(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】排ガス加熱アセンブリのための加熱導体
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H05B3/10 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067682
(22)【出願日】2022-04-15
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】10 2021 109 567.0
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファティ ウイサル
(72)【発明者】
【氏名】エンヴェル クルペヨヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス テューバー
(72)【発明者】
【氏名】ザンドラ ヘッケル
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510343(JP,A)
【文献】特開昭60-130084(JP,A)
【文献】特開平06-241023(JP,A)
【文献】特開2004-267959(JP,A)
【文献】特開2004-360584(JP,A)
【文献】特表2002-509989(JP,A)
【文献】特開2004-152912(JP,A)
【文献】特開平08-218856(JP,A)
【文献】特表2016-503854(JP,A)
【文献】特開2009-043470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0109652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0315943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリのための加熱導体
(66)であって、
前記加熱導体(66)は、金属フラット材料素材(140)からの分離によりプレート状に提供されており、
複数の
、加熱導体区分長手方向(H)で細長く延びている加熱導体区分(
82,84)を含んでおり、
前記加熱導体区分(82,84)の少なくとも一部が、前記加熱導体(66)の、少なくとも部分的にメアンダ状に蛇行した構造において、互いに接続し、隣り合って位置するように配置されており、かつ/または、
前記加熱導体区分(82,84)の少なくとも一部が、前記加熱導体(66)の、少なくとも部分的に螺旋状に蛇行する構造において、互いに接続する蛇行区分によって形成されており、
少なくとも1つの加熱導体区分(82,84)に
、排ガスにより通流可能であ
り、通流開口長手方向(D)で細長く延びている少なくとも1つ
の通流開口(124)が設けられて
おり、
前記通流開口長手方向(D)は、前記少なくとも1つの通流開口(124)の領域において、前記加熱導体区分長手方向(H)と実質的に同一であり、
少なくとも1つの通流開口(124)に対応して、前記加熱導体(66)に流れガイドエレメント(130)が設けられており、
少なくとも1つの通流開口(124)において、対応する前記流れガイドエレメント(130)が、前記通流開口(124)の一方の長手方向端部領域(132)を起点として、前記通流開口長手方向(D)で、少なくとも部分的に前記通流開口(124)にわたって延びている、
加熱導体
(66)。
【請求項2】
前記複数の通流開口(124)の一部または各通流開口(124)が、
前記加熱導体区分長手方向(H)で細長く延びている、請求項1記載の加熱導体
(66)。
【請求項3】
前記複数の通流開口(124)の一部または各通流開口(124)に対応して、前記加熱導体(66)に流れガイドエレメント(130)が設けられている、請求項1記載の加熱導体
(66)。
【請求項4】
前記複数の通流開口(124)の一部または各通流開口(124)において、対応する前記流れガイドエレメント(130)が、前記通流開口(124)の
前記一方の長手方向端部領域(132)を起点として、
前記通流開口長手方向(D)で、少なくとも部分的に前記通流開口(124)にわたって延びている、請求項
3記載の加熱導体
(66)。
【請求項5】
少なくとも1つの通流開口(124
)において、対応する前記流れガイドエレメント(130)が、少なくとも部分的に前記加熱導体(66)に関してずらされている、請求項
3または
4記載の加熱導体
(66)。
【請求項6】
前記複数の通流開口(124)の一部または各通流開口(124)において、対応する前記流れガイドエレメント(130)が、少なくとも部分的に前記加熱導体(66)に関してずらされている、請求項5記載の加熱導体(66)。
【請求項7】
