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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231108BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L29/78 652B
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020153284
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047394
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】前山 賢二
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-060184(JP,A)
【文献】特開2006-173289(JP,A)
【文献】特開2003-101027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、ゲート絶縁層を介して、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域の一部と並ぶゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設けられ、上面が前記第2方向において前記第3半導体領域の上面と並ぶ絶縁部であって、
シリコン及び酸素を含む第1絶縁領域と、
前記第1絶縁領域の上に設けられ、シリコン及び窒素を含む第2絶縁領域と、
を含む、前記絶縁部と、
前記第3半導体領域及び前記絶縁部の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁部は、前記第2絶縁領域の上に設けられた第3絶縁領域をさらに含み、
前記第3絶縁領域は、シリコン及び酸素を含む請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第3半導体領域から離れ、
前記第2絶縁領域は、前記第2方向において、前記第3半導体領域と前記第3絶縁領域との間にさらに設けられ、
前記第1絶縁領域は、前記第2方向において、前記第3半導体領域と前記第2絶縁領域との間にさらに設けられた請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2絶縁領域の前記第1方向における厚さは、前記第1絶縁領域及び前記第3絶縁領域のそれぞれの前記第1方向における厚さよりも小さい請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1導電形の半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第2導電形の半導体領域と、
前記半導体層から前記半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記半導体層の一部及び前記半導体領域と並ぶ開口と、
前記開口の内面及び前記半導体領域の上面に沿って設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上において前記開口の内部に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設けられた第2絶縁層と、
を含む構造体に対して、前記第1絶縁層の表面及び前記第2絶縁層の上面に沿って、シリコン及び窒素を含む第3絶縁層を形成し、
前記第3絶縁層の上に、シリコン及び酸素を含み且つ前記開口を埋め込む第4絶縁層を形成し、
前記第3絶縁層をストッパとして用いて前記第4絶縁層の一部を除去し、その後、前記半導体領域の上部に、第1導電形の不純物をイオン注入し、第1導電形の別の半導体領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。半導体装置のオン抵抗は、低いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-99872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗を低減可能な半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、ゲート電極と、絶縁部と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、ゲート絶縁層を介して、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域の一部と並ぶ。前記絶縁部は、前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2方向において前記第3半導体領域の別の一部と並ぶ。前記絶縁部は、シリコン及び酸素を含む第1絶縁領域と、前記第1絶縁領域の上に設けられ、シリコン及び窒素を含む第2絶縁領域と、を含む。前記第2電極は、前記第3半導体領域及び前記絶縁部の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に半導体装置を表す斜視断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図5】実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図6】実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図7】参考例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図8】参考例に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図9】実施形態の参考例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
