(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】船で輸送されるインターモーダルコンテナを一緒にロックする方法および結合手段
(51)【国際特許分類】
B65D 90/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B65D90/00 F
(21)【出願番号】P 2020521343
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 FI2018050771
(87)【国際公開番号】W WO2019081810
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-07
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520126550
【氏名又は名称】マックグレゴール フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】オストベルク ユハナ
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/026849(WO,A1)
【文献】特表2006-523167(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02246161(GB,A)
【文献】実公昭59-023736(JP,Y2)
【文献】特開平07-206083(JP,A)
【文献】実開昭59-139487(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合手段(7)、ツイストロック(3)、およびコンテナのコーナーキャスティング(1、2)を含む、船上で輸送されるインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング(1、2)を互いにロックするための結合構造であって、上下に積み重ねられたインターモーダルコンテナがツイストロック(3)で互いにロックされ、前記結合手段(7)は、上下に積み重ねられ
たインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング(1、2)間で、コーナーキャスティングのグリップ穴(5、5’;6、6’)に固定され、
アイドル状態において、ツイストロック(3)とインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング(1、2)の支持面との間のクリアランスは、結合手段(7)とインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング(1、2)の支持面との間のクリアランスと実質的に同じ大きさであり
、
前記結合手段(7)は、コーナーキャスティング(1、2)間に接続されたツイストロック(3)とともに、コーナーキャスティング(1、2)間の負荷に耐えるように、互いの上に配置されたコーナーキャスティング(1、2)間に固定されることを特徴とする結合構造。
【請求項2】
ツイストロック(3)の上部保持クリップ(9)と上部コーナーキャスティング(1)の下部内面(11)との間にクリアランス(A)が存在し、ツイストロック(3)の下部保持クリップ(10)と下部コーナーキャスティング(2)の上部内面(12)との間にクリアランス(B)が存在し、結合手段(7)の下部と下部コーナーキャスティングの内面(12)との間にクリアランス(C)が存在し、クリアランスCは、クリアランスAおよびBの合計に実質的に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の結合構造。
【請求項3】
前記結合手段(7)は、前記コーナーキャスティング(1、2)の垂直前面におけるグリップ穴(5、5’)に取り付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の結合構造。
【請求項4】
前記結合手段(7)は、前記結合手段の取り扱いを容易にするための支持アームを備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合構造。
【請求項5】
前記支持アームは、前記支持アームの一端部で船の船体構造またはラッシングブリッジに直接または間接的に固定され、それにより、支持アームを備えた前記結合手段(7)は、インターモーダルコンテナと船の船体構造またはラッシングブリッジとの間で力を伝達することを特徴とする、請求項4に記載の結合構造。
【請求項6】
