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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
A01D61/00 301Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020073541
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021168627
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森脇 崇文
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-109939(JP,A)
【文献】特開2014-132911(JP,A)
【文献】特開2017-051168(JP,A)
【文献】特開2017-006115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、
前記搬送ケースの入口から塵埃を吸引し、前記搬送ケースの内部を通して機外へ排出する排塵装置と、が備えられ、
前記搬送ケースに、上下幅が搬送方向下手側ほど大きい第一部と、前記第一部よりも後側に位置するとともに上下幅が搬送方向下手側ほど小さい第二部と、が形成され、
前記第一部に前記排塵装置の内部と連通する吸入口が形成され、かつ、前記排塵装置は前記第一部に支持され
前記搬送機構に、搬送方向一端部に位置する第一回動体と、搬送方向他端部に位置する第二回動体と、前記第一回動体と前記第二回動体とに亘って巻き回される一対の無端回動体と、前記第一部または前記第一部と前記第二部との境界領域に設けられるとともに前記一対の無端回動体の回動軌道上側部分に対して下方から当接する一対のテンションローラと、前記回動軌道上側部分に対して張り作用するように前記一対のテンションローラの一方を上方向に付勢する第一テンション機構と、前記回動軌道上側部分に対して張り作用するように前記一対のテンションローラの他方を上方向に付勢する第二テンション機構と、が備えられ、
前記第一テンション機構は前記第二部に位置し、
前記第二テンション機構は前記第一部に位置する収穫機。
【請求項2】
前記排塵装置に、前記吸入口から吸引された塵埃を機外へ案内する排塵ダクトが備えられ、
前記排塵ダクトは、前記第一部の機体横外側部と隣り合い、かつ、機体側面視において前記一対のテンションローラと重複するように配置され、
前記第一テンション機構は、前記搬送ケースのうちの前記排塵ダクトの後方の横側部に支持される請求項に記載の収穫機。
【請求項3】
記第一テンション機構は、前記搬送ケースのうちの前記排塵ダクトの位置する側の横側部に支持されるとともに前記排塵ダクトの位置する側の前記テンションローラを上方向に付勢し、
前記第二テンション機構は、機体側面視において前記排塵ダクトと重複するように前記第一部のうちの前記排塵ダクトの位置する側と反対側の横側部に支持され、前記排塵ダクトの位置する側と反対側の前記テンションローラを上方向に付勢する請求項に記載の収穫機。
【請求項4】
前記排塵装置は、前記収穫部による収穫作業が行われる状態で、前記排塵ダクトが後下がりに延びるとともに前記排塵ダクトの排出口が前記排塵ダクトの底部に位置するように、前記第一部に支持されている請求項またはに記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された収穫機では、搬送装置(文献では「フィーダ」)の搬送方向中央部分に排塵装置が設けられている。搬送装置は搬送ケース(文献では「フィーダケース」)によって覆われ、排塵装置は搬送ケースに支持されている。収穫部によって圃場の作物が収穫される際に収穫部の付近に塵埃が発生する場合であっても、収穫部の付近の塵埃は、搬送ケースの入口から吸引され、排塵装置によって搬送ケースの内部を通して機外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-6115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで収穫部の付近で発生した塵埃は、搬送装置によって後方へ搬送されると、搬送装置内の収穫物と混じり合って排塵装置に吸引されずにそのまま後方へ搬送される虞がある。このため、塵埃が搬送装置内の収穫物と混ざり合うことなく排塵装置に吸引される構成が望ましい。
【0005】
本発明は、収穫部の付近で発生した塵埃を効率よく分離可能な収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収穫機では、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、前記搬送ケースの入口から塵埃を吸引し、前記搬送ケースの内部を通して機外へ排出する排塵装置と、が備えられ、前記搬送ケースに、上下幅が搬送方向下手側ほど大きい第一部と、前記第一部よりも後側に位置するとともに上下幅が搬送方向下手側ほど小さい第二部と、が形成され、前記第一部に前記排塵装置の内部と連通する吸入口が形成され、かつ、前記排塵装置は前記第一部に支持され、前記搬送機構に、搬送方向一端部に位置する第一回動体と、搬送方向他端部に位置する第二回動体と、前記第一回動体と前記第二回動体とに亘って巻き回される一対の無端回動体と、前記第一部または前記第一部と前記第二部との境界領域に設けられるとともに前記一対の無端回動体の回動軌道上側部分に対して下方から当接する一対のテンションローラと、前記回動軌道上側部分に対して張り作用するように前記一対のテンションローラの一方を上方向に付勢する第一テンション機構と、前記回動軌道上側部分に対して張り作用するように前記一対のテンションローラの他方を上方向に付勢する第二テンション機構と、が備えられ、前記第一テンション機構は前記第二部に位置し、前記第二テンション機構は前記第一部に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、搬送ケースに第一部が形成され、第一部に排塵装置の吸入口が形成されている。第一部では上下幅が搬送方向下手側ほど大きいため、搬送ケースの入口に吸引された塵埃が、上下幅の広がる空間で排塵装置に案内され易くなる。これにより、収穫部の付近で発生した塵埃を効率よく分離可能な収穫機が実現される。
