるが、補強部が杆材の延びる方向と直交する断面視で係合爪よりも断面積が大きいことにより、杆材の剛性を確保することができる。加えて、補強部は係合爪よりも高い剛性を有することにより、座の高さ方向への係合爪の弾性変形を生じさせやすくなるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えやすい。
【0011】
本発明の一態様において、前記座は、前記杆材の前記幅方向の内側に配置され、前記補強部を前記幅方向の内側及び前記着座面の側から覆うカバーを更に備えてもよい。
この構成によれば、補強部がカバーによって隠れるため、外観性を向上させることができる。加えて、カバーを杆材の補強部材として機能させることにより、杆材の剛性を確保することができる。
【0012】
本発明の一態様において、前記カバーは、前記杆材の前記着座面の側の面と連続する外面を有し、前記杆材が延びる方向と直交する断面視で、前記カバーの前記外面は、前記幅方向の内側に向かうに従って前記着座面とは反対側に位置するように傾斜していてもよい。
この構成によれば、着座者の着座時に座面構成部材の幅方向の外側部をカバーの外面の傾斜に沿って着座面とは反対側に変位させやすくなるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えやすい。
【0013】
本発明の一態様において、前記杆材の前記係合溝は、前記幅方向から見て前記被支持部と重ならない範囲に設けられ、前記座は、前記幅方向から見て前記被支持部と重なる範囲を含む範囲で前記被支持部に対して前記幅方向の内側に設けられ前記杆材の前記係合溝と連続する第2係合溝を有し、前記杆材に取り付けられる溝形成部材を更に備えていてもよい。
この構成によれば、杆材の係合溝が幅方向から見て被支持部とは重ならない位置に開口することで、杆材の係合溝を開口するための金型の抜き方向に被支持部が位置しない。そのため、金型を同一方向にスライドさせることにより、杆材の係合溝及び被支持部を同じ金型によって一度に成型することができる。したがって、座を容易に成形することができる。
加えて、杆材に取り付けられた溝形成部材が杆材の係合溝と連続する第2係合溝を有することにより、座面構成部材の周縁部を杆材の係合溝及び溝形成部材の第2係合溝に沿って係合させることができるため、座面構成部材を迅速に張設することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、座を容易に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】実施形態に係る座の右側後部の角部の上面図。
【
図8】
図7においてアームカバーを取り外した状態の上面図。
【
図9】
図8において溝形成部材を取り外した状態の上面図。
【
図13】
図7のXIII-XIII断面を含む左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図において、同一構成については同一の符号を付す。実施形態においては、椅子の一例として、着座者が着座可能な着座面を有する座と、座を着座者が着座可能な使用状態と使用状態に対して起立した収納状態との間で椅子の幅方向に沿う軸回りに回動可能に支持する支持構造体と、を備える椅子を挙げて説明する。実施形態において、椅子が設置される設置面は、水平面とする。
【0017】
[椅子]
図1に示すように、椅子1は、座2と、支持構造体3と、背凭れ4と、肘掛け5と、を備える。座2、背凭れ4及び肘掛け5は、支持構造体3に支持されている。
図1~
図5は、座2の使用状態を示している。
図6は、座2の収納状態を示している。
【0018】
以下の説明においては、前後上下左右等の向きは、特に記載がなければ、水平面に設置した椅子1の使用状態の座2に、正規姿勢で着座した着座者の正面側を「前」、その反対側を「後」として説明する。つまり、
図2に示す紙面に直交する方向を「前後方向(椅子1の奥行方向)」とする。また、水平面の法線方向(鉛直方向)を「上下方向(椅子1の高さ方向)」とする。また、前後方向および上下方向のそれぞれに直交する方向を「左右方向(椅子1の幅方向)」とする。図中において、前方を矢印FR、上方を矢印UP、左方を矢印LHでそれぞれ示している。