図1は、実施形態に半導体装置を表す斜視断面図である。
実施形態に係る半導体装置100は、MOSFETである。図1に表したように、実施形態に係る半導体装置100は、n形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n形ソース領域3(第3半導体領域)、p形コンタクト領域4、n形ドレイン領域5、ゲート電極10、ゲート絶縁層11、絶縁部20、ドレイン電極31(第1電極)、及びソース電極32(第2電極)を含む。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。n形ドリフト領域1からp形ベース領域2に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、n形ドリフト領域1からp形ベース領域2に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、n形ドリフト領域1とp形ベース領域2との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
ドレイン電極31は、半導体装置100の下面に設けられる。n形ドレイン領域5は、ドレイン電極31の上に設けられ、ドレイン電極31と電気的に接続される。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域5の上に設けられている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域5を介してドレイン電極31と電気的に接続されている。n形ドレイン領域5におけるn形不純物濃度は、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度よりも高い。
【0011】
p形ベース領域2は、n形ドリフト領域1の上に設けられている。n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4は、p形ベース領域2の上に設けられている。p形コンタクト領域4は、n形ソース領域3とY方向において並んでいる。n形ソース領域3におけるn形不純物濃度は、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度よりも高い。p形コンタクト領域4におけるp形不純物濃度は、p形ベース領域2におけるp形不純物濃度よりも高い。
【0012】
ゲート電極10は、X方向において、ゲート絶縁層11を介して、n形ドリフト領域1の一部、p形ベース領域2、n形ソース領域3の一部、及びp形コンタクト領域4の一部と並ぶ。絶縁部20は、ゲート電極10の上に設けられる。絶縁部20は、X方向において、n形ソース領域3の別の一部及びp形コンタクト領域4の別の一部と並ぶ。
【0013】
絶縁部20は、第1絶縁領域21、第2絶縁領域22、及び第3絶縁領域23を含む。第1絶縁領域21は、ゲート電極10の上に設けられている。第2絶縁領域22は、第1絶縁領域21の上に設けられている。第3絶縁領域23は、第2絶縁領域22の上に設けられている。
【0014】
ソース電極32は、n形ソース領域3、p形コンタクト領域4、及び絶縁部20の上に設けられ、n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4と電気的に接続されている。p形ベース領域2は、p形コンタクト領域4を介してソース電極32と電気的に接続されている。ソース電極32は、絶縁部20によりゲート電極10とは電気的に分離されている。
【0015】
図示した例では、第3絶縁領域23は、X方向においてn形ソース領域3及びp形コンタクト領域4から離れている。第2絶縁領域22は、n形ソース領域3と第3絶縁領域23との間、及びp形コンタクト領域4と第3絶縁領域23との間にさらに設けられている。第1絶縁領域21は、n形ソース領域3と第2絶縁領域22との間、及びp形コンタクト領域4と第2絶縁領域22との間にさらに設けられている。例えば、第1絶縁領域21は、ゲート電極10の上面、n形ソース領域3の側面、及びp形コンタクト領域4の側面に接する。第1絶縁領域21~第3絶縁領域23のそれぞれの上面は、ソース電極32に接する。
【0016】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n形ソース領域3、p形コンタクト領域4、及びn形ドレイン領域5は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0017】
ゲート電極10は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。ゲート絶縁層11は、シリコン及び酸素を含む。ドレイン電極31及びソース電極32は、チタン、タングステン、及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つの金属を含む。
【0018】
第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23は、シリコン及び酸素を含む。第2絶縁領域22は、シリコン及び窒素を含む。例えば、第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23は、酸化シリコンを含む。第2絶縁領域22は、窒化シリコンを含む。このため、第2絶縁領域22の比誘電率は、第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23のそれぞれの比誘電率よりも高い。第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23は、さらに窒素を含んでも良い。この場合、第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23のそれぞれにおける窒素濃度は、第2絶縁領域22における窒素濃度よりも低い。
