(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20231108BHJP
【FI】
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2020030386
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】草野 吏
(72)【発明者】
【氏名】石川 冬比古
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-532200(JP,A)
【文献】特開2016-123930(JP,A)
【文献】特開2019-141292(JP,A)
【文献】特開2006-121031(JP,A)
【文献】特開2014-161767(JP,A)
【文献】特開2005-081227(JP,A)
【文献】特開2017-051290(JP,A)
【文献】特開2018-161247(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008843(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0031935(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109956517(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20 - 1/26
1/30 - 1/38
A61L 2/00 - 2/28
11/00 - 12/14
B01J 10/00 - 12/02
14/00 - 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、
前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、
前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、
前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、
前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、
前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、
前記流路区画体は、前記内管部の径方向外側に位置する流路に面する内壁に凸部を備える、水処理装置。
【請求項2】
紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、
前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、
前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、
前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、
前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、
前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、
前記流路区画体は、
前記内管部を含む略円筒状の本体部と、
前記本体部の外周面から径方向の外側に向かって突出する流入口部と、
前記本体部の外周面から径方向の外側に向かって突出する流出口部と、を備え、
前記流入口
部は、前記本体部の外周面との連結位置から、前記本体部の外周面の法線方向に対して
前記本体部の周方向に傾斜する方向に延在している、水処理装置。
【請求項3】
前記流入口部及び前記流出口部それぞれは、前記本体部の外周面との連結位置から、前記本体部の外周面の法線方向に対して
前記本体部の周方向に傾斜する方向に延在している、請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、
前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、
前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、
前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、
前記内管部は、流路上流側で閉鎖され、流路下流側で開放されており、
前記紫外線LEDを含み、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第1発光部と、
前記紫外線LEDを含み、前記内管部の底壁に保持され、前記底壁の流路上流側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第2発光部と、を備える、水処理装置。
【請求項5】
前記第2発光部での単位面積当たりの発光面積は、前記第1発光部での前記単位面積当たりの発光面積よりも大きい、請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記第1発光部での前記発光面積は、流路上流側よりも流路下流側で大きくなる、請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記紫外線LEDを含み、前記内管部より流路上流側で前記流路に面する前記流路区画体の内壁に保持され、前記内管部より流路上流側の前記流路を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第3発光部を備える、請求項4~6のいずれか1つに記載の水処理装置。
【請求項8】
前記紫外線LEDを含み、前記内管部より流路下流側で前記流路に面する前記流路区画体の内壁に保持され、前記内管部より流路下流側の前記流路を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第4発光部を備える、請求項4~7のいずれか1つに記載の水処理装置。
【請求項9】
紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、
前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、
前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、
前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、
前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、
前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、
前記流路区画体は、前記内管部の軸方向に延在し、前記内管部を前記内管部の流路上流側及び流路下流側から支持する支持部を備える、水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関し、特に、被処理水に紫外光を照射する水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水等の被処理水を殺菌する技術として、紫外線照射を用いる技術が検討されている。このような紫外線照射を用いて被処理水を殺菌する技術には、被処理水が流れる流路と、この流路内を流れる被処理水に紫外線を照射する光源と、を備える水処理装置が用いられる。特許文献1には、この種の水処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、処理槽の内部を、仕切り部材によって流入部に連通する往路側流路と流出部に連通する復路側流路とに区画形成する水処理装置が開示されている。また、特許文献1には、仕切り部材に、紫外線を照射する紫外線LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)を設け、紫外線LEDからの紫外線が照射される一方の流路を紫外線照射流路とし、他方の流路を紫外線LEDを冷却するための冷却流路とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の水処理装置によれば、紫外線照射流路内を流れる被処理水に紫外線LEDからの紫外線を照射することによって被処理水の紫外線処理を行うことができる。更に、特許文献1の水処理装置によれば、冷却流路内を流れる被処理水によって紫外線LEDを冷却することができる。つまり、特許文献1の水処理装置では、紫外線LEDの冷却用の流体を流す通路を、上述の流路とは別に設ける必要がない。
