(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20231108BHJP
A01D 67/00 20060101ALI20231108BHJP
A01D 69/02 20060101ALI20231108BHJP
A01D 69/00 20060101ALI20231108BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20231108BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A01D41/12 R
A01D41/12 E
A01D67/00 G
A01D69/02
A01D69/00 303Z
A01F12/46
B60K11/04 B
B60K11/04 D
(21)【出願番号】P 2020210674
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
(72)【発明者】
【氏名】丹後 芳史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 諒介
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-110966(JP,A)
【文献】特開平09-144541(JP,A)
【文献】特開平09-049429(JP,A)
【文献】特開2016-043904(JP,A)
【文献】特開2010-178688(JP,A)
【文献】特開2005-287332(JP,A)
【文献】特開2009-207413(JP,A)
【文献】特開2020-089272(JP,A)
【文献】実開昭63-000921(JP,U)
【文献】特開2019-004711(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0098013(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01D 67/00
A01D 69/02
A01D 69/00
A01F 12/46
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席を支持する座席支持台と、
前記座席支持台の下方に設けられ、エンジンを収容するエンジンルームと、
前記エンジンルームにエンジン冷却風を取り入れる取り入れ口を有する状態で前記エンジンルームの機体横外側に設けられた防塵ケースと、が備えられ、
前記防塵ケースの上端位置が前記座席支持台の上端位置と同じ高さになるように構成されて
おり、
前記エンジンルームに、エンジン冷却風を取り入れる回転ファンが設けられており、
前記運転座席の機体横外方において、前記座席支持台の上部に立設されたスイッチ支持台が備えられ、
前記スイッチ支持台に、前記回転ファンを逆回転するように操作する逆転スイッチが設けられており、
前記座席支持台に対して前記防塵ケースが位置する側とは反対側にサイドパネルが設けられており、
前記サイドパネルの上面位置が前記座席支持台の上端位置と同じ高さになるように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記座席支持台の後方に設けられ、脱穀粒が貯留される穀粒タンクと、
前記穀粒タンクに接続され、前記穀粒タンクから脱穀粒を排出する穀粒排出装置と、が備えられ、
前記スイッチ支持台に、前記穀粒排出装置を操作する排出スイッチが設けられている請求項
1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記逆転スイッチは、前記スイッチ支持台の外周面のうちの機体横外向き面部に設けられており、
前記排出スイッチは、前記外周面のうちの機体前向き面部に設けられている請求項
2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記防塵ケースの上部に対して機体横内側に位置する箇所に、ラジエータ給水口が設けられている請求項1から
3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記エンジンルームの後方に設けられ、脱穀粒が貯留される穀粒タンクが備えられ、
前記防塵ケースの後部に、前記穀粒タンクと前記エンジンルームとの間の隙間を機体横外側方から覆うカバー部が備えられている請求項1から
4のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、運転座席を支持する座席支持台と、座席支持台の下方に設けられ、エンジンを収容するエンジンルームと、エンジンルームにエンジン冷却風を取り入れる取り入れ口を有する状態でエンジンルームの機体横外側に設けられた防塵ケースと、が備えられたものがある。この種のコンバインとしては、たとえば特許文献1に示されるものがある。特許文献1に示されるコンバインでは、座席支持台としてのボンネットが備えられ、防塵ケースとしての防塵カバーが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の場合、運転座席から機体横外側を見ようとしても、機体の横外側近くなど見ようとする箇所によっては、防塵ケースが障害物になって見難くて機体を操縦し難いことがある。
【0005】
本発明は、エンジン冷却風への塵埃混入を防塵ケースによって防止できながら、機体操縦を行い易いコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
運転座席を支持する座席支持台と、前記座席支持台の下方に設けられ、エンジンを収容するエンジンルームと、前記エンジンルームにエンジン冷却風を取り入れる取り入れ口を有する状態で前記エンジンルームの機体横外側に設けられた防塵ケースと、が備えられ、前記防塵ケースの上端位置が前記座席支持台の上端位置と同じ高さになるように構成されており、前記エンジンルームに、エンジン冷却風を取り入れる回転ファンが設けられており、前記運転座席の機体横外方において、前記座席支持台の上部に立設されたスイッチ支持台が備えられ、前記スイッチ支持台に、前記回転ファンを逆回転するように操作する逆転スイッチが設けられており、前記座席支持台に対して前記防塵ケースが位置する側とは反対側にサイドパネルが設けられており、前記サイドパネルの上面位置が前記座席支持台の上端位置と同じ高さになるように構成されている。
【0007】
本構成によると、運転座席から機体横外側を見通すことに対する障害に防塵ケースがなり難いので、エンジンルームに取り入れられるレンジン冷却風に塵埃が混入することを防塵ケースによって防止できながら、運転座席から機体横外側を見通し易くて機体の操縦を行い易い。
【0008】
【0009】
本構成によると、回転ファンが逆転すると、回転ファンからの風が防塵ケースに対して内側から外側に向いて当り、防塵ケースに付着している塵埃が回転ファンからの風によって除去される。機体横外側から逆転スイッチを操作することに対する障害に防塵ケースがなり難いので、さらに座席支持台の上部よりも高い位置に逆転スイッチが位置するので、作業中断時など、機体横外側から逆転スイッチを容易に操作できて回転ファンによる防塵ケースの塵埃除去を行わせ易い。
【0010】
本発明においては、
前記座席支持台の後方に設けられ、脱穀粒が貯留される穀粒タンクと、前記穀粒タンクに接続され、前記穀粒タンクから脱穀粒を排出する穀粒排出装置と、が備えられ、前記スイッチ支持台に、前記穀粒排出装置を操作する排出スイッチが設けられていると好適である。
【0011】
本構成によると、機体横外側から排出スイッチを操作することに対する障害に防塵ケースがなり難いので、さらに座席支持台の上部よりも高い位置に排出スイッチが位置するので、機体横側方に位置する運搬車の荷台などに穀粒タンクの穀粒を排出する作業を運転部から降りて行う際、機体横外側から排出スイッチを容易に操作できて排出作業を行い易い。
【0012】
本発明においては、
前記逆転スイッチは、前記スイッチ支持台の外周面のうちの機体横外向き面部に設けられており、前記排出スイッチは、前記外周面のうちの機体前向き面部に設けられていると好適である。
【0013】
本構成によると、逆転スイッチを機体横外側から操作し易いので、作業中断時など、機体横外側から回転ファンを逆転させて防塵ケースの塵埃除去を行わせるのに都合がよい。
排出スイッチを運転部から操作し易いので、穀粒排出装置を運転部から見ながら操作して穀粒タンクの穀粒を排出する作業を行い易い。
【0014】
本発明においては、
前記防塵ケースの上部に対して機体横内側に位置する箇所に、ラジエータ給水口が設けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、機体横外側からラジエータ給水口に注水することに対する障害に防塵ケースがなり難いので、ラジエータに給水する作業を行い易い。
【0016】
本発明においては、
