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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/77 20180101AFI20231108BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20231108BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231108BHJP
【FI】
F24F11/77
F24F7/06 101A
F24F110:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019220835
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021089117
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】安平 幸司
(72)【発明者】
【氏名】石川 善克
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-040493(JP,A)
【文献】特開2005-090903(JP,A)
【文献】実開昭59-115212(JP,U)
【文献】特開平11-294773(JP,A)
【文献】特開平11-132512(JP,A)
【文献】特開2013-217570(JP,A)
【文献】特開2006-223028(JP,A)
【文献】特開2008-232528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 7/007、7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気用ファンを収納したファンケーシングに付着して流下した油を回収するオイルトレーを着脱可能に備えるレンジフードであって、
前記排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による検出温度に基づいて、前記排気用ファンの回転数を設定して前記排気用ファンを駆動するお手入れ運転モードを実行する制御部と、
を備えることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、前記お手入れ運転モードにおける前記排気用ファンの駆動時間を設定すると共に、設定した駆動時間に亘って前記排気用ファンを駆動して前記お手入れ運転モードを実行する、
請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度が、所定温度より低いときには、該所定温度より高いときに比べて、お入れ運転モードにおける前記排気用ファンの前記回転数を高く設定する、
請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度が、所定温度より低いときには、該所定温度より高いときに比べて、前記お手入れ運転モードにおける前記排気用ファンの前記駆動時間を、長く設定する、
請求項に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記温度検出手段は、前記排気用ファンを流通する排気温度を検出する温度センサである、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記温度検出手段は、前記排気用ファンを駆動する駆動モータの温度を検出する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のレンジフード。
【請求項7】
前記制御部は、前記お手入れ運転モードを実行する期間の少なくとも一部期間で、前記排気用ファンを、通常の排気運転時とは逆方向に逆転駆動する、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、更に詳しくは、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、および電磁誘導加熱式クッキングヒータ(IHヒータ)などの加熱調理器具の上方に設置されて、調理中に発生する煙や湯気などの排気を吸い込み捕集して屋外に排出するためのレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードにおいては、排気に含まれる油分が排気用ファンなどの各部に付着することで排気性能が低下する。このため、本出願人は、使用者によるスイッチ操作や排気用ファンの運転停止から一定時間が経過することなどによって、通常の排気運転の回転数より高い回転数で排気用ファンを駆動するお手入れ運転モードを実行し、排気用ファンに付着した油分を遠心分離してオイルトレーに回収して廃棄するレンジフードを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-40493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のレンジフードでは、お手入れ運転モードにおける排気用ファンの回転数及び運転時間は、例えば、1700rpm及び10分間といったように、固定値とされている。
