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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】トンネル掘進機のセンターカッター
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20231108BHJP
   E21D 9/12 20060101ALI20231108BHJP
   E21D 9/10 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
E21D9/087 A
E21D9/12 D
E21D9/10 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019230556
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021098969
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000228811
【氏名又は名称】日本シビックコンサルタント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516308364
【氏名又は名称】JIMテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 孝義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】加島 豊
(72)【発明者】
【氏名】保苅 実
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓人
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-211477(JP,A)
【文献】特開2017-008554(JP,A)
【文献】特開2019-183558(JP,A)
【文献】特開2001-342798(JP,A)
【文献】特開昭62-242097(JP,A)
【文献】特開平06-346688(JP,A)
【文献】米国特許第05203614(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/087
E21D 9/12
E21D 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシン本体の前面に切羽室を介在して前記マシン本体の前面の中心から延びる回転筒を介してカッターヘッドが回動可能に設けられ、前記カッターヘッドの前面板の略中央にセンターカッター取付口が形成され、前記センターカッター取付口と前記カッターヘッドの後面板との間にセンターカッター取付部が設けられて、前記センターカッター取付部に複数のカッタービットが回転可能に取り付けられ、前記カッターヘッドの略中央で切羽を掘削する泥水式シールドマシン及び泥土圧式シールドマシンを含むトンネル掘進機のセンターカッターにおいて、
前記前面板の前記センターカッター取付口と前記後面板との間に前記センターカッター取付部の後部に掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに取り込むためのズリ取り込みスペースを有するセンターカッター室が画成され、
前記カッターヘッドと前記センターカッター室と前記マシン本体との間に、前記カッターヘッドの前面側に泥水又は作泥土材を送り込み、前記センターカッターにより掘削する掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに前記センターカッター取付口を通じて前記センターカッター室内に取り込ませ、前記センターカッター室から掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに前記切羽室へ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路を備え、
前記センターカッター取付口と前記センターカッターとの間の掘削ズリの流入排出を促進する、
ことを特徴とするトンネル掘進機のセンターカッター。
【請求項2】
センターカッター取付部の少なくとも片側一方の側部にマシン本体側の大気圧に連通されるカッタービット交換作業室が画成され、前記センターカッター取付部に前記センターカッター取付部と前記カッタービット交換作業室との間でカッタービットを交換するためのカッタービット交換装置が設置され、前記カッタービット交換装置は、カッターヘッドの前面板のセンターカッター取付口から後面板に向けて略円筒状に形成される回動ガイドと、前記回動ガイド内に回動軸を介して回動可能に嵌合配置される回動体と、前記回動ガイド内で前記回動体を駆動する回動体駆動装置と、前記回動体の回動をロックする回動体ロック装置とを備えて構成され、センターカッター室は前記回動体の内部に画成される請求項1に記載のトンネル掘進機のセンターカッター。
【請求項3】
トンネル掘進機は泥水式シールドマシンとして構成され、センターカッター室に泥水とともに掘削ズリをズリ取り込みスペースから外部に排出するための排出口を有し、掘削ズリ導出路は、一端が前記センターカッター室の前記排出口に連結され、回転筒に通されて、他端がマシン本体側で前記回転筒の軸心上に配置される排泥配管と、一端が前記マシン本体側で前記回転筒の軸心上に配置されるスイベルジョイントを介して前記排泥配管の他端に連結される排泥中継管と、前記排泥中継管の他端に連結されるポンプと、前記ポンプに一端が連結され、他端が吐出口として前記マシン本体の前面に前記切羽室に向けて配置される排泥供給配管とを備えて構成され、前記センターカッター室に取り込まれた掘削ズリを泥水とともに前記切羽室に循環させる請求項1又は2に記載のトンネル掘進機のセンターカッター。
【請求項4】
トンネル掘進機は泥土圧式シールドマシンとして構成され、センターカッター室に作泥土材とともに掘削ズリをズリ取り込みスペースから外部に排出するための排出口を有し、掘削ズリ導出路は、一端が前記センターカッター室の前記排出口に連結され、他端が前記切羽室に連結される排泥配管と、マシン本体側に設置され、作泥土材を供給するポンプ駆動の作泥土材供給装置と、一端が前記作泥土材供給装置に連結され、他端が前記マシン本体側で回転筒の軸心上に配置されるスイベルジョイントに連結されるマシン本体側の作泥土材供給管と、一端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントを介して前記マシン本体側の作泥土供給管の他端に連結され、他端側が前記回転筒、カッターヘッドを経由して、他端が吐出口として前記カッターヘッドの前面板に開口されるカッターヘッド側の作泥土材供給管と、一端が前記作泥土供給装置に連結され、他端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントに連結されるマシン本体側の作泥土材送給管と、一端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントを介して前記マシン本体側の作泥土材送給管の他端に連結され、他端側が前記回転筒を経由して、他端が前記排泥配管の前記センターカッター室の排出口近傍に連結される排泥配管側の作泥土材送給管とを備えて構成され、前記カッターヘッドの前面側に作泥土材を供給するとともに、前記排泥配管に作泥土材を送給して、前記カッターヘッドで掘削された掘削ズリを作泥土材とともに前記センターカッター室に取り込み、前記排泥配管で作泥土材を混入させて、前記切羽室へ排出する請求項1又は2に記載のトンネル掘進機のセンターカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中の岩盤や地盤を掘進する泥水式シールドマシンや泥土圧式シールドマシン、さらに長距離で地中深度や水深深度の大きな地盤を掘進する大口径のシールドマシンを含むトンネル掘進機のセンターカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトンネル掘進機が特許文献1により提案されている。この文献1のトンネル掘進機は、シールドジャッキ(図示省略)により推進されるシールド本体(掘削機本体)と、シールド本体の前部に回転可能に装着され、前面に複数のカッタービットを有するカッターヘッドとを備える。
