(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電動機用回転子研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 21/00 20060101AFI20231108BHJP
B24B 21/02 20060101ALI20231108BHJP
B24B 5/18 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B24B21/00 D
B24B21/02
B24B5/18 Z
(21)【出願番号】P 2022036414
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2020049850の分割
【原出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391005156
【氏名又は名称】株式会社サンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】細貝 晃司
(72)【発明者】
【氏名】湯本 裕
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-146471(JP,A)
【文献】特許第3404579(JP,B2)
【文献】特許第6445504(JP,B2)
【文献】特公昭61-026299(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/00
B24B 21/02
B24B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の整流子部分及びシャフト部分を除く回転子の外周面を駆動される研磨テープで研磨する回転子研磨装置であって、上記回転子のシャフトの両端部をそれぞれ回転自在に支持可能な
対向一対のV状のシャフト受部を備えた回転子支持機構部と、該回転子の上部外周面に弾圧接触して該回転子を回転させる無端状の駆動ベルトを備えた回転駆動機構部と、該回転子の下部外周面を研磨する研磨テープを備えた研磨機構部とを具備し
、上記研磨機構部に該研磨テープを連続的又は間欠的に走行させるテープ走行機構及び上面に円弧状の圧接面が形成され該圧接面により該研磨テープを上記回転子の下部外周面に圧接可能な圧接部材をもつ圧接機構を備えてなることを特徴とする電動機用回転子研磨装置。
【請求項2】
上記回転駆動機構部を研磨時において上記回転子に上記駆動ベルトが接触する駆動位置から非研磨時において該駆動ベルトが該回転子から離反する退避位置に退避動作させる退避機構部を備えてなることを特徴とする請求項
1記載の電動機用回転子研磨装置。
【請求項3】
上記回転駆動機構部の駆動ベルトの走行方向と上記回転子の回転軸線に直交する直交方向とのなす角度を所定の傾斜角度に調節可能な傾斜角度調節機構と、該回転子のシャフトの一方端部に当接する位置決め部とを備えてなることを特徴とする請求項
1又は2記載の電動機用回転子研磨装置。
【請求項4】
上記駆動ベルトは上記回転子の上部外周面に弾圧接触可能な駆動位置に配置され、上記研磨テープは上記回転子の下部外周面を研磨する研磨位置に配置されてなることを特徴とする請求項
1又は2記載の電動機用回転子研磨装置。
【請求項5】
上記回転駆動機構部は上記駆動位置において上記駆動ベルトを上記回転子の外周面に巻掛接触させる一対の巻掛接触用ロール、該駆動ベルトを上記回転子の外周面に弾圧可能な弾圧用ロール及び該弾圧用ロールを弾圧すると共に上記退避位置における上記回転子の外周面からの離反により一対の巻掛接触用ロール間に生ずる該駆動ベルトの弛みを吸収するベルト弾圧吸収機構を備えていることを特徴とする請求項
2記載の電動機用回転子研磨装置。
【請求項6】
上記回転駆動機構部は上記駆動ベルトを駆動する駆動用モータ及び該駆動用モータにより回転する駆動ロールを備えてなり、該駆動ロールと上記一対の巻掛接触用ロールとの間に該駆動ベルトが巻掛配置され、上記退避機構部は該回転駆動機構部を該駆動ロールの回転軸線を中心として上下揺動用シリンダ及び歯車機構により上記駆動位置から上記退避位置に退避動作させることを特徴とする請求項
