(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】メタンのドライリフォーミングを用いた超臨界CO2パワーサイクル
(51)【国際特許分類】
F02C 7/22 20060101AFI20231108BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F02C7/22 D
F02C6/00 E
F02C7/22 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034271
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-05-31
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513041244
【氏名又は名称】ミツビシ パワー アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mitsubishi Power Americas,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・シミン・デン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529478(JP,A)
【文献】特開2002-004877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/22
F02C 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を発生させるために第1の入力構成成分および第2の入力構成成分を燃焼するように構成された燃焼器と、
前記ガス流によって回転されるように構成されたタービンと、
前記タービンからの前記ガス流の第1の部分を受けて、前記燃焼器に圧縮したガスの第1の流れを提供するように構成された圧縮器と、
前記タービンからの前記ガス流の第2の部分を受けて、前記燃焼器に圧縮したガスの第2の流れを提供するように構成された再圧縮器と、
前記タービンによって駆動されるように構成された発電器と、
前記第1の入力構成成分を提供するためにメタンをドライリフォーミングするように構成されたメタンリフォーミング反応器と、
流体的に前記メタンリフォーミング反応器と前記燃焼器との間に配置された熱交換器であって、第1の入口において燃料の入力を、および第2の入口において前記第1の入力構成成分の入力を受け取るように構成され、前記燃料と前記第1の入力構成成分とを熱的に連通させるように構成された、熱交換器と、
を備える、超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項2】
前記熱交換器が、前記第1の入力構成成分からの熱を前記燃料に伝達し、それによって、前記第1の入力構成成分の温度を下げ、前記燃料の温度を上げる、請求項
1に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項3】
前記超臨界CO2サイクル発電所からCO2を抽出するための出口と、
前記出口を前記熱交換器の前記第1の入口に接続するフローラインと、をさらに備える、請求項
1に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項4】
前記燃料が天然ガスを含み、前記メタンリフォーミング反応器が、CO2および天然ガスからCOおよびH2を含む前記第1の入力構成成分を生成するように構成された、請求項
3に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項5】
前記メタンリフォーミング反応器に熱を入力するように構成された熱源をさらに備える、請求項1に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項6】
前記熱源が産業プロセスからの熱または発電所からの蒸気を含む、請求項
5に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項7】
前記ガス流と圧縮したガスの前記第
1の流れとの間で熱交換するように構成された第1の復熱器と、
前記ガス流と、圧縮したガスの前記第1の流れと圧縮したガスの前記第2の流れとの再結合と、の間で熱交換するように構成された第2の復熱器と、
をさらに備える、請求項1に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項8】
前記ガス流の前記第1の部分を冷却するように構成された冷却器と、
前記冷却器の下流で前記超臨界CO2サイクル発電所から分離された水を取り除くための出口と、
をさらに備える、請求項1に記載の超臨界CO2サイクル発電所。
【請求項9】
超臨界CO2サイクル発電所を動作させる方法であって、
反応器中で合成ガスを生成するために燃料とCO2とを反応させるステップと、
燃焼器において燃焼プロセスを実行して排気ガスを発生させるために前記合成ガスを酸素と混合するステップと、
前記排気ガスでタービンを回すステップと、
前記タービンで発電器を駆動するステップと、
加圧ガスを発生させるために圧縮器および再圧縮器を通して前記排気ガスを送るステップと、
前記燃焼器に加熱し圧縮したCO2を提供するために2段階復熱プロセスを通して前記加圧ガスを送るステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記排気ガスからのCO2の一部を前記反応器にリサイクルするステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼器の前に、前記合成ガスと前記燃料との間で熱交換するステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料が前記合成ガスによって加熱される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