【0003】
シールド本体は全体が略円筒体をなし、その前部に切羽崩壊土圧を保持する隔壁が設けられて、この隔壁に軸受を介して旋回環・ギアがシールド本体軸心回りに回転可能に支持され、この旋回環・ギアに複数のカッターヘッド支持桁が前方に突設されて、これらのカッターヘッド支持桁の前端部に円形のカッターヘッドが取り付けられる。また、隔壁の後部の大気圧側には、カッターヘッドを回転駆動するカッター駆動装置が設置される。カッター駆動装置は、旋回環・ギアの背面に設けられたリングギアと、このリングギアに噛み合う複数の駆動ピニオンと、駆動ピニオンをそれぞれ回転駆動する複数の駆動モーターとにより構成される。
【0004】
かかるシールド本体前部のカッターヘッドの前面に複数のカッタービットが設けられる。この場合、カッターヘッドは、シールド本体の軸心上に配置される回転筒と、回転筒から半径方向に沿って延びる複数本のカッタースポークと、シールド本体の軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタースポークを連結する外周リングとを備え、各カッタースポークの前面板に岩盤や礫を破砕するローラービットがそれぞれ半径方向に沿う半径軸回りに回転自在に配設され、各カッタースポークの両側部に複数のティースビットが配設されて構成される。また、各カッタースポーク内にはローラービットの交換作業を行うためのローラービット交換作業室が設けられ、回転筒内には、作業員が出入り可能な出入り室が設けられる。この出入り室は隔壁を貫通してシールド本体内の大気圧側からカッタースポーク内のローラービット交換作業室へローラービット交換作業室側の人孔を通じて出入り可能に連通される。
【0005】
また、この場合、カッターヘッドは、各カッタースポークの前面板に複数のローラービット取付口を有し、後面板に複数の排土口を有し、各ローラービット取付口と各排土口との間に複数のローラービット回転支持機構が設置され、各ローラービット回転支持機構の少なくとも片側一方にシールド本体側の大気圧に連通されるローラービット交換作業室が画成され、複数のローラービットがそれぞれ、各カッタースポーク内に各ローラービット回転支持機構を介してカッターヘッドの切削方向に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられ、刃先の一部が各カッタースポークの前面板の各ローラービット取付口から突出される。
【0006】
このようにしてトンネル掘進機はカッターヘッドを地山の切羽に押し当て回動させながら切羽を掘削し、掘削ズリを排出しながら、シールドジャッキ(図示省略)により前進し、地山を推進するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017- 8554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種のトンネル掘進機では、カッターヘッドの外周部から中間部までは各カッタースポーク間に開口部が大きく設けられ、各カッタースポークの両側部に複数のティースビットが設けられるので、カッターヘッドで掘削されたズリをカッターヘッドとマシン本体(の圧力隔壁)との間の切羽室へ取り込みやすい。さらに、カッターヘッドの外周部から中間部はカッタースポークの周速度が割合大きいので、掘削ズリが動きやすく、各ローラービット取付口からも取り込みやすく、各ローラービット取付口内の各ローラービット周辺にズリの固着が少ない。これに対して、カッターヘッドの略中央のローラービット取付口にセンターカッターとして岩盤掘削に適する複数のローラービットが一列に連接配置されて取り付けられるが、カッターヘッドの中央部は回転半径が小さく、カッタースポークが集中することもあって開口部が確保しにくいため、カッターヘッドの中央部から切羽室への掘削ズリの取り込みが困難である、という問題がある。さらに、カッターヘッドの中央部は円周方向の速度が小さく各ローラービット周辺の掘削ズリの動きが鈍いことから、各ローラービット取付口から掘削ズリが取り込みにくく、掘削ズリが固結しやすい、という問題がある。このようにローラービット取付口に掘削ズリが滞留し、これが固結して掘削ズリの取り込みができなくなると、ローラービットは回転不能となり、ローラービットが異常に摩耗したり、ローラービットに力が集中してローラービットの固定フレームが破壊されたりするなどの重大な事故に陥るおそれがあり、これらの課題を解決することが強く求められている。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種のトンネル掘進機のセンターカッターにおいて、ローラービット取付口からズリを取り込みやすくし、ローラービット取付口で掘削ズリが固結しないようにして、カッターヘッド前面の中央部からカッターヘッド後方の切羽室へ掘削ズリを円滑かつ確実に排出すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
マシン本体の前面に切羽室を介在して前記マシン本体の前面の中心から延びる回転筒を介してカッターヘッドが回動可能に設けられ、前記カッターヘッドの前面板の略中央にセンターカッター取付口が形成され、前記センターカッター取付口と前記カッターヘッドの後面板との間にセンターカッター取付部が設けられて、前記センターカッター取付部に複数のカッタービットが回転可能に取り付けられ、前記カッターヘッドの略中央で切羽を掘削する泥水式シールドマシン及び泥土圧式シールドマシンを含むトンネル掘進機のセンターカッターにおいて、
前記前面板の前記センターカッター取付口と前記後面板との間に前記センターカッター取付部の後部に掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに取り込むためのズリ取り込みスペースを有するセンターカッター室が画成され、
前記カッターヘッドと前記センターカッター室と前記マシン本体との間に、前記カッターヘッドの前面側に泥水又は作泥土材を送り込み、前記センターカッターにより掘削する掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに前記センターカッター取付口を通じて前記センターカッター室内に取り込ませ、前記センターカッター室から掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに前記切羽室へ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路を備え、
前記センターカッター取付口と前記センターカッターとの間の掘削ズリの流入排出を促進する、
ことを要旨とする。
【0011】
また、このセンターカッターは次のように具体化される。
(1)センターカッター取付部の少なくとも片側一方の側部にマシン本体側の大気圧に連通されるカッタービット交換作業室が画成され、前記センターカッター取付部に前記センターカッター取付部と前記カッタービット交換作業室との間でカッタービットを交換するためのカッタービット交換装置が設置され、前記カッタービット交換装置は、カッターヘッドの前面板のセンターカッター取付口から後面板に向けて略円筒状に形成される回動ガイドと、前記回動ガイド内に回動軸を介して回動可能に嵌合配置される回動体と、前記回動ガイド内で前記回動体を駆動する回動体駆動装置と、前記回動体の回動をロックする回動体ロック装置とを備えて構成され、センターカッター室は前記回動体の内部に画成される。
