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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】構造の基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20231108BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20231108BHJP
   E02D 7/24 20060101ALI20231108BHJP
   E02D 5/48 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/32 Z
E02D7/24
E02D5/48
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020558601
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019059564
(87)【国際公開番号】W WO2019206690
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】18168804.5
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】シュプ, ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ゲンゲンバッハ, ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン, ジャン
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実公昭51-004484(JP,Y1)
【文献】特開昭61-162634(JP,A)
【文献】特表2002-529630(JP,A)
【文献】特公昭50-016888(JP,B1)
【文献】特開2005-127095(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105034(WO,A1)
【文献】米国特許第04069681(US,A)
【文献】特開平02-043415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/12
E02D 27/32
E02D 7/24
E02D 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン用のモノパイルであって、
設置中に挿入方向に土壌に挿入するための本体であって、前記本体がその遠位端につま先を有し、前記つま先が内部空洞内に開口部を画定し、前記土壌を通る前記つま先の移動が前記内部空洞内の移動された土壌領域へと土壌を横方向に移動させる、本体と、
前記移動された土壌領域から土壌を移送するために、設置中に前記移動された土壌領域に流体を向ける複数のノズルと、
前記移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を低減するために、設置中に前記内部空洞から流体を排出するためのポンプシステムと、を含み、
前記複数のノズルは、前記内部空洞内の前記流体を局所化するように構成され
前記本体は、前記流体を供給するための供給パイプと、前記挿入方向に対して直交する前記内部表面の周方向に延在し、前記供給パイプから前記流体が供給されるマニホールドと、を有し、
前記複数のノズルは、前記マニホールドに分布していることを特徴とするモノパイル。
【請求項2】
前記ポンプシステムが、前記内部空洞から水を排出する、請求項1に記載のモノパイル。
【請求項3】
前記ポンプシステムが、前記内部空洞から空気を排出する、請求項1または2に記載のモノパイル。
【請求項4】
前記移動された土壌領域内の前記土壌懸濁液圧力を、前記本体外側の前記土壌である隣接領域内の流体圧力に実質的に一致させるために、設置中に前記ポンプシステムを制御するためのコントローラーをさらに含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のモノパイル。
【請求項5】
前記コントローラーが、前記ポンプシステムを制御して、前記内部空洞内のウォーターテーブルの高さを前記本体の外側の水位よりも下方に減少させる、請求項4に記載のモノパイル。
【請求項6】
前記本体が、前記モノパイルの直径が増大する円錐状領域を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のモノパイル。
【請求項7】
前記つま先が先細りである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のモノパイル。
【請求項8】
前記複数のノズルが、前記本体の内部表面に流体を向けるために前記本体の外周に対して実質的に接線方向に向けられる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のモノパイル。
【請求項9】
前記複数のノズルは、挿入方向に対して90~180度の範囲に向けられる、請求項1ないしのいずれか1項に記載のモノパイル。
【請求項10】
風力タービン基礎システムであって、
請求項1ないしのいずれか1項に記載のモノパイルと、
前記流体を前記ノズルに供給するための加圧流体供給装置と、を含むことを特徴とする構造基礎システム。
