(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】伸縮式エッジ保護ポスト
(51)【国際特許分類】
E04G 25/06 20060101AFI20231108BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20231108BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20231108BHJP
E04G 25/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
E04G25/06 B
F16M13/02 Z
F16M13/00 R
F16M13/00 S
F16M13/00 P
E04G25/06 A
E04G25/00 Z
(21)【出願番号】P 2021512582
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2019073414
(87)【国際公開番号】W WO2020048951
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521087737
【氏名又は名称】ワークスセーフ・エービー
【氏名又は名称原語表記】WORXSAFE AB
【住所又は居所原語表記】Nifsaasvaegen 9,831 52 Oestersund,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(73)【特許権者】
【識別番号】521087748
【氏名又は名称】バーテマックス・グループ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ホルムボム、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イェンソン、ベングト
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、ゲイリー
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-068145(JP,U)
【文献】実開昭60-083154(JP,U)
【文献】米国特許第06152434(US,A)
【文献】実開昭53-034831(JP,U)
【文献】特開2008-063760(JP,A)
【文献】米国特許第04928916(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 9/00-19/00
25/00-25/08
F16M13/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床と天井との間に配置可能な伸縮式エッジ保護ポスト(1)であって、
前記伸縮式エッジ保護ポストは、
下端部(3)及び上端部(6)を備える外管(2)と、
下端部(5)及び上端部(8)を備える内管(4)と、ここで、前記内管は、前記外管内に延在し、伸長位置と収縮位置との間で前記外管に対して移動可能である、
伸長位置において前記外管に対して前記内管をロックするように配置されたロック機構(50,60,70,80)と、
前記内管の前記上端部に配置された張力付与ユニット(20)と、ここで、前記張力付与ユニットは、一次引張部(22)及び二次引張部(24)を有する張力付与要素(21)を備える、
を備え、
前記二次引張部の張力付与は、前記一次引張部の張力付与よりも低い力を必要とし、これは、前記伸縮式エッジ保護ポストを手で伸ばして前記床及び前記天井と係合させることによって前記二次引張部の張力付与を可能にし、
前記張力付与要素は、前記一次引張部の張力付与によりさらに張力が付与されるように構成され、
前記一次引張部(22)及び前記二次引張部(24)はそれぞれ圧縮ばねを備える、
伸縮式エッジ保護ポスト。
【請求項2】
前記張力付与ユニット(20)は、その上端部に天井係合部(26)を備え、前記外管は、その下端部に床係合部(36)を備える、請求項1に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項3】
前記張力付与ユニット(20)は、管部(25)を備え、ここで、前記内管(4)の前記上端部(8)は、前記管部内に延在し、前記管部に対して移動可能である、請求項2に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項4】
前記天井係合部(26)は、前記管部(25)に対して回転可能であり、前記床係合部(36)は、前記外管(2)に対して回転可能である、請求項3に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項5】
前記二次引張部(24)のばね定数は、前記一次引張部(24)のばね定数よりも小さい、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項6】
前記張力付与ユニット(20)は、前記内管(4)に取り付けられたベース支持体(28)を備える、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項7】
前記張力付与ユニット(20)は、前記一次引張部(22)の第1の端部(23)を固定するための第1の座部(31)と、前記二次引張部(24)の第1の端部(27)を固定するための第2の座部(32)とを有する着座部(30)を備える、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項8】
前記第2の座部(32)は、完全に張力がかけられているときに前記二次引張部(24)を完全に受け入れるために凹んでいる、請求項
7に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項9】
前記一次引張部(22)の第2の端部(23’)は、前記管部(25)の上端プレート(35)に固定され、前記二次引張部(24)の第2の端部(27’)は、前記ベース支持体(28)に固定されており、ここで、前記着座部(30)は、係合端部(33)を備え、前記係合端部は、前記二次引張部に完全に張力がかけられているときに前記ベース支持体
(28)と係合するように配置されている、請求項
3を引用する請求項6を引用する請求項8に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項10】
前記一次引張部(22)
の第2の端部(23’)は、前記ベース支持体(28)に固定され、前記二次引張部(24)
の第2の端部(27’)は、前記管部(25)の上端プレート(35)に固定されており、ここで、前記着座部(30)は、係合端部(33)を備え、前記係合端部は、前記二次引張部に完全に張力がかけられているときに前記上端プレート
(35)と係合するように配置されている、請求項
3を引用する請求項6を引用する請求項8に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項11】
前記ロック機構(70,80)は、前記一次引張部(22)の張力付与を提供するように動作可能である、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項12】