【0008】
【0009】
無端回動体を張る場合、無端回動体の回動軌道の搬送側と戻り側との離間距離を広くするか、当該搬送側と当該戻り側との離間距離を狭くするか、の二通りが考えられる。当該搬送側と当該戻り側との離間距離を狭くすると、当該戻り側に位置する無端回動体が収穫物と干渉する虞があるため、当該搬送側と当該戻り側との離間距離を広くするのが望ましい。第一部では上下幅が搬送方向下手側ほど大きく、第二部では上下幅が搬送方向下手側ほど小さいため、第一部と第二部との境界領域で搬送ケースの上下幅が最も大きくなる。
本構成であれば、第一部または第一部と第二部との境界領域にテンションローラが設けられ、テンションローラが無端回動体の回動軌道上側部分に対して下方から当接する。このため、テンションローラが無端回動体を張る構成でありながら、無端回動体の回動軌道の搬送側と戻り側との離間距離が広く確保される。
【0010】
本発明において、前記排塵装置に、前記吸入口から吸引された塵埃を機外へ案内する排塵ダクトが備えられ、前記排塵ダクトは、前記第一部の機体横外側部と隣り合い、かつ、機体側面視において前記一対のテンションローラと重複するように配置され、前記第一テンション機構は、前記搬送ケースのうちの前記排塵ダクトの後方の横側部に支持されると好適である。
【0011】
本構成であれば、排塵装置に備えられた排塵ダクトが第一部の機体横外側部と隣り合い、更に排塵ダクトがテンションローラと重複するため、排塵装置及びテンションローラが第一部とその周辺で完結してコンパクトな構成となる。
【0012】
本発明において、前記第一テンション機構は、前記搬送ケースのうちの前記排塵ダクトの位置する側の横側部に支持されるとともに前記排塵ダクトの位置する側の前記テンションローラを上方向に付勢し、前記第二テンション機構は、機体側面視において前記排塵ダクトと重複するように前記第一部のうちの前記排塵ダクトの位置する側と反対側の横側部に支持され、前記排塵ダクトの位置する側と反対側の前記テンションローラを上方向に付勢すると好適である。
【0013】
本構成によると、一対の無端回動体の夫々に対してテンションローラが張り作用し、一対のテンションローラの夫々に各別のテンション機構が設けられる。第一テンション機構は、搬送ケースのうちの、排塵ダクトの後方、かつ、排塵ダクトの位置する側の横側部に支持されるため、第一テンション機構と排塵ダクトとの干渉が回避される。また、第二テンション機構は機体側面視において排塵ダクトと重複するため、第二テンション機構がテンションローラ寄りに配置されてコンパクトな構成となる。
【0014】
本発明において、前記排塵装置は、前記収穫部による収穫作業が行われる状態で、前記排塵ダクトが後下がりに延びるとともに前記排塵ダクトの排出口が前記排塵ダクトの底部に位置するように、前記第一部に支持されていると好適である。
【0015】
収穫部による収穫作業が行われると塵埃は機体前側から搬送ケースの入口へ流れる。本構成であれば、排塵ダクトが後下がりに延びるため、機体前側から搬送ケースの入口へ流れる塵埃を、そのまま下方へ流すことが可能となる。つまり、本構成であれば、塵埃の前後方向の流れに逆らうことなく、塵埃が排出ダクトから圃場の地面に排出されるため、排塵ダクトが後下がりに延びない構成と比較して、塵埃が飛散し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】収穫機の全体側面図である。
図2】収穫機の全体平面図である。
図3】搬送装置及び排塵装置の右側面図である。
図4】搬送装置及び排塵装置の左側面図である。
図5】搬送装置内の搬送機構を示す横断平面図である。
図6】搬送装置内の搬送機構を示す図5のV-V線断面図である。
図7】機体右側のテンション機構を示す搬送装置の右側面図である。
図8】機体左側のテンション機構を示す搬送装置の左側面図である。
図9】機体右側のテンション機構を示す図7のIX-IX線断面図である。
図10】機体左側のテンション機構を示す図8のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態で、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、各図においてに矢印とともに符号(F)で示す方向が機体前側、各図において矢印とともに符号(B)で示す方向が機体後側である。各図において矢印とともに符号(L)で示す方向が機体左側、各図において矢印とともに符号(R)で示す方向が機体右側である。
各図において矢印とともに符号(U)で示す方向が機体上側、各図において矢印とともに符号(D)で示す方向が機体下側である。
【0018】
〔コンバインの全体構成〕
図1,2に、本発明に係るコンバインが示される。このコンバインに、走行機体1と収穫部2と搬送装置3とが備えられている。収穫部2及び搬送装置3は、走行機体1の前方に位置して、作物(例えば植立穀稈)が収穫部2によって収穫される。搬送装置3は収穫部2の後部に接続され、収穫部2によって収穫された収穫物(刈取穀稈の全稈)が搬送装置3によって機体後方へ搬送される。走行機体1に、左右一対のクローラ走行装置4と、クローラ走行装置4で支持された機体フレーム5と、が備えられている。機体フレーム5の前部に搬送装置3が昇降可能に連結されている。収穫部2及び搬送装置3は、油圧シリンダ16の伸縮動作によって横軸芯P1まわりで上下揺動操作される。
【0019】