【請求項11】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の風力タービン用のモノパイルを設置する方法であって、
前記つま先を前記土壌に挿入するステップと、
前記挿入方向に前記本体を押すステップと、
前記ノズルに前記流体を供給して、前記移動された土壌領域に前記流体を向けるステップと、
前記ポンプシステムを駆動して、前記流体を前記内部空洞から排出し、前記移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を減少させるステップと、を含むことを特徴とする基礎を設置する方法。
【請求項12】
前記移動された土壌領域内の前記土壌懸濁液圧力を、前記本体外側の前記土壌である横方向に隣接する領域内の流体圧力に実質的に一致させるために、前記ポンプシステムを制御するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポンプシステムを制御するステップが、前記ポンプシステムを制御して、前記内部空洞内のウォーターテーブルの高さを前記本体の外側の水位よりも下方に減少させることを含む、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造のための基礎およびそれを設置する方法およびシステムに関する。特に、本発明は、建物、壁、洋上構造物、風車などの構造物を支持するために土壌に挿入することができる、杭、管状の杭、モノパイル、ジャケットパイル、吸引バケット/ケーソン基礎および吸引アンカー、スカート基礎、シート壁、バースドルフィン(berthing dolphins)、および他の種類の一時的および恒久的な浅いまたは深い基礎などの構造基礎に関する。吸引バケット/ケーソン基礎は、水深100mまでの水深および強い土壌のジャケット構造の浅い基礎に最も適していることが理解されるであろう。吸引アンカーは、軟質堆積物で深海のフロート油プラットフォームを連結するアンカーチェーンに最適である。本発明は、特にオフショア基礎に、より具体的には、モノパイル、ジャケットパイルおよび吸引バケットなどの開放端管状基礎タイプに好適である。
【背景技術】
【0002】
構造基礎は通常、杭打ち機を使用して基礎を地面の中に押し込み、一連の軸方向の衝撃を適用して、基礎を挿入方向に土壌の中へ打ち込むことによって設置される。一旦設置されると、基礎は、基礎本体の側面にかかる摩擦、および、より程度は低いが、基礎の先端でのさらなる貫通に対する抵抗によって軸方向に支持される。
【0003】
設置中、基礎の遠位端にあるつま先(toe)は、それが下へと打ち込まれるときに土壌を移動させる。これにより、周囲領域の土壌が圧縮される。しかし、基礎が深く打ち込まれ、圧力が高まるにつれ、基礎のつま先で土壌を移動させ続けるために必要な力も増加する。同時に、土壌と接触する基礎の表面積が増加し、移動に対する摩擦抵抗を克服するために必要なせん断力が増加する。その結果、基礎が土壌の深部に設置されるにつれて、支持抵抗が増加する。
【0004】
近年、モノパイル式および他の基礎が大きくなる傾向があり設置上の課題が深刻化している。例えば、より大きな基礎を杭打ちするには、より高い衝撃力および/またはより多数のハンマー打撃が必要である。これにより、基礎に著しい耐故障性要件が課される。同時に、大きな衝撃によって発生するノイズも増大し、環境や安全に重大な危険をもたらす。
【0005】
上記に鑑み、基礎の設置を容易にするためのさまざまな方法およびシステムが提案されてきた。例えば、基礎本体に間隙水を誘引することで、杭設置時のシャフト抵抗を下げる機構として、電気浸透が提案されている。これにより、土壌と基礎表面との間の界面を潤滑する。しかし、この分野の研究は継続しているが、電気浸透があらゆる状況において適しているとは限らない。従って、基礎の設置中の設置抵抗を低減するための他の方法およびシステムに対するニーズが依然として存在する。
【0006】
従って、本発明は従来技術が有する上記問題に対処することを求めたものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、設置中に挿入方向に土壌に挿入するための本体であって、本体がその遠位端につま先を有し、つま先が内部空洞内に開口部を画定し、土壌を通るつま先の移動が内部空洞内の移動された土壌領域に土壌を横方向に移動させる、本体と、移動された土壌領域から土壌を移送するために、設置中に移動された土壌領域に流体を向ける1つまたは複数のノズルと、移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を低減するために、設置中に内部空洞から流体を排出するためのポンプシステムとを含む、構造の基礎が提供される。
【0008】
このように、本発明は、より容易に設置され得る基礎を提供する。特に、移動された土壌領域への流体の送達は、堆積物をその領域から移送することを可能にし、それによって、新しい土壌がそこに移動されるときに領域が過度に圧縮されることを防止する。これにより、基礎のつま先における土壌支持破壊機構が継続することが可能になる一方、流体はまた、土壌と基礎本体との間の界面における摩擦を減少させる働きもする。同時に、ポンプシステムは、内部空洞から流体を排出するように作用する。例えば、空気、水および/またはその他のタイプの流体は、内部空洞の近位端からポンプで送り出され得る。これにより、次に、遠位に位置する移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を低減し、それによって、土壌懸濁液圧力の増加が、本体が土壌のより深い所に貫通するにつれて、土壌支持破壊機構を抑制する影響を軽減する。結果として、流体キャリアおよび流体排出機構は相乗的に作用して、支持抵抗および内壁摩擦を減少させる。従って、杭打ちに対し必要とされる杭打ち力はより小さくなるので、発生するノイズが少なくなり、より小さい杭打ちハンマーが使用される。基礎が必要な深さまで設置されると、次いで、流体噴射システムをオフにして、流体が土壌から排出し、土壌が再安定化することを可能にし得る。さらに、請求項に記載の構成では、ノズルによって送達される流体は、基礎の内部空洞内に局在化され、その結果、外部土壌は、ほぼ乱されないままであり、設置されると、基礎に対してより安定した支持を提供する。
