(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】異なったサイズの物品のための緩衝梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/113 20060101AFI20231108BHJP
B65D 81/107 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65D81/113 140Z
B65D81/107 100Z
(21)【出願番号】P 2020564789
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(86)【国際出願番号】 US2019017165
(87)【国際公開番号】W WO2019160749
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520302981
【氏名又は名称】リフレックス・パッケージング・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REFLEX PACKAGING INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】タンシンコ,エドワード
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-170968(JP,A)
【文献】特開2008-110772(JP,A)
【文献】実開平06-003871(JP,U)
【文献】米国特許第06520337(US,B2)
【文献】実公昭46-022232(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃に弱い物品の緩衝を、異なるサイズの前記物品について可能にするための一体構造の緩衝梱包体であって、
前記物品を収容する物品収容領域であって、前記物品を載置することができるプラットフォームを有する前記物品収容領域を画定する、弾性基部と、
前記物品収容領域
に接する内側物品保持壁を有し、前記物品収容領域の全体を占めるサイズの前記物品を保持する、緩衝構造と、
前記弾性基部に形成されて前記プラットフォーム上の前記物品収容領域の少なくとも一部分を占める、直立した物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイであって、前記
直立した物品保持スタッドは
、前記
直立した物品保持スタッドを前記基部内に押し下げることを可能にしているヒンジ部分を残すよう前記
直立した物品保持スタッドを部分的に取り囲む切り込みを有し、それによって
、横方向の力には
対抗するが
、前記物品収容領域に載置される前記物品が前記直立した物品保持スタッドの上方に重ねられたことによって生じる上下方向の力には柔順であ
り、
前記物品のうち前記物品収容領域よりも小さいサイズの小型物品が前記直立した物品保持スタッドの複数を露出させて前記物品収容領域に載置されたときに、前記物品収容領域内で前記複数によって前記小型物品が前記横方向から保持されるように構成されている、前記
直立した物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイと
、
を備える
緩衝梱包体。
【請求項2】
前記ヒンジ部分は、ヒンジの屈曲を容易にする
、線状に並んだ穿孔を含む、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項3】
前記直立した物品保持スタッドはそれぞれ、前記小型物品が前記横方向で当接するように前記物品収容領域の外縁に対して内方へ向けられた面を有し、前記ヒンジ部分は、
前記面に対して垂直に向けられている、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項4】
前記直立した物品保持スタッドはそれぞれ、前記小型物品が前記横方向で当接するように前記物品収容領域の外縁に対して内方へ向けられた面を有し、前記ヒンジ部分は
、前記面に平行に向けられており、前記切り込みは
、前記面から突出
して前記物品収容領域に載置された前記小型物品の下で延びるために前記
直立した物品保持スタッドに取り付けられたタブを画定し、それにより
前記横方向の力に反応して前記
直立した物品保持スタッドの上方への旋回動作を抑制する、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項5】
前記物品収容領域は略長方形であり、前記アレイは
