(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】自律車両を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/00 20060101AFI20231108BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231108BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231108BHJP
【FI】
B60W30/00
G08G1/16 C
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2021568318
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2019062815
(87)【国際公開番号】W WO2020233772
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】スンデル,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウィーベリ,ウィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ベリクウィスト,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ウィグストロム,オスカー
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/063250(WO,A1)
【文献】特開2016-149110(JP,A)
【文献】特開2009-184497(JP,A)
【文献】特開2017-094805(JP,A)
【文献】特表2019-530609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0135290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実施される、自律車両(100、102、104)を動作させる方法であって、
前記自律車両(100、102、104)は、該自律車両(100、102、104)の走行方向のエリア及び該自律車両(100、102、104)の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と、該少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と通信するように構成された制御ユニット(202)と、を備えたものであり、前記制御ユニット(202)は、全体のアクションモジュール(210)と、複数の細部のアクションモジュール(212、214、216、218)と、を使用するものであり、
前記制御ユニット(202)において、前記少なくとも1つのセンサ(204、206、208)からセンサデータを受信するステップ(S1)と、
前記全体のアクションモジュール(210)を使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記自律車両(100、102、104)が道路上を走行しているときに該自律車両(100、102、104)が実行すべき全体のアクション計画を決定するステップ(S2)と、
前記制御ユニット(202)を使用して、前記決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する
、複数の細部のアクションモジュールの
少なくとも1つを選択するステップ(S3)
であって、前記複数の細部のアクションモジュールの各々は、前記自律車両(100、102、104)を動作させるための特定のタイプの条件に対して個別に最適化されている、ステップ(S3)と、
前記選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定するステップ(S4)と、
前記制御ユニット(202)を使用して、かつ、前記決定された複数の細部のアクションの組み合わせに基づいて、前記全体のアクション計画を履行す
る成功率を推定するステップ(S5)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記全体のアクション計画は、車線変更、車線変更のための間隔の形成
、車線変更のための周囲のトラフィックの円滑化、交差点でのナビゲート、環状交差点でのナビゲート、道路工事エリアでのナビゲート、路側での停止、時間
間隔の削減、
及び時間
間隔の増
加を含む群から選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記細部のアクションは、加速要求、減速要求、操舵角(α)要求、方向指示灯の動作、及び前記自律車両のクラクションの動作、を含む群から選択される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記推定された成功率が閾値のレベルを上回る場合にのみ、前記複数の細部のアクションに従って前記自律車両(100、102、104)を動作させるステップを更に含む、請求項1~
3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記全体のアクション計画は、次の20秒間以内に取るべきアクションを示す、請求項1~
4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の細部のアクションは、10秒間以内に取るべきアクションを示す、請求項1~
5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記全体のアクション計画は、前記自律車両(100、102、104)のトラフィック計画の操縦に関係付けられる、請求項1~