5記載の電動機用回転子研磨装置。
【請求項7】
上記傾斜角度調節機構は上記回転駆動機構部を駆動ロールの回転軸線に直交する旋回軸線をもつ旋回軸を中心として旋回調節可能な旋回調節機構からなることを特徴とする請求項
3記載の電動機用回転子研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、直流電動機、交流電動機、その他、各種の電動機の回転子(「ロータ」ともいわれている。)の外周面を研磨テープで研磨する電動機用回転子研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の電動機用回転子の整流子部分の表面やシャフト部分の外周面を研磨する装置として研磨テープを用いる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭61-26299号公報
【文献】特許第3404579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、電動機用回転子の整流子部分の表面やシャフト部分の外周面を研磨する構造のものであって、電動機用回転子の外周面を研磨する構造のものではなく、例えば、回転子はシャフトに複数の薄板材や珪素鋼板の積層体が外嵌着されてアルミダイキャストで一体に形成された構造であり、回転子は固定子(「ステータ」ともいわれている。)に所定のクリアランスをおいて同心状に内嵌着され、シャフトの回転軸線に対する回転子の外周面の真円度や同心度が厳しく要求され、電動機の回転効率にも影響し、このため、近年、特に、回転効率向上の面から電気自動車(EV車)用電動機の回転子の外周面の加工精度が強く要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の装置の発明は、電動機の整流子部分及びシャフト部分を除く回転子の外周面を駆動される研磨テープで研磨する回転子研磨装置であって、上記回転子のシャフトの両端部をそれぞれ回転自在に支持可能な対向一対のV状のシャフト受部を備えた回転子支持機構部と、該回転子の上部外周面に弾圧接触して該回転子を回転させる無端状の駆動ベルトを備えた回転駆動機構部と、該回転子の下部外周面を研磨する研磨テープを備えた研磨機構部とを具備し、上記研磨機構部に該研磨テープを連続的又は間欠的に走行させるテープ走行機構及び上面に円弧状の圧接面が形成され該圧接面により該研磨テープを上記回転子の下部外周面に圧接可能な圧接部材をもつ圧接機構を備えてなることを特徴とする電動機用回転子研磨装置にある。
【0006】
又、請求項2記載の装置の発明は、上記回転駆動機構部を研磨時において上記回転子に上記駆動ベルトが接触する駆動位置から非研磨時において該駆動ベルトが該回転子から離反する退避位置に退避動作させる退避機構部を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の装置の発明は、上記回転駆動機構部の駆動ベルトの走行方向と上記回転子の回転軸線に直交する直交方向とのなす角度を所定の傾斜角度に調節可能な傾斜角度調節機構と、該回転子のシャフトの一方端部に当接する位置決め部とを備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の装置の発明は、上記駆動ベルトは上記回転子の上部外周面に弾圧接触可能な駆動位置に配置され、上記研磨テープは上記回転子の下部外周面を研磨する研磨位置に配置されてなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項5記載の装置の発明は、上記回転駆動機構部は上記駆動位置において上記駆動ベルトを上記回転子の外周面に巻掛接触させる一対の巻掛接触用ロール、該駆動ベルトを上記回転子の外周面に弾圧可能な弾圧用ロール及び該弾圧用ロールを弾圧すると共に上記退避位置における上記回転子の外周面からの離反により一対の巻掛接触用ロール間に生ずる該駆動ベルトの弛みを吸収するベルト弾圧吸収機構を備えていることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の装置の