(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】多孔性無機粒子の製造方法及び多孔性無機粒子を含む光反射用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20231108BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231108BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/06
A61K8/11
A61K8/81
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2020554474
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2019005077
(87)【国際公開番号】W WO2019209071
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0048557
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ, スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ギラ
(72)【発明者】
【氏名】イム, イラン
(72)【発明者】
【氏名】キム, スン ヒョン
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0014319(KR,A)
【文献】特開2010-053200(JP,A)
【文献】再公表特許第2007/060884(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/25
A61K 8/06
A61K 8/11
A61K 8/81
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性無機粒子の製造方法であって、
a)架橋された高分子粒子を形成する段階;
b)無機前駆体を用いて前記a)の粒子にシェルを形成させてコア・シェル(Core-shell)粒子を形成する段階;
c)前記コア・シェル粒子及び有機溶媒を内相に含むエマルジョンを調製する段階;
d)前記エマルジョンから有機溶媒を除去する段階;及び
e)前記d)の結果物を焼成して多孔性無機粒子を形成する段階;
を含
み、
前記架橋された高分子は、表面に負の電荷を持つものであり、
前記無機前駆体は、シリカ(SiO
2
)前駆体であり、
前記b)コア・シェル粒子の形成段階の後であってc)エマルジョンの調製段階の前に、b-1)前記コア・シェル粒子の表面を疎水性改質する段階を更に含み、
前記エマルジョンは、水中油(O/W)エマルジョンである、
多孔性無機粒子の製造方法。
【請求項2】
前記架橋された高分子は、ポリスチレ
ンである、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記疎水性改質は、オクタデシルトリメトキシシラン(OTMS)、オクタデシルエトキシシラン(OTES)、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、及びオレイン酸(OA)からなる群より選ばれるカップリング剤を用いることを含む、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記焼成は、600~900℃で行う、請求項1~
3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された多孔性無機粒子の有効屈折率を算出する段階、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率と前記媒質の屈折率との差が0.03以下の媒質に前記多孔性無機粒子を分散する段階を含む、光反射性組成物の製造方法。
【請求項6】
前記有効屈折率の算出は、下記数学式1によって単一のコア・シェル粒子の有効屈折率を算出し、これを数学式2に代入して多孔性無機粒子の有効屈折率を算出することを含む、請求項
5に記載の光反射性組成物の製造方法。
【数1】
前記式中、n
cはコア屈折率、n
sはシェルの屈折率、fは体積分率である。
【数2】
前記式中、n
mは媒質の屈折率、oはパッキング分率である。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された多孔性無機粒子、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率との屈折率の差が0.03以下の媒質を含む、
光反射性組成物。
【請求項8】
前記組成物は紫外線遮断用である、請求項
7に記載の光反射性組成物。
【請求項9】
前記組成物は透明なものである、請求項
7又は