6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の細部のアクションは、推定された移動経路に従って前記自律車両(100、102、104)を動作させることに関係する、請求項1~
7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
自律車両(100、102、104)を制御するように適合される制御システムであって、
前記自律車両(100、102、104)は、該自律車両(100、102、104)の走行方向のエリア及び該自律車両(100、102、104)の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と、該少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と通信するように構成された制御ユニット(202)と、を備えたものであり、前記制御ユニット(202)は、全体のアクションモジュール(210)と、複数の細部のアクションモジュール(212、214、216、218)と、を使用するものであり、
前記制御ユニット(202)は、
前記少なくとも1つのセンサ(204、206、208)からセンサデータを受信し、
前記全体のアクションモジュール(210)を使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記自律車両(100、102、104)が道路上を走行しているときに該自律車両(100、102、104)が実行すべき全体のアクション計画を決定し、
前記決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する
、複数の細部のアクションモジュールの
少なくとも1つを選択
し、ここで、前記複数の細部のアクションモジュールの各々は、前記自律車両(100、102、104)を動作させるための特定のタイプの条件に対して個別に最適化されており、
前記選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定し、
前記決定された複数の細部のアクションの組み合わせに基づいて、前記全体のアクション計画を履行す
る成功率を推定する、
ように適合される、制御システム。
【請求項10】
前記制御ユニット(202)は、前記推定された成功率が所定の閾値を上回る場合にのみ、前記複数の細部のアクションに従って前記自律車両(100、102、104)を動作させるように更に適合される、請求項
9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記全体のアクション計画は、次の20秒間以内に取るべきアクションを示す、請求項
9又は10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記複数の細部のアクションは、10秒間以内に取るべきアクションを示す、請求項
9~
11の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記全体のアクション計画は、前記自律車両(100、102、104)のトラフィック計画の操縦に関係付けられる、請求項
9~
12の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項14】
前記複数の細部のアクションは、推定された移動経路に従って前記自律車両(100、102、104)を動作させることに関係する、請求項
9~
13の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサは、レーダ(204)、LiDARセンサ(206)又はカメラ(208)を含む、請求項
9~
14の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項16】
請求項
9~
15の何れか1項に記載の制御システムを備える、自律車両。
【請求項17】
トラック(100)、バス(102)又は作業機械(104)である、請求項
16に記載の自律車両。
【請求項18】
自律車両(100、102、104)を制御するように適合される制御システムを動作させるコンピュータプログラム手段が記憶された不揮発性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、
前記自律車両(100、102、104)は、該自律車両(100、102、104)の走行方向のエリア及び該自律車両(100、102、104)の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と、該少なくとも1つのセンサ(204、206、208)と通信するように構成された制御ユニット(202)と、を備えたものであり、前記制御ユニット(202)は、全体のアクションモジュール(210)と、複数の細部のアクションモジュール(212、214、216、218)と、を使用するものであり、
前記制御ユニット(202)において、前記少なくとも1つのセンサ(204、206、208)からセンサデータを受信するコードと、
前記全体のアクションモジュール(210)を使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記自律車両(100、102、104)が道路上を走行しているときに該自律車両(100、102、104)が実行すべき全体のアクション計画を決定するコードと、
前記制御ユニット(202)を使用して、前記決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する
、複数の細部のアクションモジュールを選択するコード
であって、前記複数の細部のアクションモジュールの各々は、前記自律車両(100、102、104)を動作させるための特定のタイプの条件に対して個別に最適化されている、選択するコードと、
前記選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、前記センサデータに基づいて、前記全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定するコードと、