【0005】
このため、排気用ファンの周辺温度の変化に対応することができず、例えば、排気用ファンの温度が高く、排気用ファンに付着した油分の粘性が弱いので、排気用ファンの回転数が低く、運転時間が短くても排気用ファンに付着した油分を遠心分離できる場合、あるいは、排気用ファンの温度が低く、排気用ファンに付着した油分の粘性が強いので、排気用ファンの回転数を高く、運転時間を長くしなければ排気用ファンに付着した油分を遠心分離できない場合であっても、固定された回転数及び運転時間でお手入れ運転モードが実行されていた。
【0006】
このため、排気用ファンの周辺温度よっては、排気用ファンに付着した油分の粘性が弱く、遠心分離し易いにも関わらず、排気用ファンを必要以上に高い回転数で、長時間に亘って駆動してエネルギーを無駄に消費したり、あるいは、
排気用ファンに付着した油分の粘性が強く、遠心分離しにくいにも関わらず、排気用ファンの回転数が低く、駆動時間が短いために、排気用ファンに付着した油分を十分に遠心分離できなかったりすることがある。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、排気用ファンの周辺温度に応じて、排気用ファンに付着した油分を効率よく捕集して回収できるレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、次のように構成している。
【0009】
(1)本発明のレンジフードは、排気用ファンを収納したファンケーシングに付着して流下した油を回収するオイルトレーを着脱可能に備えるレンジフードであって、
前記排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、前記排気用ファンの回転数を設定して前記排気用ファンを駆動するお手入れ運転モードを実行する制御部とを備える。
【0010】
本発明によると、温度検出手段によって検出される排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度に基づいて、お手入れ運転モードにおける排気用ファンの回転数を設定して該排気用ファンを駆動するので、例えば、検出される温度が高く、したがって、排気用ファンに付着した油分の粘性が弱く、油分を遠心分離し易い場合には、排気用ファンの回転数を低めに設定し、逆に、検出される温度が低く、したがって、排気用ファンに付着した油分の粘性が強く、油分を遠心分離しにくい場合には、排気用ファンの回転数を高めに設定することが可能である。
【0011】
これによって、排気用ファンに付着した油分の粘性、すなわち、遠心分離のし易さに応じて、排気用ファンの回転数を設定することができるので、必要以上に高い回転数で排気用ファンを回転駆動して無駄にエネルギーを消費するのを防止して、省エネ及び低騒音化を図ることができ、逆に低い回転数で排気用ファンを駆動して排気用ファンに付着した油分の遠心分離が不十分となるのを回避することができる。
【0012】
また、お手入れ運転モードでは、排気用ファンを、排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度に基づいて設定された回転数で回転させることによって、排気用ファンに付着した油分を遠心分離し、ファンケーシングに沿って流下する油分をオイルトレーで回収して簡単に廃棄することができる。これによって、温度検出手段を設けると共に、排気用ファンの駆動制御に改良を施すという簡単かつ安価な構成で、排気に含まれる油分を効率よく捕集して、簡単に廃棄することができる。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、前記お手入れ運転モードにおける前記排気用ファンの駆動時間を設定すると共に、設定した駆動時間に亘って前記排気用ファンを駆動して前記お手入れ運転モードを実行する。
【0014】
