(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20231108BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2021118830
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇勲
(72)【発明者】
【氏名】八木 新太
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-169220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076586(US,A1)
【文献】特開2000-295738(JP,A)
【文献】実開平01-177878(JP,U)
【文献】特開2016-134284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
H01R 27/00-31/08
H02G 3/08- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の第一端子を保持する第一ハウジングと、前記第一端子が挿入されて導通接続される第二端子と、前記第一ハウジングと係合される第二ハウジングと、を備えた電気接続箱であって、
前記第一ハウジングは、
前記第二ハウジングが有する第二空間部とともに前記第二端子が収容される空間を画成する第一空間部を有し、
前記第一空間部は、前記第一端子の一部を収容し、
前記第二空間部は、前記第二端子の一部を収容し、
前記第二端子の他部は、前記第二ハウジングの前記第一ハウジング側の端面より前記第一ハウジング側へ突出しており、
当該電気接続箱は、
前記第一ハウジングと前記第二ハウジングとの係合により、
前記第二端子の前記他部が前記第一空間部に収容されると共に、前記第一端子
の前記一部が前記第二端子
の前記他部に挿入されて、前記第一端子及び前記第二端子が導通接続される、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記第二端子
の前記他部は、
前記第一端子
の前記一部が挿入される挿入方向に貫通する筒孔が設けられた筒部を有し、
前記挿入方向と、前記第一ハウジング及び前記第二ハウジングが係合される方向と、が同一方向である、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続箱において、
前記筒部は、
周壁の少なくとも一部に前記挿入方向に交差する方向に貫通する係止孔が設けられ、
前記第一端子は、
前記係止孔に係止される係止突起を有する、
電気接続箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電気接続箱において、
前記第二ハウジングは、
前記第二端子
の前記一部を外部に露出させる開口部が設けられる、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、制御用回路と接続されるとともに車両に搭載されて、例えば、車両のモータ等と接続される電気接続箱が提案されている。制御用回路と電気接続箱との接続方法としては、特許文献1の発明のように、タブ状の端子及び箱状の端子による端子同士の導通接続が用いられることがある。具体的には、制御用回路及び電気接続箱のうち一方の端子がタブ状に構成され、他方が筒部を有するように構成される。そして、一方側の端子のタブ状部分を他方側の端子の筒部に挿入して筒孔内にて導通接続を図るとともに、異なる箇所にて他方側の端子が有するかしめ片で一方側の端子を加締めることによって、一方側の端子を他方側の端子に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の発明において、端子をハウジングに収容しようとする場合、端子同士が一体に構成されているため、インサート成形や圧入等の手段を用いてハウジングに端子を収容(保持)するのが困難である。このため、上述したように一体に構成された端子をハウジングに収容するには、インサート成形や圧入等の手段とは異なる手段が選択されることがある。このような場合、ハウジングに端子を収容するために専用の工程を要することになり、作業が煩雑化する。
【0005】