前記負荷は引張応力であることを特徴とする、請求項3に記載の結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、インターモーダルコンテナのコーナーキャスティングによって、船で輸送されるインターモーダルコンテナを一緒にロックする方法であり、それにより、上下に重ねられたコンテナは、コーナーキャスティングに固定するべくツイストロックによって互いにロックされる。
【背景技術】
【0002】
貨物船では、インターモーダルコンテナは、ハッチカバー下のホールドおよびハッチカバーの上にあるデッキにも、多数の平行な列と線におよび多数の段にも重ねて輸送される。デッキ上には取り外し可能なハッチカバーがあり、ハッチカバーで下のホールドが閉じられる。デッキ上のコンテナは、ハッチカバーの上に運ばれる。このアプリケーションは、貨物船のデッキ上でのインターモーダルコンテナの輸送に焦点を当てているが、これに限定されない。
【0003】
インターモーダルコンテナは、8つのコーナーすべてにコーナーキャスティングを有し、それられのコーナーキャスティングによってコンテナを互いにロックすることができる。通常、上下に重ねられた2つのコンテナは、コンテナのコーナーキャスティングに設置されたツイストロックで互いにロックされている。ツイストロックは、上下にある2つのコンテナのコーナーキャスティング間に配置され、ツイストロックは、コーナーキャスティングの水平面の穴においてロックされる。
【0004】
当技術分野で知られているツイストロックは、とりわけ、特許文献1~3に開示されている。
【0005】
相互に隣接するインターモーダルコンテナは、通常互いにロックされていない。ただし、特別な状況では、互いに並んでいるコンテナを相互に支持するデバイスが存在する。可能な解決策の1つは、特許文献4に開示されている。
【0006】
海では、船およびそれに対応するデッキ上のコンテナのスタックが傾くときに、大きな圧縮力および張力がツイストロックおよびコンテナのコーナーキャスティングに加えられる。船の輸送能力を高めるために、船のデッキ上のコンテナのますます高くて重いスタックを輸送することが試みられている。ただし、ツイストロックの強度は限られている。ツイストロックの典型的な最大許容張力は、250kNである。これにより、コンテナスタックサイズの増加に、そして船の効率的な使用の向上にも制限が課される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP0776302B1
【文献】DE102004001A1
【文献】WO8907079A1
【文献】EP1194353B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、インターモーダルコンテナを互いにロックする方法を提供することであり、これにより、ロッキングは、以前よりも大きな水路誘導張力に耐えることができ、その場合、貨物船で輸送されるインターモーダルコンテナの数を増やすことができる。本発明による方法は、独立請求項1に定義されていることを特徴とする。この方法の好ましい実施形態は、従属請求項2~6に規定されている。
【0009】
本発明の目的は、この方法を実施する結合手段を提供することである。結合手段は、独立請求項7で定義されていることを特徴とする。結合手段の好ましい実施形態は、従属請求項8~17に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明では、上下に積み重ねられた、横に並べられたおよび/または端と端との2つ以上のインターモーダルコンテナをそれらのコーナーキャスティングで互いにロックすることは、総合ロック力を高めるために同時に2つ以上の別々の結合装置で実施される。
【0011】
積み重ねられた2つのインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング間では現在の慣例に従って設置されたツイストロックが、さらに、コーナーキャスティングの垂直前面ではグリップ穴内に設置された別々の結合手段が、結合方法を適用することができる。
【0012】
あるいは、積み重ねられた2つのインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング間では現在の慣例に従って設置されたツイストロックが、さらに、コーナーキャスティングの側面ではグリップ穴内に設置された別々の結合手段が、結合方法を適用することができる。
【0013】
別の方法として、積み重ねられた2つのインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング間では現在の慣例に従って設置されたツイストロックが、さらに、コーナーキャスティングの前面および側面ではグリップ穴内に設置された別々の結合手段が、結合方法を適用することができる。
【0014】
また、上下にあるコンテナのコーナーキャスティング間にツイストロックが設置されるように、横に並べられた2つのコンテナと、別の横に並べられた2つのコンテナとを積み重ねて(4つのコーナーキャスティング)一緒に結合することもでき、これにさらに、別々の結合手段が同じコーナーキャスティングに設置され、この結合手段は、4つのコーナーキャスティングすべての垂直面のグリップ穴に固定されることもできる。