(2)トンネル掘進機は泥水式シールドマシンとして構成され、センターカッター室に泥水とともに掘削ズリをズリ取り込みスペースから外部に排出するための排出口を有し、掘削ズリ導出路は、一端が前記センターカッター室の前記排出口に連結され、回転筒に通されて、他端がマシン本体側で前記回転筒の軸心上に配置される排泥配管と、一端が前記マシン本体側で前記回転筒の軸心上に配置されるスイベルジョイントを介して前記排泥配管の他端に連結される排泥中継管と、前記排泥中継管の他端に連結されるポンプと、前記ポンプに一端が連結され、他端が吐出口として前記マシン本体の前面に前記切羽室に向けて配置される排泥供給配管とを備えて構成され、前記センターカッター室に取り込まれた掘削ズリを泥水とともに前記切羽室に循環させる。
(3)トンネル掘進機は泥土圧式シールドマシンとして構成され、センターカッター室に作泥土材とともに掘削ズリをズリ取り込みスペースから外部に排出するための排出口を有し、掘削ズリ導出路は、一端が前記センターカッター室の前記排出口に連結され、他端が前記切羽室に連結される排泥配管と、マシン本体側に設置され、作泥土材を供給するポンプ駆動の作泥土材供給装置と、一端が前記作泥土材供給装置に連結され、他端が前記マシン本体側で回転筒の軸心上に配置されるスイベルジョイントに連結されるマシン本体側の作泥土材供給管と、一端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントを介して前記マシン本体側の作泥土供給管の他端に連結され、他端側が前記回転筒、カッターヘッドを経由して、他端が吐出口として前記カッターヘッドの前面板に開口されるカッターヘッド側の作泥土材供給管と、一端が前記作泥土材供給装置に連結され、他端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントに連結されるマシン本体側の作泥土材送給管と、一端が前記マシン本体側で前記スイベルジョイントを介して前記マシン本体側の作泥土材送給管の他端に連結され、他端側が前記回転筒を経由して、他端が前記排泥配管の前記センターカッター室の排出口近傍に連結される排泥配管側の作泥土材送給管とを備えて構成され、前記カッターヘッドの前面側に作泥土材を供給するとともに、前記排泥配管に作泥土材を送給して、前記カッターヘッドで掘削された掘削ズリを作泥土材とともに前記センターカッター室に取り込み、前記排泥配管で作泥土材を混入させて、前記切羽室へ排出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセンターカッターでは、カッターヘッドのセンターカッター取付口と後面板との間にセンターカッター室を画成し、カッターヘッドとセンターカッター室とマシン本体との間に、カッターヘッドの前面側に泥水又は作泥土材を送り込み、センターカッターにより掘削する掘削ズリを泥水又は作泥土材とともにセンターカッター取付口を通じてセンターカッター室内に取り込ませ、センターカッター室から掘削ズリを泥水又は作泥土材とともに切羽室へ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路を設け、センターカッター取付口とセンターカッターとの間の掘削ズリの流入排出を促進するようにしたので、センターカッター取付口からズリを取り込みやすくし、センターカッター取付口で掘削ズリが固結しないようにして、カッターヘッド前面の中央部からカッターヘッド後方の切羽室へ掘削ズリを円滑かつ確実に排出することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1、第2の実施の形態に例示するトンネル掘進機の前部側の内部構成を示す部分側面断面図
図2】同トンネル掘進機の特にカッターヘッドの構成を示す正面図
図3】本発明の第1の実施の形態におけるトンネル掘進機のセンターカッター及びその関連各部の構成を示す部分側面断面図
図4】同トンネル掘進機のセンターカッター及びその関連各部の要部の構成を示す図
図5】同トンネル掘進機のマシン本体内に備える一般的な排泥回路、及び地上に設置される一般的な排泥処理設備の概要を示す概略構成図
図6】本発明の第2の実施の形態におけるトンネル掘進機のセンターカッター及びその関連各部の構成を示す部分側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0015】
図1図2に実施の形態1、2に例示するトンネル掘進機の共通の構成を示している。
図1に示すように、トンネル掘進機Mは、シールドジャッキ(図示省略)により推進されるマシン本体(掘削機本体)M10と、マシン本体M10の前面に切羽室Sを介在してマシン本体M10の前面の中心から延びる回転筒M12を介して回動可能に装着され、前面に複数のカッタービットCを有するカッターヘッドM11とを備える。
【0016】
図1に示すように、マシン本体M10は全体が略円筒体をなし、その前面に切羽崩壊土圧を保持する隔壁M13が設けられて、この隔壁M13に軸受(図示省略)を介して旋回環・ギアM14がマシン本体M10軸心回りに回転可能に支持され、この旋回環・ギアM14に複数のカッターヘッド支持桁M15が前方に突設されて、これらのカッターヘッド支持桁M15の前端部に円形のカッターヘッドM11が取り付けられる。また、隔壁M13の後部の大気圧側には、カッターヘッドM11を回転駆動するカッター駆動装置M16が設置される。カッター駆動装置M16は、旋回環・ギアM14の背面に設けられたリングギア(図示省略)と、このリングギアに噛み合う複数の駆動ピニオンM161と、駆動ピニオンM161をそれぞれ回転駆動する複数の駆動モーターM162とにより構成される。
【0017】
図2に示すように、カッターヘッドM11は、マシン本体M10の前面軸心上に配置される回転筒M12と、回転筒M12から半径方向に沿って延びる複数本のカッタースポークM17と、各カッタースポークM17間の複数の開口部M18と、マシン本体M10の軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタースポークM17を連結する外周リングM19とを備え、各カッタースポークM17の前面板M171の略中央にセンターカッター取付口M20、中間部にインナーカッター取付口M21、外周端にゲージカッター取付口M22を有し、後面板M172に複数の排土口M23(図3図6参照)を有し、これらセンターカッター取付口M20、インナーカッター取付口M21、ゲージカッター取付口M22と各排土口M23との間に複数のローラービット交換装置Eが設置され、岩盤や礫を破砕する複数のローラービットC1がそれぞれ、各カッタースポークM17内に各カッタービット交換装置Eを介してカッターヘッドM17の切削方向に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられて、刃先の一部が各カッタースポークM17の前面板M171の各取付口M20、M21、M22から突出され、各カッタースポークM17の両側部に複数のティースビットC2が配設されて構成される。
【0018】
また、図1に示すように、各カッタースポークM17内には各カッタービット交換装置Eの少なくとも片側一方にカッタービットCの交換作業を行うためのカッタービット交換作業室Rが設けられ、このカッタービット交換作業室Rとマシン本体M10との間の回転筒M12内にマシン本体M10からカッタービット交換作業室Rへ作業員が出入り可能に通路室M120が設けられ、カッタービット交換作業室Rはマシン本体M10側の大気圧に連通される。
【0019】
このようにしてトンネル掘進機MはカッターヘッドM11を地山の切羽に押し当て回動させながら切羽を掘削し、掘削ズリをマシン本体Mの排出設備を通して排出しながら、シールドジャッキにより前進し、地中を掘進するようになっている。
【0020】
(実施の形態1)
図3に実施の形態1を示している。
図3に示すように、このトンネル掘進機Mは、センターカッター1及びその関連各部を除き、一般に知られている泥水式シールドマシンM1(以下、泥水式シールドマシンM1という。)として構成される。この泥水式シールドマシンM1は、既述のとおり、マシン本体M10の前面に切羽室Sを介在してマシン本体M10の前面の中心から延びる回転筒M12を介してカッターヘッドM11が回動可能に設けられる。
