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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】プログラム、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20231108BHJP
   G06Q 30/0282 20230101ALI20231108BHJP
【FI】
G06Q40/03
G06Q30/0282
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021108272
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023005954
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸太郎
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067682(JP,A)
【文献】特開2018-049400(JP,A)
【文献】特開2018-163512(JP,A)
【文献】特開2006-079493(JP,A)
【文献】特開2018-180815(JP,A)
【文献】特開2004-139202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0081522(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0198824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、
前記記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記会計データに基づき、前記ユーザの財務状態を抽出するステップと、
前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴を抽出するステップと、
前記抽出した前記ユーザの前記財務状態と、前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップと、
前記信用格付けに基づいて、前記ユーザの前記信用格付けを表すための所定のスコアを算出するステップと、
前記スコアに基づいて、前記ユーザのデフォルトの確率を算出するステップと、
前記算出したデフォルトの確率に基づいて、前記デフォルトの確率を図示したグラフを作成し、前記ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示するステップと、
前記算出した前記ユーザのデフォルトの確率が、所定の閾値を超過した場合に、当該確率が超過した理由を前記ユーザに対し表示するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴が、明細未登録率、請求書発行枚数、レポート閲覧回数、特定取引の取引先入力率、財務指標の直近月次推移からなる群の少なくともいずれかである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴を、事業の決算書とは異なる会計データに基づいて抽出する、請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴を説明変数とする与信モデルを前記記憶部に記憶させており、
前記信用格付けを行うステップにおいて、前記プログラムは、
前記ユーザの財務状態および前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴と、前記与信モデルとに基づいて、前記ユーザの審査および与信を行うことにより、前記ユーザの信用格付けを行う、請求項1から3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記算出した前記所定のスコアを、前記会計システムと連携する金融機関のシステムと共有するステップを実行させる、請求項1から4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記デフォルトの確率を図示したグラフを作成し、前記ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示するステップにおいて、前記プログラムは、
前記ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに対し、前記デフォルトの確率の算出に利用した変数のリストを前記図示した結果とあわせて提示する、請求項1から5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
会計システムであって、
前記会計システムを構成するコンピュータの記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、
前記会計データに基づき、前記ユーザの財務状態を抽出する手段と、
前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴を抽出する手段と、
前記抽出した前記ユーザの前記財務状態と、前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行う手段と、
前記信用格付けに基づいて、前記ユーザの前記信用格付けを表すための所定のスコアを算出する手段と、
前記スコアに基づいて、前記ユーザのデフォルトの確率を算出する手段と、
前記算出したデフォルトの確率に基づいて、前記デフォルトの確率を図示したグラフを作成し、前記ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示する手段と、
前記算出した前記ユーザのデフォルトの確率が、所定の閾値を超過した場合に、当該確率が超過した理由を前記ユーザに対し表示する手段と、を備える、システム。
【請求項8】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行される方法であって、
前記方法は、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、
前記記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記会計データに基づき、前記ユーザの財務状態を抽出するステップと、
