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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】MANAボディおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20231108BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20231108BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231108BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231108BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231108BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20231108BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231108BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231108BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
C07K16/30
A61K35/17
A61K39/395 M
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
C07K16/46
C07K19/00
C12N5/0783
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/62
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019563546
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018032996
(87)【国際公開番号】W WO2018213467
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/506,674
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】バート フォーゲルシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ダブリュ キンズラー
(72)【発明者】
【氏名】シビン ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エス ファン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス パパドプーロス
(72)【発明者】
【氏名】エミリー ハン-チュン シュエ
(72)【発明者】
【氏名】チン ワン
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/154246(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/199141(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/187508(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/085904(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/048593(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/154047(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/201124(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/021527(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0042218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインを含む分子であって、前記ペプチドがp53ポリペプチドに由来する修飾ペプチドを含み、前記HLAがクラスI HLAであり、前記抗原結合ドメインが前記修飾ペプチドの野生型バージョンを含む複合体には結合せず、
前記抗原結合ドメインが抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
以下(i)又は(ii)を満たす、分子。
(i)
前記修飾p53ペプチドが配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記抗原結合ドメインが配列番号331、配列番号333、配列番号336、および配列番号337からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
(ii)
前記修飾p53ペプチドが配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記抗原結合ドメインが配列番号332、配列番号334、配列番号335、配列番号336、および配列番号337からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【請求項2】
ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインを含む分子であって、前記ペプチドが配列番号15又は配列番号16の修飾p53ペプチドを含み、
前記抗原結合ドメインが以下に示すCDRのセットの少なくとも一つを含む、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、分子。
(i)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号82、CDR-VH1:配列番号89、CDR-VH2:配列番号96、CDR-VH3:配列番号103
(ii)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号83、CDR-VH1:配列番号90、CDR-VH2:配列番号97、CDR-VH3:配列番号104
(iii)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号84、CDR-VH1:配列番号91、CDR-VH2:配列番号98、CDR-VH3:配列番号105
(iv)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号85、CDR-VH1:配列番号92、CDR-VH2:配列番号99、CDR-VH3:配列番号106
(v)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号86、CDR-VH1:配列番号93、CDR-VH2:配列番号100、CDR-VH3:配列番号107
(vi)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号87、CDR-VH1:配列番号94、CDR-VH2:配列番号101、CDR-VH3:配列番号108
(vii)CDR-VL1:配列番号33、CDR-VL2:SAS、CDR-VL3:配列番号88、CDR-VH1:配列番号95、CDR-VH2:配列番号102、CDR-VH3:配列番号109
【請求項3】
前記修飾ペプチドが10~15アミノ酸を含む、請求項1又は2に記載の分子。
【請求項4】
前記修飾ペプチドが10アミノ酸を含む、請求項3に記載の分子。
【請求項5】
前記分子が、抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント(scFv)、キメラ抗原受容体(CAR)、タンデムscFv、二重特異性T細胞エンゲージャー、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、scFv-Fc、及び二重特異性抗体からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の分子。
【請求項6】
前記分子が一本鎖ダイアボディである、請求項1~5のいずれか一項に記載の分子。
【請求項7】
前記分子が、CD3、CD28、CD4、CD8、CD16a、NKG2D、PD-1、CTLA-4、4-1BB、OX40、ICOS、およびCD27からなる群より選択されるエフェクター細胞受容体に結合することができる抗原結合ドメインをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の分子。
【請求項8】
エフェクター細胞受容体に結合することができる前記抗原結合ドメインがCD3に結合することができ、前記抗原結合ドメインが配列番号404、配列番号405、配列番号406、配列番号407、配列番号408、配列番号409、配列番号410、配列番号411、配列番号412、配列番号413、配列番号414、配列番号415、配列番号416、および配列番号417からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の分子。
【請求項9】
エフェクター細胞受容体に結合することができる前記抗原結合ドメインがCD16aに結合することができる、請求項7に記載の分子。
【請求項10】
エフェクター細胞受容体に結合することができる前記抗原結合ドメインがNKG2Dに結合することができる、請求項7に記載の分子。
【請求項11】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
膜貫通ドメインと;
細胞内ドメイン
とを含む、CAR。
【請求項12】
前記膜貫通ドメインがCD4、CD8、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、請求項11に記載のCAR。
【請求項13】
前記細胞内ドメインが、CD28、DAP10、ICOS、OX40、および/または4-1BBからの1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、請求項11または請求項12に記載のCAR。
【請求項14】
前記細胞内ドメインがCD3-ゼータからのシグナル伝達ドメインを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載のCARを発現するT細胞。
【請求項16】
がんを有する哺乳動物を治療する用の医薬組成物であって、
前記組成物は請求項1~10のいずれか一項に記載の分子を含み、前記がんが前記修飾ペプチドを発現するがん細胞を含む、組成物。
【請求項17】
がんを有する哺乳動物を治療する用の医薬組成物であって、
前記組成物は請求項11~14のいずれか一項に記載のCARを発現するT細胞を含み、前記がんが前記修飾ペプチドを発現するがん細胞を含む、組成物。
【請求項18】
前記哺乳動物がヒトである、請求項16または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記がんが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、肺がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形性膠芽腫、および星状細胞腫からなる群より選択される、請求項16~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
がんを有する哺乳動物を治療する用の医薬の製造における請求項1~10のいずれか一項に記載の分子の使用であって、
前記がんが前記修飾ペプチドを発現するがん細胞を含む、使用。
【請求項21】
がんを有する哺乳動物を治療する用の医薬の製造における請求項11~14のいずれか一項に記載のCARを発現するT細胞の使用であって、前記がんが前記修飾ペプチドを発現するがん細胞を含む、使用。
【請求項22】
前記哺乳動物がヒトである、請求項20または21に記載の使用。
【請求項23】
前記がんが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、肺がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形性膠芽腫、および星状細胞腫からなる群より選択される、請求項20~22のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年5月16日に出願された米国特許出願第62/506,674号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部であると見なされる(そして参照により本出願の開示に組み込まれる)。
【0002】
(連邦政府資金に関する声明)
本発明は、国立衛生研究所からの助成金番号CA62924の下で、米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
(1.技術分野)
本文書は、がんを有するまたはがんを有すると疑われる哺乳動物を評価するための、および/またはがんを有する哺乳動物を治療するための方法および材料に関する。例えば、本文書は、修飾ペプチド(例えば、腫瘍抗原)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、一本鎖可変フラグメント(scFv))を含む分子を使用してがんを有する哺乳動物を治療する方法および材料を提供する。
【背景技術】
【0004】
(2.背景情報)
がんの体細胞変異は、正常細胞ではなく腫瘍細胞でのみ特異的に発現するため、がん治療の理想的な標的である。特に、ドライバー遺伝子タンパク質(がん遺伝子タンパク質と腫瘍抑制タンパク質に広く細分されている)を標的とすることには利点がある。第一に、腫瘍の発がん性付与能力への依存により、抵抗が起こりにくくなる。第二に、これらの変異は通常、腫瘍の成長の初期に発生するため、本質的に全ての娘がん細胞に変異が含まれることになる。最後に、ドライバー遺伝子タンパク質は、多くの患者間で共有されるホットスポット変異を持っている傾向があるため、単一の変異を標的とする治療法を幅広い患者集団に適用することができる。
【0005】
ほとんどの変異タンパク質は、ほとんどの変異ドライバー遺伝子タンパク質を含めて、細胞内にある。小分子は細胞内タンパク質を標的とすることができるが、その野生型(wt)の対応物ではなく変異ドライバー遺伝子の活性を特異的に阻害できる小分子の開発は、そのようなドライバー遺伝子タンパク質の大部分では手が届かないままであった。単一のアミノ酸変異を区別する能力を持つことができる抗体は、典型的には、細胞外エピトープのみを標的にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
免疫系は、抗原の処理と提示を通じて、細胞の細胞内含有物をサンプリングする。タンパク質分解に続き、得られたペプチドの一部はヒト白血球抗原(HLA)にロードされ、細胞表面に送られ、そこでそれらは、T細胞が、T細胞受容体(TCR)を介して、自己ペプチドと非自己ペプチドとを区別するように機能する。例えば、ウイルスに感染した細胞は、そのHLAにウイルスペプチドを提示し、T細胞にその細胞を殺させる。同様に、がんでは、変異ペプチドは、がん細胞表面のHLAに提示され、これは、変異関連ネオ抗原(Mutation-Associated Neo-Antigen)の略でMANAと呼ばれる。場合によっては、程度の差はあれ、患者はこれらの変異ペプチド-HLAネオ抗原に対する抗がんT細胞応答を開始する可能性があり、チェックポイント遮断抗体はこの応答をさらに増強する。しかしながら、多くの患者、特に突然変異量が低い患者は、十分な抗がんT細胞応答を開始することができない。したがって、MANAを特異的に標的とする治療法または診断法は、真に腫瘍特異的な方法を提供してがんを診断または治療し得る。
【0007】
HLAクラスIタンパク質は、全ての有核細胞に存在する。3つの古典的なHLAクラスI遺伝子、A、B、およびCがあり、それぞれが高度に多型である。各HLA対立遺伝子には特定のペプチド結合モチーフがあり、その結果、特定のペプチドのみが特定のHLA対立遺伝子に結合することになる。
【0008】
当該技術分野では、がんを診断、モニター、および効果的に治療するための新しい方法を開発する必要性が継続して存在する。
【0009】