前記制御ユニット(202)を使用して、かつ、前記決定された複数の細部のアクションの組み合わせに基づいて、前記全体のアクション計画を履行す
る成功率を推定するコードと、
を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律車両の走行方向のエリア及び近傍のエリアを示すセンサデータに基づいて、コンピュータで実施される、自律車両を動作させる方法に関する。自律車両は、該自律車両によって実行される複数の細部のアクションを、該自律車両の全体のアクション計画を履行するのに正常に使用することができるか否かを判断するように適合される制御ユニットを備える。本開示は、対応する制御システム及びコンピュータプログラム製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の半自律動作及び完全自律動作が大幅に進歩しており、運転者支援及び安全機能、例えば、アダプティブクルーズコントロール、歩行者の検出、前方及び後方の衝突警報、車線の逸脱警報及び不特定障害物の検出が実効的に提供されている。このような自律車両は、通常、車両周囲の環境に関する情報を検出するように構成される複数のセンサを使用する。センサは、例えば、カメラ及びレーダ、又はLiDARの技術を使用することができ、場合によっては、車両環境の認識を形成するためにセンサからの出力を融合する。
【0003】
そのような車両の一例が米国特許出願公開第20140379247号において開示されており、車両及びその関連付けられた制御システムは、環境を通してナビゲートするためにセンサから提供される情報を使用する。例えば、車両が障害物に接近中であることをセンサ(複数の場合もある)が検出した場合、制御システムは、車両に障害物を避けるようにナビゲートさせるために、車両の方向制御を調整する。
【0004】
具体的には、米国特許出願公開第20140379247号による制御システムは、ナビゲーション/パッシングシステムと、車両の速度及び方向を制御することにより、車両の周囲の検出環境内での車両の安全なナビゲーションを行う障害物回避システムと、を使用する。通常、ナビゲーション/パッシングシステム及び障害物回避システムの双方が、ナビゲーション及び障害物回避のために、物体及び特徴検出汎用プロセスを適用し、これにより、車両の動作を全体的に信頼性の高いものにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第20140379247号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、米国特許出願公開第20140379247号によって開示された上記物体及び特徴検出汎用プロセスに起因して、その実施は一般的に計算効率が悪く、ひいては、低速になる。したがって、そのような自律車両の動作を改善するために、特に、車載に適した計算効率を目標とし、場合によっては、車両動作の確実性の改善も可能にする更なる改良を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、上記課題は、コンピュータで実施される、自律車両を動作させる方法によって少なくとも部分的に軽減され、自律車両は、該自律車両の走行方向のエリア及び該自律車両の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、該少なくとも1つのセンサと通信するように構成された制御ユニットとを備え、制御ユニットは、全体のアクションモジュールと、複数の細部のアクションモジュールとを使用し、本方法は、制御ユニットにおいて、少なくとも1つのセンサからセンサデータを受信するステップと、全体のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、自律車両が道路上を走行しているときに該自律車両が実行すべき所望の全体のアクション計画を決定するステップと、制御ユニットを使用して、決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する少なくとも1つの細部のアクションモジュールを選択するステップと、選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定するステップと、制御ユニットを使用して、かつ複数の細部のアクションに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために成功率(success rate)を推定するステップと、を含む。
【0008】
本開示の全体的な構想は、車両の動作の「マクロ-ミクロスキーム」を、特に自律トラックに関連して実施することである。このマクロ-ミクロスキームのマクロ部は、上記で所望の全体のアクション計画と定義された相対的に長い水平距離にわたる「全体判断」を行い、これは離散的なモーション計画を表し、例えば、車線変更等を行うと共に、車両モーションの高レベルの特徴付けを含む。
【0009】
したがって、マクロ-ミクロスキームのミクロ部は、車線変更の実際のアクションがどのように行われるべきかについての計画を担当する具体的に目標が絞られた「アルゴリズム」であり、上記で細部のアクションと定義された相対的に短い水平距離にわたって行われることになる。いくつかの実施の形態において、マクロ-ミクロスキームは、1つのマクロ部は及び1つ又は多くのミクロ部を含み、異なるミクロ部が連続的なモーション計画を表す異なるタイプの細部のアクションに向けられており、車両モーションの低レベルの特徴付けを含む。
【0010】
本開示に沿って、決定された細部のアクションが、最終的には所望の全体のアクション計画を履行するとみなされ得るか否かの推定が更に行われる。したがって、本開示は、決定された複数の細部のアクションに基づいて、成功率を推定する。成功率は、その後、自律車両を動作させるために、決定された複数の細部のアクションを実行するか否かを判断するときに使用することができる。
