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特許7381421基板処理装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】基板処理装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/306 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142920
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038422
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】中岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】橋本 有司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102659(JP,A)
【文献】特開2007-258512(JP,A)
【文献】特開平05-267274(JP,A)
【文献】特開平11-307490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0006093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を処理する薬液を貯留する処理槽と、
前記処理槽内に前記薬液または気泡を吐出する吐出口を有する配管と、
前記処理槽内で前記複数の基板を支持する複数の棒状体と、
前記複数の棒状体または前記処理槽に設けられ、前記配管から吐出された前記薬液または前記気泡によって各基板に加えられた振動を、前記基板の中心を回転軸とする一方向の回転に変換する変換機構と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記変換機構が、
前記複数の基板の配列方向に沿って各棒状体に設けられた複数の凹部と、
各凹部の底部に設けられ、前記一方向に傾斜したフィン状の複数の弾性体と、を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記変換機構が、
前記複数の基板の配列方向に沿って各棒状体に設けられた複数の凹部と、
各凹部の底部に設けられ、前記一方向に傾斜した山脈状の複数の突起部と、を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記変換機構が、
前記複数の棒状体のうち一つである第1棒状体と、
前記処理槽の鉛直方向に平行な前記基板の中心に対して前記第1棒状体とは非対称に配置され、前記第1棒状体とは異時に前記複数の基板を支持する第2棒状体と、
前記第1棒状体と前記第2棒状体との間に配置され、前記第1棒状体または前記第2棒状体のいずれかと同時に前記複数の基板を支持する第3棒状体と、を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
処理槽内に貯留された薬液に複数の基板を浸漬し、
前記処理槽内に前記薬液または気泡を吐出し、
吐出された前記薬液または前記気泡によって各基板に加えられた振動を、前記基板の中心を回転軸とする一方向の回転に変換しながら、前記基板に形成された膜をエッチングする、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を薬液処理する工程の一つに、処理槽内に貯留された高温の薬液に基板を浸漬させるエッチング工程がある。このエッチング工程では、処理槽の底部から薬液または気泡を吐出することによって、処理槽内で薬液を撹拌する場合がある。この場合、吐出口付近では、薬液の流速が高くなるため、基板面内でエッチング量に差が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4390650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、基板面内における薬液処理の均一性を容易に向上させることが可能な基板処理装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る基板処理装置は、複数の基板を処理する薬液を貯留する処理槽と、処理槽内に薬液または気泡を吐出する吐出口を有する配管と、処理槽内で複数の基板を支持する複数の棒状体と、複数の棒状体または処理槽に設けられ、配管から吐出された薬液または気泡によって各基板に加えられた振動を、基板の中心を回転軸とする一方向の回転に変換する変換機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る基板処理装置の概略的な模式図である。
図2】半導体基板の支持形態を簡略的に示す斜視図である。
図3図2に示す領域Aを拡大した側面図である。
図4】弾性体を拡大した斜視図である。
図5A】はエッチング前の半導体装置の平面図である。
図5B図5Aに示す切断線B-Bに沿った断面図である。
図6】エッチング後の半導体装置の断面図である。
図7A】半導体基板が下降する状態を示す正面図である。