走行機体1の前部右側に、キャノピ6によって覆われた運転部7が備えられ、運転部7の下方に、エンジン等を含む原動部(図示せず)が備えられている。走行機体1の後部に、脱穀装置9及び穀粒タンク10が機体左右方向に並ぶ状態で備えられている。収穫物が脱穀装置9によって脱穀され、脱穀処理にて得られた収穫物(本実施形態では穀粒)が穀粒タンク10に貯留される。穀粒タンク10に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置8によって機外に排出される。運転部7に、運転座席11や複数の操作具等が備え付けられている。
【0020】
収穫部2に、左右一対のデバイダ12と、掻込リール13と、バリカン型の刈刃14と、オーガ15と、が備えられている。左右一対のデバイダ12は作物を収穫対象と非収穫対象に分ける。そして、収穫対象の作物が掻込リール13によって掻き込まれ、収穫対象の作物の株元が刈刃14によって切断され、収穫物(刈取穀稈)がオーガ15によって刈幅方向中央側に寄せ集められる。搬送装置3については後で説明する。
【0021】
脱穀装置9の内部に関しては公知であるため図示はしないが、脱穀装置9の上部には扱室が設けられている。扱室に、脱穀用の扱胴が、機体前後向きの軸心まわりに回転可能に設けられている。当該扱胴の下方に受網が設けられている。受網の下方に、篩選別用の揺動選別装置と、風選別用の唐箕と、が設けられている。また、当該扱胴の後方に排塵ファンが設けられている。扱胴で脱穀処理された脱穀処理物が受網から揺動選別装置へ漏下する。そして、廊下した脱穀処理物は、揺動選別装置による篩選別と、唐箕による風選別と、によって藁屑等と、単粒化された穀粒と、枝梗付き穀粒等である二番物と、に分けられる。藁屑等は風選別によって後方へ吹き飛ばされ、排塵ファンによって機体の後方へ排出される。単粒化された穀粒は、揺動選別装置から下方へ漏下した後、公知の揚穀コンベヤによって穀粒タンク10へ揚送される。二番物は、公知の二番物還元コンベヤによって扱室へ揚送されて再度脱穀処理される。
【0022】
〔搬送装置について〕
搬送装置3は、収穫部2の後端部から脱穀装置9の収穫物投入部に亘って延びる状態で設けられている。図3乃至図6に示されるように、搬送装置3は、収穫部2によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構21、及び、搬送機構21を収容する搬送ケース20を有する。搬送ケース20は筒型に形成され、搬送機構21はチェーン回動式に構成されている。搬送装置3は収穫部2の左右方向中央よりも機体左側に偏倚した状態で収穫部2に連結されている。
【0023】
搬送ケース20全体が横軸芯P1まわりで上下揺動自在に脱穀装置9に支持されている。そして、搬送ケース20の搬送方向上手部分(前部分)には収穫部2が一体的に連結固定されているため、収穫部2と搬送装置3との全体が、横軸芯P1まわりで上下揺動自在に脱穀装置9に支持される。
【0024】
搬送ケース20は略角筒状に構成されている。図3乃至図6に示されるように、搬送ケース20は、底面部20aと、左右一対の側壁部20bと、前天板部20cと、後天板部20dと、を有する。底面部20aの左右両端部に左右夫々の側壁部20bの下部が連結されている。換言すると、底面部20aは機体横方向において左右の側壁部20bに亘っている。
【0025】
側壁部20bの上縁部に、機体後側ほど上側に膨出する第一上縁部20pと、機体前側ほど上側に膨出する第二上縁部20qと、が形成されている。第一上縁部20pと第二上縁部20qとの境界領域に頂点部分20tが形成され、頂点部分20tで側壁部20bの上下幅が最も大きくなるように、側壁部20bは形成されている。左右一対の側壁部20bのうち、頂点部分20tよりも前側部分に前天板部20cが連結され、頂点部分20tよりも後側部分に後天板部20dが連結されている。前天板部20c及び後天板部20dは底面部20aに対して傾斜する。つまり、前天板部20cと底面部20aとの離間距離が機体後側ほど離間し、後天板部20dと底面部20aとの離間距離が機体後側ほど近接する。前天板部20c及び後天板部20dは、機体横方向において左右の側壁部20bに亘っている。
【0026】
図3乃至図6に示されるように、搬送ケース20の搬送始端部(前端部)に、収穫物導入口22が形成されている。収穫物導入口22は、収穫部2の送出口に連通している。搬送ケース20の搬送終端部(後端部)に、収穫物送出口23が形成されている。収穫物送出口23は、脱穀装置9の収穫物投入部に連通している。
【0027】
前天板部20cと底面部20aとの離間距離が機体後側ほど離間する。また、後天板部20dと底面部20aとの離間距離が機体後側ほど近接する。搬送装置3において、平面視で前天板部20cの位置する部分を『第一部201』と称し、平面視で後天板部20dの位置する部分を『第二部202』と称する。第一部201及び第二部202が図3乃至図6に示されている。即ち、搬送ケース20に、上下幅が搬送方向下手側ほど大きい第一部201と、第一部201よりも後側に位置するとともに上下幅が搬送方向下手側ほど小さい第二部202と、が形成されている。このため、搬送ケース20の内部空間のうち、第一部201の内部空間は機体後側ほど広くなる。また、搬送ケース20の内部空間のうち、第二部202の内部空間は機体後側ほど狭くなる。
【0028】
図3乃至図6に示されるように、第一部201に排塵装置19が備えられ、排塵装置19は前天板部20cに支持されている。排塵装置19は、搬送ケース20の入口(収穫物導入口22)から塵埃を吸引し、当該塵埃を搬送ケース20の内部を通して機外へ排出する。排塵装置19は、電動モータ19mと、吸塵ファン19fと、を有する。吸塵ファン19fは電動モータ19mによって回転駆動される。図5及び図6に示されるように、排塵装置19の内部空間と連通する開口部として、前天板部20cに吸入口20iが形成されている。換言すると、第一部201に吸入口20iが形成され、排塵装置19は第一部201に支持されている。排塵装置19の機体左横端部において排塵ダクト19Dが下向きに形成され、排塵ダクト19Dは搬送ケース20よりも機体左側へ突出する。即ち、排塵ダクト19Dは、第一部201の機体横外側部と隣り合うように配置されている。排塵ダクト19Dは、吸入口20iから吸引された塵埃を機外へ案内する。搬送ケース20の内部空間に入り込んだ塵埃は、吸入口20iから排塵装置19の内部空間に吸引され、そして排塵ダクト19Dの下端部における排出口19oから外部へ排出される。