8に記載の光反射性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、多孔性無機粒子の製造方法及び多孔性無機粒子を含む光反射用組成物に関して記述する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(Ultraviolet radiation)は、200nm~400nmの波長に存在する太陽光であって、暴露強度や時間によっては潜在的に有害な影響を及ぼし得る。波長に応じてUVC(200~290nm)、UVB(290~320nm)、UVA(320~400nm)に分けられる。肌がUVCに直接曝された場合、命に致命的な影響を及ぼすが、該UVCはオゾン層に吸収されるため地表面には到逹しない。しかし、UVBに曝された場合、火傷をすることがあり、UVAは皮膚の真皮層に浸透して皮膚癌や老化を誘発することがある。光老化は実際に皮膚老化の70~80%以上を占めると知られており、現代人にとって紫外線遮断剤は必須製品となった。これに伴い、様々な種類の紫外線遮断及び吸収機能を有する化粧品についての開発が活発に進められている。
【0003】
紫外線遮断剤は、大別して化学的遮断剤と物理的遮断剤とに分けられる。化学的遮断剤は、紫外線を吸収して肌を紫外線から保護する。アボベンゾン(Avobenzone)又はオキシベンゾン(Oxybenzone)といった芳香族物質が主に用いられる。化学的遮断剤は透明であるという長所があるものの、光安定性が落ち且つアレルギーのような皮膚副作用を誘発するという短所がある。物理的遮断剤は、屈折率による紫外線反射及び散乱によって紫外線を遮断する。物理的遮断剤として二酸化チタン(Titanium Dioxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)などが用いられ、皮膚安定性が高く且つUVAとUVBを効果的に遮断するが、肌への塗布の際に白濁現象が生じることがある。
【0004】
そこで、皮膚安定性が高く且つ白濁現象が少ないか透明であり、反射波長帯を調節することができる紫外線遮断剤についての要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0004939号公報
【文献】韓国公開特許第10-2008-0028992号公報
【文献】韓国公開特許第10-2003-0092441号公報
【文献】韓国登録特許第10-1625801号公報
【文献】米国特許出願公開第2013/0084318号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一観点において、本発明が解決しようとする課題は、気孔の大きさ及び気孔間の距離が均一且つ規則的な多孔性無機粒子を製造する方法を提供することである。
【0007】
他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、気孔の大きさ及び気孔間の距離を調節することができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することである。
【0008】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、透過又は散乱させる光の波長領域を調節することができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することである。
【0009】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、気孔の大きさ及びシェルの厚さの調節によって透過又は散乱させる光の波長領域を調節することができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することである。
【0010】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、気孔の大きさ及びシェルの厚さの調節によって特定の波長領域の光を選択的に透過又は散乱させることができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することである。
【0011】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、紫外線を効果的に反射させることができる多孔性無機粒子を提供することである。
【0012】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、粒子の内部まで気孔が均一に分布された多孔性無機粒子を提供することである。
【0013】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、粒子の内部まで均一に気孔が分布されて光学特性に優れる多孔性無機粒子を提供することである。
【0014】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、所望の波長の光を透過又は散乱する多孔性無機粒子を提供することである。
【0015】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、特定の領域の波長のみを強く透過又は散乱する多孔性無機粒子を提供することである。
【0016】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、多孔性無機粒子の有効屈折率を媒質の屈折率にマッチングさせて透明な光反射用組成物を提供することである。