この実施態様によると、温度検出手段によって検出される排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度に基づいて、お手入れ運転モードにおける排気用ファンの駆動時間、すなわち、お手入れ運転モードの運転時間を設定して排気用ファンを駆動するので、例えば、検出される温度が高く、したがって、排気用ファンに付着した油分の粘性が弱く、油分を遠心分離し易い場合には、お手入れ運転モードの運転時間を短めに設定し、逆に、検出される温度が低く、したがって、排気用ファンに付着した油分の粘性が強く、油分を遠心分離しにくい場合には、運転時間を長めに設定することが可能である。
【0015】
これによって、排気用ファンに付着した油分の遠心分離のし易さに応じて、お手入れ運転モードの運転時間を設定することができるので、必要以上に長く運転して無駄にエネルギーを消費するのを防止して、省エネ及び低騒音化を図ることができ、逆に運転時間が短くて排気用ファンに付着した油分の遠心分離が不十分となるのを回避することができる。
【0016】
(3)本発明の一実施態様では、前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度が、所定温度より低いときには、該所定温度より高いときに比べて、お入れ運転モードにおける前記排気用ファンの前記回転数を高く設定する。
【0017】
この実施態様によると、温度検出手段によって検出される検出温度が、所定温度より低いときには、排気用ファンに付着した油分の粘性が強く、油分を遠心分離しにくいので、検出温度が前記所定温度より高いときに比べて、排気用ファンの回転数を高く設定することによって、排気用ファンに付着した油分を効果的に遠心分離することができる。
【0018】
(4)本発明の他の実施態様では、前記制御部は、前記温度検出手段による検出温度が、所定温度より低いときには、該所定温度より高いときに比べて、前記お手入れ運転モードにおける前記排気用ファンの前記駆動時間を、長く設定する。
【0019】
この実施態様によると、温度検出手段によって検出される検出温度が、所定温度より低いときには、排気用ファンに付着した油分の粘性が強く、油分を遠心分離しにくいので、検出温度が前記所定温度より高いときに比べて、排気用ファンの駆動時間、すなわち、お手入れ運転モードの運転時間を長く設定することによって、排気用ファンに付着した油分を効果的に遠心分離することができる。
【0020】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記温度検出手段は、前記排気用ファンを流通する排気温度を検出する温度センサである。
【0021】
この実施態様によると、温度検出手段は、油分が付着した排気用ファンの温度と相関のある排気用ファンを流通する排気温度を検出し、制御部は、検出された排気温度に基づいて、排気用ファンの回転数や駆動時間を設定してお手入れ運転モードを実行することができる。
【0022】
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記温度検出手段は、前記排気用ファンを駆動する駆動モータの温度を検出する。
【0023】
この実施態様によると、温度検出手段は、油分が付着した排気用ファンの温度と相関のある排気用ファンを駆動する駆動モータの温度を検出し、制御部は、検出された駆動モータの温度に基づいて、排気用ファンの回転数や駆動時間を設定してお手入れ運転モードを実行することができる。
【0024】
(7)本発明の他の実施態様では、前記制御部は、前記お手入れ運転モードを実行する期間の少なくとも一部期間で、前記排気用ファンを、通常の排気運転時とは逆方向に逆転駆動する。
【0025】
この実施態様によると、お手入れ運転モードを実行する期間の少なくとも一部期間では、排気用ファンを逆転駆動するので、通常の排気運転時と同方向に正転駆動する場合に比べて、排気用ファンの駆動負荷を小さくして省エネ及び低騒音化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、排気用ファンの温度又はその温度と相関のある温度に基づいて、お手入れ運転モードにおける排気用ファンの回転数を設定して該排気用ファンを駆動するので、排気用ファンに付着した油分の粘性、すなわち、遠心分離のし易さに応じて、排気用ファンの回転数を設定することができ、必要以上に高い回転数で排気用ファンを回転駆動して無駄にエネルギーを消費するのを防止して、省エネ及び低騒音化を図ることができ、逆に低い回転数で排気用ファンを駆動して排気用ファンに付着した油分の遠心分離が不十分となるのを回避することができる。
【0027】
これによって、排気用ファンに付着した油分を効率よく捕集して廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は本発明の実施形態に係るレンジフードを下方から見た斜視図である。