発明は、上記回転駆動機構部は上記駆動ベルトを駆動する駆動用モータ及び該駆動用モータにより回転する駆動ロールを備えてなり、該駆動ロールと上記一対の巻掛接触用ロールとの間に該駆動ベルトが巻掛配置され、上記退避機構部は該回転駆動機構部を該駆動ロールの回転軸線を中心として上下揺動用シリンダ及び歯車機構により上記駆動位置から上記退避位置に退避動作させることを特徴とするものであり、又、請求項7記載の装置の発明は、上記傾斜角度調節機構は上記回転駆動機構部を駆動ロールの回転軸線に直交する旋回軸線をもつ旋回軸を中心として旋回調節可能な旋回調節機構からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、回転駆動機構部の無端状の駆動ベルトを回転子の外周面に弾圧接触して回転子を回転させ、回転駆動機構部の駆動ベルトにより回転子を回転させて研磨機構部の研磨テープにより回転子の外周面を研磨することになり、このため、回転子支持機構部の対向一対のV状のシャフト受部に上記回転子のシャフトの両端部をそれぞれ回転自在に支持して回転子の外周面を研磨することになるから、回転子の外周面とシャフトの外周面との同心度の高い回転子の外周面の研磨を行うことができ、回転子支持機構部の対向一対のV状のシャフト受部に回転子のシャフトの両端部をそれぞれ回転自在に支持し、回転駆動機構部の無端状の駆動ベルトを回転子の外周面に弾圧接触して回転子を回転させて研磨機構部の研磨テープで回転子の外周面を研磨することになるから、回転に伴う回転子の振動を抑制することができ、真円度及び表面粗さの良好な回転子の外周面の研磨を行うことができ、回転子の外周面を精度良く研磨加工することができ、回転子を電動機の固定子に所定のクリアランスをもって精度良く配置することができ、回転子の外周面やシャフトを把持することがなく、把持に伴う回転子の損傷を未然に防ぐことができ、回転子の供給及び取出の脱着を容易に行うことができ、回転子の研磨加工の効率を一層向上することができ、さらに、上記研磨機構部に研磨テープを連続的又は間欠的に走行させるテープ走行機構及び上面に円弧状の圧接面が形成され圧接面により研磨テープを上記回転子の下部外周面に圧接可能な圧接部材をもつ圧接機構を備えてなるから、上記研磨テープの走行動作及び圧接動作により回転子の外周面を精度良く研磨加工することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記回転駆動機構部を研磨時において上記回転子に上記駆動ベルトが接触する駆動位置から非研磨時において駆動ベルトが回転子から離反する退避位置に退避動作させる退避機構部を備えてなるから、回転駆動機構部を退避機構部により駆動ベルトが回転子から離反する退避位置に退避動作させ、人為的又は自動的に電動機の上記回転子のシャフトの両端部を回転子支持機構部の対向一対のV状のシャフト受部にそれぞれ回転自在に支持し、回転駆動機構部を駆動ベルトが回転子から離反する退避位置から上記回転子に上記駆動ベルトが接触する駆動位置に対向動作させ、研磨テープの走行動作及び圧接動作により回転子の外周面を精度良く研磨加工することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記回転駆動機構部の駆動ベルトの走行方向と上記回転子の回転軸線に直交する直交方向とのなす角度を所定の傾斜角度に調節可能な傾斜角度調節機構と、回転子のシャフトの一方端部に当接する位置決め部とを備えて構成しているから、駆動ベルトの走行方向と上記回転子の回転軸線に直交する直交方向とのなす傾斜角度により生ずるスラスト力により回転子のシャフトの一方端部は位置決め部に当接して回転子を対向一対のV状のシャフト受部で位置決めすることができ、回転子の位置決め構造を簡素化することができ、対向一対のV状のシャフト受部に対する回転子の供給及び取出を容易に行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記駆動ベルトは上記回転子の上部外周面に弾圧接触可能な駆動位置に配置され、上記研磨テープは上記回転子の下部外周面を研磨する研磨位置に配置されているから、回転子を回転させる回転駆動機構部の駆動ベルトの弾圧接触動作と研磨テープの圧接動作との相互干渉を回避することができ、回転子の外周面に対する駆動ベルトの巻付角を大きくすることが可能となり、駆動ベルトによる回転子の回転駆動を確実に行うことができ、回転子の外周面を良好に研磨加工を行うことができる。