本文書は、がんを有する哺乳動物を治療するための方法および材料を提供する。例えば、本文書は、修飾ペプチド(例えば、ペプチド-HLA-b2M複合体に存在する修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を使用する方法および材料を提供し、がん(例えば、修飾ペプチドを発現しているがん)を有する哺乳動物を治療する。場合によっては、修飾ペプチド(例えば、ペプチド-HLA-b2M複合体に存在する修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を、がん(例えば、修飾ペプチドを発現するがん)を有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で実証されるように、多くの急性骨髄性白血病(AML)症例におけるペプチド-HLA-b2M複合体に存在する多数の変異関連ネオ抗原(MANA)を標的とする(例えば、結合する)scFvが同定された。また、本明細書で実証されているように、scFvを使用して、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞(CART;CAR TまたはCAR-Tとも略される)と、MANAを発現する細胞を認識および殺すことができる二重特異性抗体との両方を設計した。MANAを特異的に標的とする能力は、がんを診断および/または治療するための腫瘍特異的方法を提供する。例えば、MANAを特異的に標的とするscFvを、全長抗体またはそのフラグメント、抗体薬物複合体(ADC)、抗体放射性核種複合体、CART、または二重特異性抗体に使用して、がんを有する哺乳動物を診断および/または治療することができる。
【0011】
一般に、本文書の1つの態様は、ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインを含む分子であり、そこでペプチドは修飾ペプチドを含み、HLAはクラスI HLAであり、抗原結合ドメインは修飾ペプチドの野生型バージョンを含む複合体には結合しない。修飾ペプチドは、7アミノ酸~15アミノ酸(例えば、10アミノ酸)を含み得る。修飾ペプチドは、修飾IDH2ポリペプチド、修飾EGFRポリペプチド、修飾p53ポリペプチド、修飾KRASポリペプチド、修飾HRASポリペプチド、修飾NRASポリペプチド、または修飾CTNNBポリペプチドに由来し得る。修飾ペプチドは、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、または配列番号32で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号1を含む場合、クラスI HLAはHLA-B7であり得、抗原結合フラグメントは配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号8で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号11を含む場合、クラスI HLAはHLA-B7であり得、抗原結合フラグメントは配列番号380、配列番号390、配列番号391、配列番号392、または配列番号393で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号13を含む場合、クラスI HLAはHLA-A2であり得、抗原結合フラグメントは配列番号324、配列番号325、配列番号326、配列番号327、配列番号328、配列番号329、または配列番号330で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号15を含む場合、クラスI HLAはHLA-A2であり得、抗原結合フラグメントは配列番号331、配列番号333、配列番号336、または配列番号337で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号16を含む場合、クラスI HLAはHLA-A2であり得、抗原結合フラグメントは配列番号332、配列番号334、配列番号335、配列番号336、または配列番号337で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号18を含む場合、クラスI HLAはHLA-A2であり得、抗原結合フラグメントは配列番号338、配列番号339、または配列番号340で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号20を含む場合、クラスI HLAはHLA-A3であり得、抗原結合フラグメントは配列番号341、配列番号342、または配列番号343で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号21を含む場合、クラスI HLAはHLA-A3であり得、抗原結合フラグメントは配列番号342、配列番号343、配列番号349、配列番号350、配列番号351、配列番号352、配列番号353、配列番号354、配列番号355、配列番号356、または配列番号357で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号22を含む場合、クラスI HLAはHLA-A3であり得、抗原結合フラグメントは配列番号338、配列番号339、配列番号340、配列番号341、配列番号342、配列番号343、配列番号344、配列番号345、配列番号346、配列番号347、配列番号348、配列番号369、配列番号370、配列番号371、配列番号372、配列番号373、または配列番号374で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号24を含む場合、クラスI HLAはHLA-A11であり得、抗原結合フラグメントは配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号366、配列番号367、または配列番号368で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号26を含む場合、クラスI HLAはHLA-A3であり得、抗原結合フラグメントは配列番号375、配列番号376、配列番号377、配列番号378、または配列番号379で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号28を含む場合、クラスI HLAはHLA-A1であり得、抗原結合フラグメントは配列番号394で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号30を含む場合、クラスI HLAはHLA-A1であり得、抗原結合フラグメントは配列番号395で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号31を含む場合、クラスI HLAはHLA-A1であり得、抗原結合フラグメントは配列番号396で示されるアミノ酸配列を含み得る。修飾ペプチドが配列番号32を含む場合、クラスI HLAはHLA-A1であり得、抗原結合フラグメントは配列番号397、配列番号398、配列番号399、配列番号400、または配列番号401で示されるアミノ酸配列を含み得る。分子は、抗体、抗体フラグメント、scFv、CAR、TCR、TCR模倣体、タンデムscFv、二重特異性T細胞エンゲージャー、ダイアボディ、一本鎖ダイアボディ、scFv-Fc、二重特異性抗体、または二重親和性再標的化抗体(DART)であり得る。例えば、分子は一本鎖ダイアボディであり得る。分子は、エフェクター細胞受容体(例えば、CD3、CD28、CD4、CD8、CD16a、NKG2D、PD-1、CTLA-4、4-1BB、OX40、ICOS、またはCD27)に結合することができる抗原結合ドメインも含み得る。エフェクター細胞に結合することができる抗原結合ドメインがCD3に結合することができる場合、抗原結合ドメインは配列番号404、配列番号405、配列番号406、配列番号407、配列番号408、配列番号409、配列番号410、配列番号411、配列番号412、配列番号413、配列番号414、配列番号415、配列番号416、または配列番号417で示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0012】
別の態様では、本文書はCARを特徴とする。CARは、本明細書に記載の任意の抗原結合ドメイン(例えば、ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインであって、そこでペプチドは修飾ペプチドを含み、HLAはクラスI HLAであり、抗原結合ドメインは修飾ペプチドの野生型バージョンを含む複合体には結合しない抗原結合ドメイン)を含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み得る。膜貫通ドメインは、CD4、CD8、またはCD28の膜貫通ドメインを含み得る。細胞内ドメインは、CD28、DAP10、ICOS、OX40、および/または4-1BBからの1つまたは複数の共刺激ドメインを含み得る。細胞内ドメインは、CD3-ゼータからのシグナル伝達ドメインを含み得る。
【0013】
別の態様では、本文書は、本明細書に記載の任意のCAR(例えば、本明細書に記載の任意の抗原結合ドメインを含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むCAR)を発現するT細胞を特徴とする。T細胞は、ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインであって、そこでペプチドは修飾ペプチドを含み、HLAはクラスI HLAであり、抗原結合ドメインは修飾ペプチドの野生型バージョンを含む複合体には結合しない細胞外ドメイン)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むCARを発現し得る。
【0014】
別の態様では、本文書は、がんを有する哺乳動物を治療する方法を特徴とする。本方法は、本明細書に記載の任意の抗原結合ドメイン(例えば、ペプチド-HLA-ベータ-2ミクログロブリン複合体に結合することができる抗原結合ドメインであって、そこでペプチドは修飾ペプチドを含み、HLAはクラスI HLAであり、抗原結合ドメインは修飾ペプチドの野生型バージョンを含む複合体には結合しない抗原結合ドメイン)を含む1つまたは複数の分子を哺乳動物に投与する工程を含み得るか、または本質的にそれからなり得、ここで、がんには、修飾ペプチドを発現するがん細胞が含まれる。哺乳動物は人間であり得る。がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、AML、肺がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形性膠芽腫、または星状細胞腫であり得る。
【0015】
別の態様では、本文書は、がんを有する哺乳動物を治療する方法を特徴とする。本方法は、本明細書に記載のCAR(例えば、本明細書に記載の任意の抗原結合ドメインを含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むCAR)のいずれか1つを発現する1つまたは複数のT細胞を哺乳動物に投与する工程を含み得るか、または本質的にそれからなり得、ここで、がんには、修飾ペプチドを発現するがん細胞が含まれる。哺乳動物は人間であり得る。がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、AML、肺がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形性膠芽腫、または星状細胞腫であり得る。
【0016】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を使用して本発明を実施することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾する場合、本明細書が、定義を含めて優位になる。さらに、材料、方法、および実施例は説明のみを目的としており、限定することを意図したものではない。
【0017】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】IDH2 R140Q HLA-B7 scFvの特異性を示すELISA結果が含まれている。ペプチド-HLAビオチン化モノマーをストレプトアビジンプレートにコーティングし、これには、IDH2ペプチドの野生型(wt)バージョン(SPNGTIRNIL;配列番号2)、R140Q変異を含むIDH2ペプチド(SPNGTIQNIL;配列番号1)、および以下の対照ペプチドを含む4つの対照HLA-B7モノマーが含まれる:対照1ペプチドはSPGAANKRPI(人工配列;配列番号418)であり、対照2ペプチドはRPIPIKYKAM(変異体MyD88 L265Pから;配列番号9)であり、対照3ペプチドはKPITIGRHAH(wt IDH2からの異なるペプチドから;配列番号10)であり、対照4ペプチドはAVGVGKSAL(変異体KRAS G12Vから;配列番号11)である。パニングで同定した5つのクローンを、特定の希釈度でウェル内でインキュベートし、続いてウサギ抗ファージ抗体、次に抗ウサギHRP抗体でインキュベートした。
図2】ペプチドパルスA2+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2細胞を一晩37℃で無血清培地において、β-2ミクログロブリン(b2M)タンパク質のみで、またはb2MとEGFR T790M(789-797)ペプチド(IMQLMPFGC;配列番号13)とでペプチドパルスした。EGFR wt(789-797)ペプチド(ITQLMPFGC;配列番号14)は、HLA-A2に結合しなかった。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図3】ペプチドパルスB7+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。RPMI-6666細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mタンパク質のみで、b2Mタンパク質とIDH2変異R140Qペプチド(SPNGTIQNIL;配列番号1)とで、またはb2MとIDH2 wtペプチド(SPNGTIRNIL;配列番号2)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図4】ペプチドパルスA2+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2Mとp53変異R248Q(245-254)ペプチド(GMNQRPILTI;配列番号15)とで、b2Mとp53変異R248W(245-254)ペプチド(GMNWRPILTI;配列番号16)とで、b2Mとp53 wt(245-254)ペプチド(GMNRRPILTI;配列番号17)とで、またはb2MとHLA-A2制御ペプチドELA(ELAGIGILTV;配列番号403)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図5】ペプチドパルスA2+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12V(6-14)ペプチド(LVVVGAVGV;配列番号18)、またはb2MとKRAS wt(6-14)ペプチド(LVVVGAGGV;配列番号19)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図6】ペプチドパルスA3+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2A3細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12C(8-16)ペプチド(VVGACGVGK;配列番号419)とで、b2MとKRAS変異G12D(8-16)ペプチド(VVGADGVGK;配列番号420)とで、b2MとKRAS変異G12V(8-16)ペプチド(VVGAVGVGK;配列番号22)とで、b2MとKRAS変異G12C(7-16)ペプチド(VVVGACGVGK;配列番号20)とで、b2MとKRAS変異G12D(7-16)ペプチド(VVVGADGVGK;配列番号21)とで、b2MとKRAS変異G12V(7-16)ペプチド(VVVGAVGVGK;配列番号22)とで、b2MとKRAS wt(8-16)ペプチド(VVGAGGVGK;配列番号25)とで、b2MとKRAS wt(7-16)ペプチド(VVVGAGGVGK;配列番号23)とで、またはCTNNB S45F(41-49)ペプチド(TTAPFLSGK;配列番号26)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図7】ペプチドパルスA3+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2A3細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12V(7-16)ペプチド(VVVGAVGVGK;配列番号22)とで、またはb2MとKRAS wt(7-16)ペプチド(VVVGAGGVGK;配列番号23)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図8】ペプチドパルスA3+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2A3細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12C(7-16)ペプチド(VVVGACGVGK;配列番号20)とで、b2MとKRAS変異G12D(7-16)ペプチド(VVVGADGVGK;配列番号21)とで、b2MとKRAS変異G12V(7-16)ペプチド(VVVGAVGVGK;配列番号22)とで、またはb2MとKRAS wt(7-16)ペプチド(VVVGAGGVGK;配列番号23)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図9】ペプチドパルスA11+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。