【0006】
しかしながら、特許文献1の水処理装置では、紫外線照射流路と冷却流路とが折り返して連なるように流路全体が区画形成される。そのため、水処理装置内の流路が複雑化し易く、依然として改善の余地がある。
【0007】
本発明は、被処理水の紫外線処理と紫外線LEDの冷却とを、簡易な流路を用いて実現可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様としての水処理装置は、紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、前記流路区画体は、前記内管部の径方向外側に位置する流路に面する内壁に凸部を備える。
【0009】
本発明の第2の態様としての水処理装置は、紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、前記流路区画体は、前記内管部を含む略円筒状の本体部と、前記本体部の外周面から径方向の外側に向かって突出する流入口部と、前記本体部の外周面から径方向の外側に向かって突出する流出口部と、を備え、前記流入口部及び前記流出口部の少なくとも一方は、前記本体部の外周面との連結位置から、前記本体部の外周面の法線方向に対して傾斜する方向に延在している。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記流入口部及び前記流出口部それぞれは、前記本体部の外周面との連結位置から、前記本体部の外周面の法線方向に対して傾斜する方向に延在している。
【0011】
本発明の第3の態様としての水処理装置は、紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、前記内管部は、流路上流側で閉鎖され、流路下流側で開放されており、前記紫外線LEDを含み、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第1発光部と、前記紫外線LEDを含み、前記内管部の底壁に保持され、前記底壁の流路上流側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第2発光部と、を備える。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、前記第2発光部での単位面積当たりの発光面積は、前記第1発光部での前記単位面積当たりの発光面積よりも大きい。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記第1発光部での前記発光面積は、流路上流側よりも流路下流側で大きくなる。
【0014】
本発明の1つの実施形態としての水処理装置は、前記紫外線LEDを含み、前記内管部より流路上流側で前記流路に面する前記流路区画体の内壁に保持され、前記内管部より流路上流側の前記流路を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第3発光部を備える。
【0015】
本発明の1つの実施形態としての水処理装置は、前記紫外線LEDを含み、前記内管部より流路下流側で前記流路に面する前記流路区画体の内壁に保持され、前記内管部より流路下流側の前記流路を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能な第4発光部を備える。
【0016】
本発明の第4の態様としての水処理装置は、紫外線を用いて被処理水を紫外線処理する水処理装置であって、前記被処理水が流れる流路が内部に形成されている流路区画体と、前記流路内を流れる前記被処理水に対して紫外線を照射する紫外線LEDと、を備え、前記流路区画体は、前記流路内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在する内管部を備え、前記紫外線LEDは、前記内管部の周壁の保持領域に保持され、前記内管部の径方向外側を流れる前記被処理水に向かって紫外線を照射可能であり、前記内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されており、前記流路区画体は、前記内管部の軸方向に延在し、前記内管部を前記内管部の流路上流側及び流路下流側から支持する支持部を備える。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、前記流路区画体は、前記内管部を複数備え、各内管部は、前記支持部により支持されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被処理水の紫外線処理と紫外線LEDの冷却とを、簡易な流路を用いて実現可能な水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図2】
図1に概要を示す水処理装置の断面図である。
【
図3】
図2に示す水処理装置の二重管部を構成する二重管部材を示す図である。
【
図4】
図2に示す内管部の周壁に保持されている状態の紫外線LEDの概要を示す概要図である。
【
図5】
図2に示す水処理装置を更に大型化した状態を示す断面図である。
【
図6】
図1に示す水処理装置の第1変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図7】
図1に示す水処理装置の第2変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図8】
図1に示す水処理装置の第3変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図9】
図1に示す水処理装置の第4変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図10】
図1に示す水処理装置の第5変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図11】
図1に示す水処理装置の第6変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図12】
図1に示す水処理装置の第7変形例としての水処理装置の概要を示す概要図であり、
図12(a)は水処理装置の断面概要図であり、
図12(b)は水処理装置を本体部の底面側から見た側面概要図である。
【
図13】
図1に示す水処理装置の第8変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図14】
図1に示す水処理装置の第9変形例としての水処理装置の概要を示す概要図である。
【
図15】
図1に示す水処理装置の第10変形例としての水処理装置の斜視図である。
【
図17】
図1に示す水処理装置の第11変形例としての水処理装置の断面図であり、
図17(a)は水処理装置についての内管部の軸方向に沿う断面での断面図であり、
図17(b)は水処理装置についての内管部の軸方向に直交する断面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る水処理装置の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0021】
図1は、本発明に係る水処理装置の一実施形態としての水処理装置1の概要を示す概要図である。
図1に示すように、水処理装置1は、流路区画体10と、紫外線LED20と、を備える。水処理装置1は、紫外線を用いて被処理水を紫外線処理することができる。以下、説明の便宜上、特に区別する場合を除き、水処理装置1により紫外線処理される前の未処理水、及び、水処理装置1により紫外線処理された後の処理水、の両方を単に「被処理水」と記載する。また、
図1では、被処理水の流れを破線矢印により示している。
【0022】
図1に示すように、流路区画体10の内部には、被処理水が流れる流路10aが形成されている。紫外線LED20は、流路10a内を流れる被処理水に対して紫外線を照射する。これにより、流路10a内を流れる被処理水を紫外線処理することができる。
【0023】
図1に示すように、流路区画体10は内管部30を備える。内管部30は、流路10a内において、流路上流側から流路下流側に向かって延在している。以下、説明の便宜上、流路10aの流路上流側から流路下流側に向かう方向を「送水方向A」と記載する場合がある。
【0024】