【0019】
例えば、p形ベース領域2、ゲート電極10、及び絶縁部20は、X方向において複数設けられている。各p形ベース領域2、各ゲート電極10、及び各絶縁部20は、Y方向に延伸している。複数のp形ベース領域2は、X方向において、複数のゲート電極10と交互に設けられている。n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4は、X方向及びY方向において複数設けられている。X方向において隣り合う絶縁部20同士の間には、複数のn形ソース領域3と複数のp形コンタクト領域4がY方向において交互に設けられている。
【0020】
図2は、実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図1及び図2に表したように、第1絶縁領域21の一部は、Z方向においてゲート電極10と第3絶縁領域23との間に位置する。第2絶縁領域22の一部は、Z方向において、ゲート電極10と第3絶縁領域23との間に位置する。
【0021】
図2に表した、第1絶縁領域21のZ方向における厚さT1、第2絶縁領域22のZ方向における厚さT2、及び第3絶縁領域23のZ方向における厚さT3は、任意である。例えば、厚さT2は、厚さT1及びT3のそれぞれよりも小さい。厚さT1は、第1絶縁領域21の前記一部のZ方向における長さに対応する。厚さT2は、第2絶縁領域22の前記一部のZ方向における長さに対応する。
【0022】
絶縁部20の上面S1は、n形ソース領域3の上面S2及びp形コンタクト領域4の上面とX方向において並ぶ。例えば、これは、絶縁部20の上面S1、n形ソース領域3の上面S2、及びp形コンタクト領域4の上面が、同じ1つの平坦化工程において処理されることに基づく。
【0023】
半導体装置100の動作を説明する。
ドレイン電極31に、ソース電極32に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極10に閾値より高い電圧が印加される。p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成される。電子は、チャネル及びn形ドリフト領域1を通ってドレイン電極31へ流れる。これにより、半導体装置100がオン状態になる。その後、ゲート電極10に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2におけるチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0024】
図3図6は、実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
実施形態に係る半導体装置100の製造方法の一例を説明する。まず、n形半導体層5aとn形半導体層1aとを含む基板Subを用意する。n形半導体層1aは、n形半導体層5aの上に設けられている。基板Subの上面にp形不純物をイオン注入し、p形半導体領域2aを形成する。図3(a)に表したように、反応性イオンエッチング(RIE)により、基板Subの上面に開口OPを形成する。開口OPは、X方向において複数形成され、それぞれの開口OPは、Y方向に延伸している。開口OPは、X方向において、n形半導体層1aの一部及びp形半導体領域2aと並ぶ。n形半導体層1aの表面の一部及びp形半導体領域2aの側面が、開口OPの側壁を構成している。
【0025】
基板Subを熱酸化し、絶縁層11a(第1絶縁層)を形成する。絶縁層11aは、それぞれの開口OPの内面及びp形半導体領域2aの上面に沿って形成される。化学気相堆積(CVD)により、絶縁層11aの上に、複数の開口OPを埋め込む導電層を形成する。ウェットエッチング又はケミカルドライエッチング(CDE)により、導電層の上面がp形半導体領域2aの上面よりも下方に位置するまで、導電層の上面を後退させる。これにより、導電層が複数に分断され、それぞれの開口OPの内部にゲート電極10が形成される。図3(b)に表したように、熱酸化により、それぞれのゲート電極10の上面に絶縁層21a(第2絶縁層)を形成する。
【0026】
CVDにより、絶縁層11aの表面及び複数の絶縁層21aの表面に沿って絶縁層22a(第3絶縁層)を形成する。絶縁層22aは、シリコン及び窒素を含む。図4(a)に表したように、CVDにより、複数の開口OPを埋め込む絶縁層23a(第4絶縁層)を絶縁層22aの上に形成する。絶縁層23aは、シリコン及び酸素を含む。
【0027】
化学機械研磨(CMP)により、絶縁層23aの上面が絶縁層22aの上面と同じ位置に達するまで、絶縁層23aの上面を後退させる。これにより、絶縁層23aが複数に分断され、それぞれの絶縁層21aの上方に絶縁層23bが形成される。絶縁層22aは、絶縁層23aとは異なる材料を含むため、ストッパとして用いることができる。
【0028】
ウェットエッチングにより、絶縁層22aの上面を絶縁層11aの上面よりも下方まで後退させる。これにより、絶縁層22aが複数に分断され、絶縁層21aと23bの間に絶縁層22bがそれぞれ形成される。p形半導体領域2aの上面の一部にn形不純物をイオン注入し、図5(a)に表したように、複数のn形ソース領域3を形成する。p形半導体領域2aの上面の別の一部にp形不純物をイオン注入し、複数のp形コンタクト領域4を形成する。
【0029】