Hs611.T細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12C(7-16)ペプチド(VVVGACGVGK;配列番号20)とで、b2MとKRAS変異G12D(7-16)ペプチド(VVVGADGVGK;配列番号21)とで、b2MとKRAS変異G12V(7-16)ペプチド(VVVGAVGVGK;配列番号22)とで、またはb2MとKRAS wt(7-16)ペプチド(VVVGAGGVGK;配列番号23)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図10】ペプチドパルスA11+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。MINO細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12D(8-16)ペプチド(VVGADGVGK;配列番号24)とで、またはb2MとKRAS wt(8-16)ペプチド(VVGAGGVGK;配列番号25)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図11】ペプチドパルスA11+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。Hs611.T細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12C(7-16)ペプチド(VVVGACGVGK;配列番号20)とで、b2MとKRAS変異G12D(7-16)ペプチド(VVVGADGVGK;配列番号21)とで、b2MとKRAS G12V(7-16)ペプチド(VVVGAVGVGK;配列番号22)とで、またはb2MとKRAS wt(7-16)ペプチド(VVVGAGGVGK;配列番号23)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図12】ペプチドパルスA3+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。T2A3細胞を一晩37℃で無血清培地において、b2Mのみで、b2MとCTNNB変異S45F(41-49)ペプチド(TTAPFLSGK;配列番号26)とで、またはb2MとCTNNB wt(41-49)ペプチド(TTAPSLSGK;配列番号27)とでペプチドパルスした。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図13】ペプチドパルスB7+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。RPMI-6666細胞を一晩37℃で無血清培地において、ペプチドパルスし、b2Mのみで、b2MとKRAS変異G12V(11-19)ペプチド(AVGVGKSAL;配列番号11)とでパルスした細胞を示す。KRAS wt(11-19)ペプチド(AGGVGKSAL;配列番号12)は、HLA-B7に結合しなかった。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図14】ペプチドパルスA1+細胞のフローサイトメトリーを示すグラフが含まれている。SigM5細胞を一晩37℃で無血清培地においてペプチドパルスし、b2Mのみで、b2MとH/K/N RAS変異Q61H(55-64)ペプチド(ILDTAGHEEY;配列番号28)とで、b2MとH/K/N RAS変異Q61K(55-64)ペプチド(ILDTAGKEEY;配列番号30)とで、b2MとH/K/N RAS変異Q61L(55-64)ペプチド(ILDTAGLEEY;配列番号31)とで、b2MとH/K/N RAS変異Q61R(55-64)ペプチド(ILDTAGREEY;配列番号32)とで、またはb2MとH/K/N RAS wt(55-64)ペプチド(ILDTAGQEEY;配列番号29)とでパルスした細胞を示す。細胞を、細胞100μLあたり10μLの沈殿ファージで染色し、ウサギ抗M13抗体で洗浄および染色し、その後抗ウサギPE抗体で洗浄および染色した。細胞を、生/死近赤外色素で染色し、洗浄し、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
図15図15A-15Bは、MANAボディクローンをCAR-T細胞に変換することができることを示している。図15Aは、IDH2 R140Q(134-143)-B7 cl.1 MANA-CAR-T細胞を4時間37℃で、HLA-B7、IDH2(WT)、およびIDH2(R140Q)のさまざまな組み合わせをコードするプラスミドで共トランスフェクトしたCOS-7細胞と共培養した。共培養後、馴化培地を収集し、ELISAにより分泌IFNγについてアッセイした。図15Bは、KRAS G12V(7-16)-A3 cl.2 MANA-CAR-T細胞を4時間37℃で、HLA-A3、KRAS(WT)、およびKRAS(G12V)のさまざまな組み合わせをコードするプラスミドでトランスフェクトしたCOS-7細胞と共培養した。共培養後、馴化培地を収集し、ELISAにより分泌IFNγについてアッセイした。
図16図16A-16Bは、MANAボディクローンを一本鎖ダイアボディ(scDb)に変換することができることを示している。図16Aは、抗CD3クローンmUCHT1またはhUCHT1v9のいずれかを含むIDH2 R140Q(134-143)-B7 cl.29、cl.1、およびcl.3 scDbを指定濃度で、HLA-B7、IDH2(WT)、IDH2(R140Q)、およびGFPのさまざまな組み合わせをコードするプラスミドで共トランスフェクトしたT細胞およびCOS-7細胞と24時間37℃でインキュベートした。共培養後、プレートを急速凍結し、馴化培地を収集し、ELISAにより分泌IFNγについてアッセイした。図16Bは、KRAS G12V(7-16)-A3 cl.2 mUCHT1 scDbを指定濃度で、T細胞ありまたはなしで、1)標的細胞なしで、2)HLA-A3およびKRAS(WT)もしくはHLA-A3およびKRAS(G12V)をコードするプラスミドで共トランスフェクトしたCOS-7細胞と、または3)NCI-H441親細胞もしくはHLA-A3ノックアウト細胞とのいずれかで24時間37℃でインキュベートした。共培養後、プレートを急速凍結し、馴化培地を収集し、ELISAにより分泌IFNγについてアッセイした。
図17】scDbに変換されたMANAボディクローンが標的細胞を殺すことができることを示している。KRAS G12V(7-16)-A3 cl.2 mUCHT1 scDbおよびpan-HLA-A3 scDbを0または50ng/mLで、T細胞ありまたはなしで、NCI-H441親細胞またはHLA-A3ノックアウト細胞とともに24時間37℃でインキュベートした。共培養後、CellTiter-Gloを使用して各ウェルの生細胞をアッセイした。T細胞のみのウェルからの値を差し引き、標的細胞のみのウェルからの値に正規化することにより、標的細胞の生存率を計算した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本文書は、がんを有するまたはがんを有すると疑われる哺乳動物を評価するための、および/またはがんを有する哺乳動物を治療するための方法および材料を提供する。例えば、1つまたは複数の修飾ペプチド(例えば、ペプチド-HLA-b2M複合体などのペプチド-HLA複合体に存在するペプチド)を標的とする(例えば、結合する)ことができる1つもしくは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つもしくは複数の分子を使用して、がんを有するまたはがんを有すると疑われる哺乳動物を評価することができる、および/あるいはがん(例えば、1つもしくは複数の修飾ペプチドを発現するがん)を有する哺乳動物を治療することができる。場合によっては、1つまたは複数の分子は、修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含み、これらを使用して、がんを患っているまたはがんを有すると疑われる哺乳動物から得た試料中の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無を検出することができる。場合によっては、修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む1つまたは複数の分子を、がん(例えば、修飾ペプチドを発現するがん)を有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、修飾ペプチドは、修飾ポリペプチドに由来するペプチドである。修飾ポリペプチドは、任意の適切な修飾ポリペプチド(例えば、発がん性突然変異などの疾患を引き起こす突然変異を有するポリペプチド)であり得る。修飾ペプチドは、野生型(wt)ペプチド(例えば、修飾ポリペプチドが由来するwtポリペプチドに由来するペプチド)に対して1つまたは複数のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有し得る。修飾ペプチドは、変異ペプチドとも呼ばれる。場合によっては、修飾ペプチドは腫瘍抗原であり得る。腫瘍抗原の例には、非限定的に、変異関連ネオ抗原(MANA)、腫瘍関連抗原、および腫瘍特異的抗原が含まれる。修飾ペプチドは、任意の適切な長さであり得る。場合によっては、修飾ペプチドは、約7アミノ酸~約15アミノ酸(例えば、約8アミノ酸~約15アミノ酸、約9アミノ酸~約15アミノ酸、約10アミノ酸~約15アミノ酸、約11アミノ酸~約15アミノ酸、約12アミノ酸~約15アミノ酸、約13アミノ酸~約15アミノ酸、約7アミノ酸~約14アミノ酸、約7アミノ酸~約13アミノ酸、約7アミノ酸~約12アミノ酸、約7アミノ酸~約11アミノ酸、約7アミノ酸~約10アミノ酸、約7アミノ酸~約9アミノ酸、または約9アミノ酸~約10アミノ酸)の長さであり得る。例えば、修飾ペプチドは、約9アミノ酸の長さであり得る。例えば、修飾ペプチドは、約10アミノ酸の長さであり得る。修飾ペプチドは、任意の修飾(例えば、発がん性)ポリペプチドに由来し得る。本明細書に記載の修飾ペプチドが由来し得る修飾ポリペプチドの例には、上皮成長因子受容体(EGFR)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)、p53、RAS(例えば、KRAS、HRAS、およびNRAS)、ならびにCTNNBが含まれるが、これらに限定されない。修飾ペプチドには、任意の適切な修飾が含まれ得る。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチドは、表1に示す1つまたは複数の修飾(例えば、突然変異)を含み得る。
【表1】
【0021】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)は、任意の適切なHLAとの複合体中にあり得る。HLAは、任意の適切なHLA対立遺伝子であり得る。場合によっては、HLAはクラスI HLA(例えば、HLA-A、HLA-B、HLA-C)対立遺伝子であり得る。本明細書に記載の修飾ペプチドが複合できるHLA対立遺伝子の例には、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-11、およびHLA-B7が含まれ得るが、これらに限定されない。特定の修飾ペプチドの例示的なHLA対立遺伝子を表1に示す。例えば、修飾EGFRポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、IMQLMPFGC(配列番号13))は、HLA-A2およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾IDH2ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、SPNGTIQNIL(配列番号1))は、HLA-B7およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾p53ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、GMNQRPILTI(配列番号15)またはGMNWRPILTI 1(配列番号16))は、HLA-A2およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、LVVVGAVGV(配列番号18)、VVVGACGVGK(配列番号20)、VVVGADGVGK(配列番号21)、VVVGAVGVGK(配列番号22)、およびVVGADGVGK(配列番号24))は、HLA-A2、HLA-A3、および/またはHLA-A11、およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾CTNNBポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、TTAPFLSGK(配列番号26))は、HLA-A3およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、AVGVGKSAL(配列番号11))は、HLA-B7およびb2Mとの複合体中にあり得る。例えば、修飾H/K/N RASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、ILDTAGHEEY(配列番号28)、ILDTAGKEEY(配列番号30)、ILDTAGLEEY(配列番号31)、ILDTAGREEY(配列番号32))は、HLA-A1およびb2Mとの複合体中にあり得る。
【0022】
本文書は、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子を提供する。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む分子は、複合体(例えば、ペプチド-HLA-b2M複合体)に存在しない本明細書に記載の修飾ペプチドを標的としない(例えば、結合しない)。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む分子は、wtペプチド(例えば、修飾ポリペプチドが由来するwtポリペプチドに由来するペプチド)を標的としない(例えば、結合しない)。
【0023】