【0010】
又、請求項5記載の発明にあっては、上記回転駆動機構部は上記駆動位置において上記駆動ベルトを上記回転子の外周面に巻掛接触させる一対の巻掛接触用ロール、駆動ベルトを上記回転子の外周面に弾圧可能な弾圧用ロール及び弾圧用ロールを弾圧すると共に上記退避位置における上記回転子の外周面からの離反により一対の巻掛接触用ロール間に生ずる駆動ベルトの弛みを吸収するベルト弾圧吸収機構を備えて構成しているから、回転子の外周面に対する駆動ベルトの巻付角を大きくすることが可能となり、駆動ベルトによる回転子の回転駆動及び駆動ベルトの走行を円滑に行うことができ、回転子の外周面の研磨を良好に行うことができ、又、請求項6記載の発明にあっては、上記回転駆動機構部は上記駆動ベルトを駆動する駆動用モータ及び駆動用モータにより回転する駆動ロールを備えてなり、駆動ロールと上記一対の巻掛接触用ロールとの間に駆動ベルトが巻掛配置され、上記退避機構部は回転駆動機構部を駆動ロールの回転軸線を中心として上下揺動用シリンダ及び歯車機構により上記駆動位置から上記退避位置に退避動作させるように構成しているから、上記退避機構部の構造を簡素化することができ、駆動位置から上記退避位置への退避動作を円滑に行うことができ、又、請求項7記載の発明にあっては、上記傾斜角度調節機構は上記回転駆動機構部を駆動ロールの回転軸線に直交する旋回軸線をもつ旋回軸を中心として旋回調節可能な旋回調節機構を備えて構成しているから、傾斜角度調節機構の構造を簡素化することができ、駆動ベルトの走行方向と上記回転子の回転軸線に直交する直交方向とのなす角度を所定の傾斜角度に調節することができ、スラスト力の調節により回転子を円滑に回転させることができると共に回転子のシャフトの一方端部を位置決め部に確実に当接させることができ、回転子の外周面の研磨を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態例の全体正断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態例の部分拡大正断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態例の部分拡大平面図である。
【
図7】本発明の実施の形態例の部分正断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態例の部分拡大正断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態例の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図10は本発明の実施の形態例を示し、
図1、
図2、
図7の如く、大別して、電動機の整流子部分及びシャフトS部分を除く回転子RのシャフトSの両端部をそれぞれ回転自在に支持可能な対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1を備えた回転子支持機構部Aと、回転子Rの外周面Gに弾圧接触して回転子Rを回転させる無端状の駆動ベルトB
1を備えた回転駆動機構部Bと、回転駆動機構部Bを上記回転子Rに上記駆動ベルトB
1が接触する駆動位置Kから駆動ベルトB
1が回転子Rから離反する退避位置Lに退避動作させる退避機構部Cと、回転子Rの外周面Gを研磨する研磨テープTを備えた研磨機構部Dとを具備して構成されている。
【0013】
この場合、
図1、
図2、
図6の如く、上記回転駆動機構部Bの駆動ベルトB
1の走行方向Bdと上記回転子Rの回転軸線R
0に直交する直交方向Ndとのなす角度を所定の傾斜角度θに調節可能な傾斜角度調節機構Eと、回転子RのシャフトSの一方端部に当接する位置決め部Fとを備えて構成している。
【0014】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記研磨機構部Dに上記研磨テープTを連続的又は間欠的に走行させるテープ走行機構D