図7B】半導体基板が回転する状態を示す正面図である。
図7C】半導体基板が上昇する状態を示す正面図である。
図8】第2実施形態に係る基板処理装置の要部を拡大した側面図である。
図9】突起部を拡大した斜視図である。
図10A】半導体基板に振動が加えられた状態を示す正面図である。
図10B】半導体基板の時計回りの回転を阻止する状態を示す正面図である。
図10C】半導体基板が反時計回りに回転する状態を示す正面図である。
図11】第3実施形態に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。
図12】棒状体の側面図である。
図13A】半導体基板が浮遊する状態を示す正面図である。
図13B】半導体基板が水平移動する状態を示す正面図である。
図13C】半導体基板が回転する状態を示す正面図である。
図14】第1変形例に係る基板処理装置の構成を概略的に示す模式図である。
図15】第2変形例に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。
図16】第3変形例に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。
図17】第4変形例に係る基板処理装置の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す模式図である。図1に示す基板処理装置1は、複数の半導体基板100の各々に形成されたシリコン窒化膜(不図示)を、薬液200で一括して選択的にエッチングするバッチ式のウェットエッチング処理装置である。本実施形態に係る基板処理装置1は、処理槽11と、配管12と、ポンプ13と、複数の棒状体14a~14cと、を備える。
【0009】
処理槽11は、内槽111および外槽112を有する。内槽111には、薬液200が貯留される。本実施形態では、150℃~170℃に加熱された高温のリン酸溶液が内槽111に貯留される。外槽112は、内槽111からオーバーフローした薬液200を回収する。
【0010】
配管12は、外槽112の底部および内槽111の底部に連通して、内槽111と外槽112との間で薬液200を循環させる。外槽112に流出した薬液200は、配管12の吐出口12aを通じて内槽111に還流される。
【0011】
ポンプ13は、配管12に設けられている。ポンプ13は、外槽112から薬液200を吸引し、吸引した薬液200を加圧する。これにより、外槽112に回収された薬液200が配管12の吐出口12aを通じて内槽111へ吐出される。
【0012】
図2は、半導体基板100の支持形態を簡略的に示す斜視図である。内槽111では、3本の棒状体14a~14cが、Y方向に列状に並べられた複数の半導体基板100を支持する。各棒状体は、リフタ15からY方向に延び、例えば石英を用いて形成することができる。棒状体14aおよび棒状体14bは、半導体基板100の中心Cを通ってZ方向に延びる中心軸に対して対称に配置されている。また、棒状体14cは、棒状体14aと棒状体14bとの間における上記中心軸上に配置されている。
【0013】
リフタ15は、駆動機構16によって、駆動される。駆動機構16は、例えば、モータおよびそのモータの駆動回路等で構成される。駆動機構16がリフタ15をZ方向に昇降させると、棒状体14a~14cに支持された半導体基板100を、内槽111に自動的に搬入および搬出することができる。
【0014】
図3は、図2に示す領域Aを拡大した側面図である。図3に示すように、棒状体14bには、複数の凹部141が、Y方向に沿って設けられている。各凹部141には、半導体基板100が一つずつ挿入される。各凹部141の底部には、複数の弾性体142が設けられている。
【0015】
図4は、弾性体142を拡大した斜視図である。各凹部141の底部では、複数の弾性体142が、Y方向およびZ方向に直交するX方向に沿って並べられている。各弾性体142は、例えばフッ素樹脂またはゴムといった弾性材料を用いてフィン状に形成されている。
【0016】
また、半導体基板100を、その中心Cを通りY方向に延びる回転軸を中心にして一方向に回転させるために、弾性体142は、その下端部からその上端部に向かって回転方向に傾斜している。凹部141および弾性体142は、棒状体14bだけでなく棒状体14aおよび棒状体14cにも設けられている。
【0017】
以下、本実施形態に係る基板処理装置1を用いた半導体装置の製造工程について説明する。具体的には、電極層が積層された3次元積層型半導体記憶装置の製造工程の一部について説明する。
【0018】
図5Aは、エッチング前の半導体装置の平面図である。図5Bは、図5Aに示す切断線B-Bに沿った断面図である。また、図6は、エッチング後の半導体装置の断面図である。
【0019】
図5Bに示すように、半導体基板100上には、窒化シリコン膜101と酸化シリコン膜102とが交互に積層されている。窒化シリコン膜101と酸化シリコン膜102とからなる積層体は、スリット103によって分断されている。また、この積層体には、複数の柱状のメモリ膜104が形成されている。
【0020】