本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、任意の適切なタイプの分子であり得る。場合によっては、分子は一価分子(例えば、単一の抗原結合ドメインを含む)であり得る。場合によっては、分子は多価分子(例えば、2つ以上の抗原結合ドメインを含み、同時に2つ以上の抗原を標的とする)であり得る。例えば、二重特異性分子は2つの抗原結合ドメインを含むことができ、三重特異性分子は3つの抗原結合ドメインを含むことができ、四重特異性分子は4つの抗原結合ドメインを含むことができる、などである。抗原結合ドメインを含む分子の例には、抗体、抗体フラグメント、scFv、CAR、T細胞受容体(TCR)、TCR模倣体、タンデムscFv、二重特異性T細胞エンゲージャー、ダイアボディ、scDb、scFv-Fc、二重特異性抗体、二重親和性再標的化抗体(DART)、および少なくとも1つの可変重鎖(VH)と少なくとも1つの可変軽鎖(VL)とを含む任意の他の分子が含まれるが、これらに限定されない。これらの分子のいずれも、本明細書に記載の材料および方法に従って使用することができる。場合によっては、抗原結合ドメインはscFvであり得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、1つまたは複数のscFv)を含む分子は、CARであり得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる2つのscFvを含む分子は、一本鎖ダイアボディ(scDb)であり得る。
【0024】
場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、1つまたは複数のscFv)を含む分子がCARである場合、CARは任意の適切なCARであり得る。本明細書で提供されるCARは、本明細書に記載の修飾ペプチド、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(例えば、共刺激ドメインなどの細胞内シグナル伝達ドメイン)に結合することができる少なくとも1つの抗原結合ドメインを有する細胞外ドメインを含み得る。CARは、任意の適切な細胞外ドメインを含み得る。例えば、CARは、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチドに結合することができる抗原結合ドメインを有する分子(例えば、scFv)を含み得る。CARは、任意の適切な膜貫通ドメインを含み得る。膜貫通ドメインは、任意の適切なポリペプチドに由来し得る。本明細書に記載のCARにおいて使用され得る膜貫通ドメインの例には、CD4、CD8(例えば、CD8-アルファおよびCD8-ベータ)、CD28、CD3イプシロン、CD5、CD6、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、4-1BB、およびCD154の膜貫通ドメインが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、本明細書に記載のCARはCD28膜貫通ドメインを含み得る。CARは、適切な細胞内ドメインを含み得る。細胞内ドメインは、任意の適切なポリペプチドに由来し得る。細胞内ドメインは、共刺激ドメイン(例えば、単一の共刺激ドメインまたは複数の共刺激ドメイン)を含み得る。CARが複数の共刺激ドメインを含む場合、CARは同じタイプの複数の共刺激ドメインまたは異なるタイプの複数の共刺激ドメインを含み得る。細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み得る。本明細書に記載のCARにおいて使用され得る細胞内ドメインの例には、CD3(例えばCD3-ゼータ)、CD28、DAP10、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、OX40、4-1BB、CD2、CD4、CD8、CD5、CD22、DAP-12、CD22、およびCD79の細胞内ドメインが含まれるが、これらに限定されない。CARは、任意の適切な方法を使用して作製され得る。場合によっては、CARは、ヒンジ配列(例えば、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間に位置する)も含み得る。場合によっては、CARは、他で説明されるように作製され得る(Curran et al.,2012 J. Gene Med 14:405-415;Kershaw et al.,2005 Nature Reviews Immunol. 5(12):928-940;Eshhar et al.,1993 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90(2):720-724;Sadelain et al.,2009 Curr. Opin. Immunol. 21(2):215-223;WO 2015/142675;WO 2015/150526;およびWO 2014/134165を参照)。また、1つまたは複数のCARを発現するCARTも本明細書において提供され、CARは、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチド(例えば、2つ以上の抗原結合ドメインを有するCAR)を標的とする(例えば、結合する)ことができる。また、1つまたは複数のCARを発現するCARTも本明細書において提供され、CARTは、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドを標的とする(例えば、結合する)ことができる。
【0025】
場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子が多価分子(例えば、二重特異性分子)である場合、第1抗原結合ドメインは本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができ、第2抗原結合ドメインはエフェクター細胞(例えば、エフェクター細胞上に存在する抗原)に結合することができる。エフェクター細胞の例には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、B細胞、形質細胞、マクロファージ、単球、ミクログリア、樹状細胞、好中球、線維芽細胞、およびマスト細胞が含まれるが、これらに限定されない。エフェクター細胞上に存在する抗原の例には、CD3、CD4、CD8、CD28、CD16a、NKG2D、PD-1、CTLA-4、4-1BB、OX40、ICOS、CD27、および任意の他のエフェクター細胞表面受容体が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、本明細書に記載の分子は、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる第1抗原結合ドメインと、T細胞に存在する抗原(例えばCD3)に結合することができる第2抗原結合ドメインとを含み得る。場合によっては、CD3に結合することができる配列(例えば、scFv配列)は、表4に示される通りであり得る。場合によっては、CD3に結合することができる配列(例えば、scFv配列)は、他で説明される通りであり得る(例えば、Rodrigues et al.,1992 Int J Cancer Suppl. 7:45-50;Shalaby et al.,1992 J Exp Med. 175:217-25;Brischwein et al.,2006 Mol Immunol. 43:1129-43;Li et al.,2005 Immunology. 116:487-98;WO2012162067;US20070065437;US20070065437;US20070065437;US20070065437;US20070065437;およびUS20070065437を参照)。場合によっては、本明細書に記載の分子は、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる第1抗原結合ドメインと、NK細胞上に存在する抗原(例えば、CD16aまたはNKG2D)に結合することができる第2抗原結合ドメインとを含み得る。修飾ペプチドとエフェクター細胞の両方に結合することにより、多価分子は、修飾ペプチドを(例えば、HLA複合体の一部として)発現する細胞をエフェクター細胞に接近させることができ、エフェクター細胞が修飾ペプチドを発現する細胞に作用することを可能する。
【0026】
場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子が多価分子(例えば、二重特異性分子)である場合、分子は、少なくとも1つのVHと少なくとも1つのVLとを含む任意の適切な型であり得る。例えば、VHおよびVLは、任意の適切な配向性であり得る。場合によっては、VHはVLのN末端であり得る。場合によっては、VHはVLのC末端であり得る。場合によっては、リンカーのアミノ酸配列は、VHとVLとの間に配置され得る。
【0027】
場合によっては、二重特異性分子がタンデムscFvである場合、タンデムscFvは任意の適切な配向性であり得る。scFv-AおよびscFv-Bを含むタンデムscFv配向性の例には、VLA-LL-VHA-SL-VLB-LL-VHB、VLA-LL-VHA-SL-VHB-LL-VLB、VHA-LL-VLA-SL-VLB-LL-VHB、VHA-LL-VLA-SL-VHB-LL-VLB、VLB-LL-VHB-SL-VLA-LL-VHA、VLB-LL-VHB-SL-VHA-LL-VLA、VHB-LL-VLB-SL-VLA-LL-VHA、およびVHB-LL-VLB-SL-VHA-LL-VLAが含まれるが、これらに限定されず、ここでSLは短いリンカーであり、LLは長いリンカーである。短いリンカーは、約3アミノ酸~約10アミノ酸の長さであり得る。短いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。長いリンカーは、約10アミノ酸~約25アミノ酸の長さであり得る。長いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。
【0028】
場合によっては、二重特異性分子がダイアボディである場合、ダイアボディは任意の適切な配向性であり得る。scFv-AおよびscFv-Bを含むダイアボディの配向性の例には、VLA-SL-VHBおよびVLB-SL-VHA、VLA-SL-VLBおよびVHB-SL-VHA、VHA-SL-VLBおよびVHB-SL-VLA、VLB-SL-VHAおよびVLA-SL-VHB、VLB-SL-VLAおよびVHA-SL-VHB,ならびにVHB-SL-VLAおよびVHA-SL-VLBが含まれるが、これらに限定されず、ここでSLは短いリンカーである。短いリンカーは、約3アミノ酸~約10アミノ酸の長さであり得る。短いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。
【0029】
場合によっては、二重特異性分子がscDbである場合、scDbは任意の適切な配向性であり得る。scFv-AおよびscFv-Bを含むscDbの配向性の例には、VLA-SL-VHB-LL-VLB-SL-VHA、VHA-SL-VLB-LL-VHB-SL-VLA、VLA-SL-VLB-LL-VHB-SL-VHA、VHA-SL-VHB-LL-VLB-SL-VLA、VLB-SL-VHA-LL-VLA-SL-VHB、VHB-SL-VLA-LL-VHA-SL-VLB、VLB-SL-VLA-LL-VHA-SL-VHB、およびVHB-SL-VHA-LL-VLA-SL-VLBが含まれるが、これらに限定されず、ここでSLは短いリンカーであり、LLは長いリンカーである。短いリンカーは、約3アミノ酸~約10アミノ酸の長さであり得る。短いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。長いリンカーは、約10アミノ酸~約25アミノ酸の長さであり得る。長いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。
【0030】
場合によっては、二重特異性分子がscFv-Fcである場合、scFv-Fcは任意の適切な配向性であり得る。scFv-Fc-A、scFv-Fc-B、およびFcドメインを含むscFv-Fcの配向性の例には、VLA-LL-VHA-ヒンジ-FcおよびVLB-LL-VHB-ヒンジ-Fc、VHA-LL-VLA-ヒンジ-FcおよびVHB-LL-VLB-ヒンジ-Fc、VLA-LL-VHA-ヒンジ-FcおよびVHB-LL-VLB-ヒンジ-Fc、VHA-LL-VLA-ヒンジ-FcおよびVLB-LL-VHB-ヒンジ-Fcが含まれるが、これらに限定されず、ここでLLは長いリンカーである。長いリンカーは、約10アミノ酸~約25アミノ酸の長さであり得る。長いリンカーは、任意の適切な組み合わせで任意の適切なアミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)を含み得る。場合によっては、scFv-FcのFcドメインは1つまたは複数の修飾を含み、scFv-Fcのヘテロ二量体化を増加させるおよび/またはホモ二量体化を減少させ得る。場合によっては、scFv-FcのFcドメインはヒンジドメインを除外し得る。場合によっては、scFv-FcのFcドメインはscFvのN末端であり得る。
【0031】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、任意の適切な相補性決定領域(CDR)を含み得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む分子は、3つのVH相補性決定領域(CDR-VH)有する可変重鎖(VH)と3つのVL CDR(CDR-VL)を有する可変軽鎖(VL)を含み得る。例えば、修飾EGFRポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、IMQLMPFGC(配列番号13))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SAS;
CDR-VL3:QQYDYAPIT(配列番号34)、QQSPYYYLPIT(配列番号35)、QQYYYSPVT(配列番号36)、QQHYGNPFT(配列番号37)、QQSYYSPPT(配列番号38)、QQYYSYPPT(配列番号39)、QQYYYYPPT(配列番号40);
CDR-VH1:GFNISWYQ(配列番号41)、GFNVSWSY(配列番号42)、GFNISWNQ(配列番号43)、GFNVGYYG(配列番号44)、GFNITSSY(配列番号45)、GFNINSSY(配列番号46)、GFNISTSY(配列番号47);
CDR-VH2:VTPYSGYT(配列番号48)、IYGDSGYT(配列番号49)、VSPYSGYT(配列番号50)、VSGMEGYT(配列番号51)、ISPADGYN(配列番号52)、ISPTDGYY(配列番号53)、IDPNDGYS(配列番号54);および
CDR-VH3:SRSYTDGFDY(配列番号55)、SRGQWEASYYAMDY(配列番号56)、SRSDYYAMDY(配列番号57)、SRDIYGYAMDV(配列番号58)、SRTDSTAYTAMDV(配列番号59)、SRTSDTSYAAMDV(配列番号60)、SRTNNTAADAMDV(配列番号61)。
【0032】
例えば、修飾IDH2ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、SPNGTIQNIL(配列番号1)に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SAS;
CDR-VL3:QQYSYSPPT(配列番号62)、QQGKAYWPAT(配列番号63)、QQVYSSPFT(配列番号64)、QQYSLYSPMT(配列番号65)、QQSYYMPFT(配列番号66);
CDR-VH1:GFNISDTY(配列番号67)、GFNVGHYR(配列番号68)、GFNVKYYM(配列番号69)、GFNSFLS(配列番号70)、GFNIFRGY(配列番号71);
CDR-VH2:ISPRTGYN(配列番号72)、VSPNGYYT(配列番号73)、ISPGYDYT(配列番号74)、IFPSSDYT(配列番号75)、ISPHSDYT(配列番号76);および
CDR-VH3:SRAYYSYAYAMDV(配列番号77)、SRGYSSYAFDY(配列番号78)、SRSYWRYSVDV(配列番号79)、SRGKHSSDSNYYMDY(配列番号80)、SRSYGWAAFDY(配列番号81)
【0033】
例えば、修飾p53ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、GMNQRPILTI(配列番号15)およびGMNWRPILTI(配列番号16))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SAS;
CDR-VL3:QQSGYAPIT(配列番号82)、QQYSYAPIT(配列番号83)、QQSLYGPFT(配列番号84)、QQYSYSPIT(配列番号85)、QQSGYQPDT(配列番号86)、QQYLYQPWT(配列番号87);