前記物品収容領域内でL字形に配置されて
いる、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項6】
前記緩衝構造を画定するばね移行領域によって前記内側物品保持壁に結合された外側壁をさらに備える、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項7】
前記直立した物品保持スタッドは、前記物品収容領域に載置された物品に面する平坦面を備えた略角錐台形状を有する、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項8】
前記弾性基部が熱成形シートから作成される、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項9】
前記物品収容領域に中央ウェルをさらに備える、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項10】
前記弾性基部に緊密に篏合可能な弾性カバーと組み合わせて前記物品を前記弾性基部上の所定の位置に保つ、請求項1に記載の緩衝梱包体。
【請求項11】
前記弾性カバーは、前記弾性カバー内に押し下げることが可能な物品保持スタッドを有し、前記物品保持スタッドは前記弾性基部上の前記直立した物品保持スタッドに対してオフセットされている、請求項10に記載の緩衝梱包体。
【請求項12】
前記弾性カバーが熱成形シートから作成される、請求項10に記載の緩衝梱包体。
【請求項13】
衝撃に弱い物品の緩衝を、異なるサイズの前記物品について可能にするための緩衝梱包体であって、
前記物品を収容する物品収容領域であって、前記物品を載置することができるプラットフォームを有する前記物品収容領域を画定する単体構造の弾性基部と、
前記物品収容領域に接する内側物品保持壁を有し、前記物品収容領域の全体を占めるサイズの前記物品を保持する働きをする、緩衝構造と、
前記プラットフォーム上の前記物品収容領域内に形成された、直立した物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイであって、前記直立した物品保持スタッドは、横方向の力には対抗するが、前記物品収容領域に載置される前記物品が前記直立した物品保持スタッドの上方に重ねられたことによって生じる上下方向の力には柔順であり、前記物品のうち前記物品収容領域よりも小さいサイズの小型物品が前記直立した物品保持スタッドの複数を露出させて前記物品収容領域に載置されたときに、前記物品収容領域に載置された前記小型物品の外辺部内にある前記直立した物品保持スタッドが前記プラットフォームの下方へ押し下げられ、前記物品収容領域内で前記複数によって前記小型物品が前記横方向から保持されるように構成されている、前記直立した物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイと、
前記物品に前記上下方向の圧力を印加する、前記弾性基部に篏合可能な弾性カバーと、
を備える緩衝梱包体。
【請求項14】
前記直立した物品保持スタッドの前記弾性基部内への旋回を可能にする前記ヒンジ部分を残す、前記物品保持スタッドを部分的に取り囲む切り込みを更に備える、請求項12に記載の緩衝梱包体。
【請求項15】
前記ヒンジ部分は、ヒンジの屈曲を容易にする、線状に並んだ穿孔を含む、請求項14に記載の緩衝梱包体。
【請求項16】
前記直立した物品保持スタッドはそれぞれ、前記小型物品が前記横方向で当接するように前記物品収容領域の外縁に対して内方へ向けられた面を有し、前記ヒンジ部分は、前記面に平行に向けられている、請求項14に記載の緩衝梱包体。
【請求項17】
前記物品収容領域は略長方形であり、前記アレイは前記物品収容領域内でL字形に配置されている、請求項16に記載の緩衝梱包体。
【請求項18】
前記弾性カバーが前記弾性基部の前記物品保持スタッドと異なる別の物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイを有し、前記別の物品保持スタッドは前記横方向の力には対抗するが前記上下方向の力には従い、それによって、前記弾性カバーと前記弾性基部とが互いに嵌合したときに、前記物品収容領域に載置された前記小型物品の外辺部内にある前記別の物品保持スタッドは前記弾性カバー内に押し上げられる、請求項12に記載の緩衝梱包体。
【請求項19】
前記弾性カバーの前記別の物品保持スタッドは、前記弾性基部の前記物品保持スタッドに対してオフセットされ、前記弾性カバーと前記弾性基部とが互いに嵌合したときに、前記弾性基部の前記物品保持スタッドと前記弾性カバーの前記別の物品保持スタッドとが交錯する、請求項18に記載の緩衝梱包体。