【0029】
収穫部2及び搬送装置3は横軸芯P1まわりで上下揺動操作され、収穫部2及び搬送装置3が下方に揺動した状態で収穫作業が行われる。収穫部2による収穫作業が行われる状態で、排塵ダクト19Dが後下がりに延びるとともに排塵ダクト19Dの排出口19oが排塵ダクト19Dの底部に位置するように、排塵装置19は第一部201に支持されている。
【0030】
図3乃至図6に示されるように、搬送機構21に、下手側回転軸21Aと、上手側回転軸21Bと、左右一対の駆動スプロケット21C,21Cと、左右一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eと、複数の搬送部材21F(図5及び図6参照)と、ドラム21Gと、が備えられている。また、搬送機構21に、左右の支持部材24,24と、一対のテンションローラ31L,31Rと、連結軸34(図5及び図6参照)と、右テンション機構35と、左テンション機構36と、が備えられている。
【0031】
搬送ケース20の搬送方向下手側部分、即ち搬送ケース20の後部に、横向きの下手側回転軸21Aが架設され、搬送ケース20の搬送方向上手側部分、即ち搬送ケース20の前部に、横向きの上手側回転軸21Bが架設されている。下手側回転軸21Aに、軸芯方向に間隔をあけて一対の駆動スプロケット21C,21Cが備えられている。
【0032】
上手側回転軸21Bは、横方向(機体左右方向)に延びる状態で備えられている。上手側回転軸21Bの外周部にドラム21Gが備えられている。ドラム21Gは、中空円筒形の筒状に形成され、上手側回転軸21Bと一体回転する。
【0033】
一対の駆動スプロケット21C,21Cの夫々とドラム21Gとに亘って一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eが巻き回されている。搬送用無端回動チェーン21Eは、本発明の『無端回動体』である。一対の搬送用無端回動チェーン21Eには回動方向に沿って間隔をあけて複数の搬送部材21Fが横向きに架設されている。
【0034】
ドラム21Gの径は駆動スプロケット21Cの径よりも大径である。駆動スプロケット21Cとドラム21Gとの一方は『搬送方向一端部に位置する第一回動体』であって、駆動スプロケット21Cとドラム21Gとの他方は『搬送方向他端部に位置する第二回動体』である。なお、本実施形態では、ドラム21Gに、搬送用無端回動チェーン21E用のスプロケットが設けられていないが、ドラム21Gに、搬送用無端回動チェーン21E用のスプロケットが設けられても良い。また、ドラム21Gの径は駆動スプロケット21Cの径よりも小径であっても良いし、ドラム21Gの径と駆動スプロケット21Cの径とが同じ径であっても良い。
【0035】
下手側回転軸21Aに搬送駆動用の動力が伝達され、かつ、駆動スプロケット21Cが下手側回転軸21Aに一体回転可能に支持されている。一対の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道下側部分が機体後側へ回動し、一対の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道上側部分が機体前側へ回動する。つまり、当該回動軌道下側部分が張り側であって、当該回動軌道上側部分が緩み側である。一対の搬送用無端回動チェーン21Eが回動駆動されると、搬送部材21Fが収穫物に対して掻込み作用して、収穫物が搬送用無端回動チェーン21Eと搬送ケース20の底面部20aとの間に掻き込まれる。収穫物は搬送部材21Fによって後方上方に係止搬送され、収穫物送出口23から後方に送り出されて脱穀装置9に供給される。
【0036】
下手側回転軸21Aは、搬送ケース20の左右両側において横側外方に突出している。
図3乃至図5に示されるように、下手側回転軸21Aの左側(横方向他方側の一例)の軸端部には入力プーリ27が備えられ、エンジンからの動力が伝動ベルト(不図示)を介して入力プーリ27へ伝達される。下手側回転軸21Aの右側(横方向一方側の一例)の軸端部に、収穫部2の各部に動力を伝達するための出力スプロケット28が備えられている。
【0037】
図3乃至図5に示されるように、搬送ケース20における左右の側壁部20bの夫々の内面側部に支持部材24,24が設けられている。上手側回転軸21Bの左右両側の軸端部がベアリングを介して左右の支持部材24,24に回転可能に支持されている。ドラム21G、及び、上手側回転軸21Bの夫々が一体的に連結された状態で、横軸芯P2まわりで回転可能に左右の支持部材24,24に支持されている。
【0038】
左右の支持部材24,24のうち、ドラム21Gの左右両側部における外周部分と隣接する箇所にスクレーパ25(図5参照)が支持される。ドラム21Gの外周部に収穫物や塵埃が巻き付く場合があっても、収穫物や塵埃がスクレーパ25によって払い落とされ、ドラム21Gに対する収穫物や塵埃の巻き付きに起因する搬送装置3の詰まりが防止される。
【0039】
また、スクレーパ25の上方に吸入口20iが位置するため、スクレーパ25によって払い落とされた塵埃が、そのまま吸入口20iから排塵装置19へ吸引される。即ち、搬送ケース20の内部空間に入り込んだ塵埃は、搬送ケース20の搬送始端側部分(前部)で排塵装置19によって外部へ排出される。
【0040】
図3及び図4に示されるように、搬送ケース20における左右の側壁部20bの夫々に長孔20hが穿孔され、長孔20hの長手方向は搬送方向に沿っている。上手側回転軸21Bは、搬送ケース20に対して横向き姿勢を維持しながら、長孔20hの長手方向に沿って位置変更(位置調節)可能に支持されている。即ち、上手側回転軸21Bを回転自在に支持する左右の支持部材24,24が、搬送ケース20に対して搬送方向の位置を変更(調節)可能にボルト固定される。