複数のn形ソース領域3及び複数のp形コンタクト領域4が露出するまで、絶縁層11a、絶縁層22b、及び絶縁層23bのそれぞれの一部をCMPにより除去する。これにより、絶縁層11aが複数に分断され、図5(b)に表したように、絶縁層11bが形成される。また、CMPによって平坦化された結果、n形ソース領域3、p形コンタクト領域4、絶縁層11b、絶縁層21a、及び絶縁層22bのそれぞれの上面が、X方向において互いに並ぶ。
【0030】
スパッタリングにより、n形ソース領域3、p形コンタクト領域4、絶縁層11b、21a、22b、及び23bの上に金属層32aを形成する。図6(a)に表したように、スパッタリングにより、金属層32aの上に金属層32bを形成する。金属層32aは、チタン、窒化チタン、又はタングステンを含む。金属層32bは、アルミニウムを含む。
【0031】
形半導体層5aが所定の厚さになるまで、n形半導体層5aの下面を研磨する。図6(b)に表したように、スパッタリングにより、n形半導体層5aの下面に金属層31aを形成する。金属層31aは、アルミニウムを含む。以上により、実施形態に係る半導体装置100が製造される。
【0032】
p形半導体領域2a、n形ソース領域3、及びp形コンタクト領域4以外のn形半導体層1aは、図1に表したn形ドリフト領域1に対応する。n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4以外のp形半導体領域2aは、p形ベース領域2に対応する。研磨後のn形半導体層5aは、n形ドレイン領域5に対応する。絶縁層11bの一部は、ゲート絶縁層11に対応する。絶縁層11bの別の一部及び絶縁層21aは、第1絶縁領域21に対応する。絶縁層22bは、第2絶縁領域22に対応する。絶縁層23bは、第3絶縁領域23に対応する。金属層31aは、ドレイン電極31に対応する。金属層32a及び32bは、ソース電極32に対応する。
【0033】
実施形態に係る半導体装置100による効果を説明する。
図7は、参考例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図7に表した参考例に係る半導体装置100rでは、絶縁部20rがゲート電極10の上に設けられる。絶縁部20rは、第2絶縁領域22を含まない。絶縁部20rの比誘電率は、Z方向において一様である。絶縁部20rは、シリコン及び酸素を含む。
【0034】
半導体装置100及び100rがオン状態のとき、ソース電極32に対してゲート電極10に電圧が印加される。ゲート電極10とソース電極32との間に設けられた絶縁部20及び20rでは、電界が発生する。絶縁部20及び20rのそれぞれのZ方向における厚さは、電界による絶縁破壊が生じないように設計される。
【0035】
半導体装置100と100rを比較すると、半導体装置100では、絶縁部20が第2絶縁領域22を含む。半導体装置100において、第2絶縁領域22の比誘電率は、第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23のそれぞれの比誘電率よりも高い。第2絶縁領域22の比誘電率は、半導体装置100rにおける絶縁部20rの比誘電率よりも高い。このため、絶縁部20において絶縁破壊が生じる電界強度(最大電界強度)は、絶縁部20rにおける最大電界強度よりも高い。半導体装置100と100rにおいてゲート電極10に同じ電圧を印加する場合、絶縁部20のZ方向における厚さは、絶縁部20rのZ方向における厚さよりも小さくできる。絶縁部20のZ方向における厚さが小さくなると、例えば、n形ソース領域3のZ方向における厚さを小さくできる。n形ソース領域3の厚さが小さくなると、n形ソース領域3の電気抵抗を低減できる。この結果、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0036】
また、絶縁部20では、ゲート電極10と第2絶縁領域22との間に第1絶縁領域21が設けられる。第1絶縁領域21の比誘電率は、第2絶縁領域22の比誘電率よりも低い。第1絶縁領域21が設けられることで、ゲート電極10上部の角付近における電界集中を緩和できる。これにより、電界集中による半導体装置100の破壊が生じる可能性を低減できる。
【0037】
第1絶縁領域21~第3絶縁領域23は、X-Y面に沿ってそれぞれ平坦に設けられても良い。好ましくは、図1及び図2に表したように、第3絶縁領域23は、X方向においてn形ソース領域3から離れる。第2絶縁領域22は、X方向において、n形ソース領域3と第3絶縁領域23との間にさらに設けられる。第1絶縁領域21は、X方向において、n形ソース領域3と第2絶縁領域22との間にさらに設けられる。
第2絶縁領域22は、シリコン及び窒素を含み、第1絶縁領域21及び第3絶縁領域23よりも化学的に安定している。図1及び図2に表した構成によれば、第3絶縁領域23に含まれる可動イオンの移動を抑制できる。例えば、可動イオンが、絶縁部20で発生する電界により、ゲート絶縁層11へ移動することを抑制できる。可動イオンは、水素、ナトリウム等である。可動イオンがゲート絶縁層11へ移動すると、ゲート電極10への電圧の印加に応じて、可動イオンがゲート絶縁層11中を移動する。この結果、半導体層100の閾値が変動してチャネルリークが増大する可能性がある。ゲート絶縁層11への可動イオンの移動が抑制されることで、半導体装置100の閾値の変動を抑制でき、半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0038】
実施形態に係る製造方法の利点を説明する。
図8は、参考例に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
参考例に係る半導体装置100rの製造では、まず、図3(a)及び図3(b)に表した工程と同様の工程が実行される。その後、図8(a)に表したように、絶縁層22aを形成せずに、絶縁層23aが形成される。ウェットエッチング又はCDEにより、絶縁層11a及び23aのそれぞれの一部を除去し、p形半導体領域2aを露出させる。これにより、図8(b)に表したように、絶縁層11c及び21cがそれぞれのゲート電極10の周りに形成される。その後、p形半導体領域2aの上面にn形ソース領域3及びp形コンタクト領域4が形成される。