更に、ハウジングに一方側の端子を収容した後、他方側の端子を一方側の端子に接合(例えば、リベット接合等。)する場合においても、端子同士を接合するために専用の工程が別途設けられることが多い。このように、従来の電気接続箱には、作業性の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、作業性に優れる電気接続箱の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
平板状の第一端子を保持する第一ハウジングと、前記第一端子が挿入されて導通接続される第二端子と、前記第一ハウジングと係合される第二ハウジングと、を備えた電気接続箱であって、
前記第一ハウジングは、
前記第二ハウジングが有する第二空間部とともに前記第二端子が収容される空間を画成する第一空間部を有し、
前記第一空間部は、前記第一端子の一部を収容し、
前記第二空間部は、前記第二端子の一部を収容し、
前記第二端子の他部は、前記第二ハウジングの前記第一ハウジング側の端面より前記第一ハウジング側へ突出しており、
当該電気接続箱は、
前記第一ハウジングと前記第二ハウジングとの係合により、前記第二端子の前記他部が前記第一空間部に収容されると共に、前記第一端子の前記一部が前記第二端子の前記他部に挿入されて、前記第一端子及び前記第二端子が導通接続される、
電気接続箱であること。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱において、
前記第二端子の前記他部は、
前記第一端子の前記一部が挿入される挿入方向に貫通する筒孔が設けられた筒部を有し、
前記挿入方向と、前記第一ハウジング及び前記第二ハウジングが係合される方向と、が同一方向である、
電気接続箱であること。
[3]
上記[2]に記載の電気接続箱において、
前記筒部は、
周壁の少なくとも一部に前記挿入方向に交差する方向に貫通する係止孔が設けられ、
前記第一端子は、
前記係止孔に係止される係止突起を有する、
電気接続箱であること。
[4]
上記〔1〕から上記[3]の何れか一つに記載の電気接続箱において、
前記第二ハウジングは、
前記第二端子の前記一部を外部に露出させる開口部が設けられる、
電気接続箱であること。
【0008】
上記[1]の構成の電気接続箱について以下に述べる。本構成の電気接続箱は、平板状の第一端子を保持する第一ハウジングと、第一端子が挿入されて導通接続される第二端子と、第一ハウジングと係合される第二ハウジングと、を備えている。第一ハウジングは、第二ハウジングが有する第二空間部とともに第二端子が収容される空間を画成する第一空間部を有し、第一空間部は第一端子の一部を収容している。つまり、第二ハウジングの第二空間部に第二端子の一部を収容し、第一端子を保持する第一ハウジングを第二ハウジングに係合させることによって、第一端子及び第二端子が導通接続される。このように、本構成の電気接続箱は、第一ハウジングを第二ハウジングに係合させることによって、第一端子及び第二端子が導通接続されるため、第一端子及び第二端子の接続(接合)作業ひいては電気接続箱の製造作業の作業性に優れる。
【0009】
更に別の効果として、第一ハウジングを第二ハウジングに係合させることによって、第一端子及び第二端子が導通接続されるため、第一端子及び第二端子を接続するための設備が不要となり、従来の電気接続箱に比べて、製造コストが削減される。
【0010】
上記[2]の構成の電気接続箱について以下に述べる。第二端子は、第一端子が挿入される挿入方向に貫通する筒孔を有する筒部を有している。そして、第一端子が第二端子に挿入される挿入方向と、第一ハウジング及び第二ハウジングが係合される方向と、が同一方向である。これにより、第一ハウジングを第二ハウジングに係合させるように移動させることによって、第一端子が第二端子に挿入される(即ち、第一端子及び第二端子が導通接続される)。このように、本構成の電気接続箱は、第一端子及び第二端子の接続作業ひいては電気接続箱の製造作業の作業性に優れる。
【0011】
上記[3]の構成の電気接続箱について以下に述べる。筒部は周壁の少なくとも一部に挿入方向に交差する方向に貫通する係止孔が設けられ、第一端子は、係止孔に係止される係止片突起を有する。これにより、本構成の電気接続箱は、第一端子の第二端子からの脱落が抑制されるため、第一端子及び第二端子の安定した導通状態が維持される。
【0012】