前記エンジンルームの後方に設けられ、脱穀粒が貯留される穀粒タンクが備えられ、前記防塵ケースの後部に、前記穀粒タンクと前記エンジンルームとの間の隙間を機体横外側方から覆うカバー部が備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、防塵ケースの後部にカバー部を備えるだけの構造簡単なカバー構造によって穀粒タンクとエンジンルームとの間の隙間をカバーできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、
図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、
図1に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、
図2に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0020】
〔コンバインの全体の構成〕
図1,2に示されるように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1によって支持される走行機体2を備えている。走行機体2は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム3を備えている。クローラ走行装置1は、機体フレーム3の下部に備えられている。走行機体2の前部に、運転部4、原動部5および刈取搬送部6が設けられている。運転部4および原動部5は、走行機体2の前部における横一端側の箇所に設けられ、刈取搬送部6は、走行機体2の前部における運転部側とは反対側の箇所に設けられている。運転部4には、運転座席7、搭乗空間の上方を覆う日除け8が備えられている。原動部5には、エンジン9が備えられている。刈取搬送部6には、刈取搬送部6の前部に設けられた刈取部6Aと、刈取部6Aの後部から後向きに延ばされたフィーダ10と、が備えられている。刈取部6Aにおいては、圃場の稲、麦などの作物の穂先側が回転リール11によって後方に掻き込まれ、掻き込まれた作物の株元がバリカン型の刈取装置12によって切断されて作物の刈取りが行われ、刈り取られた作物が横送りオーガ13によってフィーダ10に対する供給箇所に横搬送される。フィーダ10は、横送りオーガ13から作物を受け入れ、受け入れた作物を後上方に搬送する。フィーダ10には、搬送する作物に混入している切れワラなどの塵埃を回転ファンによる送風作用によって吸引して排出する排塵装置10Aが備えられている。刈取搬送部6は、フィーダ10の下部に連結された昇降シリンダ(図示せず)の伸縮作動によって下降作業状態と上昇非作業状態とにわたって揺動昇降操作される。機体フレーム3の後部に、脱穀装置15と穀粒タンク16とが横並び状態で支持されている。脱穀装置15は、フィーダ10の後方に配置されている。穀粒タンク16は、運転部4の後方に配置されている。脱穀装置15の横外側方に、脱穀カバー17が設けられている。脱穀カバー17は、複数枚の分割カバーに分割可能に構成されている。穀粒タンク16の下部の横外側方に、タンクカバー18が設けられている。脱穀装置15は、フィーダ10からの作物を受け入れて脱穀処理し、脱穀処理によって得られた穀粒を切れワラなどの塵埃と選別する選別処理を行う。脱穀装置15は、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が扱室に投入されるように全稈投入型に構成されている。穀粒タンク16は、脱穀装置15によって選別処理された穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク16の後部に、穀粒タンク16に貯留された穀粒を排出する穀粒排出装置19が接続されている。穀粒タンク16は、穀粒排出装置19に備えられた縦搬送部19Aの軸芯を揺動支点にして走行機体2の横外側に張り出たメンテナンス用の開き姿勢と、運転部4の後方に前後向きに位置した作業用の閉じ姿勢とに姿勢変更可能に支持されている。
【0021】
〔穀粒排出装置の構成〕