【0011】
本開示の文脈内で、「細部のアクション」という用語は、自律車両の動作のパラメータの実際の決定及び推定又はシミュレーションが含まれることを意味するように広く解釈されるべきであることが理解される。したがって、成功率の推定は、必ずしも自律車両の動作の最終的な制御パラメータである細部のアクションに基づいて実行されなければならないわけではなく、むしろ、そのような制御パラメータの推定又はシミュレーションに基づいて行うことができる。
【0012】
さらに、本開示の文脈内で、「成功率」という用語は、決定された複数の細部のアクションが共同していかに良好に全体のアクション計画を履行することができるかの尺度と解釈されることが理解されるべきである。したがって、いくつかの実施の形態において、成功率は、例えば、複数の細部のアクションを使用して実行される全体計画の一つの形態又は一つの品質要求基準としてみなすことができる。いくつかの実施の形態において、成功率は、例えば、0~100のような予め定められた範囲内に入るように構成されていてもよい。
【0013】
ここで開示されるマクロ-ミクロスキームの使用による利点は、ミクロ部のそれぞれ(すなわち、細部のアクションモジュール)を、自律車両の動作の特定のタイプの条件に対して個別に訓練することができるということである。このような手法により、各細部のアクションモジュールの特定の使用を最適化することが可能になり、通常、計算効率が改善する。なぜならば、これは、各細部のアクションモジュールを、多目的動作の実施のために必要な汎用化のためにではなく、単一のタイプの動作に焦点を置くために使用することができるためである。目標とされる動作の実施を使用することによって、複数の細部のアクションを決定するのに必要な実行時間を削減すると共に、例えば、相対的により汎用化された動作の実施を使用する場合には容易に識別可能ではない場合がある「複雑な」シナリオのハンドリングを改善することも可能とすることができる。
【0014】
「自律車両」という用語は、上記で使用されたように、広範に解釈されるべきであると共に、完全自律モード又は部分自律モードで動作する車両に関することに留意すべきである。部分的な自律車両において、いくつかの機能は、任意選択で、一部又は全ての時間、手動で(例えば、運転者によって)制御することができる。さらに、部分的な自律車両は、完全手動動作モードと、部分自律動作モード及び/又は完全自律動作モードとの間で切り替わるように構成されていてもよい。
【0015】
制御ユニットは、1つの実施の形態において、典型的には自律車両の車載の構成部品として提供される電子制御ユニット(ECU)とすることができる。これに対応して、センサは、自律車両の周囲環境において何が起きているかを判断するセンサ、例えば、レーダ、LiDARセンサ及び/又はカメラのうちの少なくとも1つを含んでもよい。自律車両が実行すべき所望の全体のアクション計画を決定する際に、速度、加速度、傾斜、トルク、車両重量等を測定する他のセンサも等しく使用することができる。
【0016】
提示される動作スキームは、例えば、事前に推定された移動経路に沿って、地点Aから道路に沿って地点Bまで走行する(「ハブ間(Hub-to-Hub)」ミッションと呼ばれることもある)ための、及びトラフィックにおいて自律車両を操縦する(例えば、車線維持/車線変更、加速/減速)ための自律車両の動作、並びに上記に従った操縦のために走行可能な経路をいかに導出するかに関して使用することができる。本スキームは、何れのルートを辿るべきかに関する情報、並びに道路及び道路上の動作主体を記述した入力情報を受信する。この情報に基づいて、本スキームは、自律車両が意図されたルートを維持するために辿ることができる経路を作成すると共に、周囲の車両(例えば、自律車両や手動車両の組み合わせた車両)に対して速度を適合させることができる。
【0017】
全体のモーション計画、すなわち、全体のアクション計画の決定は、通常、連続的に更新されることが更に理解されるべきである。すなわち、車両の動作環境(例えば、車両の周囲の状況及び車両の全ての異なる状態)は、連続的に変動し、また、それは不確実である。しかしながら、従来技術のモーション計画は、(i)詳細なダイナミクスを考慮に入れるが、探索は解空間(solution space)全体のうちの非常に限られた局所部分にしか行われず、(ii)探索空間のより大きい部分をカバーするが詳細さが劣ると共に計算負荷が高くなる。
【0018】
逆に、本開示に関して、計画問題は、「分析」される。すなわち、マクロレベルにおいて、連続的な探索空間は、ミクロレベルに専用のアルゴリズムが効率的にカバーするのに十分小さく、より小さくてより制御可能な領域(車線変更/車線変更なし)に分割される(離散化)。離散化は、未来への複数の判断、すなわち、間隔の形成、車線変更の実行に及ぶことがある。しかしながら、不確実性に起因して、例えば、間隔の形成の全体計画が選択される場合、操縦を失敗する可能性が存在する(成功率が「過度に低い」とみなされる場合、これを「操縦を中止する」というマクロアクションとみなすことができる)。
【0019】
それゆえ、全体のアクション計画、例えば車線変更が決定された場合、同じ車線内に留まる必要があることになる可能性が存在するので、車線変更の実際のアクションが最終的に実行されるかは確実ではない。したがって、或る意味では、全体のアクション計画は、その全体のアクション計画の結果として何れが選択されるかに依存して、今後に起こり得る全体のアクション計画を大まかに考慮する。この不確実性に対処するために、本開示に沿って、現在利用可能なアクション、及び結果として得られる可能なアクションの付随する分岐の期待値を推定することが望まれる。
【0020】
したがって、本開示に沿って、場合によっては、例えば事前に定義された不確実性モデルに基づいて、或る範囲の可能な未来のシナリオに対する細部のアクションモジュールの性能の近似を考慮に入れて、細部のアクションモジュールの成功の推定が実行される。これは、不確実性モデルを使用して異なるランダムの結果に対して、多数回の実際の細部モジュールを使用することによって実行できる。代替的に、細部モデルの近似は、同じ方法で実行することができる。