上記[4]の構成の電気接続箱について以下に述べる。第二ハウジングは、第二端子を外部に露出させる開口が設けられている。これにより、本構成の電気接続箱は、第一端子及び第二端子の通電によって熱が生じても、第一空間部及び第二空間部によって画成される空間に熱が籠ることが抑制される。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、作業性に優れる電気接続箱を提供できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る電気接続箱を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電気接続箱の要部分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第二実施形態に係る電気接続箱のオス端子及びメス端子の接続態様を説明する図であって、
図4(a)は、オス端子のメス端子への挿入前の斜視図であり、
図4(b)は、オス端子のメス端子への挿入後の斜視図である。なお、導通部及びランスについては図示省略している。
【
図5】
図5(a)は、
図4(b)を前方から見た正面図であり、
図5(b)は、
図4(b)を右側(左側)から見た正面図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る電気接続箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第一実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第一実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、車両に搭載されるとともに、制御用回路(図示省略)とモータ(図示省略)とを導通接続させる電気制御箱でもある。つまり、電気接続箱1は、一端が制御用回路と導通接続され、他端がモータ端子8(モータ)と導通接続されている。
【0017】
以下、説明の便宜上、
図1~
図6に示すように、「前後方向」、「上下方向」、「左右方向」、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」を定義する。「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」は、互いに直交している。上下方向は、本発明の挿入方向及び係合方向に対応している。なお、挿入方向とはオス端子2がメス端子6に挿入される方向であり、係合方向とは第一ハウジング4と第二ハウジング5とが係合される(即ち、組み付けられる)方向である。左右方向は、本発明の「挿入方向に交差する方向」に対応している。
【0018】
図1に示すように、電気接続箱1は、平板状のオス端子2を保持する第一ハウジング4と、オス端子2が挿入されて導通接続されるメス端子6と、第一ハウジング4と係合される第二ハウジング5と、を含んで構成される。換言すると、オス端子2を保持する第一ハウジング4、メス端子6、及び第二ハウジング5は、電気接続箱1である。なお、オス端子2は、本発明の「第一端子」に対応し、メス端子6は、本発明の「第二端子」に対応している。以下、電気接続箱1を構成する第一ハウジング4(オス端子2を含む。)、第二ハウジング5、及びメス端子6について順に説明する。
【0019】
まず、第一ハウジング4について説明する。
図1に示すように、第一ハウジング4は、第二ハウジング5と係合されて、第二ハウジング5とともにメス端子6を収容(保持)するハウジング3を構成している。
図1~
図3(特に
図3)に示すように、第一ハウジング4は、上下方向に延びる略矩形筒状の形状を有する本体部22と、本体部22の上面に位置するとともに電気接続箱1の上面の外観の大部分を構成する上壁部21と、を一体に備える。
【0020】
本体部22は、向かい合う一対の周壁の外面にそれぞれ係止突起23が一体に設けられている。係止突起23は、右側周壁及び左側周壁に各々設けられ、右側周壁においては右側に突出し、左側側壁においては左側に突出している。係止突起23は、後述する第二ハウジング5の係止孔33に係止されて、第一ハウジング4及び第二ハウジング5の上下方向の分離を抑制する機能を有している。
【0021】
本体部22は、周壁に囲まれた内部に上下方向に貫通する第一空間部25を有している。換言すると、第一空間部25は、略矩形筒状の形状を有する本体部22の筒孔である。第一空間部25には、後述するメス端子6の第一筒部41が収容されている(特に
図1参照)。
【0022】