【0019】
[座]
図1に示すように、座2は、着座者が着座可能な着座面10aを有する張地10(座面構成部材)と、張地10が張設される矩形枠状の座枠11と、左右方向に延びる座側連結部材12と、軸9(
図12参照)の回りに回動可能に支持される被支持部13と、座枠11の内周を覆う内周カバー50(カバー、
図4参照)と、被支持部13を覆うアームカバー60と、被支持部13と対向する範囲に配置された溝形成部材70(
図4参照)と、を備える。座2は、使用状態において座側連結部材12が脚側連結部材31に当接している。例えば、座枠11及び座側連結部材12は、同一の部材(例えば樹脂部材)で一体に形成されている。
【0020】
[張地]
張地10は、伸縮可能(弾性変形可能)なシート状をなしている。張地10の外周部は、張地10が前後方向及び左右方向に引っ張られた状態で、座枠11に支持されている。張地10のうち座枠11よりも内側の部分(着座面10a)は、上下方向に弾性変形可能とされている。
【0021】
例えば、張地10は、メッシュ材料によって伸縮可能に形成されている。
図14に示すように、張地10の周縁部10bは、袋状に形成されている。張地10の周縁部10bの内部には、縁材14が挿入されて縫着されている。縁材14は、弾性を有する合成樹脂製の細長い平板状に形成されている。張地10は、左右方向外側に延びて周縁部10bが係合爪20で下方に折り返されている。係合爪20で下方に折り返された周縁部10bは、左右方向内側へ延び、係合溝15aへ挿入され、係合溝15a内で係合されている。
【0022】
[座枠]
図4に示すように、座枠11は、左右方向に離間する一対の杆材15と、前後方向に離間する一対の横杆16A,16Bと、を備える。座枠11の角部には、溝形成部材70が取り付けられる被取付部17が形成されている(
図9参照)。
【0023】
被取付部17は、座枠11の角部において係合爪20の上面よりも低く凹んでいる(
図12参照)。
図12に示すように、被取付部17は、被支持部13の設置面(被支持部13の下端位置)と略同じ高さを有する。被取付部17には、ボルト73(締結部材、
図13参照)を螺着可能な雌ねじ部18A~18Cが形成されている(
図9参照)。
図9に示すように、雌ねじ部18A~18Cは、前後方向に間隔をあけて複数(例えば本実施形態では3つ)配置されている。雌ねじ部18A~18Cは、それぞれ上方に開口している。
【0024】
図4に示すように、杆材15は、前後方向に延びている。左右一対の杆材15同士は、座側連結部材12によって連結されている。左右一対の杆材15には、張地10(
図1参照)の左右方向の端部が支持されている。伸長状態にある張地10の端部が杆材15に脱落不能に支持されることで、張地10は一対の杆材15の間に張設されている(
図14参照)。
横杆16A,16Bは、左右方向に延びている。前後一対の横杆16A,16Bは、左右一対の杆材15の前端部同士を連結する第1横杆16Aと、左右一対の杆材15の後端部同士を連結する第2横杆16B(幅方向延在部)と、である。前後一対の横杆16A,16Bには、張地10(
図1参照)の前後方向の端部が支持されている。
【0025】
図10に示すように、杆材15は、張地10を係合可能に左右方向の外側に開口する係合溝(以下「第1係合溝15a」ともいう。)を有する。
図3に示すように、第1係合溝15aは、杆材15が延びる方向にわたって形成されている。第1係合溝15aは、張地10の周縁部10bが前後方向(杆材15が延びる方向)に沿って配される範囲全体にわたって形成されている。第1係合溝15aは、左右方向から見て被支持部13とは重ならない範囲で左右方向の外側に開口している。すなわち、杆材15は、左右方向から見て被支持部13と重なる部位には第1係合溝15aを有しない。
【0026】
図10に示すように、杆材15は、張地10の端部を係合する係合爪20と、杆材15が延びる方向と直交する断面視で係合爪20よりも断面積が大きい補強部21と、を備える。例えば、係合爪20及び補強部21は、同一の部材(例えば、樹脂部材)で一体に形成されている。