【0015】
この方法の操作は、ツイストロックとコンテナのコーナーキャスティングの支持面との間のクリアランスが、結合手段とコンテナのコーナーキャスティングの支持面との間のクリアランスと実質的に同じ大きさであることを条件とし、張力がかかった状態でこれらすべてのコンポーネントの構造的柔軟性および変形を考慮に入れる。したがって、結合手段の寸法は、ツイストロックおよびインターモーダルコンテナのコーナーキャスティングの寸法に従って決定される。この場合、上部コンテナから下部コンテナに加えられる持ち上げ力は、ツイストロックと結合手段との間で可能な限り均等に分配される。
【0016】
したがって、本発明は、コーナーキャスティング間に接続された第2のロッキングピースとともに、結合手段がコーナーキャスティング間の負荷(概して引張応力)に耐えるように、上下に積み重ねられた、横に並べられたおよび/または端と端とのインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング間に固定される結合手段にも関する。
【0017】
あるいは、本発明の目的は、コーナーキャスティング間に接続されたツイストロックとともに、結合手段がコーナーキャスティング間の負荷(概して引張応力)に耐えるように、上下に積み重ねられたコーナーキャスティング間に固定される結合手段である。
【0018】
言及することができる本発明の利点の1つは、それが船のデッキ上で以前よりも大きなコンテナ積荷の輸送を可能にすることであり、その場合、船の荷積み容量および荷積み効率を改善することができる。本発明は、現在使用されているインターモーダルコンテナおよびツイストロックとともに使用することができる。本発明による結合手段は、構造的に単純であり、かつ作動的に信頼できる。
【0019】
以下において、本発明は、添付図面を参照して、その好ましい実施形態のいくつかの例を用いて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、2つのコンテナが上下に重なっているコーナーキャスティングを示し、キャスティングは、従来の方法におけるツイストロックで互いにロックされている。
【
図2】
図2は、
図1と同じであるが、コーナーキャスティングは、コーナーキャスティングの前面のグリップ穴を介して、本発明による結合手段でも互いにロックされている。
【
図3】
図3は
図1と同じであるが、コーナーキャスティングは、コーナーキャスティングの側面のグリップ穴を介して、本発明による結合手段でも互いにロックされている。
【
図4】
図4は、結合手段が前面および側面の両方のグリップ穴に取り付けられる実施形態を示す。
【
図5】
図5は、アイドル状態にある、上下に重ねられた2つのコーナーキャスティングの断面を示し、そのキャスティングは、従来のツイストロックおよび本発明による結合手段でロックされている。
【
図6】
図6は
図5と同じであるが、張力がかかった状態である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
したがって、
図1は、上下に重なる2つのインターモーダルコンテナのコーナーキャスティングを示す。上部コーナーキャスティング1は上部コンテナに属し、下部コーナーキャスティング2は下部コンテナに属する。実際のコンテナはこれらの図面には示されていないが、当技術分野で知られているように、インターモーダルコンテナは、各コーナーにコーナーキャスティングを有し、キャスティングによって、ツイストロック3を使用してコンテナをロックすることができる。ツイストロックは、それ自体が当技術分野で知られている方法で操作ワイヤ4によって使用される。したがって、ツイストロック3は、上下にあるコンテナコーナーキャスティング1、2を一緒にロックする。
【0022】
さらに、コーナーキャスティングの側面にいわゆるグリップ穴5、5’;6、6’がある。参照番号5、5’でマークされたグリップ穴は、いわゆる前面においてコンテナの端部にあり、参照番号6、6’でマークされたグリップ穴は、いわゆる側面においてコンテナの長手側部にある。
【0023】
図2では、コーナーキャスティング1、2は、本発明による結合手段7ならびに従来のツイストロック3でロックされている。結合手段7は、上部コーナーキャスティング1の前面のグリップ穴5と下部コーナーキャスティング2の前面のグリップ穴5’との間に設置された。
【0024】
また、
図3では、コーナーキャスティング1、2は、本発明による結合手段7ならびに従来のツイストロック3でロックされている。この場合、結合手段7は、上部コーナーキャスティング1の側面のグリップ穴6と下部コーナーキャスティング2の側面のグリップ穴6’との間に設置された。