外部供給源から前記反応器に熱を加えるステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記外部供給源が産業プロセスからの熱または発電所からの蒸気を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記2段階復熱プロセスが、
前記排気ガスと前記加圧ガスの一部との間で熱交換するように構成された第1の復熱器と、
前記排気ガスと前記加圧ガスすべてとの間で熱交換するように構成された第2の復熱器と、
を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
前記燃焼器への燃料入力により前記反応器をバイパスするステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項17】
前記
超臨界CO2サイクル発電所からの前記排気ガスからCO2の一部を取り除くステップと、
前記
超臨界CO2サイクル発電所からの水の分離のために前記排気ガスからの水分を凝縮するステップと、
をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項18】
超臨界CO2サイクル発電所を動作させる方法であって、
タービンを回すために超臨界CO2パワーサイクルを動作させるステップと、
前記タービンで発電器を駆動するステップと、
前記超臨界CO2パワーサイクルからCO2副生成物を抽出するステップと、
メタンのドライリフォーミング(DRM)反応器中で合成ガスを生成するために燃料と前記CO2副生成物の一部とを反応させるステップと、
前記超臨界CO2パワーサイクルのために燃焼プロセスを実行するため前記合成ガスを酸素と混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記燃焼プロセスの前に、前記合成ガスと前記燃料との間で熱交換するステップをさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記合成ガスから前記燃料に熱が交換され、それによって、前記合成ガスの温度を下げ、前記燃料の温度を上げる、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
外部供給源から前記
メタンのドライリフォーミング(DRM
)反応器に熱を加えるステップをさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
CO2を含むガス流を生成するように構成された超臨界CO2パワーサイクルと、
前記ガス流によって回転されるように構成されたタービンと、
前記タービンによって駆動されるように構成された発電器と、
前記超臨界CO2パワーサイクルの燃焼プロセスに合成ガスを提供するために、前記ガス流からのCO2を使用してメタンをドライリフォーミングするように構成されたメタンリフォーミング反応器と、
を備え
、
前記燃焼プロセスの前に、前記合成ガスと前記メタンとの間で熱交換することをさらに含む、超臨界CO
2サイクル発電所。
【請求項23】
外部供給源から前記メタンリフォーミング反応器に熱を加えることをさらに含む、請求項
22に記載の発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書は、一般に、限定としてではなく、熱を電力に変換するために使用されるパワーサイクルに関する。より詳細には、限定としてではなく、本出願は、液相と気相とが区別できない超臨界状態で二酸化炭素(CO2)が使用される超臨界CO2パワーサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン複合サイクル(GTCC)発電所では、ガスタービンエンジンを動作させて、軸動力を使用する発電機で電力を直接発生させることができる。ガスタービンエンジンの高温排気ガスを、熱回収蒸気発生器(HRSG)内で蒸気を発生させるために補助的に使用することができ、その蒸気を、蒸気タービンシャフトを回転させるために使用し、さらに電気を生成することができる。GTCC用の作動流体は、典型的には、空気および/またはガス(トッピングサイクル用)ならびに蒸気および/または水(ボトミングサイクル用)を含み、ガスまたは液体燃料がガスタービンエンジン中で燃焼される。
【0003】
エネルギー生成において、再生可能エネルギーがより大きい地位を築くにつれて、他のタイプのパワーサイクルが探究されている。超臨界CO2ベースのパワーサイクル(sCO2パワーサイクル)は、従来のパワーサイクルと比較して、熱電変換効率の上昇、高い電力密度、および動作の単純化の可能性を示している。加えて、sCO2パワーサイクルは、高圧および空気より高い電力密度を有するCO2の使用により、小さいサイズのターボ機械を使用することができる。これらの要因により、このサイクルは広範囲な用途および出資者に訴求するものとなり得る。
【0004】
sCO2パワーサイクルは、間接的および直接的に加熱される(すなわち、燃やされる)用途で実装することができる。間接加熱パワーサイクルは、燃焼ガスとサイクル作動流体とが分離されるボイラタイプのプラントに適用可能である。直接加熱sCO2パワーサイクルでは、燃料(天然ガスまたは合成ガス(COおよびH2))と酸素(O2)との燃焼によって、排気ガスの第1の流れと、第1の流れと混合するCO2の第2の流れと、が生成され、混合した流れは、タービンを駆動して電力を生成するための作動流体として使用される。直接加熱sCO2パワーサイクルは、2つの主な特徴、すなわち、(a)タービンが、間接加熱サイクルのものよりも高いタービン入口温度(T1t)で動作することができ、(b)高価でエネルギー集約的な捕捉/分離技術なしで貯蔵できる状態にあるCO2の高純度の流れを生成することができる、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、とりわけ、sCO2パワーサイクル発電所において解決されるべき問題が、一般に、熱から電力への変換の効率を改善し、とりわけ放出を減らす必要性を含むことがあると認識した。この問題の1つのそのような徴候は、パワーサイクル副生成物の生成であり、これらの副生成物の非効率的な使用またはこれらの副生成物が使用されないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本主題は、直接加熱sCO2パワーサイクルの熱効率を改善することによって、非効率な電力生成の問題および他の問題に対する解決策を提供する助けとなり得る。例では、メタンのドライリフォーミング(DRM)プロセスを使用して、CO2をメタンと反応させ、sCO2パワーサイクルの熱効率を改善することができる。DRMプロセスは、CO2およびメタン燃料を、燃焼プロセスでより高い出力のエネルギーを生成することができる、sCO2パワーサイクル用の合成燃料(たとえば、合成ガス)へと変換することができる。DRMプロセスは、太陽エネルギーからの無償の熱または産業プロセスからの有償の廃熱などといった、利用可能な熱源を同時に利用して、DRMプロセスを補うことができる。そのため、sCO2サイクルの全体効率は、sCO2サイクル自体を用いるDRMと、安価にまたは無償で利用可能な熱源と、を統合することによって増加させることができる。