前記ロック機構(50,60)が作動しているとき、すなわち前記内管が前記伸長位置にロックされているとき、引張方向への前記外管(2)の回転によって、前記一次引張部(22)の張力付与が提供される、請求項11に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項13】
前記外管(2)の前記下端部(3)は、前記床係合部(36)のねじ軸と螺合している、請求項
2を引用する請求項12に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項14】
前記内管(4)は、その前記下端部(5)と前記張力付与ユニット(20)との間に受容部(51,61,71,81,91)を備え、前記ロック機構(50,60,70,80)は、前記外管(2)の上端部(6)に配置され、係合部(52,62,72,82)を備え、ここで、前記係合部は、前記内管を前記伸長位置にロックするために前記受容部と係合するように配置されている、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項15】
前記内管の長さに沿って間隔を空けて配置されたいくつかの受容部(51,61,71,81)を備え、ここにおいて、前記係合部(72,82)は、受容部との係合から隣接する受容部との係合に移動するように動作可能であり、それによって、前記一次引張部(22)に張力をかける、請求項14に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項16】
前記係合部(72,82)は、レバー(73,83)を用いて操作可能である、請求項15に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【請求項17】
前記外管(2)は、その前記上端部(6)において前記外管の内壁の少なくとも一部を覆う摺動部材(7)を更に備え、前記内管(4)は、その前記下端部(5)において前記内管の外壁の少なくとも一部を覆う摺動部材(9)を更に備える、請求項1から16のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジ保護システムのための支持ポストに関する。より詳細には、本発明は、2つの表面、典型的には床と天井との間にエッジ保護ポストを取り付けるための張力付与ユニットを備える伸縮式エッジ保護ポストに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮式支持ポストは、安定かつ安全な作業プラットフォームを提供するために、建設現場又は保守現場に取り付けられた支持面の間に一時的に配置されるエッジ保護システムに使用することができる。取り付けられたエッジ保護ポストは、更に、2つのポスト間に延在する安全パネルの取り付け点を提供することができる。
【0003】
米国特許第8152118号明細書には、内管に配置されているカラー要素を有する張力付与デバイスと、カラー要素を内管と係合させるためにカラー要素を内管に対して傾斜させる傾斜構成にカラー要素を移動させるように配置された枢動レバーとを備える、安全フェンスアセンブリのための伸縮式支持ポストが開示されている。傾斜しているとき、カラー要素は、レバーの最後の枢動運動中に内管を引き寄せることができ、それによって支持ポストの天井係合端部を天井に押し付ける。枢動運動が完了したときレバーはロック位置にある。この従来技術の張力付与デバイスは、内管を比較的短い距離だけ移動させるものであるため、使用者は、まず手で内管を可能な限り長く伸ばすようにし、レバーを使用するまで内管をその位置に保持する必要がある。
【0004】
この既知の支持ポストにはいくつかの欠点がある。例えば、レバーが枢動されたときに内管が移動する距離が短いため、ポストの張力が小さすぎて、風荷重が大きくなったときにポストを所定の位置に保つことができなくなる危険性がある。追加的に、使用者は、内管を伸長位置に保持した状態でレバーを操作してポストに張力をかけなければならないため、支持ポストを床と天井との間に取り付けるのは厄介である。
【発明の概要】
【0005】
エッジ保護ポストの取り付けを容易にすることが有利となる。この問題によりよく対処するために、本発明の第1の態様では、床と天井との間に配置可能な伸縮式エッジ保護ポストが提示され、伸縮式エッジ保護ポストは、下端部及び上端部を備える外管と、下端部及び上端部を備える内管とを備え、内管は、外管内に延在し、伸長位置と収縮位置との間で外管に対して移動可能である。伸縮式エッジ保護ポストは、伸長位置において外管に対して内管をロックするように配置されたロック機構と、内管の上端部に配置された張力付与ユニットとを更に備える。張力付与ユニットは、一次引張部及び二次引張部を有する張力付与要素を備え、二次引張部の張力付与は、一次引張部の張力付与よりも低い力を必要とし、これは、伸縮式エッジ保護ポストを手で伸ばして床及び天井と係合させることによって二次引張部の張力付与を可能にする。一次引張部及び二次引張部はそれぞれ圧縮ばねを備える。
【0006】
これは、伸縮式エッジ保護ポストの事前張力付与(pre-tensioning)を提供し、これにより、使用者は、手で伸縮式エッジ保護ポストを2つの所望の表面間の伸長位置に配置し、同時に、伸縮式エッジ保護ポストの追加の操作なしに二次引張部に張力をかけることができるため、床面と天井面との間に伸縮式エッジ保護ポストを容易に取り付けることを可能にする。それによって、エッジ保護ポストは、2つの表面の間に事前に固定され、これは、使用者が、その後、一次引張部に張力をかけることによってより安定性を提供するために、伸縮式エッジ保護ポストに更に張力をかけることを可能にする。これは、内管を伸長位置に維持する必要なく達成することができる。従って、容易かつ安全に取り付けができるエッジ保護ポストが提供される。
【0007】
圧縮ばねは、張力付与のための特定の必要性に適合するように異なる形状、サイズ、及び長さのものが提供され得るため、引張部として使用するのに有利である。例えば、一次引張部と二次引張部に異なる圧縮ばねを使用する実施形態では、より大きな線径を有するコイルばねなどの圧縮ばねが一次引張部として使用されて、大きな耐荷重能力を提供することができ、より小さなコイルばねが二次引張部として使用されて、床と天井との間の伸長位置に伸縮式エッジ保護ポストを維持するのに十分であり、かつ内管を天井に対して押し付けたときに手によって圧縮することを可能にする耐荷重能力を提供することができる。別の実施形態では、1つの単一コイルばねが一次引張部及び二次引張部に使用され、このコイルばねは、例えば、一次引張部に対応する部分ではコンパクトに巻かれており、二次引張部に対応する部分ではコイル間により大きな空間を有する。また、ばね線の直径は、二次引張部に対応する部分では減少しており、それによって、その部分に張力をかけるために必要な力はより低くなる。一次引張部及び二次引張部に対する他の代替案、例えば、カップばね、ガスばねの形状の圧縮ばね、及び荷重が加えられているときに弾性的に圧縮可能な他のばね要素なども考えられる。