【0017】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、多重散乱を防止する光反射用組成物を提供することである。
【0018】
また他の観点において、本発明が解決しようとする課題は、白濁現象のない紫外線遮断用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一実施例において、本発明は
a)架橋された高分子粒子を形成する段階;
b)無機前駆体を用いて前記a)の粒子にシェルを形成させてコア・シェル(Core-shell)粒子を形成する段階;
c)前記コア・シェル粒子及び有機溶媒を内相に含むエマルジョンを調製する段階;
d)前記エマルジョンから有機溶媒を除去する段階;及び
e)前記d)の結果物を焼成して多孔性無機粒子を形成する段階を含む多孔性無機粒子の製造方法を提供する。
【0020】
他の一実施例において、本発明の一実施例に係る多孔性無機粒子の製造方法によって製造された多孔性無機粒子の有効屈折率を算出する段階、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率との屈折率の差が0.03以下の媒質に前記多孔性無機粒子ルを分散する段階を含む、光反射性組成物の製造方法を提供する。
【0021】
また他の一実施例において、本発明の一実施例に係る前記多孔性無機粒子の製造方法によってよって製造された多孔性無機粒子、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率との屈折率の差が0.03以下の媒質を含む、光反射性組成物を提供する。
【0022】
また他の一実施例において、本発明の一実施例に係る前記多孔性無機粒子の製造方法によって製造された多孔性無機粒子、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率との屈折率の差が0.03以下の媒質を含む組成物の光反射用途を提供する。
【0023】
また他の一実施例において、本発明の一実施例に係る前記多孔性無機粒子の製造方法によって製造された多孔性無機粒子、及び
前記多孔性無機粒子の有効屈折率との屈折率の差が0.03以下の媒質を含む組成物の紫外線遮断用途を提供する。
【発明の効果】
【0024】
一観点において、本発明は、気孔の大きさ及び気孔間の距離が均一且つ規則的な多孔性無機粒子を製造することができる。
【0025】
他の観点において、本発明は、気孔の大きさ及び気孔間の距離を調節することができる多孔性無機粒子を製造方法を提供することができる。
【0026】
また他の観点において、本発明は、透過又は散乱させる光の波長領域を調節することができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することができる。
【0027】
また他の観点において、本発明は、気孔の大きさ及びシェルの厚さの調節によって透過又は散乱させる光の波長領域を調節することができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することができる。
【0028】
また他の観点において、本発明は、気孔の大きさ及びシェルの厚さの調節によって特定の波長領域の光を選択的に透過又は散乱させることができる多孔性無機粒子の製造方法を提供することができる。
【0029】
また他の観点において、本発明は、多様な波長領域の光を効果的に透過又は散乱させることができる多孔性無機粒子を提供することができる。
【0030】
また他の観点において、本発明は、紫外線を効果的に反射させることができる多孔性無機粒子を提供することができる。
【0031】
また他の観点において、本発明は、粒子の内部まで気孔が均一に分布された多孔性無機粒子を提供することができる。
【0032】
また他の観点において、本発明は、粒子の内部まで均一に気孔が分布されて光学特性に優れる多孔性無機粒子を提供することができる。
【0033】
また他の観点において、本発明は、所望の波長の光を透過又は散乱する多孔性無機粒子を提供することができる。
【0034】
また他の観点において、本発明は、特定の領域の波長のみを強く透過又は散乱する多孔性無機粒子を提供することができる。
【0035】
また他の観点において、本発明は、多孔性無機粒子の有効屈折率を媒質の屈折率にマッチングさせて透明な光反射用組成物を提供することができる。
【0036】
また他の観点において、本発明は、多重散乱を防止する光反射用組成物を提供することができる。
【0037】
また他の観点において、本発明は、有効屈折率のマッチングによって白濁現象のない紫外線遮断用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施例に係る多孔性無機粒子の製造方法の模式図である。
【
図2a】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子の走査電子顕微鏡写真である(倍率10k)。
【
図2b】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子の走査電子顕微鏡写真である(倍率1k)。
【