図1に示すように、紫外線LED20は、内管部30の周壁の保持領域GAに保持されている。また、紫外線LED20は、内管部30の径方向Bの外側を流れる被処理水に向かって紫外線を照射可能である。以下、説明の便宜上、流路10aのうち内管部30の径方向Bの外側の部分を、「環状処理空間16a」と記載する。
【0025】
内管部30は、流路上流側で閉鎖されている。その一方で、内管部30は、流路下流側で開放されている。より具体的に、内管部30の内部に形成されている内管空間30aは、保持領域GAに対して流路上流側で閉鎖されている。その一方で、内管空間30aは、保持領域GAに対して流路下流側で開放されている。すなわち、内管部30の流路下流側の端部は、開放口31が形成されている開放端である。開放口31は、内管部30の流路下流側の環状の端面により形作られている。開放口31の大きさは、内管部30の軸方向Cに直交する内管空間30aの断面積と同じである。つまり、内管空間30aの流路下流側の端部は、部分的にも閉鎖されていない。その一方で、本実施形態の内管部30の流路上流側の端部には、内管空間30aを閉鎖する底板部32が設けられている。内管空間30aの流路上流側の端部は、底板部32により完全に閉鎖されている。
【0026】
このような内管部30を流路10a内に設けることで、紫外線LED20による被処理水の紫外線処理と、被処理水による紫外線LED20の冷却とを、行うことができる。
【0027】
図1を参照して、被処理水による紫外線LED20の冷却について説明する。流路10a内に上述の内管部30を配置することで、ベルヌーイの定理に基づき発生する被処理水の流速差及び圧力差を利用して、内管部30内の内管空間30aで被処理水を循環させることができる。内管空間30aを循環する被処理水により、内管部30を介して、内管部30に保持されている紫外線LED20を冷却することができる。
【0028】
より具体的には、
図1に示すように、流路10a内に上述の内管部30を配置することで、ベルヌーイの定理に基づき、環状処理空間16aの位置での被処理水の流速及び圧力を、環状処理空間16aよりも流路下流側の位置での被処理水の流速及び圧力よりも、高くすることができる。そのため、内管部30内の内周面近傍の被処理水は、環状処理空間16aを通過した直後の被処理水に引っ張られて、開放口31から流路下流側に移動する。このように、内管部30内の内周面近傍で開放口31を通じて内管空間30a外へと出ていく被処理水の流れ(
図1の破線矢印AR1を参照)が形成される。更に、この流れが形成されることにより、開放口31の中央領域から内管空間30a内に流入する被処理水の流れ(
図1の破線矢印AR2を参照)も形成される。つまり、内管部30の開放口31の中央領域から内管空間30a内に流入し、内管部30の内壁に沿って流れ、内管部30内の内周面近傍から開放口31を通じて内管空間30a外へと流出する、被処理水の一連の循環経路が形成される。このように被処理水が循環することで、常に低温の水が内管部30内に供給されて、冷却効果が持続する。そのため、内管空間30a内の循環経路を流れる被処理水により、内管部30を介して、内管部30に保持されている紫外線LED20を冷却することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、被処理水の流路10a内の流速が0.5m/sec~3.0m/secとなるように設計されており、レイノルズ数が大きい場合を想定している。これに対して、被処理水の流路10a内の流速が非常に小さく(例えば0.1m/sec等)、レイノルズ数も非常に小さい場合(例えば2500未満)などは、内管部30内の循環経路は、
図1に示す循環経路と異なる。具体的に、被処理水は、内管部30の内周面近傍の位置で開放口31から内管空間30aに入り込み、内管部30の内壁に沿って流れ、開放口31の中央領域を通じて内管空間30a外へと流出する。換言すれば、被処理水は、内管部30内において、
図1に示す循環経路とは逆方向に循環する。したがって、被処理水の流速によらず、被処理水の内管部30内での循環経路を形成することができる。そのため、被処理水の流速によらず、内管部30内の被処理水による紫外線LED20の冷却が可能である。
【0030】
なお、本実施形態の内管部30の内管空間30aは、保持領域GAに対して流路上流側で閉鎖されると共に、保持領域GAに対して流路下流側で開放されているが、この構成に限られない。詳細は後述するが、流路下流側で閉鎖されていると共に、流路上流側で開放されている内管部30としてもよい(
図10参照)すなわち、内管部は、流路上流側及び流路下流側のいずれか一端側で閉鎖されており、他端側で開放されていればよい。
【0031】
以下、本実施形態の水処理装置1の各部材の詳細について説明する。
図2は、水処理装置1の断面図である。
図3は、水処理装置1の二重管部16を構成する二重管部材400を示す図である。
【0032】
[流路区画体10]
図2に示すように、本実施形態の流路区画体10は、略円筒状の本体部11と、この本体部11の軸方向(本実施形態では内管部30の軸方向Cと同じ方向。以下、「軸方向C」と記載する。)の一端側で外周面から径方向Bの外側に向かって突出する円筒状の流入口部12と、本体部11の軸方向Cの他端側で外周面から径方向Bの外側に向かって突出する円筒状の流出口部13と、を備える。本実施形態の流路区画体10が区画する流路10aは、本体部11内の本体流路11aと、流入口部12内の流入口12aと、流出口部13内の流出口13aと、により構成されている。
図2では、流路口部12及び流出口部13の位置のみに、破線矢印により被処理水の流れを示している。
【0033】
詳細は後述するが、流入口部12は、本体部11の軸方向Cの一端側に位置する底面から軸方向Cの外側(
図2では左側)に向かって突出する構成としてもよい(
図6参照)。また、詳細は後述するが、流出口部13は、本体部11の軸方向Cの他端側に位置する底面から軸方向Cの外側(
図2では右側)に向かって突出する構成としてもよい(
図6参照)。
【0034】
本体部11は、流入部14と、流出部15と、二重管部16と、を備える。
【0035】
流入部14には、本体流路11aの流入空間14aが形成されている。流入部14は、円筒状の流入管部14bと、環状フランジ部14cと、を備える。流入空間14aは、流路上流側の一端が閉鎖され、流路下流側の他端が開放されている。つまり、流入管部14bの流路下流側の端部は開放端である。環状フランジ部14cは、流入管部14bの流路下流側の他端から径方向Bの外側に突出している。
【0036】
流入管部14bの外周面から上述の円筒状の流入口部12が突出している。被処理水は、本体部11の外部から、流入口部12の流入口12aを通じて、流入管部14b内の流入空間14aに流入する。
【0037】
流出部15には、本体流路11aの流出空間15aが形成されている。流出部15は、円筒状の流出管部15bと、環状フランジ部15cと、を備える。流出空間15aは、流路上流側の一端が開放され、流路下流側の他端が閉鎖されている。つまり、流出管部15bの流路上流側の端部は開放端である。環状フランジ部15cは、流出管部15bの流路上流側の一端から径方向Bの外側に突出している。
【0038】
流出管部15bの外周面から上述の円筒状の流出口部13が突出している。被処理水は、流出空間15aから、流出口部13の流出口13aを通じて、本体部11の外部に流出する。
【0039】
二重管部16は、上述の流入部14と流出部15との間に位置する。具体的に、二重管部16は、流路上流側の一端で、流入部14と連続している。また、二重管部16は、流路下流側の他端で、流出部15と連続している。
【0040】
より具体的に、二重管部16は、内管部30としての円筒状の管部と、この内管部30の径方向Bの外側を取り囲む外管部40としての円筒状の管部と、上流側環状フランジ部16bと、下流側環状フランジ部16cと、連結部16dと、を備える。
【0041】
内管部30は、外管部40内で、外管部40の軸方向としての送水方向Aに延在している。内管部30の中心軸は、外管部40と中心軸と略一致している。そのため、本実施形態の外管部40の軸方向は、内管部30の軸方向Cと同じ方向である。換言すれば、内管部30は、外管部40と中心軸が略一致するように同心円状に配置されている。内管部30は、後述する連結部16dにより、外管部40内での位置が保持されている。内管部30と外管部40との間に、上述の環状処理空間16aが区画されている。
【0042】
内管部30の内部に形成されている内管空間30aは、上述したように、流路上流側の一端が閉鎖されており、流路下流側の他端が開放されている。
