IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
  • 特許-半導体装置 図8
  • 特許-半導体装置 図9
  • 特許-半導体装置 図10
  • 特許-半導体装置 図11
  • 特許-半導体装置 図12
  • 特許-半導体装置 図13
  • 特許-半導体装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231108BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/78 652K
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 658F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019235773
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106179
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】西口 俊史
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0300914(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313161(US,A1)
【文献】特表2007-512700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008515(US,A1)
【文献】特開2013-115225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に対向して設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる半導体部と、
前記半導体中に設けられる第3電極と、
前記第1電極と前記第3電極との間において、前記半導体中に設けられる第4電極と、
前記半導体部と前記第3電極との間に設けられ、前記半導体部から前記第3電極を電気的に絶縁する第1絶縁部と、
前記第2電極と前記第3電極との間に設けられ、前記第2電極から前記第3電極を電気的に絶縁する第2絶縁部と、
前記半導体部と前記第4電極との間に設けられ、前記半導体部から前記4電極を電気的に絶縁する第3絶縁部と、
前記第3電極と前記4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記4電極を電気的に絶縁する第4絶縁部と、
前記4電極内に位置し、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に延伸する第5絶縁部と、
を備え、
前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1導電形の第3半導体層と、を含み、
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁部を介して前記第3電極に向き合い、
前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁部に接する位置に配置され、
前記第3電極は、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ第1制御部および第2制御部を含み、
前記第4絶縁部は、前記第1制御部と前記第2制御部と間に延伸し、前記第2絶縁部につながるように設けられ、
前記第5絶縁部は、前記第4電極中から前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸する絶縁体を含む半導体装置。
【請求項2】
前記第4電極は、前記第1電極と前記第5絶縁部との間に位置する底部と、前記底部から前記第1方向に延びる側壁部と、を有し、
前記絶縁体は、前記第4電極の前記底部および前記側壁部に囲まれた部分から前記第3電極の前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3電極は、前記第1制御部と前記第2制御部との間に位置する中間部をさらに含み、
前記第4電極は、前記第1電極と前記第3電極の前記中間部との間に位置し、
前記第4絶縁部は、前記第1制御部と前記中間部との間、および、前記第2制御部と前記中間部との間に延伸し、
前記絶縁体は、前記第4電極中から前記第3電極の前記中間部まで延伸する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁体は、ボロンおよびリンを含むシリケートガラスである請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第5絶縁部は、空隙を含む請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御用の半導体装置には、高耐圧および低オン抵抗であることが望まれる。例えば、トレンチゲート構造を有するMOSFETでは、ゲートトレンチの内部に、ゲート電極に加えてフィールドプレートを配置し、高耐圧および低オン抵抗を実現する。