複数のまたは各加熱導体区分(82,84)に、排ガスにより通流可能である少なくとも1つの通流開口(124)が設けられている、請求項1記載の加熱導体
(66)。
【請求項8】
少なくとも1つの加熱導体区分(82,84)に、排ガスにより通流可能である複数の通流開口(124)が設けられている、請求項1記載の加熱導体(66)。
【請求項9】
請求項1記載の加熱導体(66)を製造する方法であって、
a)
前記金属フラット材料素材(140)を提供するステップと、
b)前記金属フラット材料素材(140)から、
前記複数の加熱導体区分(82,84)と一緒に、少なくとも1つの加熱導体(66)を分離するステップと、
c)
少なくとも1つの通流開口(124)に対応する少なくとも1つの加熱導体(66)において、少なくとも部分的に前記通流開口(124)にわたって延びている前記流れガイドエレメント(130)が形成される、前記少なくとも1つの加熱導体(66)の
前記少なくとも1つの加熱導体区分(82,84)に、
前記少なくとも1つの通流開口(124
)を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記ステップb)において、少なくとも1つ
の加熱導体(66)を、打抜きまたは切出しよって前記金属フラット材料素材(140)から分離する、請求項
9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの加熱導体(66
)に対応して、少なくとも1つの通流開口(124
)を提供するために、前記ステップc)を、前記ステップb)の実施時に実施する、請求項
9または
10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの加熱導体(66
)に対応して、少なくとも1つの通流開口(124
)を提供するために、前記ステップc)を、前記ステップb)の実施前に実施する、請求項
9記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの加熱導体(66
)に対応して、少なくとも1つの通流開口(124
)を提供するために、前記ステップc)を、前記ステップb)の実施後に実施する、請求項
9記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの加熱導体(66
)に対応して、少なくとも1つの通流開口(124
)を提供するために、前記ステップb)と前記ステップc)とを、互いに異なる加工法で実施する、請求項
12または
13記載の方法。
【請求項15】
各加熱導体(66)に対応して、前記ステップc)において
、前記複数の通流開口(124)の一部または全ての通流開口(124)に対応して、流れガイドエレメント(130)を形成する、請求項
9記載の方法。
【請求項16】
内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリであって、キャリヤアセンブリ(16)と
、前記キャリヤアセンブリ(1
6)により排ガスガイドケーシング(10)において支持されている、請求項
1記載の少なくとも1つ
の加熱導体(66)であって
、請求項
9記載の方法によって製造される加熱導体(66)と
、を含んでいる、排ガス加熱アセンブリ。
【請求項17】
請求項
16記載の少なくとも1つの排ガス加熱アセンブリ(120)を含む、内燃機関用の排ガス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリのための加熱導体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属フラット材料からの分離により形成された加熱導体を備えた排ガス加熱アセンブリは、先願の独国特許出願公開第102020123376号明細書から公知である。2つのキャリヤエレメント間に支持された加熱導体を、金属フラット材料からの分離によって、たとえば金属フラット材料のプレート状の素材からのこのような加熱導体の切出しまたは打抜きによって提供することにより、ほぼ任意である比較的複雑な形状で、かつ特に変化する横断面で、ひいては様々な導体区分の局所的に変化する抵抗でこのような加熱導体を提供し、ひいてはこの加熱導体を、排ガス装置の排ガスガイドケーシング内に存在する流れ状況に適合させることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、内燃機関の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリのための加熱導体を改良して、この加熱導体を通流する排ガスへの熱の伝達時に高い効率を有するようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリのための加熱導体であって、複数の加熱導体区分を含んでおり、少なくとも1つの加熱導体区分に、好適には複数または各加熱導体区分に、排ガスにより通流可能である少なくとも1つの、好適には複数の通流開口が設けられている、加熱導体によって解決される。