前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴を抽出するステップと、
前記抽出した前記ユーザの前記財務状態と、前記会計システムにおける前記ユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップと、
前記信用格付けに基づいて、前記ユーザの前記信用格付けを表すための所定のスコアを算出するステップと、
前記スコアに基づいて、前記ユーザのデフォルトの確率を算出するステップと、
前記算出したデフォルトの確率に基づいて、前記デフォルトの確率を図示したグラフを作成し、前記ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示するステップと、
前記算出した前記ユーザのデフォルトの確率が、所定の閾値を超過した場合に、当該確率が超過した理由を前記ユーザに対し表示するステップと、を実行する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの情報に基づいて、与信審査を行うシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、ユーザに対し、与信取引に関連する情報を配信するシステムについての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-197257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、各々のユーザに対する与信取引において、信用度及び需要を推定し、推定した信用度及び需要に基づいてユーザを分類し、分類された各ユーザ層に属するユーザにより使用されるユーザ端末に対し、与信取引に関連する情報を、各々の前記ユーザ層に応じた配信方法で配信する技術が記載されている。しかし、特許文献1の技術は、あくまでユーザが使用する端末および当該端末に備わるアプリケーションの履歴等に基づいてユーザの信用度を推定するに留まり、特許文献1の技術を利用してユーザの与信審査等を行う場合、正確にユーザの信用格付けを行えない可能性がある。
【0006】
そこで、本開示では、ユーザの与信審査等を行うためのシステムにおいて、ユーザの財務状態、会計システムの利用履歴などから、正確にユーザの信用格付けを行うことを可能にする技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、プログラムは、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、プログラムは、プロセッサに、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出するステップと、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出するステップと、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップと、を実行させるプログラムが提供される。
【0008】
本開示の一実施形態によると、会計システムであって、会計システムを構成するコンピュータの記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出する手段と、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出する手段と、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行う手段と、を備える、システムが提供される。
【0009】
また、本開示の一実施形態によると、プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行される方法であって、方法は、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、方法は、プロセッサが、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出するステップと、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出するステップと、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップと、を実行する、方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、最新のユーザの財務状態、及び会計システムの利用状況を反映させることにより、正確にユーザの信用格付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】信用格付けシステム1の全体の構成を示す図である。
図2】実施の形態1の信用格付けシステム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1の信用格付けシステム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図4】サーバ20が記憶するユーザ情報データベース2021、会計情報データベース2022のデータ構造の例を示す図である。
図5】実施の形態1の信用格付けシステム1による信用格付けのための処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
図6】端末装置10に信用格付けの結果をユーザが連携する金融機関に提示する時の画面例を示す図である。
図7】端末装置10に信用格付けの結果をユーザに提示する時の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<概要>
以下、本開示に係る信用格付けシステムについて説明する。この信用格付けシステムは、ユーザに対して、信用格付けをオンライン上で行うためのサービスを提供するためのシステムである。昨今、各種ローンや融資の申込契約時、クレジットカード申込時等において、申込者の属性等からある程度自動的に与信審査を行うシステムが金融機関等の各社で運用されている。
しかし、従来の、特に事業目的の融資を行うシステムでは、事業者から提出された年次の財務諸表および人力で収集された定性情報を元にして信用格付が行われている。そのため、最新の事業状態や、事業者のソフトな性質は、定性情報として一部の考慮がなされるのみであった