上壁部21は、オス端子2を保持する保持部24が設けられている。保持部24は、上壁部21の一部が後述するオス端子2の被保持部11の形状に合わせて開口している。具体的には、保持部24は、前後方向に延びている上下方向に貫通した開口である。つまり、保持部24には、オス端子2の被保持部11が圧入されている。なお、例えば、上壁部21にオス端子2がインサート成形される場合には、保持部24は上壁部21の上面から下側に向かって窪む溝形状であってもよい。このように、第一ハウジング4は、オス端子2が一体に設けられた(即ち、一体成形された)ハウジングである。
【0023】
次いで、オス端子2について説明する。オス端子2は、平板状のバスバから構成され、一端がメス端子6(及びモータ端子8)と導通接続され、他端が制御用回路(不図示)と導通接続される。
図1~
図3に示すように、オス端子2は、前後方向に延びる被保持部11と、被保持部11の前端が下側に向けて折り曲げられて構成される接続部12と、を有している。
【0024】
被保持部11が第一ハウジング4の保持部24に保持されるようにオス端子2は第一ハウジング4と一体成形される。接続部12は、第一空間部25に収容されている。第一ハウジング4と第二ハウジング5とが組み付けられるとき、接続部12は後述するメス端子6の第一筒部41に挿入される。そして、第一筒部41の筒孔内の導通部(不図示)と接触して、オス端子2とメス端子6とが導通接続される。
【0025】
次いで、第二ハウジング5について説明する。
図1に示すように、第二ハウジング5は、第一ハウジング4と係合されて、第一ハウジング4とともにメス端子6を収容(保持)するハウジング3を構成している。
図1~
図3(特に
図3)に示すように、第二ハウジング5は、略直方体状の本体部31を有している。
【0026】
本体部31は、左右方向に位置する向かい合う一対の壁部の外面にそれぞれ被係止部32が一体に設けられている。被係止部32は、右側壁部及び左側壁部に各々設けられ、各壁部から上側に向けて延在している。被係止部32の上端面は、本体部31よりも上側に位置している。
【0027】
各被係止部32における本体部31の上面よりも上側に位置する箇所には、左右方向に貫通する係止孔33がそれぞれ設けられている。つまり、被係止部32は、第一ハウジング4の係止突起23に対応する位置に設けられている。係止孔33には、第一ハウジング4の係止突起23が係止されて、第一ハウジング4及び第二ハウジング5の上下方向の分離を抑制する機能を有している。
【0028】
本体部31は、上面から下面に向けて窪む第二空間部34が設けられている。第二空間部34は、本体部31の壁部に画成された窪み空間である。第二空間部34には、後述するメス端子6の第二筒部42及び中間部43が収容されている(特に
図1参照)。第二空間部34は、第一ハウジング4及び第二ハウジング5が係合されると、第一ハウジング4の第一空間部25とともにメス端子6が収容される収容空間が画成される。
【0029】
なお、メス端子6には後述するようにモータ端子8が挿入されるため、本体部31の下面にはモータ端子8が挿通される挿通孔(図示省略)が設けられている。挿通孔は、第二空間部34と連通している。
【0030】
次いで、メス端子6について説明する。メス端子6は、導電性材料から構成され、オス端子2と比べて板厚が薄く構成される。
図1~
図3に示すように、メス端子6は、オス端子2が挿入される第一筒部41と、モータ端子8が挿入されることになる第二筒部42と、第一筒部41及び第二筒部42の間に位置する中間部43と、を有している。
【0031】
特に
図3に示すように、第一筒部41は、上下方向に貫通する筒孔が設けられた略矩形筒状の形状を有している。第一筒部41の筒孔内には、導通部(図示省略)が設けられている。第一筒部41にオス端子2の接続部12が挿入されると、所定位置にて導通部と接続部12とが接触して、オス端子2とメス端子6とが導通接続される。
【0032】
同様に、第二筒部42は、上下方向に貫通する筒孔が設けられた略矩形筒状の形状を有している。第二筒部42の筒孔内には、導通部(図示省略)が設けられている。第二筒部42にモータ端子8が挿入されると、所定位置にて導通部とモータ端子8とが接触して、モータ(図示省略)とメス端子6とが導通接続されることになる。中間部43は、第一筒部41の後側周壁、及び第二筒部42の後側周壁と一体に設けられている。つまり、メス端子6は、左右方向から見たとき、略矩形C字状の形状を有している。