【0009】
実施形態では、ポンプシステムは、内部空洞から水を排出する。このように、基礎の内部のウォーターテーブルの高さは、ウォーターテーブルから水を排出させることによって低減され得る。この点に関して、ポンプシステムは、内部空洞から水を引き出すための取水パイプを含んでもよい。
【0010】
実施形態では、ポンプシステムは、内部空洞から空気を排出する。このように、吸引効果は、基礎の内部で生成された部分真空によって生成される。従って、これにより、基礎本体内のウォーターテーブルに印加される大気圧が低減され、次に、移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を低下させる。
【0011】
実施形態において、基礎は、移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を、基礎本体の外側の土壌である隣接する領域内の流体圧力に実質的に一致させるために、杭設置中にポンプシステムを制御するためのコントローラーをさらに含む。このようにして、基礎つま先の浸食された表面の下の土壌における土壌懸濁液圧力と周囲水圧との間の差が最小化される。そのため、新しい土壌を土壌懸濁液に移動させるために必要な力は最小限に抑えられる。同時に、土壌領域間の圧力差は、周囲の土壌構造を損なわないように最小化される。
【0012】
実施形態では、コントローラーは、ポンプシステムを制御して、内部空洞内のウォーターテーブルの高さを基礎本体の外側の水位よりも下方に減少させる。このように、土壌懸濁液圧力は、基礎本体内のその上方の水によって加えられる圧力を減少させることによって減少する。
【0013】
実施形態では、本体は、基礎の直径が増加する円錐状領域を含む。このように、基礎の側壁の領域は、外向きに先細りして、拡大されたフットプリントを提供し得る。これは、この領域の内側と外側との間の圧力差の結果として、下向きの力を生成するために使用され得る。生成された下向きの力は、設置中の基礎の移動を補助し得る。
【0014】
好ましくは、基礎は、中空の基礎として提供される。より好ましくは、基礎は中空杭基礎である。さらにより好ましくは、基礎はモノパイル式である。例えば、モノパイルは、環が内部空洞を画定する中空管状の本体を含んでもよい。
【0015】
つま先は先細りであることが好ましい。このようにして、支持抵抗を最小化する。より好ましくは、つま先は、土壌を内側に移動させるために先細りになる。このようにして、土壌が基礎本体の内部に移動し、外部土壌を実質的に乱さないままとする。
【0016】
実施形態において、本体は、円錐状領域を含む。このような配置では、ポンプシステムのポンプ速度を制御することによって、内部のより低い圧力に対して円錐状領域の外部のより高い流体圧力の間に圧力差が作られ得る。これにより、基礎の設置を支援する有益な下向きの力を生成し得る。
【0017】
好ましくは、1つまたは複数のノズルは、本体の内部表面に流体を向けるために、基礎本体の外周に対して実質的に接線方向に向けられる。このようにして、流体は土壌を本体の内部表面との接触から遠ざけ、それによって界面を潤滑し、基礎を打ち込むために必要なせん断力を低減させ得る。
【0018】
好ましくは、1つまたは複数のノズルは、挿入方向に対して60~180度である平面に配向される。このように、ノズルは、移動した土壌領域内の堆積物が、挿入方向に対して上方に、または近位に動くのを助け得る。低い角度では、土壌浸食を促進することによってこれを達成することができる。しかしながら、特に好ましい実施形態では、ノズルは、堆積物のこの上向きの動きを強化するために、実質的に水平面または水平面の上方に角度付けられた平面において流体流を方向付けるために、90~180度の範囲で挿入方向に向けられる。すなわち、ノズルを上向きに角度付けることによって、ノズルは、噴出される土壌表面上に作用する圧力を低減し、つま先の下の内向きの支持破壊をさらに容易にするのを助け得る。この点において、浸食された土壌は水より高い密度の懸濁液を形成し、それによって、浸食された表面下の土壌における周囲水圧と比較して、より高い懸濁液圧力をもたらす。これにより、懸濁液から土壌への水流を引き起こし、従って、設置抵抗を増加させる鉛直下向きの応力を引き起こす。故に、ポンプシステムは、土壌懸濁液圧力を減少させることによって、この影響を軽減する働きをする。一部の実施形態では、高圧噴射の少なくとも一部は、環内の懸濁液を持ち上げ、噴射前部の上方の懸濁液圧力を減少させるために上向きに面し得る。従って、これはまた、設置抵抗を減少させるのに役立つ。
【0019】
実施形態において、1つまたは複数のノズルは、加圧流体供給装置によって流体が供給される。好ましくは、この加圧流体供給装置は、周囲流体圧力に対して10バールを超え、より好ましくは周囲流体圧力に対して80バールを超え、さらにより好ましくは周囲流体圧力に対して100バールを超える。