【0027】
[係合爪]
係合爪20は、張地10に対して左右方向の外側へ張力を付与するように左右方向の外側へ向かって突出している(
図14参照)。係合爪20は、補強部21の上面から上方に起立する起立部20aと、起立部20aの上端から左右方向の外側へ向かって突出する突出部20bと、を備える。杆材15が延びる方向の断面視で、突出部20bの上面は、左右方向の内側に向かうに従って下側に位置するように傾斜している。例えば、
図14に示すように、係合爪20は、張地10の左右方向の内側への張力によって、矢印方向への弾性変形を生じる。
【0028】
[補強部]
補強部21は、係合爪20の突出端とは反対側の端部に連結されている。補強部21は、係合爪20の起立部20aの下端部に連結されている。補強部21の左右方向の長さは、杆材15が延びる方向の断面視で係合爪20の左右方向の長さよりも大きい。補強部21の上下方向の長さは、杆材15が延びる方向の断面視で係合爪20の上下方向の長さよりも大きい。
【0029】
補強部21の上面の左右方向の外端は、係合爪20の突出端よりも左右方向の外側に位置している。補強部21の左右方向の側面は、断面視で下側に向かうに従って左右方向の内側に位置するように傾斜している。
【0030】
補強部21は、上下方向において係合爪20よりも大きい厚みを有する厚肉部22と、上下方向において厚肉部22よりも小さい厚みを有する板状部23と、板状部23から上方に突出するリブ24A,24Bと、を備える。
厚肉部22は、補強部21の左右方向の外側部を構成している。
板状部23は、厚肉部22の下端部から左右方向の内側に向かって延びている。
【0031】
リブ24A,24Bは、左右方向に厚みを有する第1リブ24Aと、前後方向に厚みを有する第2リブ24Bと、である。第1リブ24A及び第2リブ24Bの厚みは、板状部23の厚みと略同じ大きさとすることが好ましい。
【0032】
第1リブ24Aは、板状部23の左右方向の中央部から上方に起立している。第1リブ24Aは、杆材15が延びる方向にわたって形成されている。第1リブ24Aの高さは、杆材15が延びる方向にわたって略同じ高さとされている。
第2リブ24Bは、厚肉部22と第1リブ24Aとの間に形成されている。第2リブ24Bは、杆材15が延びる方向に間隔をあけて複数配置されている。複数の第2リブ24Bの高さは、それぞれ略同じ高さとされている。第2リブ24Bの上部には、内周カバー50の下方突出部53A,53Bに対応して窪む凹部25が形成されている。
【0033】
[被支持部]
図12に示すように、被支持部13は、杆材15から座支持部37に向かって突出している。被支持部13は、座枠11の角部に設けられている(
図9参照)。被支持部13は、左右一対の杆材15と第2横杆16Bとの連結部に設けられている(
図4参照)。被支持部13は、座2の使用状態で上方に起立している。
図3の側面視で、被支持部13の前後方向の長さは、下側に向かうに従って徐々に大きくなっている。
図9の上面視で、被支持部13の左右方向の長さは、後側に向かうに従って徐々に大きくなっている。被支持部13は、軸9を挿通可能に左右方向の外側に開口する挿通孔13aを有する(
図12参照)。
【0034】
図12に示すように、被支持部13は、アームカバー60の係合凸部63を係合可能に左右方向の内側に開口する係合凹部13bを有する。係合凹部13bは、被支持部13の左右方向の内側面の下部から左右方向の外側に窪んでいる。被支持部13(係合凹部13bよりも上側の部分)の左右方向の内側面は、下側に向かうに従って左右方向の内側に位置するように傾斜している。
【0035】
[内周カバー]
図10に示すように、内周カバー50は、座枠11に着脱可能に取り付けられている。
図4の上面視で、内周カバー50は、座枠11の内周に沿う枠状をなしている。内周カバー50は、杆材15の左右方向の内側に配置されている。
図10に示すように、内周カバー50は、杆材15の補強部21を左右方向の内側及び上側から覆っている。内周カバー50は、補強部21のリブ24A,24Bが外部に露出しないように杆材15を覆っている。内周カバー50は、杆材15(係合爪20)の上面と連続する外面50fを有する。
