(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】局所平面を用いた医用誘導システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20231108BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B6/03 377
(21)【出願番号】P 2020540698
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 US2018055064
(87)【国際公開番号】W WO2019074958
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-23
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】本多 徳行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】栗山 卓也
【審判官】佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0190787(US,A1)
【文献】特開平11-313837(JP,A)
【文献】米国特許第6064904(US,A)
【文献】特開2009-153966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所平面を有する
リング形状の方位定位器であって、前記方位定位器は、
当該方位定位器の円周に沿って配置されるタッチインタフェースと、ゼロ位置マーカ及び複数の基準マーカを有する安定リングとを含み、前記方位定位器は患者に取付け可能である、方位定位器と、
ディスプレイ装置に動作可能に接続されるコンピュータと、
を備える医用誘導システムであって、
前記コンピュータは、
前記方位定位器を伴わない前記患者の第1の医用画像を取得
するステップと、
取得された前記第1の医用画像上で、前記方位定位器を前記患者に取り付けるための位置と前記患者に針状医療器具を挿入するための位置とを示す入口
点を指定するための入力を、ユーザから受け取
るステップと、
複数の第2の医用画像を取得するステップであって、前記複数の第2の医用画像は、前記方位定位器が前記患者に取り付けられたときに
、前記患者の軸方
向に沿って撮られた前記患者の軸方向画像である、
取得するステップと、
前記方位定位器の前記安定リングの前記基準マーカの既知のレイアウトを、前記コンピュータによって取得された前記軸方向画像に示される前記基準マーカの座標と照合することにより、前記患
者に対して、前記方位定位器の位置及び方位を決定
するステップと、
前記タッチインタフェースを介して、前記ユーザから
触覚入力を受け取
るステップと、
前記円周上の前記触覚入力に基づいて、前記ゼロ位置マーカに対して、挿入される前記針状医療器具の角度位置を決定するステップと、
前記方位定位器の決定された前記位置及び方位と、決定された前記角度位置とに基づいて、前記複数の第2の医用画像を再構成して、挿入平面上にある再構成画像を取得するステップであって、前記挿入平面は、前記局所平面に垂直であるとともに、前記入口点と、前記触覚入力によって示される点とを含む、取得するステップと、
前記挿入平面上での前記針状医療器具の先端の目標位置の入力を、前記ユーザから受け取るステップと、
前記入口点と、前記ユーザによって入力された前記先端の前記目標位置とを接続することにより、前記挿入平面上で前記針状医療器具の挿入軌道を決定するステップと、
決定された前記挿入軌道
の画像とともに、前記
再構成画像を前記ディスプレイ装置に表示する
ステップと、
を実行するように構成され、
前記挿入軌道は、前記局所平面に対する法線に関して挿入角度をな
す、
医用誘導システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、更に、
前記軸方向画像に基づいて、
前記複数の第2の医用画像を再構成し
て再構成画像を取得するステップと、
前記ディスプレイ装置に、前記
再構成画像に重ねられた前記挿入軌道、又は前記軸方向画像のうち少なくとも1つに重ねられた前記挿入軌道を表示する
ステップと、
を実行するように構成され、
表示された前記挿入軌道は、前記入口点を前記目標
位置に接続する線分として表示され、前記線分は、前記
再構成画像に含まれるか、又は、前記軸方向画像のうちの前記少なくとも1つに含まれる、
請求項1に記載の医用誘導システム。
【請求項3】
前記再構成画像と前記軸方向画像は、両方とも、
前記挿入軌道の少なくとも一
部を含む、
請求項2に記載の医用誘導システム。
【請求項4】
表示される前記挿入軌道は、計画針軌道であ
る、
請求項1に記載の医用誘導システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、更に、
前記目標
位置と前記入口点を接続する線をトレースすることによって前記挿入軌道を定めるユーザ操作を受け取り、
前記挿入軌道を定める前記ユーザ操作を受け取ることに基づいて、前記ディスプレイ装置に前記挿入軌道を表示して、前記
再構成画像に重ねられた前記挿入軌道の全長を示すように構成される、
請求項2に記載の医用誘導システム。
【請求項6】
前記コンピュータは、更に、前記
再構成画像にリンクされた軸方向平面インジケータを追加するように構成され、
前記軸方向平面インジケータは、前記軸方向画像と前記
再構成画像との交点を表す、
請求項2に記載の医用誘導システム。
【請求項7】
前記ゼロ位置マーカに関して前記挿入平面の角度位置を示すように構成され
たLED、
を更に備え、
前記コンピュータは、更に、前記ディスプレイ装置に表示された前記挿入平面の前記角度位置に対応する目標角度スケールを決定し、前記目標角度スケールの値を前記ディスプレイ装置に表示する、
請求項1に記載の医用誘導システム。
【請求項8】
前記第1の医用画像は、コンピュータ断層撮影(CT)モダリティ、又は磁気共鳴イメージング(MRI)モダリティ、又はポジトロン放出断層撮影(PET)モダリティ、又は単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)モダリティ、又は透視撮影イメージングモダリティを有する医用イメージングデバイスによって、前記方位定位器が前記患者に取り付けられていない状態で撮られた、前記患者の1つ以上の画像を含み、
前記軸方向画像は、前記方位定位器が前記患者に取り付けられた状態で、MRIモダリティによって撮られたMRIスカウトスキャン画像、又はCTモダリティによって撮られたCTスキャン画像である、
請求項1に記載の医用誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年10月9日に提出された米国出願第15/727978号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、経皮的インターベンションを計画及び/又は実行するために局所平面(localized plane)を用いた医用誘導システム及び方法を実施する医用誘導デバイスを含む医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野では、医療器具の正確かつ精密な位置決めが重要である。経皮的インターベンション等の外科処置の場合、針状医療用具と器具の正しい配置が、処置の成功と失敗の分かれ目となる。位置決めを支援し、医療器具の正確で直感的な方向付けを実現するために、様々なガイドタイプの方法を用いて針等の医療器具を追跡することが一般的に行われている。
【0004】
国際出願WO2010/096419 A2は、針状医療器具と患者に対して追跡デバイスを用いることによって針状医療器具の追跡情報を提供する針誘導デバイスを開示している。しかしながら、記載されたデバイスは、医師が患者に針を使用する前に挿入の計画を立てるとき、挿入平面上の断面画像についての情報を提供しない。したがって、特に挿入が医用イメージング装置の軸方向イメージング平面の外であるとき、医師は挿入を計画することに困難を覚える。更に、WO2010/096419 A2のデバイスは、所望のタスクを遂行するために、システムに複数の追跡センサを必要とする。よって、システムでは、複数の追跡センサの較正が必要であり、操作の複雑さが増してしまう。
【0005】
更に、米国特許第9,222,996号は、画像ガイドシステム、針配置マニピュレータ及びマニピュレータコントローラを備えた針位置決めシステムを開示している。針配置マニピュレータは、アクチュエータ、位置センサ及び基準マーカを備えた2つの回転可能リング構造を必要とし、針ホルダを目標位置に向ける。ここで、画像ガイドシステムは、医用画像を取得し、医用画像内に見えるマーカに基づいて医用画像内の針の位置と方位を計算し、針の位置と方位をマニピュレータコントローラに送信することができる。次に、マニピュレータコントローラは、針の位置と方位を変換して、アクチュエータに針ホルダを向けるように命令する。アクチュエータを備えた2つの構造をもつという必要性から、適切な医療機器の配置を実現するためには、より複雑で大きなシステムになってしまう。
【0006】
米国特許第6487431号は、スラスト針の経路をモニタリングするための放射線撮影装置及び方法を開示している。この特許によれば、生検針又は薬物注射針を正確かつ迅速に患者に挿入することができる。そのために、ディスプレイモニタの画面上で、患者の体表面上の針入口点と患者内の目標点が指定され、入力される。放射線撮影装置は、2点を結ぶガイドラインと、ガイドラインとCT画像の交点を示す交点マークと、針の走る方向と深さを判断するための基準となる角度及び長さとを、ディスプレイモニタに自動的に表示する。この特許は、針軌道の点Aと点Bが異なるスライス平面にある場合、画像化された各スライス平面と軌道は1点でのみ交差し、画像化された異なるスライス平面は軌道と異なる交点をもつことを開示している。したがって、針の動きに続いて、交点の1つの位置を次々と計算する必要がある。しかしながら、ユーザが一連の軸方向画像を用いて平面外挿入を確認する場合、ユーザが患者の解剖学的構造(例えば腫瘍)に対する画像のめくる方向を理解して、針挿入方向を可視化することは困難である。
【発明の概要】
【0007】
本医用誘導システム及び方法の様々な実施形態は、関連技術の1つ以上の欠陥に対処する新規の特徴をいくつか提示する。本実施形態の範囲を限定することなく、新規の特徴の一部を簡単に説明して、公衆に、特に本発明の関係する特定の技術に関心のある人に、本開示の性質及び範囲を知らせる。この議論を検討した後、特に「発明を実施するための形態」という題名のセクションを読んだ後、本実施形態の特徴が本明細書に記載された利点をどのように提供するかを理解するであろう。
【0008】