【0005】
加熱導体の加熱導体区分の少なくとも一部に、つまり加熱導体の複数の加熱導体区分のうちの少なくとも1つの加熱導体区分に、1つまたは複数の通流開口を提供することによって、排ガス装置内の流れ状況への著しい影響が達成される。通流開口に基づいて、排ガスの通流時にこのような加熱導体により形成される逆圧は、通流開口を有しないほぼ同一に寸法設計された加熱導体における逆圧よりも小さい。加熱導体自体が改善されており、このような通流開口の幾何学形状に依存して、より大きな表面領域において排ガスが周囲を流れることができ、これにより加熱導体の周囲を流れる排ガスへの熱伝達を増強することができる。加熱運転中に加熱導体は電流により通流され、それぞれの通流開口の領域で、このような通流開口の両側において、通流開口の断面面幾何学形状に依存した電気抵抗を有する電流経路が形成されているので、電流の流れへの局所的な影響または設定により、内燃機関の排ガス装置内のそれぞれの流れ状況に熱伝達挙動を適合させて提供することができる。
【0006】
通電される加熱導体の、効率的な熱伝達にとって有利である大きな長さは、加熱導体区分の少なくとも一部が、加熱導体の、蛇行して延びる構造を提供するために、互いに接続するように配置されていることによって達成することができる。
【0007】
このために、たとえば、加熱導体区分の少なくとも一部が、加熱導体の、少なくとも部分的にメアンダ状に蛇行しれた構造を形成することが規定されている。メアンダ状の構造を一緒に形成する個別の加熱導体区分自体は、それぞれ実質的に直線的に延びるか、または曲げて形成されていてよい。
【0008】
さらに、加熱導体の比較的に大きな長さのために、加熱導体区分の少なくとも一部が、加熱導体の、少なくとも部分的に螺旋状に蛇行する構造を形成することができる。これらの加熱導体区分は、加熱導体がこのように螺旋状に蛇行する構造では、たとえばそれぞれ約360°の角度を越えて延びる蛇行区分により提供されていてよい。
【0009】
加熱導体の個別の加熱導体区分は、概して実質的に加熱導体区分長手方向の方向で細長く延びているので、それぞれの通流開口の大きな横断面積のために、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または各通流開口が、加熱導体区分長手方向で細長く延びていることが規定されていてよい。
【0010】
大きな熱伝達面を提供すると同時に、流れガイドにさらに影響を与えるために、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または各通流開口に対応して、加熱導体に流れガイドエレメントが設けられていてよい。
【0011】
このために、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または各通流開口において、対応する流れガイドエレメントが、通流開口の一方の長手方向端部領域を起点として、通流開口長手方向で、少なくとも部分的に通流開口にわたって延びていてよい。
【0012】
特に簡単かつ廉価に製造されるべき、運転中に確実に作用する構造のために、加熱導体が実質的にプレート状に形成されていてよく、かつ/または、たとえば2.4869,14765または1.4725の金属フラット材料からの分離により提供されていてよい。
【0013】
流れに影響を与え、排ガスが通流するためのそれぞれの通流開口を開放するために、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または各通流開口において、対応する流れガイドエレメントが、少なくとも部分的に加熱導体に関してずらされていてよい。
【0014】
特に簡単かつ廉価に製造されるべき、運転中に確実に作用する構造のために、加熱導体が実質的にプレート状に形成されていてよく、かつ/または金属フラット材料からの分離により提供されていてよい。
【0015】
本発明はさらに、内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリのための加熱導体を製造する方法であって、
a)金属フラット材料素材を提供するステップと、
b)金属フラット材料素材から、複数の加熱導体区分と一緒に、少なくとも1つの加熱導体を分離するステップと、
c)少なくとも1つの加熱導体の少なくとも1つの加熱導体区分に、少なくとも1つの通流開口、好ましくは複数の通流開口を提供するステップと、
を含む方法に関する。
【0016】
この場合、特に簡単な形式で、ステップb)において、少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体を、打抜きまたは切出しにより、たとえばレーザビーム切断またはウォータジェット切断により、金属フラット材料素材から分離することができる。