【0041】
左右の支持部材24,24は、ドラム21G、及び、上手側回転軸21Bを支持し、左右の側壁部20b,20bは左右の支持部材24,24を支持するため、左右の側壁部20b,20bに荷重が掛かる。このため、図3乃至図5に示されるように、搬送ケース20の左右の側壁部20b,20bのうち長孔20hの存在する箇所の外面部分に、搬送装置3の搬送方向に沿って延びる前後フレーム20L,20Rが溶接固定されている。前後フレーム20Lは断面視でL字状のアングル材であって、前後フレーム20Rは断面視で略C字状のアングル部材である。機体左側の長孔20hは、機体左側の側壁部20bと前後フレーム20Lとに亘って一体的に穿孔され、機体右側の長孔20hは、機体右側の側壁部20bと前後フレーム20Rとに亘って一体的に穿孔されている。
【0042】
前後フレーム20Lの後端部に隣接する状態で、縦フレーム20Mが、左側の側壁部20bの外面部分に溶接固定されている。縦フレーム20Mは、前後フレーム20Lの後端部とも溶接されている。縦フレーム20Mは断面視でL字状のアングル材であって(図5参照)、搬送装置3の搬送方向と直交または略直交する方向に沿って、前後フレーム20Lの位置する高さ位置と側壁部20bの下縁部とに亘って延びる。
【0043】
前後フレーム20Rの後端部に隣接する状態で、縦フレーム37が、右側の側壁部20bの外面部分に溶接固定されている。縦フレーム37は、前後フレーム20Rの後端部とも溶接されている。縦フレーム37は断面視で略C字状のアングル材であって(図5参照)、搬送装置3の搬送方向と直交または略直交する方向に沿って、右側の側壁部20bの上下幅に亘って延びる。
【0044】
底面部20aのうち、縦フレーム20M,37の真下の箇所の外面部分に、横フレーム20Nが溶接固定されている。横フレーム20Nは断面視で四角形状の角形部材であって、底面部20aの左右幅に亘って延びる。横フレーム20Nの右端部は、底面部20aの右縁部よりも右側に突出する。また、横フレーム20Nの右端部は、縦フレーム37よりも機体右側に位置する。縦フレーム37の下端部は、横フレーム20Nに溶接されている。
【0045】
横フレーム20Nの左端部に平板部材20Kが溶接固定されている。また、平板部材20Kの上端部と、縦フレーム20Mの下端部と、が溶接固定されている。
【0046】
このように、一対の前後フレーム20L,20Rと、縦フレーム20M,37と、平板部材20Kと、横フレーム20Nと、によって上手側回転軸21B等がしっかりと支持される。また、横フレーム20Nの右端部にステー29が溶接固定され、ステー29に油圧シリンダ16の一端部が揺動可能に連結される。つまり、横フレーム20Nは、油圧シリンダ16を受け止め支持するフレームとしても兼用されている。
【0047】
〔搬送用無端回動チェーンのテンション機構について〕
図3乃至図6に示されるように、一対の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道の内側領域にテンションローラ31L,31Rが備えられている。テンションローラ31L,31Rは、一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eの回動軌道上側部分(緩み側)に対して下方から当接し、一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eに対する張力を調節可能なように構成されている。テンションローラ31L,31Rは、第一部201に設けられている。換言すると、テンションローラ31L,31Rは、一対の駆動スプロケット21C,21Cよりもドラム21Gの位置する側に配置されている。また、テンションローラ31L,31Rは、一対の前後フレーム20L,20Rよりも後側に位置する。
テンションローラ31L,31Rは、一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eに対して各別に張り作用するように上方向へ付勢される。
【0048】
左側のテンションローラ31Lは揺動アーム32Lに支持され、右側のテンションローラ31Rは揺動アーム32Rに支持される。左右の揺動アーム32L,32Rは、搬送ケース20の左右の側壁部20bの内部に位置している。揺動アーム32Lは、支軸33Lまわりに回転可能なように、左側の側壁部20bに支持される。また、揺動アーム32Rは、支軸33Rまわりに回転可能なように、右側の側壁部20bに支持される。支軸33L,33Rは、機体側面視で重複する位置に存在する。
【0049】
左右のテンションローラ31L,31Rは、揺動アーム32L,32Rの夫々の揺動によって、搬送用無端回動チェーン21Eにおける戻り移動経路を下方から押圧操作する。
【0050】
左右の揺動アーム32L,32Rの揺動端同士に亘って連結軸34(図5及び図6参照)が取付けられている。左右の揺動アーム32L,32Rが連結軸34によって連動連結され、左右のテンションローラ31L,31Rが連動して揺動することができるように構成されている。連結軸34は、搬送ケース20の左右の側壁部20bよりも機体内側で支軸33L,33Rまわりに揺動可能に設けられている。
【0051】
テンションローラ31Rは右テンション機構35によって上方向に付勢され、テンションローラ31Lは左テンション機構36によって上方向に付勢されている。
【0052】
図3図7及び図9に示されるように、機体右側の側壁部20bに縦フレーム37が溶接固定され、縦フレーム37の長手方向が上下に沿って延びる。縦フレーム37の長手方向の中央領域に、補強部材37Aが設けられている。断面視で略C形の縦フレーム37によって囲まれた内側領域に補強部材37Aが位置し、縦フレーム37の剛性が高められている。
【0053】