第1の実施形態では、医用誘導システムは、少なくとも1つの基準マーカを含み局所平面を有する方位定位器(orientation localizer)であって、方位定位器は患者の皮膚入口点に取付け可能である、方位定位器と、コンピュータであって、局所平面上の少なくとも1つの医用画像を受信し、少なくとも1つの基準マーカの座標を用いて、方位定位器の位置及び方位を少なくとも1つの医用画像とレジストレーションし、局所平面上の少なくとも1つの医用画像に基づいて少なくとも1つの断面画像を決定し、局所平面に垂直な挿入平面を決定するように構成されるコンピュータと、コンピュータに接続された画像ディスプレイとを有し、画像ディスプレイは、局所平面及び/又は挿入平面上の少なくとも1つの断面画像を表示する。
【0009】
別の実施形態では、医用誘導システムは、少なくとも1つの基準マーカを含み局所平面を有する方位定位器であって、方位定位器は患者の皮膚入口点に取付け可能である、方位定位器と、コンピュータであって、局所平面上の少なくとも1つの医用画像を受信し、少なくとも1つの基準マーカを用いて、方位定位器の位置及び方位を少なくとも1つの医用画像とレジストレーションするように構成され、位置は、以下の式を満たすように局所座標を変換することによってレジストレーションされ、
【数1】
式中、
【数2】
は、少なくとも1つの医用画像内の座標に基づく医療器具の誘導のための座標への変換であり、
【数3】
は、医用画像の座標からの少なくとも1つの基準マーカの座標の変換であり、
【数4】
は、少なくとも1つの医用画像の座標上の全ての基準マーカの位置ベクトルのセットであり、
【数5】
は、可動リングの座標の変換であり、
【数6】
は、少なくとも1つの基準マーカの座標に基づく回転可能リングの角度位置であり、
【数7】
は、可動リングの座標からの医療器具の誘導のための座標への変換であり、
【数8】
は、可動リングの座標に基づく挿入平面インジケータの挿入角度である、コンピュータと、コンピュータに接続された画像ディスプレイとを有し、画像ディスプレイは、局所平面及び/又は挿入平面上の少なくとも1つの断面画像を表示する。
【0010】
更に別の実施形態では、医用誘導システムは、意図された軌道に針状医療器具をガイドするように構成された誘導デバイスと、医用画像を読み出し、意図された軌道を医用画像とともに表示するように構成されたコンピュータとを有する。誘導デバイスは、ベースプレート開口、及び、患者に取り付けられるように構成された底面を含むベースプレートと、ベースプレートに付着する可動リングであって、患者へのアクセスを提供する主開口を形成するようにベースプレート開口に位置合わせされた可動リング開口を含む、可動リングと、針状医療器具をガイドするように可動リングに取り付けられた誘導部と、ロータリエンコーダであって、可動リングに取り付けられたロータリスケール、ベースプレートに取り付けられたセンサヘッド、センサヘッドに接続され、センサヘッドからの検出信号を処理することにより、ロータリスケールの角度位置を計算するように構成されたセンサ回路基板、及び、ベースプレートに取り付けられ、医用画像において可視であるように構成された基準マーカ、を含むロータリエンコーダと、回路ボックスであって、ロータリエンコーダの座標と基準マーカの座標との間の幾何的関係を定義するためのデバイス情報を有するメモリユニット、及び、メモリユニット及びセンサ回路基板に接続され、コンピュータと通信するように構成されたマイクロコントローラ、を含む回路ボックスと、を含む。コンピュータは、医用画像内の基準マーカと医用画像の座標との幾何を計算する。コンピュータ又はマイクロコントローラは、メモリユニット内のデバイス情報と、コンピュータによって計算された基準マーカの幾何とを用いることにより、医用画像の座標を用いて誘導デバイスの座標を計算する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る医用誘導システムを示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2Aは、本開示の第1の実施形態に係る医用誘導デバイスにおける方位定位器の上面図である。
図2Bは、本開示の第1の実施形態に係る医用誘導デバイスにおける方位定位器の底面図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施形態に係る医用誘導システムを用いた針の誘導に関連するプロセスを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の第2の実施形態に係る方位定位器の平面図である。
【
図5】
図5は、本開示の第2の例示的な実施形態に係る医療機器誘導システムのシステムを示す図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、キャプチャされた
軸方向画像を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の更に別の実施形態の方位定位器の平面図である。
【
図8】
図8は、本開示の例示的な実施形態に係る挿入平面及び局所平面を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の別の実施形態に係る医用誘導システムを示す機能ブロック図である。
【
図11】
図11A及び
図11Bは、本開示の追加の実施形態に係る、回路ボックスに着目した方位定位器の概略図である。
【
図12】
図12は、本開示の例示的な実施形態に係る医用誘導システムを用いた針の誘導のためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に係る、デバイス対画像レジストレーションにおける局所座標の変換の概略図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に係るデバイスセットアップのサブステップを詳細に示す
図12の抽出されたフローチャートである。
【
図15】
図15は、針状器具の計画挿入軌道及び/又は実際の挿入軌道をインタラクティブに表示及び評価するための例示的な実施形態を示す図である。
【
図16】
図16は、針状器具の計画挿入軌道及び/又は実際の挿入軌道をインタラクティブに表示及び評価するための例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、例示の医療機器、方法及びシステムが説明される。本明細書で説明される実施形態又は特徴の例は、他の実施形態又は特徴よりも好ましいか又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。本明細書で説明される例示の実施形態は、限定することを意味するものではない。容易に理解できるように、開示されるシステム及び方法の特定の態様は、多種多様な異なる構成で配置及び組み合わせることができ、それらの全てが本明細書において企図される。
【0013】
更に、図に示される特定の構成は、限定的なものと見なされるべきではない。当然のことながら、他の実施形態では、所与の図に示される各要素の数は増減し得る。更に、図示された要素の一部は、組み合わせられてもよいし、省略されてもよい。更に、例示の実施形態は、図に示されていない要素を含んでよい。
【0014】
本開示の例示的な実施形態は、医用針を正確にガイドして医療患者に挿入することを提供する。これらの例示的な実施形態によれば、医療従事者は、インタラクティブなナビゲーションインジケータと医療患者の挿入平面上の断面画像を利用して、医用針を医療患者に送達する前に、安全で正確な挿入軌道を計画することができる。
【0015】
<誘導システム及び方位定位器>
第1の実施形態によれば、医用誘導デバイスは、少なくとも1つの基準マーカ及び局所平面を含む方位定位器と、患者の軸方向画像を受信するコンピュータと、コンピュータに接続された画像ディスプレイとを備える。方位定位器は、患者の皮膚入口点の周りに取り付けられるリング型デバイスである。コンピュータは、患者の解剖学的構造を含む軸方向画像と基準マーカを用いることにより、方位定位器の位置及び方位をレジストレーションする。コンピュータは、局所平面上の解剖学的構造の断面画像と、局所平面に垂直な挿入平面とを計算する。画像ディスプレイは、局所平面上の解剖学的構造の断面画像及び/又は挿入平面上の軸方向画像のいの少なくとも1つを表示する。
【0016】
医用誘導デバイスは角度スケールを更に備え、角度スケールは、方位定位器上に配列され、局所平面上の挿入平面の角度位置を示す。コンピュータは、画像ディスプレイに表示された挿入平面に対応する目標角度スケールを計算し、フィードバック情報(目標角度スケール)を操作者に提供する。
【0017】
一実施形態では、方位定位器は、基準マーカを備えた固定ベース体と、挿入平面インジケータ及びロータリエンコーダを備えた回転可能体とを含む。方位定位器は、コンピュータに接続され、挿入平面インジケータの角度位置のエンコーダデータをコンピュータに提供するように構成される。コンピュータは、挿入平面インジケータの角度位置に対応する挿入平面上の解剖学的構造の断面画像を計算する。
【0018】
一実施形態では、コンピュータは、挿入平面上の局所平面から医療器具の計画挿入角度を計算し、情報を操作者にフィードバックする。操作者は、計画挿入角度をインタラクティブに変更及び/又は確認することができる。
【0019】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る医療機器誘導システム100のシステムを示す。医用誘導デバイスシステム100は、方位定位器1、コンピュータ15、画像サーバ16及び画像ディスプレイ14を含む。コンピュータ15と画像ディスプレイ14は、バス又はローカルエリアネットワーク(LAN)を介して通信可能に結合されて、データを送受信する。方位定位器1及びコンピュータ15には、ワイヤレス・フィディリティ(WiFi)通信を介して互いにデータを送受信するために、無線機器が搭載されてよい。更に、コンピュータ15は、広域ネットワーク(WAN)を用いて、医用誘導デバイスシステム100の外部にある画像サーバ16に接続し、通信する。具体的には、医療機器誘導システム100は、手術室(OR)等の無菌環境に配置されてよく、画像サーバ16は、非無菌環境である遠隔地に配置されてよい。画像サーバ16は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)プロトコルを用いて医用イメージングデバイスに接続されたPACS(画像保存通信システム)サーバ等を含む。医用イメージングデバイスは、コンピュータ断層撮影(CT)モダリティ、磁気共鳴イメージング(MRI)モダリティ、ポジトロン放出断層撮影(PET)モダリティ、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)モダリティ、透視撮影モダリティ、又はそれらの任意の組合わせであってよい。コンピュータ15は、画像ディスプレイ14に画像を表示するために、方位定位器1によって提供されるデータと、画像サーバ16に保存された画像によって提供されるデータとを処理する。
図2A及び