【0021】
本開示に沿って、所望の全体のアクション計画は、例えば、全体のアクション計画のうちの1つ又は組み合わせを含み得る。例えば、全体のアクション計画のうちの1つ又は組み合わせを、自律車両の操縦のトラフィック計画に使用してもよい。上述されたような車線変更と同様に、そのような車線変更は、一方の車線から他方の車線への横断と組み合わせて車線変更のための間隔を形成する等、車線変更を達成する2つ以上の全体のアクション計画を含んでもよい。
【0022】
したがって、全体のアクション計画のうちの1つ又は組み合わせは、例えば、車線変更、車線変更のための間隔の形成、車線変更のための間隔の強制、車線変更のための周囲のトラフィックの円滑化、交差点でのナビゲート、環状交差点でのナビゲート、道路工事エリアでのナビゲート、路側での停止、時間差の削減、時間差の増加、縦方向の速度変更の開始、横方向の速度変更の開始、及び操縦の中止の開始を、含む群から選択することができる。更なる例が、当然ながら存在することができると共に、本開示の範囲内にある。
【0023】
同様の方法において、細部のアクションは、1つの実施の形態において、加速要求、減速要求、操舵角要求、方向指示灯の動作、及び自律車両のクラクションの動作、を含む群から選択することができる。同様に、更なる例が、当然ながら存在することができると共に、本開示の範囲内にある。
【0024】
本開示の可能な一実施の形態において、所望の全体のアクション計画は、例えば、次の20秒間(又は代替的には、自律車両の前方200~500メートル)以内で取るべきアクションを示す。しかしながら、また、所望の全体のアクション計画の時間や長さを自律車両の現在の速度に依存して設定することができるようにしてもよい。例えば、自律車両が単一の所望の全体のアクション計画内の動作中に完全に停止に至ることができるように、自律車両の速度に合致するように所望の全体のアクション計画を設定することが望ましい場合がある。
【0025】
対応する方法において、複数の細部のアクションは、例えば10秒間(又は代替的には、自律車両の前方0~200メートル)以内で取るべきアクションを示す。同様に、10秒間以内で取るべきアクションを示す複数の細部のアクションの時間や長さを、自律車両の現在の速度に依存して設定することができるようにしてもよい。
【0026】
本開示の好ましい実施の形態において、本方法は、推定された成功率が閾値のレベルを上回る場合にのみ、複数の細部のアクションに従って、自律車両を動作させるステップを更に含む。したがって、細部のアクションの実行が確実には所望の全体のアクション計画を履行しないことが推定された場合、これにより、例えば、僅かに適合される別の全体のアクション計画が、その後、更なる細部のアクションを決定する際に使用されると決定される結果になり得る。
【0027】
さらに、本開示の1つの実施の形態において、閾値のレベルは、自律車両の現在の速度に依存してもよい。したがって、自律車両が相対的に速い速度で移動している場合、自律車両が相対的に遅い速度で移動している状況と比較して、閾値を高めることが望ましい場合がある。このような実施により、場合によっては、自律車両の動作の安全性が向上する可能性がある。
【0028】
本開示の別の態様によれば、自律車両を制御するように適合される制御システムが提供され、自律車両は、該自律車両の走行方向のエリア及び該自律車両の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、該少なくとも1つのセンサと通信するように構成された制御ユニットとを備え、該制御ユニットは、全体のアクションモジュールと、複数の細部のアクションモジュールとを使用し、制御ユニットは、少なくとも1つのセンサからセンサデータを受信し、全体のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、自律車両が道路上を走行しているときに該自律車両が実行すべき所望の全体のアクション計画を決定し、決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する少なくとも1つの細部のアクションモジュールを選択し、選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定し、複数の細部のアクションに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために成功率を推定するように適合される。本開示のこの態様は、本開示の直前の態様に関連して上述されたものと同様の利点を有する。
【0029】
本開示の好ましい実施の形態において、車載制御システムは、自律車両の構成要素として設けられ、自律車両は、典型的には、上記で言及されたセンサを更に備える。自律車両は、さらに、例えば、バス、トラック、自動車、又は任意の形式の建設機器若しくは作業機械のうちの1つとしてもよい。自律車両は、例えば建設機器又は作業機械のうちの1つとしてもよいので、上記で使用されたような道路という用語は、自律車両が動作する任意の専用エリアを含むように、広範に解釈されるべきである。自律車両は、さらに、純電気車両(PEV:Pure Electrical Vehicle)及びハイブリッド電気車両(HEV:Hybrid Electric Vehicle)のうちの少なくとも一方としてもよい。
【0030】