図3】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子を収束イオンビームシステムでミリングして得た断面の走査電子顕微鏡写真である。
【
図4】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【
図5a】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子の光学顕微鏡写真である(倍率x100)。
【
図5b】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子を水に分散させた状態の光学顕微鏡写真(倍率:x100)である。
【
図6a】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子の透明度を確認した写真である。
【
図6b】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子を水に分散させた組成物の実写真である。
【
図7】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子を水に分散して反射度を測定したデータである。
【
図8a】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子をエタノールに分散させた状態の光学顕微鏡写真(倍率x100)である。
【
図8b】本発明の試験例1によって製造された多孔性無機粒子をプロピレングリコールに分散させた状態の光学顕微鏡写真(倍率:x100)である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照して、本出願の実施例をより詳細に説明することにする。なお、本出願に開示された技術はここで説明される実施例に限定されるものではなく、他の形態に具体化することもできる。ここで紹介される実施例は、単に開示された内容が徹底且つ完全なものになるように、また当業者に本出願の思想を十分に伝えられるようにするために提供されるものである。図面では各構成要素を明確に表現するために構成要素の幅や厚さなどの大きさをやや拡大して示した。また、説明の便宜上、構成要素の一部のみを図示している場合もあるが、当業者であれば構成要素の残りの部分についても容易に把握できるはずである。さらに、当該分野における通常の知識を有する者であれば本出願の技術的思想を逸脱しない範囲内で本出願の思想を多様な他の形態に具現化できるはずである。
【0040】
本発明の一実施例に係る多孔性無機粒子の製造方法は、
a)架橋された高分子粒子を形成する段階;
b)無機前駆体を用いて前記a)の粒子にシェルを形成させてコア・シェル(Core-shell)粒子を形成する段階;
c)前記コア・シェル粒子及び有機溶媒を内相に含むエマルジョンを調製する段階;
d)前記エマルジョンから有機溶媒を除去する段階;及び
e)前記d)の結果物を焼成して多孔性無機粒子を形成する段階を含んでよい。
【0041】
本実施例によれば、均一な厚さのシェルを含む均一な大きさのコア・シェル粒子を形成し、複数のコア・シェル粒子が組み立てられてなる球体からコアを除去してコアレスのシェル粒子が組み立てられてなる球体としての多孔性無機粒子を形成するため、均一な気孔の大きさ及び配列を有する多孔性無機粒子の提供が可能となる。また、個々のコア・シェル粒子の形成過程で粒子の大きさ及びシェルの厚さを調整することができるため、多孔性無機粒子が所望の気孔の大きさ及び気孔間の間隔を有するように調節することができる。
【0042】
以下、前記多孔性無機粒子の製造方法を詳述する。
【0043】
(a)架橋された高分子粒子を形成する段階
前記架橋された高分子粒子は、表面に負の電荷を有してよい。
【0044】
一例において、前記架橋された高分子粒子は、無乳化剤重合法、分散重合法、乳化重合法、懸濁重合法などによって製造してよく、粒子均一性の観点から無乳化剤重合法又は分散重合法によって製造してよい。
【0045】
一具体例において、前記架橋された高分子粒子は、無乳化剤重合法によって製造してよく、具体的な方法としては、当業界で通常的に知られた方法を用いてよい。一例において、前記無乳化剤重合では、モノマー、架橋剤、及び開始剤を用いて反応させてよい。前記重合は、分子量調節剤、電解質、イオン性モノマーなどを更に含んで行われてよい。
【0046】
前記架橋された高分子粒子は、表面に負の電荷を有してよい。
【0047】