図2Bは、方位定位器1を詳細に説明し図示しており、方位定位器1は、マーキングの付いた粘着ステッカーを有するディスク型又はリング型の誘導デバイス等であってよい。
【0020】
図2A及び
図2Bは、それぞれ、本開示の実施形態に係る医療機器誘導システム100に含まれる方位定位器1の上面図と底面図を示す。方位定位器1は、患者の皮膚に接着することのできる接着部分(例えばステッカー又はパッチ)を有する針誘導デバイス等の、リング型の製造品である。方位定位器1は、主角度スケール2と、副角度スケール3と、テンプレート4(テンプレート4A及び4Bを含む)と、開口5と、複数の基準マーカ(fiducial marker)6と、参照マーカ7とを含む。主角度スケール2及び副角度スケール3は、中心Mを中心に同心円状に配列されたリング型のスケールである。第1のテンプレート4A及び第2のテンプレート4Bは、副角度スケール3の隣接部分にわたって、視覚的に識別可能な印(例えば番号1~9)として印刷される。テンプレート4Aとテンプレート4Bのように、主角度スケール2と副角度スケール3は、互いの反射であり対称である。主角度スケール2の裏側には、中心Mを中心として、基準マーカ6が円形レイアウトに配置されている。基準マーカ6は、中心Mを中心とする回転円に非対称に分布する。方位定位器1は、米国特許第9,222,996号に記載されている針誘導デバイス等の医療器具ガイドデバイスの一部であり、又はそれと併用される。
【0021】
<誘導プロセス>
図3は、本開示の例示的な実施形態に係る、針の誘導のためのプロセスを示すフローチャートである。最初に、ステップS001において、医用イメージングモダリティを用いて、例えばCTスキャン画像等の医用画像がキャプチャされる。
【0022】
次に、ステップS002において、医用画像が画像サーバ16に送信される。画像サーバ16は、医用イメージングデバイスに通信可能に結合されており、医用画像が保存される場所である。ここで、医用画像をキャプチャし保存するタイミングは問わない。ステップS001及びS002は、針挿入が必要となる進行中の医療インターベンション時に発生する可能性がある。或いは、イメージングと保存のステップは、針挿入が必要となる医療インターベンションの前に発生する可能性があり、画像は、コンピュータ15により、針挿入手順中に画像サーバ16から取得することができる。
【0023】
医用イメージングサーバ16に保存された医用画像を用いて、ステップS003において、医師は、針が挿入される患者の入口点を決定する。この入口点は、方位定位器1が患者の皮膚に取り付けられる場所である。
【0024】
取付け後、ステップS004において、方位定位器1は、方位定位器の中心Mが患者の針入口点をマークする位置Oにあるように、位置決めされる。
【0025】
次に、ステップS005において、医師は、医用イメージングデバイスを用いて画像レジストレーションを実行して、一連の医用画像(スカウトスキャン)を取得する。
図6A及び
図6Bは、例示的なキャプチャされた医用画像及び/又は再構成された医用画像を示す。画像レジストレーションプロセスでは、医用イメージングデバイスは、
図6Aに示されるように、軸方向Dに沿って
軸方向画像17をキャプチャする。軸方向Dは、患者のベッドの長手方向である。方位定位器1が患者に取り付けられた状態では、一連の
軸方向画像のキャプチャ中、方位定位器1は、
図6Aに見られるように、キャプチャされた
軸方向画像17内に現れる。
図6Aは、方位定位器1の基準マーカ(ドット)を含む医用画像セットも示している。
【0026】
ステップS006において、コンピュータ15により、適切な画像処理アルゴリズム(例えばハフ変換)を用いて円形を検出することによって、基準マーカ6が自動的に識別される。
【0027】
次に、ステップS007において、コンピュータ15は、既知の基準レイアウトを、コンピュータ15が軸方向画像17から識別する基準レイアウトと照合することにより、方位定位器1の位置及び方位を識別する。この実施形態では、基準マーカ6は、基準マーカ6の円形配列の円周に沿って非対称であるので、コンピュータ15は、識別された基準レイアウトの円周の中心を中心Mとみなしながら、基準レイアウトの円周に沿って方位を決定することができる。
【0028】
ステップS008において、コンピュータ15が方位定位器1の位置及び方位を決定した後、コンピュータ15は、
図6Bに示されるように、局所平面18上の患者の解剖学的構造の断面医用画像を自動的に決定する。
【0029】
局所平面18は、Z軸に垂直に定められ、原点Oを有する(Z軸は、3次元空間においてX軸及びY軸と交差する)。
図8は、本開示の例示的な実施形態に係る挿入平面19及び局所平面18を示す3次元空間の斜視図である。方位定位器1の原点Oの局所座標は、局所平面18に垂直なベクトルFである。局所平面18上の断面医用画像は、局所座標OのX-Y平面に平行な任意の平面上で定めることができる。例えば、
図6Bでは、局所平面18は、方位定位器1及び基準マーカ6の画像を示す平面に示されている。ゼロ位置又は参照マーカ(
図4の13)はX軸と位置合わせすることができるので、コンピュータ15は、
図8に示されるような挿入平面19上で、患者の解剖学的構造の医用画像を同時に決定する。挿入平面19は、局所平面18に垂直であり、方位定位器1の局所座標の原点Oを含む。挿入平面19は、方位定位器1の局所座標OのZ軸を中心とする回転方向Gに沿った任意の点で定めることができる。例えば、挿入平面19の角度位置は、挿入平面19と局所座標OのX軸との間の角度である角度φとして定められる。
【0030】
ステップS009において、コンピュータ15は、局所平面18及び/又は挿入平面19上の患者の解剖学的構造の断面画像を、画像ディスプレイ14に表示する。コンピュータ15はまた、挿入平面19の角度位置すなわち角度φに対応するテンプレート4の角度部分を表示することができる。
図2では、画像ディスプレイ14は、テンプレート4の角度位置としてB-6を示している。
【0031】
ステップS010において、医師は、局所平面18又は挿入平面19上の断面画像を目視で確認することができ、医療器具の先端の目標位置を定めることにより、挿入計画を立てることができる。
【0032】
確認後、ステップS011において、医師は、適切な挿入平面19を決定し、選択された挿入平面19とともにテンプレート4をマークすることができ、例えば、
図2Aにはテンプレート4A及び4Bが示されている。また、医師は、参照マーカ7(ゼロ位置)に対するテンプレート4A及び4Bを結ぶ線の方位を確認することができる。参照マーカ7は、局所座標OのX軸に向けられる。したがって、医師は、テンプレート位置(
図1のB-6)と角度φ(
図1の35度)の両方を用いることにより、テンプレート4Aを簡単に見つけることができる。
【0033】
テンプレート4A及び4Bにマーキングした後、医師は、マークされたテンプレート4A及び4Bを、医師が医療器具を挿入することを計画する挿入平面19の目印として用いることができる。方位定位器1は患者に装着されるので、患者が思わず動いてしまっても、方位定位器1は挿入目印を提供することができる。
【0034】
処置中、医用誘導システム100は、自動画像再レジストレーションを実行することにより、画像取得ごとに方位定位器1の画像レジストレーションを更新することができる。
【0035】
図4は、本開示の別の実施形態に係る方位定位器1の平面図である。ここで、方位定位器1は、回転可能体9及び安定体10を含む。回転可能体9は、安定体10に対して回転可能なリングであり、挿入平面インジケータ8を有する。安定体10は、複数の基準マーカ6、接続ソケット11及び通信ケーブル12を含む。更に、ソケット11は、ゼロ位置マーカ13を有する。
【0036】
方位定位器1では、安定体10にロータリエンコーダ(図示なし)が配置される。また、回転可能体9にはロータリエンコーダスケールが配置される。ロータリエンコーダは、ゼロ位置マーカ13からの回転角度を測定する。通信ケーブル12は、ロータリエンコーダに電力を供給し、コンピュータ15とロータリエンコーダ信号を送受信するために双方向通信を可能にする。
【0037】
図5は、本開示の更に別の実施形態に係る医療機器誘導システムのシステムを示し、
図4及び
図8を参照して説明される。コンピュータ15は、挿入平面19上の断面画像を決定する。挿入平面19は回転可能体9の回転に対応するので、コンピュータ15は、通信ケーブル12を介して受信されたロータリエンコーダ信号を用いて、挿入平面19の断面画像を決定する。また、コンピュータ15は、回転可能体9の動きに同期しながら、断面画像をリアルタイムで更新する。これにより、医師は、画像ディスプレイ14と患者との間を前後に参照する必要なく、回転可能体9を回転させることにより、異なる画像を確認することができる。医師が最適な挿入平面19を見つけると、医師は、最適な挿入平面19の目印として、挿入平面インジケータ8を用いることができる。
【0038】
最適な挿入平面19を決定すると、医師は次に、挿入平面19上の医療器具の先端の目標位置を決定する。皮膚入口点は既に決定されているので、針軌道20は、皮膚入口点と医療器具の先端の目標位置とを接続することによって定められる。その後、コンピュータ15は、
図8に示されるように、針軌道20と局所座標のZ軸との間の挿入角度θを決定する。これにより、コンピュータ15は、X軸方向に関して、挿入角度θと挿入平面の挿入角度φをディスプレイ14に表示することができる。本願の他の場所で説明されるように、ゼロ位置はX軸と位置合わせされる。
【0039】
次に、医師は、これらの角度(挿入角度θ及び挿入平面の角度φ)を用いて、方位定位器1を用いることにより、医療器具を計画針軌道20に沿ってガイドすることができる。このようにして、患者に取り付けられた方位定位器1は、挿入角度θと挿入平面19の角度φの両方の目印として機能する。オプションとして、挿入角度θは、挿入角度θの異なる標記によって置換することができる。例えば、コンピュータ15は、回転可能体9の円周上の医療器具の高さに基づいて、計算を提供することができる。
【0040】
図7は、本開示の更に別の実施形態の方位定位器1の平面図である。ここで、方位定位器1は、回転可能体9内に組み込まれ、方位定位器1は、回転可能体9の円周に沿って配列されたLED(発光ダイオード)を備えたタッチスクリーン21(触覚入力用)を有する。LEDを備えたタッチスクリーン21は、ユーザのタッチ(触覚入力)を検出することができ、タッチに応答して、コンピュータ15は、挿入平面の位置を変更し、点灯するLED(例えば21A及び21B)を変更して挿入平面19の方位を示す。
【0041】
図7の回転可能体9は、回転可能部を覆うタッチスクリーン21を有するので、方位定位器1は、回転部品と安定部品の間にパッケージを挟むことなく、無菌カバーでパッケージでき、よって、部品間の狭い隙間の存在を減らすことができる。したがって、本実施形態の方位定位器1は、滅菌の困難性を低減し、滅菌の管理を容易にすることができる。
【0042】