【0017】
本発明に係る方法の迅速かつ正確な実施のために、少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体に対応して、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または全ての通流開口を提供するために、ステップc)を、ステップb)の実施時に実施することができる。この場合、たとえば、1つまたは複数の加熱導体を打抜きにより金属フラット材料素材から形成する場合、1つまたは複数の通流開口を形成するステップも打抜きにより実施することができる。ステップb)およびc)の同時的な実施時に、加熱導体が切出しにより形成される場合、同一の加工ステップにおいて1つまたは複数の通流開口を形成することもできる。
【0018】
特に、ステップb)において、極めて繊細に構造化された加熱導体区分を備えた加熱導体を提供すべき場合、かつ/またはステップc)において、極めて繊細な構造を備えた1つまたは複数の通流開口をそれぞれの加熱導体区分において提供すべき場合に、少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体に対応して、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または全ての通流開口を提供するために、ステップc)を、ステップb)の実施前に実施することができる。したがって、このような通流開口は、加熱導体を金属フラット材料素材から既に存在している通流開口と一緒に分離する前に、比較的安定的な金属フラット材料素材に形成される。したがって、この手順は、金属フラット材料素材からの加熱導体の分離後に、個別化された加熱導体に通流開口を形成するための別の加工ステップを実質的に実施する必要がないので特に有利である。
【0019】
別の手順では、少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体に対応して、少なくとも1つの通流開口、好適には複数または全ての通流開口を提供するために、ステップc)を、ステップb)の実施後に実施することができる。
【0020】
特に、ステップb)とステップc)とが同時に実施されない場合、少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体に対応して、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または各通流開口を提供するために、ステップb)とステップc)とは、互いに異なる加工法で実施することができる。これは、これらの各ステップのために、これらのステップにとって最適な加工法を考慮することを可能にする。
【0021】
少なくとも1つの加熱導体、好適には各加熱導体に対応して、ステップc)において、少なくとも1つの通流開口、好適には複数の通流開口の一部または全ての通流開口に対応して、流れガイドエレメントを形成することができる。
【0022】
本発明はさらに、内燃機関用の排ガス装置用の排ガス加熱アセンブリであって、キャリヤアセンブリと、排ガス主流方向で連続する、キャリヤアセンブリによって排ガスガイドケーシングにおいて支持されている、本発明により構成された少なくとも1つの、好適には複数の加熱導体であって、好適には本発明に係る方法によって製造される加熱導体とを含む、排ガス加熱アセンブリに関する。
【0023】
さらに、本発明は、本発明により構成された少なくとも1つの排ガス加熱アセンブリを含む、内燃機関用の排ガス装置に関する。
【0024】
本発明を以下に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】排ガスガイドケーシング内の排ガス加熱器を示す斜視図である。
【
図2】排ガスガイドケーシング内に挿入された排ガス加熱器の部分的な縦断面図である。
【
図3】
図1に示した排ガス加熱器の加熱導体アセンブリの加熱導体を示す図である。
【
図4】本発明により構成された加熱導体の一部を示す図である。
【
図5】本発明により構成された別の加熱導体の一部を示す図である。
【
図6】
図5に示した視線方向VIで
図5に示した加熱導体を示す側面図である。
【
図7】分離すべき加熱導体を備えた金属フラット材料素材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図3は、たとえば少なくとも部分的に排ガス加熱器中心軸線Aの方向に細長く延びる管状の排ガスガイドケーシング10内に挿入された排ガス加熱器12を備えた、内燃機関の排ガス装置122における排ガス加熱アセンブリ120の1つの構造形態を示している。排ガス加熱器12は、キャリヤアセンブリ16によって排ガスガイドケーシング10において支持された、概して参照符号14で示される加熱導体アセンブリを含んでいる。
