(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】箱詰めシステム及び箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
B65B 5/04 20060101AFI20231108BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20231108BHJP
B65B 57/10 20060101ALI20231108BHJP
B65B 35/24 20060101ALI20231108BHJP
G01G 15/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65B5/04
G01G11/00 H
B65B57/10 B
B65B35/24
G01G15/02
(21)【出願番号】P 2019204904
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233796(JP,A)
【文献】実開平03-084703(JP,U)
【文献】特開平06-092318(JP,A)
【文献】特開昭62-220429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00
B65B 35/00
B65B 57/00
G01G 11/00
G01G 13/00
G01G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の重量範囲にある製品(P)を搬送する供給ライン(2)と、通常搬送部(5)と計量搬送部(6)を有する箱詰めライン(3)と、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めラインの受箱(B)に詰め込む箱詰め手段(4)と、前記箱詰め手段を制御する制御部とを備え、所定入数の製品を受箱に詰め込む箱詰めシステム(1)であって、
前記箱詰め手段は、所定の移動範囲(A)において移動可能であり、前記供給ラインにある製品を取り出して、少なくとも前記通常搬送部から前記計量搬送部への乗り継ぎ位置および前記計量搬送部の計量位置にある受箱に該製品を詰め込むことができ、
前記制御部は、
前記計量搬送部による計量が可能な
前記計量位置とは異なる前記箱詰めライン上の
前記乗り継ぎ位置で、
前記重量範囲に基づいて前記所定入数に満たない
数に設定された先行投入個数の製品を、前記箱詰め手段を制御して受箱に詰め込ませ、
前記先行投入個数の製品の詰め込み対象となった
該受箱を、前記箱詰めラインを制御して前記計量搬送部
の前記計量位置に移動させ、
前記計量搬送部が検出した計量値と製品
1個の重量に基づいて、
前記先行投入個数の製品が詰め込まれて前記計量位置にある受箱の中にある製品の個数が
前記所定入数となるように、前記箱詰め手段を制御して
該受箱に製品の詰め込みを行なわせることを特徴とする箱詰めシステム。
【請求項2】
前記箱詰め手段は、
前記移動範囲において受箱に製品を1個ずつ詰め込み、
前記制御部は、
前記計量
位置にある受箱(B)に前記箱詰め手段(4)が
1個ずつ製品(P)を箱詰めする度に前記計量搬送部から計量値を取得し、
該受箱の中の製品が
前記所定入数となるように前記箱詰め手段を制御する請求項1に記載の箱詰めシステム(1)。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通常搬送部(5)から前記計量搬送部(6)に受箱(B)を搬送している間に前記箱詰め手段(4)
のアーム(11)によって受箱に製品(P)を詰め込むように制御を行なう請求項2に記載の箱詰めシステム(1)。
【請求項4】
前記制御部は、
前記計量搬送部(6)に受箱(B)を間欠的に搬送させ、前記計量搬送部による受箱の間欠的な搬送に同期して前記通常搬送部(5)に受箱を搬送させるように制御を行なう請求項1乃至3の何れか一つに記載の箱詰めシステム(1)。
【請求項5】
所定の重量範囲にある製品(P)を搬送する供給ライン(2)と、通常搬送部(5)と計量搬送部(6)を有する箱詰めライン(3)と、前記供給ラインで搬送される製品を前記箱詰めラインの受箱(B)に詰め込む箱詰め手段(4)とを用いて所定入数の製品を受箱に詰め込む箱詰め方法であって、
前記箱詰め手段は、アーム(11)により、所定の移動範囲(A)において移動可能であり、前記供給ラインにある製品を取り出し、前記通常搬送部から前記計量搬送部への乗り継ぎ位置および前記計量搬送部の計量位置にある受箱まで運び、該製品を1個ずつ詰め込むことができ、