第2の実施形態によれば、針状医療器具をガイドするための医用誘導システムは、意図された軌道に針状医療器具をガイドするように構成された誘導デバイスと、CT画像、MRI画像及び透視画像のうちの医用画像の少なくとも1つを読み出し、意図された軌道を医用画像とともに表示するためのコンピュータと、を備える。誘導デバイスは、ベースプレート開口、及び、患者に取り付けられるように構成された底面を含むベースプレートと、ベースプレートに取り付けられベースプレート開口と位置合わせされる回転可能リングであって、回転可能リングは、患者にアクセスするための主開口を形成するようにベースプレート開口に位置合わせされた可動リング開口を含む、回転可能リングと、意図された軌道に沿って針状医療器具をガイドするように回転可能リングに取り付けられた誘導部と、を備える。
【0043】
誘導デバイスは、ロータリエンコーダを更に備える。ロータリエンコーダは、可動リングに取り付けられたロータリスケールと、ベースプレートに取り付けられたセンサヘッドと、センサヘッドに接続され、センサヘッドからの検出信号を処理することにより、ロータリスケールの角度位置を計算するように構成されたセンサ回路基板とを含む。
【0044】
誘導デバイスは、ベースプレートに取り付けられ、医用画像において可視であるように構成された基準マーカを更に備える。誘導デバイスは更に回路ボックスを備え、回路ボックスは、ロータリエンコーダの座標と基準マーカの座標との間の幾何的関係を定義するための誘導デバイス情報を有するメモリユニットと、メモリユニット及びセンサ回路基板に接続され、コンピュータと通信するように構成されたマイクロコントローラとを有する。
【0045】
コンピュータは、医用画像の座標に関連して、医用画像内の基準マーカの幾何を計算するように構成される。
【0046】
医用誘導システムでは、コンピュータ又はマイクロコントローラのいずれかが、メモリユニット内のデバイス情報と、コンピュータによって計算された基準マーカの幾何とを用いることにより、誘導デバイスの座標と医用画像の座標との関係を計算するように構成される。
【0047】
一実施形態に係る医用誘導デバイスでは、ロータリエンコーダは、ロータリスケールの絶対角度位置を測定するように構成される。
【0048】
医用誘導デバイスにおいて、マイクロコントローラは、デバイス情報をコンピュータに送信するように構成され、コンピュータは、メモリ内のデバイス情報と、基準マーカの幾何とを用いることにより、誘導デバイスの座標と医用画像の座標との関係を計算するように構成される。
【0049】
医用誘導デバイスにおいて、回路ボックスは、無線通信ユニットと、誘導デバイスに電力を供給するためのバッテリとを含む。回路ボックスは、無線通信ユニットを用いることにより、コンピュータと無線で通信する。
【0050】
図9は、本開示の別の実施形態に係る医用誘導システム100を示す機能ブロック図である。この実施形態では、医用誘導システム100は、医用イメージングデバイス114から画像情報を受信する画像サーバ113とデータを送受信する。医用誘導システム100は、バス117を介して通信可能に結合されたコンピュータ15及び方位定位器1を含む。画像サーバ113は、医用イメージングデバイス114から画像情報を受信して保存するPACS及び/又はDICOMサーバ又はそれらの均等物等を含む。医用イメージングデバイス114は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナ、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナ、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャナ及び/又は透視撮影スキャナ等を含む。
【0051】
医用誘導システム100のコンピュータ15は、ユーザがコンピュータ15にアクセスし制御できるようにするユーザインタフェース115と、医用イメージングデバイス114から受信され画像サーバ113に保存された画像データに基づいて、患者への針状医療器具の適切な挿入角度を決定するためのナビゲーションソフトウェア116とを含む。更に、ナビゲーションソフトウェア116は、方位定位器1の使用を含むプロトコルや方位定位器1の視覚的方位及び位置情報等の情報を、医療専門家に提供する。
【0052】
方位定位器1は、誘導部109、回転可能リング9、安定(非回転)リング10及び回路ボックス103を含む。回転可能リング9は、ロータリスケール106を含む。安定リング10は、センサヘッド105及びセンサ回路基板107を有する。回路ボックス103は、マイクロコントローラ110及びメモリユニット111を含む。回転可能リング9及び安定リング10の部分は、ロータリエンコーダ4を構成する。ロータリエンコーダ4は、回転可能リング9のロータリスケール106と、安定リング10のセンサヘッド105及びセンサ回路基板107とを含む。
【0053】
本開示の更に別の実施形態では、医用誘導システム100は、誘導デバイスによって置き換えられる代わりに、方位定位器1と非常に同様に動作する。誘導デバイスは、方位定位器1の要素を含むが、安定リング10がベースプレートに置き換えられ、回転可能リング9が可動リングに置き換えられているという小さな違いがある。システムの他の全ての要素は、
図9に示されるものと同じである。
【0054】
図10A及び
図10Bは、本開示の
図9に記載されている実施形態に係る方位定位器1の2つの図である。
図10Aは、方位定位器1の上面図であり、
図10Bは、
図10Aに示されるように、矢印Aの方向から見たA-A線における断面図である。A-A線は、
図10Bに示された1つの図の2つの断面図が見えるように、点Cで直角に曲がる。本実施形態では、
図10A及び
図10Bに開示されている全ての特徴は、方位定位器1、安定リング10、及び回転可能リング9(
図4及び7に示される)と同様であり、対応し、それぞれ誘導デバイス、ベースプレート、可動リングに置換されている方位定位器1、安定リング10、回転可能リング9(
図4及び
図7に示される)と同様であり、それらに対応する。
【0055】
図10Bでは、安定リング10は、底部に位置する取付け面120を有する。取付け面120は、患者の皮膚表面上に取り付けられ、安定リング10は、取付け面120を介して患者の皮膚に接着する。
【0056】
図10Aでは、安定リング10は、4つの角に基準マーカ121A、121B、121C及び121Dを含む。基準マーカ121A、121B、121C及び121Dは、放射線不透過性材料を利用するCT画像及びX線画像においてだけでなく、光学的に可視である。放射線不透過性材料は、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、タングステンのフィラーを含むプラスチック等であってよい。
【0057】
各角において、基準マーカは、互いに異なる数の基準マーカを有するマーカのクラスターを形成する。したがって、安定リング10の位置及び方位は、CT画像及びX線画像内の1つ以上の基準マーカ121A、121B、121C及び121Dのみを用いて、幾何的に区別することができる。
【0058】
更に、
図9に示されるように、安定リング10は、センサヘッド105及びセンサ回路基板107を含むロータリエンコーダ4の部分を含む。センサヘッド105は、回転可能リング9に取り付けられたロータリスケール106に対向し、センサ回路基板107に電気的に接続される。センサ回路基板107は、センサヘッド105によるロータリスケール106の角度位置の測定信号を処理し、角度位置をマイクロコントローラ110に出力する。
【0059】
安定リング10は、リング形状であり、回転可能リング9と係合する。
図10Bを参照すると、回転可能リング9は、安定リング10上のレールにより、軸Eを中心に回転可能である。軸Eは、取付け面120上の点Cを通過する。また、安定リング10及び回転可能リング9は、センサヘッド105及びロータリスケール106を外部環境の汚染から保護するためのシール構造を有する。
【0060】
回転可能リング9はロータリスケール106を有し、ロータリスケール106は、回転可能リング9上に固定され、回転可能リング9とともに回転することができる。センサヘッド105、ロータリスケール10及びセンサ回路基板107は、ロータリエンコーダ4を形成する。ロータリエンコーダ4は、安定リング10のゼロ位置に対する回転可能リング9の角度位置を測定する。
【0061】
図9に示されるように、回転可能リング9は、ガイド部109に機械的に接続する。ガイド部109は、回転可能リング9とガイド部109との間の機械的結合により、回転可能リング9から取外し可能である。
図10Bに示されるように、ガイド部109は、リングフレーム1091及び円弧形状ガイド1092を含む。リングフレーム1091は、円弧形状ガイド1092と一体に作られている。リングフレーム1091は、針状医療器具(図示なし)を解除するためのスロット部分(空間)18を含む。円弧形状ガイド1092は、主開口119にわたってリングフレーム1091を橋渡しする。円弧形状ガイド1092はまた、挿入平面インジケータ8及び角度参照マーク30を含む。挿入平面インジケータ8は、軸Eを含み、
図8及び
図10Aに示される矢印Gに向かう誘導エリアを作成するために厚さDを有する。
【0062】
角度参照マーク30は、挿入平面インジケータ8上の点Cを中心とした角度を表す線マークである。軸Eを中心に回転可能リング9を回転させることにより、角度参照マーク30も、挿入平面インジケータ8とともに軸Eを中心に回転する。角度参照マーク30及び回転可能リング9を用いることにより、方位定位器1は、挿入平面を定位し、更に、点Cを有する遠隔運動中心の細かいグリッドを定位する。グリッドは、ピボットとして点Cに沿って生成元(generator)Bをもつ円錐形のグリッドである。
【0063】
遠隔運動中心は、医師の針状医療器具の操作をモデル化する。よって、点Cは、患者の皮膚に近い障害物を考慮することによって定められる医療器具の皮膚入口点に位置合わせされる。固定点Cを用いて、医師は、回転可能リング9及び角度参照マーク30の適切な位置を用いることにより、目標への意図された軌道を選択することができる。
【0064】
回転可能リング9及び角度参照マーク30の位置を決定した後、医師は、目標角度参照マーク30で挿入平面インジケータ8からの誘導に用いて、針状医療器具を挿入することができる。
【0065】
図11Aは、本開示の更に別の実施形態に係る方位定位器1の概略図である。より具体的には、誘導システム100の残りの部分(
図9に示される)を含む回路ボックス103の構成が、より詳細に説明される。
図11Aでは、
図9で説明された回路ボックス103は、マイクロコントローラ110、メモリユニット111、バッテリ(図示なし)及び有線又は無線通信ユニット(図示なし)を含む。
【0066】
マイクロコントローラ110は、コンピュータ15及びセンサ回路基板107からの情報を処理し、マイクロコントローラ110は、コンピュータ15及びセンサ回路基板107と通信して、それらの間でコマンド及び目標情報を交換する。具体的には、マイクロコントローラ110は、必要に応じて、ロータリエンコーダ4によって測定された回転可能リング9の角度位置を開始し、コンピュータ15に送信する。