【0027】
キャリヤアセンブリ16は、たとえば金属薄板材料から成形される、互いに構造同一である、ディスク形の2つのキャリヤエレメント18,20を含んでいる。これらのキャリヤエレメント18,20は、排ガス加熱器中心軸線Aに対して実質的に横方向に延びる中心領域22と、この中心領域22から半径方向外方に向かう方向に延びる複数のキャリヤアーム24,26,28,30,32,34とを備えて構成されている。キャリヤエレメント18,20の外周領域には、概して参照符号38で示される取付け領域が形成されており、この取付け領域38により、キャリヤエレメント18,20、ひいては排ガス加熱器12全体を、排ガスガイドケーシング10の内面に、たとえば溶接により固定することができる。この取付け領域38において、両キャリヤエレメント18,20は、軸方向に折り曲げられている。
【0028】
複数のキャリヤアーム24,26,28,30,32,34のそれぞれの領域において、取付け領域38は、それぞれの取付け区分40,42,44,46,48,50を含んでいる。キャリヤアーム24,26,28,30,32,34の半径方向外側の端部領域をそれぞれ形成する2つの取付け区分40,42,44,46,48,50の間には、隣り合う2つのキャリヤアームの取付け区分を結合する取付け縁部54,56,58,60,62,64がそれぞれ形成されており、これにより、取付け区分40,42,44,46,48,50は、その間に延びる隣り合うキャリヤアーム24,26,28,30,32,34を互いに結合する取付け縁部54,56,58,60,62,64と一緒に、取付け領域38の、周方向に実質的に一貫した構造を提供する。
【0029】
キャリヤアーム24,26,28,30,32,34と、取付け領域38の形状とにより、排ガス加熱器12を通流する排ガスのための意図的な流れガイドが達成される。特に、キャリヤアーム24,26,28,30,32,34により、直接的に流れが当たることに対して保護することが望ましい領域をカバーすることができる。これはたとえば、たとえば温度検出または排ガス組成の検出のためのセンサが配置されている領域であってよい。実質的に環状に一貫して延びる取付け領域38により、排ガス加熱器12を含む排ガスガイドケーシング10の、比較的冷たい内面に直接沿っている半径方向外側領域における流れが阻止される。
【0030】
図3は、加熱導体アセンブリ14の、流れ方向で連続する2つの加熱導体66,68のうち、上流側の第1の加熱導体66を示している。基本的に電気絶縁材料により被覆されていない両加熱導体66,68の各々は、金属フラット材料素材からの分離、たとえばレーザ切断またはウォータジェット切断のような打抜きまたは切出しによって提供されており、排ガスガイドケーシング10の内周輪郭に適合した、図示の構成例では平坦化された円形である外周輪郭を有している。両加熱導体66,68のそれぞれは、周方向で互いに続く複数のメアンダ状蛇行領域70,72,74,76,78,80を備えて構成されており、メアンダ状蛇行領域70,72,74,76,78,80のそれぞれには、互いに対して実質的に半径方向でずらされた、加熱導体区分82,84,86,88,90を提供するメアンダ状蛇行区分が設けられており、これらのメアンダ状蛇行区分は、ほぼ周方向に延びるように形成されている。その周方向の端部領域の一方において、メアンダ状蛇行区分または加熱導体区分84,86,88,90は、さらに半径方向外側に位置するメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82,84,86,88にそれぞれ接続されている。周方向の端部領域の他方において、メアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82,84,86,88は、さらに半径方向内側に位置するメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分84,86,88,90にそれぞれ接続されている。メアンダ状蛇行領域72,74,76,78のそれぞれの半径方向外側のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82が、互いに直接隣り合うメアンダ状蛇行領域を互いに結合させる。同様に、メアンダ状蛇行領域70,72,74,76,78,80の半径方向内側のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分90が、互いに直接隣り合うメアンダ状蛇行領域を結合させるので、全体としてメアンダ状蛇行領域70,72,74,76,78,80の直列の電気回路が得られる。
【0031】
