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特許7381380包装材、包装面状物品、包装吸収性物品、及び個装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】包装材、包装面状物品、包装吸収性物品、及び個装方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/15 358
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020058095
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021153917
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷澤 敦子
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-130215(JP,A)
【文献】特開2005-270512(JP,A)
【文献】特開2002-362625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状物品を内三つ折りにして包装するための包装材であって、
前記包装材は、前記面状物品が固定される位置よりも、所定方向の一端側が長く延伸しており
前記包装材は、包装状態において、内三つ折りにした表面の、下側に折り込まれる折り込み面が延伸して、上側に2回折り返すようZ折りにしており、
前記包装状態では、最上層の前記所定方向において、前記内三つ折りの表面の端部と、前記Z折りの表面の端部とが、重なり合わずに接触し、
前記包装材の前記所定方向と直交する幅方向の両縁部が、圧着によってサイドシールされる
包装材。
【請求項2】
前記面状物品の前記所定方向の長さは、前記内三つ折りを構成する領域の合計より短く、
前記面状物品は、前記内三つ折りを構成する領域からはみ出さないよう固定されている
請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、
前記第2領域が、最下層であって内三つ折りの中央面となり、
前記第3領域が、前記第2領域の前後方向の後端で内側に折り畳まれることで、三つ折りの折り込み面となるとともに、Z折りの背面となり、
前記第4領域が、前記第3領域の前端で外側に折り返して前記第3領域に重なってZ折りの内側面となり、
前記第5領域が前記第4領域の後端で外側に折り返して前記第4領域に部分的に重なったZ折りの表面となり、
前記第1領域は、最下層である前記第2領域の前端から内側に折り畳んだ三つ折りの表面となり、
最上層において、前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端は、重なり合わずに接触する
請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
前記前後方向において、
前記第3領域は、前記第2領域の長さに対して前記面状物品の厚みの分だけ短く、
前記第4領域は、前記第3領域と略等しい長さである
請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
当該包装材は、紙である
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材と、
当該包装材によって包装された面状物品と、を備えた
包装面状物品。
【請求項7】
前記包装材の内側面に背面が固定される剥離シートを備え、
前記面状物品は、背面に粘着部を有しており、
前記剥離シートの表面は、前記面状物品の粘着部に剥離可能に接着される
請求項6に記載の包装面状物品。
【請求項8】
前記最上層において、前記Z折りの表面の自由端と、向かいあう前記内三つ折りの自由端とを連結するように、上側から貼着される止着テープを備え、
前記止着テープは、前記内三つ折りの表面側が強シール部であり、前記Z折りの表面側が使用時に剥離される再止着可能な弱シール部である
請求項6又は7に記載の包装面状物品。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の前記面状物品は、吸収性物品であり、
前記吸収性物品は、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備え、前記所定方向に長い細長形状である
包装吸収性物品。
【請求項10】
包装材を用いて面状物品を包装する個装方法であって、
前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、
前記包装材の、前記第4領域と前記第5領域の境界を内側に折って谷折りの癖付けをする工程と、
前記包装材の、前記第4領域と前記第3領域の境界を外側に折って山折りの癖付けをする工程と、
癖付けした包装材を展開する工程と、
前記面状物品を、前記包装材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域の範囲内で、内側面に固定する固定工程と、
前記包装材の前記第3領域を、前記第2領域との境界で、前記面状物品とともに内側に折り畳むことで、折り癖により前記第4領域が前記第3領域の上に載置される工程と、
前記第5領域を前記第4領域の上に折り返し、前記第5領域をその位置に押さえる工程と、
前記第1領域を、前記第2領域との境界で内側に折ることで、前記第1領域を、前記第4領域の上に重ねるように、前記面状物品とともに内側に折り畳む工程と、
前記第1領域を上から押さえながら、位置が押さえられた前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端とが、重なり合わずに接触した状態で連結するように、上側から止着テープを貼り付けるテープ貼り付け工程と、
前記包装材の前記前後方向と直交する幅方向の両縁部に、圧力をかけてサイドシールする縁部封止工程と、を有する
個装方法。
【請求項11】