【0008】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、張力付与ユニットは、その上端部に天井係合部を備え、外管は、その下端部に床係合部を備える。天井係合部及び床係合部は、それぞれ天井及び床と伸縮式エッジ保護ポストとの間の係合を提供するのに適した任意の種類のものであり得る。
【0009】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、張力付与ユニットは、管部を備え、ここで、内管の上端部は、管部内に延在し、管部に対して移動可能である。これにより、張力付与要素に張力がかけられるにつれて内管が管部内に移動し、2つの表面間に取り付けられたときに大きな力に耐えることができるエッジ保護ポストを提供することができる。
【0010】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、天井係合部は、管部に対して回転可能であり、床係合部は、外管に対して回転可能である。これにより、天井係合部及び床係合部を移動させてそれぞれ床又は壁部との係合を外すことなく、内管及び外管を回転させることができる。
【0011】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、二次引張部のばね定数は、一次引張部のばね定数よりも小さい。ばね定数の差は、二次引張部には手で張力をかけることができるのに対して、一次引張部は、張力をかけるために張力付与補助器具の使用を必要とするようなものである。
【0012】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、張力付与ユニットは、内管に取り付けられたベース支持体を備える。従って、張力付与要素の張力付与は、固体表面、例えば天井に向かって内管を押し付けることによって達成され得る。
【0013】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、張力付与ユニットは、一次引張部の第1の端部を固定するための第1の座部と、二次引張部の第1の端部を固定するための第2の座部とを有する着座部を備える。従って、着座部により、一次引張部及び二次引張部に対して2つの別個の要素、例えば一次引張部として圧縮ばね及び二次引張部として別の圧縮ばねを使用し、それらを接合して張力付与要素を形成することができる。
【0014】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、第2の座部は、完全に張力がかけられているときに二次引張部を完全に受け入れるために凹んでいる。従って、完全に張力がかけられているとき、二次引張部に、これ以上張力をかけることはできない。ポストにかかる張力(tensioning force)が増加すると、代わりに一次引張部に張力がかかることになる。更に、二次引張部に完全に張力がかけられているとき、2つの表面、典型的には床及び天井に作用する係合力は、使用者がポストから手を離したときにポストを直立した状態に保つのに十分である。二次引張部が圧縮ばねを備える実施形態では、二次引張部の完全な張力付与は、必要な係合力を発生させるのに十分に圧縮ばねが圧縮されていることに対応する。
【0015】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、一次引張部の第2の端部は、管部の上端プレートに固定され、二次引張部の第2の端部は、ベース支持体に固定されており、ここで、着座部は、係合端部を備え、係合端部は、二次引張部に完全に張力がかけられているときにベース支持体と係合するように配置されている。これは、一次引張部の張力付与によって張力付与要素に更に張力がかけられるときに、二次引張部が、その耐荷重能力を超える荷重に耐える必要がないため、有利である。代わりに、追加の荷重は、着座部が受け止めて、一次引張部に伝達し、それの張力付与を提供する。
【0016】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、一次引張部の第2の端部は、ベース支持体に固定され、二次引張部の第2の端部は、管部の上端プレートに固定されており、ここで、着座部は、係合端部を備え、係合端部は、二次引張部に完全に張力がかけられているときに上端プレートと係合するように配置されている。伸縮式エッジ保護ポストが床と天井との間に取り付けられているとき、これは、二次引張部が一次引張部の上方に配置されていることに対応する。説明した前の実施形態から明らかなように、二次引張部は、有利に、一次引張部の下方に配置されることもできる。
【0017】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、ロック機構は、一次引張部の張力付与を提供するように動作可能である。これにより、伸縮式エッジ保護ポストが2つの面の間の伸長位置に取り付けられ、二次引張部に完全に張力がかけられているときに、張力付与要素の更なる張力付与が可能になる。
【0018】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、ロック機構が作動しているとき、すなわち内管が伸長位置にロックされているとき、引張方向への外管の回転によって、一次引張部の張力付与が提供される。ロック機構が作動していること、及び、二次引張部が2つの面の間で伸長位置において伸縮式エッジ保護ポストの事前張力付与を提供することにより、使用者は、外管を回転させるために両手を使用することができ、それによって一次引張部に張力をかけることができる。
【0019】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、外管の下端部は、床係合部のねじ軸と螺合している。それによって、外管の回転は、外管が天井係合部に向かう方向に移動する引張方向、又は外管が床係合部に向かう方向に移動する弛緩方向のいずれかに外管を移動させる。別の実施形態では、張力付与ユニットの管部は、天井係合部のねじ軸と螺合しており、既述の効果と同様の効果を提供する。
【0020】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、内管は、その下端部と張力付与ユニットとの間に受容部を備え、ロック機構は、外管の上端部に配置され、係合部を備え、ここで、係合部は、内管を伸長位置にロックするために受容部と係合するように配置されている。従って、内管は、例えば、外管に配置されたロック機構の係合部とロック係合に入るための1つの受容部を備えることができる。代替的に、内管は、内管の長さに沿って分散された複数の受容部を備えることができる。これにより、伸縮式エッジ保護ポストの柔軟性が高まり、床面と天井面との間に互いに異なる距離で配置することが可能になる。更に、ロック機構は、内管の受容部に係合するための1つ、2つ、又は複数の係合部を備えることができる。
【0021】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、受容部は、内管の壁部に開口部又は凹部を備える。内管の壁部に開口部を備える受容部は、係合部と受容部との確実な係合に有利である。内管の壁部に凹部を備える受容部は、その壁の構造的完全性が凹部のない壁と比べて(as opposed to)わずか下がる程度であることを考慮すると、有利である。それによって、内管の構造的完全性を著しく損なうことなく、各凹部間に短い距離を空けて複数の凹部を配置することができる。