図10の断面視で、内周カバー50の外面50fは、左右方向の内側に向かうに従って下側に位置するように傾斜している。
【0036】
内周カバー50は、上下方向に厚みを有する第1覆い部51と、左右方向に厚みを有する第2覆い部52と、第1覆い部51から下方に突出する下方突出部53A,53Bと、を備える。例えば、第1覆い部51、第2覆い部52及び下方突出部53A,53Bは、同一の部材(例えば、樹脂部材)で一体に形成されている。
【0037】
第1覆い部51は、内周カバー50の上面を形成している。第1覆い部51の上面は、係合爪20の上面と連続している。第1覆い部51は、断面視で左右方向の内側に向かうに従って下側に位置するように傾斜している。
第2覆い部52は、内周カバー50の左右方向の内側面を形成している。第2覆い部52は、第1覆い部51の左右方向の内端から板状部23の左右方向の内端に向かって下方に突出している。
【0038】
下方突出部53A,53Bは、左右方向に間隔をあけて一対配置されている。一対の下方突出部53A,53Bは、第1覆い部51の左右方向の外端部から下方に突出する第1突出部53Aと、第1覆い部51の左右方向の内端部から下方に突出する第2突出部53Bと、である。
【0039】
第1突出部53Aは、左右方向に厚みを有する。第1突出部53Aは、杆材15が延びる方向にわたって形成されている。第1突出部53Aの突出高さは、杆材15が延びる方向にわたって略同じ高さとされている。
第2突出部53Bは、第1リブ24Aよりも左右方向の内側に配置されている。第2突出部53Bは、杆材15が延びる方向に間隔をあけて複数配置されている。第2突出部53Bの突出高さは、第1突出部53Aの突出高さよりも大きい。第2突出部53Bは、杆材15の凸部19が係合可能な凹部54を有する。
【0040】
[アームカバー]
図12に示すように、アームカバー60は、被支持部13に着脱可能に取り付けられている。アームカバー60は、軸9の挿通孔13aと重ならないように被支持部13を覆っている。アームカバー60は、被支持部13の前面から被支持部13の後面にわたって連続する第1カバー部61と、被支持部13を左右方向の内方から覆う第2カバー部62と、を備える(
図7参照)。例えば、第1カバー部61及び第2カバー部62は、同一の部材(例えば、樹脂部材)で一体に形成されている。
【0041】
図3に示すように、第1カバー部61の前部は、被支持部13を前方から覆っている。第1カバー部61の前部下端は、被支持部13の上下方向の中央近傍に位置している。第1カバー部61の後部は、被支持部13を後方から覆っている。第1カバー部61の後部下端は、第1カバー部61の前部下端よりも下方に位置している。第1カバー部61の後部下端は、被支持部13の下端近傍に位置している。
【0042】
図12に示すように、第2カバー部62は、第1カバー部61の左右方向の内端に連結されている。第2カバー部62は、左右方向に厚みを有する。
図7の上面視で、第2カバー部62は、後側に向かうに従って左右方向の内側に位置するように傾斜している。
【0043】
図12に示すように、第2カバー部62は、被支持部13の係合凹部13bに係合可能な係合凸部63を有する。係合凸部63は、第2カバー部62の左右方向の外側面(裏面)の下部から左右方向の外側に向かって突出している。係合凸部63の左右方向の突出高さは、第2カバー62部と溝形成部材70との間の間隔W1よりも小さい。
【0044】
[溝形成部材]
図4に示すように、溝形成部材70は、杆材15において被支持部13と対向する部位に取り付けられている。溝形成部材70は、被支持部13よりも左右方向の内側に配置されている。
図3に示すように、溝形成部材70は、被取付部17(
図11参照)の上面とによって、第1係合溝15aと連続する第2係合溝70aを形成する。第2係合溝70aは、左右方向から見て被支持部13と重なる範囲を含む範囲で被支持部13に対して左右方向の内側に設けられ第1係合溝15aと連続している(
図3参照)。
【0045】