【0025】
図4は、その一部として、
図2および
図3の解決策の組み合わせを示し、すなわち、結合手段7の2つのユニットがあり、1つは前面のグリップ穴5、5’間にあり、もう1つは側面のグリップ穴6、6’間にある。
【0026】
図5は、上部コンテナの下部コーナーのコーナーキャスティング1が、ツイストロックの本体8の上にアイドル状態で、ツイストロックの本体8が、下部コンテナの上部コーナーのコーナーキャスティング2の上に静止している断面を示す。コーナーキャスティング1、2の側面のグリップ穴6、6’に結合手段7が取り静止し付けられている。結合手段7は、上部コーナーキャスティング1の内面11上に静止している。
【0027】
アイドル状態では、ツイストロックの上部保持クリップ9と上部コーナーキャスティングの内面11との間にクリアランスAが残り、これに対応して、ツイストロックの下部保持クリップ10と下部コーナーキャスティング2の内面12との間にクリアランスBが残る。これらのクリアランスにより、港でツイストロックをロックおよび開くことができる。さらに、アイドル状態では、連結手段7の下部と下部コーナーキャスティング2の内面12との間にクリアランスCが残る。結合手段7の寸法は、クリアランスCがクリアランスAおよびBの合計に等しくなるような寸法である。
【0028】
図6は、
図5による装置の張力負荷を示し、張力はしたがって矢印Vの方向に加えられる。張力荷重は、例えば船が海で十分な量だけ傾き、上部コンテナの第2の端部が上向きに上昇し始めるとき(コンテナスタックが落下し始めるとき)に生成されることができる。そのような場合、上部コーナーキャスティング1は、ツイストロック3および結合手段7をそれらが下部コーナーキャスティング2の内面12と衝突するまで上方に持ち上げる。この状況では、
図5に示されるクリアランスA、B、Cはもはや存在せず、下部コーナーキャスティング2に対する上部コーナーキャスティング1の動きが妨げられる。したがって、結合手段7は、コーナーキャスティング1、2間に接続されたツイストロック3とともに、引張応力などのコーナーキャスティング間の負荷に耐えるように、コーナーキャスティング1、2間に固定される。ツイストロック3および結合手段7の両方が同時に負荷に耐えるので、ツイストロックのみが使用される従来の装置と比較して、コンテナのスタックの高さおよび/または重量を増加させることが可能である。
【0029】
上に提示された実施形態は、結合手段7が、コーナーキャスティング1、2の前面もしくは側面、またはこれら両方の表面に設置される実施形態である。また、並べた2つのコンテナおよび積み重ねた2つのコンテナを一緒に結合するオプションもある。この場合、同じグループに4つのユニットのコーナーキャスティングが存在し、互いに積み重ねたコンテナのコーナーキャスティング間には現在の慣習に従って取り付けられたツイストロックがあり、それに加えて同じコーナーキャスティングに別々の結合手段が設置され、その結合手段は4つすべてのコーナーキャスティングの水平面上のグリップ穴に固定される。
【0030】
したがって、本発明による結合手段7は、互いに上下に重なっている、互いに並んでいる、および/または互いに端部と端部とを接しているインターモーダルコンテナのコーナーキャスティング間に設置することができる。結合手段は、回転可能なロック要素によってまたは固定されたロック爪(図面には示されていない)によって、インターモーダルコンテナのコーナーキャスティングのグリップ穴5、5’;6、6’に固定することができる。磁石によって固定することも可能である。
【0031】
さらに、結合手段7に、取り扱いを容易にする支持アーム(図には示されていない)を設けることが可能である。支持アームは、その端部の1つで船の船体構造またはラッシングブリッジに直接的または間接的に固定することができる。支持アームを備えた結合手段は、インターモーダルコンテナと船の船体構造またはラッシングブリッジとの間で力を伝達することができる。
【0032】
結合手段7は本質的にU字形の部品であり、その自由端は、インターモーダルコンテナのコーナーキャスティングのグリップ穴5、5’;6、6’に固定されている。
【0033】
本発明が上記の実施形態に限定されず、以下に提示される特許請求の範囲内で変更できることは、当業者には明らかである。コンテナのスタックの異なる点で結合手段7を使用する必要性は、とりわけ、コンテナスタックの高さに基づいて、およびコンテナの重量に基づいて決定される。鋼の代わりに、より柔軟な材料から結合手段を製造することもでき、これは、クリアランスA、B、Cの大きさの寸法を決めるときに考慮に入れる必要がある。さらに、結合手段は、例えば、ねじのような構造で実施されるクリアランス調節特性を含む。
【0034】
他の特徴機能と併せて説明に提示される可能性のある特徴機能は、必要に応じて、互いに別々に使用することもできる。