【0021】
この泥水式シールドマシンM1のセンターカッター1は、カッターヘッドM11(カッタースポークM17)の前面板M171の略中央にセンターカッター取付口M20が形成され、このセンターカッター取付口M20とカッターヘッドM11(カッタースポークM17)の後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fが設けられて、センターカッター取付部10Fに複数のカッタービットCが回転可能に取り付けられて構成され、カッターヘッドM11の略中央で切羽を掘削するようになっている。
【0022】
このセンターカッター1では、前面板M171のセンターカッター取付口M20が直径方向に長い矩形状に形成され(図2参照)、また、センターカッター取付口M20から見て後面板M172の上部側に排土口M23(図3参照)が形成されて、前面板M171のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fが設けられる。このセンターカッター取付部10Fに複数のローラービットC1が同一軸上で回動可能に上下方向に連結されて取り付けられる。また、このセンターカッター1の場合、センターカッター取付部10Fの少なくとも片側一方の側部に上下方向に複数のカッタービット交換作業室Rが画成され、それぞれ、泥水式シールドマシンM1のマシン本体M10側の大気圧に連通される。
【0023】
ここでカッタービット交換装置Eは、図4に示すように、センターカッター取付部10Fに設置されて、センターカッター取付部10Fと各カッタービット交換作業室Rとの間でローラービットC1を交換する形式のもので、前面板M171のセンターカッター取付口M20から後面板M172に向けて略円筒状に形成される回動ガイドE1と、回動ガイドE1内に回動軸E21を介して回動可能に嵌合配置される回動体E2と、回動ガイドE1内で回動体E2を駆動する回動体駆動装置E3(図3参照)と、回動体E2の回動をロックする回動体ロック装置E4(図3参照)と、一端がカッタービット交換装置Eに連結され、他端側が後面板M172の排土口M23(図3参照)に通される排泥配管E5とを備えて構成される。
【0024】
回動ガイドE1は、カッタースポークM17内で前面板M171側に、前面板M171のセンターカッター取付口M20の両側縁部を通り、円弧の一部が前面板M171のセンターカッター取付口M20から前方所定の範囲に突出されるカッタースポークM17内の仮想円周に沿って略円筒状に形成され、内周面がガイド面E10になっている。回動ガイドE1の上面、下面は上面部、下面部として閉塞され、その中心に軸受E11(図1参照)が略円筒状に突出される。回動ガイドE1の後部には上下方向略中央に管孔E12が形成される。回動ガイドE1の片側一方の側面部にはカッタービット交換口E13が形成される。この場合、カッタービット交換口E13は回動ガイドE1のカッタービット交換作業室R側の一方の側面部に各カッタービット交換作業室R毎にカッタービットCを挿通可能に矩形状の開口として形成される。各カッタービット交換口E13に蓋E14が着脱可能に取り付けられる。蓋E14はカッタービット交換口E13に嵌合可能な矩形状の本体E14aと本体E14aの全周縁に段差を付けて延長されカッタービット交換口E13の全周縁部に当接可能なフランジE14bとからなり、一方の側面部に図示されないボルトにより締結されるようになっている。なお、この蓋E14は、一方の側部がカッタービット交換口E13の一方の側縁部にヒンジを介して取り付けられ、他方の側部、上下各部がボルト止めされてもよい。
【0025】
回動体E2は、回動ガイドE1内のガイド面E10に嵌合可能に前面部E22がカッタースポークM17のセンターカッター取付口M20に沿って配置可能に平坦面で頂面部及び底面部を有する中空の略円筒形形状に形成され、この略円筒形形状の頂面部、底面部の中心に回動ガイドE1の各軸受E11に嵌合可能に回動軸E21を、略円筒形形状の前面部E22の平坦面に複数のローラービットC1の刃先を突出可能にかつ掘削ズリを取り込み可能な開口部E220を、後面部E23で回動ガイドE1の管孔E12に対応する位置に呑口E24を、略円筒形形状の前面部E22で頂面部と底面部との間に複数のローラービットC1を支持固定するカッタービット支持固定部E25を、それぞれ有する。このようにして回動体E2は回動ガイドE1内に回動軸E21を介して回動可能に嵌合配置される。
【0026】
また、この回動体E2においてカッタービット支持固定部E25は、図3に示すように、略円筒形形状の前面部E22で頂面部と底面部との間に形成され、ローラービットC1をカッタービット支持部材E251を介して支持固定するようになっている。ここでカッタービット支持部材E251は、特に図示しないが、ローラービットC1を回転可能に支持する支持部と、支持部の両端に断面角形のブロック状に形成される一対の固定部とからなる。カッタービット支持固定部E25は、特に図示しないが、回動体E2の頂面部、底面部、及び頂面部と底面部との間に所定の間隔で設置される複数の軸受部の一部に設けられる。回動体E2の頂面部、底面部においては、カッタービット支持固定部E25は、回動体E2の回動軸E21の前側の内面にカッタービット支持部材E251の各固定部を嵌合可能に形成される断面角形の一対の溝と、カッタービット支持部材E251の各固定部と回動体E2の頂面部、底面部との間に締結されるボルトとからなる。また、複数の軸受部においては、カッタービット支持固定部E25は、カッタービット支持部材E251の各固定部を嵌合可能に断面角形の穴が形成され、カッタービット支持部材E251の各固定部と軸受部との間にボルトが締結される。このようにしてローラービットC1が交換可能に構成される。
【0027】
回動体駆動装置E3は、図1に示すように、回動ガイドE1の上面部及び下面部に設置されて、回動ガイドE1の上面部及び下面部の軸受E11に支持される回動体E2の回動軸E21に作動連結され、回動体E2を駆動する。この場合、回動体駆動装置E3は、ウォームギアにより構成され、回動ガイドE1の上面部及び下面部に配置され、回動体E2の各回動軸E21に同心的に取り付けられるウォームホイールと、回動ガイドE1の上面部及び下面部に軸受E11に近接して設置され、ウォームホイールに噛合されるモーター駆動のウォームとからなる。なお、回動体駆動装置E3は、回動体E2の回転駆動が得られる限り、ウォームギアに代えて、レバーとジャッキの組み合わせなど他の既存の装置に変更可能である。
【0028】
回動体ロック装置E4は、図3に示すように、回動体E2がカッタービットCの切羽面に平行な掘削反力を支持する装置で、回動体E2前面部E22の開口部E220をセンターカッター取付口M20に向けるカッタービット切削位置及び回動ガイドE1のカッタービット交換口E13(図4参照)に向けるカッタービット交換位置で回動体E2の回動をロックする。この場合、回動体ロック装置E4は、回動体E2前面部E22の平坦面の開口部E220を前面板M171のセンターカッター取付口M20に向けた位置及び回動ガイドE1のカッタービット交換口E13に向けた位置毎に、回動ガイドE1と回動体E2との間に相互に連通可能に穿設されるロック孔と、回動ガイドE1上でロック孔に対して同心的に配置され、ロック孔に挿通可能にロック孔に嵌合可能なロック軸と、回動ガイドE1上でロック孔に対して同心的に又は近傍に設置され、ロック軸をロック孔に係合可能に進退駆動するロック軸駆動装置とからなる。この場合、ロック孔は、回動体E2前面部E22の平坦面の開口部E220を前面板M171のセンターカッター取付口M20に向けた状態で、回動ガイドE1の上面部及び下面部の外周側所定の位置及び回動体E2の頂面部、底面部において回動ガイドE1の上面部、下面部の上記外周側所定の位置に対応する所定の位置と、回動体E2前面部E22の平坦面の開口部E220を回動ガイドE1のカッタービット交換口E13に向けた状態で、回動体E2の頂面部、底面部で回動ガイドE1の上面部、下面部の上記所定の位置に一致する位置とにそれぞれ、穿設される。ロック軸及びロック軸駆動装置に一対のスライドジャッキ(油圧ジャッキなど)が採用され、それぞれ、ロック軸駆動装置としてジャッキ本体が回動ガイドE1の上面部及び下面部に各ロック孔に対して同心的に設置され、ロック軸として作動ロッドが回動ガイドE1の上面部及び下面部の外側にロック孔に対して同心的に配置される。回動体ロック装置E4は、スライドジャッキと同じロック動作が得られる限り、他の既存の装置に変更可能である。