図8の上面視で、被支持部13と溝形成部材70との間には、張地10の厚み以上の隙間S1が形成されている。例えば、隙間S1の大きさは、張地10の周縁部10b(周縁部10bの内部に縫着された縁材14を含む、
図14参照)の厚み以上とされている。
【0046】
図7に示すように、溝形成部材70は、杆材15の後端部、杆材15と第2横杆16Bとの連結部、及び第2横杆16Bの左右方向の端部にわたって設けられている。溝形成部材70は、杆材15と第2横杆16Bとの連結部を挟んで杆材15の後端部及び第2横杆16Bの左右方向の端部に跨って延びている。溝形成部材70は、杆材15、第2横杆16B及び内周カバー50の上面と連続する外面70fを有する。
【0047】
図11に示すように、溝形成部材70は、張地10の端部を係合する係合鍔71を備える。係合鍔71は、張地10に対して左右方向の外側へ張力を付与するように左右方向の外側へ向かって突出している。係合鍔71は、係合爪20と前後方向に連続している(
図3参照)。係合鍔71の下面と、被取付部17の上面とによって、第1係合溝15aと連続する第2係合溝70aが形成されている。
図11の断面視で、係合鍔71の上面は、左右方向の内側に向かうに従って下側に位置するように傾斜している。
【0048】
図13に示すように、溝形成部材70は、杆材15の後端部、杆材15と第2横杆16Bとの連結部、及び第2横杆16Bの左右方向の端部のそれぞれにボルト73で固定されている。溝形成部材70は、ボルト73の軸部を挿通するための複数(例えば本実施形態では3つ)の挿通孔72A~72Cを有する(
図7参照)。
【0049】
図7に示すように、3つの挿通孔72A~72Cは、それぞれ同じ方向に開口している。挿通孔72A~72Cは、溝形成部材70の上面を上下方向に開口している。3つの挿通孔72A~72Cは、それぞれ前後方向(溝形成部材70が延びる方向)に略同じ間隔をあけて配置されている。
【0050】
例えば、座枠11に内周カバー50を取り付けた後、溝形成部材70を被取付部17に載置する。その後、溝形成部材70の各挿通孔13aにボルト73の軸部を挿通し、被取付部17の雌ねじ部18A~18C(
図9参照)に螺着する。これにより、溝形成部材70を被取付部17に取り付けることができる。
【0051】
[支持構造体]
図1に示すように、支持構造体3は、左右一対の脚構成部材30と、左右一対の脚構成部材30同士を連結する脚側連結部材31と、を備える。
脚構成部材30は、前脚部35と、前脚部35の後方に位置する後脚部36と、座2の後方の左右両側部を軸支する座支持部37と、背凭れ4の左右両端部を支持する背支持部38と、を備える。
【0052】
図3の側面視で、前脚部35は、下側に向かうに従って前方に位置するように傾斜して延びている。
後脚部36は、下側に向かうに従って後方に位置するように傾斜して延びている。後脚部36の上下方向の中央近傍には、前脚部35の後端が連結されている。
前脚部35及び後脚部36の下端には、キャスター39が取り付けられている。
【0053】
座支持部37は、後脚部36における前脚部35の連結位置よりも上方に設けられている。座支持部37は、後脚部36から前方に延びている。
図1に示すように、背支持部38は、後脚部36の上端から上方に延びている。背支持部38は、背凭れ4の左右両端部の開口部(不図示)に差し込まれている。背支持部38は、肘掛け5と共に背凭れ4に側方からねじ止めされている。
【0054】
[作用効果]
以上説明したように、上記実施形態に係る椅子1は、着座者が着座可能な着座面10aを有し弾性変形可能なシート状の張地10と、左右方向に離間し張地10が架設される一対の杆材15と、を有する座2と、左右方向に離間し座2を左右方向に沿う軸9の回りに回動可能に支持する一対の座支持部37を有する支持構造体3と、を備え、座2は、杆材15から座支持部37に向かって突出し軸9の回りに回動可能に支持される被支持部13を備え、被支持部13は、軸9を挿通可能に左右方向の外側に開口する挿通孔13aを有し、杆材15は、左右方向の外側に開口し、張地10を係合可能な係合溝15aを有する。
【0055】