包装材を用いて面状物品を包装する個装方法であって、
前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、
前記包装材の、前記第4領域と前記第5領域の境界を内側に折って谷折りの癖付けをする工程と、
前記包装材の、前記第4領域と前記第3領域の境界を外側に折って山折りの癖付けをする工程と、
癖付けした包装材を展開する工程と、
前記面状物品を、前記包装材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域の範囲内で、内側面に固定する固定工程と、
前記包装材の前記第3領域を、前記第2領域との境界で、前記面状物品とともに内側に折り畳むことで、折り癖により前記第4領域が前記第3領域の上に載置され、前記第5領域が前記第4領域の上に部分的に載置される工程と、
前記第1領域を、前記第2領域との境界で内側に折ることで、前記第1領域を、前記第4領域の上に重ねるように、前記面状物品とともに内側に折り畳む工程と、
前記第5領域と前記第1領域を上から押さえながら、前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端とが、重なり合わずに接触した状態で連結するように、上側から止着テープを貼り付けるテープ貼り付け工程と、
前記包装材の前記前後方向と直交する幅方向の両縁部に、圧力をかけてサイドシールする縁部封止工程と、を有する
個装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、包装面状物品、包装吸収性物品、及びその個装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッドといった吸収性物品等の面状物品は、包装シートによって包装された状態で市場に提供されており、この包装シートは、プラスチック等の樹脂で形成されることが一般的である。
【0003】
このような、吸収性物品を包む包装シートの幅方向の両端は、例えば上下のローラで押圧して凹凸を形成する圧着によってシーリングされている。包装シートが樹脂によって形成されている場合、圧着の際に、熱をかけることにより樹脂が溶解して、内側面同士が部分的に溶着するため、簡単に接着することができる。
【0004】
近年、環境への影響を考慮して、これらの吸収性物品の包装材として、樹脂に変えて、紙や不織布で形成することが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
ここで、一般的には吸収性物品を包装する際、図1図2に示すように、包装シート8上に面状物品7を載置し、包装シート8の一端を含む領域と他端を含む領域とが上下に重なるように内三つ折りに折り畳んで面状物品を包み、止着テープ9で止められているものが多い。内三つ折りの構成では、図2に示すように、包装シート8が2枚重なる部分と、3枚重なる部分とが存在する。
【0006】
しかし、包装材が紙の場合に、図2の一般的な3つ折りの包装シート8の折り方を適用して、幅方向の両端部に、樹脂と同様にサイドシール81,82のために圧力をかけた場合、重なり枚数が2枚で厚みが薄い部分に上下のローラと包装紙との間に隙間が発生する。ここで、紙で包装材を構成する場合は、サイドシールの圧着時に熱をかけても紙は溶解せず、材質同士の溶着が働かないため、樹脂よりも強い力で、全ての領域で均等に圧力をかける必要があるが、隙間があるとその分の圧着が弱くなりそのシールされずに口開きしてしまう可能性があった。
【0007】
そこで、特許文献2では、包装材に紙にしたことで弱くなる縁部の接着を解消するため、縁部を、接着剤で封止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-53170号公報
【文献】特開2003-93437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2のように、縁部を接着剤で封止するためには、従来の包装シートを製造する設備とは別に、接着のための設備を設ければならず、設備投資に多大なコストが必要となった。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、樹脂以外の材質で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる、包装材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の形態は、面状物品を内三つ折りにして包装するための包装材であって、前記包装材は、前記面状物品が固定される位置よりも、所定方向の一端側が長く延伸しており、前記包装材は、包装状態において、内三つ折りにした表面に対して、下側に折り込まれる折り込み面が延伸して、上側に2回折り返すようZ折りにしており、前記包装状態では、最上層の所定方向において、前記内三つ折りの表面の端部と、前記Z折りの表面の端部とが、重なり合わずに接触し、前記包装材の前記所定方向と直交する幅方向の両縁部が、圧着によってサイドシールされる。ここで、Z折りとは、吸収性物品を挟まずに、上側に2回折り返す折り方である。
【0012】
上記第一の形態によれば、包装材の所定方向の一端側を延長し、内三つ折りに加えてZ折りを設けることで、重なる枚数が同じになるように折り畳むことが可能になり、これにより重なりの厚みが均等になる。すなわち厚さが薄い部分がなくなるため、包装材を樹脂以外で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる。さらに、Z折りのための延伸部が長いため、使用後の本発明の三つ折りの吸収性物品(例えば、昼用のナプキン)よりも大きい吸収性物品(例えば、夜用のナプキン)を包む際、Z折りの部分を伸長させる使用することで、使用者は手を汚さずに、使用後の、大きい吸収性物品を廃棄することができる。
【0013】
本発明の第二の形態では、包装材は、前記面状物品の前記所定方向の長さは、前記内三つ折りを構成する領域の合計より短く、前記面状物品は、前記内三つ折りを構成する領域からはみ出さないよう固定されている。