一例において、前記架橋された高分子は、均一な粒子への製造に用いられてよく、外部にシェルを付与し焼成除去が可能なものであれば特に制限されることなく用いられ得る。例えば、前記高分子は、ポリスチレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリαメチルスチレン、ポリ1-メチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリクロロベンジルメタクリレート、ポリ1-フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ポリ1-フェニルエチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリ1,2-ジフェニルエチルメタクリレート、ポリペンタブロモフェニルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、及びポリペンタクロロフェニルメタクリレートからなる単一の重合体、又はこれらから構成される共重合体としてのメチルメタクリルレート-ベンジルメタクリレート共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、MMA-TFEMA(2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート)共重合体、MMA-PFPMA(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート)共重合体、MMA-HFIPMA(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソメタクリレート)共重合体、MMA-HFBMA(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)共重合体、TFEMA-PFPMA共重合体、TFEMA-HFIPMA共重合体、スチレン-メチルメタクリルレート(SM)共重合体、及びTFEMA-HFBMA共重合体からなる群より選択されたものであってよい。例えば、前記高分子は、ポリスチレンであってよい。
【0048】
一具体例において、前記架橋された高分子はポリスチレンであってよく、ダブルジャケット反応器内に蒸留水とともにスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを入れた後、窒素雰囲気でスルホン酸カリウム開始剤を投入し、70℃で24時間撹拌を行い、均一な大きさの負の電荷を持つ高分子を製造することができる。
【0049】
前記架橋された高分子粒子の大きさの調整によって最終形成される多孔性無機粒子の気孔の大きさを調節することができる。一例において、前記架橋された高分子粒子は、平均粒子径30nm~200nm、例えば、50nm~150nmのものであってよい。前記平均粒子径は、単一の粒子径の平均値を示す。前記範囲内で所望の波長の光を反射させる大きさの気孔を形成することができる。
【0050】
(b)無機前駆体を用いてコア・シェル(Core-shell)粒子を形成する段階
前記(a)で製造した架橋された高分子粒子に無機前駆体を用いてシェルを形成してコア・シェル粒子を製造することができる。
【0051】
前記シェルは均一な厚さを有してよく、多孔性無機粒子の気孔を規定する中空粒子のシェルを形成することができる。後述するように、コアが除去されシェル部分だけが残って多孔性無機粒子を形成するので、前記無機前駆体は、所望の屈折率及び粒子の性質に応じて好適なものを用いてよい。
【0052】
一例において、前記無機前駆体は、シリカ(SiO2)前駆体であってよい。例えば、シリカ前駆体は、シリコンアルコキシド(silicon alkoxide)化合物であってよく、具体例として、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)などを用いてよい。
【0053】
一例において、コア・シェルは、Stoober process原理を用いて製造してよい。例えば、先ず、蒸留水に無機前駆体を混合して前駆体を加水分解する。次いで、コア粒子を水に分散し触媒剤を入れて反応させる。この溶液に加水分解された前駆体を一緒に混合すると、コアに対し均一にシェルを形成することができる。
【0054】
一具現例において、前記コア・シェル粒子の表面を改質する段階を更に含んでよい。複数のコア・シェル粒子を球体に組み立てるために製造済みのコア・シェル粒子をエマルジョンに分散しなければならないので、分散されるエマルジョンの内相の親水/疎水性に応じてコア・シェル粒子の表面を改質してよい。
【0055】
一例において、前記表面が新水性であるコア・シェル粒子の表面を疎水性に改質してよい。例えば、水中油(O/W)エマルジョンに含ませるためにコア・シェル粒子の表面を疎水性改質してよい。一例において、前記表面改質は、シリカカップリング剤を用いて行ってよい。前記カップリング剤は、コア・シェル粒子の表面を疎水性に改質するためのカップリング剤として、オクタデシルトリメトキシシラン(OTMS)、オクタデシルエトキシシラン(OTES)、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オレイン酸(OA)などを用いてよいが、これらに制限されるものではない。
【0056】
(c)複数のコア・シェル粒子を含むエマルジョンを調製する段階
コア・シェル粒子を組み立てて球体を形成するために、前記(b)で製造された複数のコア・シェル粒子を含むエマルジョンを調製することができる。
【0057】
一例において、コア・シェル粒子を有機溶媒に分散させた分散相と極性溶媒に界面活性剤が溶解されている連続相に分散させてエマルジョンを調製することができる。
【0058】
一例において、前記エマルジョンは、水中油(O/W)エマルジョンであってよく、コア・シェル粒子が有機溶媒に分散されている内相(分散相、この場合、油相)を界面活性剤が溶解されている外相(連続相、この場合、水相)に分散させてエマルジョンを調製することができる。