【0007】
一例では、超臨界CO2サイクル発電所は、ガス流を発生させるために第1および第2の入力構成成分を燃焼するように構成された燃焼器と、ガス流によって回転されるように構成されたタービンと、タービンからのガス流の第1の部分を受け、燃焼器に圧縮したガスの第1の流れを提供するように構成された圧縮器と、タービンからのガス流の第2の部分を受け、燃焼器に圧縮したガスの第2の流れを提供するように構成された再圧縮器と、タービンによって駆動されるように構成された発電器と、第1の入力構成成分を提供するためにメタンをドライリフォーミングするように構成されたメタンリフォーミング反応器と、を備えることができる。
【0008】
別の例では、超臨界CO2サイクル発電所を動作させる方法は、反応器中で合成ガスを生成するために燃料とCO2とを反応させるステップと、燃焼プロセスを実行して排気ガス(たとえば、CO2および蒸気)を発生させるために合成ガスと酸素とを混合するステップと、排気ガスでタービンを回すステップと、タービンで発電器を駆動するステップと、加圧ガスを発生させるために圧縮器および再圧縮器を通して排気ガスを送るステップと、燃焼器に加熱し圧縮したCO2を提供するために2段階復熱プロセスを通して加圧ガスを送るステップと、を含むことができる。
【0009】
さらなる例では、超臨界CO2サイクル発電所を動作させる方法は、タービンを回すために超臨界CO2パワーサイクルを動作させるステップと、タービンで発電器を駆動するステップと、超臨界CO2パワーサイクルからCO2副生成物を抽出するステップと、メタンのドライリフォーミング(DRM)反応器中で合成ガスを生成するために燃料とCO2副生成物の一部とを反応させるステップと、超臨界CO2パワーサイクルのために燃焼プロセスを実行するために合成ガスと酸素とを混合するステップと、を含むことができる。
【0010】
一例では、超臨界CO2サイクル発電所は、CO2を含むガス流を生成するように構成された超臨界CO2パワーサイクルと、ガス流によって回転されるように構成されたタービンと、タービンによって駆動されるように構成された発電器と、超臨界CO2パワーサイクルの燃焼プロセスに合成ガスを提供するために、ガス流からのCO2を使用してメタンをドライリフォーミングするように構成されるメタンリフォーミング反応器と、を備える。
【0011】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することが意図される。本発明の排他的または網羅的な説明を提供する意図はない。本特許出願についてのさらなる情報を提供するために詳細な記載が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】入力として酸素および天然ガスを使用して、副生成物としてのCO2で電力を生成する典型的な超臨界CO2パワーサイクルを図示する概略図である。
【
図2】CO2およびメタンを合成ガスへと変換するためにメタンのドライリフォーミング反応器を組み込んだ、超臨界CO2パワーサイクルを図示する概略フロー図である。
【
図3】
図1の典型的な超臨界CO2パワーサイクルおよび
図2のDRM反応器を組み込んだ超臨界CO2パワーサイクルについての、エネルギーレベル対温度のチャートを図示する概略図である。
【
図4】DRM反応器を組み込んだ超臨界CO2パワーサイクルを動作させるための方法のステップを図示するライン図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は必ずしも原寸に比例しないが、異なる図中で、同様の番号が同様の構成要素を記載することができる。異なる文字の接尾辞を有する同様の番号は、同様の構成要素の異なる事例を表すことができる。限定ではなく例として、図面は、一般に、本書で議論される様々な実施形態を図示する。
【0014】
図1は、超臨界CO2(sCO2)パワーサイクル10を図示する概略図である。sCO2パワーサイクルは、燃焼器12、タービン14、圧縮器16、再圧縮器18、高温(HT)復熱器20、低温(LT)復熱器22、および冷却器24を備えることができる。酸素は、酸素圧縮器26を介して燃焼器12に供給することができ、天然ガスは、燃料圧縮器28を介して燃焼器12に提供することができる。下でさらに詳細に議論されるように、酸素および天然ガスを燃焼器12中で燃やして、タービン14を回転させるための高圧で高温のガスを生成することができ、ガスを使用して発電器30を駆動することができる。
【0015】
圧縮器26および28からの酸素および天然ガスは、それぞれ、燃焼器12に供給することができる。酸素および天然ガスは、外部の供給源または貯蔵タンクから圧縮器26および28に供給することができる。酸素および天然ガスは、燃焼器12中で、燃焼し、たとえば燃やして、タービン14を駆動することができる高温の排気ガスを発生させることができる。燃焼器12は、燃焼器入口において非常に高温の作動流体(たとえば、約1000℃)で動作することが可能な、自動点火スタイルの燃焼器として構成することができる。タービン14は、シャフト32を介して発電器30に接続することができる。こうして、発電器30をタービン14によって直接駆動して、グリッドネットワークなどに電力を出力することができる。
【0016】