【0014】
上記第二の形態によれば、前記面状物品は、内三つ折りの領域からはみ出さないよう固定されている。このため、意図せずに止着テープが剥がれてしまっても、吸収性物品は露出しないため、衛生的に保つことができる。
【0015】
本発明の第三の形態では、前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、前記第2領域が、最下層であって内三つ折りの中央面となり、前記第3領域が、前記第2領域の前後方向の後端で内側に折り畳まれることで、三つ折りの折り込み面となるとともに、Z折りの背面となり、前記第4領域が、前記第3領域の前端で外側に折り返して第3領域に重なってZ折りの内側面となり、前記第5領域が前記第4領域の後端で外側に折り返して前記第4領域に部分的に重なったZ折りの表面となり、前記第1領域は、最下層である前記第2領域の前端から内側に折り畳んだ三つ折りの表面となり、最上層において、前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端は、重なり合わずに接触する。
【0016】
上記第三の形態によれば、包装材の後端側を延長し、内三つ折りに加えてZ折りを設けることで、重なる枚数が4枚になるように折り畳むことが可能になり、これにより重なりの厚みが均等になる。すなわち厚さが薄い部分がなくなるため、包装材を樹脂以外で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる。
【0017】
本発明の第四の形態では、包装材は、前記前後方向において、前記第3領域は、前記第2領域の長さに対して前記面状物品の厚みの分だけ短く、前記第4領域は、前記第3領域と略等しい長さである。
【0018】
上記第四の形態によれば、前記折り畳み領域は、前記最下面領域の長さに対して前記面状物品の厚みの分だけ短いことで、折り目からずれることなく、折りたたむことができる。
【0019】
本発明の第五の形態では、当該包装材は、紙である。
【0020】
上記第五の形態によれば、当該包装材は、紙であるため、樹脂製の包装シートとは異なり、破棄されても、海洋を漂う海洋プラスチックになったり、土の上にずっと残ったりせずに、いずれ分解する、環境にやさしい素材にすることができる。
【0021】
本発明の第六の形態は、第一から第五のいずれかの形態の包装材と、当該包装材によって包装された面状物品と、を備えた包装面状物品である。
【0022】
上記第六の形態によれば、上記第一から第五のいずれかの形態と同様の効果を奏する包装面状物品を提供することができる。
【0023】
本発明の第七の形態では、包装面状物品は、前記包装材の内側面に背面が固定される剥離シートを備え、前記面状物品は、背面に粘着部を有しており、前記剥離シートの表面は、前記面状物品の粘着部に剥離可能に接着される。
【0024】
上記第七の形態によれば、包装吸収性物品の開封時には、包装材の展開に伴い、吸収性物品を包装材に追随して展開することができる。
【0025】
本発明の第八の形態では、包装面状物品は、前記最上層において、前記Z折りの表面の自由端と、向かいあう前記内三つ折りの自由端を連結するように、上側から貼着される止着テープを備え、前記止着テープは、前記折り畳み片側が強シール部であり、前記折り返し片側が使用時に剥離される再止着可能な弱シール部である。
【0026】
上記第八の形態によれば、止着テープを貼着することで、最上面の端部を位置決めしながら連結することができる。さらに、開封して包装材を展開した後、弱シール部は剥れるが、強シール部のシールは剥がれず維持される。これにより、止着テープを、使用後の吸収性物品1を包装した際の押さえ部材として再利用することができる。
【0027】
本発明の第九の形態は、第六から第八のいずれかの形態の面状物品は、吸収性物品であり、前記吸収性物品は、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備え、前記前後方向に長い細長形状である、包装吸収性物品である。
【0028】
上記第九の形態によれば、上記第六から第八の形態のいずれかと同様の効果を奏する包装吸収性物品を提供することができる。
【0029】
本発明の第十の形態では、包装材を用いて面状物品を包装する個装方法であって、前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、前記包装材の、前記第4領域と前記第5領域の境界を内側に折って谷折りの癖付けをする工程と、前記包装材の、前記第4領域と前記第3領域の境界を外側に折って山折りの癖付けをする工程と、癖付けした包装材を展開する工程と、前記面状物品を、前記包装材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域の範囲内で、内側面に固定する固定工程と、前記包装材の前記第3領域を、前記第2領域との境界で、前記面状物品とともに内側に折り畳むことで、折り癖により前記第4領域が前記第3領域の上に載置される工程と、前記第5領域を前記第4領域の上に折り返し、前記第5領域をその位置に押さえる工程と、前記第1領域を、前記第2領域との境界で内側に折ることで、前記第1領域を、前記第4領域の上に重ねるように、前記面状物品とともに内側に折り畳む工程と、前記第1領域を上から押さえながら、位置が押さえられた前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端とが、重なり合わずに接触した状態で連結するように、上側から止着テープを貼り付けるテープ貼り付け工程と、前記包装材の前記前後方向と直交する幅方向の両縁部に、圧力をかけてサイドシールする縁部封止工程と、を有する。
【0030】
上記第十の形態によれば、包装材を樹脂以外で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる。さらに、第5領域が短い場合に、吸収性物品を挟まない折りについて予め癖付けしておくことで、吸収性物品に折りの悪影響を与えずに、使用前に開封の力が働きにくくすることができる。