【0059】
一例において、前記有機溶媒は、トルエン、デカン、オクタノール、ヘキサン、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、シクロヘキサノン、又はこれらの混合物を用いてよく、例えば、有機溶媒の除去容易性の側面から沸点の低いものが好ましい。一具体例において、前記有機溶媒は、外相の極性溶媒よりも低い沸点を有するものを用いてよい。例えば、前記有機溶媒は、トルエン、ヘキサデカン、シクロヘキサノン、又はこれらの混合物を用いてよいが、これらに限定されない。
【0060】
一例において、前記極性溶媒は、水(蒸留水)、エタノール、メタノール、ホルムアルデヒド、又はこれらの混合物を用いてよい。
【0061】
一例において、前記界面活性剤は、例えば、電荷を持たない非イオン性界面活性剤を用いてよい。一例において、疎水性基及び親水性基の双方を有する非イオン性界面活性剤を用いてよい。一例において、前記非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド-ポリエチレンオキサイドトリブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Polyoxyethylene alkyl ether)類、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitan monolaurate)類、又はこれらの混合物を用いてよいが、これらに制限されない。例えば、前記非イオン性界面活性剤としては、Pluronic P-123(SigmaAldrich)、Pluronic P-103(SigmaAldrich)、Pluronic P-105(SigmaAldrich)、Pluronic F-127(SigmaAldrich)、Pluronic F-108(SigmaAldrich)、Pluronic F-108(SigmaAldrich)などを用いてよいが、これらに制限されるものではない。
【0062】
一具体例において、前記エマルジョンは、水中油(O/W)エマルジョンであってよく、コア・シェル粒子が有機溶媒に分散されている内相(分散相、この場合、油上)を界面活性剤が溶解されている外相(連続相、この場合、水相)に分散させてエマルジョンを調製することができる。
【0063】
前記コア・シェル粒子の製造によって所望の波長帯の光を反射させる厚さのシェルを形成することができる。一具体例において、前記多孔性無機粒子のシェルの厚さは、10~50nm又は20~30nmであってよい。前記範囲内で所望の波長の光を反射させる大きさの気孔を形成することができる。
【0064】
(d)有機溶媒を除去する段階
前記エマルジョンから有機溶媒を除去して組み立てられたコア・シェル粒子を形成することができる。有機溶媒の除去は、有機溶媒が揮発可能で且つコア・シェル粒子を分解しない温度で前記エマルジョンを加熱・撹拌することを含んでよい。例えば、50~90℃、例えば、60℃~90℃であってよい。前記範囲内で高分子粒子の形態に影響を及ぼすことなく有機溶媒を除去することができる。90℃を超える場合、高分子粒子が溶けることがある。撹拌は、約12時間以上行ってよい。
【0065】
(e)焼成して多孔性無機粒子を形成する段階
前記(d)の結果物を焼成してコア・シェル粒子のコアを除去することができる。コアを除去することで組み立てられた球体中のそれぞれのコア・シェル粒子のシェルだけが残り、コア部分に気孔が形成される。
【0066】
前記焼成は、例えば、600~900℃の温度で3~10時間行ってよく、例えば、600℃で3時間行ってよい。一例として、前記焼成は、1℃/分の昇温速度で行ってよいが、これに制限されるものではない。
【0067】
高分子粒子の大きさに応じて気孔の大きさを調節してよい。例えば、均一な大きさの平均径100nm以下、10nm~100nm、又は30nm~100nmの気孔を形成してよい。前記気孔の平均径が100nmよりも大きい場合、光の散乱だけが生じることがある。気孔の平均径は、単一の気孔径の平均値を意味する。
【0068】
一具体例において、前記多孔性無機粒子の粒子径は1~10μmであってよい。
【0069】
一具体例において、前記多孔性無機粒子は、例えば、200nm~700nm、200nm~400nm、又は250nm~350nmの波長の光を反射させることができる。
【0070】
本発明の実施例に係る多孔性無機粒子の製造方法によれば、気孔の大きさ及びシェルの厚さを調整して、用いられる媒質の屈折率と有効屈折率との差が0.03以下になるように多孔性無機粒子の有効屈折率を精度良く調節することができる。このような製造方法により、多孔性無機粒子を光結晶(photonic crystal)に形成することができ、後述するような透明な光反射性組成物を提供することができる。
【0071】
他の一実施例において、本発明は、光反射性組成物の製造方法を提供する。
【0072】
本実施例において、光反射性組成物は、本発明の一実施例に係る多孔性無機粒子の製造方法によって製造された多孔性無機粒子を含んでよい。前記光反射性組成物は、所望の波長帯の光を反射させ且つ透明な光反射用組成物であってよい。