タービン14は、圧縮器16および再圧縮器18にやはり接続することができる。例では、圧縮器16および再圧縮器18は、1つもしくは複数のシャフトまたはシャフトシステムを介してタービン14によって直接駆動することができる。燃焼器12からの排気ガスは、タービン14を駆動するために使用された後で、ライン34を介してHT復熱器20を通り、ライン36を介してLT復熱器22を通りライン38へと流れ、圧縮ライン40Aおよび40Bに送り込むことができる。排気ガスはライン40Aおよび40Bへと分割され、圧縮器16および再圧縮器18を別個に通って流れることができる。ライン40Aからの排気ガスは、冷却器24の中へ、ライン41を介して圧縮器16の中へ、次いでライン42を介してLT復熱器22へと流れ、その後ライン44に入ることができる。ライン40Bからの排気ガスは、再圧縮器18の中へ、次いでライン46および48を介してHT復熱器20へと流れることができる。LT復熱器22によってライン42からライン44に流れる排気ガスに熱を加えることができ、高温復熱器20を介してライン48からライン50に流れる排気ガスに熱を加えることができる。こうして加えられた熱によって、sCO2サイクルの効率を改善することができる。ライン44におけるLT復熱器22からの排気ガスは、ライン46からの排気ガスに再合流し、ライン48でHT復熱器20へと入ることができる。加熱されたガスは、ライン50を介して燃焼器12に戻り、燃焼プロセスへ組み込むことができる。
【0017】
sCO2パワーサイクルでは、固定量または半固定量のCO2がパワーサイクル10を通してリサイクルされる。天然ガスなどの燃料の燃焼によって、CO2がシステムに加えられる結果になる可能性がある。しかし、過剰なCO2は出口54で抽出することができる。パワーサイクル10のバランスを維持するために、CO2は、他の外部での使用のために抽出および貯蔵すること、または、他の場所への輸送のためのパイプラインに導くことができる。システム中のライン41における過剰な流れは、冷却器24によって凝縮した後に出口52で抽出することができる。冷却器24は、冷たい流体またはガスの供給源に結合されて、ライン40Aおよび41の間を流れる排気ガスを冷却し、作動流体の温度を周囲温度の近くに下げることができる。例では、純粋な、または純粋に近いCO2が、水が取り除かれる出口52の後で、作動流体のままとなることができる。
【0018】
典型的な直接燃焼sCO2パワーサイクルの構成は、
図1に図示されるように、燃焼器による典型的なブレイトンサイクルとは異なる。sCO2パワーサイクル10では、燃料が純粋酸素で燃焼される。ここでは、わずかに過剰な酸素が、酸素-燃料燃焼プロセスで使用される。ブレイトンサイクルでは、過剰な空気が燃焼プロセスで使用される。
図1に示されるように、より高い効率を達成するために、タービン14からの廃熱は、圧縮器16の出口でガスを加熱するために、復熱器20および22を通して回収される。より高いパワーサイクル効率を達成するために、この2段階復熱プロセスおよび再圧縮器18の使用が復熱器20および22中の熱伝達プロファイルを改善するように設計されている。
【0019】
燃焼器入口圧力/タービン入口温度がそれぞれ300バール/1200℃であるとき、直接燃焼sCO2パワーサイクルの熱効率は、64%に達することが予測される。
【0020】
本発明者は、sCO2パワーサイクルの効率は、本明細書に記載されるシステムおよび方法を使用して増加させることができると認識した。本発明者は、典型的なsCO2燃料、たとえば天然ガスは、大きな構成成分のメタンすなわちCH4を含むことができることを認識した。本発明者は、典型的なsCO2パワーサイクルが、副生成物としてCO2を生成することも認識した。本発明者は、全体システム効率を改善するために、sCO2パワーサイクルのこれらの特徴を組み合わせた。特に、本発明者は、メタンのドライリフォーミング(DRM)反応器をsCO2パワーサイクルに組み込んで、sCO2システムのCO2副生成物を化学作用の供給原料として使用して、sCO2パワーサイクルに供給される天然ガス燃料の一部をより高いエネルギーの合成ガスへと変換した。こうして、より高いエネルギーの燃料を燃焼器12で燃やして、パワーサイクル10の効率を増加させることができ、温室効果ガスの放出を減らすことができる。加えて、本発明者は、DRM反応の効率を改善するためのDRM反応器の入力および出力と、出力を受け取る圧縮器と、の間で熱交換器を使用できることを認識した。さらに、DRM反応器によって要求される熱は、安価なまたは無償の熱を提供できる外部供給源から加えることができる。
【0021】
図2は、複合パワーシステム62を作るために組み込まれるDRMシステム60を有する、
図1の超臨界CO2パワーサイクル10を図示する概略図である。DRMシステム60は、反応器64、熱交換器66、熱源68、ならびに弁70A、70B、および70Cを備えることができる。酸素圧縮器26は、ライン72を介して燃焼器12に接続することができる。燃料圧縮器28は、ライン74を介して燃焼器12に接続することができる。熱交換器66は、ライン76を介して燃料圧縮器28の入口に接続することができる。DRM反応器64は、ライン78を介して熱交換器66に結合することができる。CO2用の出口54は、ライン78を介して熱交換器66に接続することができる。熱交換器66は、ライン80を介してDRM反応器64に接続することができる。燃料源82は、ライン84を介してライン78に接続すること、または、ライン86を介してライン76に直接接続することのいずれかができる。弁70Cは、出口54とライン84との間のライン78の中に配置することができる。弁70Aは、ライン78と燃料源82との間のライン84の中に配置することができる。弁70Bは、燃料源82とライン76との間のライン86の中に配置することができる。
【0022】
燃料源82は、DRM反応器64中で少なくとも部分的に反応することができる燃料の供給源を備えることができる。例では、燃料源82はDRM反応器64に天然ガスを提供することができる。天然ガスは、メタン、エタン、プロパン、およびブタン、ならびにそれらの組合せの混合物からなってよい。いくつかの例では、天然ガスは、CH4の化学組成を有するメタンを含み得る、またはメタンのみ、もしくはほぼ(たとえば、約95%の)メタンを含むように処理され得る。メタンは、DRM反応器64中で出口54からの二酸化炭素(CO2)と一緒に使用して、一酸化炭素(CO)と水素(H2)との混合物である合成ガスを生成することができる。合成ガスは、従来の天然ガスと比較して、燃焼器12に対するより大きいエネルギー入力を提供するために燃やし、それによって、全体として、複合パワーシステム62のより高い効率を達成することができる。