しかしながら、ゲートトレンチ内にフィールドプレートを配置することにより、ソース・ゲート間の寄生容量が大きくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-270606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ソース・ゲート間の寄生容量を低減した半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1乃至第4電極と、半導体部と、第1乃至第5絶縁部と、を備える。前記半導体部は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる。前記第3電極は、前記半導体中に設けられる。前記第4電極は、前記第1電極と前記第3電極との間において、前記半導体中に設けられる。前記第1絶縁部は、前記半導体部と前記第3電極との間に設けられ、前記半導体部から前記第3電極を電気的に絶縁する。前記第2絶縁部は、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられ、前記第2電極から前記第3電極を電気的に絶縁する。前記第3絶縁部は、前記半導体部と前記第4電極との間に設けられ、前記半導体部から前記第4電極を電気的に絶縁する。前記第4絶縁部は、前記第3電極と前記4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記4電極を電気的に絶縁する。前記第5絶縁部は、前記4電極内に位置し、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に延伸する。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1導電形の第3半導体層と、を含み、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁部を介して前記第3電極に向き合い、前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁部に接する位置に配置される。前記第3電極は、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ第1制御部および第2制御部を含む。前記第4絶縁部は、前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸し、前記第2絶縁部につながるように設けられる。前記第5絶縁部は、前記第4電極中から前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸する絶縁体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図3図2に続く製造過程を示す模式断面図である。
図4図3に続く製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式断面図である。
図7図6に続く製造過程を示す模式断面図である。
図8】実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図9】実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図10】実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図11】実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図12図11に続く製造過程を示す模式断面図である。
図13】実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図14】実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、トレンチゲート型のMOSFETである。
【0010】
半導体装置1は、半導体部10と、第1電極(例えば、ドレイン電極20)と、第2電極(例えば、ソース電極30)と、第3電極(例えば、ゲート電極40)と、第4電極(例えば、フィールドプレート50)と、を備える。
【0011】
半導体部10は、ドレイン電極20とソース電極30との間に位置する。半導体部10は、例えば、シリコンである。
【0012】
ドレイン電極20は、半導体部10の裏面上に設けられる。ドレイン電極20は、例えば、チタニウム、アルミニウムもしくは金などを含む金属層である。ドレイン電極20は、実装基板上の金属材料と一体化される場合がある。
【0013】
ソース電極30は、例えば、半導体部10の表面上に設けられる。ソース電極30は、例えば、アルミニウムを含む金属層である。
【0014】
ゲート電極40は、例えば、半導体部10とソース電極30との間に設けられる。ゲート電極40は、半導体部10に設けられたゲートトレンチGTの内部に配置される。ゲート電極40は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。
【0015】
ゲート電極40は、例えば、第1制御部40aと、第2制御部40bと、中間部40cと、を含む。第1制御部40a、第2制御部40bおよび中間部40cは、横方向(例えば、X方向)に並べて配置される。中間部40cは、第1制御部40aと第2制御部40bとの間に位置する。第1制御部40a、第2制御部40bおよび中間部40cは、例えば、図示しない部分において、相互に電気的に接続される。