CDR-VH1:GFNISYYS(配列番号89)、GFNIGYYT(配列番号90)、GFNIAYEY(配列番号91)、GFNLFGYG(配列番号92)、GFNISWYA(配列番号93)、GFNIDYYG(配列番号94);
CDR-VH2:VDPDSDYT(配列番号96)、VSPWSYST(配列番号97)、IGPDSGYT(配列番号98)、IGPYYYYT(配列番号99)、IWPDSDWT(配列番号100)、LYGGSDST(配列番号101);および
CDR-VH3:SRSWIHMFSMDY(配列番号103)、SRDHWDEAFDV(配列番号104)、SRVWYYSTYGMDY(配列番号105)、SRENYDMAMDY(配列番号106)、SRYYYSSAFDV(配列番号107)、SRQYSAYFDY(配列番号108)。
【0034】
例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、LVVVGAVGV(配列番号18)、VVVGACGVGK(配列番号20)、VVVGADGVGK(配列番号21)、VVVGAVGVGK(配列番号22)、およびVVGADGVGK(配列番号24))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SASおよび SAY;
CDR-VL3:QQWYSSPVT(配列番号110),QQYYSRPVT(配列番号111)、QQSYGSGSPWT(配列番号121)、QQTYYSPWT(配列番号122)、QQYYYPPIT(配列番号123)、QQSYYYFRPIT(配列番号132)、QQASYYYPLT(配列番号133)、QQKSEYSPWT(配列番号134)、QQSGYIPFT(配列番号135)、QQGAYYRPFT(配列番号136)、QQYMYSPVT(配列番号152)、QQSSSSPIT(配列番号153)、QQSSASPLT(配列番号154)、QQYAYSPLT(配列番号155)、QQYSYYPIT(配列番号168)、QQYSYTPVT(配列番号169)、QQYSYEPVT(配列番号170)、QQYAYYSPVT(配列番号171)、QQYEYYPMT(配列番号172)、QQYSFYPFT(配列番号188)、QQYSYSPIT(配列番号85)、QQYSAYYQPIT(配列番号189)、QQYSYYPIT(配列番号168)、QQYEYVPHT(配列番号190)、QQYSYMPIT(配列番号191)、QQYAYYPVT(配列番号192)、QQYSYMPIT(配列番号191)、QQYDYRPVT(配列番号193)、QQYDFTPMT(配列番号194)、QQYSSSSPVT(配列番号195)、QQSSYTPIT(配列番号229)、QQYAYYPIT(配列番号230)、QQYEYYPIT(配列番号231)、QQYTYYPIT(配列番号232)、QQYSYYPIT(配列番号168)、QQSSVEPWT(配列番号233);
CDR-VH1:GFNINWAN(配列番号112)、GFNIYLHD(配列番号113)、GFNIYWSH(配列番号114)、GFNIVGGG(配列番号124)、GFNIRSYA(配列番号125)、GFNVSHTG(配列番号126)、GFNLSYSD(配列番号137)、GFNISASG(配列番号138)、GFNIYRYG(配列番号139)、GFNIYGTM(配列番号140)、GFNISYSY(配列番号141)、GFNVSAYW(配列番号156)、GFNISGYG(配列番号157)、GFNVSSVG(配列番号158)、GFNVSSYG(配列番号159)、GFNFSYGY(配列番号173)、GFNVWGPG(配列番号174)、GFNVSGSQ(配列番号175)、GFNIYGQM(配列番号176)、GFNVMYST(配列番号177)、GFNFGSY(配列番号196)、GFNISDSY(配列番号197)、GFNIFSDQ(配列番号198)、GFNLSYSY(配列番号199)、GFNISYGY(配列番号200)、GFNISYQH(配列番号201)、GFNLSGYY(配列番号202)、GFNVSGQY(配列番号203)、GFNVSTSG(配列番号204)、GFNISYAK(配列番号205)、GFNFSSYV(配列番号206)、GFNISQGG(配列番号234)、GFNISSTG(配列番号235)、GFNFFSTV(配列番号236)、GFNLHGYL(配列番号237)、GFNLSTHV(配列番号238)、GFNVSYYS(配列番号239);
CDR-VH2:ISPPYDYT(配列番号115)、IIPAIDYT(配列番号116)、ISSFEGYT(配列番号117)、IYPQGDYT(配列番号127)、VGPGKGYT(配列番号128)、VGPGKGYT(配列番号128)、VMPDSGHT(配列番号142)、IHPLKPYT(配列番号143)、LYPYGYST(配列番号144)、FKPDSYNT(配列番号145)、LLPYDGNT(配列番号146)、IYGGSGYT(配列番号160)、LYGGSDYT(配列番号161)、IYGTSDYT(配列番号162)、IAPRRDYT(配列番号163)、ISGYTGNT(配列番号178)、IHPFSGNT(配列番号179)、IPGWSGYT(配列番号180)、LSPFSGNT(配列番号181)、IYSWSDYT(配列番号182)、ISGYSGNT(配列番号207)、FSPYSSNT(配列番号208)、FMPYDSYYT(配列番号209)、ISGFSGNT(配列番号210)、FHYGSGNT(配列番号211)、FMPYQGST(配列番号212)、FSPYSGYT(配列番号213)、ISPVSGNT(配列番号214)、IYGAYSGT(配列番号215)、LTYWGGYT(配列番号216)、VYPDSGGT(配列番号217)、VYPGGGQT(配列番号240)、LLGGSGNT(配列番号241)、IYPWSGST(配列番号242)、IYPPNGYT(配列番号243)、FYPYVGYT(配列番号244)、IYPWNDYT(配列番号245);
およびCDR-VH3:SRSYSYYFDY(配列番号118)、SRRDGYYFDY(配列番号119)、SRSYSYYMDY(配列番号120)、SRDSSYLAFDY(配列番号129)、SRNFQSTSHAFDY(配列番号130)、SRKTYYAFDY(配列番号131)、SRATNIPVYAFDY(配列番号147)、SRYSSMYYYYFDY(配列番号148)、SRSYAYGYFAY(配列番号149)、SRGEVYHYYAFDY(配列番号150)、SRAAYSSMDV(配列番号151)、SRTHSYWSAFDY(配列番号164)、SRTVRYAFDY(配列番号165)、SRSSRYSMDY(配列番号166)、SRKSSYYFDY(配列番号167)、SRAASLSSSYYSAFDV(配列番号183)、SRGYSYSAMDY(配列番号184)、SRGYSYFAMDY(配列番号185)、SRNISYEQSSAFDY(配列番号186)、SRGYAHNSFDY(配列番号187)、SRSNQSAYSYMDY(配列番号218)、SRSQFTFYQYFDY(配列番号219)、SRMSVRNAFDY(配列番号220)、SRSDSYYTAMDY(配列番号221)、SRSNYYYLDY(配列番号222)、SRANIYSSHSFFDY(配列番号223)、SRTHSSIYHSFDY(配列番号224)、SRPMKTSYYGAFDY(配列番号225)、SRSQSYTYWSAMDY(配列番号226)、SRGEYGTYMDY(配列番号227)、SRTSSYYAFDY(配列番号228)、SRGYDYSAFDY(配列番号246)、SRGLQYSAMDY(配列番号247)、SRSRSSNYYFDV(配列番号248)、SRGVDYAYLDY(配列番号249)、SRGYRYQYMDV(配列番号250)、SRGSYYSFDY(配列番号251)。
【0035】
例えば、修飾CTNNBポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、TTAPFLSGK(配列番号26))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SASおよび SAY;
CDR-VL3:QQSYYSPPT(配列番号38)、QQIYTSPIT(配列番号252)、QQRAYFPIT(配列番号253)、QQQYAYTPIT(配列番号254)、QQIHYKPLT(配列番号255);
CDR-VH1:GFNINNTY(配列番号256)、GFNFITTG(配列番号257)、GFNFSDYG(配列番号258)、GFNVWSYG(配列番号259)、GFNVAWYS(配列番号260);
CDR-VH2:IYPTDGYT(配列番号260)、IGPGSDYT(配列番号261)、LIPASGYT(配列番号262)、VTPDGSYT(配列番号263)、VYGGSSYT(配列番号264);および
CDR-VH3:SRTYYSYYSAMDV(配列番号265)、SRYYYASALDY(配列番号266)、SRGWSYYMDY(配列番号267)、SRSYGWAMDY(配列番号268)、SRDFYSSGMDY(配列番号269)。
【0036】
例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、AVGVGKSAL(配列番号11))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SAS;
CDR-VL3:QQEWRLPIT(配列番号270)、QQGTSTPFT(配列番号271)、QQSWRYPMT(配列番号272)、QQSYSYPVT(配列番号273)、QQGWLYSPFT(配列番号274);
CDR-VH1:GFNVYGNQ,(配列番号275)、GFNLSYYG(配列番号402)、GFNISRYG(配列番号276)、GFNIYSSW(配列番号277)、GFNISGYG(配列番号157);
CDR-VH2:IYPYSGST(配列番号278)、IYPDSGYT(配列番号279)、FYPSSSYT(配列番号280)、FQPYSGYT(配列番号281)、VYGGSGYT(配列番号282);および
CDR-VH3:SRSAYVAYSYFDY(配列番号283)、SRAYLYYYLAY(配列番号284)、SRKYYEAMDY(配列番号285)、SREYTYYFDY(配列番号286)、SRAHSSYYVDY(配列番号287)。
【0037】
例えば、修飾H/K/N RASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、ILDTAGHEEY(配列番号28)、ILDTAGKEEY(配列番号30)、ILDTAGLEEY(配列番号31)、ILDTAGREEY(配列番号32))に結合することができる分子は、以下に示すCDRのそれぞれの1つを含み得る:
CDR-VL1:QDVNTA(配列番号33);
CDR-VL2:SAS;
CDR-VL3:QQHYYSPVT(配列番号292)、QQYAYAPFT(配列番号296)、QQAHMIPIT(配列番号300)、QQSVYDPIT(配列番号301)、QQSYTSPLT(配列番号302)、QQGQYSPFT(配列番号303)、QQYWYLPTT(配列番号320);
CDR-VH1:GFNIGYYG(配列番号289)、GFNIFYQD(配列番号293)、GFNVSYSM(配列番号297)、GFNFSFPG(配列番号305)、GFNISGSW(配列番号306)、GFNIYYGV,(配列番号307)、GFNVSYEY(配列番号308)、GFNISWYD(配列番号321);
CDR-VH2:VYPGGGYT(配列番号290)、IYPDYDYT(配列番号294)、VWGDGGVT(配列番号298)、FVGYDGYT(配列番号310)、LYPDSDYT(配列番号311)、IYPDSSWT(配列番号312)、IYGGSDNT(配列番号313)、IEPSVGYT(配列番号322);および
CDR-VH3:SRYYYYGFDY(配列番号291)、SRTYSVYMDY(配列番号295)、SRGSYYAFDY(配列番号299)、SRDYYSFSMDY(配列番号316)、SRAHTYAFDY(配列番号317)、SRDQDFHYMNYYLSYALDY(配列番号318)、SRPLGSYFDY(配列番号319)、SRSYPYYYFDY(配列番号323)。
【0038】
特定の修飾ペプチドに結合することができるCDRの例(例えば、CDR-VL1、CDR-VL2、CDR-VL3、CDR-VH1、CDR-VH2、およびCDR-VH3の特定の組み合わせ)を、表2に示す。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、CDR配列の任意の適切なセット(例えば、本明細書に記載のCDR配列セットのいずれか)を含み得る。
【0039】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、任意の適切な配列を含み得る。例えば、修飾EGFRポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、IMQLMPFGC(配列番号13))に結合することができる分子は、配列番号324、配列番号325、配列番号326、配列番号327、配列番号328、配列番号329、および配列番号330のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾IDH2ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、SPNGTIQNIL(配列番号1))に結合することができる分子は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号8のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾p53ポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、GMNQRPILTI(配列番号15)およびGMNWRPILTI 1(配列番号16))に結合することができる分子は、配列番号331、配列番号332、配列番号333、配列番号334、配列番号335、配列番号336、および配列番号337のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えばLVVVGAVGV(配列番号18)、VVVGACGVGK(配列番号20)、VVVGADGVGK(配列番号21)、VVVGAVGVGK(配列番号22)、およびVVGADGVGK(配列番号24))に結合することができる分子は、配列番号338、配列番号339、配列番号340、配列番号341、配列番号342、配列番号343、配列番号344、配列番号345、配列番号346、配列番号347、配列番号348、配列番号349、配列番号350、配列番号351、配列番号352、配列番号353、配列番号354、配列番号355、配列番号356、配列番号357、配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号366、配列番号367、配列番号368、配列番号369、配列番号370、配列番号371、配列番号372、配列番号373、および配列番号374のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾CTNNBポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、TTAPFLSGK(配列番号26))に結合することができる分子は、配列番号375、配列番号376、配列番号377、配列番号378、配列番号379のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾KRASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、AVGVGKSAL(配列番号11))に結合することができる分子は、配列番号380、配列番号390、配列番号391、配列番号392、および配列番号393のいずれか1つで示されるscFv配列を含み得るが、これらに限定されない。例えば、修飾H/K/N RASポリペプチドに由来する修飾ペプチド(例えば、ILDTAGHEEY(配列番号28)、ILDTAGKEEY(配列番号30)、ILDTAGLEEY(配列番号31)、ILDTAGREEY(配列番号32))に結合することができる分子は、配列番号394、配列番号395、配列番号396、配列番号397、配列番号398、配列番号399、および配列番号400のいずれか1つで示されるscFv配列が含まれるが、これらに限定されない。特定の修飾ペプチドに結合することができる配列(例えば、scFv配列)の例を、表3に示す。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、表3に示す配列から逸脱する配列を有する場合があり、変異配列と呼ばれることもある。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む分子は、少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、少なくとも99%の配列同一性、またはそれ以上)を表3に示す配列のいずれかに対して、変異配列が本明細書に記載の修飾ペプチドに結合する能力を維持する限り、有し得る。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む分子は、本明細書に記載のCDR配列の任意の適切なセットを含むことができ、表3に示す配列からの任意の配列の逸脱は、足場配列内(単数または複数)にあり得る。