【0043】
内管部30の周壁には、上述したように、紫外線LED20が保持されている。紫外線LED20の詳細は後述する。
【0044】
外管部40は、上述したように内管部30の径方向Bの外側を取り囲む。外管部40と内管部30との間には、環状処理空間16aが形成されている。この環状処理空間16aの流路上流側の一端、及び、流路下流側の他端は、開放されている。
【0045】
図2に示すように、流入部14の流入空間14aは、二重管部16の環状処理空間16aと連通している。また、
図2に示すように、流出部15の流出空間15aは、二重管部16の環状処理空間16aと連通している。したがって、本体部11の外部から流入口12aに流入した被処理水は、流入空間14a、環状処理空間16a、流出空間15aを順に通過して、流出口13aから本体部11の外部に流出する。被処理水は、環状処理空間16aを通過する際に、紫外線LED20からの紫外線照射により殺菌され、未処理水から処理水へと紫外線処理される。
【0046】
連結部16dは、内管部30の外壁と外管部40の内壁とを連結している。
図3に示すように、本実施形態の連結部16dは、内管部30の外壁の周方向の異なる位置から径方向Bの外側に放射状に延在する複数のスポーク部により構成されている。そのため、環状処理空間16aは、周方向に隣接するスポーク部の間の間隙を通じて、流路上流側の一端から流路下流側の他端まで連通している。
【0047】
なお、連結部16dは、本実施形態の構成に限られない。連結部16dは、内管部30の外管部40内における位置を保持でき、かつ、環状処理空間16aでの被処理水の流通を可能にする連通口(例えば本実施形態のスポーク部間の間隙)を区画する構成であれば、その構成は特に限定されない。
【0048】
また、内管部30の周壁に保持される紫外線LED20から流路区画体10の外部まで延びる導線等の信号線は、例えば、連結部16dとしての複数のスポーク部内を通じて流路区画体10の外部まで引き出すことができる。
【0049】
上流側環状フランジ部16bは、外管部40の流路上流側の一端から径方向Bの外側に突出している。また、下流側環状フランジ部16cは、外管部40の流路下流側の他端から径方向Bの外側に突出している。
【0050】
ここで、本実施形態の流路区画体10は、流入口部12及び流入部14を構成する流路入口部材200と、流出口部13及び流出部15を構成する流路出口部材300と、二重管部16を構成する二重管部材400と、が接続されることで形成されている。
【0051】
具体的に、二重管部材400の上述の上流側環状フランジ部16bは、流路入口部材200の上述の環状フランジ部14cと、ボルト及びナット、ロックピン等の接合部材を用いて接合される。重ね合わされた上流側環状フランジ部16b及び環状フランジ部14cは、周方向の異なる位置で、ボルト等の接合部材を用いて接合される。より具体的に、本実施形態の上流側環状フランジ部16b及び環状フランジ部14cそれぞれには、複数のボルト挿通孔が形成されている。この複数のボルト挿通孔は、周方向に所定間隔を空けて複数配置されている。また、この複数のボルト挿通孔は、周方向全域に亘って形成されている。上流側環状フランジ部16b及び環状フランジ部14cは、互いのボルト挿通孔が連通するように重ね合わされ、このボルト挿通孔を利用して、ボルト及びナットを用いて接合される。これにより、流路入口部材200及び二重管部材400は、流入空間14aと環状処理空間16aとが液密な状態で接続される。なお、二重管部材400の上述の下流側環状フランジ部16cと、流路出口部材300の上述の環状フランジ部15cと、の接合についても同様である。これにより、流路出口部材300及び二重管部材400は、流出空間15aと環状処理空間16aとが液密な状態で接続される。
【0052】
但し、流路区画体10は、流入部14、流出部15及び二重管部16が、分離不能に一体で形成されていてもよい。しかしながら、本実施形態の流路区画体10のように、流入部14を構成する流路入口部材200、流出部15を構成する流路出口部材300、及び、二重管部16を構成する二重管部材400は、相互に着脱可能な構成とすることが好ましい。このようにすることで、例えば、紫外線LED20の故障時などにおいて、二重管部材400を流路入口部材200及び流路出口部材300から着脱することにより、内管部30が保持する紫外線LED20の洗浄、交換等を容易に行うことができる。つまり、水処理装置1の保守点検作業の効率を高めることができる。
【0053】
なお、二重管部16の内管部30は、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などの熱伝導率の高い金属により構成されている。このようにすることで、紫外線LED20の冷却効率を高めることができる。また、流路区画体10のうち上述の内管部30を除く部分についても、内管部30と同様、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属により構成することができる。
【0054】
一例として、外管部40の内径ID1を100mm~500mmとした場合には、内管部30の内径ID2を40mm~200mm、内管空間30aの軸方向長さLを40mm~600mmの範囲で設定することが好ましい。また、別の一例として、外管部40の内径ID1を500mm~1000mmとした場合には、内管部30の内径ID2を200mm~600mm、内管空間30aの軸方向長さLを200mm~1200mmの範囲で設定することが好ましい。これら2つの例のように各部の寸法を設定すれば、内管部30内の被処理水の上述した循環経路を容易に形成することができる。特に、L/ID2が0.1以上となる寸法関係とすることが好ましく、1以上~10未満となる寸法関係とすることがより好ましい。また、ID2/ID1が0.3≦ID2/ID1≦0.8となる寸法関係にすることが好ましく、0.4≦ID2/ID1≦0.7となる寸法関係とすることがより好ましい。このようにすることで、内管部30内に被処理水が流入し易く、かつ、流入した被処理水が内管空間30aの流路上流側の端部まで行き届き易くなる。これにより、内管部30内で被処理水が滞留し難い循環経路を、より形成し易くなる。
【0055】
また、流路区画体10の本体部11内の全体容積に対する内管部30内の容積の比を0.2~0.8となるように設定することが好ましい。このようにすることで、内管部30内の被処理水の上述した循環経路を、より容易に形成することができる。
【0056】
[紫外線LED20]
図4は、内管部30の周壁に保持されている状態の紫外線LED20の概要を示す概要図である。
図4に示すように、紫外線LED20は、紫外線光源としてのLED素子21と、このLED素子21を支持するLED基板22と、LED素子21及びLED基板22を被覆するガラス被覆材23と、を備える。
【0057】
LED素子21の中心波長又はピーク波長は、例えば処理対象微生物の感受性に応じて、適宜設定することができる。本実施形態のLED素子21は、中心波長又はピーク波長が約200nm~350nmの範囲に含まれる深紫外光を出力する。特に、LED素子21は、殺菌効率の高い波長である260nm~300nm付近の紫外光を出力することが好ましい。このようなLED素子21として、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いた構成が知られている。
【0058】
LED基板22は電気回路を備えている。LED素子21は、LED基板22の電気回路に電気的に接続されている。紫外線LED20は、LED基板22を内管部30の外周面に取り付けることで、内管部30の周壁に保持されている。
【0059】
また、LED基板22の電気回路は、信号線50と電気的に接続されている。
図4に示すように、信号線50は、内管部30の周壁に形成された貫通孔を通じて、内管部30の外周面側から内周面側に引き出されるように配線されている。信号線50は、内管部30の内周面に沿って配線され、上述した連結部16d(
図3参照)を通じて、流路区画体10の外部に引き出される。なお、信号線50の外周面は、内部導体の外周を被覆する絶縁材により構成されている。
【0060】
図3に示すように、内管部30の外周面には、複数の紫外線LED20が取り付けられている。具体的に、本実施形態では、内管部30の周方向の異なる位置に複数の紫外線LED20が取り付けられている。また、本実施形態では、内管部30の軸方向Cの異なる位置に複数の紫外線LED20が取り付けられている。紫外線LED20の取り付け数、及び、取り付け位置は、紫外線LED20の性能、被処理水に含まれるクリプトスポリジウムや病原細菌などの処理対象微生物の種類、被処理水の流速、流路区画体10の流路構成など、に応じて適宜設計することができる。また、