【0031】
本発明の第十一の形態では、包装材を用いて面状物品を包装する個装方法であって、前記包装材は、前後方向の前側から、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、第5領域を、折り目を境界として、有しており、前記包装材の、前記第4領域と前記第5領域の境界を内側に折って谷折りの癖付けをする工程と、前記包装材の、前記第4領域と前記第3領域の境界を外側に折って山折りの癖付けをする工程と、癖付けした包装材を展開する工程と、前記面状物品を、前記包装材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域の範囲内で、内側面に固定する固定工程と、前記包装材の前記第3領域を、前記第2領域との境界で、前記面状物品とともに内側に折り畳むことで、折り癖により前記第4領域が前記第3領域の上に載置され、前記第5領域が前記第4領域の上に部分的に載置される工程と、前記第1領域を、前記第2領域との境界で内側に折ることで、前記第1領域を、前記第4領域の上に重ねるように、前記面状物品とともに内側に折り畳む工程と、前記第5領域と前記第1領域を上から押さえながら、前記第5領域の前端自由端と、向かいあう前記第1領域の後端自由端とが、重なり合わずに接触した状態で連結するように、上側から止着テープを貼り付けるテープ貼り付け工程と、前記包装材の前記前後方向と直交する幅方向の両縁部に、圧力をかけてサイドシールする縁部封止工程と、を有する。
【0032】
上記第十一の形態によれば、包装材を樹脂以外で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる。さらに、第5領域が長い場合に、吸収性物品を挟まない折りについて予め癖付けしておくことで、吸収性物品に折りの悪影響を与えずに、使用前に開封の力が働きにくくすることができる。
【発明の効果】
【0033】
一態様によれば、包装材において、樹脂以外の材質で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、かつ両縁部における口開きを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来例に係る、一般的な包装吸収性物品の全体斜視図。
図2】従来例に係る、一般的な包装吸収性物品の断面模式図。
図3】本発明の一実施形態に係る包装吸収性物品を展開した図。
図4】包装吸収性物品が折り畳まれた状態を示す断面模式図。
図5】本発明の一実施形態に係る包装吸収性物品の全体斜視図。
図6】本発明の包装材による、吸収性物品の包装方法を示すフローチャート。
図7図6のS4での吸収性物品の包装材への貼り付け位置を説明する図。
図8図6のS5、S6での包装材の折り畳みを説明する図。
図9図6のS7での止着シールの貼り付けを説明する図。
図10図6のS8での幅方向両端部の圧着の説明図。
図11】使用時の包装材の摘み位置と、引き伸ばしの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0036】
本形態による包装材は、面状物品を包装して、収容するためのシートである。本形態による包装材は、面状物品として生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品を包装する非樹脂製の包装材として、好適に用いることができる。よって、以下においては、主として、吸収性物品を包装する包装材、及び包装吸収性物品について説明する。
【0037】
<全体構成>
図3は、本発明の実施形態に係る包装吸収性物品100を展開した状態を示す図でもある。
【0038】
包装吸収性物品100は、吸収性物品1と、包装材2と、止着テープ3と、を有している。下記の例では、包装材2は、長方形の細長形状を有しており、長手側を前後方向L、短手側を幅方向Wとする。
【0039】
吸収性物品1は、表面シート11と、裏面シート12(図4参照)と、吸収体13を備えている。表面シート11は、透液性のシートであり、裏面12シートは不透液性のシートである。吸収体13は、これらの両シート11,12間に挟まれて、点線で示す範囲内に設けられており、縁部付近は表面シート11と裏面シート12とが直接貼り合わされている。
【0040】
表面シート11は、経血、おりもの、尿等の体液を速やかに透過させる透液性のシートである。表面シート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、融点の異なる合成繊維を組み合わせた複合繊維を用いることもできる。
【0041】
裏面シート12(図4参照)としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0042】
表面シート11と裏面シート12との間に介在される吸収体13は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。また、吸収体13には合成繊維を混合してもよい。
【0043】
また、吸収性物品1には、表面シート11側から裏面シート12側へと窪む圧搾溝(フィットエンボスともいう)14が設けられていてもよい。
【0044】
吸収性物品1の厚みは、1~10mmの範囲内とすることができ、1~4mmの範囲であると好ましい。この厚みは吸収性物品1の全面にわたって均一でなくともよく、吸収体13の厚みを変えることで、吸収性物品1の前後方向Lの中央部分、また臀部の溝に対応する部分等を膨出させた構造とすることもできる。
【0045】
図3の形態では、吸収性物品1は、上面視で、全体として前後方向Lに長い細長形状を有しているが、吸収性物品1の形状は、図示の細長形状に限られず、前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wとがほぼ同じ長さである形状であってもよい。
【0046】