【0040】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、標識(例えば、検出可能な標識)に結合(例えば、共有結合または非共有結合)され得る。検出可能な標識は、任意の適切な標識である。場合によっては、標識を使用して、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無を検出することを補助することができる。例えば、標識された本明細書に記載の分子をin vitroで使用し、哺乳動物から得た試料中のがん細胞(例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドを発現するがん細胞)を検出することができる。場合によっては、標識(例えば、検出可能な標識)を使用し、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの位置の決定を補助することができる。例えば、標識された本明細書に記載の分子をin vivoで使用し、抗腫瘍療法をモニターし、および/または哺乳動物のがん細胞(例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドを発現するがん細胞)を検出することができる。本明細書に記載の分子に結合させることができる標識の例には、放射性核種、発色団、酵素、および蛍光分子(例えば、緑色蛍光タンパク質)が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む分子は、治療薬に結合(例えば、共有結合または非共有結合)され得る。治療薬は、任意の治療薬であり得る。場合によっては、治療薬は抗がん剤であり得る。本明細書に記載の分子に結合させることができる治療薬の例には、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メイタンシン、メルタンシン/エムタンシン(DM1)、ラブタンシン/ソラブタンシン(DM4)、SN-38、カリケアマイシン、D6.5、二量体ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、リシン、シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、およびゲロニンなどの抗がん剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本文書は、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を使用する方法も提供する。例えば、1つもしくは複数の修飾ペプチドを標的とする(例えば、結合する)ことができる1つもしくは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つもしくは複数の分子を使用して、がんを有するまたはがんを有すると疑われる哺乳動物を評価することができる、および/あるいはがん(例えば、1つもしくは複数の修飾ペプチドを発現するがん)を有する哺乳動物を治療することができる。場合によっては、1つまたは複数の分子は、修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含み、これらを使用して、がんを患っているまたはがんを有すると疑われる哺乳動物から得た試料中の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無を検出することができる。場合によっては、修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む1つまたは複数の分子を、がん(例えば、修飾ペプチドを発現するがん)を有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む1つまたは複数の分子の、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)への投与は、哺乳動物の治療に有効であり得る。
【0043】
本明細書に記載されるように、任意のタイプの哺乳動物を評価および/または治療することができる。本明細書に記載のように評価および/または治療され得る哺乳動物の例には、霊長類(例えば、ヒトおよびチンパンジー、ヒヒ、またはサルなどの非ヒト霊長類)、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、マウス、およびラットが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、哺乳動物はヒトであり得る。
【0044】
哺乳動物を、適切ながんについて評価および/または治療することができる。場合によっては、がんは、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチド(例えば、1つまたは複数のMANA)を発現し得る。がんは原発性がんであり得る。がんは転移性がんであり得る。がんは、1つまたは複数の固形腫瘍を含み得る。がんは、1つまたは複数の非固形腫瘍を含み得る。本明細書に記載のように(例えば、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの存在に少なくとも部分的に基づいて)評価および/または本明細書に記載のように(例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を投与することにより)治療され得るがんの例には、血液がん(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)などの白血病、および骨髄腫)、肺がん、膵臓がん、胃がん、結腸がん(例えば、大腸がん)、卵巣がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨および軟部組織がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、頭頸部がん、脳腫瘍(例えば、多形性膠芽腫および星状細胞腫)が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
がんを有するまたはがんを有すると疑われる哺乳動物を評価する場合、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を使用して、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無を評価することができる。例えば、ヒトから得た試料中の本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無、またはレベルを使用して、ヒトががんを有するかどうかを判定することができる。場合によっては、哺乳動物から得た試料中の本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの存在を使用して、哺乳動物ががんを有すると特定することができる。例えば、哺乳動物は、哺乳動物から得た試料が本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドを有した場合、がんを有すると特定され得る。
【0046】
哺乳動物から得た任意の適切な試料は、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無、またはレベルについて評価され得る。例えば、組織試料(例えば、乳房組織)、および体液試料(例えば、血液、血清、血漿、または尿)などの生体試料は、哺乳動物から得られ、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無、またはレベルについて評価され得る。任意の適切な方法を使用して、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無、またはレベルを検出することができる。例えば、サンガーシークエンシング、化学シークエンシング、ナノポアシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング(SOLiDシークエンシング)、質量分析を使用したシークエンシングが含まれるが、これらに限定されないシークエンシング技術を使用して、哺乳動物から得た試料中の本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドの有無、またはレベルを判断できる。
【0047】
がんを有する哺乳動物を治療する場合、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を、がんを有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。場合によっては、哺乳動物は、本明細書に記載の1つまたは複数の修飾ペプチドを発現するがんを有し得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む1つまたは複数の分子を、その修飾ペプチドを発現するがんを有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、1つまたは複数のCARおよび/または1つまたは複数のscDb)に結合することができる1つまたは複数のscFvを含む1つまたは複数の分子を、その修飾ペプチドを発現するがんを有する哺乳動物に投与し、哺乳動物を治療することができる。
【0048】
場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子は、哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)に、数日~数週間にわたる期間に1回または複数回投与され得る。場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子は、哺乳動物への投与用の薬学的に許容される組成物に製剤化され得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子の有効量は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加剤)および/あるいは希釈剤とともに製剤化され得る。医薬組成物は、限定されないが、滅菌溶液、懸濁液、徐放性製剤、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、および顆粒を含む固体または液体形態での投与用に製剤化され得る。本明細書に記載の医薬組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、充填剤、および溶媒には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物は、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、または腫瘍内投与用に設計され得る。非経口投与に適した組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る水性および非水性滅菌注射液が含まれる。製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供され得、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば、水を追加するだけでよい凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存され得る。滅菌粉末、顆粒、および錠剤から即時注射溶液および懸濁液を調製してもよい。
【0050】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物は、任意の適切な技術を使用して、任意の適切な場所に投与され得る。本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物は、局所(例えば、腫瘍内)または全身投与され得る。例えば、本明細書で提供される組成物は、腫瘍内投与(例えば、腫瘍への注射)により、または腫瘍が浸潤した生物学的空間への投与(例えば、脊髄内投与、小脳内投与、腹腔内投与および/または胸膜投与)により局所投与され得る。例えば、本明細書で提供される組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)への経口投与または静脈内投与(例えば、注射または注入)により全身投与され得る。
【0051】
有効用量は、がんのリスクおよび/または重症度、投与経路、被験体の年齢および一般的な健康状態、賦形剤の使用、他の薬剤の使用などの他の治療的処置との併用の可能性、ならびに治療する医師の判断に応じて異なり得る。本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物の有効量は、被験体に重大な毒性を生じることなく被験体内に存在するがんを治療する任意の量であり得る。特定の被験体が特定の量に応答しない場合、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子の量を(例えば2倍、3倍、4倍、またはそれ以上に)増やすことができる。このより多くの量を投与された後、哺乳動物は、治療に対する反応性と毒性症状の両方についてモニターされ、それに応じて調整が行われ得る。有効量は、一定に維持することも、治療に対する被験体の応答に応じて、スライディングスケールまたは可変用量として調整することもできる。特定の投与に使用される実際の有効量には、さまざまな要因が影響する。例えば、投与頻度、治療期間、複数の治療薬剤の使用、投与経路、および症状(例えば、がん)の重症度により、投与される実際の有効量の増加または減少が必要とされる場合がある。
【0052】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子の投与頻度は、哺乳動物に重大な毒性を生じることなくがんを有する哺乳動物を効果的に治療する任意の頻度であり得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子の投与頻度は、週に約2~約3回から年に約2~約3回であり得る。場合によっては、がんを有する被験体は、本明細書に記載の1つまたは複数の抗体の単回投与を受けることができる。本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子の投与頻度は、一定のままであっても、治療期間中に変更してもよい。本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物での治療過程は、休薬期間を含み得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物を、2年の期間にわたって1か月おきに投与し、その後6か月の休薬期間を設けることができ、そのようなレジメンを複数回繰り返すことができる。有効量と同様に、さまざまな要因が、特定の投与に使用される実際の投与頻度に影響を与え得る。例えば、有効量、治療期間、複数の治療薬剤の使用、投与経路、および症状(例えば、がん)の重症度により、投与頻度の増加または減少が必要とされる場合がある。
【0053】
本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物を投与するための有効期間は、哺乳動物に重大な毒性を生じることなく哺乳動物内に存在するがんを効果的に治療する任意の期間であり得る。場合によっては、有効期間は、数か月~数年までさまざまである。一般的に、がんを有する哺乳動物を治療するための有効期間は、約1または2ヶ月~5年以上の期間に及び得る。特定の治療に使用される実際の有効期間には、複数の要因が影響し得る。例えば、有効期間は、投与頻度、有効量、複数の治療薬剤の使用、投与経路、および治療中の症状の重症度によって異なる場合がある。