図1,2に示されるように、穀粒排出装置19は、穀粒タンク16の後方に機体上下方向に延びる状態で設けられた縦搬送部19Aと、縦搬送部19Aの上端部から上下揺動可能に延ばされた横搬送部19Bと、を有している。縦搬送部19Aの下部と穀粒タンク16の後下部とが接続ケース20を介して接続されている。縦搬送部19Aは、穀粒タンク16から接続ケース20に排出された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を揚送する。穀粒タンク16からの穀粒の排出は、穀粒タンク16の底部内に設けられた底スクリュー(図示せず)によって行われる。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aによって揚送された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を横搬送して横搬送部19Bの延伸端部に備えられている吐出筒22から吐出する。
【0022】
図1に示されるように、縦搬送部19Aの途中箇所に、旋回駆動機構23が連結されている。旋回駆動機構23は、カバー24によって覆われている。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aが旋回駆動機構23によって接続ケース20に対して回転操作されることにより、縦搬送部19Aの軸芯を旋回中心にして旋回操作される。
図1,2に示されるように、横搬送部19Bの基部に起伏シリンダ25が連結されている。横搬送部19Bは、起伏シリンダ25の伸縮作動によって縦搬送部19Aに対して上下に揺動操作される。
【0023】
〔運転部の構成〕
図3,4,5,6に示されるように、運転部4は、運転部4の後部に設けられた運転座席7、運転座席7の前下方に設けられた運転部床30、運転座席7の前方に立設された操縦塔31、運転部4における乗降口側とは反対側の側部に立設されたサイド操作ボックス32を備えている。
【0024】
図4,6に示されるように、操縦塔31に、走行機体2の操向操作および刈取搬送部6の昇降操作を行う操作レバー29が設けられている。
図6,7に示されるように、サイド操作ボックス32は、サイド操作ボックス32の上部に設けられたサイドパネル32aを備えている。
図6に示されるように、サイドパネル32aの後部に、脱穀クラッチレバー33、刈取りクラッチレバー34およびアクセルレバー35が設けられている。サイドパネル32aの前部に、走行用の変速レバー36および走行機体2の旋回モードを急旋回モードと緩旋回モードとに切り換える旋回モードレバー37が設けられている。
図5に示されるように、サイド操作ボックス32における側板部に、サイド操作ボックス32の内外間の通気を可能にする通気口38が形成されている。
図3,5,7に示されるように、サイド操作ボックス32における後部に、排気マフラー39の放熱の運転座席側への伝達を防止する遮熱部材40が設けられている。
【0025】
運転座席7は、
図3,7に示されるように、座席支持台41dに支持されている。座席支持台41dは、エンジンルーム41の上に設けられている。運転座席7の座席支持台41dへの支持は、運転座席7の下部に備えられた支軸7aを座席支持台41dに備えられた支持部41eに連結することによって行われている。座席支持台41dは、エンジンルーム41を形成する後述の構造体を介して機体フレーム3に支持されている。
図8に示されるように、座席支持台41dの後部が機体フレーム3の左右2箇所に立設された支柱41cに支持されている。
【0026】
図3,4,6,7に示されるように、運転座席7よりも機体横外側において、座席支持台41dの上部にスイッチ支持台42が立設されている。
図3,6,7に示されるように、スイッチ支持台42に、カップホルダー43、および、穀粒排出装置19を操作する排出スイッチ44が設けられている。本実施形態では、
図3,4,6,7に示されるように、スイッチ支持台42の外周面に、機体横外向き面部42a、上向き面部42bおよび機体前向き面部42cが備えられている。機体前向き面部42cは、前下がり傾斜にされている。カップホルダー43は、上向き面部42bに設けられ、排出スイッチ44は、機体前向き面部42cに設けられている。排出スイッチ44は、穀粒排出装置19を運転部4から見ながら操作する際、操作し易い。排出スイッチ44には、旋回駆動機構23を操作することによって横搬送部19Bを旋回操作する旋回スイッチ44a、起伏シリンダ25を操作することによって横搬送部19Bを昇降操作する昇降スイッチ44bが備えられている。
【0027】
〔原動部の構成〕
図5,7,8に示されるように、原動部5は、座席支持台41dの下方に設けられたエンジンルーム41を備えている。エンジンルーム41は、