【0023】
sCO2パワーサイクル10だけの動作中、弁70Aおよび70Cを閉じることができ、弁70Bを開くことができる。そのため、燃料源82からの燃料が燃料圧縮器28に直接提供され、それによって、DRM反応器64および熱交換器66をバイパスすることができる。パワーサイクル10は、DRMシステム60が保守により動作していないとき、または熱源68が利用可能でないときの構成で動作するように構成することができる。たとえば、熱源68は、天候条件により利用可能でない太陽エネルギー源を備える場合がある。熱源68は、一時的に動作していない産業プロセスを備える場合もある。熱源68は、下でさらに詳細に議論される。
【0024】
DRM反応器64との組合せでsCO2パワーサイクル10を動作させるため、弁70Bを閉じることができ、弁70Aおよび70Cを開くことができる。そのため、燃料は、ライン86の中でDRM反応器64をバイパスすることができない。燃料は、したがって、ライン78を通してDRM反応器64に提供される。一例では、燃料は、周囲温度でDRM反応器64に提供される。燃料は、出口54からのライン78に既に存在するCO2の流れに加えられる。燃料とCO2との混合物は、最初に熱交換器66を通過し、その後、DRM反応器64の中に向けられる。熱交換器66は、DRM反応器64の出力と熱交換の関係でDRM反応器64に入力を行うことができる。例では、熱交換器66は、ライン76中の燃料の温度を下げるために、DRM反応器64の出力からDRM反応器64の入力に熱を伝達するように構成され、これは、たとえば、燃料圧縮器28の圧縮プロセスを助けることができる。圧縮器28の動作の負担を減らすことによって、パワーサイクル10の全体効率を向上させることができる。そのため、DRMシステム60に熱交換器66を組み込むことによって、様々な例において、パワーサイクル10をDRMシステム60と効果的に一体化することを可能にすることができる。
【0025】
DRM反応器内で1回、CO2と天然ガスのメタン成分とを式[1]にしたがって反応させることができる。
【0026】
【0027】
式[1]は、熱の追加
【数2】
を行うことで、メタン(CH4)と不活性(たとえば、不燃性)成分(CO2)との組合せを、2つの可燃性成分(COおよびH2)に変換できることを示す。COおよびH2は、こうして、燃焼器12にとっての燃料として、より高い潜在的エネルギーを表す。したがって、熱源68をDRM反応器64と組み合わせることができる場合、複合パワーシステム62の全体効率は、より高いエネルギーの燃料が提供されることにより改善することができる。
【0028】
反応温度は、コークス形成を回避するために、典型的には、700℃より高くしてきた。しかし、最近の研究では、固定床フロー反応器を200℃で使用して、プラズモンNi/Al2O3光触媒上で低温DRMを達成できることが示されている。低温DRMプロセスは、本明細書で記載されるようなsCO2システムとの一体化を容易にすることができる。
【0029】
式[1]でわかるように、DRM反応プロセスはCO2を消費し、それによって、温室効果ガスの放出を減らす。式[1]は、これが高度に吸熱性の反応であること、たとえば、エネルギーが吸収されることも示す。したがって、DRM反応で必要なエネルギーを補うために、熱源68が熱をDRM反応器64に加えることができる。熱源68は、熱を放つ産業プロセスを含むことができる。例では、熱源68は、太陽熱による熱または地熱による熱などといった環境から入手可能な熱を含むことができる。さらなる例では、熱源68は、低圧蒸気または熱回収蒸気発生器(HRSG)からの蒸気などといった近くの発電所からの蒸気を含むことができる。熱交換器66を介した、ライン78におけるDRM反応器64の出力での合成ガスから、天然ガスおよびCO2のDRM反応器入力への熱の伝達によって、圧縮器28の動作の負担が減るだけでなく、反応を行うため熱源68から必要な熱の量も減る。
【0030】
例では、DRM反応器64が、産業プロセスの部分を含むことができる。たとえば、そのような産業プロセスは、フィッシャートロプシュ(FT)、カルボニル化、およびヒドロホルミル化などといったエネルギー変換、ならびに、燃料および高付加価値化化学物質の合成のために利用することができる。DRM反応器64は、燃料圧縮器28の上流に設置することができ、天然ガスパイプライン圧力に近い圧力で動作することができる。
【0031】
複合パワーシステム62では、DRM反応のために、ある量の熱エネルギーが必要である。この吸熱反応は、200℃で起こることができ、そのため、外部熱源は、熱源68を参照して上で議論したように、低グレードレベル、すなわち、例では、安価でまたは無償で入手可能なものであってよい。例では、熱交換器66は、上述したプラズモンNi/Al2O3光触媒プロセスを使用することによるなどの反応のため、約200℃にDRM反応器64へ熱入力するように構成することができる。熱交換器66を使用して、DRM反応器64のための燃料の温度を高め、このプロセスを容易にすることができる。このことによって、熱源68から供給される必要がある外部の熱の量が減少する。
【0032】
言及したように、熱交換器66は、合成ガスおよび未反応メタンの温度を同時に下げて、たとえば、燃料圧縮器28の電力消費を下げることができる。式[1]を参照して、(反応式中で、右辺より左辺により少ないモル数のガスがあることに起因した)燃料の体積流量の増加のために、燃料圧縮器は、スタンドアロン型sCO2パワーサイクルよりも多くの電力を消費する場合がある。熱交換器66の使用によって、圧縮器28および熱源68の両方のエネルギー要求基準が下がり、複合パワーシステム62の効率が相乗的に向上する。燃焼器12は、スタンドアロン型sCO2パワーサイクルについての、未変換の天然ガスと合成ガスとの混合物対天然ガスのみの燃焼などといった、燃料特性の差異、ならびに体積流量の差異に対応するように設計することができる。