【0054】
特定の例では、哺乳動物内のがんをモニターして、がん治療の有効性を評価することができる。任意の適切な方法を使用して、がんを有する哺乳動物を治療するかどうかを決定することができる。例えば、イメージング技術または実験室アッセイを使用して、がん細胞数および/または哺乳動物内に存在する腫瘍のサイズを評価することができる。例えば、イメージング技術または実験室アッセイを使用して、哺乳動物内に存在するがん細胞および/または腫瘍の位置を評価することができる。
【0055】
場合によっては、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子は、がんを有する哺乳動物に、1つまたは複数の追加のがん治療(例えば、抗がん剤)との併用治療として投与され得る。がん治療には、任意の適切ながん治療が含まれ得る。場合によっては、がん治療には手術が含まれ得る。場合によっては、がん治療には放射線療法が含まれ得る。場合によっては、がん治療には、1つまたは複数の治療薬剤(例えば、1つまたは複数の抗がん剤)の投与が含まれ得る。抗がん剤の例には、白金化合物(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、またはnab-パクリタキセルなどのアルブミン結合パクリタキセル)、アルトレタミン、カペシタビン、シクロホスファミド、エトポシド(vp-16)、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン(cpt-11)、リポソームドキソルビシン、メルファラン、ペメトレキセド、トポテカン、ビノレルビン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリンおよびリュープロリド)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、ポリ(ADP)リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、およびニラパリブ)、放射性リン、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、IL-2および他のサイトカイン、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子が、1つまたは複数の追加のがん治療と組み合わせて使用される場合、1つまたは複数の追加のがん治療は同時にまたは独立して投与され得る。例えば、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物を最初に投与し、1つまたは複数の追加のがん治療を次に投与することができ、またはその逆も可能である。
【0056】
また、本明細書に記載の修飾ペプチド(例えば、配列番号1、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号31、および配列番号32のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む修飾ペプチド)に結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含むキットも、本明細書で提供される。例えば、キットは、本明細書に記載の修飾ペプチドに結合することができる1つまたは複数の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む1つまたは複数の分子を含む組成物(例えば、薬学的に許容される組成物)を含み得る。場合によっては、キットには、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するための指示書が含まれ得る。場合によっては、キットは、本明細書に記載の組成物(例えば、医薬組成物)のいずれかの少なくとも1用量を含み得る。場合によっては、キットは、本明細書に記載の組成物(例えば、医薬組成物)のいずれかを投与するための手段(例えば、注射器)を提供し得る。
【0057】
本発明を以下の実施例でさらに説明するが、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0058】
(実施例1:追加のMANAボディクローンの識別およびMANAボディクローンのT細胞ベースの治療型への変換)
この研究では、2つのファージディスプレイライブラリーが設計および構築され、どちらもファージ表面に単一鎖可変フラグメント(scFv)を表示した。両方のライブラリーに存在するscFvは、scFvの相補性決定領域(CDR)の重要な位置にアミノ酸の可変性が導入されたヒト化4D5(トラスツズマブ)フレームワークに基づいていた。
【0059】
ファージディスプレイライブラリーを使用して、組換えHLA対立遺伝子アルファ鎖およびベータ-2ミクログロブリン(b2M)との複合体に折り畳まれた変異含有ペプチドを特異的に認識するscFvを特定した。本明細書ではモノマーとも呼ばれるこれらの複合体は、がん細胞表面上の天然ペプチド/HLA複合体を模倣する。
【0060】
ペプチドHLA標的は、表1に示す変異ペプチド(例えば、変異関連ネオ抗原(MANA))を含み得る。表1のペプチドHLAターゲットに特異的に結合することができる相補性決定領域(CDR)を表2に示す。表1のペプチドHLAターゲットに特異的に結合することができるscFvを表3に示す。これらのscFvは、変異関連ネオ抗原に結合する能力からMANAボディとも呼ばれ得る。
【0061】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【0062】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【0063】
HLA-B7との複合体中のR140Q変異を含むIDH2ペプチド(SPNGTIQNIL;配列番号1)を特異的に認識するscFvの代表的なELISAデータを図1に示す。scFvは同じHLA対立遺伝子との複合体中の目的のペプチドのwtバージョンを認識しなかった。scFvsは、モノマーでコーティングされたELISAプレートへの結合を試験したときに、HLA対立遺伝子との複合体中の他の対照ペプチドを認識しなかった。
【0064】
さらにフローサイトメトリーを使用すると、MANAボディのscFvクローンが、HLA対立遺伝子適合細胞株を、wtペプチドまたは他の対照ペプチドではなく変異ペプチドでこれら細胞がパルスされたときに特異的に染色することが示された(図2-14)。
【0065】
MANAボディクローンを治療法として利用できることを実証するために、選択したMANAボディクローンをCAR-T細胞に組み込んだ。HLA分子の文脈で内因性のプロセシングおよび提示機構を介して発がん性変異含有ペプチドを発現する細胞を認識および殺すことができるキメラ抗原受容体(CAR)T細胞(CART)を設計した。具体的には、HLA-A3において提示される変異KRAS G12Vペプチドを標的とするCARTを設計し、HLA-B7において提示される変異IDH2 R140Qペプチドを標的とするCARTを設計した。いずれかの変異ペプチドを標的とするMANAボディscFvを第3世代CAR構築物に移植し、mRNAエレクトロポレーションによりCAR受容体をCD3+T細胞で発現させた。続いて、CAR-T細胞を、それぞれのHLAと組み合わせてKRAS/IDH2変異体およびwtタンパク質をコードするプラスミドで共トランスフェクトしたCOS-7細胞と共培養した。T細胞は、CAR-T細胞を含めて、標的細胞上の同種抗原による活性化後にサイトカインを産生するため、共培養培地上清中のIFNγの放出をELISAにより測定した。COS-7細胞に変異体および同種HLAプラスミドを共トランスフェクトした場合のみ、バックグラウンドを超えるIFNγの有意な放出があった(図15)。wtおよび同種HLAを共トランスフェクトしたCOS-7細胞と共培養したCAR-T細胞は、バックグラウンドレベルのIFNγのみを放出した。合わせると、これらの発見は、MANAボディクローンを発現するCAR-T細胞がHLA分子において提示されるMANAを発現する腫瘍細胞を標的にすることができることを示唆している。
【0066】
MANAボディクローンを治療法として利用できることを実証するために、選択したMANAボディクローンを二重特異性抗体に組み込んだ。標的がん細胞に結合する1つの抗体フラグメントを有し、T細胞表面上のCD3タンパク質に結合する1つの抗体フラグメントを有する二重特異性抗体を設計した。ヒトCD3イプシロン、デルタ、および/またはガンマ分子を標的とする多くの異なる抗CD3 scFvクローンがある。そのようなクローンの例を表4に示す。
【0067】
HLA-A3において提示される変異KRAS G12Vペプチドに結合する1つの抗体フラグメントを有し、T細胞表面のCD3タンパク質に結合する1つの抗体フラグメントを有する二重特異性抗体を設計した。具体的には、HLA-A3において提示される変異KRAS G12VペプチドおよびCD3を標的とする二重特異性抗体を設計し、HLA-B7において提示される変異IDH2 R140QペプチドおよびCD3を標的とする二重特異性抗体を設計した。
【表4-1】
【表4-2】
【0068】
2つの異なる抗CD3 scFvクローンと組み合わせた3つのIDH2 R140Q HLA-B7 MANAボディscFvクローンの代表的なscDb共培養結果を図16Aに示す。T細胞を、HLA-B7、全長IDH2変異体、および/またはGFPをコードするプラスミドで共トランスフェクトされたCOS-7細胞と指定濃度のscDbの存在下で共培養した。標的細胞上の同種抗原によるT細胞活性化の読み取りとして、共培養培地上清中のIFNγの放出をELISAにより測定した。COS-7細胞にHLA-B7および変異IDH2 R140Qプラスミドを共トランスフェクトした場合にのみ、バックグラウンドを超えるIFNγの有意なT細胞放出があり、IFNγのレベルはウェルに含まれるscDbの濃度に依存した。HLA-B7およびwt IDH2で共トランスフェクトされたCOS-7細胞と共培養されたT細胞は、バックグラウンドレベルのIFNγのみを放出した。KRAS G12V HLA-A3 MANAボディscFvクローンを抗CD3クローンと組み合わせて一本鎖ダイアボディにした代表的なscDb共培養結果を図16Bに示す。この共培養では、一本鎖ダイアボディを0、50、および100ng/mLの濃度で試験した。COS-7細胞にHLA-A3および変異KRAS G12Vプラスミドを共トランスフェクトした場合にのみ、バックグラウンドを超えるIFNγの有意なT細胞放出があった。HLA-A3およびwt KRASと共トランスフェクトしたCOS-7細胞と共培養したT細胞は、T細胞なし、標的細胞なし、scDbなしのウェルで見られるIFNγのレベルと同様に、バックグラウンドレベルのIFNγのみを放出した。その同質遺伝子HLA-A3ノックアウト対照とともに標的細胞株としての内因性KRAS G12V HLA-A3陽性細胞株NCI-H441。IFNγ放出は、親NCI-H441細胞株に対してのみ見られ、HLA-A3ノックアウトNCI-H441では見られなかった。合わせると、これらの発見は、HLA分子において提示されるMANAを発現する腫瘍細胞を標的とするMANAボディクローンを含む二重特異性抗体を示唆している。
【0069】
MANAボディクローンを治療法として使用することの有効性を評価するために、PromegaのCellTiter-Glo試薬を使用して、KRAS G12V HLA-A3一本鎖ダイアボディの標的細胞生存率をアッセイした(図17)。CellTiter-Gloはウェル内のATP濃度を測定し、これは生細胞の数に比例する。T細胞のみのウェルからCellTiter-Glo値を差し引き、標的細胞のみのウェルに正規化することにより、標的細胞の生存率を測定した。NCI-H441親細胞をKRAS G12V-A3 scDbまたはpan-HLA-A3 scDb陽性対照の存在下でT細胞とインキュベートした場合にのみ、有意な標的細胞死が認められた。scDbの非存在下またはNCI-H441 HLA-A3ノックアウトウェルの間では、標的細胞死は観察されなかった。
【0070】
合わせると、これらの発見は、MANAボディを使用してT細胞をリダイレクトおよび活性化し、特定の変異タンパク質とHLA対立遺伝子対(例えば、IDH2 R140QとHLA-B7およびKRAS G12VとHLA-A3)を発現する腫瘍細胞を殺すことができることを実証している。
【0071】
(材料および方法)
(細胞および細胞株)
RPMI-6666細胞(ATCC、マナッサス、バージニア州)を、20%FBS(GE Hyclone、ローガン、ユタ州、米国)と、1%ペニシリンストレプトマイシン(Life Technologies)とを含むRPMI-1640(ATCC)で培養した。T2細胞(ATCC)およびMINO細胞(ATCC)を、10%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher)とを含むRPMI-1640(ATCC)で培養した。T2A3細胞(エリック・ルッツ博士から贈られた)を、10%FBS(GE Hyclone)、1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher)、0.1mM MEM非必須アミノ酸(NEAA、Thermo Fisher)と、500μg/mLジェネティシン(Thermo Fisher)とを含むRPMI-1640(ATCC)で培養した。SigM5細胞(DSMZ、ブラウンシュヴァイク、ドイツ)を、20%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher)とを含むイスコフMDM(ATCC)で培養した。Hs611.T細胞(ATCC)を、10%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher)とを含むダルベッコ改変イーグル培地(ATCC)で培養した。NCI-H441細胞(ATCC)およびCOS-7細胞(ATCC)を、10%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher)とを含むマッコイ5A(改変)培地(Thermo Fisher)で培養した。COS-7細胞(ATCC、CRL-1651(商標))を、10%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Thermo Fisherと)を含むDMEM(高グルコース、ピルビン酸;Thermo Fisher)で培養した。293FT細胞(Thermo Fisher)を、10%FBS(GE Hyclone)と、0.1mM MEM非必須アミノ酸(NEAA、Thermo Fisher)と、6mM L-グルタミン(Thermo Fisher)と、1mM MEMピルビン酸ナトリウム(Thermo Fisher)と、500μg/mlジェネティシン(Thermo Fisher)と、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Thermo Fisher)とを含む高グルコースD-MEM(Thermo Fisher)で培養した。全ての細胞株を、5%CO下で37℃に維持した。
【0072】
PBMCを、健康なボランティアドナーからの全血のFicoll-Paque PLUS(GE Healthcare)勾配遠心分離によって得た。CD3+細胞を、CD3マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)によりPBMCからポジティブセレクションし、Dynabeads(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28(Life Technologies)で活性化および増殖した。特に明記しない限り、初代CD3+T細胞を、10%FBS(GE Hyclone)と、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies)と、100IU/mL組換えヒトインターロイキン-2(Proleukin(登録商標))とを含むRPMI-1640(ATCC)で、37℃で5%CO下で培養した。
【0073】
(ファージディスプレイライブラリーの構築)