【請求項20】
前記物品保持スタッドはそれぞれ、前記小型物品が前記横方向で当接するように前記物品収容領域の外縁に対して内方に向けられた面を有し、前記ヒンジ部分は、前記面に平行に向けられており、前記切り込みは、前記面から突出するために前記物品保持スタッドに取り付けられたタブを画定し、前記タブは、前記物品収容領域に載置された前記小型物品の下で延び、それにより前記横方向の力に反応して前記物品保持スタッドの上方への旋回動作を抑制する、請求項14に記載の緩衝梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壊れやすい物品の梱包に関し、より詳細には、衝撃に弱い製品を輸送するための緩衝梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやラップトップなどの電子製品は衝撃に非常に弱いため、輸送中に緩衝材により保護する必要がある。発泡スチロールのような伝統的な材料は、環境には好ましくない。参照することによってその内容が本明細書に組み込まれる特許文献1は、互いに垂直な3方向において衝突衝撃保護を提供することができる熱成形プラスチック材料で作成された、衝撃に弱い製品のための単一製品緩衝梱包体について記載している。熱成形プラスチック材料は典型的には0.050~0.1インチの初期厚さを有している。この緩衝梱包体は、保護対象の物品を収容する物品収容領域を境界づける緩衝構造を有する。物品収容領域は、移動によるずれを防ぐように物品がぴったり収まる大きさにされる。この技術は、販売用に輸送される新しく製造されたラップトップなど、同じサイズの物品に適している。
【0003】
しかしながら、輸送が必要なのは新製品だけではない。消費者は、使用済みの物品を、例えば修理施設に返品したり交換用バッテリの取り付けのために返品したりする必要がしばしばある。この場合、物品のサイズが異なる場合がある。たとえば、iPhoneは世代によってサイズが異なる。衝撃に弱い物品用の梱包は、同じサイズの製品を多数製造する特定のメーカー向けであればカスタマイズすることができるが、1回限りの輸送を行うだけの消費者に対して幅広い梱包の選択肢を提供することは現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、異なるサイズの衝撃に弱い製品を保護する緩衝梱包体を提供する。
【0006】
本発明によれば、衝撃に弱い物品を収容する物品収容領域であって、前記物品を載置することができるプラットフォームを有する前記物品収容領域を画定する、弾性基部と、前記物品収容領域を境界づける緩衝構造と、前記基部に形成されて前記プラットフォーム上の前記物品収容領域の少なくとも一部分を占める、直立した物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイであって、前記物品保持スタッドは前記物品保持スタッドを前記基部内に押し下げることを可能にしているヒンジ部分を残すよう前記物品保持スタッドを部分的に取り囲む切り込みを有する、前記直立物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイと、を備える一体構造の緩衝梱包体が提供される。
【0007】
緩衝梱包体は、都合のよいことに、例えばHDPEシート(高密度ポリエチレンシート)から熱成形することができるが、代替として、あまり望ましくないが射出成形によっても作製することができる。
【0008】
横方向の力および上下方向の力への言及は、水平面上に平らに置かれたときの緩衝パッケージに関連することが理解されよう。
【0009】
各物品保持スタッドの各アレイは、1つ以上の列に配置されてもよく、または千鳥状に配置されてもよい。
【0010】
熱成形後、打抜型を使って切り込みを作成する打抜き装置で切り込みを作成してもよい。
【0011】
梱包体内の物品を押下するよう設計されたコンフォーマルカバーを、緩衝梱包体に篏合させてもよい。代替として、例えばよりかさばる物体の場合は、保護対象の物品は一対の緩衝梱包体の間に挟まれてもよく、一方の梱包体は他方の梱包体の鏡像であり、上部の梱包体は反転されている。
【0012】
本発明の他の態様は、衝撃に弱い物品を収容する物品収容領域であって、前記物品を載置することができるプラットフォームを有する前記物品収容領域を画定する単体構造の弾性基部と、前記物品収容領域を境界づける緩衝構造と、前記プラットフォーム上の前記物品収容領域の少なくとも一部分を境界づける物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイであって、前記物品保持スタッドは横方向の力には抵抗するが上下方向の力には柔順である、前記物品保持スタッドの少なくとも1つのアレイと、前記物品に上下方向の圧力を印加し前記物品の外辺部内にある前記物品保持スタッドを押し下げる、前記弾性基部に篏合可能な弾性カバーとを備える緩衝梱包体を提供する。