【0067】
マイクロコントローラ110はまた、メモリユニット111に電気的に接続される。メモリユニット111は、設計として決定された方位定位器1の局所座標に基づいて、少なくとも方位定位器1の変換行列を保存する。次に、マイクロコントローラ110は、メモリユニット111内のこれらの変換行列を、ナビゲーションソフトウェア116がそれらを必要とするときに読み出し、コンピュータ115に送信する。
【0068】
具体的には、
図11Aの回路ボックス103は、安定リング10とは別の部品として、電気ケーブル122を介して、安定リング10のセンサ回路基板107でロータリエンコーダ104に電気的に接続される。その結果、
図11Aの回路ボックス103は、インターベンションのエリアに近いベッドサイド又は患者近くに配置することができるが、安定リング10から離れた場所に配置することができる。
図11Aの回路ボックス103により、安定リング10は、設置面積を低減し、インターベンションに必要な面積を低減することができる。また、
図11Aの回路ボックス103は、インジケータ123(LCD又はLEDディスプレイ等)を含む。インジケータ123は、回転可能リング9のリアルタイムの角度位置を、デジタルインジケータによって表示する。更に、インジケータ123は、方位定位器1に関する異なる情報、例えば回転可能リング9の目標角度位置、目標角度参照マーク(ゼロ位置)、目標と回転可能リング9の現在の角度位置との比較、バッテリ残量を表示する。回路ボックス103上のインジケータ123により、
図9A及び
図11Aに示されるように、医師は、患者とインターベンションエリアから離れる必要なく、その場で方位定位器1に関する情報を確認することができる。
【0069】
図11Bは、本開示の別の実施形態に係る方位定位器1の概略図を示す。より具体的には、
図11Bは、誘導システム100内の残りの構成要素を含む回路ボックス103の代替構成を示す。
図11Bでは、回路ボックス103は、マイクロコントローラ110、メモリユニット111、バッテリ(図示なし)及び無線通信ユニット(図示なし)を含む。これは、
図11Aに記載された実施形態と同様であるが、
図11Bの回路ボックス103は、安定リング10に一体に固定されている。したがって、手術野でケーブルが他の物体に絡まるリスクが軽減される。それにもかかわらず、この場合にも、回路ボックス103はインジケータ123を含む。
【0070】
図12は、本開示の医用誘導システム100を用いた針の誘導のためのプロセスを示すフローチャートである。ステップS1201において、医師は、医用イメージングデバイス114(医用イメージングモダリティ)を用いて医用画像を撮る。この特定の実施形態では、医療機器114はCTスキャナである。医療機器114は、画像サーバ113を介して、コンピュータ15のナビゲーションソフトウェア116にCT画像を送信する。或いは、コンピュータ15は、CTスキャナ又は画像サーバ113から能動的にCT画像を取得する。
【0071】
ステップS1202において、CT画像を用いて、医師は、針状医療器具及び皮膚入口点を用いて経皮的インターベンションの目標を定める。同時に、画像内で目標を皮膚入口点に仮想的に接続することにより、医師は、ナビゲーションソフトウェア116を用いて、針状医療器具の挿入の軌道の平面を決定することができる。また、このステップでは、医師は、患者の皮膚入口点に印を付け、これは、例えば、患者上のグリッド可視マーカを用いる標準的な方法である。
【0072】
ステップS1203において、医師は、針誘導デバイスをセットアップしてそれを較正し、方位定位器1の適切な初期状態を設定する。より具体的には、S1203でのデバイスセットアップは、元のゼロ位置を適切に確立するようにロータリエンコーダ104をセットアップすることを含み、これについては、
図14で詳しく説明する。
【0073】
デバイスをセットアップした後、ステップS1204において、医師は、方位定位器1を患者に取り付け、
図10A及び
図10Bの点Cを皮膚入口点に位置合わせし、次いで、粘着テープ等を用いて方位定位器1を患者に貼る。
【0074】
ステップS1205において、デバイスの取付けの後、医師は、方位定位器1を含むCT画像を撮り、そのCT画像をナビゲーションソフトウェア116に送信する。方位定位器を含むCT画像を用いて、ステップS1206において、医師は、デバイス対画像レジストレーションを実施する。このステップS1206において、ナビゲーションソフトウェア116は、
図10A及び
図10Bに記載されている基準マーカ121A、121B、121C及び121Dを用いることにより、CT画像、すなわちCT画像の座標における患者上の方位定位器1の位置及び方位を認識する。この基準マーカ検出は、ユーザインタフェース115を用いた医師の指示によって手動で実行することができ、又は、コンピュータアルゴリズムを用いることによって完全に自動化することができる。ナビゲーションソフトウェア116はまた、このステップでの回転可能リング9の角度位置
【数9】
と挿入平面インジケータ8上の挿入角度
【数10】
である2つのデバイスパラメータにより、軌道の計画を反映することができる。デバイス対画像レジストレーションについては、
図13に関連して更に説明する。
【0075】
ステップS1207において、医師は、ナビゲーションソフトウェア116を実行することにより、デバイス対画像レジストレーションが適切であるかどうかを確認するように、コンピュータ15によって促され得る。デバイス対画像レジストレーションが適切でない場合、再レジストレーションの必要性に達する(YESはステップS1207である)。再レジストレーションが必要である場合、医師は、ステップS1206でデバイス対画像レジストレーションを再度実施することができる。
【0076】
デバイス対画像レジストレーションが適切である場合、再レジストレーションは不要であり(ステップS1207でNO)、次にフローはステップS1208に進み、医師は目標デバイスパラメータ
【数11】
をマイクロコントローラ110に送信することができる。
【0077】
その後、ステップS1209において、ナビゲーションソフトウェアが、マイクロコントローラ110からの回転可能リング9のリアルタイム角度位置を用いることにより、ガイド表面の断面画像をインタラクティブに更新する間に、医師は、回転可能リング9を手動で回転させる。また、マイクロコントローラ110は、回転可能リング9のリアルタイム角度位置を、S1208でコンピュータ15から受信された目標角度位置と比較する。回転可能リング9が目標角度位置(パラメータ
【数12】
)に到達すると、マイクロコントローラは、ナビゲーションソフトウェア116及びインジケータ123に、回転可能リング9の目標設定の終了を通知する。次に、ナビゲーションソフトウェア116及び/又はインジケータ123は、医師に目標設定の終了を通知する。
【0078】
回転可能リング9の目標角度位置を確立すると、ステップS1210において、医師は、挿入平面インジケータ8の目標挿入角度によって示される特定の角度参照マーク30を選択し、特定の角度参照マーク30を用いて、医師は、誘導システム100を用いて、皮膚入口点から目標に針状医療器具を挿入する。
【0079】
挿入の最初の試行の後のステップ1211において、医師は、挿入された針状医療器具、方位定位器1のCT画像を撮り、そのCT画像をナビゲーションソフトウェア116に送信する。医師は、挿入された針状医療器具のCT画像を用いて、挿入された針状医療器具の位置及び方位を評価する。
【0080】
ステップS1212において、挿入された針状医療器具の位置が評価される。具体的には、位置が次善であると医師が判断した場合、位置は適切でないと決定され(ステップS1212のNo)、フローはステップS1207に戻り、再レジストレーションを実行すべきかどうかについて決定がなされる。レジストレーションが必要でない場合、ステップS1208において、医師は、軌道を更新して、ナビゲーションソフトウェア116を用いて針状医療器具の位置を改善することができる。同時に(リアルタイムで)、最新のCT画像を用いて、医師は、目標、皮膚入口点及び方向定位器1の転位又は変位を見つけ出し、方位定位器1のレジストレーションされた位置及び方向を更新する。よって、医師は、最新のCT画像を用いてデバイス対画像レジストレーションを実施することができる。デバイス対画像レジストレーションを更新することにより、医師は、方位定位器1と目標との間の実際の幾何的関係の不一致を減らすことができる。具体的には、方位定位器1は患者に取り付けられ、患者の体と一緒に動き得るので、デバイス対画像レジストレーションの更新により、古い(初期)CT画像からの患者の剛体転位(rigid dislocation)を効果的に補償することができる。
【0081】
軌道の更新された平面とデバイス対画像レジストレーションにより、医師は、最初の試行と同じステップS1208~S1211により、挿入の別の試行を行うことができる。
【0082】
ステップS1212において、挿入された針状医療器具の位置がチェックされ、医師が結果に満足した場合(ステップS1212でYes)、フローはステップS1213に続く。ステップS1213において、別の針状医療器具の挿入が必要であるかどうかに関する決定がなされる。別の針状医療器具の挿入が必要である場合(ステップS1213でYes)、フローはステップS1208に戻る。ステップS1208において、プロセスは上記のように継続し、追加の針が挿入される。任意に、高い精度が必要である場合、又は患者が思わず動いてしまった場合、フローはステップS1205に戻り、新しいCT画像と新しいデバイス対画像レジストレーションが実行される。別の針状医療器具の挿入が必要でない場合(ステップS1213でNo)、フローは完了し、したがって終了する。
【0083】
<デバイス対画像レジストレーションの数学モデル>
図13は、
図12のステップS1206に記載されているようなデバイス対画像レジストレーションを説明するための局所座標の変換の概略図である。デバイス対画像レジストレーションの相対変換行列を取得する計算プロセスは、
図13に示される変換プロセスによって計算することができる。そのために、ナビゲーションソフトウェア16は、
回転可能リング9の角度位置
【数13】
と挿入平面19上の挿入角度
【数14】
である2つのデバイスパラメータを用いて、軌道の計画を反映するようにプログラムされている。
【0084】
シグマΣは、それぞれの添え字に従う全ての局所座標の全体的な考慮を意味する。デバイス対画像レジストレーションでは、各要素(基準、可動リング、ガイド、取得された画像)の局所座標を、全体的な変換を考慮して個別に処理する必要がある。考慮すべき第1の側面は、医用画像Σ