前記計量搬送部による計量が可能な
前記計量位置とは異なる前記箱詰めライン上の
前記乗り継ぎ位置で、
前記重量範囲に基づいて前記所定入数に満たない
数に設定された先行投入個数の製品を、前記箱詰め手段によって受箱に詰め込み、
前記先行投入個数
までの製品の詰め込み対象となった
該受箱を、前記箱詰めラインによって前記計量搬送部
の前記計量位置に移動させ、
前記計量搬送部が検出した計量値と製品
1個の重量に基づいて、
前記先行投入個数の製品が詰め込まれて前記計量位置にある受箱の中にある製品の個数が
前記所定入数となるように、前記箱詰め手段
の前記アームによって
該受箱に製品を詰め込むことを特徴とする箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ラインで搬送される製品を箱詰め手段で取り出し、箱詰めラインで搬送される受箱に詰め込む箱詰めシステムに係り、特に、所定の入数の製品を正確に箱詰めすることができるとともに、箱詰めシステムの能力を最大限に発揮して製品の箱詰めに要する時間を可及的に短縮化できる箱詰めシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、箱詰検査装置に関する発明が開示されている。この箱詰検査装置は、架台に支持された重量検出器と、重量検出器からの信号を処理して表示手段に必要な表示を行なわせる演算処理手段を備えており、複数個の製品が詰められた中箱を所定個数だけ箱体に詰め込む作業を行なうに際し、総重量と中箱の平均重量等から中箱内に詰められた製品の欠品を検査するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された箱詰検査装置によれば、架台に支持された重量検出器に空の箱体を載せ、次に製品が詰められた中箱を所定の個数だけ箱体に詰めて計量を行なう。この箱詰検査装置は、箱体を重量検出器に搬入するコンベアや、箱体内に中箱を詰め込む箱詰め手段を備えておらず、人手によって箱体を重量検出器に載せ、人手によって箱体内に中箱を詰め込むことを予定しているため、箱体の載せ替えや中箱の詰め込みに時間がかかり、さらに箱体の載せ替え期間には計量ができないため、所定の入数の製品を正確に箱詰めする能力には限度があった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、指定された入数の製品を間違いなく受箱に詰め込むことができるとともに、箱詰めシステムの能力を最大限に発揮して製品の箱詰めに要する時間を可及的に短縮化できる箱詰めシステム及び箱詰め方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された箱詰めシステム1は、
所定の重量範囲にある製品Pを搬送する供給ライン2と、通常搬送部5と計量搬送部6を有する箱詰めライン3と、前記供給ライン2で搬送される製品Pを前記箱詰めライン3の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4と、前記箱詰め手段4を制御する制御部とを備え、所定入数の製品Pを受箱Bに詰め込む箱詰めシステム1であって、
前記箱詰め手段は、所定の移動範囲(A)において移動可能であり、前記供給ライン2にある製品Pを取り出して、少なくとも前記通常搬送部5から前記計量搬送部6への乗り継ぎ位置および前記計量搬送部6の計量位置にある受箱Bに該製品を詰め込むことができ、
前記制御部は、
前記計量搬送部6による計量が可能な前記計量位置とは異なる前記箱詰めライン3上の前記乗り継ぎ位置で、前記重量範囲に基づいて前記所定入数に満たない数に設定された先行投入個数の製品Pを、前記箱詰め手段4を制御して受箱Bに詰め込ませ、
前記先行投入個数の製品Pの詰め込み対象となった該受箱Bを、前記箱詰めライン3を制御して前記計量搬送部6の前記計量位置に移動させ、
前記計量搬送部6が検出した計量値と製品1個の重量に基づいて、前記先行投入個数の製品が詰め込まれて前記計量位置にある受箱Bの中にある製品Pの個数が前記所定入数となるように、前記箱詰め手段4を制御して該受箱に製品Pの詰め込みを行なわせることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載された箱詰めシステム1は、請求項1に記載の箱詰めシステム1において、
前記箱詰め手段は、
前記移動範囲において受箱Bに製品を1個ずつ詰め込み、
前記制御部が、