図5,7,8に示されるように、ラジエータ支持枠によって構成される横縦壁部41a、前縦壁部41b、横縦壁部41aおよび前縦壁部41bの上部に連結された座席支持台41d、サイドパネル32aの後部などによって形成されている。エンジンルーム41は、機体横外側および機体横内側に向けて開口されている。エンジンルーム41に、エンジン9、エンジン冷却用のラジエータ50、および、排気マフラー39が収容されている。排気マフラー39は、サイドパネル32aの後部の下方に位置している。排気マフラー39は、
図5に示されるように、ステー49を介してエンジン9に支持されている。エンジンルーム41の後部の外側に、エンジン用のエアクリーナ47が設けられている。エアクリーナ47は、
図4,6に示されるように、運転座席7よりも後側において、座席支持台41dの上方に設けられている。
エアクリーナ47は、
図4,8に示されるように、支持台48を介して座席支持台41dの上部に支持されている。
【0028】
図7,8に示されるように、ラジエータ50は、エンジン9よりも機体横外側に設けられている。ラジエータ50とエンジン9との間に回転ファン51およびファンシュラウド52が設けられている。エンジンルーム41の機体横外側に防塵ケース53が設けられ、エンジン9の冷却を可能にされている。
【0029】
すなわち、
図8に示されるように、ラジエータ50に接続管54を介して給水口部材55が接続され、給水口部材55によってラジエータ給水口56が形成されている。ラジエータ給水口56は、
図4,6,8に示されるように、防塵ケース53の上部に対して機体横内側に位置する箇所に設けられている。
図3,4に示されるように、防塵ケース53の前部と横縦壁部41aとにわたってヒンジ部材63が連結され、防塵ケース53は、ヒンジ部材63の機体上下向きのヒンジ軸芯を揺動支点にして揺動開閉可能な状態で支持されている。ラジエータ給水口56には、防塵ケース53を閉じたままにしても、防塵ケース53の上方から楽に注水できる。
【0030】
図7,8に示されるように、ラジエータ50および回転ファン51は、防塵ケース53に対してエンジン側に配置されている。回転ファン51は、伝動ベルト57を介してエンジン9の出力軸9aに連動連結されている。
【0031】
防塵ケース53は、
図3,4,7,8に示されるように、縦壁部53Aと、縦壁部53Aの周縁部からエンジンルーム側に延ばされた周壁部53Bと、を備えている。周壁部53Bは、縦壁部53Aの全周囲に亘って備えられている。縦壁部53Aに、エンジン冷却風の取り入れを可能にする取り入れ口58が設けられている。取り入れ口58は、
図3,4,7に示されるように、縦壁部53Aの上下2箇所に設けられている。上下の取り入れ口58には、エンジン冷却風の通過を許容し、ワラ屑などの塵埃の通過を阻止する複数の通気孔を有する防塵部材59が備えられている。ラジエータ50に取り入れられるエンジン冷却風からワラ屑などの塵埃が防塵ケース53のうちの防塵部材59によって除去される。
【0032】
回転ファン51がエンジン9によって駆動され、回転ファン51の送風作用により、原動部5の外部からエンジンルーム41に防塵ケース53の取り入れ口58を介してエンジン冷却風が取り入れられる。エンジン冷却風が取り入れ口58を通る際、防塵部材59によってワラ屑などの塵埃の除去が行われる。取り入れられたエンジン冷却風がラジエータ50に供給され、ラジエータ50に位置するエンジン冷却水がエンジン冷却風によって冷却されて冷却されたエンジン冷却水によってエンジン9の冷却が行われる。
【0033】
回転ファン51は、ラジエータ50にエンジン冷却風を取り入れる正回転と、防塵ケース53に向けて送風する逆回転とに切り換えて駆動可能に構成されている。
図3,4,7に示されるように、回転ファン51が正転駆動されるように操作する正転スイッチ60、および、回転ファン51が逆転駆動されるように操作する逆転スイッチ61がスイッチ支持台42に設けられている。本実施形態では、正転スイッチ60および逆転スイッチ61は、スイッチ支持台42の外周面のうちの機体横外向き面部42aに設けられている。
【0034】