【0013】
スタッドは、物品が重ねられると下方に旋回するようヒンジで留められてもよい。ヒンジは、好ましくは物品収容領域に配置された物品の隣接側面に対して垂直に向いているが、平行方向に配置されてもよい。その場合ヒンジは、横方向の力が存在するときの上方への旋回移動を防ぐよう物品の下に延びる突出タブを含んでもよい。
【0014】
代替として、物品保持スタッドは上下方向の力により押潰し可能なように形成されてもよい。それにより、物品が物品保持スタッドに重なるよう物品保持領域に配置されたときに物品が物品保持領域に押し付けられるため、物品の外辺部内の物品保持スタッドが押し潰される。
添付の図面を参照して、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】小型のスマートフォンを収容する本発明の第1の実施形態による緩衝梱包体の分解図である。
【
図2】より大型のスマートフォンを収容するための緩衝梱包体の分解図である。
【
図3a】内部保持スタッドによってスマートフォンが拘束された状態を示すプラットフォームの一部分の側面図である。
【
図3b】内部保持スタッドによってスマートフォンが拘束された状態を示すプラットフォームの一部分の平面図である。
【
図4a】スマートフォンにより第1の保持スタッドが押し下げられ、第2の保持スタッドによってスマートフォンが拘束された状態を示すプラットフォームの一部分の側面図である。
【
図4b】スマートフォンにより第1の保持スタッドが押し下げられ、第2の保持スタッドによってスマートフォンが拘束された状態を示すプラットフォームの一部分の平面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による緩衝梱包体の分解図である。
【
図6】より大型のスマートフォンの場合の
図5に示す緩衝梱包体の分解図である。
【
図7】かさばった物品に適用された一対の緩衝梱包体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されている緩衝梱包体は、特許文献1に開示されている緩衝梱包体と同様の原理を採用している。本実施形態において、緩衝梱包体は、典型的には、スマートフォン向けに0.02から0.03インチの初期厚さを有する弾性プラスチックである熱成形シートから作成された単体構造の基部10を有している。より重いアイテムには、より厚くしてもよい。同じく弾性プラスチックの熱成形シートから作成されたコンフォーマルカバー12を、基部に嵌め込んでも良い。シートの厚さは、基部10およびカバー12の所望の剛性を決定するよう選択されてもよい。非限定的なこの例では、弾性プラスチック材料は、0.03インチのHDPE(高密度ポリエチレン)である。
【0017】
代替の実施形態では、基部10および/またはカバー12は、射出成形によって作製されてもよい。基部10は、緩衝構造16によって境界づけられる物品収容領域14を画定する。緩衝構造16は、内側保持壁20、外側壁22、およびばね移行領域24を含むが、これらは、特許文献1に記載された原理と同様であってもよい。
【0018】
緩衝構造16は、X、YおよびZ方向に緩衝を提供する。非限定的な例として、物品をスマートフォン18と想定する。
【0019】
物品収容領域14は、スマートフォン18が置かれる底部プラットフォーム26を有する。特許文献1に開示された状況とは異なり、物品収容領域14は、スマートフォン18より実質的に大きいサイズであってもよい。
【0020】
物品収容領域は、中央ウェル32を備えた平坦な周辺部分30を有する略長方形の角領域28を含む。任意の中央ウェル32は、下側にある下面追加支持体上に膨出部を形成するが、これは特に重いアイテムのためのものであり、スマートフォンの場合は通常は不要である。本実施形態において、スマートフォン18は、自身の短辺および長辺のそれぞれ一辺に沿って内側保持壁20に当接するように角領域28に配置される。
【0021】
直立スタッド38のアレイ34、36が、底部プラットフォーム26上に配置される。第1のアレイ34は、角領域28の短辺に面し且つ角領域28の短辺に向かって僅かに傾斜したスタッド38の列を数列含む。また、第2のアレイ36は、角領域の長辺に面し且つ角領域の長辺に向けて僅かに傾斜したスタッド38の列を数列含む。スタッド38は、略角錐台形状を有している。