【0073】
上述したように、多孔性無機粒子をコア・シェル粒子のコア粒子の大きさの調節によって気孔の大きさ、シェルの厚さの調節によって多孔性無機粒子の気孔の間隔を調節することができ、所望の波長の光を反射又は吸収することができる光反射性組成物を製造することができる。
【0074】
また、本実施例によれば、多孔性無機粒子の有効屈折率を算出することができる。
【0075】
前記多孔性無機粒子の構造では、シェルが残っており、コア・シェル粒子のコアは除去され気孔となったため、多孔性無機粒子の屈折率はシェルを構成する物質の屈折率であると考えられるが、本発明者らは、多孔性無機粒子全体の有効屈折率を算出しこれに整合した媒質に分散する場合に組成物が透明に形成されることを確認した。
【0076】
本発明の実施例によれば、光反射性組成物の製造の際に多孔性無機粒子自体の有効屈折率を算出し、これを媒質に整合して用いた。
【0077】
前記多孔性無機粒子の有効屈折率を算出する方法は、具体的に次のとおりである。
【0078】
(1)コア・シェル粒子一個の有効屈折率(neff(p))式(Wighted Average公式)
【0079】
【0080】
前記式中、ncはコア屈折率、nsはシェルの屈折率、fは体積分率である。
【0081】
(2)多孔性無機粒子の有効屈折率(neff(s))式(Maxwell-Garnet公式)
【0082】
【0083】
前記式中、nmは媒質の屈折率、oはパッキング分率である。
【0084】
コア・シェル粒子一個の有効屈折率を計算した後、該値を多孔性無機粒子の有効屈折率式に代入して有効屈折率を求めた。
【0085】
一例において、前記有効屈折率は、多孔性無機粒子を分散させる媒質との整合の観点から、1.33~1.66の範囲であってよい。前記範囲内で透明で且つ所望の波長帯の光を反射させることができる。前記波長は、250nm~350nmであってよい。
【0086】
前記光反射性組成物は、多孔性無機粒子の有効屈折率と整合した屈折率を有する媒質に多孔性無機粒子ルを分散させて多重散乱を防止し且つ透明な剤形の組成物を提供することができる。
【0087】
一例において、前記多孔性無機粒子の有効屈折率と前記媒質の屈折率との差は、0.03以下であってよい。前記屈折率の差は小さいほど好ましく、最も好ましくは、0である。前記範囲内で透明な組成物を提供することができる。
【0088】
前記組成物は、紫外線遮断用であってよい。
【0089】
以下、実施例、比較例、及び試験例を参照して本発明を詳しく説明する。なお、これらは単に本発明をより具体的に説明するために例示的に提示したものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例、比較例、及び試験例によって制限されるものではないということは当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0090】
[試験例1]多孔性無機粒子の製造
下記のような方法にて多孔性無機粒子を製造した。製造方法の模式図を
図1に示す。
【0091】
1-1.架橋された高分子粒子の形成(平均粒子径:120nm)
蒸留水645g、スチレン16g、ジビニルベンゼン0.28g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.3gと炭酸水素ナトリウム1.125gをダブルジャケット反応器内に入れた後、80℃で1時間混合した。次いで、窒素雰囲気で蒸留水10mlに分散させたスルホン酸カリウム開始剤を注射器を用いて投入し、70℃で24時間以上撹拌を行って、120nmの均一な平均粒子径を有する負の電荷を持つポリスチレン粒子を製造した。
【0092】
1-2.コア・シェル粒子の合成
無機前駆体を用いて前記1-1.で製造した粒子に均一な厚さのシェルを形成させ、均一な大きさのコア・シェル(Core-shell)粒子を合成した。
【0093】
具体的に、丸いフラスコに水90mlとビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane、VTMS)1.35mlを入れ、30分間900rpmで撹拌してVTMSを加水分解させ、VTMS加水分解溶液を製造した。他の丸いフラスコで0.5重量%となるようにポリスチレン粒子を水に分散させて30mlポリスチレン水分散溶液を製造し、これにアンモニア8mlを添加し5分以上600rpmで混合して、ポリスチレン反応溶液を製造した。次いで、これらの2つの丸いフラスコの溶液を混合し24時間600rpmで撹拌して、
図1中のPS@SiO
2で示すポリスチレン/シリカコア・シェル粒子を合成した。
【0094】
1-3.コア・シェル粒子の表面改質
クロロホルム3.75mlとオクタデシルトリメトキシシラン(Octadecyltrimethoxysilane、OTMOS)0.75mlを1時間400rpmで混合してシランカップリング剤溶液を準備した。別の容器に無水エタノール(Absolute ethanol)10.5mlとアンモニア2.5mlとを混合し、これに1-2.で製造したコア・シェル粒子を10重量%で分散したエタノール溶液20mlを添加し混合して、コア・シェル分散溶液を製造した。次いで、前記シランカップリング剤溶液とコア・シェル分散溶液とを混合し4時間撹拌して、表面が疎水性に改質された表面改質コア・シェル粒子を形成した。該表面改質コア・シェル粒子を無水エタノールで3回洗い流した後、トルエンと無水エタノールとの混合液で3回以上洗い流した。最後に、トルエンで表面改質コア・シェル粒子を3回以上洗い流した。