本開示の更なる態様によれば、自律車両を制御するように適合される制御システムを動作させるコンピュータプログラム手段が記憶された不揮発性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、自律車両は、該自律車両の走行方向のエリア及び該自律車両の近傍のエリアの情報を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサと通信するように構成された制御ユニットとを備え、制御ユニットは、全体のアクションモジュールと、複数の細部のアクションモジュールとを使用し、コンピュータプログラム製品は、制御ユニットにおいて、少なくとも1つのセンサからセンサデータを受信するコードと、全体のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、自律車両が道路上を走行しているときに該自律車両が実行すべき所望の全体のアクション計画を決定するコードと、制御ユニットを使用して、決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する少なくとも1つの細部のアクションモジュールを選択するコードと、選択された少なくとも1つの細部のアクションモジュールを使用して、かつ、センサデータに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定するコードと、制御ユニットを使用して、かつ、複数の細部のアクションに基づいて、所望の全体のアクション計画を履行するために成功率を推定するコードとを含む。本開示のこの態様も、本開示の以前の態様に関連して上述されたものと同様の利点を有する。
【0031】
コンピュータ可読媒体は、どのようなタイプのメモリデバイスとしてもよく、このメモリデバイスは、取り外し可能不揮発性ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ、SDメモリカード、又は当該技術分野において既知の類似のコンピュータ可読媒体のうちの1つを含む。
【0032】
本開示の更なる利点及び有利な特徴が、以下の説明及び従属請求項において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1Aはトラックを示す図、
図1Bはバスを示す図、
図1Cはホイールローダを示す図であり、これらに、本開示による制御システムが組み込まれる。
【
図2】本開示の現在の好ましい実施形態による制御システムを示す概念図である。
【
図4】本開示による方法を実行する処理ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照して、例として引用される本開示の実施形態をより詳細に説明する。
【0035】
ここで、本開示の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照しながら、本開示がより十分に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化される可能性があり、本明細書において記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、理解の完全さのために十分に提供され、当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるものである。同一の参照符号は、全体を通して同一の要素を指す。
【0036】
ここで図面、特に
図1Aを参照すると、ここではトラック100として示されている例示の車両が示されており、この車両に、本開示による制御システム200(
図2に示される)を組み込むことができる。制御システム200は、当然ながら、
図1Bに示されるようなバス102,
図1Cに示されるようなホイールローダ、又は自動車、バス等において、場合によっては僅かに異なる方法で実装されてもよい。
【0037】
自律車両は、例えば、電気若しくはハイブリッド車両、又は場合によってはガス、ガソリン若しくはディーゼル車両のうちの1つとすることができる。自律車両は、電気機械(電気若しくはハイブリッド車両である場合)又はエンジン(ガス、ガソリン若しくはディーゼル車両である場合、内燃機関等)を備える。自律車両は、さらに、手動操作、完全自律又は半自律としてもよい。
【0038】
図2は、制御システム200の概念上の及び例示の実施態様を示しており、制御システム200は、例えば、自律車両100、102、104のうちの任意の1つを動作させるように適合される制御ユニット202、例えば、電子制御ユニット(ECU)を備える。ECU202は、複数のセンサ204、206、208、例えば、レーダ204、LiDARセンサ配列206及びカメラ208等からデータを受信するインタフェースを実装する。制御システム200は、上述した全体のアクション計画(複数の場合もある)及び複数の決定された細部のアクションに基づいて、自律車両を動作させるインタフェースも設けることができる。
【0039】
参考のために、ECU202は、例えば、汎用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、処理コンポーネントを含む回路、一群の分散処理コンポーネント、処理を行うように構成された一群の分散コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等として顕在化され得る。プロセッサは、データ若しくは信号処理を行うか又はメモリに記憶されたコンピュータコードを実行する任意の数のハードウェアコンポーネントとしてもよいし、これを含んでもよい。メモリは、本明細書において説明される様々な方法を遂行又は促進するデータ及び/又はコンピュータコードを記憶する1つ以上のデバイスとすることができる。メモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、又は本明細書の様々なアクティビティをサポートする他の任意のタイプのデータ構造を含むことができる。一例示の実施形態によれば、任意の分散又はローカルメモリデバイスを、本明細書のシステム及び方法と共に利用してもよい。一例示の実施形態によれば、メモリは、プロセッサに(例えば、回路又は他の任意の有線、無線、若しくはネットワーク接続を介して)通信可能に接続され、本明細書において説明される1つ以上のプロセスを実行するコンピュータコードを含む。
【0040】
ECU202は、例えば、無線航法システムと通信するように構成することもできることが好ましく、無線航法システムは、例えば、GPS受信機220、及び、例えば、自律車両100、102、104が移動している道路に関するマップナビゲーションデータを保持するマップデータベース222を含む。