この構成によれば、挿通孔13a及び係合溝15aが同じ左右方向の外側に開口することで、金型を同一方向にスライドさせることにより、挿通孔13a及び係合溝15aを同じ金型によって一度に成型することができる。したがって、座2を容易に成形することができる。
【0056】
上記実施形態において、杆材15は、左右方向と直交する方向に延びており、係合溝15aは、杆材15が延びる方向にわたって形成されている。
この構成によれば、張地10の縁部を杆材15が延びる方向にわたる係合溝15aに係合することにより、張地10には取付用の孔等を設ける必要がないため、張地10の強度を維持するとともに、体裁をよくすることができる。
【0057】
上記実施形態において、杆材15は、張地10に対して左右方向の外側へ張力を付与するように左右方向の外側に向かって突出する係合爪20を備える。
この構成によれば、張地10の張力(左右方向の内側への張力)によって、上下方向への係合爪20の弾性変形を生じさせることができるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えることができる。
【0058】
上記実施形態において、杆材15は、係合爪20の突出端とは反対側の端部に連結され、杆材15が延びる方向と直交する断面視で係合爪20よりも断面積が大きい補強部21を備える。
この構成によれば、杆材15は張地10が架設されるという機能上、杆材15には大きな剛性が要求されるが、補強部21が杆材15の延びる方向と直交する断面視で係合爪20よりも断面積が大きいことにより、杆材15の剛性を確保することができる。加えて、補強部21は係合爪20よりも高い剛性を有することにより、上下方向への係合爪20の弾性変形を生じさせやすくなるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えやすい。
【0059】
上記実施形態において、座2は、杆材15の左右方向の内側に配置され、補強部21を左右方向の内側及び着座面10aの側から覆う内周カバー50を備える。
この構成によれば、補強部21が内周カバー50によって隠れるため、外観性を向上させることができる。加えて、内周カバー50を杆材15の補強部材として機能させることにより、杆材15の剛性を確保することができる。
【0060】
上記実施形態において、内周カバー50は、杆材15の着座面10aの側の面と連続する外面50fを有し、杆材15が延びる方向と直交する断面視で、内周カバー50の外面50fは、左右方向の内側に向かうに従って着座面10aとは反対側に位置するように傾斜している。
この構成によれば、着座者の着座時に張地10の左右方向の外側部を内周カバー50の外面50fの傾斜に沿って着座面10aとは反対側に変位させやすくなるため、着座者に着座時の軟質な着座感を与えやすい。
【0061】
上記実施形態において、第1係合溝15aは、左右方向から見て被支持部13と重ならない範囲に設けられ、座2は、左右方向から見て被支持部13と重なる範囲を含む範囲で被支持部13に対して左右方向の内側に設けられ第1係合溝15aと連続する第2係合溝70aを有し、杆材15に取り付けられる溝形成部材70を備える。
この構成によれば、第1係合溝15aが左右方向から見て被支持部13とは重ならない位置に開口することで、第1係合溝15aを開口するための金型の抜き方向に被支持部13が位置しない。そのため、金型を同一方向にスライドさせることにより、被支持部13及び第1係合溝15aを同じ金型によって一度に成型することができる。したがって、座2を容易に成形することができる。
加えて、杆材15に取り付けられた溝形成部材70が第1係合溝15aと連続する第2係合溝70aを有することにより、張地10の周縁部10bを第1係合溝15a及び第2係合溝70aに沿って係合させることができるため、張地10を迅速に張設することができる。
【0062】
[変形例]
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0063】