【0022】
スタッド38は、X-Y方向の横方向の力には抵抗するが、圧力がZ方向に印加されたときに下方に偏位するよう上下方向の力に柔順である。
【0023】
下方への偏位を容易にするために、U字状の切り込み40をスタッド38のスマートフォン18に面している側に作成し、ヒンジ部分42を反対側に残す。かかる切り込みは、熱成形機または後に抜打型を使用する打抜き装置によりなされてもよい。U字状の切り込み40は、タブ44を画定している。
【0024】
図1に示す実施形態では、スマートフォン18は角領域28に緊密にぴったり収まるサイズであり、二辺が内側保持壁20に当接し、他方の二辺がアレイ34、36の最も内側の列に当接している。この場合、スタッド38の最も内側の列は、横方向の力に対する抵抗を提供し、スマートフォン18をしっかりと所定の位置に保つ。
【0025】
次に、窪んだ中央領域46を有するコンフォーマルカバー12が、基部10にしっかりと嵌め込まれる。膨出部48は、カバー下側に、露出したスタッド38を収容する凹部を画定し、それによりカバー12のその窪んだ領域の下側でスマートフォン18をしっかりと押さえつけて上下方向に保持することができる。したがって、緩衝梱包体は三次元全ての衝撃に対して優れた緩衝を提供する。
【0026】
図2に示される実施形態では、スマートフォン18は角領域28よりも大きい。スマートフォン18が破線の輪郭18aで示されているように角領域28に配置されると、スマートフォン18の外辺部内すなわちスマートフォン18の下に位置する最内側のスタッド38a、38bがプラットフォーム26の下方に押し下げられ、スマートフォン18は自身の外辺部の外側にある残りの直立スタッド38c、38dによって境界づけられるプラットフォーム26にぴったり収まることができる。直立スタッド38e、38dは、横方向の移動に対してスマートフォン18を保持する役目を果たす。
【0027】
このようにして、異なったサイズのスマートフォンを収容できることが分かる。さらに大型のスマートフォンが物品収容領域14全体を占めてもよく、その場合は全てのスタッド38がプラットフォーム26下に押し下げられ、スマートフォン18の全ての側面が内壁20によって保持される。
【0028】
図1の実施形態のように、スマートフォン18が所定の位置に置かれると、コンフォーマルカバー12が基部10にしっかりと篏め込まれてスマートフォン18を上下方向に保持する。
【0029】
スタッドのアレイは、スマートフォン18の2つの側面のみに沿って配置されることが好都合である。その理由は、2つの側面に沿う内壁または保持壁20が最大限に効果を発揮できるからであるが、代替としてスタッド38のアレイがスマートフォン18を完全に取り囲んでもよく、その場合、物品収容領域より小さいスマートフォン18は、4つの側面全てにおいてスタッド38によって保持される。
【0030】
図3aおよび
図3bは、一対のスタッド38をより詳細に示している。概して、これらのスタッド38はわずかに前方に傾斜した角錐台形状を有する。スタッドのプラットフォーム26への屈曲をさらに容易にするよう、線状に並んだ穿孔50が、ヒンジ領域42においてスタッド38の後縁部に沿って延在している。U字状の切り込みは、タブ44を画定していることに留意されたい。
【0031】
図3aに示すように、スマートフォン18の縁部によりスタッド38に対して横向きの力Fxが働くと、スタッド38により反対方向にRxの反作用が働いて、スマートフォン18が所定の位置にロックされる。また、スマートフォンによりタブ44に下向きの力Fzが働き、横向きの力Fxがスタッドをヒンジ42を中心に後方に旋回させてしまうことを防ぐ。
【0032】
図4aおよび
図4bは、スマートフォン18によって押し下げられたスタッド38aに起きることを示している。スタッド38aはヒンジ50を中心に下方に旋回し、スマートフォン18が残りのスタッド38cによって所定の位置にしっかりと保持される余地を残す。
図4aおよび
図4bにおいて、スタッド38aは、スマートフォン18の下方であってプラットフォーム26の平面下に押し下げられていることがわかる。
【0033】
緩衝梱包体は、長方形の物品にのみ適用可能ではないことを理解されたい。その場合、アレイは、円形や多角形などの他の幾何学的形状をカバーするように編成して配置される。
【0034】
例示的な緩衝梱包体を、コンフォーマルカバー12に関連して示してきた。特定の用途では、たとえば複数のアイテムが一連の積載された緩衝梱包体で輸送される場合、または梱包体が例えば特許文献1に例示されているように外部容器に載置されている場合は、カバーがなくてもよい。