また、図示の形態では、吸収性物品1は、長手方向(前後方向L)に沿った中心線、及び幅方向Wに沿った中心線のいずれに対しても対称の形状を有しているが、前後方向L又は幅方向Wのいずれかに対して非対称の形状であってもよい。その場合、吸収性物品1を包装材2に配置する場合の長手方向及び幅方向の向きは限定されない。
【0047】
あるいは、吸収性物品1において、前後方向の略中央部から幅方向の外側に延伸する、羽根部材を設けてもよい。
【0048】
図3を参照して、包装材2は、前後方向の前側から、折り線で区切られる、第1領域21、第2領域22、第3領域23、第4領域24、及び第5領域25を有している。
【0049】
図3のように展開した状態での前後方向における、第1領域21の前端は、自由端の一端26であり、第5領域25の後端は、自由端の他端27である。
【0050】
貼り付け状態の内側からみて、第1領域21と第2領域22の境界は谷折り線V3であり、第2領域22と第3領域23の境界は谷折り線V2であり、第3領域23と第4領域24の境界は山折り線Mであり、第4領域24と第5領域25の境界は谷折り線V1である。
【0051】
本発明の包装材2は、吸収性物品1が固定される位置よりも、後端側が長く延伸している。包装材2において、吸収性物品1が固定される位置よりも後端側を延伸部E、固定された吸収性物品1の後端よりも前端側を、載置部Pとする。
【0052】
本発明では、個装包資材である包装材2としては、例えば、紙や、樹脂を用いない不織布を用いることができる。
【0053】
包装材2に紙を用いることで、廃棄の際の環境負担が少なく、独特の風合い、例えば天然素材の優しい印象の見た目及び手触りを付与できるという点で好ましい。なお、本明細書において、紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着剤で膠着させて平板状にしたものを指すことができる。特に、植物繊維(パルプ)を主原料としたもの、例えば含有繊維のうち植物繊維が50%以上であるもの、好ましくは80%以上であるものを指すことができる。紙に含まれるパルプの種類としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプが含まれていてよく、これらは、機械パルプ、化学パルプのいずれであってもよい。紙には、添加剤が添加されていてもよい。
【0054】
さらに、包装材2に用いられる具体的な紙の例としては、洋紙、和紙、加工紙、合成紙等の様々な種類の紙を挙げることができる。また、従来他の用途で使用されている紙、例えば、新聞用紙、印刷用紙(上質紙を含む)、筆記用紙、図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等と呼ばれる紙を未加工で又は加工して用いることもできる。
【0055】
包装材2の材料として紙を用いた場合には、吸収性物品を包装する際に折り畳みやすく、包装された後の状態を維持しやすくするために、包装材2は、目付の低い薄葉紙とすることができる。薄葉紙は、薄口模造紙、インディアンペーパー、ライスペーパー、グラシン紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ろ紙等であってもよい。また、包装材2は、抄紙後に、片面又は両面に加工が施されたものであってもよい。上記加工とは、例えば、クレープ加工、エンボス加工、カレンダー加工、撥水加工、スリット加工、プライ加工、印刷加工等が挙げられる。クレープ加工やエンボス加工を行うことにより、強度及び柔軟性をともに向上させることができる。さらに、粘着テープとの結合力を低減させるための結合力低減処理(後に詳述)も当該加工に含まれる。
【0056】
包装材2の材料として紙を用いた場合、包装材2の目付は、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以下、20g/m2以下、11g/m2以下、8g/m2以下とすることができる。また、包装材2の目付の下限は、包装材2として機能できる限りは特に限定されないが、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上とすることができる。また、紙製の包装材2の厚みは、好ましくは40~200μm、より好ましくは100~200μmとすることができる。
【0057】
包装材2に樹脂を用いない不織布を用いる場合は、不織布は、例えば、綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて構成されることができる。
【0058】
図3の例では、包装材2は、長方形の細長形状の例を示しているが、包装材2の形状は細長形状に限られず、包装材2の前後方向Lの長さと、この前後方向Lに直交する幅方向Wの長さとがほぼ同じである形状であってもよい。また、包装材2は、前後方向Lの長さが10~30cm、好ましくは15~25cmであり、幅方向Wの長さが3~18cm、好ましくは10~14cmである寸法を有していてよい。
【0059】
止着テープ(止着シール、パウチテープともいう)3は、包装材2の一端26に貼り付けられている。包装の際には、止着テープ3が、包装材2の一端26と他端27とを連結する。
【0060】
吸収性物品1には、その裏面シート12側に、吸収性物品1の装着時にショーツ等に吸収性物品1を固定させるためのズレ止め材が設けられていてよい。ズレ止め材は、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤等を含む粘着性の層、或いはゴム等を含む非粘着性の層であってよい。
【0061】
裏面シート12に粘着性のズレ止め材が設けられている場合、吸収性物品1を、図3に示すように裏面シート12側が包装材2を向くように包装材2上に載置することで、吸収性物品1と包装材2とを粘着させる(剥離可能に接着させる)ことができる。図示のように、包装材2を吸収性物品1とともに折り畳んで吸収性物品1を包装する形態においては、吸収性物品1と包装材2とが粘着されていれば、包装吸収性物品100の開封時には、包装材2の展開に伴い、吸収性物品1を包装材2に追随して展開することができる。
【0062】