imageを撮るときのワールドスペース(world-space)での患者の局所座標である。これは、器具の軌道の平面、目標の位置(例えば、患者の解剖学的構造の中心位置)及びナビゲーションソフトウェア116で変換を計算する際の皮膚入口点を表すための基本座標である。具体的には、医師は、患者の座標と物質界を関連付ける。考慮すべき第2の側面は、基準マーカ121の座標であり、例えば、
図10A~10Bに示されるガイドデバイスが用いられる場合、安定リング10の座標が考慮される。考慮すべき第3の側面は、回転可能リング9の座標位置であり、これは、回転可能リング9の角度位置
【数15】
によって、回転可能リング9とともに安定リング10に対して回転する。考慮すべき第4の側面は、針状医療器具の誘導の座標である。本開示の例示的な実施形態では、座標系の1つの軸(第1の軸)は、目標軌道に沿って通る。他の軸の1つ(第2の軸)は、挿入平面インジケータ8上にある(
図10Aを参照)。そして、第3の軸は、第2の軸に垂直であり、局所平面18に平行である。したがって、この挿入平面は、挿入平面インジケータ8上の
【数16】
の目標挿入角度に応じて、角度参照マーク30に沿って回転することができる。
【0085】
Tは座標変換を意味し、これは、4×4の同次変換行列である。Tの上付き文字は基本座標を示し、Tの下付き文字は変換の目的(又は宛先)座標を意味する。つまり、変換Tは、Tの上付き文字によって定義される基本座標を、Tの下付き文字によって定義される宛先座標又は目的座標に関連付ける。座標変換は、3次元空間の同次変換行列で表すことができ、2つの座標系間の幾何的関係を定義する4×4の行列を含む(例えば、デカルト座標系から角度座標系又は極座標系への変換)。
【0086】
4つの変換126、127、128及び129は、4つの局所座標の間で定義することができる。デバイス対画像レジストレーションの目的は、4つの変換126、127、128、129の間で次の方程式(1)を確立することである。
【数17】
【0087】
式中、変換126
【数18】
は、患者の取得された医用画像(IM)の座標(位置及び方位)に基づいて、針状医療器具の誘導(添え字G)の座標(位置及び方位)を関連付ける変換である。この変換126
【数19】
は、医用画像(IM)の座標から基準マーカ(F)の座標への変換である変換127
【数20】
の結合又は相関結果によって与えられるか、又はそれに等しい。ここで、
【数21】
は、医用画像の座標上の全ての基準マーカの位置ベクトルのセットであり、変換128
【数22】
は、基準マーカ(F)の座標からの可動リング(MR)の座標への変換であり、ここで
【数23】
は、基準マーカの座標に基づく回転可能リング9の角度位置であり、変換129
【数24】
は、可動リング(MR)の座標から針状医療器具の誘導(G)のための座標への変換であり、
【数25】
は、可動リング(MR)の座標に基づく挿入平面インジケータ8(P)上の挿入角度である。
【0088】
方程式1において、ナビゲーションソフトウェア116は、目標軌道からの、ベースプレートの特定の位置、すなわちi番目の画像の実際の位置
【数26】
での基準マーカの位置ベクトルを用いて、回転可能リング9の角度位置
【数27】
と挿入平面インジケータ8上の挿入角度
【数28】
のデバイスパラメータの目標値を決定することができる。
【0089】
方程式1の変換126
【数29】
の医用画像(IM)の座標に基づく針状医療器具の誘導(G)のための座標への変換は、2つの位置ベクトルを用いてナビゲーションソフトウェア116によって決定される。第1のベクトルは、皮膚入口点のベクトルであり、第2のベクトルは、リアルタイム医用画像の座標に基づく目標のベクトルである。
図12のステップS1202において、医師がCT画像において皮膚入口点及び目標を定めたとき、ナビゲーションソフトウェア116は、CT画像において最初に定められた位置を用いて、この変換を計算することができる。しかしながら、
図12の処理フローが進むと、ステップS1206において、ナビゲーションソフトウェア116は、デバイス対画像レジストレーションのためにリアルタイム画像(S1205で撮られた画像)を用いる。
【0090】
具体的には、ナビゲーションソフトウェア116がステップS1205で撮られたCT画像における基準マーカ121A、121B、121C及び121Dの位置を取得するときに、パラメータ
【数30】
が決定される。したがって、ナビゲーションソフトウェア116が
【数31】
の行列形式を知っている場合、ナビゲーションソフトウェア116は、軌道の計画からパラメータ
【数32】
及び
【数33】
を導出することができる。
【0091】
座標変換127
【数34】
、変換128
【数35】
及び変換129
【数36】
の行列形式は、方位定位器(基準マーカ、可動リング及びガイド部を含む)の幾何的設計と、実際の組立て誤差及び/又は製造公差によって定義される。変換127
【数37】
の行列形式は、基準マーカ121の設計及び構成に依存する。行列形式
【数38】
は、幾何的(機械的)設計、例えば各構成要素のサイズ、ベースプレート又は安定リング上の可動リングの位置等によって定義される。行列形式
【数39】
は、ガイド部109の設計によって定義される。方位定位器1が設計変更を受けると、変換行列の形式も更新される必要がある。したがって、ナビゲーションソフトウェア116は、医師が所与のインターベンションのために使用している方位定位器の実際の設計パラメータに対応するこれらの変換の行列形式を常に適用する必要がある。
【0092】
変換127、128、129の形式と医師が使用している方位定位器の実際の設計との間の対応を維持し保証するために、方位定位器1は、メモリユニット111に保存されている変換127、128、129の形式に関するデバイス情報を含む。このようにして、インターベンション手順中に、ナビゲーションソフトウェア116を実行するコンピュータ15は、マイクロコントローラ110に、変換127、128、129の形式に関するデバイス情報を要求し、パラメータを用いて方程式1を確立する。
【0093】
変換127、128、129と実際の方位定位器との間の対応は、方位定位器側でのみ確立されるので、ナビゲーションソフトウェア116は、更新される必要はなく、あらゆる可能な方位定位器のために専用デバイステーブルを準備する必要はない。ナビゲーションソフトウェア116は、方位定位器の異なる設計と個々のパラメータに対する1つの普遍的なアクションとして、デバイス情報をマイクロコントローラ110に要求することができる。
【0094】
また、方程式1を用いて、ナビゲーションソフトウェア116は、挿入平面インジケータ8のリアルタイム位置に断面画像を表示することができる。ナビゲーションソフトウェア116は、ロータリエンコーダ104によって測定された回転可能リング9のリアルタイム角度位置を変換128
【数40】
に適用し、挿入平面インジケータ8上に断面画像を合成することができる。リアルタイム断面画像は、目標の周囲の重要な解剖学的構造が存在するかどうか、又は、目標自体と目標周囲の治療エリア(例えばアブレーションエリア)が計画された挿入軌道にあるかどうかを、医師が直感的に確認するのに役立つ。
【0095】
図14は、ロータリエンコーダ4がそれぞれ増分角度位置と絶対角度位置を測定する実施形態について、ステップS1203で説明されたデバイスセットアップのサブステップを詳細に示す、
図12の抽出フローチャートである。
【0096】
図12のステップS1203におけるデバイスセットアップは、
図14に示されるように、サブステップS1401でのデバイスの電源投入のサブステップと、サブステップS1402でのデバイス較正と、サブステップS1403での較正の確認とを含む。まず、
図14のサブステップS1401において、医師が方位定位器1の電源を入れる。デバイスの電源をオンにしても、増分角度測定を伴うロータリエンコーダ104は、ゼロの正しい角度位置をまだ定義しない。したがって、サブステップS1402において、医師は、ゼロの正しい角度位置を確立するために、デバイス較正を実行する必要がある。すなわち、デバイス較正サブステップS1402は、方位定位器1をゼロ位置に較正することを含む。ゼロ位置は、
図7に示されるゼロ位置マーカ13によって与えられる位置等、所定の位置又は事前定義の位置であってよく、又は、ゼロ位置は、回転可能リング9(それに関して角度変位を測定することができる)の回転の円周に沿った任意の位置(例えば、絶対エンコーダ位置によって与えられる)で定義されてよい。これは、正しいゼロ位置への機械的参照に対する回転可能リング9の手動又は電子的な位置合わせによって行うことができる。ゼロ位置が確立されると、医師は、ゼロの正しい角度位置を医用誘導システム100に教えることができる。
【0097】
デバイス較正後、サブステップS1403において、医師は、再較正が必要かどうかを確認し、
図12のステップS1204における患者へのデバイスの取付けに進むかどうかを決める。再較正が必要である場合(サブステップS1403でYes)、フローは較正のためにサブステップS1402に戻る。再較正が必要でない場合(サブステップS1403でNo)、フローはステップS1204に進み、デバイスは患者に取り付けられる。
【0098】
図14のデバイスセットアップステップは、あらゆるインターベンション用のあらゆるデバイスに必要である。更に、医師が何らかの理由で誘導デバイスをオフにしてから、医用誘導システムを再起動する必要がある場合、これらの手順も必要である。例えば、インターベンション処置が停止され、医用誘導システムが再起動された場合、方位定位器が正しいゼロ位置に位置合わせされたままであることを保証するために、これらのデバイスセットアップ手順が必要である。この場合、デバイスは既に患者に取り付けられているので、再較正の決定が不要である場合(ステップS1403でNo)、インターベンションの時間を短縮することができる。また、再較正は不要であるとナビゲーションソフトウェア116が決定した場合、絶対角度を測定するためのロータリエンコーダ104を備えた医用誘導システムにより、人的要因エラーのリスクを有利に低減し、システムを使用する際の操作者の精神的負荷を下げることができる。
【0099】
上記のように、ステップS1212において、挿入された針状医療器具の位置は、適切な位置決めのために評価される必要がある。次に、その位置が次善であると医師が判断した場合、その位置は適切ではないと決定され、再レジストレーションを実行すべきかどうかについて決定が下される。針の位置を評価するために、コンピュータ15は、ナビゲーションソフトウェア116を実行し、計画軌道及び/又は挿入された器具の1つ以上の画像を表示するようにプログラムされている。
【0100】
<デバイス平面の軸方向画像と再構成画像の連動表示による医用誘導のインタラクティブ表示及び評価>
ユーザが一連の軸方向画像を用いて面外針挿入を評価する必要がある場合、患者の解剖学的構造(例えば腫瘍)に対して軸方向画像をめくる方向を理解して、針の挿入方向を確認することは、ユーザにとっては困難である。医療機器(針又はプローブ)はデバイスのパラメータ
【数41】