駆動機構16がリフタ15を駆動して半導体基板100を内槽111に貯留された薬液200に浸漬させると、薬液200がスリット103から積層体内に浸入する。その結果、図6に示す断面図のように、窒化シリコン膜101が酸化シリコン膜102に対して選択的にエッチングされる。窒化シリコン膜101のエッチングが終了すると、リフタ15によって半導体基板100は、内槽111から搬出される。その後、窒化シリコン膜101のエッチング箇所には、例えばタングステン(W)を含む導電膜が成膜される。この導電膜の一部は、ワードラインとして機能する。
【0021】
以下、図7A図7Cを参照して、上述した窒化シリコン膜101のエッチング中における半導体基板100の動きについて説明する。
【0022】
内槽111には、配管12の吐出口12aから吐出される薬液200によって、内槽111の底部と上部との間で薬液200の流れが発生する(図1参照)。この薬液200の流れによって、まず、図7Aに示すように、半導体基板100には、鉛直方向下向きの力が加えられる。
【0023】
上記力によって半導体基板100の外周部が弾性体142に接する位置まで下降すると、弾性体142が傾斜しているため、図7Bに示すように、半導体基板100は、弾性体142の傾斜に沿って方向Rに回転する。
【0024】
次に、図7Cに示すように、半導体基板100は、薬液200の流れによって生じた鉛直方向上向きの力によって上昇する。このとき、弾性体142は、弾性変形して図7Aに示す形状に戻る。その後、図7A図7Cに示す半導体基板100の回転が繰り返される。
【0025】
以上説明した本実施形態によれば、棒状体14a~14cに設けられた凹部141および弾性体142から成る変換機構が、薬液の200の流れによって半導体基板100に加えられた鉛直方向の振動を、中心Cを回転軸とする半導体基板100の回転に変換する。これにより、半導体基板100表面全体が、周期的に薬液200の流速が大きい吐出口12a付近を通過するため、結果的に薬液200の流れが均一化される。よって、窒化シリコン膜101が、半導体基板100内で均一にエッチングされる。
【0026】
また、本実施形態では、モータ等の大規模な機構ではなく、凹部141および弾性体142といった簡易な機構で半導体基板100を回転させている。したがって、半導体基板100面内における薬液処理の均一性を容易に向上させることが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態では、エッチング処理中に駆動機構16がリフタ15を鉛直方向(Z方向)および水平方向(X方向)に振動させてもよい。この場合、半導体基板100の振動の振幅および周波数を駆動機構16で調整することができるため、半導体基板100の回転動作の制御性が向上する。
【0028】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。本実施形態では、棒状体14a~14cの構造が第1実施形態と異なる。そのため、以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0029】
図8は、第2実施形態に係る基板処理装置の要部を拡大した側面図である。図8は、図2に示す領域Aの拡大図に対応する。図8に示すように、本実施形態に係る棒状体14bでは、第1実施形態と同様に複数の凹部141がY方向に沿って設けられている一方で、各凹部141の底部には、複数の突起部143が設けられている。
【0030】
図9は、突起部143を拡大した斜視図である。各凹部141の底部では、複数の突起部143が、X方向に沿って並べられている。各突起部143は、例えば、薬液200に対する耐性を有する石英等を用いて山脈状に形成されている。また、各突起部143の斜面(稜線)は、半導体基板100を一方向に回転させるために、回転方向に傾斜している。この突起部143は、棒状体14bだけでなく棒状体14aおよび棒状体14cにも設けられている。
【0031】
本実施形態に係る基板処理装置でも、第1実施形態で説明した窒化シリコン膜101を選択的にエッチングすることができる。以下、図10A図10Cを参照して、上記窒化シリコン膜101のエッチング中における半導体基板100の動きについて説明する。
【0032】
図10Aに示すように、半導体基板100の外周部が突起部143の頂部(先端部)に接触しているとき、内槽111の底部と上部との間で発生する薬液200の流れによって、水平方向または鉛直方向の振動が半導体基板100に加えられる。
【0033】
半導体基板100に上記振動が加えられたとき、図10Bに示すように、突起部143の斜面は、一方向に傾斜しているため、この一方向と反対の時計回りR1への半導体基板100の回転は、阻止される。その一方で、突起部143は、図10Cに示すように、一方向と同じ時計回りR2への半導体基板100の回転を促す。このようにして、半導体基板100は、反時計回りR2への回転を繰り返す。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、棒状体14a~14cに設けられた凹部141および突起部143から成る変換機構が、薬液の200の流れによって半導体基板100に加えられた鉛直方向または水平方向の振動を、中心Cを回転軸とする半導体基板100の回転に変換する。これにより、半導体基板100表面全体が、周期的に薬液200の流速が大きい吐出口12a付近を通過するため、結果的に薬液200の流れが均一化される。よって、窒化シリコン膜101が、半導体基板100内で均一にエッチングされる。