図2図2図1のレンジフードを下方から見た分解斜視図である。
図3図3図1のレンジフードの要部の縦断正面図である。
図4図4図1のレンジフードの排気用ファンを下方から見た斜視図である。
図5図5図1のレンジフードの操作部の正面図である。
図6図6図1のレンジフードの制御ブロック図である。
図7図7はお手入れ運転モードの制御の一例を示すフローチャートである。
図8図8はお手入れモードの制御の他の例を示すフローチャートである。
図9図9は他の実施形態の図3に対応する縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は本発明の一実施形態のレンジフード1を下方から見た斜視図であり、図2はその分解斜視図であり、図3は要部を縦断した正面図であり、図4は、排気用ファンを下方から見た斜視図である。
【0031】
本実施形態のレンジフード1は、図示しない台所等に設置されるコンロの上方に配設されるものであり、排気用ファン2を内装した箱形の本体ハウジング3、本体ハウジング3の下端に連設されたフードケース4、フードケース4の内側に装着された内装パネル5、及び、整流板6、等が備えられている。
【0032】
本体ハウジング3の内部には、ファンケーシング7が固定配備されるとともに、このファンケーシング7の天井部に一部入り込む状態で排気用ファン2を駆動する駆動モータ8が縦向きに固定配備され、駆動モータ8から下向きに延出された回転軸9に、シロッコファンからなる排気用ファン2が着脱可能に連結されている。
【0033】
排気用ファン2は、扁平リング状に形成された上部支持板25と下部支持板26とに亘って多数のファンブレード27が周方向一定ピッチで支持されるとともに、ファンブレード27の上下中間部位が、中間支持板28に貫通支持された構造となっている。
【0034】
中間支持板28の下面中央には、ファンボス29が連結固定されるとともに、ファンボス29の中心に、駆動モータ8の下向き回転軸9に下方から挿抜可能な連結ボス部29aが、中間支持板28を貫通して上向きに突設されている。ファンボス29は、周知のワンタッチ着脱手段によって連結ボス部29aに挿入された回転軸9との連結及び解除が可能となっている。
【0035】
すなわち、回転軸9の上下中間箇所には、トルク伝達用の駆動ピン30が横向きに貫通止着されるとともに、回転軸9の下部近くには、連結溝31が形成されている。排気用ファン2を持上げて、ファンボス29の連結ボス部29aを回転軸9に下方から挿嵌すると、連結ボス部29aの上端に十字状に形成されたV形の係合溝32に、回転軸9の駆動ピン30が係入するように回転軸9が追従回転する。回転軸9に連結ボス部29aが所定深さまで挿嵌されて、駆動ピン30が係合溝32に正しく係合されると、ファンボス29に内蔵された図示されていないロック爪が自動的に回転軸9の連結溝31に付勢係合され、これによって、回転軸9と排気用ファン2とが一体回転可能に連結される。
【0036】
また、ファンボス29の外周部に備えられた解除ノブ33をボス中心側に押し込み操作すると、内蔵されているロック爪が係合付勢力に抗して係合解除方向に強制後退され、この状態で排気用ファン2を下方に引き下げることで回転軸9から抜き外すことができ、清掃時における排気用ファン2の着脱をワンタッチ操作で行えるようになっている。
【0037】
ファンケーシング7の底面には、排気用ファン2の下端吸気部に臨む吸込み口10が形成されるとともに、ファンケーシング7は、本体ハウジング3の外方に延出された排気ダクト11に連通接続されている。
【0038】
前記フードケース4は、下面全体が開口された平面視矩形の浅い箱形に形成されており、図2に示すように、その奥側側壁部の下端辺に備えられた左右の係止爪12に、内装パネル5の奥端辺を係止した上で、内装パネル5の前端隅部をフードケース4にネジ締め固定するようになっている。
【0039】
フードケース4における奥側壁部には、照明ランプ13や種々の電気機器が装備されており、これらが内装パネル5によって覆い隠されるようになっている。また、内装パネル5には、ガラス板あるいは透光樹脂板からなるランプカバー14が開閉可能に備えられており、パネル装着状態において照明ランプ13の前面がランプカバー14で覆われる。フードケース4における前面には、各種の操作及び設定を行う操作部15が装備され、また、フードケース4と内装パネル5との間に形成される空隙が配線スペースとなっている。
【0040】