【0033】
【0034】
表1は、パワーサイクル10単独の動作(1)対DRMシステム60と一体化したパワーサイクル10の動作(2)についての計算結果を示す。表1は、同じ発電器30を動作させる、プロセス(1)および(2)の、均等な総電力出力を示す。したがって、燃焼器への熱入力は同じであり、このことは、両方のプロセスが、タービン14、圧縮器16、再圧縮器18、ならびに復熱器20および22などといった同じ構成要素を動作させるために予測される。そのため、sCO2パワーサイクル10の効率は、各プロセスで同じである。しかし、複合パワーシステム62のプロセス(2)は、天然ガスの使用を減らしたことにより、効率の節減を達成する。すなわち、DRM反応器64が天然ガスとCO2との組合せを、より高いエネルギーの燃料(合成ガス)へと変換し、そのため、同じ熱エネルギー(781.3MWth)を燃焼器12に提供するための入力として、より少ない天然ガス(736MWth)が使用される。表1は、プロセス(2)が圧縮器の電力使用を3.9MW増加させたために、理論的プロセス効率が、67.9%から67.4%に低下したことをさらに示す。本明細書に記載されるように、圧縮器電力消費は、熱交換器66の使用によって、減らされる。そのため、別の産業プロセスまたは太陽エネルギーからの廃熱としてQextが無償で入手可能な場合、プロセス(2)の複合パワーシステムは、3.4%ポイントLHVの全体効率の増加を示す。しかし、Qextが無償で入手できず、外部の熱、たとえば熱源68の費用が考慮される場合、全体効率は、たった2%ポイントLHV増加する。言い換えると、表1は、事例2が事例1よりも著しく効果的であり、全体効率が、3.4%ポイント(Qextの負債を考慮しない)または2.0%ポイント(Qextの負債を考慮する)増加することを示す。
【0035】
表1についての計算結果は、DRMプロセスについての計算結果に基づき、例では、DRM反応のために45.2MWthの外部の熱エネルギーが必要であり、これは天然ガス熱入力の6.1%を表すことに留意されたい。これらの計算結果は、(1)典型的なsCO2パワーサイクルは500MWの総電力出力および64%の効率を有する、(2)DRM反応器中のCH4の変換率は20%である、(3)天然ガス燃料は100%CH4を有するという前提に基づく。
【0036】
図3は、超臨界CO2パワーサイクル10およびDRM反応器64を組み込んだ超臨界CO2パワーサイクル10のための、エネルギーレベル(A)対温度(t)のチャート100を図示する概略図である。チャート100のx軸は、摂氏温度における温度(t)を示す。チャート100のy軸は、エネルギーレベル(A)を示す。
【0037】
エクセルギー解析の観点では、ガスタービン(GT)燃焼器は、通常、最高のエクセルギー破壊を有する。GT燃焼器中のエクセルギー破壊の最小化には、性能改善における最大の可能性がある。事例2がより高い効率であるのは、化学エクセルギーと物理エクセルギーとの組合せを用いるカスケード利用の原理によって合理的に説明することができる。
【0038】
図3では、A-t座標が、それぞれ、エネルギーレベルおよび温度を表す。カルノー効率曲線(ηC)102より上の区域が化学エクセルギーを図示する一方で、下の区域は物理エクセルギーを示す。物理エクセルギーのカスケード利用は、熱エネルギーレベルに基づいて、sCO2パワーサイクル10を最適化することによって達成される。燃焼中の炭化水素燃料の化学エクセルギーについては、それらのエネルギーレベル(Af)が約1.0ほどの高さであってよい(事例1)一方で、合成ガス燃料のエネルギーレベル(Asyn)が0.83と0.9との間の値を有し(事例2)、これは合成ガス組成に依存する。結果として、パワーサイクル中の物理エクセルギーのカスケード利用と同様に、異なるエクセルギーレベルを有する燃料の化学エクセルギーを効率的に利用することが可能である。
【0039】
炭化水素燃料の化学エクセルギーは、伝統的に、直接燃焼によって解放され、熱エクセルギーの形態として利用される。その結果、炭化水素燃料のより高いエネルギーレベルAfは、熱エネルギーのエネルギーレベルAthへと直ちに低下し、事例1では、燃料の燃焼においてより大きいエクセルギー破壊がもたらされる(Af-Ath)。
【0040】
あるいは、AfとAsynとの間の化学エクセルギーの差を使用して、最初にメタン燃料から合成ガスに変換し、その後、合成ガスの燃焼(間接的燃料燃焼)を行う。ここで、化学エクセルギーAsynが、Athの熱エネルギーレベルに解放される。化学エネルギーから熱エネルギーへのエネルギーレベルの低下は、事例2では、はるかに低減される(Asyn-Ath)。例では、DRM反応器64中で、(セクション2.2中で議論したように)たった20%のメタンのみが合成ガスに変換され、そのため、燃料のその部分に、エクセルギー損失の低減が適用可能である。
【0041】
図3によれば、事例2では、燃料エネルギーQfと外部熱エネルギーQextとの両方が燃焼器に加えられることにも留意されたい。燃料の化学エクセルギーのカスケード利用のために、より低いグレードAQext(0.22)におけるQextの外部熱エネルギーは、より高いエネルギーレベルAsyn(0.83~0.9)にアップグレードされる。したがって、事例2について、そのことが燃料消費の減少をもたらして、全体効率の著しい改善が結果として得られる。
【0042】
つまり、
図3は、点104において、低いグレードの熱がより低いエネルギーレベル(AQext=0.22)を有する一方で、純粋メタン燃料が点106において最高エネルギーレベル(Af=約1.0)を有し、合成ガスが低下したエネルギーレベル(Asyn=0.83~0.9)を有することを示す。燃焼器12中での任意のタイプの燃料の燃焼では、エクセルギーの損失が経験される。したがって、燃焼器12中でメタン燃料(Af)が燃えると、点106から点110(Ath)に降下する。しかし、燃焼器12中で合成ガス(Asyn)が燃えると、点108から点110(Ath)に降下する。こうして、点108から点110に降下するエクセルギー損失は、点106から点110へ降下するのより小さく、事例2において、合成ガスの燃焼は、使用可能なエネルギーへより効果的に変換されることを示す。