図4では、1つの紫外線LED20が、1つのLED素子21を備える構成を示しているが、1つの紫外線LED20が、複数のLED素子21を備えてもよい。かかる場合には、例えば、LED基板22上に複数のLED素子21が支持され、これら複数のLED素子21を覆うようにガラス被覆材23が被覆される。
【0061】
以上のように、本実施形態の水処理装置1では、被処理水は、流路区画体10の外部から、流入口12a、流入空間14a、環状処理空間16a、流出空間15a、流出口13aの順に進み、流路区画体10の外部へと排出される。被処理水は、この一連の流れにおいて、環状処理空間16aを通過する際に、紫外線LED20により紫外線処理される。また、環状処理空間16aを通過した被処理水の作用により、内管部30の内管空間30aでの被処理水の上述した循環経路(
図1参照)が形成される。そのため、内部を循環する被処理水により内管部30は常に冷却された状態となり、内管部30に保持されている紫外線LED20は、内管部30を介して冷却される。
【0062】
次に、水処理装置1の大型化について説明する。
図5は、
図2に示す水処理装置1を更に大型化した状態を示す断面図である。
図5では、流路口部12及び流出口部13の位置のみに、破線矢印により被処理水の流れを示している。上述したように、
図2に示す流路区画体10は、流入口部12及び流入部14を構成する流路入口部材200と、流出口部13及び流出部15を構成する流路出口部材300と、二重管部16を構成する二重管部材400と、が接続されることで形成されているが、
図5に示すように、二重管増設部材500を用いることにより、流路区画体10を更に大型化することができる。これにより、二重管部材400の環状処理空間16aを延長させ、紫外線処理能力を更に高めることができる。
【0063】
図5に示す水処理装置1の流路区画体10は、流路入口部材200、流路出口部材300、二重管部材400、及び、二重管増設部材500により構成されている。流路入口部材200、流路出口部材300及び二重管部材400は
図2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
二重管増設部材500は、増設内管部530としての円筒状の管部と、この増設内管部530の径方向Bの外側を取り囲む増設外管部540としての円筒状の管部と、上流側環状フランジ部516bと、下流側環状フランジ部516cと、連結部(不図示)と、を備える。増設外管部540、上流側環状フランジ部516b、下流側環状フランジ部516c及び連結部それぞれは、二重管部材400の外管部40、上流側環状フランジ部16b、下流側環状フランジ部16c及び連結部16dそれぞれと同様であるためここでは説明を省略する。
【0065】
二重管増設部材500の増設内管部530は、二重管部材400の内管部30と比較して、増設内管部530の内部に形成されている増設内管空間530aの流路上流側の端部が閉鎖されていない点で構成が相違している。つまり、増設内管部530の流路上流側及び流路下流側の端部はいずれも開放端である。なお、増設内管部530は、内管部30と同様、紫外線LED20を保持している。
【0066】
図5に示すように、二重管部材400の流路下流側に二重管増設部材500を接続することにより、二重管部材400の内管部30の流路下流側の開放端と、二重管増設部材500の増設内管部530の流路上流側の開放端と、を接続することができる。これにより、二重管部材400の内管部30内の内管空間30aと、二重管増設部材500の増設内管部530内の増設内管空間530aと、を連通させることができる。
【0067】
内管空間30a及び増設内管空間530aは、例えば、内管部30の開放端と増設内管部530の開放端との間に弾性体等のシール部材を挟み込ませて介在させることで、液密に連通する。
【0068】
更に、
図5に示すように、二重管部材400の流路下流側に二重管増設部材500を接続することにより、二重管部材400の環状処理空間16aの流路下流側と、二重管増設部材500の増設環状処理空間516aの流路上流側と、を連通させることができる。換言すれば、二重管部材400の環状処理空間16aを、二重管増設部材500の増設環状処理空間516aにより延長することができる。そのため、被処理水が紫外線LED20により紫外線処理される領域が長くなり、水処理装置1の紫外線処理能力が更に高められる。
【0069】
なお、二重管部材400及び二重管増設部材500は、上述した二重管部材400及び流路入口部材200の接続構成と同様、環状フランジ部を利用して接続される。このような接続構成とすることで、二重管増設部材500を容易に増設することができる。
【0070】
以上のように、二重管部材400の流路下流側に二重管増設部材500を接続することにより、流路区画体10を更に大型化し、水処理装置1の紫外線処理能力が更に高めることができる。
【0071】
なお、
図5に示す例では、流路出口部材300と二重管部材400との間に1つの二重管増設部材500を増設したが、2つ以上の任意の数の二重管増設部材500を増設してもよい。このように、任意の数の二重管増設部材500を増設可能とすることで、水処理装置1における流路入口部材200及び流路出口部材300の位置についても固定されず、二重管増設部材500の増設数に対応させた位置とすることができる。つまり、流入口12a及び流出口13aの位置の設計自由度を向上させることができる。逆に、流路入口部材200及び流路出口部材300の位置が固定されている場合であっても、二重管増設部材500の増設数を調整することにより、流路入口部材200及び流路出口部材300の固定位置に合わせた流路区画体10を実現できる。
【0072】
次に、上述した水処理装置1の変形例について説明する。
図6は、上述した水処理装置1の第1変形例としての水処理装置100aの概要を示す概要図である。
図6では、破線矢印により被処理水の流れを示している。
図6に示す水処理装置100aは、
図1に示す水処理装置1と比較して、流入口部12及び流出口部13の位置が異なり、その他の構成は共通する。そのため、ここでは水処理装置100aと
図1に示す水処理装置1の相違点のみについて説明し、共通する構成の説明は省略する。
【0073】
図6に示すように、水処理装置100aの流入口部12は、本体部11の軸方向Cの一端側に位置する底面から軸方向Cの外側(
図6では左側)に向かって突出している。また、
図6に示すように、水処理装置100aの流出口部13は、本体部11の軸方向Cの他端側に位置する底面から軸方向Cの外側(
図6では右側)に向かって突出している。
【0074】
図1に示す水処理装置1では、流入口部12及び流出口部13が、流路区画体10の略円筒状の本体部11の外周面から径方向Bの外側に突出しているため、環状処理空間16aの被処理水の流速及び圧力について、周方向の位置によるばらつきが生じる。具体的に、
図1に示す水処理装置1では、流入口部12及び流出口部13が設けられている周方向の位置に対して径方向Bで対向する反対側(
図1では下側)で、環状処理空間16aの被処理水の流速及び圧力が高くなる傾向がある。
【0075】
これに対して、流入口部12及び流出口部13を
図6に示す位置に配置することで、環状処理空間16aの周方向の位置による被処理水の流速差及び圧力差を軽減できる。そのため、環状処理空間16aの周方向の位置による紫外線処理能力の差を軽減することができる。
【0076】
図7は、上述した水処理装置1の第2変形例としての水処理装置100bの概要を示す概要図である。
図7では、破線矢印により被処理水の流れを示している。
図7に示す水処理装置100bは、
図1に示す水処理装置1と比較して、ガイド部60の有無が異なり、その他の構成は共通する。そのため、ここでは水処理装置100bと
図1に示す水処理装置1の相違点のみについて説明し、共通する構成の説明は省略する。
【0077】
図7に示す流路区画体10は、内管部30よりも流路下流側にガイド部60を備える。ガイド部60は、内管部30の開放口31を通じて内管空間30aに被処理水を案内する。
【0078】
より具体的に、
図7に示す流路区画体10の流路10aを区画する内壁は突出部60aを備える。