本開示の目的は、最新の財務状態、事業者の性質を反映する会計システムの利用履歴を活用した信用格付を行うシステムを提供することにある。
【0014】
そこで、本開示に係る信用格付けシステム1では、プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、プログラムは、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、記憶部に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており、プログラムは、プロセッサに、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出するステップと、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出するステップと、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップと、を実行させるプログラムを提供する。
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、信用格付けシステム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0016】
<1 信用格付けシステム1の全体構成>
図1は、信用格付けシステム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、信用格付けシステム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10A及び端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0017】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用して信用格付けシステム1の機能である信用格付けを行う者であり、例えば経営者等、金融機関から融資を受ける対象となる者をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0018】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0019】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0020】
サーバ20は、信用格付けに係る一連の処理を管理する装置である。サーバ20は、ユーザから、ユーザの信用格付けを行うための各種データを受け付け、ユーザの信用格付けを実行するための処理を行う。サーバ20は、記憶部に保持されているユーザの会計データに基づいて、ユーザの財務状況を抽出する。サーバ20は、当該財務状況と、会計データの利用履歴と、に基づいて、ユーザの信用格付けを実行する。サーバ20は、ユーザおよび連携する金融機関に当該結果を送信する。
【0021】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0022】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0023】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、実施の形態1の信用格付けシステム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード1301及びマウス1302を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、ディスプレイ150と、記憶部170と、制御部180とを含む。端末装置10は、図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等)も有している。図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0024】
アンテナ111は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0025】
アンテナ112は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0026】
第1無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第2無線通信部122は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路等を含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部180へ与える。
【0027】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード1301と、マウス1302とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0028】
キーボード1301は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード1301は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部180へ出力する。
【0029】
マウス1302は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。マウス1302は、ディスプレイ150に表示されている表示物を選択等するためのポインティングデバイスであり、画面上で選択された位置情報と、ボタン押下されていることを示す情報とを入力信号として制御部180へ出力する。
【0030】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部180へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0031】
ディスプレイ150は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0032】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170は、ユーザ情報1701およびマイナンバー情報1702を記憶する。
【0033】