右テンション機構35は、本発明の『第二テンション機構』である。図7及び図9に示されるように、右テンション機構35に、引張ロッド部35Aと、圧縮バネ部35Bと、が備えられている。右テンション機構35は、機体側面視において排塵ダクト19Dと重複するように第一部201のうちの排塵ダクト19Dの位置する側と反対側の横側部(右側の側壁部20b)に支持されている(図5参照)。右テンション機構35は、排塵ダクト19Dの位置する側と反対側のテンションローラ31Rを上方向に付勢する。つまり、右テンション機構35は、右側の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道上側部分に対して張り作用するようにテンションローラ31Rを上方向に付勢する。
【0054】
左テンション機構36は、本発明の『第一テンション機構』である。図8及び図10に示されるように、左テンション機構36に、引張ロッド部36Aと、圧縮バネ部36Bと、が備えられている。排塵装置19の排塵ダクト19Dは、機体側面視においてテンションローラ31L,31Rと重複するように配置されている。換言すると、左テンション機構36は、搬送ケース20のうちの排塵ダクト19Dの後方かつ排塵ダクト19Dの位置する側の横側部(左側の側壁部20bのうちの排塵ダクト19Dの後方部分)に支持される。左テンション機構36は、排塵ダクト19Dの位置する側のテンションローラ31Lを上方向に付勢する。つまり、左テンション機構36は、左側の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道上側部分に対して張り作用するようにテンションローラ31Lを上方向に付勢する。
【0055】
第二テンション機構としての右テンション機構35について、図7及び図9に基づいて説明する。揺動アーム32Rの長手方向中央部分に溶接ナット32dが溶接固定され、揺動アーム32Rの長手方向中央部分と溶接ナット32dとに亘ってネジ孔32hが一体的に穿孔されている(図9参照)。右側の側壁部20bのうち、揺動アーム32Rの揺動に対応する箇所に、溶接ナット32dの揺動可能範囲にわたる円弧状の長孔20uが穿孔されている(図3及び図7参照)。側面視で溶接ナット32dの揺動範囲の位置する箇所に右側の側壁部20bと縦フレーム37とが重なっているため、長孔20uは右側の側壁部20bと縦フレーム37とに一体的に穿孔されている。溶接ナット32d及びネジ孔32hは、支軸33Rよりもテンションローラ31Rの位置する側に設けられている。
【0056】
引張ロッド部35Aの下端部に連結部35Cが形成され、連結部35Cに機体横向きの貫通孔35hが形成されている。貫通孔35hと長孔20uとを支点ボルト35Dが貫通し、支点ボルト35Dはネジ孔32hに螺合する。支点ボルト35Dは揺動アーム32Rと一体的に支軸33Rまわりに揺動する。機体側面視において、支点ボルト35Dの揺動範囲は縦フレーム37の位置する箇所と重複する。貫通孔35h及び支点ボルト35Dの径方向において、貫通孔35hと支点ボルト35Dのネジ部分との間にはカラー35Eが介在する。また、連結部35Cの左右横外端部には一対の平座金35Gが設けられている。機体右側の平座金35Gは、連結部35Cの右側端部と支点ボルト35Dの頭部とに挟まれている。機体左側の平座金35Gは、連結部35Cの左側端部と縦フレーム37とに挟まれている。これらの構成によって、引張ロッド部35Aと揺動アーム32Rとが枢支連結され、引張ロッド部35Aは支点ボルト35Dを軸芯に揺動する。
【0057】
右テンション機構35は、前後方向において縦フレーム37の短手方向幅(前後幅)の範囲内に位置する。補強部材37Aに挿通孔37hが穿孔され(図7参照)、引張ロッド部35Aが挿通孔37hを貫通した状態で上下に延びる。支点ボルト35Dは支軸33Rまわりに揺動するため、支点ボルト35Dは前後方向にも変位する。支点ボルト35Dの前後方向への変位に対応するため、挿通孔37hは前後方向に沿う長孔状に形成されている。
【0058】
挿通孔37hに引張ロッド部35Aが挿通された状態で、挿通孔37hよりも上側に圧縮バネ部35Bが設けられている。挿通孔37hよりも上側において、引張ロッド部35Aにカラー35Iが外嵌する。圧縮バネ部35Bは、伸縮可能なコイルバネであって、カラー35Iに外嵌する。つまり、圧縮バネ部35Bは、カラー35Iを介して引張ロッド部35Aに外嵌する。
【0059】
カラー35Iの下端部にフランジ部35fが形成され、フランジ部35fが補強部材37Aの上面部分と接触する。フランジ部35fは圧縮バネ部35Bの圧縮による押圧力を受け止める。補強部材37Aはフランジ部35fを下方から受け止め支持する。このことから、補強部材37Aは圧縮バネ部35Bの圧縮による押圧力を受け止める。
【0060】
圧縮バネ部35Bの上方に平座金35Jが設けられ、平座金35Jは引張ロッド部35Aに外嵌する。平座金35Jは圧縮バネ部35Bのコイル径よりも大きな直径を有する。
引張ロッド部35Aの上端部に螺旋溝が形成され、この螺旋溝にナット35Kが締め付けられている。この状態で平座金35Jはナット35Kと当接し、平座金35Jは引張ロッド部35Aに対して抜け止めされている。これにより、圧縮バネ部35Bは、補強部材37Aに受け止め支持されたフランジ部35fと、平座金35Jと、に挟まれている。なお、平座金35Jはナット35Kとは一体的に構成されても良い。また、ナット35Kは一つであっても良いし、例えばダブルナットのように複数であっても良い。
【0061】
第一テンション機構としての左テンション機構36について、図8及び図10に基づいて説明する。揺動アーム32Lの後端部分に溶接ナット32eが溶接固定され、揺動アーム32Lの後端部分と溶接ナット32eとに亘ってネジ孔32iが一体的に穿孔されている(図10参照)。左側の側壁部20bのうち、揺動アーム32Lの揺動に対応する箇所に、溶接ナット32eの揺動可能範囲に亘る円弧状の長孔20vが穿孔されている(図4及び図8参照)。溶接ナット32e及びネジ孔32iは、支軸33Lよりもテンションローラ31Rの位置する側と反対側に設けられている。