内装パネル5の天井部には、吸込み口10から流下する油液を受け止め回収する環状の油溜まり16aを備えたオイルトレー16が装着されている。このオイルトレー16の四隅には、図2に示すように、係止孔17と係止凹部18が備えられており、これらをファンケーシング7に備えられた係止金具50にそれぞれ横方向からスライド係止することで、オイルトレー16をファンケーシング7に着脱可能に連結することができるようになっている。
【0041】
整流板6は、フードケース4における下向き開口より一回り小さい略矩形の扁平板状に構成されている。整流板6は、その奥端部の左右に備えた孔付きの連結金具19を、内装パネル5の奥側に設けられた左右のフック20に係止し、その係止点を中心にして整流板6を持上げ揺動することで、整流板6における手前側の左右に突設した孔付きの連結金具21に、内装パネル5の左右に備えたロックピン22が付勢係合して、整流板6を内装パネル5に対して所定の装填位置に固定するように構成されている。
【0042】
整流板6が装填位置セットされた状態では、整流板6の外周端と内装パネル5の周壁部との間に環状の流路23が形成されている。また、内装パネル5の下面と整流板6の上面との間はフード内通路24となっており、このフード内通路24を介して流路23と吸込み口10とが連通している。ここで、環状の流路23を狭幅に形成することで、整流板6に当たった排気が狭幅の流路23内ヘと高速で流入するようになり、これにより、ケーシング側方への排気の溢流が抑制されて、吸込み口10を経由する排気の捕獲率が向上する。
【0043】
また、整流板6における奥端辺の中央部位には、ランプカバー14に対応する凹入部6aが形成され、照明ランプ13からの光が整流板6で遮られることなく前方下方に広く照射されるようになっている。
【0044】
なお、整流板6、内装パネル5、ファンケーシング7などの排気が触れる各部材の表面は、オイルガード塗装が施されて撥油性が付与されており、付着した油の流動が円滑に行われるとともに、付着した油の拭取りを容易に行うことができるようになっている。また、オイルトレー16には親水性塗装が施されて、オイルトレー16を水に浸すことで付着している油が浮き上がって除去しやすくなっている。
【0045】
図5に示すように、前記フードケース4の前面に設けられた操作部15には、照明スイッチS1、風力切換え用の運転スイッチS2、タイマースイッチS3、チャイルドロックスイッチを兼ねた切りスイッチS4、お手入れサインスイッチS5、及び、自動お手入れスイッチS6、等のスイッチ類と、各スイッチに対応するLEDからなるモニターランプL1~L9が備えられている。
【0046】
図6に示すように、操作部15からの指令信号、及び、後述のサーミスタ45からの温度検出信号は、制御部40に入力され、その信号に応じて排気用ファン2のオン/オフと風力切換え、照明ランプ13のオン/オフ、等が制御されるとともに、作動状態に対応してモニターランプL1~L9が点灯作動するようになっている。
【0047】
具体的には、照明スイッチS1を押すたびに照明ランプ13の点灯と消灯が切換えられ、点灯時にはモニターランプL1が点灯する。運転スイッチS2を押すと排気用ファン2が起動され、押す度に風力が、「弱」、「中」、「強」に循環式に順次切り換って、対応する風力のモニターランプL2~L4が点灯する。各風力に対応するファンの回転数は、例えば、電圧100V、静圧100paとして、「弱」が約600rpm、「中」が約800rpm、「強」が約1200~1300rpmである。
【0048】
タイマースイッチS3を押すと自動運転時間が設定され、設定時間の経過の後に自動的にファン運転が停止される。また、タイマースイッチS3を押し操作する度に、自動運転時間が「5分」,「15分」,「30分」に循環して切り換えられ、これに対応するモニターランプL5~L7が点灯する。切りスイッチS4を押すと運転作動している排気用ファン2が停止され、3秒以上長押しするとチャイルドロックがかかり、再度3秒以上長押しするとロックが解除される。お手入れサインスイッチS5は、お手入れ時期を選択するものであり、押し操作の度に、「30日」,「60日」,「90日」の設定を切り換えることができる。その設定操作に伴って日数積算が開始され、満了期日に至るとモニターランプL8が点灯(あるいは点滅)して使用者に清掃等の手入れを促す。なお、お手入れサインスイッチS5を3秒以上長押しすると、ブザー41(図6参照)が鳴動して積算日数がリセットされ、かつ、モニターランプL8が消灯される。
【0049】
自動お手入れスイッチS6は、積算日数が経過して、お手入れサインのモニターランプL8が点灯し、使用者が、清掃を希望する場合に操作され、あるいは、積算日数に関わらず、また、レンジフードの運転の有無に関らず、使用者が、清掃を希望する場合に操作するものであり、この自動お手入れスイッチS6の操作によって、お手入れ運転モードが実行される。