1及び研磨テープTを上記回転子Rの外周面Gに圧接可能な圧接機構D
2を備えている。
【0015】
又、この場合、
図4、
図5の如く、上記駆動ベルトB
1は上記回転子Rの上部外周面G
Uに弾圧接触可能な上記駆動位置Kに配置され、上記研磨テープTは上記回転子Rの下部外周面G
Dを研磨する研磨位置Qに配置されている。
【0016】
又、この場合、
図1、
図4、
図7、
図9の如く、上記回転駆動機構部Bは上記駆動位置Kにおいて上記駆動ベルトB
1を上記回転子Rの外周面Gに巻付角γで巻掛接触させる一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2、駆動ベルトB
1を上記回転子Rの外周面Gに弾圧可能な弾圧用ロールB
3及び弾圧用ロールB
3を弾圧すると共に上記退避位置Lにおける上記回転子Rの外周面Gからの離反により一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2間に生ずる駆動ベルトB
1の弛みを弾圧用ロールB
3の上昇により駆動ベルトB
1を持ち上げて吸収するベルト弾圧吸収機構B
4を備えて構成している。
【0017】
又、この場合、
図1、
図2、
図7の如く、上記回転駆動機構部Bは上記駆動ベルトB
1を駆動する駆動用モータB
M及び駆動用モータB
Mにより回転する駆動ロールB
Rを備えてなり、駆動ロールB
Rと上記一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2との間に駆動ベルトB
1が巻掛配置され、上記退避機構部Cは回転駆動機構部Bを駆動ロールB
Rの回転軸線B
R0を中心として上下揺動用シリンダC
1及び歯車機構C
2により上記駆動位置Kから上記退避位置Lに退避動作させるように構成されている。
【0018】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記傾斜角度調節機構Eは上記回転駆動機構部Bを駆動ロールB
Rの回転軸線B
R0に直交する旋回軸線E
10をもつ旋回軸E
1を中心として旋回調節可能な旋回調節機構E
2を備えて構成されている。
【0019】
この場合、上記回転子支持機構部Aは、
図1、
図2、
図4、
図5、
図10の如く、機体1に支持台2を立設し、支持台2に上記研磨テープTに直交する方向にガイドキー部材3を取付け、支持台2に上記対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1をガイドキー部材3により位置調節自在にボルト4で取付け、シャフト受部A
1・A
1のV状受面5・5で上記電動機の回転子RのシャフトSの両端部をそれぞれ回転自在に支持可能に設け、この場合、シャフト受部A
1・A
1のV状受面5・5にそれぞれ工業用ダイヤモンド材や他の硬い材質の硬質材5a・5aが配置され、上記ガイドキー部材3により上記対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1を位置調節することで電動機の回転子RのシャフトSの長さや大きさなどに対応可能に構成している。
【0020】
又、この場合、
図1、
図3の如く、上記回転駆動機構部Bは、揺動機体6に上記一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2、ベルト弾圧吸収機構B
4の弾圧用ロールB
3及び駆動ロールB
Rが配置され、これら一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2、弾圧用ロールB
3及び駆動ロールB
Rに上記無端状の駆動ベルトB
1が巻装配置されて構成されている。
【0021】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記退避機構部C及び傾斜角度調節機構E、旋回調節機構E
2にあっては、機体1の水平面部1aに旋回台7を旋回軸E
1により旋回軸線E
10を中心として旋回調節自在に設け、旋回台7を機体1に固定するボルト8を設け、旋回台7に取付台9をボルト9bにより取付け、取付台9に上記回転駆動機構部Bの駆動用モータB