【0035】
また、本実施形態においても、上記変換機構は、凹部141および突起部143といった簡易な構成となっている。したがって、半導体基板100面内における薬液処理の均一性を容易に向上させることが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。本実施形態では、棒状体14a~14cの配置が第1実施形態と異なる。そのため、以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0037】
図11は、第3実施形態に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。図11では、基板処理装置のうち、棒状体14a~14c以外の構成要素については、記載を省略している。
【0038】
図11に示すように、本実施形態では、棒状体14aおよび棒状体14bは、半導体基板100の中心Cを通ってZ方向に延びる中心軸に対して非対称に配置されている。また、棒状体14cは、棒状体14aと棒状体14bとの間における上記中心軸から外れた位置に配置されている。すなわち、棒状体14aから棒状体14cまでの直線距離は、棒状体14bから棒状体14cまでの直線距離と異なっている。
【0039】
上記のような配置構成により、棒状体14a~棒状体14cのうち、2本の棒状体が同時に半導体基板100を支持する。ただし、棒状体14aおよび棒状体14bは異時に半導体基板100を支持し、かつ、棒状体14cは棒状体14aまたは棒状体14cのいずれかと同時に半導体基板100を支持する。
【0040】
図12は、棒状体14a~14cの側面図である。図12に示す棒状体14a~14cには、第1実施形態で説明した凹部141が形成されている一方で弾性体142は形成されていない。
【0041】
本実施形態に係る基板処理装置でも、第1実施形態で説明した窒化シリコン膜101を選択的にエッチングすることができる。以下、図13A図13Cを参照して、上記窒化シリコン膜101のエッチング中における半導体基板100の動きについて説明する。
【0042】
棒状体14aおよび棒状体14cが半導体基板100の外周部に接しているときに(図11参照)、内槽111内で鉛直方向上向きの薬液200の流れが発生すると、図13Aに示すように、半導体基板100は凹部141を乗り越えない範囲で浮遊(上昇)する。このとき、半導体基板100の-X方向(図13Aでは左側)への水平移動は、棒状体14aによって阻止される。そのため、図13Bに示すように、半導体基板100は、+X方向(図13Aでは右側)へ水平移動して、棒状体14bおよび棒状体14cに支持される。
【0043】
棒状体14bと棒状体14cとの間隔は、棒状体14aと棒状体14cとの間隔よりも狭いため半導体基板100は不安定な状態となる。そのため、半導体基板100は、方向Rに回転して、棒状体14aおよび棒状体14cに再び支持される。
その後、図13A図13Cに示す半導体基板100の回転が繰り返される。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、3本の棒状体14a~14cから成る変換機構が、薬液の200の流れによって半導体基板100に加えられた鉛直方向の振動を、水平方向の移動を振動と回転との間に挟みながら半導体基板100の回転に変換する。これにより、半導体基板100表面全体が、周期的に薬液200の流速が大きい吐出口12a付近を通過するため、結果的に薬液200の流れが均一化される。よって、窒化シリコン膜101が、半導体基板100内で均一にエッチングされる。
【0045】
また、本実施形態では、各棒状体の凹部141の底部に弾性体142を設置する必要がない。したがって、半導体基板100の振動を回転に変換する変換機構をより簡素な構成とすることができる。
【0046】
(第1変形例)
図14は、第1変形例に係る基板処理装置の構成を概略的に示す模式図である。図1に示す基板処理装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
本変形例に係る基板処理装置1aは、上述した基板処理装置1の構成要素に加えて、配管17および気泡発生器18をさらに備える。配管17の一端には、内槽111と連通する吐出口17aが設けられている。吐出口17aは、配管12の吐出口12aと同様に、内槽111の底部に配置されている。なお、図14には、4つの吐出口17aが示されているが、吐出口17aの数は特に制限されない。
【0048】
気泡発生器18は、配管17内に窒素ガスを流す。この窒素ガスが吐出口17aから吐出されると、薬液200内に気泡300が生成される。気泡300は、吐出口12aから吐出された薬液200とともに内槽111内の薬液200を撹拌するため、半導体基板100は振動しやすくなる。半導体基板100の振動は、第1実施形態~第3実施形態でそれぞれ説明した棒状体14a~14cに設けられた変換機構(凹部141、弾性体142、突起部143)によって半導体基板100の回転に変換される。