【0043】
図4は、本開示にしたがったDRMシステム60を組み込んだ超臨界CO2パワーサイクル10を含む複合パワーシステム62を動作させるための方法200のステップを図示するライン図である。
【0044】
ステップ202において、DRM反応プロセスのために、CO2を構成成分として提供することができる。下で議論されるように、CO2は、方法200によって供給することができる。
【0045】
ステップ204において、DRM反応プロセスのために、燃料を構成成分として提供することができる。燃料は、天然ガスを含むことができるが、パイプラインまたは貯蔵タンクなどといった外側の供給源から供給することができる。ステップ202のCO2は、DRM反応プロセス中で混合するために、ステップ204の燃料に加えることができる。
【0046】
ステップ206において、熱をDRM反応器64に提供することができる。上で議論したように、この熱、たとえばQextは、熱源68によって提供することができ、熱源68は、太陽エネルギーなどの無償エネルギーまたは産業プロセスもしくはパワーシステムから採取される熱などの有償エネルギーを含むことができる。
【0047】
ステップ208において、ステップ202および204の混合したCO2および燃料、ならびにステップ206からの熱を組み合わせて、DRM反応器64中でDRMプロセスを実行し、合成ガス(COおよびH2)ならびにメタン(未反応燃料)を生成することができる。
【0048】
ステップ210において、DRM反応器64の出力、合成ガスおよびメタンが熱交換器66中で冷却され、それによって、燃料圧縮器28の圧縮仕事を低減する。同時に、ステップ202および204の混合したCO2および燃料は、熱交換器66中で加熱され、その後DRM反応器64へと渡り、それによって、DRM反応器64の効率的な動作を容易にすること、およびDRM反応を行うのに必要な外部の熱Qextの量を低減することができる。その後、合成ガス、メタン、およびCO2が、燃焼器12に提供される。燃料圧縮器28を使用して、燃焼させるために所望の圧力で燃焼器12に燃料を提供することができる。
【0049】
ステップ212において、酸素(O2)を、燃焼プロセスのため燃焼器12に、燃料と一緒に提供することができる。酸素は、パイプラインまたは貯蔵タンクなどといった外部の供給源から供給することができる。酸素は、酸素圧縮器26を使用して圧縮し、燃焼させるために所望の圧力で燃焼器12に提供することができる。
【0050】
ステップ214において、合成ガス、メタン、および酸素を燃焼器12の中で燃やして、排気ガスを生成することができる。天然ガスだけを燃やすよりも、合成ガスとメタンとの両方の燃焼は、DRM反応から結果として得られる燃焼器へのより大きいエネルギー入力から恩恵を受け、それによって、sCO2パワーサイクル10の全体効率を改善することができる。
【0051】
ステップ216において、主にCO2および蒸気を含む高圧で高温のガスを使用してタービン14を回すことができる。タービン14の回転を使用して、発電器(ステップ230参照)、圧縮器16、および再圧縮器18を動作させることができる。
【0052】
ステップ218において、排気ガスが第1の復熱器を通過することができる。一例では、第1の復熱器は高温復熱器20を備えることができる。第1の復熱器は、燃焼器12に入るパワーサイクル10の動作流体(たとえば、CO2)に熱を加えることができる。
【0053】
ステップ220において、排気ガスが第2の復熱器を通過することができる。一例では、第2の復熱器は低温復熱器22を備えることができる。第2の復熱器は、第1の(高温)復熱器20に入るパワーサイクル10の動作流体(たとえば、CO2)に熱を加えることができる。
【0054】
復熱器20は、「高温」と特徴づけることができる。というのは、復熱器20を通過する排気ガスはタービン14から直接出ており、したがって、排気ガスが復熱器22、すなわち、「低温」復熱器に入るときより熱いためである。
【0055】
ステップ222において、復熱器22を離れた排気ガスの第1の部分が冷却器24に入ることができる。冷却器24を使用して、パワーサイクル10の作動流体内の蒸気を水へと凝縮させることができる。
【0056】
ステップ224において、冷却器24を離れた排気ガスの第1の部分は圧縮器16に入ることができる。圧縮器16を離れた排気ガスの第1の部分は、復熱器22に入り、その後、ステップ218における排気ガスの元の流れと熱的に連通されるように復熱器20を通過することができる。復熱器22および20は、燃焼器12に入る前の排気ガスの第1の部分を加熱することができる。
【0057】
ステップ226において、復熱器22を離れた排気ガスの第2の部分が再圧縮器18に入ることができる。復熱器22および再圧縮器18を離れた排気ガスの第2の部分は、ステップ218における排気ガスの元の流れと熱的に連通されるように高温復熱器20に入ることができる。復熱器20は、燃焼器12に入る前の排気ガスの第2の部分を加熱することができる。
【0058】
ステップ228において、外部の用途のために、水、たとえば液体のH2Oを、排気ガスの第1の部分から抽出することができる。例示的な用途では、H2Oを貯蔵することができる。作動流体から水を取り除くと、ステップ229において純粋またはほぼ純粋なCO2の抽出を可能にすることができる。
【0059】
ステップ229において、外部の用途で使用するために、CO2を排気ガスの第1の部分から抽出することができる。外部の用途は、パワーサイクル10の場所での別のプロセスで使用するための貯蔵、または別の場所への移送のための容器中での貯蔵を単純に含むことができる。例では、用途は、産業プロセスにおいてなど、貯蔵することのない別の用途での直接使用を含むことができる。一例では、CO2は、原油の2次回収(EOR)プロセスで使用することができる。しかし、CO2の一部は、ステップ202においてDRM反応器中で使用するために方法200に戻すことができる。
【0060】
ステップ230において、シャフト32を介してタービン14を用いて発電器30を駆動することができる。発電器30は、たとえば電力網に提供することができる電力を発生させるために使用することができる。
【0061】