吸収性物品1と包装材2とが粘着されている場合、包装材2の、少なくとも吸収性物品1のズレ止め材に対応する領域に離形処理を施しておくことができる。これにより、開封して包装材2を広げた後、吸収性物品1を包装材2から容易に剥がして取り出すことができる。
【0063】
また、吸収性物品1と包装材2との間に、少なくとも吸収性物品1のズレ止め材を覆って保護するための剥離シート4(図7参照)を設けてもよい。剥離シート4を設ける場合については、図5とともに後述する。
【0064】
図示の形態では、吸収性物品1は、裏面シート12側が包装材2を向くように包装材2上に載置されているが、表面シート11側が包装材2を向くように包装材2上に載置されていてもよい。この場合、展開状態では、裏面シート12が露出するため、裏面側のズレ止め材と剥離可能に粘着する剥離シートで裏面シート12側に覆うとともに、剥離シートの前端又は後端を、包装材2の第1領域21又は第3領域23に貼り付けることで、一端が固定された剥離シートと包装材2とで挟むように、吸収性物品1を設ける。
【0065】
<折り畳み構成>
ここで、図4に、包装吸収性物品100が折り畳まれた状態を示す断面模式図を示す。図5に、包装吸収性物品100の全体斜視図を示す。
【0066】
図4に示すように、包装状態では、包装材2が吸収性物品1を包装するために、吸収性物品1を内三つ折りにして、かつ包装材2がほとんどの領域で4枚重なるように折られている。
【0067】
詳しくは、包装材2は、包装状態において、内三つ折り(巻き三つ折りともいう)にした表面に対して、下側に折り込まれる折り込み面(中巻き面ともいう)である第3領域23が、図2の一般的な構成よりも延伸して、上側に2回折り返すようZ折り(外三つ折り、蛇腹折りともいう)に折った形状をしている。
【0068】
包装材2の載置部Pの部分が、吸収性物品1とともに内側に折られる内三つ折りとなり、延伸部Eの部分が、吸収性物品1を伴わずに折り返すZ折りとなる。
【0069】
そして、包装した状態では、最上層の前後方向において、内三つ折りの表面である第1領域21の端部(一端26)と、Z折りの表面である第5領域25の端部(他端27)とが、重なり合わずに接触している。
【0070】
ここで、重なり合わずに接触しているとは、両端が重なり合うことはないが、端部26,27同士が完全に接触している必要はない。端部26,27同士は圧着の際に影響がない程度に、わずかに隙間があいた、近接状態であってもよい。また、圧着を行う幅方向の両端部(両縁部)において、接触している又は影響がない程度のわずかな隙間が空いた状態であれば、幅方向の中央側では、圧着に影響がある程度の隙間が空いていてもよい。
【0071】
詳しくは、第2領域22は最下層であり、内三つ折りの中央面(背面)となる。
【0072】
第3領域23は、最下層の第2領域22の前後方向の後端で、内側に折り畳まれることで、下から2番目の層を構成する。第3領域23は、三つ折りの折り込み面となるとともに、Z折りの背面となる。
【0073】
第4領域24は、第3領域23の前端で外側に折り返して、第3領域23上に重なって、下から3番目の層を構成する。第4領域24は、Z折りの内側面となる。
【0074】
第5領域25は、第4領域24の後端で、外側に折り返した部分であり、Z折りの表面となる。包装材2の他端27は、折り畳み時は、第5領域25の前端側の自由端となる。
【0075】
第1領域21は、最下層である第2領域22の前端から内側に折り畳んだ部分であり、三つ折りの表面となる。包装材2の一端26は、折り畳み時は、第1領域21の後端側の自由端となる。
【0076】
第5領域25及び第1領域21が、下から4番目の層、即ち、最上層を構成する。そして、図5のような包装状態では、最上層において、Z折りの表面である第5領域25の前端自由端(他端27)と、向かいあう、内三つ折りの表面である第1領域21の後端自由端(一端26)は、重なり合わずに接触するよう、止着テープ3によって止められることで連結される。
【0077】
ここで、止着テープ3は、包装材2の第1領域21の一端26側が、強シール部31であり、第5領域25の他端27側が、弱シール部32である。
【0078】
強シール部31及び弱シール部32は接着剤等によって形成することができる。
【0079】
強シール部31は、通常の開封作業では剥離不能なシールであり、弱シール部32は、通常の開封作業で剥離可能なシールである。
【0080】
開封して包装材2を展開した後、弱シール部32は剥れるが、強シール部31のシールは剥がれず維持される。これにより、止着テープ3を、使用後の吸収性物品1を、包装材2によって包装する際の押さえ部材として再利用することができる。
【0081】
さらに、図5に示すように、折り畳み後、止着テープ3によって仮止めされた包装材2の幅方向の両端は押圧によって封止されることで、サイドシール部28,29となる。サイドシール部28,29は上下のローラで押圧して凹凸を形成する圧着によってシーリングされる。サイドシール部28,29の詳細は、図10とともに後述する。
【0082】
ここで、図3図4に示すように、吸収性物品1の前後方向の長さは、第1領域21、第2領域22、及び第3領域23の合計より短く、吸収性物品1は、第1領域21、第2領域22、及び第3領域23の内側面に固定されていることで、内三つ折りの中に納まる。
【0083】
そして、図4に示すように、包装材2の前後方向において、内三つ折りの折り込み面とZ折りの背面を兼ねる第3領域23は、第2領域22の長さに対して、吸収性物品1の厚みT1の分だけ短い。そして、Z折りの内側面である第4領域24は、Z折りの背面である第3領域23と略等しい長さである。
【0084】
すなわち、図3のように包装材2のそれぞれの領域21~25の長さLとすると、L22>L23≒L24>L21、L25となる。
【0085】
これにより、折り線の部分でダブつくことなく、折り畳み(内三つ折り)、及び折り返し(Z折り)ができるため、包装状態における包装材2の厚さをより均一にすることができる。したがって、幅方向両端部に対して全域で均一に圧力をかけて、サイドシール部28,29の均質な封止が可能となる。