に従って挿入されるので、デバイス平面に沿った再構成画像を観察することにより、針の挿入軌道を評価することが容易になるであろう。しかしながら、(デバイス平面に沿った)再構成画像も、軸方向画像との不明確な関係と、患者に対するスライス方位が原因で、理解するのは困難である。
【0101】
図15及び
図16は、計画軌道及び/又は挿入された器具の実際の軌道をインタラクティブに表示及び評価するための例示的な実施形態を示す。この実施形態によれば、軸方向画像とデバイス平面の再構成画像の表示を連動させることにより、医用誘導の有効性をインタラクティブに表示及び評価することが有利である。
図15と
図16の各々は、一連の軸方向画像17と、挿入平面画像190と、方位定位器1の画像とを示す。この実施形態では、ナビゲーションソフトウェア116は、
軸方向画像17と、挿入平面画像190と、(任意に)方位定位器1の画像とを、画像ディスプレイ14に表示する。これらの画像は、単一又は複数のディスプレイスクリーンに同時に並べて表示されてもよく、又は、画像は必要に応じて交互に表示されてもよい。
図12から理解されるように、方位定位器1は、デバイス対画像レジストレーション時に確立されたその位置及び方位で、既にCT画像座標にマッピングされている。
【0102】
ナビゲーションソフトウェア116は、挿入平面インジケータ8に基づいて挿入平面画像190を再構成している。したがって、ユーザ(医師)が適切な位置決めを評価する必要がある場合、ユーザは、回転軸Eを中心に回転方向Gに沿って挿入平面インジケータ8を回転させ、挿入平面画像190は一貫して更新されることになる。挿入平面インジケータ8の回転と挿入平面画像190の更新は、リアルタイムで互いに同期される。
【0103】
CT画像が患者の解剖学的構造1002及び針軌道1006を含む場合、針軌道1006は、計画針軌道及び/又は挿入された針の軌道であってよい。しかしながら、軸方向画像17において、挿入方向が軸スキャン方向に対して垂直でない場合、針軌道1006は、観察された軸方向画像17において部分的にのみ描出される。この針軌道1006の部分画像の観察により、医師は、実際の三次元空間における針の方位を理解できるであろう。しかしながら、針軌道1006の全長を観察するために、複数の軸方向画像17が必要である。したがって、医師は、複数の軸方向画像をチェックし、様々な軸方向画像から針軌道1006の複数の部分画像を用いて、針の方位を再構成し得る。
【0104】
この実施形態では、ユーザの理解を容易にし、評価プロセスを促進するために、軸方向画像17は、挿入平面画像190上の軸方向平面インジケータ1005にリンクされる(連動される)。軸方向平面インジケータ1005は、軸方向画像17と挿入平面画像190との間の交差線における少なくとも1つの軸方向画像17を表す。このようにして、ユーザが軸方向画像17をD方向の方位に動かすと、軸方向平面インジケータ1005は、挿入平面画像190上の方位Bに同時に移動(並進)することになる。また、ユーザは、軸方向平面インジケータ1005をB方向に動かして、軸方向画像17をD方向に動かすことができる。
【0105】
この実施形態では、医師は、軸Eを中心に回転方向Gに挿入平面インジケータ8を回転させることにより、挿入平面画像190上で所望の針軌道1006を直感的に見つけることができる。回転方向Gも軸方向平面インジケータ1005と連動されるので、ユーザは、軸方向スキャンインジケータ1005により、軸方向画像17を挿入平面画像190に容易にマッピングすることができる。特に、軸方向スキャンインジケータ1005は、軸方向画像17及び挿入平面インジケータ8の回転方向Gと同期されるので、医師は、軸方向画像17上の部分針軌道1006がどこから来ているかを直感的に理解することができる。このようにして、医師が複数の軸方向画像17をめくることにより、軸方向画像17上の部分針軌道1006をチェックしているとき、医師は、針軌道1006に沿った軸方向画像17のめくる方向を容易に理解することができる。
【0106】
図15の実施形態は、医師が複数の針軌道1006を計画又は実行するとき、手術時間を短縮し、人的要因エラーを最小限に抑えることに特に有益である。
【0107】
図16は、
図15の前述の実施形態に基づく更なる特徴を説明している。
図16による実施形態では、挿入平面画像190上に、軌道インジケータ又はリミッタ1008及び1007が表示される。ここで、挿入平面画像190に沿った再構成画像内の2つのポインタは、それらのポインタ間の軸方向画像のセットを選択するために用いられる。
【0108】
ユーザは、タッチ操作又はポイントアンドクリック操作により、挿入平面画像190上でこれらのリミッタ1008及び1007をインタラクティブに定めることができる。画像リミッタ1008及び1007は、針軌道1006に沿ってスライド可能であってよく、軸方向画像17のセットについて範囲1010を定めることができる。
【0109】
画像リミッタ1008及び1007により、ユーザは、容易に軸方向画像17の範囲1010をセットに限定して、針軌道1006を調べることができる。一実施形態では、ナビゲーションソフトウェア116は、針軌道の皮膚挿入点と、計画針軌道又は実際の針軌道の目標とに基づいて、画像リミッタ1008及び1007を自動的に設定するように構成されてよい。他の実施形態では、軌道インジケータ又は画像リミッタ1008及び1007はまた、患者の解剖学的構造(器官又は腫瘍)のサイズ及び形状によって定めることができる。画像リミッタ1008及び1007が解剖学的構造のサイズ及び形状によって定められる場合、ユーザは、重要な器官への望ましくない損傷を回避するために挿入軌道が効果的かどうかを、より詳細に評価することができる。
【0110】
有利には、軸方向画像とデバイス平面の再構成画像との表示を連動させることにより、デバイス平面上の再構成画像は、実際のデバイスの動きに応じてリアルタイムで更新される。1つ以上の軸方向画像をデバイス平面上の再構成画像と同じ画面に表示することができ、全ての画像をリアルタイムでインタラクティブに更新することができる。再構成画像は、再構成画像と交差する位置に、軸方向画像の線記号とともに重ね合わされる。ユーザが軸方向画像の表示を変更すると、線記号が軸方向画像と連動する。
【0111】
本明細書に記載される方位定位器を用いる医用誘導デバイスは、医療器具が局所平面として挿入されるように計画されている患者の皮膚入口点の周りの画像の接平面を提供する。したがって、医師は、医用針に垂直な平面に近い平面を用いることにより、病変内の目標挿入点を容易に計画することができ、また、複数の医療器具の挿入が計画されている場合でも、局所平面を代表平面として用いることにより、医師が医療器具の軌道から除外する必要のある重要な解剖学的構造を確認することができる。更に、この局所平面は、コンピュータ内の画像と患者に対する方位定位器との間で一貫しているので、医師は、医療器具の挿入角度の目印として、方位定位器を使用することができる。
【0112】
本明細書に開示される医用誘導デバイスは、また、局所平面に垂直な挿入平面を提供する。有利には、医師は、3D画像における挿入平面及び挿入軌道を定めるための複雑な操作なしに、医用イメージングデバイスの軸方向イメージングの中から、医療器具の挿入軌道を計画することができる。
【0113】
本明細書に記載される医用誘導デバイスは、医師がディスプレイ内の画像として確認する挿入平面を示すために、物理的な角度スケールを更に提供する。したがって、医師は、軸方向イメージング平面の中から挿入平面を容易に決定することができ、また、医師が医用イメージングデバイスの軸方向イメージング平面上にない医療器具の挿入軌道を必要とする場合に、挿入パラメータと挿入操作の複雑さを軽減することができる。更に、一部の実施形態では、方位定位器は、挿入平面の角度位置の一貫性を維持するために電子機器を必要としない角度スケールを含む。したがって、部品の数を削減して医用誘導デバイスを開発することができ、動作の信頼性を高めることができる。また、方位定位器は、様々な材料オプションとともに容易に滅菌することができ、かつ/又は、手頃なコストで使い捨てにすることができる。
【0114】
一部の実施形態では、医用誘導デバイスは、回転可能体(回転可能リング)及びエンコーダを含む。回転可能体及びエンコーダにより、医師は、患者に取り付けられた方位定位器の回転可能体を回転させることにより、ディスプレイ内の挿入平面を回転させることができる。したがって、医師は、画像の操作と方位定位器の操作との間で注意を切り替えることなく、挿入平面を容易に決定することができる。また、回転可能体及びエンコーダは、挿入平面インジケータの角度位置に対応するディスプレイ内の挿入平面のリアルタイム更新を提供する。したがって、計画軌道を変更する必要が生じたとき、医師は挿入平面を容易に更新することができる。
【0115】
医用誘導デバイスは、医師が決定する挿入平面上の局所平面からの挿入角度の情報を提供する。したがって、医師は、局所平面及び挿入平面を目印として用いることにより、医療機器を用いて医療器具を正確かつ迅速にターゲティングするための情報を使用することができる。
【0116】
一部の実施形態に係る医用誘導システムは、方位定位器の回路ボックス(コントローラ)内にメモリユニットを含む。方位定位器は、コンピュータではなく方位定位器自体にデバイス情報を保持するので、デバイス情報を、ユーザ側ではなく製造側で誘導デバイスと一致させることができる。したがって、ユーザ側でのメンテナンスによって引き起こされる誤った情報や情報の欠落を回避しながら、正しいデバイス情報を用いてデバイス対画像レジストレーションを実施することができる。また、コンピュータは方位定位器情報を維持又は更新する必要がないので、誘導システムは、インターベンション処置時のデバイス対画像レジストレーションの処理時間を短縮することができる。誘導システムは、ユーザによる人的要因エラーと、デバイス対画像レジストレーションに誤ったデバイス情報を用いるリスクを低減することもできる。
【0117】
更に、ユーザ側でコンピュータ構成を変更することなく、かつ、コンピュータ内でデバイス情報のリストを保持する必要なく、デバイス情報は、個々のデバイス、製造ロット及び設計世代間の差異を含むことができる。したがって、システムは、最小の処理時間のデバイス対画像レジストレーションのために、実際のデバイス構成とデバイス情報との間で一貫して高い精度を提供することができる。具体的には、コンピュータが再利用可能であり、誘導デバイスが使い捨てである場合、システムにより、ユーザと製造業者は、様々な誘導デバイスを最小限の変更でシステムに組み込むことができる。
【0118】
一部の実施形態では、方位定位器は、絶対角度位置を測定するためにロータリスケール及びロータリエンコーダを含む。ロータリエンコーダを用いてロータリスケールの絶対角度位置を測定することにより、システムは、ロータリエンコーダのゼロ位置を確立するための較正ステップを実行するようにユーザに依頼する必要はない。したがって、システムは、デバイス対画像レジストレーションを実施するための較正ステップに関する人的要因エラーを低減することができる。また、絶対角度位置を用いて、システムは、較正ステップなしでガイドデバイスの使用を開始するためのセットアップステップを減らすことができ、インターベンションの時間を短縮することができる。