【0041】
図3及び
図4を更に参照すると、自律車両100、102、104の動作を制御する制御システム200の動作中、ECU202は、少なくとも全体のアクションモジュール210及び複数の細部のアクションモジュール212、214、216、218を使用するように適合される。上述されたように、全体のアクションモジュール302は、例えば、次の20秒間(又は代替的には、自律車両の前方200~500メートル)以内等で自律車両100、102、104をどのように動作させるかについての全体のアクション計画を形成するというマクロ部を使用するように適合される。したがって、全体のアクションモジュール210は、例えば、車線変更、車線変更のための間隔の形成、車線変更のための間隔の強制、車線変更のための周囲のトラフィックの円滑化、交差点でのナビゲート、環状交差点(roundabout)でのナビゲート、道路工事エリアでのナビゲート、路側での停止、時間差の削減、時間差の増加、縦方向の速度変更の開始、横方向の速度変更の開始、及び操縦の中止の開始に関する1つ又は複数の全体のアクション計画を形成するように構成される。
【0042】
これに対応して、続いて、細部のアクションモジュール212、214、216、218は、むしろ、それぞれが、自律車両の動作のミクロ部を使用するために、例えば、全体のアクションモジュール302によって形成される全体のアクション計画を履行する目的で、次の例えば10秒間(又は代替的には、自律車両の前方0~200メートル)以内で、その自律車両の動作のために取られる必要がある細部のアクションを決定するために提供される。細部のアクションの例として、例えば、包括的には、全体のアクション計画を履行するために自律車両が何れの経路の組み合わせに従って動作しなければならないかを挙げることができ、より詳細には、加速要求、減速要求、操舵角の調整、縦方向の速度変更の大きさ、横方向の速度変更の大きさ、方向指示灯の動作、及び自律車両のクラクション(vehicle horn)の動作等を挙げることができる。
【0043】
図3に示される例に沿って、プロセスは、自律車両100、102、104のECU202が、複数のセンサ204、206、208のうちの少なくとも1つから、また、場合によっては、自律車両100、102、104に含まれる更なるセンサからも、センサデータ、例えば、自律車両100、102、104のCANバスに含まれ、自律車両100、102、104の動作に関する情報(例えば、速度、加速度等)を受信すること(S1)によって開始する。ECU202は、GPS受信機220及びマップデータベース222から、自律車両が例えば現在位置する場所に関する情報も受信してもよい。マップデータベース222は、いくつかの実施形態において、自律車両100、102、104が始動位置から目的地まで全体的にどのように走行するのかに関する所定の移動経路を保持してもよい。
【0044】
本開示の文脈内で、モジュールは、全体スキームの独立した、場合によっては交換可能な部分として見ることができ、ここで、各モジュールは、それぞれ、所望の機能の1つの態様のみを実行するのに必要な全てのものを含む。この構造に起因して、既存のモジュールを容易に変更してもよく、及び/又は、更なるモジュールを追加してもよい。
【0045】
全体のアクションモジュール210は、センサデータに基づいて、例示の車両302及び304等の他の車両が(「自」車両に対して)位置する場所を含む、自律車両100、102、104の周囲環境の「認識」を形成し、例えば自律車両100、102、104の現在のトラフィック状況として定義する。
【0046】
図3に示されるように、自律車両100として例示される自車両は、二車線道路上の右側車線に位置し、前進移動している。センサデータに基づいて、車両302が自律車両100の前方に位置すること、及び車両304が左側車線において僅かに後方に位置することが判断される。さらに、自律車両100が先行の車両302よりも僅かに速い速度で移動していることが判断される。
【0047】
この情報に基づいて、全体のアクションモジュール210は、左側車線に、かつ、車両304の正面に車線変更するという目標を示す全体のアクション計画を決定する(S2)。決定された全体のアクション計画に基づいて、ECU202は、この決定された全体のアクション計画の少なくとも一部に合致する1つ又は複数の細部のアクションモジュール212、214、216、218を選択する。すなわち、上述されたように、複数の細部のアクションモジュール212、214、216、218は、車線変更を成功させるために実行される必要があるアクションの異なる部分をハンドリングするように設計されることが好ましい。
【0048】
本実施例において、例えば、自律車両が安全に車線変更を実行することを可能にするために当該自律車両がどの程度加速しなければならないかを決定するように適合されている1つの細部のアクションモジュール、安全な車線変更のための操舵角αを決定するように適合されている1つの細部のアクションモジュール、いつ方向指示器(turn signal:ウィンカ)を起動するのが適切かを決定するように適合されている1つの細部のアクションモジュール等を選択することが適切である場合がある。当然ながら、更なる細部のアクションモジュールを選択してもよい。
【0049】
上記から理解されるように、選択された細部のアクションモジュールは、ともに、所望の全体のアクション計画を履行するために実行すべき複数の細部のアクションを決定する(S4)ために提供される。異なる細部のアクションモジュールが、いくつかの実施形態において、自律車両の動作パラメータ、例えば、最高速度、最大操舵角、重量等を考慮に入れるように実施され得る。また、異なる細部のアクションモジュールを、例えば、少なくとも部分的に機械学習のスキームを実施するように当該異なる細部のアクションモジュールを構成することによって、車両動作データに対して事前に「訓練」してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、複数の細部のアクションは、自律車両100を動作させるための実際の制御パラメータを含んでもよい。しかしながら、複数の細部のアクションは、代替的に(又は同様に)、自律車両の動作の異なるシナリオのシミュレーションに関係してもよく、すなわち、必ずしも最終的な制御パラメータではなく、むしろ、どのように自律車両を動作させるかについての推定である。