【0029】
排泥配管E5は、図3に示すように、後述する掘削ズリ導出路5の一部をなすもので、一端が回動ガイドE1後部の管孔E12に連結され、他端側が後面板M172の排土口M23に通されて回転筒M12を介してマシン本体M10側に延ばされる。
【0030】
なお、このカッタービット交換装置Eにおいては、図4に示すように、回動体E2前面部E22及び/又はカッタースポーク前面板M171のセンターカッター取付口M20の周囲に配置され、回動体E2の回動により回動体E2の前面部E22と回動ガイドE1との間に生じる間隙に流動性充填材を注入充填するための注入用の配管C61と、回動ガイドE1のカッタービット交換口E13の近傍及び/又はカッタービット交換口E13を開閉する蓋E14に挿着され、回動体E2の前面部E22と回動ガイドE1との間に生じる間隙から流動性充填材を排出したり当該間隙に流動性充填材を注入充填したりするための排出・注入用の配管E62とを併せて備え、回動体E2の回動により回動体E2の前面部E22と回動ガイドE1との間に生じる間隙に向けて流動性充填材を注入充填できるようにしてある。
【0031】
このようにして複数のローラービットC1が回動体E2のカッタービット支持固定部E25にカッタービット支持部材E251を介して刃先の一部を回動体E2前面部E22の開口部E220から突出させて回動可能に取り付けられる。これらのローラービットC1で切削面を切削する際は、カッタースポークM17内で回動体E2の前面部E22をセンターカッター取付口M20に配置し、センターカッター取付口M20から各ローラービットC1(刃先の一部)を突出させる。これらのローラービットC1を交換する際は、回動体ロック装置E4をロック解除して回動体駆動装置E3を駆動し、回動体E2を回動することによって、各ローラービットC1を回動ガイドE1のカッタービット交換口E13に向けるとともに、回動体E2の外周面で前面板M171のセンターカッター取付口M20及び回動ガイドE1後部の管孔E12を遮断し、カッタービット交換口E13から蓋E14を外して、ローラービットC1をセンターカッター取付部10Fとカッタービット交換作業室Rとの間で交換する。
【0032】
また、この泥水式シールドマシンM1は、図5に示すように、泥水輸送設備として、マシン本体M10内に排泥回路2を備え、地上に排泥処理設備3を備える。
【0033】
マシン本体M10内の排泥回路2は一般的に知られているもので、図5に示すように、排出口をマシン本体M10の前面に臨ませる排泥管20、排泥管20に連結される排泥ポンプ21、排泥ポンプ21に配管22を介して連結される伸縮管23、伸縮管23に配管24を介して連結される排泥中継ポンプ25、地上の排泥処理設備3の送泥ポンプ39に配管26を介して連結される伸縮管27、伸縮管27に連結され、吐出口をマシン本体10の前面に臨ませる送泥管28などで構成され、掘削土を坑外に連続的に排出する排泥機能と切羽水圧を一定に保つ制御機能を有する。ここで、排泥ポンプ21、排泥中継ポンプ25は掘削した土砂を地上の排泥処理設備3へ輸送するためのもので、特に排泥ポンプ21は排泥制御する機能を併せ持ち、いずれも、一般に片吸い込み渦巻きポンプが用いられる。なお、排泥中継ポンプ25は通常200m~400m毎に設けられる。
【0034】
地上の排泥処理設備3は一般的に知られているもので、図5に示すように、マシン本体M10内の排泥中継ポンプ25に配管31を介して連結される一次処理槽32、一次処理槽32から2系統の配管33、34に分けられて、一次処理槽32に一方の配管33を介して連結される調整槽35、一次処理槽32に他方の配管34を介して連結される排土設備36、調整槽35から2系統の配管37、38に分けられて、調整槽35に一方の配管37を介して連結される送泥ポンプ39、調整槽35に他方の配管38を介して連結される二次処理槽40、二次処理槽40から2系統の配管41、42に分けられて、二次処理槽40に一方の配管41を介して連結される排土設備36、二次処理槽40に他方の配管42を介して連結される三次処理槽43、三次処理槽43に配管44を介して連結される排水設備45などからなる。ここで送泥ポンプ39は送泥流量及び切羽水圧を制御するためのもので、一般に片吸い込み渦巻きポンプが用いられ、電動機は可変速電動モーターが用いられる。
【0035】
かくして構成される泥水式シールドマシンM1は、図3を参照すると、切羽室Sに泥水を充満された状態で、カッターヘッドM11を地山の切羽に押し当て回動させて切羽を掘削しながら、シールドジャッキにより前進し、地中を掘進していくが、この泥水式シールドマシンM1では、カッターヘッドM11の前面板M171と切羽面との間に通常100mm~150mm程度の間隙S1があり、この間隙S1と切羽室SがカッターヘッドM11の開口部M18を通じて連通されるので、この間隙S1に切羽室Sに充満された泥水が充満され、シールドマシンM1の掘進中は、カッターヘッドM11により掘削された掘削ズリがカッターヘッドM11の開口部M18を通じて切羽室Sへ移動し泥水に混合される。この泥水に混合された掘削ズリはマシン本体M10前面の排泥管20により吸い込まれ、マシン本体M10側の排泥回路2を経て、地上の排泥処理設備3まで輸送されて処理され、この排泥処理設備3から排泥回路2を通じて、マシン本体M10前面の送泥管28の吐出口から放出される。このようにして泥水が還流される。
【0036】
そして、この泥水式シールドマシンM1においては、図3に示すように、カッターヘッドM11のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fの後部に掘削ズリを泥水とともに取り込むためのズリ取り込みスペース10Rを有するセンターカッター室10が画成される。また、カッターヘッドM11とセンターカッター室10とマシン本体M10との間に、カッターヘッドM11の前面側に泥水を送り込み、センターカッター1により掘削する掘削ズリを泥水とともにセンターカッター取付口M20を通じてセンターカッター室10内に取り込ませ、センターカッター室10から掘削ズリを泥水とともに切羽室Sへ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路5を備える。
【0037】
センターカッター室10は、既述の回動体E2の内部に画成される。図4に示すように、この場合、センターカッター室10の前部側、この場合、回動体E2内部の回動軸E21を含めて前部側が平面視長方形状の中空部で、この中空部がセンターカッター取付部10Fになっている。このセンターカッター取付部10Fに、既述のとおり、複数のローラービットC1が上下方向に連接して取り付けられる。また、センターカッター室10の後部側、この場合、回動体E2内部の後部側が前部側の中空部に連通して平面視略逆台形の中空部で、この中空部がズリ取り込みスペース10Rになっている。このセンターカッター室10には泥水とともに掘削ズリをズリ取り込みスペース10Rから外部に排出するための排出口100が形成される。この場合、排出口100は回動体E2後部の呑口E24及び回動ガイドE1後部の管孔E12により設けられる。この呑口E24及び管孔E12はセンターカッター室10の軸方向に沿って長方形ないしは長円形に形成されることが好適である。
【0038】