【0020】
実施形態では、一つまたは複数のノズルは、複数のノズルを含み、複数のノズルは、本体の内部表面の周りに分配される。このように、より均一な潤滑効果を提供するために、流体は土壌支柱の外周の周りに送達され得る。実施形態では、複数のノズルは、基礎の軸に沿って延在する本体の内部表面の領域上に分配される。
【0021】
実施形態において、基礎は、移動された土壌領域の近位の土壌に流体を送達するための1つまたは複数の低圧ノズルをさらに含む。このようにして、堆積物移送流を移動された土壌領域から遠ざけることを促進するために、低圧流体流が提供され得る。
【0022】
実施形態において、1つまたは複数の低圧ノズルは、複数の低圧ノズルを含み、複数の低圧ノズルは、本体の内部表面の周りに分配される。このように、流体は、基礎の環内により均一な上向きの堆積物移送流を提供するために、土壌支柱の外周の周りに送達され得る。
【0023】
流体は、水を含むことが好ましい。流体は、例えば、海水、または水溶液もしくは懸濁液であり得る。例えば、土壌支柱崩壊のリスクを軽減するために、ベントナイトなどの粘度を増加させる添加剤を流体中に提供し得る。この点において、ノズルおよび/またはベントを通して送達される流体の圧力、流量および/または組成を制御して、土壌支柱の特性を管理し、それによってその崩壊のリスクを最小化するためのコントローラーが提供され得る。
【0024】
本発明の第二の態様によれば、上記による基礎と、流体をノズルに供給するための加圧流体供給装置とを含む構造基礎システムが提供される。
【0025】
本発明の第三の態様によれば、上記による基礎を設置する方法が提供されており、方法は、つま先を土壌に挿入するステップと、本体を挿入方向に移動させるステップと、流体をノズルに供給して、移動された土壌領域に流体を向けるステップと、ポンプシステムを駆動して、流体を内部空洞から排出し、移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を減少させるステップとを含む。
【0026】
好ましくは、本方法は、移動された土壌領域内の土壌懸濁液圧力を基礎本体の外側の土壌である横方向に隣接する領域内の水圧に実質的に一致させるように、ポンプシステムを制御するステップをさらに含む。このようにして、基礎のつま先の浸食された表面の下の土壌における土壌懸濁液圧力と周囲水圧との間の差が最小化される。
【0027】
ポンプシステムを制御するステップは、ポンプシステムを制御して、内部空洞内のウォーターテーブルの高さを基礎本体の外側の水位よりも下方に減少させることを含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
ここで、本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1図1は、本発明の第1の実施形態による基礎の断面アイソメ図を示す。
図2図2は、図1に示される基礎の遠位端の内部表面の平面図を示す。
図3図3は、図2に示すノズルの拡大図を示し、(a)は、内部表面の平面図を示し、(b)は、基礎本体を通る断面図を示す。
図4図4は、第1の実施形態による基礎本体の遠位端を通る断面概略図を示す。
図5図5は、本発明の第2の実施形態による基礎本体の遠位端を通る断面概略図を示し、(a)は、ウォーターテーブル制御なしを示し、(b)は、ウォーターテーブル制御ありを示す。
図6図6は、本発明の第3の実施形態による基礎の断面概略図を示し、図(a)~図(d)は、設置の段階中の基礎を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態による基礎の遠位端の領域の断面アイソメ図を示す。本実施形態では、基礎1は、モノパイル式である。
【0030】
基礎1は、外部側面3と、ボア15の形態の内部空洞を画定する内部側面4とを有する中空管状の本体2を含む。本体の遠位端は、開口部11を画定し、内部ボア15に向かって土壌を方向付けるための半径方向内側に面する先細り表面を有するつま先8を含む。
【0031】
段差7は、摩擦断絶を提供するために、つま先8の遠位端の上方に外部側面3上にくぼみを形成するが、これは以下でさらに詳細に述べる。
【0032】
図1に示すように、および図2の平面図において、基礎の内部には、それぞれが内部表面4を遠位に下方に延在し、高圧マニホールド9内に供給される複数の高圧供給パイプ6を有する流体噴射システムが提供される。各高圧マニホールド9は、ボア15の周りに周方向に延在し、流体を複数のノズル10に分配する。
【0033】
本実施形態では、流体噴射システムは、それぞれ内部表面4を遠位に下方に延在し、低圧マニホールド12内に供給される複数の低圧供給パイプ5をさらに含む。各低圧マニホールド12は、ボア15の周りに周方向に延在し、複数の低圧ノズルまたはベント13を通して流体を分配する。
【0034】
低圧マニホールド12は、高圧マニホールド9の横方向平面の軸方向上方にある横方向平面に配置される。図2に最も明確に示されるように、高圧マニホールド9および低圧マニホールド12は、使用中、ボア11に位置する土壌支柱の外周の周りに流体を送達するために、それぞれのノズル10およびベント13が内部表面4の周囲で均等に離間するように、周方向に分布する。同時に、ベント13は、水ノズル10によって侵食された土壌から形成される土壌懸濁液に低圧流体を供給することができる。
【0035】