【0095】
1-4.エマルジョンの製造
前記1-3.で製造された表面改質コア・シェル粒子をトルエンに10重量%で分散させて分散相溶液を調製した。エマルジョンの製造のための連続相溶液は、界面活性剤であるPluronic F-108(SigmaAldrich)を水に2重量%で混合して調製した。調製された連続相溶液10mlに分散相溶液0.5mlを混合し均質機(6,000rpm、1分)を用いて水中油(O/W)エマルジョンを調製した。
【0096】
1-5.有機溶媒の除去及び焼成
前記1-4.で調製されたエマルジョンを60℃で24時間加熱してトルエンを除去した。反応の完了後、沈殿物はエタノールに分散させ遠心分離にて分離し、このとき、遠心分離は6,000rpm、5分間行い、その後、水で3回以上洗浄した。洗浄後、60℃のオーブンで乾燥してエタノールを除去し焼成した。焼成では600℃で加熱して高分子粒子を除去した。最終的にコア(気孔)の径94nm、シェル(SiO2)の厚さ23nmを有する中空シリカ(Hollow SiO2)同士が組み立てられた径1μm~10μmの多孔性無機粒子を得ることができた。
【0097】
図2a~2bは、前記試験例1によって製造された多孔性無機粒子の走査電子顕微鏡写真である。前記多孔性無機粒子を収束イオンビームシステムでミリングしてその断面を確認し(
図3)、
図3及び
図4の透過顕微鏡写真にて示すように内部まで均一な大きさの気孔が配列された構造を有することを確認することができる。
【0098】
[試験例2]多孔性無機粒子の有効屈折率の算出及び媒質の屈折率との整合
前記試験例1で製造された多孔性無機粒子の有効屈折率を下記のような方法で算出した。
【0099】
(1)コア・シェル粒子一個の有効屈折率(neff(p))式(Wighted Average公式)
【0100】
【0101】
前記式中、ncはコア屈折率、nsはシェルの屈折率、fは体積分率である。
【0102】
(2)多孔性無機粒子の有効屈折率(neff(s))式(Maxwell-Garnet公式)
【0103】
【0104】
前記式中、nmは媒質の屈折率、oはパッキング分率である。
【0105】
コア・シェル粒子一個の有効屈折率を計算した後、該値を多孔性無機粒子の有効屈折率式に代入して有効屈折率を求めた。
【0106】
算出された有効屈折率は1.324であって、シェルを構成するSiO2の屈折率の1.45とは差があった。前記多孔性無機粒子の有効屈折率に整合する媒質としては、屈折率が1.33の水を選択してよい。
【0107】
図5a~5bは、本発明の試験例1で製造された多孔性無機粒子(a)と水に分散させた状態の多孔性無機粒子(b)の光学顕微鏡写真(倍率:x100)を示す。
【0108】
[試験例3]光反射用組成物の製造
前記試験例2における屈折率の整合を確認するために、試験例1の多孔性無機粒子を25重量%の濃度で水に分散させた組成物を製造した。
【0109】
図6a~6bは、水に分散させた多孔性無機粒子組成物(b)と媒質に分散させていない多孔性無機粒子(a)の組成物の透明度を比較した結果である。多孔性無機粒子を媒質に分散させていない場合に不透明となるのに対し、多孔性無機粒子の有効屈折率に整合させた水に分散した場合に透明となることを確認することができる。
【0110】
また、Fiber-coupled spectrometer(Ocean Optics社)を用い、媒質に分散されていない多孔性無機粒子(黒色線)と媒質(水)に分散された多孔性無機粒子(赤色線)の反射波長を測定し、その結果を
図7に示した。
図7の結果から、両場合とも250~350nmの紫外線領域の波長を反射することが分かる。また、媒質に分散されていない多孔性無機粒子は、多重散乱(multiple scattering)によって可視光線の全領域帯で高い反射率を示す(不透明)のに対し、水に分散された多孔性無機粒子組成物は、多孔性無機粒子の有効屈折率と媒質の屈折率とが整合して可視光線の領域帯の反射率が顕著に低くなった(透明)ことを確認することができる。
【0111】
[試験例4]多様な媒質に分散させた光反射用組成物の製造
前記試験例1の多孔性無機粒子を多様な媒質に分散させて光反射用組成物を製造した。組成物中の多孔性無機粒子の含量は25重量%とし、エタノール(屈折率:1.36)及びプロピレングリコール(屈折率:1.44)にそれぞれ分散させて製造した。
【0112】
図8a~8bに光反射用組成物の光学顕微鏡写真(倍率:x100)を示し、エタノール(a)とプロピレングリコール(b)にそれぞれ分散させた状態である。これらの媒質が多孔性無機粒子の有効屈折率に整合しない屈折率を有するため、当該組成物が不透明となることを確認することができ、特にプロピレングリコールの場合、シェルを構成するSiO
2の屈折率の1.45とは屈折率が類似しているものの、多孔性無機粒子自体の有効屈折率には整合しないため、当該組成物が不透明となる。