図3に示すように、掘削ズリ導出路5は、一端がセンターカッター室10の排出口100に連結され、回転筒M12に通されて、他端がマシン本体M10側で回転筒M12の軸心上に配置される排泥配管E5と、マシン本体M10側で回転筒M12の軸心上に配置されるスイベルジョイント52を介して排泥配管E5の他端に一端が連結される排泥中継配管53と、排泥中継配管53の他端に連結される泥水ポンプ54と、泥水ポンプ54に一端が連結され、他端を吐出口としてマシン本体M10の前面に臨ませる排泥供給配管55とを備えて構成され、センターカッター室10に取り込まれた掘削ズリを泥水とともに切羽室Sに循環させるようになっている。この場合、排泥配管E5はセンターカッター室10の排出口100から回動ガイドE1と後面板M172との間をカッタースポークM17の径方向に配管されて回転筒M12内に通され、回転筒M12内で通路室M120の側壁内面にマシン本体M10の縦断方向と平行に挿通されて、回転筒M12の後部でこの後部に沿って回転筒M12の回転軸心に向けて配管され、スイベルジョイント52に連結される。スイベルジョイント52はマシン本体M10側で架台521に固定されて回転筒M12の後部に回転筒M12の回転軸心と同軸上に配置される。泥水ポンプ54はマシン本体M10内ないしは後続設備付近に設置されるのが好適である。泥水ポンプ54は複数であってもよい。
【0039】
このようにしてセンターカッター取付口M20とセンターカッター1との間の掘削ズリの流入排出を促進する。
【0040】
図3に泥水式シールドマシンM1の主たる泥水の流れとセンターカッター1による掘削ズリの流れを併せて示している。図3に示すように、泥水式シールドマシンM1は、切羽室Sに泥水が充満され、カッタースポークM17の前面と切羽面との間の間隙S1に泥水が充満された状態で、カッターヘッドM11を地山の切羽に押し当て回動させて切羽を掘削しながら、シールドジャッキにより前進し、地中を掘進していく。この泥水式シールドマシンM1の掘進時は、カッターヘッドM11により掘削された掘削ズリがカッターヘッドM11の前面と切羽面との間の間隙S1の泥水とともにカッターヘッドM11の開口部M18を通じて切羽室Sへ移動し切羽室Sの泥水に混合される。この掘進中、切羽を安定させ、掘削土を泥水循環させるため、泥水の流量管理と水圧管理を行いながら、掘削ズリ混じりの泥水がマシン本体M10の排泥回路2を経由して地上の排泥処理設備3へ送られる。すなわち、図5を参照すると、この泥水に混合された掘削ズリはマシン本体M10前面の排泥管20により吸い込まれ、マシン本体M10側の排泥回路2(排泥管20、排泥ポンプ21、配管22、伸縮管23、配管24、排泥中継ポンプ25、配管31)を経て、地上の処理設備3(一次処理槽32、一次処理槽32から2系統の配管33、34に分けられて、一次処理槽32に一方の配管33を介して連結される調整槽35、一次処理槽32に他方の配管34を介して連結される排土設備36、調整槽35から2系統の配管37、38に分けられて、調整槽35に一方の配管37を介して連結される送泥用のポンプ39、調整槽35に他方の配管38を介して連結される二次処理槽40、二次処理槽40から2系統の配管41、42に分けられて、二次処理槽40に一方の配管41を介して連結される排土設備36、二次処理槽40に他方の配管42を介して連結される三次処理槽43、三次処理槽43に配管44を介して連結される排水設備45)へ輸送されて排泥処理され、この排泥処理設備3から処理後の泥水は、排泥回路2(送泥ポンプ39、配管26、伸縮管27、送泥管28)を通じて加圧増速され、マシン本体M10前面の送泥管28の吐出口から切羽室Sに放出されて、切羽室Sの泥水に混入される。かくして泥水が循環される。
【0041】
これに併行して、カッターヘッドM11の前面と切羽面との間の泥水がセンターカッター室10へ流れ込み、センターカッター1により掘削されたズリはセンターカッター室10に流れる泥水とともに掘削ズリ導出路5を経て切羽室Sに循環される。すなわち、この掘削ズリを混入された泥水は、センターカッター室10の排出口100(回動体E2の呑口E24、回動ガイドE1の管孔E12)を通って排泥配管E5、スイベルジョイント52、排泥中継配管53、泥水ポンプ54、排泥供給配管55を経由して、切羽室Sに強制循環される。なお、回動体E2の呑口E24及び回動ガイドE1の管孔E12をセンターカッター室10の軸方向に沿って長方形ないしは長円形にすることで、センターカッター室10から掘削混じりの泥水が排泥配管E5へ円滑に流れ込み、泥水の循環性能が高められる。この掘削ズリを含む泥水の強制循環により、センターカッター室10内の掘削ズリは泥水とともに強制的に排出され、掘削ズリの滞留、固結が防止される。これにより、センターカッター1に想定外の負荷が作用するのを防止して、センターカッター1の掘削力が維持される。また、各ローラービットC1の長寿命化が可能になり、各ローラービットC1に異常な荷重が負荷することがない。
【0042】
以上説明したように、このセンターカッター1では、カッターヘッドM11のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター室10を画成し、カッターヘッドM11とセンターカッター室10とマシン本体M10との間に、カッターヘッドM11の前面側に泥水を送り込み、センターカッター1により掘削する掘削ズリを泥水とともにセンターカッター取付口M20を通じてセンターカッター室10内に取り込ませ、センターカッター室10から掘削ズリを泥水とともに切羽室Sへ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路5を設け、センターカッター取付口M20とセンターカッター1との間の掘削ズリの流入排出を促進するようにしたので、センターカッター取付口M20から掘削ズリを取り込みやすくし、センターカッター取付口M20で掘削ズリを固結させないようにして、カッターヘッドM11前面の中央部からカッターヘッドM11後方の切羽室Sへ掘削ズリを円滑かつ確実に排出することができる。
【0043】
(実施の形態2)
図6に実施の形態2を示している。
図6に示すように、このトンネル掘進機Mは、センターカッター1及びその関連各部を除き、一般に知られている泥土圧式シールドマシンM2(以下、泥土圧式シールドマシンM2という。)として構成される。この泥土圧式シールドマシンM2は、既述のとおり、マシン本体M10の前面に切羽室Sを介在してマシン本体M10の前面の中心から延びる回転筒M12を介してカッターヘッドM11が回動可能に設けられる。
【0044】
この泥土圧式シールドマシンM2のセンターカッター1は、カッターヘッドM11(カッタースポークM17)の前面板M171の略中央にセンターカッター取付口M20が形成され、このセンターカッター取付口M20とカッターヘッドM11の後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fが設けられて、センターカッター取付部10Fに複数のローラーカッターC1が回転可能に取り付けられて構成され、カッターヘッドM11の略中央で切羽を掘削するようになっている。
【0045】
このセンターカッター1では、前面板M171のセンターカッター取付口M20が直径方向に長い矩形状に形成され、また、後面板M172に排土口M23が形成されて、前面板M171のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fが設けられる。このセンターカッター取付部10Fに複数のローラービットC1が同一軸上で回動可能に上下方向に連結されて取り付けられる。また、このセンターカッター1の場合、センターカッター取付部10Fの少なくとも片側一方の側部に上下方向に複数のカッタービット交換作業室Rが画成され、それぞれ、泥土圧式シールドマシンM2のマシン本体M10側の大気圧に連通される。
【0046】
ここでカッタービット交換装置Eは、センターカッター室10の排出口100、排泥配管61を除き、実施の形態1で例示したものと共通である。ここでは、カッタービット交換装置Eについて実施の形態1と重複する説明を省略する。センターカッター室10の排出口100、排泥配管61については後述する。
【0047】