【0022】
内管の長さに沿って間隔を空けて配置されたいくつかの受容部を備える伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、係合部は、受容部との係合から隣接する受容部との係合に移動するように動作可能であり、それによって、一次引張部に張力をかける。これは、2つの表面の間の伸長位置に取り付けられたときに、内管が意図せずに収縮位置に向かう方向に移動する危険を冒さずに、伸縮式エッジ保護ポストに張力をかける効率的かつ安全な方法を提供する。ある実施形態では、係合部は、1つのはめ歯が、内管の受容部との係合を解除すると、隣接するはめ歯が隣接する受容部との係合に入り、それによって、ロック機構の係合部と内管の受容部との連続的な係合を提供するような回転に入るように動作可能であるはめ歯歯車を備える。
【0023】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、係合部は、レバーを用いて操作可能である。これは、一次引張部に張力をかけるために係合部を操作する効率的かつ快適な方法を提供する。このようなレバーは、例えば長さの観点から、異なるレベルの張力を提供するように適合させることができる。例えば、張力をかけるためにより大きな力を必要とするポストには、より長いレバーが有利に使用され得る。
【0024】
伸縮式エッジ保護ポストの実施形態によれば、外管は、その上端部において外管の内壁の少なくとも一部を覆う摺動部材を更に備え、内管は、その下端部において内管の外壁の少なくとも一部を覆う摺動部材を更に備える。摺動部材は、内管が外管に対して移動するときの内管と外管との間の摩擦を減らし、それによって、伸長位置への伸縮式エッジ保護ポストの取り付けを容易にし、同様に、収縮位置からの伸縮式エッジ保護ポストの取り外しを容易にする。
【0025】
本発明は、添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】伸長位置にある本発明による伸縮式エッジ保護ポストの実施形態の概略斜視図である。
【
図1b】収縮位置にある本発明による伸縮式エッジ保護ポストの実施形態の概略断面図である。
【
図2a】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与ユニットの実施形態の概略斜視図である。
【
図2b】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与ユニットの実施形態の分解図である。
【
図3a】弛緩状態にある本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与ユニットの実施形態の断面図である。
【
図3b】事前張力付与されている状態にある本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与ユニットの実施形態の断面図である。
【
図4】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与ユニットの第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図5a】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の実施形態の部分分解斜視図である。
【
図5b】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の実施形態の断面図である。
【
図6a】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の第2の実施形態の斜視図である。
【
図6b】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の第2の実施形態の断面図である。
【
図7a】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の第3の実施形態の斜視図である。
【
図7b】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の第3の実施形態の断面図である。
【
図8】本発明による伸縮式エッジ保護ポストの張力付与要素の第4の実施形態の斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による伸縮式エッジ保護ポストに使用することができる張力付与ツールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1a~bを参照すると、伸縮する外管2及び内管4を備える伸縮式エッジ保護ポスト1が提供されており、外管2及び内管4はそれぞれ、下端部3,5及び上端部6,8を備える。内管4は、外管2内に延在し、伸長位置(
図1a)と収縮位置(
図1b)との間で外管2に対して移動可能である。換言すると、内管4は、外管2に対して軸方向に移動可能である。この例示的な実施形態では、外管2及び内管4は正方形の断面を有し、内管4の断面は、入れ子式にフィットすることができるように外管2の断面よりも小さい。しかしながら、外管2と内管4との間での入れ子式にフィットすることができるのであれば、例えば円形又は楕円形などの、外管2及び内管4の他の形状も本発明の概念内で考えられる。
【0028】
図1bを参照すると、外管2は、その上端部6において外管2の内壁の少なくとも一部を覆う摺動部材7を更に備える。示される実施形態では、摺動部材7は、外管2の正方形の断面を形成する4つの側壁全ての内壁部を覆うように配置されている。しかしながら、例えば外管2の2つの対向する側壁の内壁部を覆う摺動部材7を提供することも可能である。更に、内管4は、その下端部5において内管4の外壁の少なくとも一部を覆う摺動部材9を備える。ここで、摺動部材9は、内筒4の対向する壁の外壁部を覆うように配置されている。摺動部材7,9は更に、内管4が外管2に対して移動するときに、摺動部材9が外管2の内壁に当接し、摺動部材7が内管4の外壁に当接するように配置されている。摺動部材7,9は、一般に、内管4が外管2に対して移動するときに外管2と内管4との間の摩擦を低減するプラスチック材料で作られている。これにより、伸縮式エッジ保護ポスト1の取り付け及び取り外しが容易になる。摩擦低減効果を提供する任意の他の材料も、本発明の概念内で考えられる。更に、摺動部材7,9は、外管2と内管4との間に遊びを提供する間隔部材を具現化し、それにより、外管2及び内管4の伸縮は、管のわずかな歪みなど、使用によって生じる軽微な損傷に対して影響されにくくなる。
【0029】
伸縮式エッジ保護ポスト1は、外管2の下端部3に配置された床係合部36と、内管4の上端部8に配置された天井係合部26とを更に備える。床係合部36及び天井係合部26は、伸長位置にある伸縮式エッジ保護ポストが床と天井との間に取り付けられたときに、床及び天井とそれぞれ係合するように配置されている。示される実施形態では、床係合部36及び天井係合部26はそれぞれ、伸縮式エッジ保護ポスト1から離れる方向に、よってそれぞれの床及び天井に向かって、方向付けられた3つの係合突起38を有するプレートを備える。しかしながら、床係合部36及び天井係合部26は、それぞれ床及び天井に係合する目的に適した任意の種類のものであり得る。