図1に示すように、基礎の内部には、内部ボア15の近位端に蓄積された流体を排出するために使用される排出ポンプシステム24がさらに提供される。本実施形態では、ポンプシステムは、ポンプ(図示せず)に接続され、基礎設置中に内部ウォーターテーブルの下に位置し、ウォーターテーブルから水を抜くように構成される、排出パイプ24を含む。
【0036】
図3(a)は、図2に示すノズル10および低圧ベント13の拡大図を示す。図3(b)は、ノズル10が並ぶ基礎本体を通る断面図を示す。示されるように、ノズル10は、基礎の挿入方向に対して90度である横方向平面において、接線方向に方向付けられる。ノズル10からの流体の流れは、基礎の内部表面4の上側に向けられる。さらに、各ノズル10からの噴射は、隣接するノズルを左に取り囲むように方向付けられ(図示)、それによってノズルでの破片蓄積を防止する。
【0037】
低圧ベント13は、本実施形態では、半径方向内側に向けられ、基礎の挿入方向に対して50度開いている。従って、低圧流体は、高圧マニホールド9の上方に位置する土壌懸濁液中に供給され得る。
【0038】
図4は、端部が土壌に挿入されると、基礎本体2の遠位端を通る断面概略図を示す。基礎の環は、土壌支柱を画定する土壌懸濁液で充填される内部ボア15を画定する。
【0039】
設置中、つま先8は、土壌を通して挿入方向に軸方向に下向きに貫通する。段差7が、基礎本体2の外部表面3上の壁摩擦を最小化するための摩擦断絶として作用するように提供される。すなわち、土壌貫通中、段差7のすぐ上の外部表面3は、段差7によって提供される空間によって隣接する土壌から分離される。弾性半空間の弛緩により、土壌を外部表面7と接触させて基礎のさらに上方に戻し得るが、分離された領域はより低い摩擦抵抗を有する。設置が完了すると、土壌は、段差7によって形成された空間を埋めるために弛緩し、それによって基礎1の軸方向荷重支持能力を増加させる。また、ギャップは、環の外側表面を少しずつ下る堆積物で満たされる。杭を横向きに装填すると、この新しい堆積物が圧縮される。
【0040】
つま先8が土壌を貫通するにつれ、その先細りはつま先の支持抵抗を減少させる働きをする。好ましくは、先細りの角度は、つま先の遠位先端の機械的強度を不当に損なうことなく、支持抵抗を最小に抑えるため、40~80度の範囲内であり、さらに好ましくは45~75度の範囲内であり、さらにより好ましくは50~60度の範囲内である。
【0041】
土壌は、基礎のつま先が、土壌を通って移動するにつれて、つま先の先細りによって半径方向内側に押し込まれる。従って、これにより、基礎本体2の遠位端に横方向に隣接する土壌が、土壌懸濁液で満たされたボア15の底部で移動した土壌領域14の中に移動する。基礎がさらに下方へと打ち込まれ続けると、新しい土壌が内向きに圧縮されるため、移動された土壌領域14は実質的に下方にも拡張するであろう。従来の基礎では、これにより、時間の経過とともに、ボア15がさらなる土壌で満たされ、より圧縮されるにつれて、さらなる土壌の移動を抑制することになる。これに対処するために、ノズル10が、移動された土壌領域14から土壌を除去するために、高圧、低流量の液体を送達するように作用する。
【0042】
これに関連して、設置中、ノズル10は、移動された土壌領域14に高圧水のジェットを供給する。本実施形態では、水は、100バールで高圧供給パイプ6を通してノズル10に供給される。いくつかの実施形態では、給水は、粘度を増加させる添加剤または最も細かい粒子も含み得、これは次いで、ボア15内の土壌支柱の周りにフィルターケーキを形成するのに役立ち得る。フィルターケーキは、より高い懸濁液圧力が土壌支柱に安定化力を加えることができるように、水バリアとして作用し得る。しかしながら、好ましくは、こうした添加剤は、これらのノズルの噴射効率に悪影響を与えることを回避するために、高圧ノズルではなく低圧ベントを通して供給される。ノズル10の接線方向により、噴出した水が基礎本体2の内部表面4から土壌を押しのけ、従って、この表面上の摩擦を減少させる。同時に、高圧、低流、水ジェットは、移動された土壌領域14の上の土壌を破壊し、懸濁して、上方堆積物移送のための高密度の土壌スラリーを形成するように作用する。これにより、移動された土壌領域14から比較的上方に土壌を移動させ、従って、この領域の土壌が過度に圧縮されることを回避する。そのため、つま先8でのさらなる土壌の移動に対する抵抗の蓄積は最小化される。同時に、移動された土壌領域14内で土壌が拡張するにつれて、噴出した水の一部が下向きに排水し、負の間隙圧力のバランスをとる。これはさらに、つま先8の支持抵抗を減少させる働きをする。ノズル10の形状および方向は、上述の効果を最適化するために、高圧流体流の接線、垂直および水平の広がりを制御するように構成され得る。例えば、ノズル10は、噴射ファンを作成するために、高圧自動車洗浄ノズル上に提供されるものと同様に、平坦な正方形形状を提供し得ることが想定される。
【0043】
土壌懸濁液で充填された環内の上方への堆積物移送は、ベント13からの低圧、高流量の液体の送達によってさらに強化される。本実施形態では、水またはベントナイト溶液は、低圧供給パイプ5を通して、最大5バールのゲージ圧力までベント13に供給される。土壌支柱の崩壊のリスクを最小限に抑えるために、土壌スラリーの厚さを制御するために、流体送達速度を監視する。環内の土壌支柱が崩壊すると、流体移送チャネルが狭くなり、流体抵抗および内壁摩擦の増加により流体圧力が蓄積する。これにより、新しい流路が形成されない限り、過剰な摩擦が蓄積する可能性がある。しかしながら、高いスラリー密度を維持することによって、これを回避するのに十分な平衡圧が生成され得る。これをさらに助けるために、ベント13から送達される液体は、粘度を増加させる添加剤または最も細かい粒子も含み得る。このように、土壌支柱は、フィルターケーキの存在または流体粘度の増加(またはチキソトロピック特性)により、土壌支柱への水の排水を減少させることによって、より安定化され得る。さらに、粘度を増加させる添加剤または最も細かい粒子はまた、懸濁液中の懸濁土壌粒子の沈殿速度(終端速)を減少させ、さらに大きな砂粒の上方への移送を可能にし得る。