ユーザ情報1701は、端末装置10を使用して信用格付けシステム1の機能である信用格付けを行う対象となるユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの氏名、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザが所属している企業等の組社名・法人名等が含まれる。
【0034】
制御部180は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部180は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部180は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部1801と、送受信部1802と、データ処理部1803と、通知制御部1804としての機能を発揮する。
【0035】
入力操作受付部1801は、キーボード1301等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0036】
送受信部1802は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0037】
データ処理部1803は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0038】
通知制御部1804は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。通知制御部1804は、表示画像をディスプレイ150に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理等を行う。
【0039】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態1の信用格付けシステム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0040】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0041】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、ユーザ情報データベース2021と、会計情報データベース2022、与信モデルデータベース等を記憶する。
【0042】
ユーザ情報データベース2021は、信用格付けシステム1において、信用格付けを行うユーザに関する各種情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0043】
会計情報データベース2022は、信用格付けシステム1において、各ユーザについて、予め記憶部202に登録されている会計データに関する各種情報、または、当該ユーザが会計システムを使用した利用履歴に関する各種情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
ある局面において、サーバ20は、連携する会計サービスを提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等から信用格付けに必要な情報を取得し、会計情報データベース2022に保持してもよい。このとき、連携するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等は、システム1とは異なる外部のシステムに備えられているものでもよいし、システム1の内部に備えられているものでよい。
【0044】
与信モデルデータベース2023は、信用格付けシステム1において、ユーザの信用格付けを行う際に参照する学習済みモデルである与信モデルを保持するためのデータベースである。ここで、当該与信モデルの学習方法について説明する。サーバ20は、ユーザの財務状態を説明変数として健全・不健全の状態(融資の可否を示す情報)とを紐づけた情報、および会計システムの利用履歴を説明変数として健全・不健全の状態(融資の可否を示す情報)とを紐づけた情報を学習用データとして当該モデルに学習させる。与信モデルは、当該学習した情報に基づいて、ユーザから受け付けた財務状態と、会計システムの利用履歴とが入力されると、ユーザの財務状態が健全であるか否か、ユーザの財務状態の変化が所定の閾値以下であるか、等を判定し、目的変数としてユーザに対する融資の可否を示す情報を出力することで、ユーザの与信・審査を行い、信用格付けを実行する。
与信モデルデータベース2023を生成するための機械学習は、信用格付けシステム1において行われてもよく、他のシステムにおいて行われてもよい。他のシステムで機械学習が行われた場合、信用格付けシステム1が学習済みモデルを当該システムから取得してもよく、信用格付けシステム1でさらなる機械学習を行い、学習結果をマージするアグリゲーション処理を行ってもよい。このような機械学習は、所定の教師データを使用した教師あり機械学習により行われてもよく、ディープラーニングにより行われてもよい。
これにより、ユーザは、最新の財務状態、会計システムの利用履歴を入力すると、正確に自身に対する信用格付けを行うことができる。
【0045】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、ユーザ情報取得モジュール2033、会計情報取得モジュール2034、財務状態抽出モジュール2035、利用履歴抽出モジュール2036、信用格付け実行モジュール2037、与信モデル参照モジュール2038に示す機能を発揮する。
【0046】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0047】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0048】
ユーザ情報取得モジュール2033は、信用格付けシステム1を使用するユーザから、ユーザに関する各種情報を取得する処理を制御する。ユーザに関する各種情報とは、ユーザの氏名、年齢、性別、ユーザが所属する企業等の社名・法人名、ユーザが融資を依頼する対象であり、本信用格付けシステム1と連携する金融機関の名称、ユーザの所定の時期における与信スコア等の情報を含む。ユーザ情報取得モジュール2033は、取得したユーザに関する情報を、ユーザ情報データベース2021へ格納する、
【0049】