このような加熱導体66,68を、特に簡単かつ経済的に実施可能な形式でフラット材料からの分離により形成することは、そのメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分の比較的複雑な構造を備えた加熱導体66,68を提供する可能性を与えるが、基本的には、このような加熱導体66,68を得るために、別の製造方法、たとえば金属射出成形または焼結も可能である。
【0032】
第1の加熱導体66のメアンダ状蛇行領域70,80の半径方向外側のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82は、上流側の第1の加熱導体66の第1の接続領域92または第2の接続領域94を提供する。同様に、第2の加熱導体68の同一のメアンダ状蛇行領域の半径方向外側のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分は、第2の加熱導体68の第1の接続領域および第2の接続領域を提供する。これらの第1の接続領域により、加熱導体66,68はそれぞれ電圧源接続領域を提供し、この電圧源接続領域により、加熱導体を、たとえば電気的に絶縁されかつ気密に排ガスガイドケーシング10を貫通する接続エレメント100,102を介して電圧源に接続することができる。両加熱導体66,68の第2の接続領域は結合接続領域を提供し、この結合接続領域において、両加熱導体66,68は、たとえばリベットピンまたは溶接等によって互いに導電接続されているので、この構成例では、両加熱導体の電気的な直列回路が生じる。接続領域の領域において、加熱導体66,68またはそれぞれ半径方向外側に位置するメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82は、比較的大きな幅を有しており、これにより、局所的に低い電気抵抗に基づいて、排ガスが当たるように流れることに対して遮蔽されたこれらの領域において、自由に流れが当たる領域と比べて熱の発生を減じることができる。
【0033】
代替的な1つの構成では、複数の加熱導体66,68の各々でも、第2の接続領域が電圧源接続領域を提供することができ、これにより、たとえば、両加熱導体66,68の2つの第1の接続領域を、接続エレメント100に、かつこの接続エレメント100を介して電圧源に接続することができる一方、両加熱導体66,68の第2の接続領域は互いに、かつ接続エレメント102を介して電圧源に接続されていてよく、これにより、加熱導体66,68の電気な並列回路が生じる。特に、両加熱導体66,68の並列回路の選択時に、これらの加熱導体66,68が互いに異なる排ガス温度にさらされており、これにより加熱導体66,68の互いに異なる局所的な電気抵抗が発生した場合、加熱導体66,68の自己調整が得られる。
【0034】
排ガス加熱器中心軸線Aの方向、ひいては排ガス主流方向で相前後して位置する加熱導体66,68により、構造サイズが軸方向でコンパクトであるにもかかわらず、加熱されるべき排ガスとの熱的な相互作用のために比較的大きな表面が達成される。この場合に、さらに下流側に位置決めされた第2の加熱導体68が、さらに上流側に位置決めされた第1の加熱導体66の完全に流影内に位置決めされていないようにするために、両加熱導体66,68は、個別のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分82,84,86,88の互いに対して同一ではない構造または形状を有している。個別のメアンダ状蛇行領域70,72,74,76,78,80では、特に両加熱導体66,68のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分84,86,88が互いに対して完全に一致しているのではなく、互いに対して半径方向でずらされているので、さらに下流に位置決めされた第2の加熱導体68は、少なくとも部分的に、排ガス主流方向Hに対して横方向でさらに上流に位置決めされた第1の加熱導体66を越えて突出している。したがって、両加熱導体66,68のうちのいずれにも覆われていない横断面領域がほぼ生じないので、両加熱導体66,68の通流時に生じる渦流または乱流を考慮しても、排ガス流の極めて効率的かつ均一な加熱が達成される。取付け領域38によって半径方向で部分的に取り囲まれている半径方向外側のメアンダ状蛇行区分または加熱導体区分は、互いに対して実質的に一致していてよい。両加熱導体66,68の半径方向内側のメアンダ状蛇行区分も、互いに対して一致して位置していてよい。
【0035】
キャリヤアセンブリ16またはこのキャリヤアセンブリ16のキャリヤエレメント18,20への固定的な結合のために、複数の取付け領域106において、キャリヤエレメント18,20と、これらのキャリヤエレメント18,20と加熱導体66,68との間かつ加熱導体66,68間に位置決めされた絶縁エレメント108とを貫通する取付けピン110によって、固定的な結合を達成することができる。