Mを取付けると共に回転軸10を軸架し、駆動用モータB
Mの主軸と回転軸10を継手11で連結し、一方、
図1、
図2、
図7の如く、取付台9に取付片9aにより上下揺動用シリンダC
1を取付けると共に上下移動部材12をガイド材12a及び摺動部12bにより上下摺動自在に設け、上記回転軸10に歯車機構C
2のピニオン歯車C
2Aを回転自在に軸架し、上下移動部材12にピニオン歯車C
2Aに歯合するラック歯車C
2Bを上下方向に取付け、上記ピニオン歯車C
2Aのボス部に揺動機体6を取付け、上記回転軸10に上記駆動ロールB
Rを取付け、上記退避機構部Cは駆動ロールB
Rの回転軸線B
R0を中心として上下揺動用シリンダC
1及び歯車機構C
2により上記駆動位置Kから上記退避位置Lに退避動作させるように構成され、駆動用モータB
Mにより回転軸10及び駆動ロールB
Rを介して駆動ベルトB
1を循回駆動するように構成され、又、位置決め部Fにあっては、上記支持台2に位置決め台13を上記ガイドキー部材3により位置調節自在にボルト13aで取付け、位置決め台13に停止ピン14を進退調節自在に設け、
図6の如く、上記回転駆動機構部Bの駆動ベルトB
1の走行方向Bdと上記回転子Rの回転軸線R
0に直交する直交方向Ndとのなす傾斜角度θにより生ずる図示のスラスト力Pにより回転子Rをシャフト受部A
1・A
1上で移動させて回転子RのシャフトSの一方端部を位置決め部Fに当接させ、回転子Rをシャフト受部A
1・A
1で位置決め自在に構成している。
【0022】
この場合、
図3の如く、上記弾圧用ロールB
3及びベルト弾圧吸収機構B
4にあっては、上記揺動機体6に弾圧用シリンダ15を取付けると共に弾圧用部材16をガイド材16a及び摺動部16bにより上下摺動自在に設け、弾圧用部材16に弾圧用ロールB
3を取付け、
図4の如く、上記駆動位置Kにおいて、弾圧用ロールB
3により駆動ベルトB
1を上記回転子Rの外周面Gに弾圧可能に構成すると共に、
図7の如く、上記退避位置Lにおける上記回転子Rの外周面Gからの離反により一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2間に生ずる駆動ベルトB
1の弛みを弾圧用ロールB
3の上昇により駆動ベルトB
1を持ち上げて吸収するように構成している。
【0023】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記研磨機構部Dのテープ走行機構D
1にあっては、上記機体1の一方側部に研磨テープTを巻回した満巻ロール17を取付け、満巻ロール17を巻き解く巻解モータ17aを配設し、上記機体1の他方側部に巻取ロール18及び挟持ロール19を配置し、機体1に巻取ロール18を回転させる巻取モータ20を取付け、満巻ロール17から巻き解いた研磨テープTをガイドロール21・22及び上記回転子支持機構部Aを介して巻取ロール18により連続的又は間欠的に巻取移送させるように構成され、又、上記圧接機構D
2にあっては、
図4、
図5、
図6、
図8の如く、上記支持台2に上記対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1間にしてガイドキー部材3により受部材23を位置調節自在にボルト23aで取付け、受部材23の上方に圧接部材24をガイドピン23c・23c、圧接用バネ24b及びガイド穴24a・24aにより上下動自在に設け、圧接部材24の上面に円弧状の圧接面24cを形成し、圧接部材24にストッパ凸部24dを形成し、受部材23に圧接部材24のストッパ凸部24dに当接する上限用ストッパ23bを取付け、
図4、
図8の如く、上記弾圧用ロールB
3により駆動ベルトB
1を回転子Rの上部外周面G
Uに弾圧接触し、回転子Rの下部外周面G
Dを研磨テープTを介して圧接部材24の圧接面24cにより圧接用バネ24bのバネ圧で圧接して研磨テープTの回転子Rの外周面Gに対する研磨圧力を得るように構成している。
【0024】