図7に示すように、突出部60aは、内管部30よりも流路下流側で、内管部30の開放口31と、内管部30の軸方向Cで対向する位置に設けられている。つまり、突出部60aは、流路区画体10の内壁のうち、流路区画体10の本体部11の軸方向Cの流路下流側に位置する部分に設けられている。この突出部60aは、流路区画体10の内壁から開放口31に向かって突出している。突出部60aは、例えば、開放口31側の頂部60a1に向かって細くなる錐状又は錐台状の突起によりとすることができる。
図7に示す例では、ガイド部60が突出部60aにより構成されている。このようなガイド部60を設けることで、
図7に示すように、環状処理空間16aを通過する被処理水を、より効率的に内管部30内に誘導することができる。そのため、内管部30に保持される紫外線LED20の冷却効率を、より高めることができる。
【0079】
図7では、ガイド部60を上述の突出部60aにより構成しているが、被処理水の流れをガイドし、内管部30内に被処理水を誘導する構成であれば、その構成は特に限定されない。したがって、ガイド部60は、錐状又は錐台状の突起に限られない。また、ガイド部60を、流路区画体10の内壁の別の位置に設けてもよい。したがって、ガイド部60は、例えば、内管部30よりも流路下流側で、内管部30の軸方向Cと直交するように突出する突出部であってもよい。また、ガイド部60を、流路区画体10の内壁に複数設けてもよい。更に、ガイド部60を、流路区画体10の流路10a内に取り付ける別部材により構成してもよい。
【0080】
図8は、上述した水処理装置1の第3変形例としての水処理装置100cの概要を示す概要図である。
図8では、流路口部12及び流出口部13の位置のみに、破線矢印により被処理水の流れを示している。
図8に示す水処理装置100cは、
図1に示す水処理装置1と比較して、内管部30の数、及び、ガイド部60の有無、が異なる。
図8に示すように、流路区画体10内の流路10aにおいて、複数の内管部30を配置してもよい。複数の内管部30は、送水方向Aに離間して配置されている。
図8では、3つの内管部30の中心軸が一致するように、3つの内管部30が軸方向Cに一列に配置されている。
【0081】
また、
図8に示すように、内管部30の流路上流側の底面には、ガイド部60としての突出部60aを設けてもよい。このようにすることで、ガイド部60が設けられた内管部30よりも流路上流側に位置する別の内管部30の内管空間30aに、被処理水を誘導することができる。
【0082】
図9は、上述した水処理装置1の第4変形例としての水処理装置100dの概要を示す概要図である。
図9では、破線矢印により被処理水の流れを示している。
図9に示す水処理装置100dは、
図1に示す水処理装置1と比較して、内管部30の流路下流側の開放端の形状が異なり、その他の構成は共通する。そのため、ここでは水処理装置100dと
図1に示す水処理装置1の相違点のみについて説明し、共通する構成の説明は省略する。
【0083】
図9に示す内管部30の流路下流側の端面は、内管部30の軸方向Cに対して傾斜している。開放口31は、この傾斜する端面により形成されている。換言すれば、
図9に示す内管部30の流路下流側の環状の端面は、軸方向Cに傾斜する環状の平面により構成されている。
【0084】
このような構成とすることで、内管部30の開放端を構成する環状平面の先端33側と基端34側とで、被処理水の流速差及び圧力差を生じさせることができる。そのため、ベルヌーイの定理に基づく被処理水の内管部30内での循環を、より促進することができる。
【0085】
また、
図9に示すように、内管部30の開放端の先端33がある周方向の位置は、流入口部12及び流出口部13が設けられている周方向の位置と、径方向Bで対向している。
図9に示す水処理装置100dにおいて、環状処理空間16aを通過する被処理水の流速及び圧力は、流入口部12及び流出口部13が設けられている周方向の位置(内管部30の開放端の基端34がある周方向の位置)よりも、内管部30の開放端の先端33がある周方向の位置で高くなる。そのため、
図9に示す水処理装置100dでは、
図9に示す内管部30の周壁に取り付けられる紫外線LED20の数を、内管部30の開放端の先端33の周方向位置を含む所定の周方向領域で、内管部30の開放端の基端34の周方向位置を含む所定の周方向領域よりも、多くしている。これにより、環状処理空間16aの周方向位置による被処理水の流速差に基づく紫外線処理能力のばらつきを、軽減することができる。
【0086】
図10は、上述した水処理装置1の第5変形例としての水処理装置100eの断面図である。
図10では、流路口部12及び流出口部13の位置のみに、破線矢印により被処理水の流れを示している。
図10に示す水処理装置100eは、
図1、
図2等に示す水処理装置1と比較して、内管部30の開放端の位置が異なり、その他の構成は共通する。そのため、ここでは水処理装置100eと
図1、
図2等に示す水処理装置1の相違点のみについて説明し、共通する構成の説明は省略する。
【0087】
図10に示す内管部30は、流路下流側で閉鎖されている。その一方で、
図10に示す内管部30は、流路上流側で開放されている。より具体的に、
図10に示す内管部30の内部に形成されている内管空間30aは、保持領域GAに対して流路下流側で閉鎖されている。その一方で、
図10に示す内管空間30aは、保持領域GAに対して流路上流側で開放されている。すなわち、
図10に示す内管部30の流路上流側の端部は、開放口31が形成されている開放端である。開放口31は、内管部30の流路上流側の環状の端面により形作られている。開放口31の大きさは、内管部30の軸方向Cに直交する内管空間30aの断面積と同じである。つまり、内管空間30aの流路上流側の端部は、部分的にも閉鎖されていない。その一方で、
図10に示す内管部30の流路下流側の端部には、内管空間30aを閉鎖する底板部32が設けられている。内管空間30aの流路下流側の端部は、底板部32により完全に閉鎖されている。
【0088】
図2等に示すような内管部30にすると、流路10a内に未処理水が滞留し難く、
図10に示す構成と比較して、紫外線処理の効率が高い。これに対して、
図10に示すような内管部30とすれば、
図2等に示す構成と比較して、底板部32を紫外線LED20の保持領域GAとして利用し易くなる。
図2等に示す内管部30の底板部32の流路上流側の面に紫外線LED20を取り付けると、流入口部12から流入し得る小石や粒子が直接的にガラス被覆材23(
図4参照)に衝突する可能性がある。そのため、紫外線LED20が破損するおそれがある。これに対して、
図10に示す内管部30の底板部32の流路下流側の面は、小石や粒子は衝突し難い。そのため、
図10に示す内管部30の底板部32は、紫外線LED20の保持領域GAとして利用し易く、より多くの紫外線LED20を配置することができる。但し、紫外線LED20の数は、必要となる紫外線処理能力に応じて決定され、
図10に示すように、底板部32を保持領域GAとして利用しない構成であってもよい。
【0089】
また、
図10の流路区画体10の本体部11内の全体容積に対する内管部30内の容積の比を0.1~0.8となるように設定することが好ましい。このようにすることで、内管部30内で未処理水が滞留することを、より抑制できる。
【0090】
本発明に係る水処理装置は、上述した実施形態及び変形例に記載されている具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。上述した実施形態及び変形例に示す水処理装置では、複数の紫外線LEDが内管部の周壁の外周面に取り付けられているが、1つ以上の紫外線LEDを、内管部の底板部の外面に更に取り付けてもよい。但し、上述したように、底板部の外面に紫外線LEDを取り付ける場合には、
図10に示す内管部30の構成を採用することが好ましい。また、上述した実施形態及び変形例に示す水処理装置の流路内に、内管部内の被処理水に乱流を引き起こすような乱流形成部材を更に配置してもよい。乱流形成部材としては、例えば、内管部の開放口の近傍に配置される球状体などが挙げられる。
【0091】
以下、本発明に係る水処理装置の更なる変形例について説明する。
【0092】
図11は、
図1に示す水処理装置1の第6変形例としての水処理装置100fの概要を示す概要図である。
図11に示す水処理装置100fは、
図1に示す水処理装置1と比較して、流路区画体10が、内管部30の径方向B外側に位置する流路10aに面する内壁に凸部70を備える点で相違し、その他の構成は共通している。
【0093】