【0039】
参考例に係る製造方法では、p形半導体領域2aを確実に露出させるために、p形半導体領域2aの上面に対して絶縁層11a及び23aをオーバーエッチングする。オーバーエッチングされる絶縁層11a及び23aのZ方向における厚さの分、n形ソース領域3のZ方向における厚さが大きくなる。n形ソース領域3の厚さが大きいほど、n形ソース領域3の電気抵抗が増大し、半導体装置100rのオン抵抗が増大する。
【0040】
実施形態に係る製造方法では、図3(b)に表したように、n形半導体層1a、p形半導体領域2a、絶縁層11a、ゲート電極10、及び絶縁層21aを含む構造体が作製される。図4(a)に表したように、絶縁層11a及び絶縁層21aの上に、絶縁層22a及び23aが形成される。その後、図4(b)に表したように、絶縁層23aの一部が除去される。この際、絶縁層22aをストッパとして用いることができる。このため、p形半導体領域2aの上面に対する絶縁層23aのオーバーエッチングを抑制できる。これにより、n形ソース領域3のZ方向における厚さを小さくできる。この結果、製造される半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0041】
また、参考例に係る製造方法では、n形ソース領域3を形成する際、p形半導体領域2a上部の側面SSが露出している。n形不純物は、露出した側面SSからもイオン注入される。側面SSのZ方向における長さは、オーバーエッチングされる絶縁層11aのZ方向における厚さに対応する。オーバーエッチングされる絶縁層11aの厚さには、ばらつきが生じる。このため、側面SSのZ方向における長さにも、ばらつきが生じる。側面SSの長さがばらつくと、n形ソース領域3のZ方向における厚さがばらつく。この結果、p形半導体領域2aのZ方向における厚さがばらつき、チャネルの電気抵抗がばらつく。
【0042】
実施形態に係る製造方法では、図4(b)に表したように、p形半導体領域2aの表面が絶縁層22aに覆われた状態で、n形ソース領域3が形成される。このため、参考例に係る製造方法に比べて、p形半導体領域2aに注入される不純物量のばらつきを低減できる。この結果、チャネルの電気抵抗のばらつきを低減でき、半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0043】
形ソース領域3を形成する際、図5(a)に表した絶縁層11aと23bとの間の隙間を通して、p形半導体領域2aへn形不純物が注入されうる。この結果、絶縁層11a近傍において、n形ソース領域3が、局所的に深く形成される。すなわち、p形半導体領域2aのZ方向における厚さが局所的に小さくなり、チャネル長が短くなる。チャネル長の変化は、半導体装置100の電気抵抗のばらつきの原因となる。
半導体装置100において、図2に表したように、第2絶縁領域22のZ方向における厚さT2は、第1絶縁領域21のZ方向における厚さT1及び第3絶縁領域23のZ方向における厚さT3のそれぞれよりも小さいことが好ましい。厚さT2が小さいほど、図5(a)に表した工程において、第2絶縁領域22に対応する絶縁層22bの厚さが小さくなる。すなわち、絶縁層22bの上方において、絶縁層11aと23bとの間のX方向における隙間も、小さくなる。n形ソース領域3を形成する際に、絶縁層11aと23bとの間の隙間を通してp形半導体領域2aへn形不純物が注入されることを抑制できる。この結果、p形半導体領域2aのZ方向における厚さのばらつきを低減でき、半導体装置100の電気抵抗のばらつきを低減できる。半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0044】
(変形例)
図9は、実施形態の変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図9に表した半導体装置110では、絶縁部20は、第3絶縁領域23を含まない。半導体装置100において第3絶縁領域23が設けられていた領域には、第2絶縁領域22がさらに設けられている。
【0045】
半導体装置110によれば、半導体装置100と比べて、第2絶縁領域22がより広い領域に設けられる。これにより、絶縁部20の最大電界強度をさらに向上できる。この結果、n形ソース領域3のZ方向における厚さをより小さくでき、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0046】
一方で、絶縁部20が第3絶縁領域23を含む場合、図5(a)に表した工程においてn形ソース領域3を形成する際に、絶縁層22bの上方を通して斜めにp形半導体領域2aへ入射するn形不純物を、絶縁層23bにより遮ることができる。この結果、p形半導体領域2aのZ方向における厚さがばらつきを低減でき、チャネルの電気抵抗のばらつきを低減できる。半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:n形ドリフト領域、 1a:n形半導体層、 2:p形ベース領域、 2a:p形半導体領域、 3:n形ソース領域、 4:p形コンタクト領域、 5:n形ドレイン領域、 5a:n形半導体層、 10:ゲート電極、 11:ゲート絶縁層、 11a~11c:絶縁層、 20、20r:絶縁部、 21:第1絶縁領域、 21a:絶縁層、 22:第2絶縁領域、 22a、22b:絶縁層、 23:第3絶縁領域、 23a、23b、23c:絶縁層、 31:ドレイン電極、 31a:金属層、 32:ソース電極、 32a、32b:金属層、 100、100r:半導体装置、 OP:開口、 Sub:基板
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