会計情報取得モジュール2034は、信用格付けシステム1を使用するユーザから、会計システムに保持されているユーザの会計データに関する情報、ユーザが会計システムを使用した履歴に関する情報等を取得する処理を制御する。会計情報取得モジュール2034は、取得したユーザの会計データ等に関する情報を、会計情報データベース2022へ格納する。
ある局面において、会計情報取得モジュール2034は、ユーザの各種情報を取得する際、外部サーバからではなく、連携するサービス等により予め記憶部に保持している情報を取得することとしてもよい。
【0050】
財務状態抽出モジュール2035は、信用格付けシステム1を使用するユーザの財務状態を抽出する処理を制御する。具体的には、財務状態抽出モジュール2035は、会計情報データベース2022を参照し、ユーザの会計データを参照する。その後、財務状態抽出モジュール2035は、参照した会計データから、ユーザの財務状態を抽出する。例えば、財務状態抽出モジュール2035は、会計情報データベース2022から、ユーザの出入金の履歴等の情報を抽出して集計を行い、財務状態を示す情報を抽出する。財務状態抽出モジュール2035は、当該抽出した情報を、記憶部に一時的に保持してもよい。
【0051】
利用履歴抽出モジュール2036は、信用格付けシステム1を使用するユーザにおける、会計システムの利用履歴を抽出する処理を制御する。具体的には、利用履歴抽出モジュール2036は、会計情報データベース2022を参照し、会計情報データベースに保持されている情報のうち、システムの利用履歴に関する情報を抽出する。利用履歴抽出モジュール2035は、当該抽出した情報を、記憶部に一時的に保持してもよい。
【0052】
信用格付け実行モジュール2037は、信用格付けシステム1を使用するユーザの信用格付けを実行する処理を制御する。具体的には、信用格付け実行モジュール2037は、財務状態抽出モジュール2035により抽出されたユーザの財務状態と、利用履歴抽出モジュール2036により抽出されたユーザの会計システムの利用履歴と、から、当該ユーザの格付けを行う処理を実行させる。例えば、信用格付け実行モジュール2037は、抽出した財務状態から、ユーザの財務状態が健全であるかを判定し、次に、抽出した会計システムの利用履歴から、ユーザが会計処理を瑕疵なく行っているかを判定する。信用格付け実行モジュール2037は、例えば、各々判定した結果に基づいて、ユーザに対して所定のスコアを特定する。所定のスコアは、具体的には、ユーザの与信を数値化したものであり、ユーザの財務状態や会計システムの利用履歴等の個別の要因を数値化したものであってもよく、これらのスコアから総合的な数値を算出した総合スコアであってもよい。また、信用格付け実行モジュール2037は、ユーザの財務状態が健全であるか、ユーザが会計処理を瑕疵なく行っているかをランク付けしてもよく、「A」、「B」等で表示しても良いし「健全」、「不良」等で表示してもよく、表示する態様は限定されない。
【0053】
与信モデル参照モジュール2038は、信用格付けシステム1を使用するユーザの信用格付けを実行する際に、与信モデルデータベース2023を参照する処理を制御する。具体的には、サーバ20は、信用格付け実行モジュール2037において、抽出した各種情報に基づいて信用格付けを行う際に、与信モデルデータベース2023を参照し、当該信用格付けを実行する。例えば、与信モデル参照モジュール2038は、抽出したユーザの財務状態、および会計システムにおけるユーザの利用履歴を入力情報として与信モデルデータベース2023を参照し、ユーザの与信のスコアを出力情報として出力してもよい。
これにより、サーバ20は、より正確にユーザの信用格付けを行うことができる。
【0054】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶するユーザ情報データベース2021、会計情報データベース2022のデータ構造の例を示す図である。
【0055】
図4に示すように、ユーザ情報データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「氏名」と、項目「年齢」と、項目「性別」と、項目「社名・法人名」と、項目「連携先」と、項目「スコア」と、項目「備考」等を含む。
【0056】
項目「ユーザID」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザそれぞれを識別する情報である。
【0057】
項目「氏名」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザの氏名を示す情報である。
【0058】
項目「年齢」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザの年齢を示す情報である。
【0059】
項目「性別」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザの性別を示す情報である。
【0060】
項目「社名・法人名」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが所属している企業等の社名・法人名を示す情報である。当該項目は、有限会社、株式会社等に限らず、社団法人、財団法人、団体、NGO、NPO等でもよい。
【0061】
項目「連携先」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが連携先として指定した金融機関を示す情報である。具体的には、当該項目は、ユーザが融資などを受ける対象となる金融機関の名称等を示す。また、連携する金融機関は1つに限らない。
おける経理等
【0062】
項目「スコア」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザの信用格付けを行った結果を示す情報である。
【0063】
項目「備考」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザに関して、特記事項などがある場合に保持される情報である。
【0064】
図4に示すように、会計情報データベース2022のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「項目」と、項目「分類」と、項目「詳細」と、項目「備考」等を含む。
【0065】
項目「ユーザID」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザそれぞれを識別する情報である。