【0016】
フィールドプレート50(以下、FP50)は、ゲート電極40と共にゲートトレンチGTの内部に配置される。FP50は、ドレイン電極20とゲート電極40との間に位置するように設けられる。また、ゲート電極40は、ソース電極30とFP50との間に位置する。FP50は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。FP50は、図示しない部分において、ソース電極30に電気的に接続される。
【0017】
図1に示すように、半導体装置1は、第1絶縁部43、第2絶縁部45、第3絶縁部51、第4絶縁部53および第5絶縁部55をさらに備える。
【0018】
第1絶縁部43は、ゲート電極40を半導体部10から電気的に絶縁する。第1絶縁部43は、半導体部10と第1制御部40aとの間、および、半導体部10と第2制御部40bとの間に位置し、ゲート絶縁膜として機能する。第1絶縁部43は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0019】
第2絶縁部45は、ゲート電極40をソース電極30から電気的に絶縁する。第2絶縁部45は、例えば、ソース電極30とゲート電極40との間に設けられる層間絶縁膜である。第2絶縁部45は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0020】
第3絶縁部51は、半導体部10とFP50との間に設けられる。第3絶縁部51は、FP50を半導体部10から電気的に絶縁する。第3絶縁部51は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0021】
第4絶縁部53は、ゲート電極40の第1制御部40aおよび第2制御部40bと、FP50との間に、それぞれ位置する。第4絶縁部53は、FP50をゲート電極40から電気的に絶縁する。また、第4絶縁部53は、第1制御部40aと中間部40cとの間、および、第2制御部40bと中間部40cとの間にも位置する。第4絶縁部53は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0022】
第5絶縁部55は、FP50の内部位置する第1部分55aと、FP50からZ方向に延伸するように設けられた第2部分55bと、を含む。第2部分55bは、ゲート電極40と第1部分55aとの間に位置する。第2部分55bは、ゲート電極40とFP50との間のスペーサとして機能し、ゲート電極40とFP50との間の寄生容量を低減する。第5絶縁部55は、例えば、ボロンおよびリンを含むシリケートガラス、所謂BPSGである。FP50は、例えば、U字形の断面形状を有し、その内部に、第5絶縁部55の第1部分55aを含む。
【0023】
図1に示すように、半導体部10は、例えば、n形ドリフト層11と、p形拡散層13と、n形ソース層15と、p形コンタクト層17と、n形ドレイン層19と、を含む。
【0024】
n形ドリフト層11は、低濃度のn形不純物を含む。n形ドリフト層11は、半導体装置1のオフ時における所望の耐圧を実現できる厚さを有する。FP50は、n形ドリフト層11中に位置し、第3絶縁部51を介して、n形ドリフト層11に向き合う。
【0025】
p形拡散層13は、n形ドリフト層11とソース電極30との間に設けられる。p形拡散層13は、第1絶縁部43を介して、ゲート電極40の第1制御部40aおよび第2制御部40bに向き合う。
【0026】
n形ソース層15は、p形拡散層13とソース電極30との間に選択的に設けられる。n形ソース層15は、第1絶縁部43に接する位置に配置される。n形ソース層15は、n形ドリフト層11のn形不純物よりも高濃度のn形不純物を含む。
【0027】
p形コンタクト層17は、p形拡散層13とソース電極30との間に選択的に設けられる。p形コンタクト層17は、p形拡散層13のp形不純物よりも高濃度のp形不純物を含む。
【0028】
ソース電極30は、例えば、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接し、且つ、電気的に接続される。ソース電極30は、p形コンタクト層17を介してp形拡散層13に電気的に接続される。
【0029】
n形ドレイン層19は、n形ドリフト層11とドレイン電極20との間に設けられる。n形ドレイン層19は、n形ドリフト層11のn形不純物よりも高濃度のn形不純物を含む。ドレイン電極20は、例えば、n形ドレイン層19に接し、且つ、電気的に接続される。
【0030】
次に、図2(a)~図7(b)を参照して、実施形態に係る半導体装置1の製造方法を説明する。図2(a)~図7(b)は、半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0031】
図2(a)に示すように、半導体ウェーハ100にゲートトレンチGTを形成した後、その内面を覆う絶縁膜105を形成する。半導体ウェーハ100は、例えば、n形シリコンウェーハである。半導体ウェーハ100は、n形ドリフト層11のn形不純物と同じ濃度のn形不純物を含む。
【0032】
ゲートトレンチGTは、例えば、異方性RIE(Reactive Ion Etching)を用いて、半導体ウェーハを選択的に除去することにより形成される。絶縁膜105は、例えば、半導体ウェーハ100を熱酸化することにより形成される。絶縁膜105は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜105は、ゲートトレンチGTの内部に、スペースSP1を残すように形成される。