前記計量位置にある受箱Bに前記箱詰め手段4が1個ずつ製品Pを箱詰めする度に前記計量搬送部6から計量値を取得し、受箱Bの中の製品Pが所定入数となるように前記箱詰め手段4を制御することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載された箱詰めシステム1は、請求項2に記載の箱詰めシステム1において、
前記制御部が、
前記通常搬送部5から前記計量搬送部6に受箱Bを搬送している間に前記箱詰め手段4のアーム11によって受箱Bに製品Pを詰め込むように制御を行なうことを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載された箱詰めシステム1は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の箱詰めシステム1において、
前記制御部が、
前記計量搬送部6に受箱Bを間欠的に搬送させ、前記計量搬送部6による受箱Bの間欠的な搬送に同期して前記通常搬送部5に受箱Bを搬送させるように制御を行なうことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載された箱詰め方法は、
所定の重量範囲にある製品Pを搬送する供給ライン2と、通常搬送部5と計量搬送部6を有する箱詰めライン3と、前記供給ライン2で搬送される製品Pを前記箱詰めライン3の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4とを用いて所定入数の製品Pを受箱Bに詰め込む箱詰め方法であって、
前記箱詰め手段4は、アーム11により、所定の移動範囲Aにおいて移動可能であり、前記供給ライン2にある製品Pを取り出し、前記通常搬送部5から前記計量搬送部6への乗り継ぎ位置および前記計量搬送部6の計量位置にある受箱Bまで運び、該製品Pを1個ずつ詰め込むことができ、
前記計量搬送部6による計量が可能な前記計量位置とは異なる前記箱詰めライン3上の前記乗り継ぎ位置で、前記重量範囲に基づいて前記所定入数に満たない数に設定された先行投入個数の製品Pを、前記箱詰め手段4によって受箱Bに詰め込み、
前記先行投入個数までの製品Pの詰め込み対象となった該受箱Bを、前記箱詰めライン3によって前記計量搬送部6の前記計量位置に移動させ、
前記計量搬送部6が検出した計量値と製品1個の重量に基づいて、前記先行投入個数の製品Pが詰め込まれて前記計量位置にある受箱Bの中にある製品Pの個数が前記所定入数となるように、前記箱詰め手段4の前記アーム11によって該受箱Bに製品Pを詰め込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された箱詰めシステム1及び請求項5に記載された箱詰め方法によれば、計量搬送部に設定される以前の受箱に製品を投入できるので、箱詰めラインによる受箱の搬送に合わせて箱詰め動作を待機させる必要がなく、供給ラインによる製品の供給速度に合わせて箱詰めラインを効率的に動かすことができ、時間のロスを最小化して箱詰めシステムの能力を最大限に発揮させ、製品の箱詰めに要する時間を可及的に短縮化することができる。
【0012】
請求項2に記載された箱詰めシステムによれば、計量搬送部にある受箱に製品が詰め込まれる度に出力される計量値を用いて受箱中の製品の数を管理しているので、仮に箱詰めミスが起きても追加投入することができるため、受箱内に詰め込む製品の数を確実に所定入数に合わせることができる。
【0013】
] 請求項3に記載された箱詰めシステムによれば、通常搬送部から計量搬送部に受箱を搬送する受け渡しの最中に受箱に製品を詰め込むため、供給ラインによる製品の供給速度に合わせて箱詰めラインを効率的に動かすことができ、時間のロスを最小化する効果を確実にすることができる。
【0014】
請求項4に記載された箱詰めシステム1によれば、計量搬送部による受箱の間欠的な搬送に同期して作動する通常搬送部としては、計量搬送部と同様に間欠的に動作する通常搬送部でもよいし、通常搬送部は連続的に駆動させ、通常搬送部と計量搬送部の間に搬送平面内に出没可能なゲートを設け、計量搬送部による受箱の間欠的な搬送に同期してゲートを作動させて受箱の搬送を行なう構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の箱詰めシステムの模式的平面図である。
【
図2】実施形態の箱詰めシステムの模式的正面図である。
【
図3】実施形態の箱詰めシステムの制御フロー図である。
【
図4】実施形態の箱詰めシステムにおける箱詰め手順を模式的に示す図である。