【0049】
このとき、本変形例では、気泡発生器18がガス流量を調整してもよい。例えば、図14の左側に配置された吐出口17aから図14の右側に配置された吐出口17aの順にガス流量を増加させると、右側の吐出口17aからより多くの気泡300が生成されるため、半導体基板100が方向Rへ回転しやすくなる。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、気泡発生器18が薬液200内に気泡300を生成することによって、半導体基板100の振動をアシストすることができる。さらに、気泡発生器18が気泡300の生成箇所を制御することによって、半導体基板100の回転もアシストすることが可能となる。
【0051】
(第2変形例)
図15は、第2変形例に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。本変形例に係る基板処理装置1bには、棒状体14c~14eがさらに設けられている。なお、基板処理装置1bは、棒状体14c~14eのうちの全ての棒状体を備えている必要はなく、少なくとも1つの棒状体を備えていてもよい。また、図15では、基板処理装置1bのうち、棒状体14a~14e以外の構成要素については、記載を省略している。
【0052】
棒状体14c~14eは、第1実施形態または第2実施形態で説明した棒状体14a~14cと同じ構造を有する。すなわち、棒状体14c~14eには、複数の凹部141が形成され、各凹部141の底部には、複数の弾性体142または複数の突起部143が設置されている。
【0053】
棒状体14cおよび棒状体14dは、内槽111の内側面111aに設けられ、X方向で互いに対向している。一方、棒状体14eは、内槽111の蓋部111bに設けられ、棒状体14cとZ方向で対向している。半導体基板100の外周部が、棒状体14c~14eに設けられた弾性体142または突起部143に接すると、弾性体142または突起部143は、半導体基板100を方向Rに回転させる。
【0054】
したがって、本変形例によれば、半導体基板100の振動を回転に変換する変換機構の数が、第1実施形態および第2実施形態に比べて増加する。これにより、半導体基板100がより円滑に回転するため、薬液処理の均一性をより向上させることが可能となる。
【0055】
(第3変形例)
図16は、第3変形例に係る基板処理装置の要部を示す正面図である。図16では、基板処理装置のうち、棒状体14a~14c以外の構成要素については、記載を省略している。
【0056】
本変形例では、棒状体14aおよび棒状体14bは、第3実施形態と同様に、半導体基板100の中心Cに対して非対称に配置されている。また、棒状体14cは、棒状体14aと棒状体14bとの間における上記中心軸から外れた位置に配置されている。すなわち、棒状体14aから棒状体14cまでの直線距離は、棒状体14bから棒状体14cまでの直線距離と異なっている。
【0057】
ただし、本変形例では、棒状体14cから棒状体14aまでの高さ(Z方向の距離)は、棒状体14cから棒状体14bまでの高さと異なっている。このような配置構成であっても、棒状体14a~棒状体14cのうち、棒状体14aおよび棒状体14bは異時に半導体基板100を支持し、かつ、棒状体14cは棒状体14aまたは棒状体14cのいずれかと同時に半導体基板100を支持することができる。
【0058】
したがって、本変形例においても、棒状体14a~棒状体14cは、第3実施形態と同様に半導体基板100に加えられた鉛直方向の振動を、水平方向の移動を振動と回転との間に挟みながら半導体基板100の回転に変換することができる。これにより、半導体基板100表面の薬液処理を均一化することが可能となる。
【0059】
(第4変形例)
図17は、第4変形例に係る基板処理装置の要部を示す斜視図である。上述した第3実施形態では、2本の棒状体で半導体基板100を支持する。そのため、半導体基板100の支持が不安定になりやすい。
【0060】
そこで、本変形例では、図17に示すように円柱状の棒状体14a~14cの外周面の一部に滑り止めシート19が貼り付けられている。滑り止めシート19は、棒状体14a~14cの摩擦係数よりも大きい材料で形成される。これにより、半導体基板100と棒状体14a~14cの接触箇所は、滑りにくくなる。
【0061】
したがって、本変形例によれば、半導体基板100の支持安定性が向上するため、半導体基板100をスムーズに水平移動および回転移動させることが可能となる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b:基板処理装置
11:処理槽
12、17:配管
12a、17a:吐出口
14a~14c:棒状体
100:半導体基板
141:凹部
142:弾性体
143:突起部
200:薬液
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
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図13A
図13B
図13C
図14
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図17