図11に示すように、流路区画体10の内部には、被処理水が流れる流路10aが形成されている。紫外線LED20は、流路10a内を流れる被処理水に対して紫外線を照射する。これにより、流路10a内を流れる被処理水を紫外線処理することができる。
【0094】
図11に示すように、流路区画体10は内管部30を備える。内管部30は、流路10a内において、送水方向Aに向かって延在している。
図11に示すように、紫外線LED20は、内管部30の周壁の保持領域GAに保持されている。また、紫外線LED20は、内管部30の径方向Bの外側の環状処理空間16aを流れる被処理水に向かって紫外線を照射可能である。
【0095】
内管部30は、流路上流側で閉鎖されている。その一方で、内管部30は、流路下流側で開放されている。但し、内管部30は、流路下流側で閉鎖され、流路上流側で開放されていてもよい。
【0096】
上述したように、
図11に示す流路区画体10は、内管部30の径方向Bの外側に位置する流路に面する内壁に凸部70を備える。このような凸部70を設けることにより、紫外線LED20から紫外線が照射される、内管部30の径方向Bの外側の位置において、被処理水が滞留し易くなる。そのため、紫外線LED20による紫外線処理の効率を高めることができる。
【0097】
具体的に、
図11に示す流路区画体10は、内管部30の外周面から径方向Bの外側に向かって突出する凸部70を備える。また、
図11に示す流路区画体10は、外管部40の内周面から径方向Bの内側に向かって突出する凸部70を備える。
図11に示すように、内管部30の外周面から突出する凸部70の軸方向Cの位置と、外管部40の内周面から突出する凸部70の軸方向Cの位置と、は異なる。但し、凸部70は、内管部30の外周面、及び、外管部40の内周面、いずれか一方のみから突出していてもよい。内管部30の周壁に紫外線LED20が配置されることを考慮すれば、凸部70は、少なくとも外管部40の内周面から突出していることが好ましい。内管部30の外周面、及び、外管部40の内周面、の両方から凸部70を突出させる構成とすることで、被処理水が、より滞留し易くなる。そのため、紫外線LED20による被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。
【0098】
また、
図11に示す流路区画体10は、軸方向Cの異なる位置に配置される複数の凸部70を備える。より具体的に、本例の流路区画体10は、内管部30の外周面から突出する複数の凸部70を備える。また、本例の流路区画体10は、外管部40の内周面から突出する複数の凸部70を備える。内管部30の外周面から突出する凸部70と、外管部40の内周面から突出する凸部70とは、軸方向Cに交互に配置されている。このように、凸部70を軸方向Cの異なる位置に配置することで、凸部70を軸方向Cの一箇所のみに配置する場合と比較して、内管部30の径方向Bの外側を流れる被処理水が、より滞留し易くなる。そのため、紫外線LED20による被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。
【0099】
凸部70は、例えば、内管部30の外周面から径方向Cの外側に突出する環状板又は螺旋板としてもよい。また、凸部70は、外管部40の内周面から径方向Cの内側に突出する環状板又は螺旋板としてもよい。更に、凸部70は、例えば、内管部30の外周面、及び、外管部40の内周面、の周方向に所定距離を隔てて複数配置されている板状突起であってもよい。このように、凸部70は、内管部30の径方向Bの外側で、被処理水の流れを阻害して、被処理水を滞留させるものであれば、その形状は特に限定されない。
【0100】
凸部70の構成材料は、例えばPTFE、PFA、ETFEなどのフッ素系樹脂とすることが好ましい。フッ素系樹脂は、例えばステンレス等の金属と比較して、絶対反射率が高く、かつ、拡散反射比率が高い。そのため、内管部30の径方向Bの外側を流れる被処理水の紫外線処理の効率を高めることができる。
【0101】
図12は、
図1に示す水処理装置1の第7変形例としての水処理装置100gの概要を示す概要図である。具体的に、
図12(a)は、水処理装置100gの断面概要図であり、
図12(b)は、水処理装置100gを本体部11の底面側から見た側面概要図である。
【0102】
図12に示す水処理装置100gは、
図1に示す水処理装置1と比較して、流入口部12の位置、及び、流出口部13の位置、が相違し、その他の構成は共通している。
【0103】
図12(a)、
図12(b)に示す流路区画体10は、内管部30を含む略円筒状の本体部11と、この本体部11の外周面から径方向Bの外側に向かって突出する流入口部12と、本体部11の外周面から径方向Bの外側に向かって突出する流出口部13と、を備える。本体部11は、内管部30と、この内管部30の径方向Bの外側を覆う外管部40と、を備える。
【0104】
図12(b)に示すように、流入口部12は、本体部11の外周面との連結位置から、本体部11の外周面の法線方向Dに対して傾斜する方向に延在している。このようにすることで、流入口部12から本体部11内に流入した被処理水は、内管部30の径方向Bの外側で、外管部40の内周面に沿うように、内管部30の周囲を旋回しながら送水方向Aに進行し易くなる(
図12(a)、
図12(b)における破線矢印参照)。つまり、内管部30の周囲で、被処理水の旋回流が発生し易くなる。そのため、被処理水が、内管部30の径方向Bの外側を、直線状に送水方向Aに移動する場合と比較して、被処理水が内管部30の径方向Bの外側に滞留する時間を長くすることができる。これにより、紫外線LED20による紫外線処理の効率を高めることができる。
【0105】
なお、
図12に示す流入口部12は、本体部11の外周面から直線状に延在する円筒状の形状であるが、この構成に限られない。流入口12は、例えば、本体部11の外周面から湾曲して延在していてもよく、角筒状の形状であってもよい。
【0106】
更に、
図12に示す水処理装置100gでは、流入口部12のみならず、流出口部13についても、本体部11の外周面との連結位置から、本体部11の外周面の法線方向Dに対して傾斜する方向に延在している。特に、
図12に示す例では、
図12(a)、
図12(b)に示すように、流入口部12及び流出口部13は、略円筒状の本体部11の同じ半筒部分で、略平行な方向に延在している。また、
図12に示す例では、
図12(b)に示すように、流入口部12及び流出口部13は、略円筒状の本体部11の周方向で異なる位置に配置されている。このようにすることで、被処理水の旋回流が、内管部30の流路下流側で、流出口部13に進入し易くなる。但し、被処理水の旋回流が、内管部30の流路下流側で、流出口部13に進入し難いように、流出口部13が本体部11に連結される本体部11の周方向における位置を、他の位置にしてもよい。
【0107】
図13は、
図1に示す水処理装置1の第8変形例としての水処理装置100hの概要を示す概要図である。
図13に示す水処理装置100hは、
図1に示す水処理装置1と比較して、流入口部12及び流出口部13の位置が相違する。また、
図13に示す水処理装置100hは、
図1に示す水処理装置1と比較して、紫外線LED20の配置位置、及び、配置分布、が相違する。
図13に示す水処理装置100hのその他の構成は、
図1に示す水処理装置1と共通する。
【0108】
流入口部12及び流出口部13の位置は、
図6に示す第1変形例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0109】
図13に示す水処理装置100hでは、第1発光部71と、第2発光部72と、を備える。第1発光部71は、紫外線LED20を含み、内管部30の周壁の保持領域GAに保持され、内管部30の径方向Bの外側を流れる被処理水に向かって紫外線を照射することができる。より具体的に、
図13に示す第1発光部71は、保持領域GAに保持される複数の紫外線LED20により構成されている。また、第2発光部72は、紫外線LED20を含み、内管部30の底壁としての底板部32に保持され、底板部32の流路上流側を流れる被処理水に向かって紫外線を照射することができる。
【0110】
このように、内管部30の周壁に保持される紫外線LED20を含む第1発光部71に加えて、内管部30の流路上流側の底壁としての底板部32に保持される紫外線LED20を含む第2発光部72を設けることで、紫外線処理の効率を高めることができる。
【0111】
特に、
図13に示す例では、流入口部12が本体部11の軸方向Cの底面から軸方向Cの外側(