【0033】
図2(b)に示すように、絶縁膜105の上に導電膜110を形成する。導電膜110は、ゲートトレンチGTの内部において、絶縁膜105を覆い、スペースSP2を残すように形成される。
【0034】
導電膜110は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成されるポリシリコン膜である。導電膜110は、例えば、気相拡散によりドーピングされたn形不純物を含む。また、導電膜110は、例えば、その堆積過程においてドーピングされたn形不純物を含んでも良い。
【0035】
図3(a)に示すように、ゲートトレンチGT内のスペースSP2(図2(b)参照)を埋め込むように、絶縁膜115を形成する。絶縁膜115は、例えば、CVDを用いて堆積されるBPSG膜である。絶縁膜115を形成した後、ゲートトレンチGTの内部にボイド等を残さないように、BPSG膜の軟化点よりも高い温度で、絶縁膜115を熱処理する。
【0036】
図3(b)に示すように、ゲートトレンチGTの内部に埋め込まれた部分を残して、絶縁膜115を除去する。絶縁膜115は、導電膜110の表面を露出させるように、例えば、ドライエッチングを用いて選択的に除去される。
【0037】
図4(a)に示すように、ゲートトレンチGTの内部に埋め込まれた部分を残して、導電膜110を選択的に除去する。導電膜110は、例えば、ゲートトレンチGT内に残される部分の上端110が、半導体ウェーハ100の表面100fと同じレベルに位置するように除去される。
【0038】
図4(b)に示すように、ゲートトレンチGTの内部に埋め込まれた部分を残して、絶縁膜105および絶縁膜115を選択的に除去する。これにより、ゲートトレンチGTの内部に、第3絶縁部51および第5絶縁部55が形成される。第3絶縁部51の上端51および第5絶縁部55の上端55は、半導体ウェーハ100の表面100fよりも下のレベルに位置する。
【0039】
絶縁膜105および115は、例えば、ウェットエッチングにより選択的に除去される。絶縁膜105および115のエッチングは、例えば、絶縁膜105のエッチング速度が絶縁膜115のエッチング速度よりも速い条件下で実施される。このため、第5絶縁部55の上端55は、第3絶縁部51の上端51よりも上のレベルに位置する。
【0040】
図5(a)に示すように、半導体ウェーハ100を熱酸化することにより、第1絶縁部43を形成する。同時に、第3絶縁部51と第5絶縁部55との間から延出された導電膜110の一部を熱酸化し、第4絶縁部53を形成する。これにより、ゲートトレンチGTの下部に、FP50が形成される。第1絶縁部43および第4絶縁部53は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0041】
例えば、第1絶縁部43を形成するための熱酸化の過程において、ゲートトレンチGT内のスペースに露出された導電膜110の全てが酸化されるように、導電膜110の膜厚を設定する。すなわち、第1絶縁部43をゲート絶縁膜として機能させることが可能な厚さを有する熱酸化膜を形成する条件下で、導電膜110の露出された部分の全体が熱酸化されるように、その膜厚を設定する。
【0042】
半導体ウェーハ100および導電膜110の熱酸化は、例えば、第5絶縁部55に含まれるBPSGの軟化点よりも高い温度で実施される。このため、導電膜110の露出部分の熱酸化による体積膨張により、第5絶縁部55の第2部分55bが圧縮される。その結果、例えば、第5絶縁部55の第2部分55bのX方向の幅は、第1部分55aのX方向の幅よりも狭くなる。
【0043】
第1絶縁部43および第4絶縁部53は、ゲートトレンチGTの上部に、スペースSGおよびSP3を残して形成される。スペースSGは、第1絶縁部43と第4絶縁部53との間に形成される。スペースSP3は、第5絶縁部55の第2部分55bの上に形成される。
【0044】
図5(b)に示すように、ゲートトレンチGTの上部のスペースSGおよびSP3を埋め込むように、ゲート電極40を形成する。ゲート電極40は、第1制御部40a、第2制御部40bおよび中間部40cを含む。第1制御部40aおよび第2制御部40bは、それぞれスペースSGを埋め込むように形成され、中間部40cは、スペースSP3を埋め込むように形成される。ゲート電極40は、例えば、導電性のポリシリコンである。
【0045】
図6(a)に示すように、半導体ウェーハ100の表面側に、p形拡散層13とn形ソース層15とを形成する。
【0046】
p形拡散層13は、半導体ウェーハ100にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入し、熱拡散させることにより形成される。p形拡散層13は、その下面が、ゲート電極40の第1制御部40aおよび第2制御部40bのそれぞれの下端と同じレベルもしくはそれよりも上のレベルに位置するように形成される。
【0047】
n形ソース層15は、半導体ウェーハ100にn形不純物、例えば、リン(P)をイオン注入することにより形成される。n形ソース層15は、その下面が、p形拡散層13の下面のよりも上のレベルに位置するように形成される。
【0048】