【0050】
この実施形態では、排気用ファン2を回転駆動して、排気用ファン2に付着した油分を遠心分離してオイルトレー16に回収するためのお手入れ運転モードにおいて、必要以上に排気用ファン2を高い回転数で、長時間に亘って駆動してエネルギーを無駄に消費したり、逆に、排気用ファン2の回転数が低く、駆動時間が短いために、排気用ファン2に付着した油分を十分に遠心分離できなかったりするのを防止するために、次のように構成している。
【0051】
排気用ファン2の温度が高ければ、この排気用ファン2に付着している油分の温度も高く、したがって、排気用ファン2に付着している油分の粘性は弱く、油分を遠心分離するのが容易である。
【0052】
一方、排気用ファン2の温度が低ければ、この排気用ファン2に付着している油分の温度も低く、したがって、排気用ファン2に付着している油分の粘性は強く、油分を遠心分離するのが容易でない。
【0053】
このため、排気用ファン2に付着した油分の粘性、すなわち、遠心分離のし易さに応じて、排気用ファン2の回転数及び駆動時間を設定してお手入れ運転モードを実行することが好ましい。
【0054】
そこで、この実施形態では、排気用ファン2の温度と相関のある排気用ファン2を流通する排気の温度を検出し、検出した排気の温度に基づいて、お手入れ運転モードにおける排気用ファン2の回転数及び駆動時間を設定するようにしている。
【0055】
すなわち、この実施形態では、排気用ファン2を流通する排気温度を検出する温度検出手段として、サーミスタ45を、図3に示すように、本体ハウジング3の排気通路の近傍に設置し、排気用ファン2の温度と関連のある排気の温度を検出している。このサーミスタ45は、リードタイプであり、感温部が排気通路に近接するように図示しない接着剤によって固定され、感温部から延出されたリード線が、本体ハウジング3外の図示しない回路基板に半田付けあるいは接続コネクターを介して接続されている。
【0056】
この実施形態では、排気用ファン2の温度に関連する、サーミスタ45によって検出される排気温度が低いとき、具体的には、検出される排気温度が所定温度未満であるときには、排気用ファン2に付着した油分の温度も低く、したがって、油分の粘性が強く、遠心分離しにくいとして、排気温度が所定温度以上であるときに比べて、排気用ファン2の回転数を高くすると共に、駆動時間を長くしたお手入れ運転モードを実行する。
【0057】
図7は、この実施形態のお手入れ運転モードの制御の一例を示すフローチャートである。
【0058】
先ず、運転スイッチS2が操作されてレンジフードの運転が開始されると(ステップS1)、レンジフードの運転日数が積算され(ステップS2)、切りスイッチS4が操作されてレンジフードの運転が停止されると(ステップS3)、運転されたレンジフードの積算日数が、所定日数Ds以上であるか否かを判断する(ステップS4)。この所定日数Dsは、お手入れサインスイッチS5の操作によって設定された、上記の「30日」,「60日」,「90日」のいずれかの日数である。
【0059】
ステップS4で、積算日数が所定日数以上であるときには、お手入れサインのモニターランプL8を点灯し(ステップS5)、自動お手入れが設定されているか否かを判断する(ステップS6)。この実施形態では、自動お手入れスイッチS6がONされたか否かを判断し、自動お手入れスイッチS6がONされたときには、排気用ファン2の温度と相関のある排気温度をサーミスタ45によって検出し(ステップS7)、ステップS8に移る。
【0060】
ステップS8は、検出された排気温度が高いか否か、具体的には、排気温度が、所定温度である、例えば、15℃以上であるか否かを判断する。なお、15℃は一例であり、所定温度は、15℃以外の温度であってもよい。
【0061】
排気温度が15℃以上であるときには、排気の温度は高く、排気用ファン2及び排気用ファン2に付着している油分の温度は高く、したがって、油分の粘性は弱く、遠心分離し易いとして、例えば、通常の排気運転における、回転数「強」で排気運転を、例えば、「10分」行うお手入れ運転モードを実行する(ステップS9,S10)。これによって、排気用ファン2に付着残留している油分が遠心分離されて、ファンケーシング7へ導かれる。その後、レンジフードの運転の積算日数をリセットし(ステップS11)、お手入れサインのモニターランプL8を消灯して終了する(ステップS12)。
【0062】