【0086】
ここで、図5のように包装した状態において、最下面である第2領域22と、下から3番目の第4領域24は、上側が内側面である。一方、下から2番目の第3領域23と、最上面である第1領域21、第5領域25は、上側が外側面である。
【0087】
例えば、剥離シート4を設けない場合は、包装材2の内側面を剥離しやすい剥離処理面とすることがあるが、最も上面の第1領域21、第5領域25は、非剥離処理面である外側面が上側に来ているため、止着テープ3の接着性には影響しない。
【0088】
図4に示すように、包装材2において、吸収性物品1と一緒に畳む、内三つ折りの折り線V2、V3と比較して、吸収性物品1を挟まないZ折りの折り線V1、Mの折り畳み角度は急である。
【0089】
ここで、包装状態において、第4領域24は上から2層目、第5領域25は最上層に位置する。そのため、折り線V1、Mの折り方が弱く、開く方向の圧力が発生すると、使用前の状態でも、包装材2が展開するような力がかかってしまう。仮に、折り線V1、Mによって開封の力がかかった状態で、アクシデントで止着テープ3が外れてしまうと開封の力が作用して開封することもあるため、開封の力が働きにくくするために、強く折られていると好ましい。
【0090】
しかし、吸収性物品1を包装材2に固定した後に折り線の折りを強くするために強い力をかけると、吸収性物品1にも強い折れ癖がついてしまう。吸収性物品1に強い折れ癖がついていると、使用時に折れ癖の場所に集中的に液体がたまりやすくたまり過ぎによる液モレが発生する、あるいは、肌との接着で空間ができてしまい液のつたいモレが発生するなどの悪影響が及ぶおそれがある。
【0091】
そのため、吸収性物品1が載置されない延伸領域Eでの折り線V1、Mは、吸収性物品1が固定される前に、予め折り目をつけておく、即ち、癖付けを行っておくと好ましい。
【0092】
その癖付けを含む、包装の手順について、下記説明する。
【0093】
<包装工程>
ここで、図6図10を用いて本発明の包装工程を説明する。
図6は、本発明の包装材2による、吸収性物品1の包装方法を示すフローチャートである。
【0094】
ステップS1で、包装材2の第4領域24と第5領域25の境界を内側に折って谷折りV1の癖付けをする。
【0095】
ステップS2で、包装材2の、第4領域24と第3領域23の境界を外側に折って山折りMの癖付けをする。なお、ステップS1とS2の順序は逆であってもよい。吸収性物品1を挟まないZ折り部となる折り線V1及び山折り線Mについて、S1、S2で予め強く折って癖付けおくと、吸収性物品1に折りの悪影響を与えずに、使用前の開封の力を働きにくくすることができる。
【0096】
ステップS3で、折り目を付けた(癖付けした)、包装材2を展開する。
【0097】
ステップS4で、吸収性物品1を、包装材の第1領域21、第2領域22、及び第3領域23の範囲内で、内側面に固定する。図7に、S4での吸収性物品1の包装材2への貼り付けを説明する図を示す。
【0098】
図7に示す、吸収性物品1の前後方向の長さは、内三つ折り部となる、第1領域21、第2領域22、及び第3領域23の合計より短い。
【0099】
そして、吸収性物品1は、第1領域21、第2領域22、及び第3領域23の内側面に固定されている。吸収性物品1は、内三つ折りを構成する、第1領域21、第2領域22、及び第3領域23からはみ出さないよう配置される。
【0100】
この構成によって、止着テープ3をはがした後は、まず、上から2番目の第4領域24が露出し、吸収性物品1は露出しない。そのため、例えば、使用者のポーチ内に包装吸収性物品100を密集して詰め込んでいた場合に振動がかかるなど、意図せずに止着テープ3が剥がれてしまっても、吸収性物品1は露出しないため、衛生的に保つことができる。
【0101】
また、図7に示すように、吸収性物品1と、包装材2との間に、剥離シート4を設けてもよい。剥離シート4は、包装材2の内側面に背面が固定される。剥離シート4と包装材2とを剥離不能に接着させておく。
【0102】
吸収性物品1は、背面に粘着部の(ズレ止め材)を有しており、剥離シートの表面は、吸収性物品1の粘着部に剥離可能に接着される。
【0103】
なお、図7では、内側に剥離シートを設ける例を設けたが、剥離シートをも抜けず、包装材2に、剥離処理剤を塗布する仕様でもよい。剥離処理剤を塗布する場合、包装材2が紙の場合に、防水されていないと、剥離処理剤が裏抜けする可能性があるため、その場合は、包装材2に先に目止め剤を塗布する仕様とする。
【0104】
ステップS5で、図8(a)に示すように、包装材2の第3領域23を、第2領域22との境界で、吸収性物品1とともに内側に折り畳む。この際、第5領域25が短い場合は、第3領域23を折りたたむと、S2での折り癖により、第4領域24が第3領域の上に乗り、第5領域25は第4領域24の外側に伸び出す状態となる(図8(b)参照)。
【0105】
そして、ステップS6で、第5領域25を、第4領域24の上にのせるように、吸収性物品1を伴わずに、折り返し、その位置を維持するように力の印加を続ける。第5領域25の位置する維持する部材は、例えば、上から領域25、24、23、22を押圧するローラである。
【0106】
なお、第5領域25が短い場合は、S5では、図8(b)のように、第5領域25は開いた状態になるが、第5領域25が長い場合は、S6を経なくても、S5で、第5領域25は第4領域24の上に乗る。即ち、第5領域25が長い場合は、第3領域23を折りたたむと、S1、S2でのZ折りの折り癖により、第4領域24が第3領域の上に乗り、第5領域25が第4領域24の一部の上に乗る状態となり(図8(c)参照)、S5と、S6の折りの部分を1回の折り工程で実現できる。
【0107】
ステップS7で、第1領域21を、第2領域22との境界で内側に折ることで、第1領域を、第4領域24の上に重ねるように、吸収性物品1とともに内側に折り畳む。
【0108】