【0033】
メス端子6は、第一筒部41にてオス端子2と導通接続されて、第二筒部42にてモータ端子8と導通接続されることになる。つまり、オス端子2及びモータ端子8は、メス端子6を介して導通接続される。より具体的には、オス端子2における接続部12と他端側に接続された制御用回路(図示省略)と、モータ端子8を有するモータ(図示省略)とが、電気接続箱1(即ち、メス端子6)を介して導通接続される。
【0034】
以上、電気接続箱1を構成する第一ハウジング4(オス端子2を含む。)、第二ハウジング5、及びメス端子6について説明した。
【0035】
オス端子2と一体に成形された第一ハウジング4、第二ハウジング5、及びメス端子6からなる電気接続箱1を組み付けるためには、第二ハウジング5にメス端子6を収容した後、第一ハウジング4及び第二ハウジング5を組み付ける必要がある。
【0036】
まず、第二ハウジング5の第二空間部34にメス端子6を収容する(
図2参照)。そして、第一ハウジング4を第二ハウジング5の上側に配置し、第一ハウジング4及び第二ハウジング5を上下方向に沿って近づけるように移動させる。第一ハウジング4及び第二ハウジング5を上下方向に沿って近づけるように移動させると、メス端子6の第一筒部41が、第一ハウジング4の第一空間部25に進入する。
【0037】
第一ハウジング4及び第二ハウジング5を近づけるように移動を続けると、第二ハウジング5の被係止部32の上端部が、第一ハウジング4の係止突起23と接触する。上記移動を更に続けると、被係止部32が第二ハウジング5から離れるように撓み、被係止部32が係止突起23に乗り上げるように擦り抜ける。このとき、第一ハウジング4の第一空間部25に収容されたオス端子2の接続部12は、メス端子6の第一筒部41の筒孔内に進入する。
【0038】
その後、更に上記移動を続けると、被係止部32が係止突起23を乗り越えるとともに、被係止部32が撓みから復元して、係止孔33に係止突起23が係止される。このとき、オス端子2の接続部12は、第一筒部41の筒孔内の所定位置まで挿入されて、接続部12と第一筒部41の筒孔内の導通部(図示省略)とが接触して、オス端子2とメス端子6とが導通接続される。これにより、第一ハウジング4及び第二ハウジング5の組み付け(即ち、係合)が完了する(
図1参照)。
【0039】
電気接続箱1とモータ(図示省略)とを接続する場合、第二ハウジング5の下面に設けられた挿通孔(図示省略)にモータ端子8を挿通させて、メス端子6における第二筒部42の筒孔内の所定位置までモータ端子8を挿入する。これにより、第二筒部42の筒孔内の導通部(図示省略)とモータ端子8とが接触して、メス端子6とモータ端子8とが導通接続されることになる。つまり、電気接続箱1は、モータと導通接続されることになる。
【0040】
オス端子2は接続部12とは反対側の端部が制御用回路(図示省略)されていることから、上記構成により電気接続箱1を介して制御用回路とモータとが導通接続されることになる。具体的には、オス端子2は、メス端子6を介してモータ端子8と導通接続されることになる。このようにして、制御用回路とモータとは導通接続される。
【0041】
第一実施形態に係る電気接続箱1は、第一ハウジング4を第二ハウジング5に係合させる工程において、オス端子2がメス端子6に挿入されて、オス端子2及びメス端子6が導通接続される。
【0042】
具体的には、オス端子2のメス端子6への挿入方向と、第一ハウジング4及び第二ハウジング5の係合方向と、が同一方向であるため、第一ハウジング4及び第二ハウジング5を近づけるように移動させることによって、オス端子2がメス端子6に挿入される。このため、第一実施形態に係る電気接続箱1は、オス端子2及びメス端子6の接続作業、ひいては電気接続箱1の製造作業の作業性に優れている。
【0043】
更に別の効果として、第一ハウジング4を第二ハウジング5に係合させることによって、オス端子2及びメス端子6が導通接続されるため、オス端子2及びメス端子6を接合(接続)するための専用の設備が不要となり、従来の電気接続箱に比べて、製造コストが削減される。
【0044】
以上、本発明の第一実施形態に係る電気接続箱の説明である。
【0045】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る電気接続箱は、オス端子102及びメス端子106が第一実施形態に係る電気接続箱1と相違する。これ以外の点については、第二実施形態に係る電気接続箱は、第一実施形態に係る電気接続箱1と同様に構成される。以下、上記相違点について説明する。