第1世代ファージライブラリーについては、混合およびスプリットプール縮重オリゴヌクレオチド合成を使用して、オリゴヌクレオチドをDNA 2.0(メンローパーク、カリフォルニア州)で合成した。第2世代ファージライブラリーについては、GeneArt(Thermo Fisher、ヘールソープ、メリーランド州)でトリヌクレオチド突然変異誘発(TRIM)技術を使用してオリゴヌクレオチドを合成した。両方のライブラリーについて、オリゴヌクレオチドをpADL-10bファージミド(Antibody Design Labs、サンディエゴ、カリフォルニア州)に組み込んだ。このファージミドには、F1複製起点、非誘導発現を制限する転写抑制因子、lacオペレーター、およびlac抑制因子が含まれている。scFvをpelBペリプラズム分泌シグナルを用いて合成し、lacオペレーターの下流にサブクローニングした。第1世代ライブラリーでは、mycエピトープタグとそれに続くTEVプロテアーゼ切断認識配列が可変重鎖のすぐ下流に配置され、第2世代ライブラリーでは、scFvにFLAGタグが続いた。scFv、タグ、および切断部位に続いて、完全長のインフレームM13 pIIIコートタンパク質配列があった。
【0074】
ファージミドDNAを細菌に形質転換するために、10~20ngのライゲーション産物を氷上で、10μLのエレクトロコンピテントSS320細胞(Lucigen、ミドルトン、ウィスコンシン州)および14μLの再蒸留水と混合した。この混合液を、Gene Pulserエレクトロポレーションシステム(Bio-Rad、ハーキュリーズ、カリフォルニア州)を使用してエレクトロポレーションし、Recovery Media(Lucigen)で60分間37℃で回復させた。ライゲーション産物60ngで形質転換した細胞をプールし、カルベニシリン(100μg/mL)と2%グルコースを添加した2xYT培地を含む24cmx24cmプレートに播種した。細胞を37℃で6時間増殖させ、4℃で一晩置いた。エレクトロポレーションの各シリーズの形質転換効率を決定するために、アリコートを取り、連続希釈により力価を測定した。プレート上で増殖した細胞を、カルベニシリン(100μg/mL)と2%グルコースとを含む850mLの2xYT培地に擦り込み、最終OD600を5~15にした。850mLの培養液2mLを採取し、約1:200に希釈して、0.05~0.07の最終OD600を達成した。残りの培養物に、急速凍結する前に、滅菌グリセロール150mLを加え、グリセロールストックを生成した。希釈した細菌をOD600が0.2~0.4になるまで増殖させ、M13K07ヘルパーファージ(Antibody Design Labs、サンディエゴ、カリフォルニア州)に感染させ、37℃で1時間振盪した。培養液を遠心分離し、細胞をカルベニシリン(100μg/mL)とカナマイシン(50μg/mL)とを含む2xYT培地に再懸濁し、ファージ産生のために30℃で一晩増殖させた。翌朝、細菌培養物を50mL Falconチューブに分注し、高速で2回ペレット化して清澄化上清を得た。ファージを含む上清を氷上で40分間、20%PEG-8000/2.5M NaCl溶液を4:1のPEG/NaCl対上清の比率で用いて沈殿させた。沈殿後、ファージを12,000gで40分間遠心分離し、1mL vol 1X TBS、2mM EDTAに再懸濁した。複数のチューブからのファージをプールし、再沈殿させ、1x1013cfu/mLの平均力価に再懸濁した。第1世代ライブラリーでは、得られた形質転換体の総数は5.5x10である。第2世代ライブラリーでは、得られた形質転換体の総数は3.6x1010であった。各ライブラリーを小分けし、15%グリセロールに-80℃で保存した。
【0075】
(完全ファージライブラリーの次世代シークエンシング)
ライブラリーからのDNAを、CDR-H3領域に隣接するプライマーを使用して増幅した。これらのプライマーの5´末端の配列には分子バーコードが組み込まれており、別個のファージ配列の明確な列挙を容易にする。PCR増幅およびシークエンシングのプロトコルは、Kindeらに記載されている。配列を、カスタムSQLデータベースを使用して処理および翻訳し、ヌクレオチド配列とアミノ酸翻訳の両方を、Microsoft Excelを使用して分析した。
【0076】
(ペプチドおよびHLAモノマー)
変異体、wt、および対照ペプチド(表1に記載)は、NetMHCバージョン4.0を使用してHLA対立遺伝子に結合すると予測された。全てのペプチドを、ペプチド2.0(シャンティリー、バージニア州)により>90%の純度で合成した。ペプチドをDMSOまたはDMFに10mg/mLで再懸濁し、-20℃で保存した。HLAモノマーを、組換えHLAをペプチドおよびベータ2ミクログロブリンとリフォールディングすることにより合成し、ゲルろ過により精製し、ビオチン化した(Fred Hutchinson Immune Monitoring Lab、シアトル、ワシントン州)。W6/32抗体(BioLegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)を使用してELISAを行うことにより、選択前にモノマーがフォールディングされていることを確認した。
【0077】
(変異ペプチド-HLAモノマーに結合したファージの選択)
HLAおよびベータ-2-ミクログロブリンタンパク質を含むビオチン化モノマーを、MyOne T1ストレプトアビジン磁気ビーズ(Life Technologies、カールスバッド、カリフォルニア州)に結合させた。ビオチン化モノマーを、ブロッキング緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.1%Na-アジド)中30μLのMyOne T1ビーズ(モノマー1ugあたり)と1時間室温(RT)でインキュベートした。最初のインキュベーション後、複合体を1mlのブロッキング緩衝液で3回洗浄し、1mlのブロッキング緩衝液に再懸濁した。
【0078】
(濃縮段階)
選択の濃縮段階(1回目)で、ライブラリーの1000倍のカバー率を表すファージを、むき出しの洗浄済みMyOne T1ビーズおよび加熱変性したビーズ結合HLAモノマーとともに、回転子上で一晩4℃でインキュベートした。この工程は、ビオチン化モノマーの全ての調製物中にわずかに存在するストレプトアビジンまたは変性モノマーのいずれかを認識するファージを除去するために必要であった。ネガティブセレクション後、ビーズをDynaMag-2マグネット(Life Technologies)で分離し、非結合ファージを含む上清を、MyOne T1ストレプトアビジン磁気ビーズに結合した1ugの変異ペプチドHLAモノマーに対するポジティブセレクションのために移した。溶出の前に、マグネットを使用して、0.5%Tween-20を含む1mlの1X TBSでビーズを10回洗浄した。1mLの0.2 Mグリシン、pH 2.2にビーズを再懸濁することにより、ファージを溶出した。10分間のインキュベーション後、150μLの1M Tris、pH 9.0を添加して溶液を中和した。中和されたファージを使用し、対数増殖中期SS320の10ml培養物に感染させ、M13K07ヘルパーファージ(4のMOI)と2%グルコースを加えた。37℃で1時間振とうした後、バクテリアを、カルベニシリン(100μg/mL)と、カナマイシン(50μg/mL)と、50uMのIPTGとを含む2xYT培地に再懸濁し、ファージ産生のために一晩30℃で培養した。翌朝、前述のように、ファージをPEG/NaClで沈殿させた。
【0079】
(最終選択段階)
濃縮段階で生じたファージを用いて、3~5回の最終選択を行った。最終選択の各回について、目的の変異タンパク質を欠くHLA対立遺伝子適合細胞に対して10~0.1%の沈殿ファージを使用し、最初のネガティブセレクションを行った。次いで、未結合ファージを、天然wtペプチド-HLAモノマーおよび無関係なHLA-対立遺伝子適合モノマーに対してネガティブセレクションを行った。ネガティブセレクション後、ビーズをDynamag 2マグネット(Life Technologies)で分離し、上記の濃縮フェーズで説明したように、非結合ファージを含む上清を250ng~1ugの変異ペプチドHLAモノマーでのポジティブセレクションのために移した。
【0080】
(ELISA)
ストレプトアビジンコーティング96ウェルプレート(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を、ブロッキング緩衝液(0.5%BSA、2mM EDTA、および0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)中の50ng(50uL中)のビオチン化変異体またはwtペプチドHLAモノマーで4℃で一晩コーティングした。プレートを1X TBST(TBS+0.05%Trition-X 100)で簡単に洗浄した。ファージをブロッキング緩衝液で指定濃度に連続希釈し、各ウェルに50uLを加えた。ファージをRTで2時間インキュベートした後、洗浄した(ELISAプレートウォッシャー(BioTek、ウィヌースキ、バーモント州)を使用して1X TBS-0.05%Tween-20(TBST)で6回洗浄)。結合ファージを、1X TBSTで1:3000に希釈し50μLのウサギ抗M13抗体(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)と室温で1時間インキュベートし、その後さらに6回洗浄し、1X TBSTで1:10,000に希釈した50μLの抗ウサギHRP(Thermo Fisher)と1時間室温でインキュベートした。1X TBSTで最後の6回の洗浄をした後、50μLのTMB基質(BioLegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)をウェルに加え、1N硫酸で反応をクエンチした。450nmでの吸光度をSynergy H1マルチモードリーダー(BioTek、ウィヌースキ、バーモント州)で測定した。
【0081】
最終選択から得たファージの限界希釈で形質転換したSS320細胞の個々のコロニーを選択することにより、モノクローナルファージELISAを実施した。個々のコロニーを、100μg/mLのカルベニシリンと2%グルコースとを含む200μlの2xYT培地に接種し、37℃で3時間増殖させた。次に、細胞に1.6x10M13K07ヘルパーファージ(Antibody Design Labs、サンディエゴ、カリフォルニア州)を感染させ、37℃で振盪しながらインキュベートした。細胞をペレット化し、カルベニシリン(100μg/mL)と、カナマイシン(50μg/mL)と、50uM IPTGとを含む300μLの2xYT培地に再懸濁し、30℃で一晩増殖させた。細胞をペレット化し、ファージを含む上清を上記のようにELISAに使用した。
【0082】
(ペプチドパルスおよびフローサイトメトリー)
ペプチドパルスについては、HLA適合細胞をPBSで1回、無血清RPMI-1640で1回洗浄した後、1mLあたり10細胞を、50μg/mLペプチドと10μg/mLヒトベータ2ミクログロブリン(ProSpec、イーストブランズウィック、ニュージャージー州)とを含む無血清RPMI-1640中で37℃で一晩インキュベートした。パルス細胞をペレット化し、冷染色緩衝液(0.5%BSA、2mM EDTA、および0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)で1回洗浄し、100μLの染色緩衝液に再懸濁した。ファージ染色を、氷上で10uL(約1x10)のファージを用い、100uLの総容量で1時間行い、続いて冷染色緩衝液4mLで1回洗浄した。次いで、細胞を、1uLのウサギ抗M13抗体(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)で100uLの総容量で氷上で1時間染色し、4mLの冷染色緩衝液で1回洗浄した。細胞を抗ウサギ-PE(Biolegend)で氷上で100uLの総容量で1時間染色し、製造元の指示に従って室温で10分間、LIVE/DEAD Fixable Near-IR Dead Cell Stain(Thermo Fisher)とインキュベートした。細胞を4mLの染色緩衝液で1回洗浄した後、分析前に300uLの染色緩衝液に再懸濁した。LSRIIフローサイトメーター(Becton Dickinson、マンスフィールド、マサチューセッツ州)を使用して染色細胞を分析した。
【0083】
(CARの構築および生成)
MANAボディscFv、CD28膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む第3世代キメラ抗原受容体(CAR)構築物を合成し(GeneArt(登録商標))、哺乳動物発現ベクターpCI(Promega)にクローニングした。mRNAを、T7 mScript(商標)Standard mRNA Production System Kit(CellScript(商標))を使用し、製造元の指示に従い合成した。CAR mRNAを、BTX ECM 2001 Electro Cell Manipulator(Harvard Apparatus)を使用して初代CD3+T細胞にエレクトロポレーションし、CAR-T細胞を生成した。
【0084】
(CAR-T活性化共培養アッセイ)
COS-7細胞に、HLA-A3、HLA-B7、IDH2(WT)、IDH2(R140Q)、KRAS(WT)、およびKRAS(G12V)をコードするpcDNA3.1(Life Technologies)プラスミドの様々な組み合わせを、Lipofectamine3000(Life Technologies)で、製造元の指示に従い96ウェルプレート形式でトランスフェクトした。100,000個のエレクトロポレーションしたCAR-T細胞を、トランスフェクトしたCOS-7細胞に重ね、共培養物を5%CO下、37℃で4時間インキュベートした。共培養後、馴化培地を収集し、ELISA(Quantikine(登録商標)、R&D Systems)により分泌IFNγについてアッセイした。
【0085】
(二重特異性抗体産生)
二重特異性抗体をコードするgBLOCKを、IDT(スコーキー、イリノイ州)に注文した。製造業者のプロトコルに従って、gBLOCKをpcDNA3.4プラスミド(Thermo Fisher)にトポクローニングした。293FT細胞(Thermo Fisher)に、二重特異性抗体pcDNA3.4プラスミドを、製造元の指示に従ってT75フラスコ中でLipofectamine3000(Life Technologies)を使用してトランスフェクトした。5~7日間のインキュベーション後、培地を回収し、4℃で10分間3,000gで遠心分離した。製造業者の指示に従って、Clontech Capturem(商標)His-Tagged Purification Miniprep Kit(Takara、マウンテンビュー、カリフォルニア州)を使用して、二重特異性抗体タンパク質を精製した。製造業者の指示に従って、Zeba spin 7k MWCO脱塩カラムを使用して、二重特異性抗体タンパク質をPBSに脱塩した。Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-Free(商標)Precast Gels(Biorad、ヘラクレス、カリフォルニア州)を使用して、既知濃度のタンパク質の標準曲線を使用して、二重特異性抗体濃度を定量した。ChemiDoc XRS+Imager(Biorad)を使用して、染色されていないゲルをイメージングした。
【0086】
(二重特異性抗体共培養アッセイ)
COS-7細胞に、HLA-A3、HLA-B7、IDH2(wt)、IDH2(R140Q)、KRAS(wt)、およびKRAS(G12V)をコードするpcDNA3.1(Life Technologies)プラスミドの様々な組み合わせを、製造元の指示に従ってT75フラスコ中でLipofectamine3000(Life Technologies)を使用してトランスフェクトした。50,000個のT細胞を、トランスフェクトした30,000個のCOS-7細胞または10,000個のNCI-H441細胞および96ウェルプレート中の指定濃度の二重特異性抗体と合わせ、共培養物を5%CO下で37℃で24時間インキュベートした。共培養後、96ウェルプレートを急速凍結し、馴化培地溶解物を回収し、ELISA(Quantikine(登録商標)、R&D Systems)により分泌IFNγについてアッセイした。あるいは、共培養後、CellTiter-Glo(Promega)を使用して標的細胞の生存率を測定した。
【0087】
(その他の実施形態)
本発明をその詳細な説明と併せて説明したが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および修正は、添付の特許請求の範囲内である。
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