【0044】
これに関連して、これをさらに詳細に説明するために、設置プロセスの間に、杭の内側に噴射システムを使用すると、内部土壌支柱の周りに流体充填環が形成される。この内部土壌支柱は、崩壊しないようにするため、機械的または流体圧力による横方向サポートを必要とする。後者の場合、土壌支柱壁に作用する流体圧力は、土壌支柱が機械的拘束部に与えるであろう圧力よりも大きい必要がある。土壌支柱壁は多孔性であり、土壌支柱は水を流すことができるため、流体圧力からの支持力は、土壌支柱壁の表面領域の圧力勾配によって達成され得る。従って、環内の上昇した圧力の流体は、この移行における圧力勾配が、土壌支柱を安定化するために必要な水平応力を提供する状態で、周囲流体圧力レベルが存在する土壌支柱内に排出される。しかし、非常に浸透性の高い土壌では、この勾配は、要求される水平応力を達成するには小さすぎる場合がある。それにもかかわらず、環内の土壌中の混濁した最も細かい粒子は、水が土壌支柱内に排水するにつれて、土壌支柱表面上にフィルターケーキを形成し得る。これにより、より急な圧力勾配が発生する透過性の低い層となる。あるいは、または組み合わせて、環内の流体の粘度を増加させて、圧力勾配を増強することができる。土壌中の流体動的摩擦による圧力勾配は、流体圧力が土壌粒子骨格に移送され、粒子を粒子接触応力(有効応力)に増大させることを意味する。また、その他の実施形態は、海底表面への水の浸入を排水するために、土壌支柱の垂直方向の透過性を促進するための特徴を含んでもよく、従って、土壌支柱内部に改善された静水圧鉛直圧力分布を提供することも想定される。例えば、基礎は、土壌支柱を通して鉛直孔を穿孔またはパンチするための要素を含み得ることが想定される。これにより、土壌支柱が層状土壌で構成され、特に断続的な粘土層が存在する場合、土壌支柱内の上方排水を減少させることになり、有利であり得る。
【0045】
土壌圧力を低減させるための流体担体を送達するための上述のノズルの使用にもかかわらず、基礎がより深く打ち込まれるにつれて、土壌のさらなる移動を防止する他の抑制機構が作用する。特に、より深い設置深さでは、土壌懸濁液内の流体圧力は、浸食された土壌表面下の土壌内の周囲水圧よりも著しく大きくなる。これは、基礎のつま先8での支持破壊機構を抑制し、それによってつま先抵抗を増加させる。この問題に対処するために、排出ポンプシステム24が提供される。特に、杭の設置中、コントローラーは、排出ポンプシステム24を制御して、内部ボア15内のウォーターテーブルから水を除去する。これにより、次に、つま先8に隣接する移動した土壌領域での土壌懸濁液圧力を減少させ、それによって、つま先の両側の土壌領域間の圧力差を制御する。
【0046】
土壌懸濁液圧力の影響は、図5に関連してさらに詳細に説明される。図5は、本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態は、第1の実施形態と実質的に同じであるが、提供される基礎は、円錐状のモノパイル式であり、基礎本体2は、円錐状領域20を有する。
【0047】
第一の実施形態と同様に、第二の実施形態は、ボア15内のウォーターテーブルレベルを制御して、それによって基礎のつま先8で支持破壊機構を抑制する土壌懸濁液圧力を低減するための、排出ポンプ(図示せず)を含む。特に、図5は、基礎本体2の遠位端を通る断面概略図を、流体圧力が深さでどのように増加するかを示すプロットとともに示す。図5(a)は、ウォーターテーブル16の高さが制御されていない状態を示し、図5(b)は、ポンプが起動されて、ボア15内のウォーターテーブル16の高さを制御する場合を示す。
【0048】
図5(a)に示すように、基礎本体2のつま先8は、海底の土壌19内に打ち込まれ、流体はノズル10からポンプで送られる。流体は、基礎ボア15内の海底まで、および海底を越えて、基礎本体2の側壁に隣接する領域に土壌懸濁液18を形成する。基礎の内部内に蓄積された海水が逃げられないこの第一のシナリオでは、ボア15はさらに土壌懸濁液およびノズル10からの流体で充填される。これにより、基礎の外側の海水の水位17の上方に位置するボア15内にウォーターテーブル16をもたらす。
【0049】
これに関連して、図5(a)のプロット21によって示されるように、基礎の外側では、流体圧力pは、上方の水柱の重量の増加によって深さが増加するにつれて直線的に増加する。プロット22は、環内の流体圧力を示す。理解されるように、ボア15内の水圧Phydroは、水圧が同一の勾配で増加するが、ウォーターテーブル16のレベルが高いため、外部水圧よりも高い。しかしながら、水が環内の土壌懸濁液18へと移行する深さでは、圧力勾配は、土壌懸濁液18の密度の増加によって増加する。従って、急勾配の圧力勾配が、基礎本体2の外側の圧力と比較して、土壌懸濁液内の流体圧力Psusをはるかに高くする。これは、つま先8の深さにおける、内側プロット22と外側プロット21との間の圧力差23によって表される。結果として、基礎の内部内のこの増加した圧力は、つま先8で支持破壊機構を抑制し、それによってつま先の貫通にさらに抵抗する。すなわち、圧力差23は、つま先8が深く打ち込まれるにつれて生成される移動力に抵抗する。従って、設置深さが増加するにつれて、つま先設置抵抗を克服し、土壌をボア15内の高圧土壌領域内に横方向に移動させ続けるために、より大きな駆動力が必要となる。