図2では左側)に向かって突出しているため、流入口部12から本体部11内に流入する被処理水は、内管部30の底板部32に跳ね返り、底板部32の流路上流側に滞留し易い。そのため、底板部32に設ける第2発光部72については、単位面積当たりの発光面積を大きくし、被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることが好ましい。特に、被処理水は、内管部30の径方向Bの外側の位置よりも、内管部30の流路上流側の位置で滞留し易い。そのため、第2発光部72での単位面積当たりの発光面積は、例えば、第1発光部71での単位面積当たりの発光面積よりも大きくすることが好ましい。このようにすれば、被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。なお、単位面積当たりの発光面積は、例えば、単位面積当たりに配置される紫外線LED20の数を増減させることで調整することができる。
【0112】
また、第1発光部71での発光面積は、流路上流側よりも流路下流側で大きくなるようにすることが好ましい。
図13に示す水処理装置100hにおいて、被処理水の内管部30の径方向Bの外側の位置における流速は、流路上流側よりも流路下流側で遅くなる。そのため、第1発光部71での発光面積を流路下流側で大きくすることで、内管部30の径方向Bの外側の位置における、被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。
【0113】
なお、
図13において、第2発光部72の任意の位置での単位面積当たりの発光面積は、第1発光部71の任意の位置での単位面積当たりの発光面積よりも大きい。
【0114】
図14は、
図1に示す水処理装置1の第9変形例としての水処理装置100iの概要を示す概要図である。
図14に示す水処理装置100iは、
図13に示す水処理装置100hに加えて、第3発光部73及び第4発光部74を備える点で構成が相違するが、その他の構成は
図13に示す水処理装置100hと共通する。
【0115】
図14に示すように、第3発光部73は、紫外線LED20を含み、内管部30より流路上流側で流路10aに面する流路区画体10の内壁に保持されている。そして、第3発光部73は、内管部30より流路上流側の流路10aを流れる被処理水に向かって紫外線を照射できる。第1発光部71及び第2発光部72に加えて、第3発光部73を設けることで、被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。
【0116】
また、
図14に示すように、第4発光部74は、紫外線LED20を含み、内管部30より流路下流側で流路10aに面する流路区画体10の内壁に保持されている。そして、第4発光部74は、内管部30より流路下流側の流路10aを流れる被処理水に向かって紫外線を照射できる。第1発光部71及び第2発光部72に加えて、第4発光部74を設けることで、被処理水の紫外線処理の効率を、より高めることができる。
【0117】
なお、第3発光部73は、内管部30の流路上流側で、本体部11の内周面の周方向全域に亘って配置されていることが好ましい。更に、第3発光部73は、流入口部12が設けられている本体部11の軸方向Cの一端側(
図14では左側)の底板部の内面にも、配置されていることが好ましい。このようにすることで、被処理水の紫外線処理の効率を、更に高めることができる。
【0118】
また、第4発光部74についても、内管部30の流路下流側で、本体部11の内周面の周方向全域に亘って配置されていることが好ましい。更に、第4発光部74は、流出口部13が設けられている本体部11の軸方向Cの他端側(
図14では右側)の底板部の内面にも、配置されていることが好ましい。このようにすることで、被処理水の紫外線処理の効率を、更に高めることができる。
【0119】
図15は、
図1に示す水処理装置1の第10変形例としての水処理装置100jの斜視図である。
図16は、
図15に示す水処理装置100jについての内管部30の軸方向Cに沿う断面での断面図である。
図15では、内管部30の周壁に保持される紫外線LED20の一部が省略して描かれている(
図15において省略部分を二点鎖線により表示)。
図15、
図16に示す水処理装置100jは、
図1に示す水処理装置1と比較して、主に内管部30の支持構成が相違する。
【0120】
図15、
図16に示す流路区画体10は、内管部30の軸方向Cに延在し、内管部30を内管部30の流路上流側及び流路下流側から支持する支持部75を備える。より具体的に、
図15、
図16に示す支持部75は、内管部30の底板部32から流路上流側に突出する棒状の上流支持部75aと、内管部30の解放端から流路下流側に突出する棒状の下流支持部75bと、を備える。上流支持部75a及び下流支持部75bは、軸方向Cに直線状に延在しており、本体部11の軸方向Cの両側の底板部11bに対して、ボルト等の締結部材により着脱可能に締結されている。
【0121】
図15、
図16に示すように、本体部11の片側の底板部11bは、本体部11のその他の部分から着脱可能なカバー部材76により構成されている。そのため、
図15、
図16に示す水処理装置100jによれば、本体部11の軸方向Cの一方側(
図15、
図16では左側)の底板部11bから締結部材を取り外し、内管部30及び支持部75を、カバー部材76と共に、本体部11の軸方向Cの他方側(
図15、
図16では右側)から、引き出すことができる。このようにすることで、簡単に内管部30を外部に取り出すことができる。そのため、
図15、
図16に示す水処理装置100jによれば、内管部30の保守点検、交換等が容易になる。
【0122】
なお、
図15、
図16に示す上流支持部75a及び下流支持部75bは、内管部30の周方向に所定間隔を隔てて4本配置されているが、その本数、及び、周方向の配置位置については特に限定されない。
【0123】
図17は、
図1に示す水処理装置1の第11変形例としての水処理装置100kの断面図である。具体的に、
図17(a)は水処理装置100kについての内管部30の軸方向Cに沿う断面での断面図であり、
図17(b)は水処理装置100kについての内管部30の軸方向Cに直交する断面での断面図である。
図17に示す水処理装置100kは、
図15、
図16に示す内管部30及び支持部75が、流路10a内に複数配置されている点で、
図15、
図16に示す水処理装置100jと構成が相違する。
図17(a)、
図17(b)に示すように、流路区画体10は、周壁に紫外線LED20を保持する内管部30を複数備えてもよい。そして、
図17(a)に示すように、各内管部30は、支持部75により支持されていてもよい。
図17に示す流路区画体10は、流路10a内に4つの内管部30を備えるが、内管部30の数は特に限定されない。また、各内管部30から突設される支持部75の数についても特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、水処理装置に関し、特に、被処理水に紫外光を照射する水処理装置に関する。
【符号の説明】
【0125】
1:水処理装置
10:流路区画体
10a:流路
11:本体部
11a:本体流路
11b:底板部
12:流入口部
12a:流入口
13:流出口部
13a:流出口
14:流入部
14a:流入空間
14b:流入管部
14c:環状フランジ部
15:流出部
15a:流出空間
15b:流出管部
15c:環状フランジ部
16:二重管部
16a:環状処理空間
16b:上流側環状フランジ部
16c:下流側環状フランジ部
16d:連結部
20:紫外線LED
21:LED素子
22:LED基板
23:ガラス被覆材
30:内管部
30a:内管空間
31:開放口
32:底板部
33:開放端の先端
34:開放端の基端
40:外管部
50:信号線
60:ガイド部
60a:突出部
60a1:頂部
70:凸部
71:第1発光部
72:第2発光部
73:第3発光部
74:第4発光部
75:支持部
75a:上流支持部
75b:下流支持部
76:カバー部材
100a~100k:水処理装置
200:流路入口部材
300:流路出口部材
400:二重管部材
500:二重管増設部材
516a:増設環状処理空間
516b:上流側環状フランジ部
516c:下流側環状フランジ部
530:増設内管部
530a:増設内管空間
540:増設外管部
A:送液方向
B:内管部の径方向
C:内管部の軸方向
D:本体部の外周面の法線方向
L:内管空間の軸方向長さ
AR1、AR2:被処理水の流れ
GA:内管部の紫外線LEDの保持領域
ID1:外管部の内径
ID2:内管部の内径