【0036】
図1~
図3を参照して排ガス加熱アセンブリ120の基本構造を上述したが、この基本構成では、
図4~
図6を参照して後述する構造を有する1つまたは複数の加熱導体を使用することができることに留意されたい。このような排ガス加熱アセンブリの全体構造は、
図1~
図3を参照して上述した構造とは、様々な構成の態様で異なっていてよい。たとえば、ただ一つの加熱導体のみがキャリヤアセンブリにより排ガスガイドケーシングにおいて支持されてもよく、またはたとえば互いに異なって構成された2つ以上の加熱導体が、排ガスガイドケーシングにおいて、または排ガスガイドケーシング内に支持されてよい。それぞれの加熱導体の、概して曲折した構造を提供する加熱導体区分が、上記で詳細に説明した、たとえば複数のメアンダ状蛇行領域を備えたメアンダ状構造とは異なる構造を有していてもよい。したがって、たとえば、複数の加熱導体区分が、それぞれのメアンダ状蛇行区分として実質的に直線状に延びているように、かつ平行に隣り合って延びるように配置されていてよく、これにより、流れ横断面全体を覆うことができる。さらに、加熱導体区分が、螺旋構造体の、互いに巻線状に取り囲む蛇行区分により提供されていてよい。
【0037】
図4は、加熱導体、たとえば排ガス加熱アセンブリ120の上述の加熱導体66の一部を示している。このような排ガス加熱アセンブリの加熱導体68、または場合によってはただ一つの加熱導体も、同一のまたは同様の形式で形成されていてよいことに留意されたい。
【0038】
図4では、加熱導体66の一様なメアンダ状蛇行区分を形成することができる、
図4において部分的にまたは区分的に図示された2つの加熱導体区分82,84において、これらの加熱導体区分82,84に、加熱導体区分長手方向Hで連続して配置された複数の通流開口124が設けられていることが確認される。通流開口124のそれぞれは、局所的にその都度存在する加熱導体区分長手方向Hにも実質的に対応する通流開口長手方向Dで細長く延びていてよい。
【0039】
このような通流開口124を設けることにより、様々な利点が達成される。一方では、排ガス装置における、このような加熱導体により導入される閉塞性が制限されるか、またはこのような通流開口を有しない構造と比べて、閉塞性が減じられる。他方では、それぞれの加熱導体区分の構造材料の、通流開口124を取り囲む表面領域により、このような加熱導体66の周囲を流れる排ガスに熱を伝達することができる拡大された表面を提供することができる。それぞれの加熱導体82,84の前面または背面において通流開口124の形成により失われる表面積に関して、加熱導体66の構造材料の厚さに対して開口横断面が小さければ小さいほど、付加的に獲得される熱伝達面積は大きくなる。
【0040】
通流開口124は、たとえば、加熱導体66が、たとえば
図7に図示された金属フラット材料素材140からの打抜きにより製造される場合に、形成することができる。したがって、加熱導体66の輪郭を打ち抜くだけでなく、開口124も作る打抜き工具を使用することができる。また、加熱導体66を切断により、たとえばレーザビーム切断またはウォータジェット切断により分離する場合も、金属フラット材料素材からの加熱導体66の分離と同時に開口124を形成することができる。
【0041】
特に、開口124が特に網目構造を有しているか、それぞれの加熱導体区分82,84においてその両側に残るウェブ134,136が比較的狭い場合には、加熱導体66自体の分離の工程と通流開口124を形成する工程とを互いに分けると有利であり得る。たとえば、プレート状の金属フラット材料素材140上で、まず、後にそれぞれの加熱導体または加熱導体区分が形成されるべき箇所において、1つの加工工程で1つの通流開口124または複数の通流開口124を形成することができ、しかもこの場合に、それぞれの通流開口124の形成すべき構造を考慮して特に適切である1つの加工手段により形成することができる。たとえば、この分離は、レーザビーム切断等によって行うことができる。通流開口124が形成されると、次いで1つの別の加工工程で、1つまたは複数の加熱導体66を金属フラット材料素材140から分離することができ、たとえば別の加工手段、たとえば打抜きにより分離することができる。この場合、後加工工程はもはや不要である。当然ながら、この別の加工工程を、同一の加工手段を用いて、つまりたとえばレーザビーム切断によっても実施することができる。
【0042】