ステップS8で、図9に示すように、第1領域21を上から押さえながら、S6から引き続き押さえられている第5領域25の前端自由端である他端27と、向かいあう第1領域21の後端自由端である一端26とが、重なり合わずに接触した状態で連結するように、上側から止着テープ3を貼り付ける。止着テープ3を貼着することで、最上面の端部26,27を位置決めしながら連結することができる。
【0109】
ここで、例えば、第1領域21の後端自由端となる一端26に、止着テープ3を貼り付けておくと、ステップS6とステップS7とを一連の動きで、第1領域21の折り畳みながらの流れの中で、止着テープ3を貼り付けることができるため、より好適である。
【0110】
そして、ステップS9で、包装材2の前後方向と直交する幅方向の両縁部に、圧力をかけてサイドシール、即ち、縁部封止をする。
【0111】
包装材2の前後方向と直交する幅方向の両縁部が、圧着によってサイドシールされることで、サイドシール部28,29となる。図10に、S9の圧着の説明図を示す。図10に示すように、外周面において、軸方向に伸びる凸部52,56を有する上下のローラ51,55で押圧し、凹凸を形成する圧着によってシーリングされている。
【0112】
本発明では、包装材の後端側を延長し、内三つ折りに加えてZ折りを設けることで、重なる枚数が同じになるように折り畳むことが可能になり、これにより重なりの厚みが均等になる。すなわち厚さが薄い部分がなくなるため、ローラ51,55から圧力をかけてサイドシール部28,29を圧着する(エンドシールする)際、均等にエンボスの圧をかけることができる。
【0113】
また従来は、図2のように、2枚又は3枚の重なりであったのに対して、本発明の構成では、ごく一部を除き、実質4枚の重なりになる。そのため、エンボスによる圧着に対しては厚みが足りなかった薄い資材(例えば、クレープ紙)も使用することが可能になる。クレープ紙のような伸びやすい資材であれば、重なる枚数が多くてもエンボスに合わせて紙が変形することでシールができる。
【0114】
これによって、厚さが薄い部分で発生するサイドシール部28,29の口開きを防止することができる。この封止により、個装の包装材を紙で構成しても、密封性を高め吸収性物品1を衛生的に保つことができる。
【0115】
このように、本発明では、包装材の厚みをそろえることができるため、包装材を樹脂以外で形成しても、樹脂と同様の設備で両縁部の封止が実施でき、この際、両縁部における口開きを抑止することができる。
【0116】
さらに、包装材を、水に流せる紙や、生分解性の紙を用いることで、樹脂製の包装シートとは異なり、破棄されても、海洋を漂う海洋プラスチックになったり、土の上にずっと残ったりせずに、いずれ分解する、環境にやさしい素材にすることができる。
【0117】
そして、S10で、包装吸収性物品100を、1つずつカットする。この際、図10に示すように、それぞれの包装吸収性物品100の幅方向の両端はサイドシール部28,29となる。この複数の包装吸収性物品100が連なった状態において、隣接するサイドシール部28,29の幅方向の中央を、前後方向に切断することで、収容される吸収性物品1が切断されることなく、包装吸収性物品100を1つずつ切り離すことができる。
【0118】
<開封時のつまみ位置>
ここで、図11に、使用時に、包装材2を展開する際の摘み位置と、引き伸ばしの説明図を示す。
【0119】
上述のように、最上層である第5領域25と上から2番目の層である第4領域24の境界の折り返しである谷折り線V1は、予め強く癖付けされてるため、使用時に止着テープ3の弱シール部32をはがしても、第5領域25はそのまま第4領域24の上に位置することもある。
【0120】
そのため使用時における、包装材2を展開する際、図11(a)に示すように、折り返し端、即ち、第5領域25と第4領域24の後端側の周辺を一緒に摘まむことができる。あるいは、一般的な包装シート同様に、第5領域25の前端自由端である他端27を摘まんでよい。
【0121】
そして、摘まみながら後端側に引っ張ることで、図11(b)のように、包装材2及び吸収性物品1を展開する。そして、吸収性物品1の前端又は後端をつかんで、吸収性物品1を、包装材2から剥がして、吸収性物品1を使用する。
【0122】
なお、本発明では、包装材2の後端側が、吸収性物品1よりも長く伸長しているが、開封動作における、使用者の手順はほとんど変わらない。そのため、使用時の開封手順の点におけるデメリットはほとんどない。
【0123】
さらに、本発明の包装材2は、Z折りのための延伸部Eが、図1で示した一般的な包装シートよりも長いため、使用後の吸収性物品1を廃棄する際に、しっかり包むことができる。例えば、本発明の三つ折りの吸収性物品(例えば、昼用のナプキン)よりも大きい吸収性物品(例えば、夜用のナプキン)を包む際、Z折りの部分を伸長させる使用することで、使用者は手を汚さずに、使用後の、大きい吸収性物品を廃棄することができる。
【0124】
以上、本発明の実施の形態として、面状物品が吸収性物品である形態について説明したが、面状物品は吸収性物品に限られない。本形態による包装シートは、例えば、マスク等の衛生用品等を包装するためにも利用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 吸収性物品(面状物品)
2 包装材
3 止着テープ(テープ)
4 剥離シート
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14 圧搾溝(フィットエンボス)
21 第1領域(内三つ折りの表面)
22 第2領域(内三つ折りの中央面(背面))
23 第3領域(内三つ折りの折り込み面、Z折りの背面)
24 第4領域(Z折りの内側面)
25 第5領域(Z折りの表面)
26 一端(第1領域の後端側自由端、内三つ折りの表面の端部)
27 他端(第5領域の前端側自由端、Z折りの表面の端部)
28 サイドシール部(幅方向の両縁部)
29 サイドシール部(幅方向の両縁部)
31 強シール部
32 弱シール部
100 包装吸収性物品(包装面状物品)
L 前後方向(所定方向)
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11