【0035】
図5に示す実施形態では、アレイ34、36は、
図1および
図2に示す実施形態と同様の方法で基部10上に配置されているが、スタッド38は、スマートフォン18の端部に対して横向きである。たとえば、スタッド38eのヒンジ線42aはスマートフォン18の縁部18aに対して垂直に向いており、U字状の切り込み40aの閉鎖端は、
図5において矢印Aの方向に右を指すため、スタッド38eはX方向に延在しているヒンジ線42aを中心に下方に旋回する。
【0036】
同様に、スタッド38fのヒンジ線42bはY方向に延在し、U字状の切り込み40bの閉鎖端は矢印Bの方向に終端することから、スタッド38fは矢印Bの方向に下方に旋回する。
【0037】
スタッド38は略角錐台形状を有しており、その平坦面39はスマートフォン18が物品収容領域14内に配置されたときにスマートフォン18に面している。
【0038】
それぞれのアレイ34、36の各スタッド38は、同じ方向を向いている。すなわち、アレイ34のスタッド38は全て一方向を向いており、アレイ36のスタッド38は第1の方向に垂直な第2の方向を向いている。スタッド38は列に並べてもよいし、千鳥状に並べてもよい。
【0039】
本実施形態において、角領域28は、延長部70aを備えた平坦領域70によって画定される。
【0040】
図5に示す場合において、スマートフォン18は、いずれのスタッド38も押し下げなくとも角領域28にぴったり収まる。スマートフォン18の隣接側面18a、18b対して垂直にスタッド38のヒンジ軸40を方向づけることで、
図1および2に示す実施形態の場合よりもさらに優れた耐衝撃性を提供できることがわかった。たとえば、あるテストでは、Iphone5が48インチの高さから硬質床に損傷なく落下した。また、スタッド38がこのように方向付けられていると、
図1に示すタブは不要になる。なぜなら、スマートフォンによってスタッド38に印加された横方向の力が、スタッド38がヒンジ42を中心に旋回を引き起こしやすい方向にないからである。
【0041】
本実施形態において、カバー12は基部10に緊密に篏合する。しかしながら、基部のスタッド38を収容する凹部と完全に一致する代わりに、カバー12は、スタッド38と同様の原理で動作するがカバーが基部に載置されたときにスタッド38に関してオフセットまたは交錯しているスタッド72を有する。サンプルをテストしたところ、上下のスタッドが交錯したメッシュを形成しており、この配置により横方向の移動に対する抵抗がさらに強くなることが分かった。
【0042】
図5に示すシナリオでは、スマートフォン18は、角領域28内および対応するカバー12の領域70a内にぴったり収まるので、スタッドは押し下げられない。
【0043】
図6に示すシナリオでは、スマートフォン18は領域70よりわずかに大きく、スタッド38gおよび38hは押し下げられ、スタッド38eおよび38fは直立したままである。
【0044】
同様に、カバー12では、スタッド72eおよび72fが押し下げされ、スタッド72g、72hは直立したままである。
図6のカバー12は反転して示しているため、物品収容領域14においてスマートフォン18によって押し下げられたスタッド38は直立しているように見え、逆もまた然りである。
【0045】
スマートフォンが完全に物品収容領域14を占める場合、基部10とカバー12の両方で全てのスタッド38、72が押し下げられる。
【0046】
他の用途では、緩衝梱包体は、より嵩のあるアイテムの端部梱包体として対向した関係において適用できる。このような配置を
図7に示す。この場合、輸送する商品はかさ張るアイテム118である。アイテム118は2つの梱包体10、110の間に挟まれ、梱包体110は梱包体10の鏡像であり、アイテム118の上面に篏合するよう反転されている。
【0047】
図示された好ましい実施形態では、スタッド18は比較的堅く、スマートフォン18または他の物品によって印加された圧力により、ヒンジ50を中心にプラットフォーム26の下の空間に容易に旋回する。代替の実施形態では、ヒンジ50および切り欠き40を用いる代わりに、下方圧力(またはカバーの場合は上方)によってスマートフォンの下になるスタッドを押し潰し、残りのスタッドでスマートフォンを保持するところまでスタッド38の強度を弱める。しかしながら、この実施形態は、同程度の横方向の保持を与えないかもしれない。
【0048】
本発明の緩衝梱包体は、1つのパッケージで異なった形状およびサイズの様々な物品に効果的な緩衝を提供できるため、衝撃に弱いアイテムを保守サービスに返品したい消費者に特に有用である。