【0030】
伸縮式エッジ保護ポスト1は、内管4を伸長位置にロックするように配置されたロック機構10を更に備える。ロック機構10は、ここでは外管2の上端部6に配置され、
図5~8に関してより詳細に説明される。
【0031】
伸縮式エッジ保護ポスト1は、内管4の上端部8に配置された張力付与ユニット20を更に備える。より具体的には、
図2a~bを参照すると、張力付与ユニットは、内管4の上端部8が中に延在する管部25を備え、内管4は管部25に対して移動可能である。より具体的には、内管4は、管部25に対して少なくとも軸方向に移動可能である。張力付与ユニット20は、その上端部に設けられた天井係合部26を更に備える。天井係合部26は、管部25に対して回転可能である。代替として、天井係合部は、管部と堅固に接続され、管部は、内管に対して回転可能である。下端部において、張力付与ユニット20は、ベース支持体28を備える。ベース支持体28は、内管2内に配置され、
図2a~bに示される例示的な実施形態では、ボルト継手29によって内管2に取り付けられる。しかしながら、ベース支持体28を内管2に取り付けるための任意の他の手段もまた、本発明の概念内で考えられる。
【0032】
張力付与ユニット20は、ベース支持体28と天井係合部26との間に延在する張力付与要素21を更に備える。張力付与要素は、一次引張部22及び二次引張部24を備える、
図2a~b参照。
図2a~bの例示的な実施形態では、一次引張部22及び二次引張部24はそれぞれ、圧縮ばね、より具体的にはコイルばねから構成される。ここで、一次圧縮ばね22は、二次圧縮ばね24よりも大きい線径を有し、二次圧縮ばね24の張力付与は、一次圧縮ばね22の張力付与よりも小さい力を必要とする。これはまた、二次圧縮ばね24のばね定数が一次圧縮ばね22のばね定数よりも小さいことを意味する。ばね定数の差は、二次圧縮ばね24が、固体表面に向かって内管4を押し付けることによって使用者によって手動で圧縮され得るのに対して、一次圧縮ばね22は、圧縮されるために補助圧縮機構を使用する必要があるようなものである。より広義には、二次引張部には、固体表面に対して内管4を直接押し付けることによって手で張力をかけることができるが、一次引張部に張力をかけるためには張力付与機構の作動が必要となる。
図2a~bに示される実施形態では、一例でしかないが、一次圧縮ばね22の支持能力(carrying capacity)は200~1000kgの範囲であり、二次圧縮ばねの支持能力は5~40kgの範囲であり、すなわち、一次引張部22に張力をかけるためには、二次引張部24に張力をかけるのに必要な力の少なくとも5倍の力が必要である。
【0033】
一次引張部22及び二次引張部24の各々は、第1の端部23,27及び第2の端部23’,27’を備える。張力付与ユニット20は、一次引張部22の第1の端部23を固定するための第1の座部31と、二次引張部24の第1の端部27を固定するための第2の座部32とを備える着座部30を更に備える、
図3a参照。二次引張部24の第2の端部27’は、ここでは、ベース支持体28に固定されおり、そのため、二次引張部24は、ベース支持体28と着座部30の第2の座部32との間に延在している。更に、一次引張部22の第2の端部23’は、管部25の上端プレート35に固定されており、そのため、一次引張部22は、着座部30の第1の座部31と張力付与ユニット20の管部25の上端プレート35との間に延在している。第2の座部32は、完全に張力がかけられているときに二次引張部24を完全に受け入れるための凹部36を備える、例えば
図3a参照。すなわち、示される実施形態によれば、伸縮式エッジ保護ポスト1が使用者の支持なしに床面と天井面との間に取り付けられた状態で直立するのに必要な係合力を発生させるのに十分に二次圧縮ばねが圧縮されているときである。更に、
図3a~bを参照すると、着座部30は、ベース支持体28に向けられている係合端部33を備える。係合端部33は、二次引張部24に完全に張力がかけられているとき、すなわち二次圧縮ばねが完全に圧縮されたときに、ベース支持体28と係合するように配置されている。
【0034】
示される実施形態では、着座部30は、第1の座部31と第2の座部32との間に延在する中央腰部34を更に備える。腰部34は、一次引張部22及び二次引張部24のサイズに適合すること、すなわち、一次引張部22及び/又は二次引張部24が短いときには拡張し、一次引張部22及び/又は二次引張部24が長いときには縮小することが可能である。腰部34は、例えば一次引張部22が二次引張部24内に直接固定される他の実施形態によれば、省略され得る。そのような実施形態では、完全に張力がかけられているときに二次引張部24を完全に受け入れるために、凹部を備える第2の座部32が、二次引張部24の第1の端部27に依然として設けられ得る。
【0035】
張力付与ユニットの代替的な実施形態が
図4に示されており、そこでは、二次引張部24の第2の端部27’は、管部25の上端プレート35に固定されており、そのため、二次引張部24は、管部25の上端プレート35と、ここでは天井係合部26に向けられている着座部30の第2の座部32との間に延在している。この実施形態によれば、着座部30の係合端部33は、二次引張部24に完全に張力がかけられているとき、すなわちこの実施形態では二次圧縮ばねが完全に圧縮されたときに、上端プレート35と係合するように配置されている。それに応じて、一次引張部22の第2の端部23’は、ここではベース支持体28に固定されており、そのため、それは、ベース支持体28と着座部30の第1の座部31との間に延在し、第1の座部31は、内管4の下端部5に向けられている。代替的な実施形態では、一次引張部及び二次引張部は、カップばね、ガスばねのような他の種類の圧縮ばね、又は荷重が加えられているときに弾性的に圧縮可能である他のばね要素を備える。
【0036】
次に、ロック機構50の実施形態の詳細図が提供されている
図5a~bを参照すると、ロック機構50は、エッジ保護ポスト1を伸長位置にロックするために設けられている。ロック機構50は、外管2の上端部6に配置され、これは、ここでは外管2の長さに沿って互いに隣接して配置された2つの開口部が設けられ、それを通して、ロック機構50の2つの係合部52は、内管4との接触に入るために、延在することができる、
図5b参照。各係合部52は、内管4の方を指しており、かつ外管2の下端部3に向かう方向に先細になっている先細エッジ部58を備える。各係合部52の反対側の端部59において、係合部52は、伸縮式エッジ保護ポスト1の長さに対して垂直な方向、すなわち外管2から離れる方向に延在するばね54のための座部を提供する。ばね54は、もう一方の端部がロック機構50のハウジング55に固定されており、このハウジング55は、ポスト1の幅を覆うU字形プレートを備え、両側部が外管2プレート155に取り付けられている拡張側板を有する。ロック機構50は、ハウジング55によって覆われていない操作端部153を備えるレバー53を更に備える。レバーは、枢動点を提供する中心ピン56を備え、この枢動点を中心として、レバーは、エッジ保護ポスト1が延在する平面に対して垂直な平面で枢動可能である。中心ピン56には、係合部52のアーム152も接続されており、各アームは、ばね54の対応する座部から中心ピン56を通って、更にレバー53の少なくとも一部と外管2との間に、延在している。外管2に向かってレバー53が移動すると、レバー53が係合アーム152を押し下げ、これにより、係合アーム152が中心ピン56を中心として枢動し、結果として、係合部52が内管4から離れる方向に移動する。