この場合、上記研磨テープTは、例えば、ポリエステルフィルム、メタル、クロス、発泡体フィルム、植毛布等の基材に酸化アルミニュウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等の所定粒度の固定砥粒をコーティング又は結合してなるものが用いられている。尚、このような基材に固定砥粒を固着した構造の研磨テープTを用いて潤滑剤を用いない乾式研磨構造や基材に固定砥粒を固着した構造の研磨テープTを用いて潤滑剤を供給しつつ研磨する湿式研磨構造、或いは、固定砥粒を固着していない織布、不織布、発泡体フィルム、植毛布を研磨テープTとして用いて遊離砥粒を含む研磨剤を供給する湿式研磨構造を採用することがあり、よって、ここでいう研磨テープTは、固定砥粒を固着した構造の研磨テープや固定砥粒を固着していない構造の研磨テープをも含むものである。
【0025】
この実施の形態例は上記構成であるから、
図7の如く、回転駆動機構部Bを退避機構部Cにより駆動ベルトB
1が回転子Rから離反する退避位置Lに退避動作させ、人為的又は自動的に電動機の上記回転子RのシャフトSの両端部を回転子支持機構部Aの対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1にそれぞれ回転自在に支持し、
図1の如く、回転駆動機構部Bを駆動ベルトB
1が回転子Rから離反する退避位置Lから上記回転子Rに上記駆動ベルトB
1が接触する駆動位置Kに対向動作させ、回転駆動機構部Bの無端状の駆動ベルトB
1を回転子Rの外周面Gに弾圧接触して回転子Rを回転させ、回転駆動機構部Bの駆動ベルトB
1により回転子Rを回転させて研磨機構部Dの研磨テープTにより回転子Rの外周面Gを研磨することになり、このため、回転子支持機構部Aの対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1に上記回転子RのシャフトSの両端部をそれぞれ回転自在に支持して回転子Rの外周面Gを研磨することになるから、回転子Rの外周面GとシャフトSの外周面との同心度の高い回転子Rの外周面Gの研磨を行うことができ、回転子支持機構部Aの対向一対のV状のシャフト受部A
1・A
1に回転子RのシャフトSの両端部をそれぞれ回転自在に支持し、回転駆動機構部Bの無端状の駆動ベルトB
1を回転子Rの外周面Gに弾圧接触して回転子Rを回転させて研磨機構部Dの研磨テープTで回転子Rの外周面Gを研磨することになるから、回転に伴う回転子Rの振動を抑制することができ、真円度及び表面粗さの良好な回転子Rの外周面Gの研磨を行うことができ、回転子Rの外周面Gを精度良く研磨加工することができ、回転子Rを電動機の固定子に所定のクリアランスをもって精度良く配置することができ、回転子Rの外周面GやシャフトSを把持することがなく、把持に伴う回転子Rの損傷を未然に防ぐことができ、回転子Rの供給及び取出の脱着を容易に行うことができ、回転子Rの研磨加工の効率を一層向上することができる。
【0026】
この場合、
図1、
図2、
図6の如く、上記回転駆動機構部Bの駆動ベルトB
1の走行方向Bdと上記回転子Rの回転軸線R
0に直交する直交方向Ndとのなす角度を所定の傾斜角度θに調節可能な傾斜角度調節機構Eと、回転子RのシャフトSの一方端部に当接する位置決め部Fとを備えて構成しているから、駆動ベルトB
1の走行方向Bdと上記回転子Rの回転軸線R
0に直交する直交方向Ndとのなす傾斜角度θにより生ずるスラスト力Pにより回転子RのシャフトSの一方端部は位置決め部Fに当接して回転子Rをシャフト受部A
1・A
1で位置決めすることができ、回転子Rの位置決め構造を簡素化することができ、シャフト受部A
1・A
1に対する回転子Rの供給及び取出を容易に行うことができ、又、この場合、
図1、
図2、
図3の如く、上記研磨機構部Dに上記研磨テープTを連続的又は間欠的に走行させるテープ走行機構D
1及び研磨テープTを上記回転子Rの外周面Gに圧接可能な圧接機構D
2を備えているから、研磨テープTの走行動作及び圧接動作により回転子Rの外周面Gを精度良く研磨加工することができ、又、この場合、
図4の如く、上記駆動ベルトB
1は上記回転子Rの上部外周面G
Uに弾圧接触可能な上記駆動位置Kに配置され、上記研磨テープTは上記回転子Rの下部外周面G
Dを研磨する研磨位置Qに配置されているから、回転子Rを回転させる回転駆動機構部Bの駆動ベルトB