p形拡散層13およびn形ソース層15は、第1絶縁部43に接するように形成される。p形拡散層13は、第1絶縁部43を介して、ゲート電極40の第1制御部40aおよび第2制御部40bに向き合うように形成される。
【0049】
図6(b)に示すように、ゲート電極40の上に第2絶縁部45を形成する。第2絶縁部45は、例えば、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜である。例えば、半導体ウェーハ100の上にシリコン酸化膜を形成した後、ゲート電極40を覆う部分を残して、シリコン酸化膜を選択的に除去し、n形ソース層15を露出させる。この時、n形ソース層15を覆う第1絶縁部43の一部も除去される。
【0050】
図7(a)に示すように、n形ソース層15の一部を選択的に除去し、コンタクトトレンチCTを形成する。この際、コンタクトトレンチCTの底面に、例えば、p形拡散層13を露出させる。
【0051】
続いて、半導体ウェーハ100の表面側にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入し、p形拡散層13の上にp形コンタクト層17を形成する。p形コンタクト層17は、その下面がp形拡散層13の下面よりも上のレベルに位置するように形成される。
【0052】
図7(b)に示すように、半導体ウェーハ100の表面側にソース電極30を形成する。ソース電極30は、例えば、アルミニウムを含む金属膜であり、スパッタ法を用いて形成される。
【0053】
ソース電極30は、n形ソース層15および第2絶縁部45を覆い、コンタクトトレンチCTの内部に延在するように形成される。ソース電極30は、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接する。また、ソース電極30は、図示しない部分で、FP50に電気的に接続される。
【0054】
続いて、半導体ウェーハ100の裏面側をエッチングもしくは研削し、所定の厚さに薄層化した後、n形ドレイン層19を形成する(図1参照)。n形ドレイン層19は、半導体ウェーハ100の裏面にn形不純物、例えば、リン(P)をイオン注入することにより形成される。
【0055】
さらに、n形ドレイン層19の上に、ドレイン電極20を形成し、半導体装置1を完成させる。p形拡散層13とn形ドレイン層19との間に残る半導体ウェーハ100の一部は、n形ドリフト層11となる。
【0056】
本実施形態に係る半導体装置1の製造方法では、図4(b)に示す製造過程において、第5絶縁部55の第2部分55b(図1参照)を残すことにより、ゲート電極40の中間部40cとFP50との間隔を広くすることができる。また、導電膜110の露出部を熱酸化し、その体積を膨張させることにより、ゲート電極40の第1制御部40aおよび第2制御部40bとFP50との間の間隔を広げることができる。これにより、ゲート電極40とFP50との間の寄生容量、すなわち、ゲート電極40とソース電極30との間の寄生容量を低減することができる。
【0057】
また、FP50の内部に第5絶縁部55の第1部分55aを設けることにより、FP50の上端の面積を狭くすることができる。これにより、ゲート電極40とFP50との間の寄生容量をさらに低減することができる。
【0058】
図8は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置2を示す模式断面図である。半導体装置2のゲート電極40は、第1制御部40aと第2制御部40bとを含み、中間部40c(図1参照)を有しない。これにより、ゲート電極40とFP50との間の浮遊容量をさらに低減することができる。
【0059】
図9(a)~(c)は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。図9(a)~(c)に示す製造過程は、図4(b)~図5(b)に示す製造過程に対応する。
【0060】
図9(a)に示すように、絶縁膜105および115を選択的に除去し、ゲートトレンチGTの内部に、第3絶縁部51および第5絶縁部55を形成する。第5絶縁部55のX方向の幅Wは、図4(b)に示す第5絶縁部55のX方向の幅に比べて狭く形成される。このため、第5絶縁部55の上に形成されるスペースSP3のX方向の幅も狭くなる。
【0061】
図9(b)に示すように、半導体ウェーハ100と、導電膜110の露出された部分と、を熱酸化し、第1絶縁部43および第4絶縁部53を形成する。この過程において、第5絶縁部55の上に位置するスペースSP3は閉塞される。すなわち、スペースSP3のX方向の幅が狭いため、第4絶縁部53の体積膨張により閉塞される。
【0062】
図9(c)に示すように、第1絶縁部43と第4絶縁部53との間のスペースSGに、第1制御部40aおよび第2制御部40bを埋め込むことにより、ゲート電極40を形成する。
【0063】
図10は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置3を示す模式断面図である。半導体装置3のゲート電極40は、第1制御部40aと第2制御部40bとを含み、中間部40c(図1参照)を有しない。これにより、ゲート電極40とFP50との間の浮遊容量を低減することができる。
【0064】
第5絶縁部55の第2部分55bは、第2絶縁部45につながるように形成される。第4絶縁部53は、ゲート電極40の第1制御部40aと第2部分55bとの間、および、第2制御部40bと第2部分55bとの間に位置する。