ステップS8で、排気の検出温度が、15℃以上でないときには、排気の温度は低く、排気用ファン2及び排気用ファン2に付着している油分の温度は低く、したがって、油分の粘性は強く、遠心分離しにくいとして、上記のステップS9,S10のお手入れ運転モードに比べて、排気用ファン2の回転数を高く設定すると共に、駆動時間を長く設定する。具体的には、排気用ファン2の回転数を、例えば、通常の排気運転における、回転数「強」の1.5倍の回転数とし、排気運転の時間を、例えば、「10分」の1.5倍である「15分」としたお手入れ運転モードを実行してステップS11に移る(ステップS13,S14)。これによって、排気用ファン2に付着残留している油分が遠心分離されて、ファンケーシング7へ導かれる。
【0063】
上記ステップS6で、自動お手入れが設定されていないときには、使用者自身が排気用ファン2を外して洗浄し、排気用ファン2をセットし(ステップS15)、レンジフードの運転の積算日数をリセットするためのリセット操作をし(ステップS16)、お手入れサインのモニターランプL8を消灯して終了する(ステップS17)。
【0064】
ファンケーシング7の内面に付着した油は、自重で流下し、図3に示されるケーシング底面7aを経て吸込み口10側に導かれ、オイルトレー16の油溜まり16aに回収される。ここで、ファンケーシング7の底面7aは、吸込み口10に向けて先下がり傾斜されており、油は底面7aに滞留することなくオイルトレー16に流下しやすいものとなっている。
【0065】
また、オイルトレー16は、上記のように、その四隅の係止孔17及び係止凹部18を、ファンケーシング7に備えられた係止金具50に横方向からスライド係止して連結しているので、オイルトレー16を、横スライド操作することで取り外すことができる。したがって、上記お手入れ運転モードが終了した後、整流板6を下方に揺動開放した上で、オイルトレー16を取り外して、溜まった油を廃棄する。
【0066】
上記図7では、排気温度が、所定温度としての15℃以上と15℃未満との2段階に区分し、各段階に対応させて、お手入れ運転モードにおける排気用ファン2の回転数及び駆動時間をそれぞれ設定したが、本発明の他の実施形態として、所定温度を複数とし、排気温度を3段階以上に区分し、各段階に対応させて、お手入れ運転モードにおける排気用ファン2の回転数及び駆動時間をそれぞれ設定してもよい。
【0067】
例えば、所定温度として30℃を加え、排気温度が、15℃以上30℃未満は、上記のように通常の排気運転における、回転数「強」で排気運転を「10分」行うお手入れ運転モードとし、排気温度が30℃以上のときは、例えば、通常の排気運転における、回転数「弱」で排気運転を「8分」行うお手入れ運転モードとしてもよい。
【0068】
また、上記のように、所定温度を複数とし、排気温度を3段階以上に区分し、各段階に対応させて、お手入れ運転モードにおける排気用ファン2の回転数及び駆動時間をそれぞれ設定する場合には、各段階において、排気用ファン2の回転数及び駆動時間が、全て異なる必要はなく、回転数や駆動時間が共通の段階があってもよい。
【0069】
本実施形態によると、サーミスタ45によって検出される排気用ファン2を流通する排気の温度に基づいて、排気用ファン2の回転数及び駆動時間を設定してお手入れ運転モードを実行するので、排気用ファン2に付着した油分の粘性、すなわち、遠心分離のし易さに応じて、排気用ファン2の回転数を設定することができる。これによって、必要以上に高い回転数で排気用ファン2を回転駆動して無駄にエネルギーを消費するのを防止して、省エネ及び低騒音化を図ることができ、逆に低い回転数で排気用ファン2を駆動して排気用ファン2に付着した油分の遠心分離が不十分となるのを回避することができる。
【0070】
また、お手入れ運転モードでは、排気用ファン2を、排気温度に基づいて設定された回転数で回転させ、排気用ファン2に付着した油を遠心分離し、ファンケーシング7に沿って流下する油をオイルトレー16で回収して簡単に廃棄することができ、サーミスタ45を設けると共に、排気用ファン2の駆動制御に改良を施すという簡単かつ安価な構成で、排気に含まれる油分を効率よく捕集して、簡単に廃棄することができる。
【0071】
上記図7では、排気運転の積算日数が所定日数以上になったときに、お手入れ運転モードを実行したが、排気運転の積算日数に関わらず、使用者の操作によってお手入れ運転モードを実行してもよい。
【0072】
図8は、排気運転の積算日数に関わらず、また、レンジフードの運転の有無に関らず、お手入れ運転モードを実行する場合のフローチャートである。
【0073】
先ず、使用者が、自動お手入れスイッチS6をONするとお手入れサインのモニターランプL8を点灯し(ステップS101,102)、レンジフードの運転が停止しているか否か判断し(ステップS103)、レンジフードの運転が停止しているときには、排気用ファン2の温度と相関のある排気温度をサーミスタ45によって検出し(ステップS104)、ステップS105へ移る。