【0037】
内管4は、伸長位置にロックされるために、内管4の長さに沿って分散された1つ又は複数の受容部51が設けられている。
図5の例示的な実施形態の受容部51は、内管4の壁部に開口部を備える。この実施形態に従って2つの係合部52を設けることで、内管4の各受容部51、ここでは開口部の間により大きな間隔を設けて、内管4の構造的完全性に対する影響を低減することができる。代替的に、そして本明細書に開示される他の実施形態から明らかであるように、内管4の壁部に凹部を備える受容部51も、本発明の概念内で考えられる。
【0038】
内管4の受容部51は、ロック機構50の係合部52のうちのいずれか1つを受け入れるように配置されている。各係合部52は、ばね54によって内管4に向かってばね付勢される。それによって、内管4が移動して受容部51が係合部52のうちのどちらかの位置に到達すると、対応する係合部52が受容部51との係合に入り、それによって、収縮位置に向かって外管2に対して移動しないように内管4をロックする。係合部52の先細端部58は、内管が伸長位置に向かって移動するときに、係合部52が受容部51との係合から隣接する受容部51との係合に移動するように、受容部51を画定する内管4の底壁部151がそれに沿って摺動することを可能にする。
【0039】
ロック機構50を内管4との係合から解放するために、レバー53の操作端部153が外管2に向かって押され、それによって、係合アーム152を枢動させ、内管4から離れる方向に係合部52を動かして受容部51との係合から外し、そうすることで、管は、収縮位置に向かって移動することができる。
【0040】
ここで
図6a~bを参照すると、伸縮式エッジ保護ポストの別の実施形態によれば、内管4は、内管4の壁部の長さに沿って互いに近接して分散された複数の凹状受容部61を備える。凹状受容部61は、この実施形態では非対称であり、そのため、内管4が伸長位置に向かって移動するときは、係合部が1つの凹状受容部61から隣接する凹状受容部61に摺動することを可能にしつつ、係合部62と係合しているときは、収縮位置に向かって動かないように内管4をロックするように配置されている。外管2の上端部6に配置されたロック機構60は、ロック機構60のレバー63の第1の端部68に配置され、そこから突出する係合部62を備える。レバー63は、その反対側の第2の端部69において、ばね64のための座部を提供し、ばね64は、外管2の壁部とレバー63との間に伸縮式エッジ保護ポスト1の長さに対して垂直な方向に延在する。レバー63は、枢動点を提供する中心ピン66を更に備え、この枢動点を中心として、レバー63は、エッジ保護ポスト1の長さが延在する平面に対して垂直な平面内で枢動可能である。中心ピン66は、ここではレバー63の第1の端部68に配置されている。ロック機構60は、レバー63の周りに延在し、レバー63の少なくとも第1の端部68のためのハウジングを提供するカバー65を更に備える。中心ピン66は、カバー65の両側部165の間に支持されて延在している。外管2の壁部の開口部67は、係合部62が、内管4と、より具体的には内管4の受容部61との接触に入ることを可能にするように設けられる。
【0041】
係合部62は、外管2に取り付けられると、ばね64によって内管2に対してばね付勢される。それによって、内管4が伸長位置に向かって移動し、受容部61が係合部62の位置に到達すると、係合部62は受容部61との係合に入り、そうすることで、内管4が収縮位置に向かって移動するのを阻止する。内管4が伸長位置に向かって更に移動すると、受容部61の非対称形状により、係合部62が隣接する受容部61へと摺動することができる。
【0042】
内管4を収縮位置に向かって移動させることを可能にするために、レバー63の第2の端部69を外管2に向かって押してばね64を圧縮することによって、受容部61との係合から係合部62を解放する。結果として、レバー63が中心ピン66を中心として枢動し、そうすることで、係合部62が内管4から離れる方向に移動する。
【0043】
図5~6を参照して前述した実施形態によるロック機構を備える伸縮式エッジ保護ポスト1の一次引張部22の張力付与を提供するために、別個の張力付与ツール90が使用され得る。このような張力付与ツール90は、一般に、少なくとも一部が外管2の上端部6に、少なくとも一部が内管4に配置されている。張力付与ツール90は、内管4と係合するように配置された内管係合部92を備える。内管係合部92は、内管4と係合されているとき、内管4を伸長位置に向かって移動させるように動作可能である。内管係合部92の動作は、例えば、それに接続された枢動可能又は回転可能なレバーを使用することによって行うことができる。ある実施形態によれば、ここで
図9を参照すると、内管係合部92は、内管4の受容部91に係合するように配置されている。内管係合部92は更に、伸縮式エッジ保護ポスト1が延在する平面に対して垂直な平面で枢動可能なレバー93に接続される。内管係合部92とレバー93との間の接続は、レバー93が引張方向に、ここでは外管2の下端部に向かう方向に、枢動されると、内管係合部92が内管4の上端部8に向かう方向に移動し、それによって内管4をその伸長位置に向かって押すようなものである。従って、伸縮式エッジ保護ポスト1が2つの表面間に伸長位置に取り付けられ、二次引張部24に完全に張力がかけられているとき、引張方向へのレバー93の移動により、内管4がそれに取り付けられたベース支持体28とともに張力付与要素21に押し付けられて、一次張力付与要素22の張力付与を提供する。所望のレベルの張力付与に達するためには、レバー93を複数回操作しなければならない場合がある。これは、内管係合部92が受容部91及び内管4から解放され、内管4及び内管4の下端部5のより近くに位置するその受容部91と係合するように移動する間、ロック機構50,60が、内管が収縮位置に向かって移動できないようにするため、可能である。内管4のグリップを提供し、内管4を伸長位置に向かって移動させるように動作可能である他のツールもまた、一次引張部22の張力付与を提供するために使用されることができる。
【0044】
代替的な実施形態では、一次引張部22は、外管2の回転によって張力がかけられる。この実施形態によれば、伸縮式エッジ保護ポスト1の床係合部36は、ねじ軸を含む。更に、外管2は、ねじ軸と係合するように配置された雌ねじ部をその下端部3に備える。従って、外管2は、ねじ軸と螺合している。外管2を引張方向に回転させると、外管2と、これにロックされた内管4とが、床から離れ、天井に向かう方向に移動する。これに応じて、また、天井係合部26が張力付与ユニット20に対して回転可能であるため、一次引張部22に張力がかけられる。代替的に、天井係合部26と管部25との間の螺合は、外管2の回転によって一次引張部22の張力付与も可能にする。
【0045】
ここで