【0046】
オス端子102は、平板状のバスバから構成され、一端がメス端子106と導通接続され、他端が制御用回路(不図示)と導通接続される。オス端子102は、第一実施形態のオス端子2と同様に第一ハウジングに一体に成形される。
図4~
図5に示すように、オス端子102は、メス端子の導通部146と接触する接続部112と、接続部112の両側縁部にそれぞれ設けられた一対の突出部113と、各突出部113から下側に向けて延びる延出部114と、各延出部114に設けられてそれぞれ接続部112から離れるように突出する係止突起115と、を有している。
【0047】
突出部113は、接続部112において下端から上側に向けて所定距離離れた箇所の両側縁部に設けられ、右側側縁部においては右側に突出し、左側側縁部においては左側に突出している。突出部113は、接続部112が所定位置よりもメス端子106の第一筒部141に挿入されそうになると、第一筒部の上側開口端と当接する。つまり、突出部113は、接続部112の第一筒部141への過度な挿入を抑制する機能を有している。
【0048】
各延出部114は、接続部112と左右方向に離間して接続部112に略平行に延びている。係止突起115は、各延出部114の下端部に設けられている。係止突起115は、後述するメス端子106の第一筒部141の係止孔144に係止されて、オス端子102及びメス端子106の上下方向の分離を抑制する機能を有している。
【0049】
メス端子106は、導電性材料から構成され、オス端子102と比べて板厚が薄く構成される。
図4~
図5に示すように、メス端子106は、オス端子102が挿入される第一筒部141と、モータ端子が挿入されることになる第二筒部142と、第一筒部141及び第二筒部142の間に位置する中間部143と、を有している。
【0050】
第一筒部141は、上下方向に貫通する筒孔が設けられた略矩形筒状の形状を有している。第一筒部141の筒孔内には、ランス145及び導通部146が設けられている(
図5(b)参照)。第一筒部141にオス端子102の接続部112が挿入されると、所定位置にて導通部146と接続部112とが接触して、オス端子102とメス端子106とが導通接続される。
【0051】
第一筒部141の右側周壁及び左側周壁には、左右方向に貫通する係止孔144がそれぞれ設けられている。係止孔144は、オス端子102の係止突起115が係止されて、オス端子102及びメス端子106の上下方向の分離を抑制する機能を有している。
【0052】
第二筒部142及び中間部143については、第一実施形態の第二筒部42及び中間部43とそれぞれ同様に構成される。
【0053】
第二実施形態に係る電気接続箱のオス端子102及びメス端子106の接続態様について説明する。第二実施形態に係る電気接続箱においても、第一ハウジングが第二ハウジングに係合されると、オス端子102がメス端子106に挿入されて、オス端子102及びメス端子106は導通接続される(
図4(b)及び
図5参照)。
【0054】
第一ハウジング及び第二ハウジングを近づけるように移動させると、オス端子102はメス端子106の筒孔内に進入する。このとき、一対の延出部114は、第一筒部141の筒孔内壁にそれぞれ押されて、接続部112に近付くように撓む。オス端子102の係止突起115が第一筒部141に設けられた係止孔144に到達するまで、一対の延出部114は撓んだ状態にある。
【0055】
第一ハウジング及び第二ハウジングを近づける移動が続けられ、係止突起115が係止孔144に到達すると、延出部114が撓みから復元するとともに、係止突起115が係止孔144に係止される(特に
図5(b)参照)。このとき、接続部112は、ランス145から導通部146に向けて押圧されている(
図5(b)参照)。
【0056】
第二実施形態に係る電気接続箱は、オス端子102の係止突起115がメス端子106の係止孔144に係止されることによって、オス端子102のメス端子106からの脱落が抑制される。これにより、第二実施形態に係る電気接続箱は、オス端子102及びメス端子106の安定した導通状態が維持される。
【0057】
更に、第二実施形態に係る電気接続箱は、第一実施形態に係る電気接続箱と同様に、第一ハウジングを第二ハウジングに係合させる工程において、オス端子102がメス端子106に挿入されて、オス端子102及びメス端子106が導通接続される。