【0074】
ステップS105では、排気の検出温度が高いか否か、具体的には、排気温度が、所定温度である、例えば、15℃以上であるか否かを判断する。
【0075】
排気温度が15℃以上であるときには、排気の温度は高く、排気用ファン2及び排気用ファン2に付着している油分の温度は高く、したがって、油分の粘性は弱く、遠心分離し易いとして、例えば、通常の排気運転における、回転数「強」で排気運転を、例えば、「10分」行うお手入れ運転モードを実行する(ステップS106,S107)。これによって、排気用ファン2に付着残留している油分が遠心分離されて、ファンケーシング7へ導かれる。その後、レンジフードの運転の積算日数をリセットし(ステップS108)、お手入れサインのモニターランプL8を消灯して終了する(ステップS109)。
【0076】
ステップS105で、排気の検出温度が、15℃以上でないときには、排気の温度は低く、排気用ファン2及び排気用ファン2に付着している油分の温度は低く、したがって、油分の粘性は強く、遠心分離しにくいとして、上記のステップS106,S107のお手入れ運転モードに比べて、排気用ファン2の回転数を高くすると共に、駆動時間を長く設定する。具体的には、排気用ファン2の回転数を、例えば、通常の排気運転における、回転数「強」の1.5倍の回転数とし、排気運転の時間を、例えば、「10分」の1.5倍である「15分」としたお手入れ運転モードを実行してステップS108に移る(ステップS110,S111)。これによって、排気用ファン2に付着残留している油分が遠心分離されて、ファンケーシング7へ導かれる。
【0077】
この図8においても、上記図7と同様に、所定温度を複数とし、排気温度を3段階以上に区分し、各段階に対応させて、お手入れ運転モードにおける排気用ファン2の回転数及び駆動時間をそれぞれ設定してもよい。
【0078】
上記実施形態では、排気用ファン2の温度と相関のある排気温度を検出したが、本発明の他の実施形態として、排気用ファン2の温度と相関のある排気用ファン2を駆動する駆動モータ8の温度を検出してもよい。具体的には、図9に示すように、駆動モータ8のモータケースにサーミスタ45を取付けてその温度を検出する。
【0079】
この実施形態においても、上記実施形態と同様に、サーミスタ45によって検出される駆動モータ8の温度に基づいて、排気用ファン2の回転数及び駆動時間を設定してお手入れ運転モードを実行する。
【0080】
なお、駆動モータ8の駆動制御回路自体に、駆動モータ8の温度検出回路を備えている場合には、サーミスタ45を設けることなく、温度検出回路を利用すればよく、安価な構成となる。
【0081】
本発明の他の実施形態として、排気用ファン2を流通する排気の温度、あるいは、排気用ファン2を駆動する駆動モータ8の温度を検出するのに代えて、排気用ファン2の温度を検出してもよい。
【0082】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0083】
(1)自動お手入れスイッチS6を使用者が操作しなくても、排気用ファン2の運転が停止されて一定時間、例えば1時間使用されていなければ、自動的にお手入れ運転モードを実行するようにしてもよい。
【0084】
(2)上記各実施形態のお手入れ運転モードでは、排気用ファン2を、通常の排気運転時と同方向に正転駆動したが、お手入れ運転モードを実行する期間の少なくとも一部期間では、排気用ファン2を、通常の排気運転時とは逆方向に逆転駆動してもよい。
【0085】
例えば、お手入れ運転モードの前半を正転駆動し、後半を逆転駆動する、あるいは、正転駆動と逆転駆動とを、一定期間毎、例えば1分毎に交互に切換えるようにしてもよい。
【0086】
排気用ファン2を逆転駆動することによって、正転駆動する場合に比べて、排気用ファン2の駆動負荷を小さくして省エネ及び低騒音化を図ることができる。
【0087】
また、排気用ファン2の回転方向の反転によって、遠心力と排気流動とに変化が与えられ、排気用ファン2に付着した油分の遠心分離が促進される。
【0088】
(3)上記実施形態では、各検出温度に応じて設定される排気用ファン2の回転数を一定としたが、お手入れ運転モードにおいて、徐々に回転数を上げるなど可変させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 レンジフード
2 排気用ファン
3 本体ハウジング
7 ファンケーシング
16 オイルトレー
40 制御部
45 サーミスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9