具体的には、エンジン9の出力軸9aの動力を回転ファン51に伝達して回転ファン51を正転駆動する正転駆動の伝動ベルト57と、正転駆動の伝動ベルト57の動力を逆転動力に変換して回転ファン51に伝達して回転ファン51を逆転駆動する逆転駆動の伝動ベルト62と、が回転ファン51に連結されている。正転駆動の伝動ベルト57および逆転駆動の伝動ベルト62に、伝動ベルト57と伝動ベルト62とを択一的に伝動状態に操作する正逆転切換機構(図示せず)が連係されている。正逆転切換機構を電動アクチュエータ(図示せず)によって操作するように構成され、電動アクチュエータにファン制御機構(図示せず)が連係されている。ファン制御機構は、脱穀装置15が駆動されている間、定期的に回転ファン51が逆転駆動されるように電動アクチュエータを制御するように構成されている。脱穀装置15が駆動されると、脱穀装置15が駆動されている間、自動的かつ定期的に、回転ファン51が逆転駆動されて回転ファン51の逆転風が防塵ケース53に向けて供給され、取り入れ口58に付着していた塵埃が逆転風によって除去される。本実施形態では、回転ファン51の逆転駆動は、3分に1度の頻度で行われる。
【0035】
正転スイッチ60および逆転スイッチ61は、ファン制御機構に連係されている。ファン制御機構は、正転スイッチ60が操作されると、脱穀装置15が停止されていても、回転ファン51が正転駆動されるように電動アクチュエータを制御し、逆転スイッチ61が操作されると、脱穀装置15が停止されていても、回転ファン51が逆転駆動されるように電動アクチュエータを制御するように構成されている。
【0036】
作業中断時など、脱穀装置15が停止している状態において、正転スイッチ60を操作することにより、回転ファン51が正転駆動されてラジエータ50にエンジン冷却風が供給され、逆転スイッチ61を操作することにより、回転ファン51が逆転駆動されて防塵ケース53に回転ファン51による逆転風が供給され、取り入れ口58に付着していたワラ屑などの塵埃を逆転風によって除去する防塵ケース53の清掃が行われる。
【0037】
防塵ケース53は、
図4,7,8に示されるように、防塵ケース53の上端53tの位置が座席支持台41dの上端41tの位置と同じになるように構成されている。運転座席7から機体横外側を見通す際、正転スイッチ60、逆転スイッチ61、排出スイッチ44を機体横外側から操作する際、防塵ケース53が障害になり難い。防塵ケース53の上端53tの位置を座席支持台41dの上端41tの位置と同じにするとは、防塵ケース53の上端53tの位置が座席支持台41dの上端41tの位置よりも少し低い、あるいは、少し高い状態、すなわち、防塵ケース53の上端53tの位置と、座席支持台41dの上端41tの位置とがほぼ同じ状態を含む。
【0038】
図4に示されるように、穀粒タンク16の前壁部16Fは、下部16dが上部16uよりも後側に位置するように構成され、穀粒タンク16のうちの下部16dと、エンジンルーム41との間に、隙間Sが設けられている。
図4に示されるように、防塵ケース53の後部に、隙間Sのうちの前側部分を横外側方から覆うカバー部53Kが備えられている。
タンクカバー18の前部に、隙間Sのうちの後側部分を横外側方から覆うカバー部18Kが備えられている。
【0039】
図3,4に示されるように、防塵ケース53は、防塵ケース53の前部に連結されたヒンジ部材63の機体上下向きのヒンジ軸芯を揺動支点にして揺動開閉可能な状態で支持されている。
図6,8に示されるように、防塵ケース53のうちのカバー部53Kよりも内側の部位に、防塵ケース53を閉じ姿勢に固定するロック機構64が設けられている。
図3、4に示されるように、防塵ケース53におけるカバー部53Kに、ロック機構64の掛け外し操作を行うための開口65が形成されている。
【0040】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、逆転スイッチ61、正転スイッチ60および排出スイッチ44を設けた例を示したが、逆転スイッチ61、正転スイッチ60および排出スイッチ44を設けないものであってもよい。
【0041】
(2)上記した実施形態では、防塵ケース53にカバー部53K備えた例を示したが、カバー部53Kを備えないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、座席支持台、座席支持台の下方に設けられてエンジンを収容するエンジンルーム、エンジンルームの機体横外側に設けられた防塵ケースを備えるコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0043】
7 運転座席
9 エンジン
16 穀粒タンク
19 穀粒排出装置
32a サイドパネル
41 エンジンルーム
41d 座席支持台
42 スイッチ支持台
42a 機体横外向き面部
42c 機体前向き面部
44 排出スイッチ
51 回転ファン
53 防塵ケース
53K カバー部
56 ラジエータ給水口
58 取り入れ口
61 逆転スイッチ
S 隙間