【0065】
図11(a)~図12(b)は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置3の製造過程を示す模式断面図である。図11(a)~図12(b)に示す製造過程は、図4(a)~図5(b)に示す製造過程に対応する。
【0066】
図11(a)に示すように、ゲートトレンチGTの内部に位置する部分を残して、導電膜110を選択的に除去する。絶縁膜115は、この段階で第5絶縁部55として残る(図3(b)参照)。
【0067】
図11(b)に示すように、絶縁膜105を選択的に除去し、第3絶縁部51を形成する。絶縁膜105は、例えば、絶縁膜115をエッチングしない条件下で選択的に除去される。絶縁膜115は、絶縁膜105とは異なる材料を含む。絶縁膜105は、例えば、シリコン酸化膜であり、絶縁膜115は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0068】
図12(a)に示すように、半導体ウェーハ100および導電膜110の露出された部分を熱酸化することにより、第1絶縁部43および第4絶縁部53を形成する。第4絶縁部53は、第1絶縁部43と第5絶縁部55との間に位置し、第1絶縁部43と第4絶縁部53との間にスペースSGを残すように形成される。
【0069】
図12(b)に示すように、スペースSGの内部に第1制御部40aおよび第2制御部40bを埋め込み、ゲート電極40を形成する。続いて、ゲート電極40を覆うように、第2絶縁部45を形成する(図10参照)。
【0070】
図13は、実施形態の第3変形例に係る半導体装置4を示す模式断面図である。半導体装置4の第5絶縁部55は、例えば、FP50の内部に位置する空隙Vsを含む。
【0071】
空隙Vsは、第5絶縁部55の第1部分55aの内部に位置する。半導体装置4では、空隙Vsを残すことにより、ゲートトレンチGTの内部に形成される構造体の応力を緩和することができる。また、半導体装置3においても、第4絶縁部53と第5絶縁部55の第2部分55bとを設けることにより、ゲート電極40とFP50との間の寄生容量を低減することができる。
【0072】
図14(a)および(b)は、実施形態の第3変形例に係る半導体装置4の製造過程を示す模式断面図である。図14(a)および(b)に示す製造過程は、図3(a)および図4(b)に示す製造過程にそれぞれ対応する。
【0073】
図14(a)に示すように、ゲートトレンチGT内のスペースSP2(図2(b)参照)を埋め込むように、絶縁膜115を形成する。絶縁膜115は、例えば、CVDにより形成されるシリコン窒化膜、もしくは、シリコン酸窒化膜である。例えば、スペースSP2の上部における絶縁膜115の堆積速度を速くすると、スペースSP2の上部が先に閉塞され、ゲートトレンチGTの底部に空隙Vsが残される。
【0074】
図14(b)に示すように、絶縁膜105および115を選択的に除去し、第3絶縁部51および第5絶縁部55を形成する。絶縁膜105および115は、絶縁膜115のエッチング速度が絶縁膜105のエッチング速度よりも遅い条件下において、選択的に除去される。
【0075】
本実施形態に係る製造方法では、第5絶縁部55となる絶縁膜115を、FP50となる導電膜110の内部に埋め込むように形成する。このため、ゲートトレンチGTの内部のスペースSP1(図2(a)参照)の全体を導電膜110により埋め込む場合に比べて、導電膜110の膜厚を薄くすることができる。これにより、第1絶縁部43を形成する過程において、導電膜110の露出された部分(図4(b)参照)の全体を熱酸化することが可能となる。すなわち、ゲート電極40の第1制御部40aと第2制御部40bとの間に、FP50の一部が残ることを回避し、ゲート電極40とFP50との間の寄生容量を低減できる。
【0076】
また、ゲートトレンチGTの内部に位置する部分を残して、導電膜110をエッチングする過程(図4(a)参照)では、絶縁膜105と絶縁膜115との間に位置する薄い導電膜110をエッチングすることになる。これにより、導電膜110のエッチング量の制御が容易になる。さらに、絶縁膜105および115を選択的に除去し、第3絶縁部51および第5絶縁部55を形成する過程(図4(b)参照)においても、同様にエッチング量の制御が容易になる。結果として、ゲート電極40の形状の再現性を向上させることができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3、4…半導体装置、 10…半導体部、 11…n形ドリフト層、 13…p形拡散層、 15…n形ソース層、 17…p形コンタクト層、 19…n形ドレイン層、 20…ドレイン電極、 30…ソース電極、 40…ゲート電極、 40a…第1制御部、 40b…第2制御部、 40c…中間部、 43…第1絶縁部、 45…第2絶縁部、 50…フィールドプレート(FP)、 51…第3絶縁部、 53…第4絶縁部、 55…第5絶縁部、 55a…第1部分、 55b…第2部分、 100…半導体ウェーハ、 100f…表面、 105、115…絶縁膜、 110…導電膜、 51、55、110…上端、 CT…コンタクトトレンチ、 GT…ゲートトレンチ、 SG、SP1、SP2、SP3…スペース、 Vs…空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14