図7a~bを参照すると、内管4を伸長位置にロックするように、更に、伸縮式エッジ保護ポスト1が伸長位置にあるときに、一次引張部22の張力付与を提供するように動作可能であるロック機構70の第3の実施形態が提供されている。ロック機構70は、外管2の上端部6に配置され、伸縮式エッジ保護ポスト1の長さ方向と平行な方向に外管2を越えて延在する上部76を備える。ロック機構70は、外管2の上端部6に沿ってそしてそれを超えて延在し、ロック機構70のためのハウジングを提供する対向する壁部75を備える。上部76の対向する壁部75は各々、内管4に当接し、それに沿って摺動可能な表面を備える。代替的に、壁部75と内管4との間には小さな隙間が存在する。対向する壁部75は、以降ハウジング75と呼ばれ、外管2に固定されている。それへのハウジング75の固定は、例えばロックピン、ボルト、リベットなどのような任意の適切な方法で行うことができる。
【0046】
ロック機構70の係合部72は、内管2の受容部71と係合するように、その上部76に配置されている。この実施形態では、係合部72は、中央部77、ここでは管の周りを回転するように配置されたはめ歯歯車を備え、このはめ歯歯車は、ハウジング75の2つの対向する壁の間に延在し、その対向する端部においてそれに取り付けられている。ロック機構70は、U字形プレートを備えるレバー73を更に備え、その端部は、はめ歯歯車72の両側部において中央部77の周りに配置されている。はめ歯歯車72は、U字形レバー73の側壁の間に配置され、ハウジング75と係合するためにレバー73の開口部を通って延在する第1の係合部79を備える駆動レバー78によって回転に入るように動作可能である。駆動レバー78は、はめ歯歯車72のはめ歯に係合し、レバー73が引張方向に移動するときにはめ歯歯車を回転させるように配置された係合端部173を更に備える。それによって、1つのはめ歯が内管の受容部71との係合を解除すると、隣接するはめ歯が隣接する受容部71との係合に入り、ロック機構70の係合部72と内管4の受容部71との連続的な係合を提供する。はめ歯歯車72の引張方向への回転は更に、内管4を伸長位置に向かって移動させ、それによって一次引張部22に張力がかかる。係合端部173は更に、レバー73を引張方向と反対の方向に移動させるときにはめ歯歯車72のはめ歯が係合端部173を越えて摺動することができるように先細になっている。内管4が収縮位置に向かって移動することを可能にするその方向へのはめ歯歯車72の回転を防ぐために、ロック部174が設けられている。ロック部174は、ハウジング75の2つの壁の間に延在し、ここでは外管4の壁の近くに配置されており、下からはめ歯歯車72との係合に向かって、すなわち床に向けられたはめ歯歯車の部分がばね付勢される。ロック部174のエッジは、引張方向に回転するときに、はめ歯歯車のはめ歯がロック部174を越えて摺動することを可能にするために先細であるが、ロック部174は、内管4が収縮位置に向かって移動することを可能にする方向にはめ歯歯車が回転することを阻止する。
【0047】
ロック機構70は一般に、レバー73が外管2から離れる方向を指す位置から外管2と実質的に平行である位置まで移動するときに、一次引張部22の張力付与を提供するように適合される。また、レバー73が外管2と実質的に平行である位置から、レバー73が外管2から離れる方向を指す位置に移動するときに、張力付与を提供するために、ロック機構70を逆に配置することも可能である。
【0048】
伸縮式エッジ保護ポスト1を収縮位置に配置するために、ロック部174がはめ歯歯車72との係合から解放され、これにより、はめ歯歯車72が引張方向とは反対の方向に回転して、内管が収縮位置に向かって移動することができる。ロック部174の解放は、例えば、レバー73を完全に直立した位置に配置することによってトリガされることができ、ここでは、ロック機構70に配置され、ロック部174を制御するカム(図示せず)が、ロック部174及び駆動レバー78をはめ歯歯車72から解放する。
【0049】
伸縮式エッジ保護ポスト1の第4の実施形態によれば、ここで
図8を参照すると、外管2の上端部6に配置されたロック機構80が設けられている。ロック機構は、2つの側板85を備え、これらは、外管2の両側部に取り付けられており、伸縮式エッジ保護ポスト1の長さの方向に対して垂直な方向に外管を越えて延在し、ロック機構80のための壁部185を提供する。この実施形態では、ロック機構の係合部82は、レバー83の歯付き端部を備える。レバー83は、中心ピン87にその歯付き端部82が配置され、中心ピン87は、壁部185の間に延在し、その対向する端部においてそれに取り付けられ、中心ピン87の周りを歯付き端部82及びレバー83が枢動可能である。ロック機構80は、2つの壁板188を備えるキャッチ要素88を更に備え、それは、レバー83の歯付き端部82の各側部において中心ピン87に枢動可能に配置され、そこから外管2に沿って外管2の上端部6に向かって延在している。キャッチ要素88は、外管2の壁に向かう方向に突出し、内管4の受容部81と係合可能に配置されたキャッチ部89を備える。キャッチ要素88は、ここでは、キャッチ要素88の壁板188の間に配置されて係合する第1の端部と、伸縮式エッジ保護ポスト1から離れる方向に壁板188から突出する第2の端部とを備えるレバーの形状の解放部84を更に備える。解放部84と壁板188との係合は、解放部84の第2の端部を外管2から離れる方向に移動させることが、キャッチ部89を含むキャッチ要素88を外管2から離れる方向に枢動させるようなものである。
【0050】
ロック機構80の係合部82、ここでは歯付き端部182及びキャッチ部89が内管4の受容部81と係合することを可能にするために、外管4には、その対応する位置において壁に開口部が設けられている。
【0051】
伸縮式エッジ保護ポスト1が床と天井との間で伸長位置に取り付けられると、内管の受容部81は外管2の上端部6及びロック機構80と合致し(arrive in line with)、そうすることで、係合部82及びキャッチ部89は、それぞれの受容部81との係合に入る。キャッチ部89は、内管2が収縮位置に向かって移動することを阻止し、内管2が伸長方向に向かって移動することを可能にするように配置されている。これは、本明細書で前述したように、例えば、外管2の下端部に向かう方向に先細であるエッジを有するキャッチ部89を設けることによって、又は非対称に凹んだ受容部を有する内管2を設けることによって達成され得る。
【0052】
係合部82は、ここでは、レバー83によって操作可能であり、レバー83は、引張方向に枢動すると、歯付き端部を、受容部81との係合から、内管4の下端部5のより近くに配置された隣接する受容部81との係合に移動させ、それによって、内管4を伸長位置に向かって移動させ、その結果、一次引張部22の張力付与を提供する。レバー83の枢動が外管2によって停止されると、内管4が収縮位置に向かって移動するのをキャッチ部89が阻止している間に、レバー83を改めて上げることができる。その後、レバー83を引張方向に枢動させて、一次引張部22の更なる張力付与を提供することができる。
【0053】
内管4を収縮位置に向かって移動させるために、解放部84は、外管2から離れる方向に移動し、そうすることで、キャッチ部89が内管2の係合部から解放され、それによって、内管2が収縮位置に向かって移動することを可能にする。