本開示は、複合パワーシステム62、たとえば、sCO2パワーサイクル10とDRMシステム60との組合せが、sCO2パワーサイクルのスタンドアロン動作と比較して、著しい性能改善を達成することができることを示す。全体効率は、それぞれ、3.4%ポイント(Qextの負債を考慮しない)または2.0%ポイント(Qextの負債を考慮する)だけ増加することができる。
【0062】
図2の性能の計算は、(a)1200℃T1tで64%のsCO2パワーサイクル効率、(b)20%のDRM反応器中のCH4の変換率に基づく。しかし、sCO2パワーサイクルの効率は、より高いT1tとともにさらに増加させることができる。DRM中のCH4変換率は、新しい触媒が開発されたらより高くなる可能性がある。計算結果に基づくと、70%のsCO2パワーサイクル効率および30%のCH4変換率が仮定される場合、効率向上の値は、それぞれ、5.7%または3.6%となってよい。したがって、この新しい概念の応用についての、性能改善のさらに大きな可能性を予想することができる。
【0063】
本研究は、提示されるように、典型的なsCO2パワーサイクル方式に基づく。提案した一体化の概念をすべて適用可能となるはずである、作動流体としてCO2を使用する様々なパワーサイクル方式(超臨界CO2サイクルまたは亜臨界CO2サイクル)が存在することが理解される。
【0064】
様々な注記および例
上の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面の参照を含む。例として、図面は、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」としてやはり参照される。そのような例は、示されるまたは記載されるものに加えて、要素を含むことができる。しかし、本発明者は、それらの要素だけが示される、または記載される例が提供される例をやはり意図している。さらに、本発明者は、本明細書に示されるまたは記載される特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関する、または他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関するいずれかの、示されるまたは記載される要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せもしくは置換を使用する例をやはり意図している。
【0065】
この文書と参照によって組み込まれる任意の文書との間で使用法が不一致な場合、この文書中の使用法が優先する。
【0066】
この文書では、「a」または「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、任意の他の事例または「少なくとも1つ」もしくは「1つまたは複数」という用語の使用とは無関係に、1または1以上を含むように使用される。この文書では、「または(or)」という用語は、非排他的orのことをいうために使用され、そのため、「AまたはB」という言葉は、別段に規定されない限り、「AだがBでない」、「BだがAでない」、および「AおよびB」を含む。この文書では、「含む(including)」および「そこでは(in which)」という用語は、「備える、含む(comprising)」および「そこでは(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の請求項では、「含む(including)」および「備える、含む(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項中でそのような用語の後にリスト化されるものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスは、依然として、その請求項の範囲内に入ると見なされる。さらに、以下の請求項では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象物に数値要件を課すことは意図されない。
【0067】
上の記載は、説明であることが意図され、限定を意図していない。たとえば、上で記載した例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。上の記載を検討すれば、当業者などによって、他の実施形態を使用することができる。要約は、米国特許法施行規則に適合させるために設けられ、読者は、本技術開示の性質を迅速に把握できる。要約は、請求項を解釈するまたは請求項の範囲もしくは意味を限定するために使用されないとの理解とともに提出される。また、上の詳細な説明では、様々な特徴を一緒にグループ化して、本開示を簡素化する場合がある。このことは、特許請求されずに開示される特徴は任意の請求項に対して基本的であると意図するものと解釈されるべきでない。むしろ、発明の主題は、特定の開示される実施形態のすべての特徴より少ないところに位置する場合がある。こうして、以下の請求項は、ここで例または実施形態として詳細な説明へと組み込まれ、各請求項は、それ自体で別個の実施形態として成立し、そのような実施形態が様々な組合せもしくは順列で互いと組み合わせることができることが意図される。本発明の範囲は、そのような請求項が権利を与える等価物の全範囲とともに、添付される請求項を参照して決定するべきである。
【符号の説明】
【0068】
10 超臨界CO2(sCO2)パワーサイクル
12 燃焼器
14 タービン
16 圧縮器
18 再圧縮器
20 高温(HT)復熱器
22 低温(LT)復熱器
24 冷却器
26 酸素圧縮器
28 燃料圧縮器
30 発電器
32 シャフト
34 ライン
36 ライン
38 ライン
40A 圧縮ライン
40B 圧縮ライン
41A ライン
42 ライン
44 ライン
46 ライン
48 ライン
50 ライン
52 出口
54 出口
60 DRMシステム
62 複合パワーシステム
64 DRM反応器
66 熱交換器
68 熱源
70A 弁
70B 弁
70C 弁
72 ライン
74 ライン
76 ライン
78 ライン
80 ライン
82 燃料源
84 ライン
86 ライン
102 カルノー効率曲線(ηC)
104 点
106 点
108 点
110 点
200 方法