【
図5】実施形態の箱詰めシステムにおける箱詰め作業時に計量搬送部の計量手段が出力する計量値の変化を示すグラフである。
【
図6】実施形態の箱詰めシステムにおける箱詰め手順の他の例を模式的に示す図である。
【
図7】実施形態の箱詰めシステムにおける箱詰め作業の他の例で計量搬送部の計量手段が出力する計量値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、
図1~
図5を参照して説明する。
まず
図1及び
図2を参照して、実施形態の箱詰めシステム1の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、箱詰めシステム1は、製品Pを搬送する供給ライン2と、製品Pが詰め込まれる受箱Bを搬送する箱詰めライン3と、供給ライン2が搬送してくる製品Pを箱詰めライン3の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4と、箱詰めシステム1の各部を制御する制御部(図示せず)を備えている。箱詰めシステム1の目的は、所定入数の製品Pを受箱Bに詰め込み、排出することにある。すなわち、入数とは、受箱Bに詰め込むべき製品Pの規定数を意味する。
【0017】
図1に示すように、供給ライン2は、コンベア等の搬送手段によって構成されており、図中左方にある図示しない供給源から、図中右方の終端部に向けて、所定間隔をおいて配置された製品Pを連続的に搬送することができる。
【0018】
図1及び
図2に示すように、箱詰めライン3は、複数台のコンベアからなり、製品Pを収納する受箱Bを搬送する搬送手段であるとともに、製品Pを収納した受箱Bの重量を測定して計量値として出力する計量手段でもある。箱詰めライン3は、図中左方の上流側から順に並べられた3台のコンベア、すなわち通常搬送部としての前段コンベア5と、計量搬送部としての計量コンベア6と、通常搬送部としての後段コンベア7を備えている。箱詰めライン3は、供給ライン2と平行かつ搬送面が概ね一致するように水平に配置されており、計量コンベア6の終端(図中右端)が、供給ライン2の終端部(図中右端)に略合致している。
【0019】
前段コンベア5の上流側には図示しない受箱Bの供給源があり、この供給源の供給コンベアが前段コンベア5に受箱Bを供給する。
【0020】
計量コンベア6は、コンベア8を計量部9で支持した構造であり、コンベア8に載置された受箱Bの重量を測定して計量値として出力する。計量は搬送しながら行なうことが可能であるが、本実施形態としては、計量コンベア6の駆動は間欠的に行なうものとし、受箱Bの全体が計量コンベア6に載置され、計量コンベア6が停止した状態で計量を行なうものとする。また、前段コンベア5による受箱Bの搬送は、計量コンベア6による受箱Bの間欠的な搬送に同期して行なうものとする。例えば、計量コンベア6による受箱Bの間欠的な搬送に同期して前段コンベア5を間欠的に駆動してもよいし、前段コンベア5は連続的に駆動させ、前段コンベア5と計量コンベア6の間に搬送平面内に出没可能なゲートを設け、計量コンベア6による受箱Bの間欠的な搬送に同期してゲートを作動させ、結果として受箱Bの搬送が間欠的となるようにしてもよい。
【0021】
図示はしないが、後段コンベア7の終端(図中右端)に隣接して出荷用のコンベアが設置されていてもよい。
【0022】
図1及び
図2に示すように、供給ライン2及び箱詰めライン3の上方には、供給ライン2で搬送される製品Pを、箱詰めライン3の受箱Bに詰め込む箱詰め手段4が設けられている。箱詰め手段4は、
図1の平面図に楕円で示した所定の移動範囲A内において移動可能であり、当該移動範囲A内において供給ライン2から製品Pを取り出し、当該移動範囲A内において箱詰めライン3の受箱Bに製品Pを詰める作業を行なうことができる。より具体的には、箱詰め手段4は、
図2に示す前記移動範囲A内において移動可能な本体10と、本体10の下面側に設けられたアーム11と、アーム11の下端に設けられた吸着部12とを備えている。この箱詰め手段4によれば、製品Pを吸着部12に吸着してアーム11で持ち上げ、本体10を移動させて製品Pを所望の受箱Bの位置まで運び、製品Pを当該受箱Bに収納させることができる。なお、箱詰め手段4としては、
図1及び
図2に模式的に示したような専用機でもよいし、前記移動範囲A内において同様の作業を行なえる汎用型のアーム構造のロボットでもよい。また、製品Pの保持手段としては、前記吸着部12でもよいし、ロボットハンドでもよく、その機構・原理は問わない。