【0050】
本発明の実施形態は、つま先8で土壌懸濁液圧力Psusを下げることによって、上記の問題に対処する。図5(b)は、排出ポンプを使用して土壌懸濁液圧力をいかに下げるかの概略図を示す。水がボア15から引き出されるにつれて、ウォーターテーブル16の高さは低くなる。これにより、内部圧力プロット22の水圧Phydro成分の長さが低減および短縮される。結果として、プロット22の懸濁液圧力Psus成分は、はるかに低い流体圧力で開始する。従って、ウォーターテーブル16の高さを制御することによって、つま先8における流体圧力は、周りの周囲流体圧力により密接に一致し、それによってつま先設置抵抗を最小化するように低減され得る。特に、図5(b)に示すように、つま先8の深さにおける内側プロット22と外側プロット21との間の圧力差は最小化される。とは言うものの、つま先8における土壌懸濁液圧力が周囲の土壌における流体圧力よりも著しく低いことを避けるために、ウォーターテーブル16の高さを制御する必要がある。例えば、圧力が低すぎる場合、つま先の周りの間隙圧力勾配が逆転し、間隙水の浸入につながるため、基礎の外側の周囲の土壌が過度に弱まる場合がある。土壌中の鉛直有効応力がゼロに減少すると、流体破壊が発生する可能性がある。ウォーターテーブルの高さに対する制御は、排出ポンプのポンプ速度を制御することによって達成され得る。ノズル10での流体流量も制御され得る。
【0051】
下記に付属する表1(表1-1、表1-2)は、例示的な条件下での本発明の実施形態による例示的な杭基礎のいくつかの例示的な数学的モデルを示す。表1に示したように、深さ5メートルで、設置つま先抵抗は70トンである。しかし、設置の深さが30メートルのところでは、杭内のウォーターテーブルの高さを海底上で27.5mから12.5mに減らすことで、この例では、設置つま先抵抗が2000トン超に増大する代わりに、36トンに減らすことができる。そのため、杭が深く打ち込まれるとき、設置つま先抵抗を非常に低いレベルに維持できる。
【0052】
図5に示す実施形態の円錐状領域20の特徴について説明する。図5の断面図に示すように、基礎本体2はフレア状であり、円錐状領域20はより狭い直径セクションからより大きな直径端部セクションへと移行する。円錐状領域20は、外部水位17の下に位置するが、海底の泥線の上に位置するように構成される。図5(a)に示すシナリオでは、内部ウォーターテーブル16が外部水位17よりも高い場合、円錐状領域20は有害な浮力効果を有する。すなわち、ボア15内のより高い流体圧力のために、円錐状領域20の内面に対して作用する流体圧力Phydroは、円錐状領域20の外面に対して作用する外部流体圧力Phydroよりも高くなるであろう。これにより、設置の方向に反対に作用する正味の上方浮力をもたらす。しかしながら、ウォーターテーブル16の内部の高さが低減される図5(b)に示すシナリオでは、円錐状領域20の内部に対するより低い圧力に対して円錐状領域20の外部に加わるより高い圧力の間の圧力差によって有益な下向きの力が生成される。従って、排出ポンプのポンプ速度を制御することによって、円錐状領域20によって生成される下向きの力を制御し得る。
【0053】
図5に示す上記の実施形態は、ウォーターテーブルの高さを調節することによって、つま先での土壌懸濁液圧力を制御するが、土壌懸濁液圧力を制御する他の手段も想定される。特に、本発明の代替的な実施形態は、排出ポンプが吸引効果を発生させるために使用される、図6に示される。
【0054】
これに関連して、図6は、本発明の第3の実施形態による基礎の断面概略図を示す。本実施形態では、基礎本体2の環には、上部チャンバー27とボア15との間を接続する閉鎖可能なベント25が設けられる。従って、ベント25が閉じられていると、ボア15の上部は、吸引効果を作り出すことができる内部空洞内にドームを提供する。上部チャンバー27は、水がチャンバーに入ることを可能にするケーブル孔26を含む。図6(a)では、基礎本体2は、水17のスプラッシュゾーンを通して下降される。ベント25は、本体2が水17の中へと下降するにつれて、ボア15内の空気が押し出されるように開放される。図6(b)では、外側の水がケーブル孔26を通して上部チャンバー27に入ると、本体はそれ自体の重量で土壌16を貫通し始める。ベント25は、ボア15内の空気が排出されると閉じられ得る。この段階では、ノズル(図示せず)はまた、ボア15内の流体を噴射し始め、土壌を通る本体の通路を容易にする。図6(c)では、ポンプシステム(図示せず)は、ボア15から水を排出し始める。これにより、ボア空洞内部に吸引効果が形成される。特に、ボア15から水を排出させることによって、水で満たされている上方の上部チャンバー27からの流体圧力に対して有意な圧力差が生じ得る。これにより、図6(d)に示す、基礎本体をその最終的な侵入深さまで打ち込むためのかなりの下向きの力を生成する一方、つま先抵抗を適度に低いレベルに維持するために必要な懸濁液圧力を減少させる。この最終貫通深さになると、ポンプおよび噴射システムは停止する。実施形態において、ノズルは、基礎を固定するために、環内に注入材を送達するために使用され得る。
【0055】