【0062】
引張ロッド部36Aの上端部に連結部36Cが形成され、連結部36Cに機体横向きの貫通孔36hが形成されている。貫通孔36hと長孔20vとを支点ボルト36Dが貫通し、支点ボルト36Dはネジ孔32iに螺合する。支点ボルト36Dは揺動アーム32Lと一体的に支軸33Lまわりに揺動する。貫通孔36h及び支点ボルト36Dの径方向において、貫通孔36hと支点ボルト36Dのネジ部分との間にはカラー36Eが介在する。また、連結部36Cの左右横外端部には一対の平座金36Gが設けられている。機体右側の平座金36Gは、連結部36Cの左側端部と支点ボルト36Dの頭部とに挟まれている。機体右側の平座金36Gは、連結部36Cの右側端部と左側の側壁部20bとに挟まれている。これらの構成によって、引張ロッド部36Aと揺動アーム32Lとが枢支連結され、引張ロッド部36Aは支点ボルト36Dを軸芯に揺動する。
【0063】
長孔20vの下方にはステー38が備えられている。ステー38の断面形状は略C形に形成され、このステー38の略C形の断面部分が左側の側壁部20bに溶接固定されている。このため、ステー38は左側の側壁部20bよりも機体左側に突出する。
【0064】
左テンション機構36は、揺動アーム32Lの後端部を引っ張り付勢する。ステー38に挿通孔38hが穿孔され、引張ロッド部36Aが挿通孔38hを貫通した状態で上下に延びる。支点ボルト36Dは支軸33Lまわりに揺動するため、前後方向にも変位する。
支点ボルト36Dの前後方向への変位に対応するため、挿通孔38hは前後方向に沿う長孔状に形成されている。
【0065】
挿通孔38hに引張ロッド部36Aが挿通された状態で、挿通孔38hよりも下側に圧縮バネ部36Bが設けられている。挿通孔38hよりも下側において、引張ロッド部36Aにカラー36Iが外嵌する。圧縮バネ部36Bは、伸縮可能なコイルバネであって、カラー36Iに外嵌する。つまり、圧縮バネ部36Bは、カラー36Iを介して引張ロッド部36Aに外嵌する。
【0066】
カラー36Iの下端部にフランジ部36fが形成され、フランジ部36fがステー38の下面部分と接触する。フランジ部36fは圧縮バネ部36Bの圧縮による押圧力を受け止める。ステー38はフランジ部36fを上方から受け止め支持する。このことから、ステー38は圧縮バネ部36Bの圧縮による押圧力を受け止める。
【0067】
圧縮バネ部36Bの下方に平座金36Jが設けられ、平座金36Jは引張ロッド部36Aに外嵌する。平座金36Jは圧縮バネ部36Bのコイル径よりも大きな直径を有する。
引張ロッド部36Aの下端部に螺旋溝が形成され、この螺旋溝にナット36Kが締め付けられている。この状態で平座金36Jはナット36Kと当接し、平座金36Jは引張ロッド部36Aに対して抜け止めされている。これにより、圧縮バネ部36Bは、ステー38に受け止め支持されたフランジ部36fと、平座金36Jと、に挟まれている。なお、平座金36Jはナット36Kとは一体的に構成されても良い。また、ナット36Kは一つであっても良いし、例えばダブルナットのように複数であっても良い。
【0068】
〔収穫部伝動軸に対する動力伝達構造について〕
図3及び図5に示されるように、収穫部2の後端部のうち、搬送装置3よりも右側の箇所に、横向きの伝動軸としての収穫部伝動軸41が備えられている。そして、収穫部伝動軸41には一体回転可能な状態で従動スプロケット42が備えられている。従動スプロケット42と出力スプロケット28とに亘って収穫伝動用無端回動チェーン43が巻き回されている。
【0069】
下手側回転軸21Aの左側の軸端部に伝達された動力が、下手側回転軸21Aの右側の軸端部に備えられた出力スプロケット28から収穫伝動用無端回動チェーン43及び従動スプロケット42を介して収穫部伝動軸41に伝達される。収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道下側部分が収穫伝動用無端回動チェーン43の張り側であって、収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道上側部分が収穫伝動用無端回動チェーン43の緩み側である。
【0070】
収穫伝動用無端回動チェーン43に対してテンション操作するテンション機構44が備えられている。テンション機構44は、揺動アーム44Aと引張ロッド部44Bとバネ44Cとを有する。揺動アーム44Aの揺動基端部は縦フレーム37に支持される。収穫伝動用テンションスプロケット45が揺動アーム44Aの遊端部に設けられ、収穫伝動用テンションスプロケット45が揺動アーム44Aによって上下揺動可能に支持される。収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道上側部分(緩み側)に対して収穫伝動用テンションスプロケット45が回動軌道内側から上方向に押圧するように、揺動アーム44Aがバネ44Cによって付勢されている。
【0071】
収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道に沿って複数の回転体が設けられている。
収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道下側部分(張り側)に、第一中間スプロケット46Aと第二中間回転体46Bと第四中間スプロケット46Dとが当接する。第一中間スプロケット46Aと第四中間スプロケット46Dとが収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道外側から当接する。第一中間スプロケット46Aと第四中間スプロケット46Dとは金属で構成されている。第二中間回転体46Bが収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道内側から当接する。第二中間回転体46Bは樹脂で構成されている。また、収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道下側部分(戻り側)に第三中間スプロケット46Cが回動軌道外側から当接する。第三中間スプロケット46Cは金属で構成されている。