【0023】
図1および
図2には示していないが、箱詰めシステム1は、供給ライン2と、箱詰めライン3と、箱詰め手段4を制御する制御手段を備えている。
【0024】
次に
図2~
図5を参照して、実施形態の箱詰めシステム1による箱詰め作業の手順、すなわち前記制御手段による制御内容を説明する。
実施形態の箱詰めシステム1による製品Pの箱詰め作業では、一例として、1個の受箱Bに10個の製品Pを詰める。すなわち、入数は10であるものとする。1個の製品Pの重量は100gであり、重量の誤差は±10gであるものとする。なお、ここで1個の製品Pの重量とは、実測した個々の製品の具体的な計量値を意味するものではなく、上述したような誤差を含めて当該製品の製造仕様にて指定された目標値であって、製品の包装等に表示される値である。
【0025】
1)先行投入(
図3のステップS1)
計量が可能な計量コンベア6上の位置とは異なる箱詰めライン3上の他の位置、具体的には
図2に示すように前段コンベア5から計量コンベア6に受箱Bが乗り移っている最中の受箱B1に、所定入数(10個)に満たない先行投入個数(ここでは3個)の製品Pを箱詰め手段4によって詰め込む。
図2では、乗り継ぎ中の受箱B1に1個の製品Pが詰められた状態を示しているが、その後
図4に模式的に示すように、コンベアを乗り継ぎ中の受箱B1の中に製品Pを1個ずつ、先行投入個数の3個まで投入する。
【0026】
先行投入個数とは、効率的な箱詰めを行なうために、受箱Bが計量コンベア6の計量位置に至る前の段階で受箱Bに投入する製品Pの個数である。先行投入個数は、少なくとも1個以上、かつ所定入数よりも少ない数であり、次に数値例を挙げて説明するように、1個の製品Pの重量値及びその誤差範囲に応じて、合計重量の計量値から製品Pの個数管理が可能であるような数に設定される。なお、本発明でいう計量位置に至る前の段階には、計量コンベア6に乗り継いでいる乗り継ぎ中の状態に限らず、乗り継ぎ位置に至る前の状態を含むが、箱詰め手段4の箱詰め動作範囲により制約される。
【0027】
本例では、先行投入個数を3個としたので、その合計重量の計量値は270g~330gの範囲にあるはずであり、その範囲は1個の製品Pの重量の100gよりも小さい60gなので、計量値がこの範囲にあれば3個投入したことが確認できる。仮に6個投入すると、その合計重量の計量値は540g~660gの範囲となり、その範囲は1個の製品Pの重量の100gを越える120gなので、計量値がこの範囲にあっても6個投入したかどうかは確定できない。例えば、630gであった場合、90gの製品Pが7個入っている可能性を排除できない。この数値例では、先行投入個数としては、4個までが採用できる。4個の場合、合計重量の計量値は360g~440gの範囲にあるはずであり、その範囲は1個の製品Pの重量の100gよりも小さい80gだからである。
【0028】
2)計量(
図3のステップS2)
先行投入個数の製品Pを詰めた受箱B1を計量コンベア6に搬入する。計量コンベア6を一旦停止し、計量コンベア6に載置された受箱B2の重量を計量部9によって計量し、計量値を得る。
図5は、制御部が把握している受箱B内の製品Pの実投入個数を表すグラフであるが、計量値が270g~330gの範囲にあれば、
図5において乗継中の最後に見られる実投入個数グラフの立ち上がりが示すように、制御部は先行投入個数である3個の製品Pが受箱B1に投入されたことを確認する。すなわち、受箱Bが計量コンベア6に到達する前の段階で、所定入数の10個中、すでに3個が投入され、実投入個数が3個であることが確定した。
【0029】
3)残投入個数の算出(
図3のステップS3)
制御部は、所定入数(10個)から実投入個数と確認された先行投入個数(3個)を減じ、残投入個数(7個)を算出する。
【0030】
4)残投入個数の製品Pを順次投入して計量(
図3のステップS4~S7)
制御部は、1個の製品Pを箱詰め手段4によって受箱B2に詰め込み(S4)、計量部9によって重量を計量する(S5)。制御部は、その計量値の増加分と、1個の製品Pの重量値との比較によって、1個の製品Pが投入されたか否かを判断する(S6)。計量値が増加しない場合には、箱詰め手段4が製品Pを取り損ねる等して製品Pが投入できなかったものとして(S6、NO)、再度の投入を行なう(S4)。1個の製品Pが投入されたと判断された場合(S6、YES)は、所定入数に達したか否かを判断する(S7)。実投入個数が所定入数の10個に達しない場合(S7、NO)には、再度の投入を行なう(S4)。実投入個数が所定入数の10個に達した場合(S7、YES)には、所定入数の製品Pが詰め込まれた受箱B2が得られたことになる。この受箱B2は、