外部水位が低すぎてボア15が水で完全に満たれない設置では、本発明の実施形態は、ボア15から空気が排出される場合を想定する。この場合、基礎本体は、部分的な真空を作り出すことができるように、その内部空洞の近位端に囲われた屋根を必要とする。空洞内の空気圧を下げることによって、ウォーターテーブルに上向きの吸引効果が適用され、水の流体圧力が下がる。また、これにより、つま先8の土壌懸濁液圧力Psusが下がる。しかしながら、このような吸引実施形態では、設置深さは、例えば、排出ポンプの出力によって生成され得る部分真空のレベルによって制限され得る。従って、吸引だけでは、より深い設置深さのために、つま先で十分に低い土壌懸濁液圧力を維持することができない場合がある。
【0056】
上記に加えて、本発明の実施形態は、ウォーターテーブルの高さと吸引力の両方を組み合わせて制御し、杭のつま先8での懸垂圧力を低減させ得ることも理解されるであろう。
【0057】
従って、本明細書に開示される本発明の配置は、土壌内に基礎をより容易に設置することを可能にすることが理解されるであろう。これにより、コストを削減し、設置時の騒音を最小限に抑えることができる。
【0058】
これに関連して、本発明の実施形態において、基礎がより深く貫通し、新しい土壌が移動されるにつれて、基礎のつま先での土壌破壊機構は、杭設置プロセスを通して継続される。従って、杭打ちが使用される実施形態では、必要となる杭打ち力が小さいため、より小さい杭打ちハンマーの使用が可能になり、発生するノイズが低減される。基礎が必要とされる深さまで設置された後、流体噴射システムは、オフとなり、懸濁土壌粒子が沈降して、周期的な振とう効果によって時間の経過とともに圧縮し得る堆積物を形成するとき、水が、環から排出されるのを可能にし、それによって土壌を再び安定化することを可能にすることができる。
【0059】
重要なことに、設置中の流体の送達は、基礎の内部ボア内に局在化される。そのため、基礎本体による横方向圧縮の局所領域を除き、基礎の外側の土壌の構造は、ほとんど乱されない。従って、外部土壌は、基礎を支持するためのその構造を維持することができ、横方向圧縮は、弾性ハーフスペース応力を増加させ、基礎剛性および強度を改善する働きをする。これは、土壌の本体に加圧液体が浸水し、基礎のための空間を掘削する従来の液体掘削技術とは対照的である。この種の従来の方法では、土壌は制御不能な方法で除去され、掘削された場所は、基礎が本来の場所に設置されると、回収された土壌で有効に再充填される。しかし、その空間を再充填する土壌が新たに配置されるため、それは、進展した構造をほとんど有しない。結果として本質的に弱い。
【0060】
上述の実施形態は、例示の目的のためにのみ本発明の適用を示すことが理解されよう。実際には、本発明は、多くの異なる構成に適用されてもよく、詳細な実施形態は、当業者にとって実施することが簡単である。
【0061】
例えば、上記の例示的実施形態では、基礎の流体噴射システムは、高圧ノズルおよび低圧ノズルの両方を含むが、本発明は、高圧ノズルのみを使用して実施形態で実施され得ることが理解されるであろう。
【0062】
さらなる特徴は、駆動抵抗の低減をさらに高め得ることも理解されるであろう。例えば、湾曲した経路上のノズルから噴射された水を上向きに偏向させて、それによって下に吸引効果をもたらすために、エアフォイル形状の偏向器が提供され得る。別の配置では、ノズルの一部は、下向きに面する静水圧に対して圧力を生成するように上向きに角度付けられてもよい。噴出した水のこの上向き方向は、堆積物の上向き移送を促進する。
【0063】
駆動抵抗をさらに低減するために、流体噴射システムと組み合わせて、追加の機構およびシステムも使用され得ることも理解されるであろう。例えば、基礎は、電気浸透用の電極をさらに組み込んでもよい。さらに、流体噴射システムは、電気浸透システムと相乗的に作用し得る。一例の配置では、土壌支柱の中心の下にスティンガーが提供され、基礎壁の内部表面上にアノードが提供され、ベントナイト溶液が流体噴射システムを使用して注入される。次いで、電極間に電圧を印加して、土壌支柱内に内向きの圧力をかけるための電気浸透効果を生成し得る。これにより、土壌支柱が崩壊するリスクを軽減することができる。さらに、土壌支柱が崩壊した場合、電極の極性を逆転させてフィルターケーキを潤滑することができる。
【0064】
上記の例示的実施形態では、基礎はモノパイル式であったが、それにもかかわらず、バケット基礎などの他の基礎も可能であることが理解されるであろう。本発明はまた、撤去中の基礎の簡素化された撤去を可能にし得る。特に、ノズルは、引き出される際に基礎の内部表面上の摩擦を低減するために高圧流体を印加するために使用され得る。
【0065】
最後に、上記の例示的実施形態では、モノパイル基礎を設置するために必要な杭打ち力を低減させるための参照がなされるが、本発明が吸引バケット基礎に適用される実施形態では、代わりに、吸引力を減少させることが、基礎を吸引圧力下で設置するのに必要であることが理解されるであろう。
【0066】
【表1-1】













【0067】
【表1-2】
【符号の説明】
【0068】
1…基礎 2…本体(基礎本体) 3…外部側面(外部表面) 4…内部側面 5…低圧供給パイプ 6…高圧供給パイプ 7…段差 8…つま先 9…高圧マニホールド 10…水ノズル 11…開口部 12…低圧マニホールド 13…ベント(低圧ベント) 14…土壌領域 15…ボア(内部ボア) 16…ウォーターテーブル 17…水位(水) 18…土壌懸濁液 19…土壌 20…円錐状領域 21、22…プロット 23…圧力差 24…排出ポンプシステム 25…ベント 26…ケーブル孔 27…上部チャンバー p…流体圧力 Phydro…水圧 Psus…土壌懸濁液圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6