【0119】
一部の実施形態では、コンピュータは、方位定位器のマイクロコントローラの設計パラメータを取得し、誘導デバイスの座標を計算する。誘導デバイスの座標の計算をコンピュータに割り当てることにより、システムは、マイクロコントローラでの計算を最小限に抑えることができる。したがって、システムは、患者の近くに取り付けられた誘導デバイスでの発熱を低減することができる。また、システムは、より少ない計算能力で、マイクロコントローラのコストと設置面積を削減することができる。誘導デバイスを使い捨てにする場合、低コストも有利な要素である。更に、誘導デバイスがバッテリによって駆動される場合、システムは、マイクロコントローラの低計算タスクとコンピュータの高計算タスクによってバッテリ電力を節約することにより、デバイス動作時間を効率的に増加させる。
【0120】
一部の実施形態では、方位定位器は無線通信を含む。ガイドデバイスとコンピュータとの間で無線通信を行うことにより、コンピュータは、それらの間に物理的な電気接続ポートがなくても、誘導デバイスのある部屋、つまり患者のいる部屋とは別の部屋に配置することができる。したがって、患者のいる部屋の外でコンピュータを使用することにより、医師は、患者がいない状態でインターベンションを計画し議論することができる。また、医師は、画像の劣化を最小限に抑えたり、医師への不要なイオン化を回避したりするために、CTやMRI等の医用イメージングデバイスを用いて、部屋の外でインターベンションのための医用画像を頻繁に確認する。したがって、医用画像デバイスのある部屋の外でコンピュータを使用できるようにすることで、システムは、現在のワークフローの変更を最小限に抑え、部屋の内部への移動を最小限に抑えることができる。特に、CTイメージングデバイスのある部屋には、物理的な電気接続ポートとケーブルを供給するための物理ポートが装備されていることは多くない。したがって、システムは、部屋側に変更を加えることなく、CTイメージングデバイスのある部屋のより広い範囲に対応することができる。また、このシステムは、ケーブルの絡まりのリスクを軽減し、特に外科領域でのケーブル管理を容易にすることができる。
【0121】
<ソフトウェアの実装>
本開示の実施形態は、システム又は装置のコンピュータによって実現することができ、システム又は装置は、記憶媒体(より完全に「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれることもある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出して実行して、上記実施形態のうちの1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、上記実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を含む。また、本開示の実施形態は、例えば記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行して、上記実施形態のうちの1つ以上の機能を実行することにより、かつ/又は、上記実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することにより、システム又は装置のコンピュータによって実行される方法によって、実現することができる。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワーク又は記憶媒体から、コンピュータに提供されてよい。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-rayディスク(BD)(商標))、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうちの1つ以上を含んでよい。入出力デバイスに通信インタフェースを提供するためにI/Oインタフェースを用いることができ、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)を含んでよい。
【0122】
<定義>
説明を参照する際、開示された例の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が記載されている。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、構成要素及び回路は、詳細には説明されていない。本明細書において別段の定義がない限り、本明細書において用いられる技術用語及び科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の広さは、本明細書によって限定されるべきではなく、むしろ、採用された請求項の用語の平易な意味によってのみ限定されるべきである。
【0123】
「医用デバイス」との用語は、外科用デバイスと非外科用デバイスを含み得る用語であり、これらの用語は、アブレーションプローブ、生検針、外科用メス、内視鏡、超音波ワンド等を含む、それらの平易かつ通常の意味を包含することが意図される。「針」又は「針状医療用具」という用語は、アブレーションプローブ、生検針、カニューレ、カテーテル、電気焼灼デバイス、Bovie、ステント誘導デバイス等の、硬質又は非硬質の針状の物体を指す。ガイドシステム及び方法は、針状器具との併用に限定されない。本開示に記載された原理の下で医療器具を画像誘導することができる限り、ガイドシステム及び方法はまた、メス、鉗子、切断器具、シアー、更にはレーザ又はレーザ導波路等の、非針デバイスと併用されてもよい。
【0124】
本明細書において、要素又は部品が別の要素又は部品に「接触(on)」し、「押し当て(against)」られ、「接続(connected to)」され、又は「結合(coupled to)」されると言及される場合、それは別の要素又は部品に直接的に接触し、押し当てられ、接続され、又は結合されることが可能であり、又は、介在する要素若しくは部品が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素又は部品に「直接接触」し、「直接接続」され、又は「直接結合」されると言及される場合、介在する要素又は部品は存在しない。「及び/又は」という用語は、使用されるとき、「/」と省略されることがあり、また、そのように提供される場合には関連する列挙された項目のうちの1つ以上のあらゆる全ての組合わせを含む。
【0125】
本明細書では、様々な図に示されるような1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を記述するための説明を簡単にするために、「下(under)」、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的な相対語が使用されることがある。しかしながら、当然ながら、空間的な相対語は、図に示される方位に加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な方位を包含することを意図する。例えば、図中のデバイスがひっくり返されると、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあると説明される要素は、他の要素又は特徴の「上」に配置されることになる。よって、「下方」等の相対的な空間用語は、上と下の両方の方位を含み得る。デバイスは、他の状態に(90度回転されて、又は他の方位に)向けられてもよく、本明細書で使用される空間的な相対的記述語はそれに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位」及び「遠位」という相対的空間用語も、該当する場合には交換可能とすることができる。
【0126】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。いかなる数値範囲も、本明細書に記載される場合、そこに包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0127】
本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、部品及び/又はセクションを説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然ながら、これらの要素、構成要素、領域、部品及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、部品又はセクションを別の領域、部品又はセクションから区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、構成要素、領域、部品又はセクションは、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部品又はセクションと呼ぶことができる。
【0128】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明するものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書において用いられる場合、単数形(“a”、“an”、“said”及び“the”)は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」(“includes”及び/又は“including”)という用語は、本明細書において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は部品の存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、留意すべきこととして、一部のクレームは、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0129】
図面に示された例示の実施形態を説明する際、分かりやすくするために、具体的な専門用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示はそのように選択された具体的な専門用語に限定されることを意図するものではなく、当然ながら、具体的な要素の各々は、同様に動作する技術的な均等物を全て含む。
【0130】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明したが、更に当然のことながら、本発明は開示される例示的な実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲の範囲は、変更並びに均等な構造及び機能を全て包含するように、最も合理的な解釈を与えられるべきである。