【0066】
項目「項目」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが利用する会計システムの各種データの概要を示す情報である。
【0067】
項目「分類」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが利用する会計システムにおいて、各項目の分類を示す情報である。具体的には、各項目がユーザの出入金に関するものか、システムの利用履歴に関するものかを示す。
【0068】
項目「詳細」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが利用する会計システムにおいて、各項目の詳細を示す情報である。具体的には、出入金に関する情報であれば、出金日、金額、出金先等の情報を示し、システムの利用履歴に関する情報であれば、請求書発行枚数等の情報を示す。サーバ20は、これらの情報から、ユーザの財務状態の抽出、システムの利用履歴を抽出し、ユーザの信用格付けを行う。
【0069】
項目「備考」は、信用格付けシステム1にて管理する、信用格付けを行う対象となるユーザが利用する会計システムの情報において、特記事項などがある場合に保持される情報である。
【0070】
<3 動作>
以下、図5を参照しながら、第1の実施の形態における信用格付けシステム1による一連の処理について説明する。
【0071】
図5は、実施の形態1の信用格付けシステム1による信用格付けのための処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS551の前処理として、ステップS550において、サーバ20の制御部203は、記憶部202に、ユーザの事業に係る会計データを、あらかじめ登録する。このとき、サーバ20は、連携する会計サービスを提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等から信用格付けに必要な情報を取得し、会計情報データベース2022に保持してもよい。このとき、連携するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等は、システム1とは異なる外部のシステムに備えられているものでもよいし、システム1の内部に備えられているものでよい。
【0073】
ステップS551において、サーバ20の制御部203は、記憶部202に保持している会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出する。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する財務状態抽出モジュール2035は、記憶部202に保持している会計情報データベース2022を参照し、当該データベースにおけるユーザの出入金に関する情報を抽出する。財務状態抽出モジュール2035は、抽出したユーザの財務状態を記憶部202に一時的に保持してもよい。
【0074】
ステップS552において、サーバ20の制御部203は、記憶部202に保持している会計データに基づき、ユーザの会計システムの利用履歴を抽出する。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する利用履歴抽出モジュール2036は、記憶部202に保持している会計情報データベース2022を参照し、当該データベースにおけるユーザの会計システムの利用履歴に関する情報を抽出する。会計システムの利用履歴は、例えば、下記を含む。
・明細未登録率
・請求書発行枚数
・レポート閲覧回数
・特定取引の取引先入力率
・財務指標の直近月次推移
・取引先あたりの年商・売掛買掛
・疑似デフォルト実績
・入出金明細における過去残高推移
【0075】
明細未登録率は、例えば、外部の金融機関が提供するサーバからAPI連携等により取得した、入出金明細が会計システムの取引情報として登録されていない割合を示す。
【0076】
請求書発行枚数は、例えば、会計システムに備えられている、請求書の発行機能を利用して請求書を発行した枚数を示す。このとき、請求書発行枚数は、ユーザの指定する所定の期間における枚数でもよいし、会計システムにより予め定められた期間における枚数でもよい。
【0077】
レポート閲覧回数は、例えば、会計システム内の、月次推移、損益レポート等のレポートをユーザが閲覧した回数を示す。このとき、レポート閲覧回数は、ユーザの指定する所定の期間における閲覧回数でもよいし、会計システムにより予め定められた期間における閲覧回数でもよい。
【0078】
特定取引の取引先入力率は、例えば、短期借入金など、特定の勘定科目に纏わる取引の取引先入力比率を示す。
【0079】
財務指標の直近月次推移は、例えば、現金預金比率など、財務指標の所定の期間における推移に関わる統計量を示す。
【0080】
取引先あたりの年商・売掛買掛は、例えば、ユーザの取引先それぞれに対する年商、または売掛金、買掛金それぞれの値、または所定の期間における売掛金、買掛金の差分等を示す。
【0081】
疑似デフォルト実績は、例えば、所定の期間において、ユーザが疑似的なデフォルト(債務不履行)状態になったかを示す。
【0082】
入出金明細における過去残高推移は、例えば、会計システムに備えられている、入出金明細を確認する機能において、所定の期間における、ユーザの口座内の資金残高の推移を示す。
【0083】
後述するサーバ20の制御部203を構成する信用格付け実行モジュール2037は、抽出したユーザの財務状態と、上記に例示した利用履歴の情報とを説明変数とし、目的変数としてユーザに対する融資の可否を示す情報を出力する。
利用履歴抽出モジュール2036は、抽出したユーザの会計システムの利用履歴を記憶部202に一時的に保持してもよい。また、利用履歴抽出モジュール2036は、会計システムにおけるユーザの利用履歴を、事業の決算書とは異なる会計データに基づいて抽出することとしてもよい。
【0084】
ステップS553において、サーバ20の制御部203は、抽出したユーザの財務状態および会計システムにおける利用履歴に基づき、当該ユーザの信用格付けを行う。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する信用格付け実行モジュール2037は、ステップS551において抽出されたユーザの財務状態、およびステップS552において抽出されたユーザの会計システムの利用履歴を参照し、ユーザの信用格付けを行う。例えば、信用格付け実行モジュール2037は、抽出したユーザの財務状態に基づいて、ユーザの財務状態が健全か否かを判定する。次に、信用格付け実行モジュール2037は、抽出したユーザの会計システムの利用履歴に基づいて、ユーザが適切に会計処理を行っているかを判定する。信用格付け実行モジュール2037は、これらの判定結果に基づいて、ユーザの信用格付けを行い、ユーザに対し、所定の与信のスコアを付与する。