したがって、この泥土圧式シールドマシンM2においても、複数のローラービットC1が回動体E2のカッタービット支持固定部E25にカッタービット支持部材E251(図3参照)を介して刃先の一部を回動体E2前面部E22の開口部E220から突出させて回動可能に取り付けられる。これらのローラービットC1で切削面を切削する際は、カッタースポークM17内で回動体E2の前面部E22をセンターカッター取付口M20に配置し、センターカッター取付口M20から各ローラービットC1(刃先の一部)を突出させる。これらのローラービットC1を交換する際は、回動体ロック装置E4をロック解除して回動体駆動装置E3を駆動し、回動体E2を回動することによって、各ローラーカッターC1を回動ガイドE1のカッタービット交換口E13(図4参照)に向けるとともに、回動体E2の外周面でセンターカッター取付口M20及び後述のセンターカッター室10の排出口100を遮断し、カッタービット交換口E13から蓋E14を外して、ローラーカッターC1をセンターカッター取付部10Fとカッタービット交換作業室Rとの間で交換する。
【0048】
また、この泥土圧式シールドマシンM2には、カッターヘッドM11の前面側に作泥土材を供給するための作泥土材供給装置がマシン本体M10とカッターヘッドM11との間に設置され、カッターヘッドM11の前面に作泥土材の吐出口が設けられる。なお、この泥土圧式シールドマシンM2では、この作泥土材供給装置は後述する掘削ズリ導出路6の一部をなす。この点は後述する。また、カッターヘッドM11により掘削された土砂を切羽土圧を保持しつつ後部の大気圧側に排出するための排土装置29がマシン本体M10前面の隔壁M13に形成される開口M130に接続されてマシン本体M10側に設置される。なお、この排土装置29はスクリューコンベアである。かくしてマシン本体M10側から供給される作泥土材はカッターヘッドM11前面の吐出口から吐出され、この作泥土材とカッターヘッドM11により掘削された土砂が切羽室Sで撹拌混合されて、これが排土装置29によりマシン本体M10外に排出される。
【0049】
このような泥土圧式シールドマシンM2において、カッターヘッドM11のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター取付部10Fの後部に掘削ズリを作泥土材とともに取り込むためのズリ取り込みスペース10Rを有するセンターカッター室10が画成される。また、カッターヘッドM11とセンターカッター室10とマシン本体M10との間に、カッターヘッドM11の前面側に作泥土材を送り込み、センターカッターM11により掘削する掘削ズリを作泥土材とともにセンターカッター取付口M20を通じてセンターカッター室10内に取り込み、センターカッター室10から掘削ズリを作泥土材とともに切羽室Sへ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路6を備える。
【0050】
センターカッター室10は、実施の形態1と同様に、既述の回動体E2の内部に画成される。すなわち、センターカッター室10の前部側、この場合、回動体E2内部の回動軸E21(図1参照)を含めて前部側が平面視長方形状の中空部で、この中空部がセンターカッター取付部10Fになっている。このセンターカッター取付部10Fに、既述のとおり、複数のローラービットC1が同軸上で回動可能に上下方向に連接して取り付けられる。センターカッター室10の後部側、この場合、回動体E2内部の後部側が前部側の中空部に連通する平面視略逆台形の中空部で、この中空部がズリ取り込みスペース10Rになっている。このセンターカッター室10に作泥土材とともに掘削ズリをズリ取り込みスペース10Rから外部に排出するための排出口100が形成される。この場合、センターカッター室10に排出口100が2箇所形成される。一方の排出口100は回動体E2及び回動ガイドE1の後部の上部所定の位置を貫通して形成され、他方の排出口100は回動体E2及び回動ガイドE1の後部の下部所定の位置を貫通して形成される。
【0051】
掘削ズリ導出路6は、一端がセンターカッター室10の排出口100に連結され、他端が切羽室Sに連結される排泥配管61と、マシン本体M10側に設置され、作泥土材を供給するポンプ駆動の作泥土材供給装置62と、一端が作泥土材供給装置62に連結され、他端がマシン本体M10側で回転筒M12の軸心上に配置されるスイベルジョイント64に連結されるマシン本体M10側の作泥土材供給管63と、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土供給管63の他端に連結され、他端側が回転筒M12、カッターヘッドM11を経由して、他端が吐出口としてカッターヘッドM11の前面板M171に開口されるカッターヘッドM11側の作泥土材供給管65と、一端が作泥土供給装置62に連結され、他端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64に連結されるマシン本体M10側の作泥土材送給管66と、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土材送給管66の他端に連結され、他端側が回転筒M12を経由して、他端が排泥配管61のセンターカッター室10の排出口100近傍に連結される排泥配管61側の作泥土材送給管67とを備えて構成され、カッターヘッドM11の前面側に作泥土材を供給するとともに、排泥配管61に作泥土材を送給して、カッターヘッドM11で掘削された掘削ズリを作泥土材とともにセンターカッター室10に取り込み、排泥配管61で作泥土材を混入させて、切羽室Sへ排出するようになっている。
【0052】
この場合、2本の排泥配管61はセンターカッター室10の上下の各排出口100に連結されて、切羽室Sに向けて異なる2方向に延びる。一方の排泥配管61は一端がセンターカッター室10の後部上部の排出口100に連結され、回転筒M12の片側一方側に向けて延び、他端が切羽室Sに連結されて開口され、他方の排泥配管61は一端がセンターカッター室10の後部下部の排出口100に連結され、回転筒M12の片側他方側に向けて延び、他端が切羽室Sに連結されて開口される。
【0053】
作泥土供給装置62は、マシン本体M10側に設置される作泥土材タンク620と、作泥土材タンク620に配管621a、621bを介して連結される第1、第2のポンプ622、623とからなり、作泥土タンク620の作泥土材を第1、第2のポンプ622、623の駆動により供給する。
【0054】
マシン本体M10側の作泥土材供給管63は、一端が第1のポンプ622に連結され、他端が分配器630(分配弁)に連結され、分配器630で2系統に分けられて、第1、第2の配管631、632とを有し、それぞれ、マシン本体M10側で回転筒M12の軸心上に配置されるスイベルジョイント64に連結される。この場合、第2の配管632はスイベルジョイント64の中央に通される。
【0055】
カッターヘッドM11側の作泥土材供給管65は、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土材供給管63の第1の配管631に連結され、他端側が回転筒M12内からカッターヘッドM11内に通されて、他端(吐出口)がカッターヘッドM11の前面板M171の外周側で開口される第1の配管651と、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土材供給管63の第2の配管632に連結され、他端側が回転筒M12内からカッターヘッドM11内に通されて、他端(吐出口)がカッターヘッドM11の前面板M171の中央付近でセンターカッター取付口M20の近傍に開口される第2の配管652とからなり、作泥土材タンク620の作泥土材をカッターヘッドMの前面板M171の外周側とセンター側で吐出する。
【0056】
マシン本体M10側の作泥土材送給管66は、一端が第2のポンプ623に連結され、他端が分配器(分配弁)660に連結され、分配器660で2系統に分けられて、第1、第2の配管661、662とを有し、それぞれ、マシン本体M側で回転筒M12の軸心上に配置されるスイベルジョイント64に連結される。
【0057】