【0058】
具体的には、オス端子102のメス端子106への挿入方向と、第一ハウジング及び第二ハウジングの係合方向と、が同一方向であるため、第一ハウジング及び第二ハウジングを近づけるように移動させることによって、オス端子102がメス端子106に挿入される。このため、第二実施形態に係る電気接続箱は、オス端子102及びメス端子106の接続作業、ひいては電気接続箱1の製造作業の作業性に優れている。
【0059】
以上、本発明の第二実施形態に係る電気接続箱ついての説明である。
【0060】
<作用・効果>
第一実施形態に係る電気接続箱1及び第二実施形態に係る電気接続箱は、第一ハウジング4を第二ハウジング5に係合させる工程において、オス端子2及びメス端子6に挿入されて、オス端子2及びメス端子6が導通接続される。
【0061】
具体的には、オス端子2のメス端子6への挿入方向と、第一ハウジング4及び第二ハウジング5の係合方向と、が同一方向であるため、第一ハウジング4及び第二ハウジング5を近づけるように移動させるとによって、オス端子2がメス端子6に挿入される。このため、第一実施形態に係る電気接続箱1は、オス端子2及びメス端子6の接続作業、ひいては電気接続箱1の製造作業の作業性に優れている。
【0062】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0063】
図6に示すように、第二ハウジング5aは、メス端子6を外部に露出させる開口部35が、本体部31に設けられていてもよい。これにより、他の実施形態に係る電気接続箱1aは、オス端子2及びメス端子6の通電によって熱が生じても、開口部35によって第一空間部25及び第二空間部34によって画成される空間内の熱籠りが抑制される。
【0064】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
平板状の第一端子(オス端子2)を保持する第一ハウジング(4)と、前記第一端子が挿入されて導通接続される第二端子(メス端子6)と、前記第一ハウジングと係合される第二ハウジング(5)と、を備えた電気接続箱(1)であって、
前記第一ハウジング(4)は、
前記第二ハウジング(5)が有する第二空間部(34)とともに前記第二端子(メス端子6)が収容される空間を画成する第一空間部(25)を有し、
前記第一空間部(25)は、前記第一端子(オス端子2)の一部を収容し、
当該電気接続箱(1)は、
前記第一ハウジング(4)と前記第二ハウジング(5)との係合により、前記第一端子(オス端子2)が前記第二端子(メス端子6)に挿入されて、前記第一端子(オス端子2)及び前記第二端子(メス端子6)が導通接続される、
電気接続箱(1)。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記第二端子(メス端子6)は、
前記第一端子(オス端子2)が挿入される挿入方向に貫通する筒孔が設けられた筒部(第一筒部41,第二筒部42)を有し、
前記挿入方向と、前記第一ハウジング(4)及び前記第二ハウジング(5)が係合される方向と、が同一方向である、
電気接続箱(1)。
[3]
上記[2]に記載の電気接続箱(1)において、
前記筒部(第一筒部141)は、
周壁の少なくとも一部に前記挿入方向に交差する方向に貫通する係止孔(144)が設けられ、
前記第一端子(オス端子102)は、
前記係止孔(144)に係止される係止突起(115)を有する、
電気接続箱(1)。
[4]
上記〔1〕から上記[3]の何れか一つに記載の電気接続箱(1)において、
前記第二ハウジング(5a)は、
前記第二端子(メス端子6)を外部に露出させる開口部(35)が設けられる、
電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0065】
1,1a 電気接続箱
2,102 オス端子(第一端子)
3 ハウジング
4 第一ハウジング
5,5a 第二ハウジング
6,106 メス端子(第二端子)
8 モータ端子
11 被保持部
12,112 接続部
21 上壁部
22 本体部
23 係止突起
24 保持部
25 第一空間部
31 本体部
32 被係止部
33 係止孔
34 第二空間部
35 開口部
41,141 第一筒部
42,142 第二筒部
43,143 中間部
113 突出部
114 延出部
115 係止突起
144 係止孔
145 ランス
146 導通部