【0072】
右側の側壁部20bのうち、第二部202に該当する箇所の前後中央領域にステー47が溶接固定され、ステー47に第一中間スプロケット46Aと第二中間回転体46Bとが支持される。また、縦フレーム37に第三中間スプロケット46Cと第四中間スプロケット46Dとが支持される。第一中間スプロケット46A及び第二中間回転体46Bは、収穫伝動用無端回動チェーン43の回動軌道の内側と外側とで隣り合って配置されているため、収穫伝動用無端回動チェーン43の振動が抑制されている。
【0073】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0074】
(1)上述した実施形態において、駆動スプロケット21Cと搬送用無端回動チェーン21Eとテンションローラ31L(31R)とが二組備えられているが、この実施形態に限定されない。例えば、駆動スプロケット21Cと搬送用無端回動チェーン21Eとテンションローラ31L(31R)とが一つずつ備えられても良い。この場合、右テンション機構35と左テンション機構36との一方がテンションローラ31L(31R)を上方向に付勢しても良いし、右テンション機構35と左テンション機構36との両方がテンションローラ31L(31R)を上方向に付勢しても良い。また、駆動スプロケット21Cと搬送用無端回動チェーン21Eとテンションローラ31L(31R)とが三組以上備えられても良い。
【0075】
(2)上述した実施形態において、側壁部20bの上縁部に、機体後側ほど上側に膨出する第一上縁部20pと、機体前側ほど上側に膨出する第二上縁部20qと、が形成されているが、この実施形態に限定されない。例えば、搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道上側部分が張り側である場合、搬送ケース20のうちの第一部201における側壁部20bの下縁部が機体後側ほど下側に膨出し、搬送ケース20のうちの第二部202における側壁部20bの下縁部が機体前側ほど下側に膨出する構成であっても良い。この場合、テンションローラ31Lは左側の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道下側部分に上側から当接し、左テンション機構36はテンションローラ31Lを下方向に付勢しても良い。また、テンションローラ31Rは右側の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道下側部分に上側から当接し、右テンション機構35はテンションローラ31Rを下方向に付勢しても良い。
【0076】
(3)上述した実施形態において、第一回動体及び第二回動体として駆動スプロケット21C及びドラム21Gが備えられ、無端回動体として搬送用無端回動チェーン21Eが備えられているが、この実施形態に限定されない。例えば、搬送用無端回動チェーン21Eはベルトであっても良いし、駆動スプロケット21Cはプーリであっても良い。この場合、ドラム21Gに搬送用無端回動チェーン21Eを受けるプーリが備えられても良い。即ち、搬送機構21に、搬送方向一端部に位置する第一回動体と、搬送方向他端部に位置する第二回動体と、第一回動体と第二回動体とに亘って巻き回される無端回動体とが備えられる構成であって良い。
【0077】
(4)上述した実施形態では、テンションローラ31L,31Rは、第一部201に設けられているが、この実施形態に限定されない。例えば、テンションローラ31L,31Rは、第一部201と第二部202との境界領域に設けられても良い。この場合、排塵ダクト19Dは、機体側面視においてテンションローラ31L,31Rと重複していなくても良い。
【0078】
(5)上述した実施形態では、排塵ダクト19Dは、第一部201の機体横外側部(左側の側壁部20b)と隣り合うが、この実施形態に限定されない。例えば、排塵ダクト19Dは、第一部201の機体横内側部(右側の側壁部20b)と隣り合う構成であっても良い。この場合、揺動アーム32R及び右テンション機構35が機体左側の側壁部20bに支持され、揺動アーム32L及び左テンション機構36が機体右側の側壁部20bに支持される構成であっても良い。即ち、第一テンション機構としての左テンション機構36が、搬送ケース20のうちの排塵ダクト19Dの後方の横側部に支持される構成であれば良い。また、テンションローラ31L,31Rは、同じ形状であるため、揺動アーム32L,32Rの何れに取り付けられても良い。
【0079】
(6)上述した実施形態では、収穫部2による収穫作業が行われる状態で、排塵ダクト19Dが後下がりに延びるが、この実施形態に限定されない。例えば、収穫部2による収穫作業が行われる状態で、排塵ダクト19Dが真下に延びる構成であっても良い。
【0080】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、コンバインの他、粒取り式のトウモロコシ収穫機や豆類収穫機などにも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
2 :収穫部
19 :排塵装置
19D :排塵ダクト
19o :排出口
20 :搬送ケース
201 :第一部
202 :第二部
20i :吸入口
21 :搬送機構
21C :駆動スプロケット(第一回動体または第二回動体)
21E :搬送用無端回動チェーン(無端回動体)
21G :ドラム(第一回動体または第二回動体)
31L :テンションローラ
31R :テンションローラ
35 :右テンション機構(第二テンション機構)
36 :左テンション機構(第一テンション機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10