【0051】
複数の細部のアクションが決定されると、本開示は、複数の細部のアクションに基づく成功率の推定(S5)を行う。すなわち、例えば、安全な方法で車線変更を実行することを可能にする複数の細部のアクションの少なくとも一部の組み合わせを推定するために、全体シミュレーションを実行することができる。本開示のいくつかの実施形態において、成功率は、「異なるシナリオ」に対して求めることができる。
図3に提示される例に沿って、異なるシナリオは、例えば、異なるレベルの加速度等に関係してもよい。
【0052】
成功率は、複数の細部のアクションの組み合わせが、車線変更を行うように自律車両を制御するために「実行」されるべきであるか否かを判断するための閾値を基準として評価されることが好ましい。成功率が閾値を上回るとみなされる場合、自律車両は、その複数の細部のアクションに基づいて制御される。上記で示されたように、閾値は、外部要因、例えば、自律車両100が現在移動している道路に対する許容速度又は現在の速度等に依存したものとすることが許容され得る。
【0053】
逆に、成功率が閾値を下回る場合、この結果は、「代替の」全体のアクション計画の新たな決定を開始するためにECU202が使用することができる。そのような全体のアクション計画は、実際には、同様に車線変更に関係することができるが、しかしながら、例えば、この車線変更は、自律車両100が左側車線に車線変更する前に、車両304に追い抜きをさせるべきであることを含む。そのようなシナリオにおける細部のアクションは、例えば、(自律車両100が先行の車両302と衝突しないことを確実にするための)減速、及び車両304が(左側車線において)安全に自律車両100を追い抜いた後の安全な車線変更のための更なる操舵角αを含んでもよい。
【0054】
2つ以上のシナリオが評価される場合、異なるシナリオの成功率をソートし、続いて、最高の成功率であり、かつ、依然として、閾値を上回る成功率を有するとみなされるシナリオを進めることが許容され得ることが更に理解されるべきである。
【0055】
本開示は、様々な操作を達成するための任意の機械可読媒体上の方法、装置及びプログラム製品を意図している。本開示の実施形態は、この目的若しくは別の目的で組み込まれる既存のコンピュータプロセッサ或いは適切なシステムの専用コンピュータプロセッサを用いて、又は、ハードワイヤードシステムによって実施することができる。本開示の範囲内の実施形態としては、機械により実行可能な命令又はデータ構造を実行する又は有する機械可読媒体を含むプログラム製品を含み、機械可読媒体はその上に記憶される機械実行可能な命令またはデータ構造を有している。かかる機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを有する他の機械がアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。
【0056】
例としては、かかる機械可読媒体はRAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、他の磁気ストレージ装置、又は所望のプログラムコードを機械により実行可能な命令若しくはデータ構造の形態で実行若しくは保存するのに使用することができ、汎用若しくは専用コンピュータ若しくはプロセッサを有する他の機械がアクセスすることができる任意の他の媒体を含み得る。情報がネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤード、無線、又はハードワイヤード若しくは無線の組み合わせ)を通じて機械に転送又は提供された場合、機械はこの接続を機械可読媒体とみなすことが適切である。このため、このような接続も機械可読媒体と称されるが適切である。上記の組み合わせも機械可読媒体の範囲に含まれる。機械により実行可能な命令としては、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は専用処理機械に、或る特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータが挙げられる。
【0057】
図面は、方法ステップの特定の順序を示す場合があるが、ステップの順序は、図示されている順序と異なっていてもよい。加えて、2つ以上のステップを、同時に、又は部分的に同時に実行してもよい。そのような変形形態は、選択されるソフトウェア及びハードウェアシステム、並びに設計者の選択に依存する。全てのそのような変形形態が、本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェア実施態様は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び判断ステップを達成するために、ルールベースロジック及び他のロジックを用いる標準的なプログラミング技法を用いて達成することができる。
【0058】
加えて、本開示がその特定の例示的な実施形態を参照して説明されたが、多くの異なる代替形態、修正形態等が当業者には明らかになる。
【0059】
当業者は、特許請求される本開示を実施する際に、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、開示された実施形態に対する変更を理解すると共に実施することができる。さらに、特許請求の範囲において、「~を含む(comprising)」という語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「("a" or "an")」は、複数形を除外しない。