カッターヘッドM11側の作泥土材送給管67は、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土材送給管66の第1の配管661に連結され、他端側が回転筒M12内にカッターヘッドM11に向けて通されて、他端(吐出口)が上部側の排泥配管61でセンターカッター室10の排出口100の近傍に連結されて開口される第1の配管671と、一端がマシン本体M10側でスイベルジョイント64を介してマシン本体M10側の作泥土材送給管66の第2の配管662に連結され、他端側が回転筒M12内にカッターヘッドM11に向けて通されて、他端(吐出口)が下部側の排泥配管61でセンターカッター室10の排出口100の近傍に連結されて開口される第2の配管672とからなり、作泥土材タンク620の作泥土材を各排泥配管61のセンターカッター室10側の端部で各排泥配管61内に吐出する。
【0058】
このようにしてセンターカッター室10に取り込まれた掘削ズリを作泥土材とともに切羽室Sに循環させるようになっている。かくしてセンターカッター取付口M20とセンターカッター1との間の掘削ズリの流入排出を促進する。
【0059】
図6に泥土圧式シールドマシンM2の作泥土材とセンターカッター1による掘削ズリの流れを併せて示している。
【0060】
図6に示すように、このシールドマシンM2では、マシン本体M10側の作泥土材タンク620から第1のポンプ622により供給される作泥土材が作泥土材供給管63、65を通じてカッターヘッドM11前面の吐出口から吐出され、この作泥土材とカッターヘッドM11により掘削された土砂が切羽室Sで撹拌混合され、これが排土装置29によりマシン本体M10外に排出される。この場合、作泥土材タンク620の作泥土材は第1のポンプ622により圧送され、分配器630で第1、第2の配管631、632に分配される。第1の配管631の作泥土材はスイベルジョイント64を通り、第1の配管651を経由して、カッターヘッドM11の前面板M171の外周側の吐出口からカッターヘッドM11の前面へ吐出される。第2の配管632の作泥土材はスイベルジョイント64の中央を通り、第2の配管652を経由して、カッターヘッドM11の前面板M171のセンターカッター1付近の吐出口からカッターヘッドM11の前面へ吐出される。
【0061】
これと同時に、作泥土材タンク620の作泥土材は第2のポンプ623により圧送され、分配器660で第1、第2の配管661、662に分配される。第1の配管661の作泥土材はスイベルジョイント64を通り、第1の配管671を経由して、一方の排泥配管61のセンターカッター室10の一方の排出口100付近で吐出される。第2の配管662の作泥土材はスイベルジョイント64を通り、第2の配管672を経由して、他方の排泥配管61のセンターカッター室10の他方の排出口100付近で吐出される。これにより、センターカッター1で掘削された掘削ズリとセンターカッター1の前面に吐出された作泥土材が混合され、泥土になって、これがセンターカッター取付口M20からセンターカッター室10のズリ取り込みスペース10Rへ円滑に取り込まれて各排泥口100から排出される。そして、この泥土が各排泥配管61に流れ込むと、ここでさらに作泥土材が供給されることにより、泥土の流動性が高められ、泥土が排出されやすくなる。この混合体である泥土はセンターカッター室10の各排出口100から各排泥配管61を流れて、切羽室Sへ排出される。この泥土は切羽室Sの泥土と撹拌混合されて、排土装置29からマシン本体M10外へ排出される。このようにセンターカッター1で掘削されたズリはセンターカッター取付口M20からセンターカッター室10内へ流れる泥水や作泥土材に混入され、各排出口100付近でさらに作泥土材が混入されて各排泥配管61から流れ出るので、センターカッター取付口M20に掘削ズリが滞留したり固結したりすることがない。これによって、センターカッター1の各ローラービットC1に過剰な力が作用することがなく、異常な摩耗もなく、センターカッター1による順調な掘進が可能となる。
【0062】
以上説明したように、このセンターカッター1では、カッターヘッドM11のセンターカッター取付口M20と後面板M172との間にセンターカッター室10を画成し、カッターヘッドM11とセンターカッター室10とマシン本体M10との間に、カッターヘッドM11の前面側及び各排泥配管61のセンターカッター室10側の端部に作泥土材を送り込み、センターカッター1により掘削する掘削ズリを作泥土材とともにセンターカッター取付口M20を通じてセンターカッター室10内に取り込み、このセンターカッター室10内の掘削ズリをさらに作泥土材とともに切羽室Sへ送り出すポンプ駆動の掘削ズリ導出路6を設け、センターカッター取付口M20とセンターカッター1との間の掘削ズリの流入排出を促進するようにしたので、センターカッター取付口M20からズリを取り込みやすくし、センターカッター取付口M20で掘削ズリを固結させないようにして、カッターヘッドM11前面の中央部からカッターヘッドM11後方の切羽室Sへ掘削ズリを円滑かつ確実に排出することができる。
【0063】
なお、この実施の形態2では、作泥土材送給管が排泥配管のセンターカッター室の排出口近傍に連結されて、センターカッター室から排泥配管に流れる泥土に作泥土材を混入するようにしているが、この排泥配管に流れる泥土に圧縮空気、又は作泥土材及び圧縮空気を混入してもよく、このようにしても泥土の流れが促進され、センターカッター室の泥土を排泥配管を通じて切羽室へより円滑かつ確実に排出することができる。
【符号の説明】
【0064】
M トンネル掘進機
M1 泥水式シールドマシン
M2 泥土圧式シールドマシン
M10 マシン本体(掘削機本体)
M11 カッターヘッド
M12 回転筒
M120 通路室
M13 隔壁
M130 開口
M14 旋回環・ギア
M15 カッターヘッド支持桁
M16 カッター駆動装置
M161 駆動ピニオン
M162 駆動モーター
M17 カッタースポーク
M171 前面板
M172 後面板
M18 開口部
M19 外周リング
M20 センターカッター取付口
M21 インナーカッター取付口
M22 ゲージカッター取付口
M23 排土口
S 切羽室
S1 間隙
C カッタービット
C1 ローラービット
C2 ティースビット
R カッタービット交換作業室
E カッタービット交換装置
E1 回動ガイド
E10 ガイド面
E11 軸受
E12 管孔
E13 カッタービット交換口
E14 蓋
E14a 本体
E14b フランジ
E2 回動体
E21 回動軸
E22 前面部
E220 開口部
E23 後面部
E24 呑口
E25 カッタービット支持固定部
E251 カッタービット支持部材
E3 回動体駆動装置
E4 回動体ロック装置
E5 排泥管
E61 配管
E62 配管
1 センターカッター
10 センターカッター室
10F センターカッター取付部
10R ズリ取り込みスペース
100 排出口
2 排泥回路
20 排泥管
21 排泥ポンプ
22 配管
23 伸縮管
24 配管
25 排泥中継ポンプ
26 配管
27 伸縮管
28 送泥管
29 排土装置(スクリューコンベア)
3 排泥処理設備
31 配管
32 一次処理槽
33 配管
34 配管
35 調整槽
36 排土設備
37 配管
38 配管
39 送泥ポンプ
40 二次処理槽
41 配管
42 配管
43 三次処理槽
44 配管
45 排水設備
5 掘削ズリ導出路
52 スイベルジョイント
521 架台
53 排泥中継配管
54 泥水ポンプ
55 排泥供給配管
6 掘削ズリ導出路
61 排泥配管
62 作泥土材供給装置
620 作泥土材タンク
621a、621b 配管
622 ポンプ
623 ポンプ
63 作泥土材供給管
630 分配器
631 配管
632 配管
64 スイベルジョイント
65 作泥土材供給管
651 配管
652 配管
66 作泥土材送給管
660 分配器
661 配管
662 配管
67 作泥土材送給管
671 配管
672 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6