【0054】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示され説明されてきたが、そのような例示及び説明は、限定的ではなく実例的又は例示的であると見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。例えば、本明細書に開示されるロック機構及びロック部のうちの任意のものが、説明した受容部のうちの任意のものと組み合わせられることができる。
【0055】
開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に、当業者によって理解及び達成され得る。請求項において、「備える(comprising)」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 床と天井との間に配置可能な伸縮式エッジ保護ポスト(1)であって、
下端部(3)及び上端部(6)を備える外管(2)と、
下端部(5)及び上端部(8)を備える内管(4)と、ここで、前記内管は、前記外管内に延在し、伸長位置と収縮位置との間で前記外管に対して移動可能である、
伸長位置において前記外管に対して前記内管をロックするように配置されたロック機構(50,60,70,80)と、
前記内管の前記上端部に配置された張力付与ユニット(20)と、ここで、前記張力付与ユニットは、一次引張部(22)及び二次引張部(24)を有する張力付与要素(21)を備える、
を備え、
前記二次引張部の張力付与は、前記一次引張部の張力付与よりも低い力を必要とし、これは、前記伸縮式エッジ保護ポストを手で伸ばして前記床及び前記天井と係合させることによって前記二次引張部の張力付与を可能にし、
前記一次引張部(22)及び前記二次引張部(24)はそれぞれ圧縮ばねを備える、 伸縮式エッジ保護ポスト。
[2] 前記張力付与ユニット(20)は、その上端部に天井係合部(26)を備え、前記外管は、その下端部に床係合部(36)を備える、[1]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[3] 前記張力付与ユニット(20)は、管部(25)を備え、ここで、前記内管(4)の前記上端部(8)は、前記管部内に延在し、前記管部に対して移動可能である、[2]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[4] 前記天井係合部(26)は、前記管部(25)に対して回転可能であり、前記床係合部(36)は、前記外管(2)に対して回転可能である、[3]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[5] 前記二次引張部(24)のばね定数は、前記一次引張部(24)のばね定数よりも小さい、[1]から[4]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[6] 前記張力付与ユニット(20)は、前記内管(4)に取り付けられたベース支持体(28)を備える、[1]から[5]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[7] 前記張力付与ユニット(20)は、前記一次引張部(22)の第1の端部(23)を固定するための第1の座部(31)と、前記二次引張部(24)の第1の端部(27)を固定するための第2の座部(32)とを有する着座部(30)を備える、[1]から[6]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[8] 前記第2の座部(32)は、完全に張力がかけられているときに前記二次引張部(24)を完全に受け入れるために凹んでいる、[6]又は[7]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[9] 前記一次引張部(22)の第2の端部(23’)は、前記管部(25)の上端プレート(35)に固定され、前記二次引張部(24)の第2の端部(27’)は、前記ベース支持体(28)に固定されており、ここで、前記着座部(30)は、係合端部(33)を備え、前記係合端部は、前記二次引張部に完全に張力がかけられているときに前記ベース支持体と係合するように配置されている、[8]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[10] 前記一次引張部(22)の前記第2の端部(23’)は、前記ベース支持体(28)に固定され、前記二次引張部(24)の前記第2の端部(27’)は、前記管部(25)の上端プレート(35)に固定されており、ここで、前記着座部(30)は、係合端部(33)を備え、前記係合端部は、前記二次引張部に完全に張力がかけられているときに前記上端プレートと係合するように配置されている、[9]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[11] 前記ロック機構(70,80)は、前記一次引張部(22)の張力付与を提供するように動作可能である、[1]から[10]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[12] 前記ロック機構(50,60)が作動しているとき、すなわち前記内管が前記伸長位置にロックされているとき、引張方向への前記外管(2)の回転によって、前記一次引張部(22)の張力付与が提供される、[11]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[13] 前記外管(2)の前記下端部(3)は、前記床係合部(36)のねじ軸と螺合している、[12]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[14] 前記内管(4)は、その前記下端部(5)と前記張力付与ユニット(20)との間に受容部(51,61,71,81,91)を備え、前記ロック機構(50,60,70,80)は、前記外管(2)の上端部(6)に配置され、係合部(52,62,72,82)を備え、ここで、前記係合部は、前記内管を前記伸長位置にロックするために前記受容部と係合するように配置されている、[1]から[13]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[15] 前記内管の長さに沿って間隔を空けて配置されたいくつかの受容部(51,61,71,81)を備え、ここにおいて、前記係合部(72,82)は、受容部との係合から隣接する受容部との係合に移動するように動作可能であり、それによって、前記一次引張部(22)に張力をかける、[14]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[16] 前記係合部(72,82)は、レバー(73,83)を用いて操作可能である、[15]に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。
[17] 前記外管(2)は、その前記上端部(6)において前記外管の内壁の少なくとも一部を覆う摺動部材(7)を更に備え、前記内管(4)は、その前記下端部(5)において前記内管の外壁の少なくとも一部を覆う摺動部材(9)を更に備える、[1]から[16]のうちのいずれか一項に記載の伸縮式エッジ保護ポスト(1)。