1の弾圧接触動作と研磨テープTの圧接動作との相互干渉を回避することができ、回転子Rの外周面Gに対する駆動ベルトB
1の巻付角γを大きくすることが可能となり、駆動ベルトB
1による回転子Rの回転駆動を確実に行うことができ、回転子Rの外周面Gを良好に研磨加工を行うことができる。
【0027】
又、この場合、
図1、
図4の如く、上記回転駆動機構部Bは上記駆動位置Kにおいて上記駆動ベルトB
1を上記回転子Rの外周面Gに巻掛接触させる一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2、駆動ベルトB
1を上記回転子Rの外周面Gに弾圧可能な弾圧用ロールB
3及び弾圧用ロールB
3を弾圧すると共に上記退避位置Lにおける上記回転子Rの外周面Gからの離反により一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2間に生ずる駆動ベルトB
1の弛みを吸収するベルト弾圧吸収機構B
4を備えて構成しているから、回転子Rの外周面Gに対する駆動ベルトB
1の巻付角γを大きくすることが可能となり、駆動ベルトB
1による回転子Rの回転駆動及び駆動ベルトB
1の走行を円滑に行うことができ、回転子Rの外周面Gの研磨を良好に行うことができ、又、この場合、
図1、
図7の如く、上記回転駆動機構部Bは上記駆動ベルトB
1を駆動する駆動用モータB
M及び駆動用モータB
Mにより回転する駆動ロールB
Rを備えてなり、駆動ロールB
Rと上記一対の巻掛接触用ロールB
2・B
2との間に駆動ベルトB
1が巻掛配置され、上記退避機構部Cは回転駆動機構部Bを駆動ロールB
Rの回転軸線B
R0を中心として上下揺動用シリンダC
1及び歯車機構C
2により上記駆動位置Kから上記退避位置Lに退避動作させるように構成しているから、上記退避機構部Cの構造を簡素化することができ、駆動位置Kから上記退避位置Lへの退避動作を円滑に行うことができ、又、この場合、
図1、
図2、
図6の如く、上記傾斜角度調節機構Eは上記回転駆動機構部Bを駆動ロールB
Rの回転軸線B
R0に直交する旋回軸線E
10をもつ旋回軸E
1を中心として旋回調節可能な旋回調節機構E
2を備えて構成しているから、傾斜角度調節機構Eの構造を簡素化することができ、駆動ベルトB
1の走行方向Bdと上記回転子Rの回転軸線R
0に直交する直交方向Ndとのなす角度を所定の傾斜角度θに調節することができ、スラスト力Pの調節により回転子Rを円滑に回転させることができると共に回転子RのシャフトSの一方端部を位置決め部Fに確実に当接させることができ、回転子Rの外周面Gの研磨を良好に行うことができる。
【0028】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、回転子R、シャフトS、研磨テープTの構造、回転子支持機構部A、シャフト受部A1・A1、回転駆動機構部B、駆動ベルトB1、巻掛接触用ロールB2・B2、弾圧用ロールB3、ベルト弾圧吸収機構B4、駆動用モータBM、駆動ロールBR、走行方向Bd、回転軸線BR0、退避機構部C、上下揺動用シリンダC1、歯車機構C2、研磨機構部D、テープ走行機構D1、圧接機構D2、傾斜角度調節機構E、旋回軸E1、旋回調節機構E2、旋回軸線E10、位置決め部Fの構造や傾斜角度θは適宜変更して設計されるものである。
【0029】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0030】
R 回転子
S シャフト
T 研磨テープ
A 回転子支持機構部
A1 シャフト受部
B 回転駆動機構部
B1 駆動ベルト
B2 巻掛接触用ロール
B3 弾圧用ロール
B4 ベルト弾圧吸収機構
BM 駆動用モータ
BR 駆動ロール
Bd 走行方向
BR0 回転軸線
C 退避機構部
C1 上下揺動用シリンダ
C2 歯車機構
D 研磨機構部
D1 テープ走行機構
D2 圧接機構
E 傾斜角度調節機構
E1 旋回軸
E2 旋回調節機構
E10 旋回軸線
F 位置決め部
G 外周面
GU 上部外周面
GD 下部外周面
K 駆動位置
L 退避位置
R0 回転軸線
Nd 直交方向
Q 研磨位置
θ 傾斜角度
24 圧接部材
24c 圧接面