ある局面において、サーバ20は、信用格付けを行う際に、与信モデルデータベース2023を参照してユーザの信用格付けを行ってもよい。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する与信モデル参照モジュール2038は、与信モデルデータベース2023を参照し、ユーザの財務状態および会計システムにおけるユーザの利用履歴と、与信モデルとに基づいて、ユーザの審査および与信を行うことにより、ユーザの信用格付けを行ってもよい。サーバ20は、信用格付けを行った結果を、ユーザ情報データベース2021に格納する。
【0085】
ある局面において、サーバ20の制御部203は、信用格付けに基づいて、ユーザの信用格付けを表すための所定のスコアを算出してもよい。これにより、ユーザは、信用格付けの結果を、スコアとして把握することができる。信用格付けの例として、ユーザの財務状態についてのネガティブな要因、及びポジティブな要因として、直近の所定期間における売掛金と買掛金との差額に基づくスコア、過去の所定期間における残高の金額に基づくスコア、等を算出する。そして、算出したスコアがネガティブな要因であるか、ポジティブな要因であるかを判定し、それぞれのスコアから総合スコアを算出し、信用格付けに用いてもよい。このとき、各要因のスコアについて、所定の重み付けを行って総合スコアを算出してもよい。
【0086】
ステップS501において、端末装置10の制御部180は、信用格付けの結果を取得する操作をユーザから受け付ける。
【0087】
ステップS554において、サーバ20の制御部203は、信用格付けの結果を端末装置に送信する。このとき、サーバ20は、信用格付けシステム1を利用するユーザ、および、ユーザが利用する会計システムと連携する金融機関のシステムの両方に当該結果を送信してもよい。このとき、連携先の金融機関のシステムは、ユーザが指定することとしてもよい。
ある局面において、サーバ20は、端末装置10から信用格付けの結果を取得する旨の操作を受け付けずとも、当該端末装置に信用格付けの結果を送信してもよい。また、このとき、端末装置10からの操作を受け付けずに結果を送信する場合には、送信する情報を一部省略して送信してもよい。
これにより、ユーザは、速やかに信用格付けの結果を金融機関と共有することができ、スムーズに融資を受けることができる。
【0088】
また、ある局面において、サーバ20の制御部203は、信用格付けのスコアに基づいて、ユーザのデフォルトの確率を算出し、算出したデフォルトの確率に基づいて、デフォルトの確率を図示した結果を作成する。制御部203は、図示した結果を、ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示してもよい。このとき、制御部203は、ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに対し、デフォルトの確率の算出に利用した変数のリストを図示した結果とあわせて提示してもよい。
これにより、金融機関のシステムを利用するユーザ等は、ユーザのデフォルト率を視覚的に把握することができる。また、制御部203は、算出したユーザのデフォルトの確率が、所定の閾値を超過した場合に、当該確率が超過した理由をユーザに対し表示してもよい。これにより、ユーザは、自身の財務施策の改善点などを把握することができる。
【0089】
ステップS502において、端末装置10の制御部180は、信用格付けの結果をユーザに提示する。
【0090】
<4 画面例>
以下、図6ないし図7を参照しながら、信用格付けシステム1によるユーザの信用格付け処理の画面例について説明する。
【0091】
図6は、端末装置10に表示する、ユーザの信用格付けの結果を、連携する金融機関に表示する画面例を示す図である。
【0092】
図6に示すように、端末装置10のディスプレイ150には、結果表示部601と、詳細表示部602とが表示されている。結果表示部601において、端末装置10の制御部180は、信用格付けシステムにおける、ユーザの信用格付けの結果を表示する。具体的には、制御部180は、結果表示部601において、ユーザの信用格付けの結果として、下記を表示する。
・信用格付けの対象者
・信用格付けの実施日
・ユーザの信用スコア
・ユーザのデフォルト率を図示したグラフ
【0093】
詳細表示部602において、端末装置10の制御部180は、ユーザの信用格付けにおける、スコアの算定基準、推奨される融資額の上限等を表示する。これにより、連携する金融機関は、当該情報を参照することで、安全にユーザに対して融資を行うことができる。
【0094】
図7は、端末装置10に表示する、信用格付けの結果をユーザに表示する画面例を示す図である。
【0095】
図7に示すように、端末装置10のディスプレイ150には、結果表示部701が表示されている。また、結果表示部701において、融資申請ボタン702が備えられている。端末装置10の制御部180は、図6における結果表示部601と同様に、信用格付けシステムにおける、ユーザの信用格付けの結果を表示する。例えば、図7において、制御部180は、信用格付けの結果として、下記を表示する。
・信用格付けの対象者
・信用格付けの実施日
・ユーザの財務状況の判定結果
・融資可能額およびその内訳
これにより、ユーザは、当該画面を確認することで、自身が受けることのできる融資可能額、および融資を受けられる金融機関を把握することができる。
融資申請ボタン702は、ユーザからの当該ボタンを押下する操作を受け付けると、対応する金融機関に対し、ユーザが融資を申請するための画面を表示する。
【0096】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、サーバ20は、ユーザの会計データおよび会計システムの利用履歴の情報を記憶部に保持し、これらの情報に基づいて、ユーザの財務状態および会計システムの利用履歴を抽出する。サーバ20は、抽出したユーザの財務状態および会計システムの利用履歴に基づいて、ユーザの信用格付けを実施する。サーバ20は、実施した信用格付けの結果を、ユーザ、およびユーザが連携先として指定した金融機関に送信する。端末装置10は、受け付けた信用格付けの結果を、ユーザおよび連携先の金融機関に提示する。これにより、最新のユーザの財務状態、及び会計システムの利用状況を反映させることにより、ユーザに対する正確な信用格付けを行うことができる。また、金融機関は安全にユーザに融資を行うことができる。