代替的には、まず金属フラット材料素材140から個別の加熱導体66を分離することができ、これにより次いで後続の加工工程において、1つまたは複数の通流開口124を、その基本構造で既に素材から分離された加熱導体66の様々な加熱導体区分に形成することができる。ここでも、様々な加工工程のために、その加工工程にとってその都度特に適切な加工手段を考慮することができる。これらの加工手段は、互いに異なっていてもよいが、基本的に互いに同一であってもよい。基本的には、個別の加熱導体区分または形成すべき通流開口の構造を考慮して、複数の通流開口の一部を、素材からの加熱導体の分離前に形成し、複数の通流開口の別の一部を分離後に形成し、これらの加工工程のためにその都度最適な加工手段を用いることも可能であり、これらの加工手段は互いに異なっていてもよいが、基本的に同一であってもよい。
【0043】
図4に部分的に図示された加熱導体66の場合、加熱導体区分82または加熱導体区分84の端部領域に取付け構造126が提供されており、この取付け構造126の領域では、
図2に図示された絶縁エレメント108および取付けピン110を用いて、加熱導体66またはこのような複数の加熱導体を連続してキャリヤエレメント18,20に取り付けることができることに留意されたい。これらの取付け構造126は、図示された加熱導体66の、様々な取付け領域106に対応する領域に設けられた、
図3において確認可能なかつ同一の目的のために働く開口110を代替する。
【0044】
本発明により構成された加熱導体66の代替的な構成が、
図5に図示されている。
図5では、加熱導体区分82において確認可能な通流開口124が、たとえば、実質的にU字形の切込み128を形成することによって形成されていることが分かる。このようなU字形の切込み128を形成することにより、加熱導体区分長手方向Hまたはそれぞれの通流開口長手方向Dで細長く延びる、一体的な構成部分として加熱導体66または加熱導体区分82に接続された舌片状の流れガイドエレメント130が生じる。この流れガイドエレメント130は、
図6において確認可能な、加熱導体66により形成される平面Eから、たとえば下流方向に出るように曲げられていてよく、これにより、加熱導体自体または平面Eに対して部分的にずらされた舌片状のこのような流れガイドエレメント130によって、このような加熱導体66の領域における流れガイドに定義された影響を提供することができる。
【0045】
図5において確認可能である、対応する通流開口124のそれぞれの長手方向端部領域132の領域での加熱導体66におけるそれぞれの流れガイドエレメントの結合部に対して代替的に、結合を、対応する通流開口124の長手方向縁部に沿って行うこともでき、それぞれの流れガイドエレメント130は、通流開口長手方向Dに対して実質的に平行に延びる曲げ線を中心として屈曲することにより平面Eから出るように曲げることができるので、流れガイドエレメントは、部分的にこの平面Eに対して、または加熱導体66に対して、排ガス加熱器中心軸線Aの方向にずらされているか、またはこの平面Eに対して傾斜して配置されている。
【0046】
このような通流開口124は、加熱導体66において、全ての、つまり
図4~
図6に図示されていない加熱導体区分にも、たとえば同一の分布で、または互いに対して同一の間隔で、連続して配置されていてよいことに留意されたい。代替的には、達成すべき流れ状況に応じて、または排ガス装置に存在する流れ状況に適合させて、個別の加熱導体区分における、または個別の加熱導体区分間の通流開口124の密度を変えることができる。通流開口が設けられていない加熱導体区分も存在していてよい。通流開口124が、別の横断面幾何学形状、たとえば円形の横断面幾何学形状を有していてもよく、これらの通流開口124は、たとえば、加熱導体区分長手方向Hに関して角度付けされて位置決めされていてよい。
【0047】
加熱導体66に設けられた通流開口124により、排ガスの流れに影響を与えるだけでなく、加熱導体66を通って流れる電流にも影響が与えられる。電流は、通流開口124の領域では、それぞれの通流開口124を側方で画定する2つのウェブ134,136に分割される。これらのウェブ134,136の幅または横断面積に応じて、ウェブは場合によっては同一の電気抵抗または互いに異なる電気抵抗を有しており、これにより、これらのウェブ134,136の対応する寸法設定により、ウェブにおいてそれぞれの電気抵抗に基づいて生成される熱、ひいては排ガスに伝達されるエネルギに影響を与えることができる。
【0048】
さらに、当然ながらこのような通流開口を、根本的に異なって構造化された、実質的にプレート状に構成された加熱導体で使用することができることに留意されたい。たとえば、このような加熱導体は、螺旋状の構造を有していてよく、これにより、個別の加熱導体区分は、たとえば、螺旋状の構造のそれぞれの蛇行区分によって定義されていてよい。また、加熱導体区分のメアンダ状の形状でも、蛇行区分はそれぞれ実質的に直線状に延び、かつ隣り合って位置しているように構成されていてよく、このように構成された加熱導体の外周構造を、それぞれの排ガスガイドケーシングの横断面幾何学形状に適合させるために、直線状に延びるこれらの加熱導体区分の長さを変えることができる。