図2に示すように、始動した計量コンベア6によって後段コンベア7に搬入され、さらに後段コンベア7によって搬送されて次段へと排出される。
【0031】
図4及び
図5は、
図3のステップS1~S7を参照して説明した先行投入個数並びに残投入個数の製品Pの順次投入と、その計量による実投入個数の把握状況を示している。
図4は、乗り継ぎ中に1個目から3個目までの製品Pが受箱B1に投入され、乗り継ぎ後に、4個目から10個目までの製品Pが計量コンベア6上の受箱B2に投入されていく状況を模式的に示している。4個目から10個目までの製品Pが投入される際は、受箱B2の搬送方向の位置は一定である。また、
図5は、乗り継ぎ後、4個目から10個目までの製品Pが計量コンベア6上の受箱B2に順次投入されていくことにより、計量値が段階的に所定値ずつ増加する状況を示しており、これによって実投入個数が1個ずつ増加して10個になったことを制御部が確認している状態を示している。なお、先行投入個数に達するまでは、計量コンベア6上に乗り継ぎ中であるから、階段状に増加する実投入個数(または重量値)のうち先行投入個数に対応する破線は、仮想的な値であることを示す。
【0032】
同様に、
図6及び
図7は、
図3のステップS1~S7を参照して説明した先行投入個数並びに残投入個数の製品Pの順次投入と、その計量による実投入個数の把握状況を示している。
図6は、乗り継ぎ前に1個目の製品Pが受箱B1に投入され、乗り継ぎ中に2個目から3個目までの製品Pが受箱B1に投入され、乗り継ぎ後に、4個目から10個目までの製品Pが計量コンベア6上の受箱B2に投入されていく状況を模式的に示している。4個目から10個目までの製品Pが投入される際は、受箱B2の搬送方向の位置は一定である。また、
図7は、乗り継ぎ後、4個目から10個目までの製品Pが計量コンベア6上の受箱B2に順次投入されていくことにより、計量値が段階的に所定値ずつ増加する状況を示しており、これによって実投入個数が1個ずつ増加して10個になったことを制御部が確認している状態を示している。なお、先行投入個数に達するまでは、計量コンベア6上に乗り継ぎ前もしくは乗り継ぎ中であるから、階段状に増加する実投入個数(または重量値)のうち先行投入個数に対応する破線は、仮想的な値であることを示す。
【0033】
本実施形態の箱詰めシステム1において、供給ライン2における製品Pの搬送速度V1が例えば60個/分であり、箱詰めライン3における搬送速度V2が6箱/分であるとする。また、前述したように、1個の受箱Bには製品Pが10個入るものとする。このような前提において、本実施形態のように計量コンベア6へ乗り継ぎ中または乗り継ぎ前に受箱B1に製品Pを先行投入するのでなく、受箱Bが計量コンベア6に完全に乗り移ってから製品Pの詰め込みを始めたとすると、箱詰め手段4が働かないで停止している時間が生じることになるため、両ラインを前記搬送速度V1,V2で運転することはできない。すなわち、箱詰めライン3の実際の処理速度V2’(<搬送速度V2)に合わせて供給ライン2の搬送速度V1を低下させる必要があり、箱詰めシステム1を本来可能な能力以下で使用することになってしまう。
【0034】
しかしながら、本実施形態の箱詰めシステム1によれば、前段コンベア5から計量コンベア6に受箱B1が乗り継ぎしている間または乗り継ぎ前にも製品Pの投入ができる。すなわち、箱詰めライン3を搬送されてきた受箱Bが計量コンベア6上に設定されるまで、箱詰め手段4による箱詰め動作を待機させる必要がなく、供給ライン2による製品Pの供給速度に合わせて箱詰めライン3を効率的に動かすことができ、時間のロスを最小化して箱詰めシステム1の能力を最大限に発揮させ、製品Pの箱詰めに要する時間を可及的に短縮化する効果が得られる。
【0035】
さらに、先行投入個数の製品を受箱に詰め込んだ後、これを計量搬送部に移動させ、残投入個数の製品の順次投入による計量値の段階的な増加から、受箱の中にある製品の個数が所定入数となることを確認しているため、所定の入数の製品を正確に箱詰めすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…箱詰めシステム
2…供給ライン
3…箱詰めライン
4…箱詰め手段
5…通常搬送部としての前段コンベア
6…計量搬送部としての計量コンベア
7…通常搬送部としての後段コンベア
9…計量部
P…製品
B…受箱
A…箱詰め手段の移動範囲