【0097】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することができる。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0099】
(付記1)
プロセッサ29と、記憶部202とを備えるコンピュータ20によって実行されるプログラムであって、プログラムは、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、記憶部202に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており(S550)、プログラムは、プロセッサ29に、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出するステップ(S551)と、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出するステップ(S552)と、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップ(S553)と、を実行させる、プログラム。
【0100】
(付記2)
会計システムにおけるユーザの利用履歴が、明細未登録率、請求書発行枚数、レポート閲覧回数、特定取引の取引先入力率、財務指標の直近月次推移からなる群の少なくともいずれかである、付記1に記載のプログラム。
【0101】
(付記3)
プログラムは、会計システムにおけるユーザの利用履歴を、事業の決算書とは異なる会計データに基づいて抽出する、付記1または2に記載のプログラム。
【0102】
(付記4)
コンピュータ20は、会計システムにおけるユーザの利用履歴を説明変数とする与信モデルを記憶部202に記憶させており、信用格付けを行うステップ(S553)において、プログラムは、ユーザの財務状態および会計システムにおけるユーザの利用履歴と、与信モデルとに基づいて、ユーザの審査および与信を行うことにより、ユーザの信用格付けを行う、付記1から3のいずれかに記載のプログラム。
【0103】
(付記5)
プログラムは、プロセッサ29に、さらに、信用格付けに基づいて、ユーザの信用格付けを表すための所定のスコアを算出するステップを実行させる、付記1から4のいずれかに記載のプログラム。
【0104】
(付記6)
プログラムは、プロセッサ29に、さらに、算出した所定のスコアを、会計システムと連携する金融機関のシステムと共有するステップを実行させる、付記5に記載のプログラム。
【0105】
(付記7)
プログラムは、プロセッサ29に、さらに、スコアに基づいて、ユーザのデフォルトの確率を算出するステップと、算出したデフォルトの確率に基づいて、デフォルトの確率を図示した結果を作成し、ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示するステップと、を実行させる、付記5に記載のプログラム。
【0106】
(付記8)
プログラムは、プロセッサ29に、さらに、算出したユーザのデフォルトの確率が、所定の閾値を超過した場合に、当該確率が超過した理由をユーザに対し表示するステップを実行させる、付記7に記載のプログラム。
【0107】
(付記9)
デフォルトの確率を図示した結果を作成し、ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに提示するステップにおいて、プログラムは、ユーザまたは金融機関のシステムを利用するユーザに対し、デフォルトの確率の算出に利用した変数のリストを図示した結果とあわせて提示する、付記7または8に記載のプログラム。
【0108】
(付記10)
会計システムであって、会計システムを構成するコンピュータ20の記憶部202に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており(S550)、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出する手段(S551)と、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出する手段(S552)と、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行う手段(S553)と、を備える、システム。
【0109】
(付記11)
プロセッサ29と、記憶部202とを備えるコンピュータ20によって実行される方法であって、方法は、ユーザに対し、会計システムを提供するためのものであり、記憶部202に、ユーザの事業に係る会計データが、あらかじめ登録されており(S550)、方法は、プロセッサ29が、会計データに基づき、ユーザの財務状態を抽出するステップ(S551)と、会計システムにおけるユーザの利用履歴を抽出するステップ(S552)と、抽出したユーザの財務状態と、会計システムにおけるユーザの利用履歴と、に基づいて、当該ユーザの信用格付けを行うステップ(S553)と、を実行する、方法。
【符号の説明】
【0110】
10 端末装置、20 サーバ、80 ネットワーク、130 操作受付部、170 記憶部、1701 ユーザ情報、180 制御部、1801 入力操作受付部、1802 送受信部、1803 データ処理部、1804 報知制御部、22 通信IF、23 入出力IF、25 メモリ、26 ストレージ、29 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、2021 ユーザ情報データベース、2022 会計情報データベース、2023 与信モデルデータベース、203 制御部、2031 受信制御モジュール、2032 送信制御モジュール、2033 ユーザ情報取得モジュール、2034 会計情報取得モジュール、2035 財務状態抽出モジュール、2036 利用履歴抽出モジュール、2037 信用格付け実行モジュール、2038 与信モデル参照モジュール。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7