上記実施形態では、椅子1が設置される面を水平面とした例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、椅子は、水平面に対して傾斜する傾斜面または鉛直面に設置されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、杆材15は、左右方向と直交する方向に延びており、係合溝15aは、杆材15が延びる方向にわたって形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、杆材15は、左右方向と斜めに交差する方向に延びていてもよい。例えば、係合溝15aは、杆材15が延びる方向の一部のみに形成されていてもよい。例えば、張地10には取付用の孔等が設けられていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、杆材15は、張地10に対して左右方向の外側へ張力を付与するように左右方向の外側に向かって突出する係合爪20を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、係合爪20は、左右方向の外側に向かって突出していなくてもよい。例えば、係合爪20は、張地10に対して左右方向の外側へ張力を付与するように上下方向の一方側に向かって突出していてもよい。
【0066】
上記実施形態では、杆材15は、係合爪20の突出端とは反対側の端部に連結され、杆材15が延びる方向と直交する断面視で係合爪20よりも断面積が大きい補強部21を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、杆材15は、補強部21を有しなくてもよい。例えば、補強部21は、係合爪20よりも剛性が高い部材で形成されていてもよい。例えば、杆材15は、単一材料で成形することに限らず、補強部21を係合爪20よりも高剛性の樹脂で成形した二色成形品であってもよい。例えば、杆材15は、ガラス繊維等の補強繊維を含む合成樹脂で形成され、補強部21は、係合爪20よりも多くの補強繊維が含まれていてもよい。
【0067】
上記実施形態では、座2は、杆材15の左右方向の内側に配置され、補強部21を左右方向の内側及び着座面10aの側から覆う内周カバー50を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、座2は、内周カバー50を有しなくてもよい。例えば、補強部21は、外部に露出していてもよい。
【0068】
上記実施形態では、内周カバー50は、杆材15の着座面10aの側の面と連続する外面を有し、杆材15が延びる方向と直交する断面視で、内周カバー50の外面50fは、左右方向の内側に向かうに従って着座面10aとは反対側に位置するように傾斜している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、杆材15が延びる方向と直交する断面視で、内周カバー50の外面50fは、左右方向の内側に向かうに従って着座面10aの側に位置するように傾斜していてもよい。例えば、杆材15が延びる方向と直交する断面視で、内周カバー50の外面50fは、左右方向に沿う平面を有していてもよい。
【0069】
上記実施形態では、第1係合溝15aは、左右方向から見て被支持部13と重ならない範囲に設けられ、座2は、左右方向から見て被支持部13と重なる範囲を含む範囲で被支持部13に対して左右方向の内側に設けられ第1係合溝15aと連続する第2係合溝70aを有し、杆材15に取り付けられる溝形成部材70を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、座2は、溝形成部材70を有しなくてもよい。例えば、溝形成部材70の第2係合溝70aは、杆材15の第1係合溝15aと連続していなくてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…椅子、2…座、3…支持構造体、9…軸、10…張地(座面構成部材)、10a…着座面、13…被支持部、13a…挿通孔、15…杆材、15a…第1係合溝(係合溝)、20…係合爪、21…補強部、37…座支持部、50…内周カバー(カバー)、50f…内周カバーの外面(カバーの外面)、70…溝形成部材、70a…第2係合溝