(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】流体供給アセンブリを備えた洋上風力タービン
(51)【国際特許分類】
F03G 7/00 20060101AFI20231108BHJP
F03G 6/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F03G7/00 D
F03G6/00 551
F03G7/00 H
F03G7/00 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113882
(22)【出願日】2022-07-15
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フィン ダウゴー マスン
(72)【発明者】
【氏名】ミケル シーロ
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/095012(WO,A1)
【文献】特表2004-537668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0313896(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111926852(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03760860(EP,A1)
【文献】特表2018-513808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0249648(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03796494(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/00
F03G 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水体に立設された洋上風力タービン(1)であって、
発電機(2)と、
ベース(5)と、
ナセル(6)と、
前記ベース(5)に取り付けられた第1の端部および前記ナセル(6)を支持する第2の端部を有するタワー(4)と、
前記発電機(2)により電力を供給され、入力流体(9)、特に水から水素(8)を生成する電解ユニット(3)と、
水面(31)より下に配置された流体入口(23)から、前記水面(31)より上に配置された前記電解ユニット(3)へ前記入力流体(9)を供給するための流体供給アセンブリ(21)と、
を有しており、
該流体供給アセンブリ(21)には、ポンプ(24)と、前記流体入口(23)と前記電解ユニット(3)との間の流体接続手段(22)とが含まれ、
前記流体入口(23)には、前記水面(31)より下の前記ベース(5)または前記タワー(4)に設けられた開口が含まれており、該開口を通って前記入力流体(9)が前記電解ユニット(3)に送られ
、
前記流体入口(23)と前記電解ユニット(3)とをパイプライン(26)が接続しており、該パイプライン(26)は、少なくとも部分的に前記ベース(5)の内部を通って延びている、
洋上風力タービン(1)。
【請求項2】
前記ベース(5)は、前記水体の底に取り付けられた基礎(34)である、請求項1記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項3】
当該洋上風力タービン(1)は、浮体式風力タービンであり、前記ベース(5)は、浮体式、半潜水式または潜水式のベースプラットフォーム(33)である、請求項1記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項4】
当該洋上風力タービン(1)はさらに、前記水面(31)より上の前記電解ユニット(3)の少なくとも一部を支持する電解ユニットプラットフォーム(32)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項5】
前記流体供給アセンブリ(21)には、前記入力流体(9)を濾過するためのフィルタ(25)が含まれる、請求項1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項6】
前記流体入口(23)は、砂またはその他の物質が地盤レベルから前記流体入口(23)へ導入されることを回避するために、前記地盤レベルから十分に離れた距離のところに配置されている、請求項1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項7】
前記パイプライン(26)は、部分的に前記タワー(4)の内部を通って延びている、請求項
1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項8】
前記パイプライン(26)は、腐食を回避するために、支持繊維強化ポリマー材料または支持繊維強化エポキシ材料から形成されている、請求項
1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項9】
前記ポンプ(24)は、前記パイプライン(26)内に設置されており、検査およびメンテナンス作業のために、前記パイプライン(26)を介して前記ポンプ(24)を持ち上げることができるようになっている、請求項
1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項10】
前記パイプライン(26)は、前記タワー(4)および/または前記ベース(5)へのいかなる漏れも回避するようにシールされている、請求項
1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項11】
前記流体接続手段(22)の少なくとも一部は、前記ベース(5)および/または前記タワー(4)に穿孔された通路である、請求項1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項12】
前記流体入口(23)には、該流体入口(23)における植物成長、特に海洋生成物付着を回避するために、銅等の防汚材料から形成された角度付き継手(27)が含まれる、請求項1または2記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項13】
前記角度付き継手(27)は、前記タワー(4)および/または前記ベース(5)へのいかなる漏れも回避するようにシールされている、請求項
12記載の洋上風力タービン(1)。
【請求項14】
請求項1または2記載の洋上風力タービン(1)に入力流体(9)を供給する方法であって、当該方法は、
-前記水面(31)より下に配置された前記流体入口(23)を介して入力流体(9)を吸い込むステップと、
-前記入力流体(9)を、前記流体入口(23)から前記電解ユニット(3)へ、前記ポンプ(24)により圧送するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給アセンブリを備えた洋上風力タービンに関する。本発明はさらに、洋上風力タービンに入力流体を供給する方法に関する。
【0002】
風力タービンは、電気エネルギを生成するためにますます使用されている。風力タービンは典型的には、タワーと、タワーに取り付けられたナセルとを有しており、ナセルにはハブが取り付けられている。ハブにはロータが取り付けられ、発電機に結合されている。ロータからは、複数のブレードが延びている。ブレードは、ブレードを通過する風がロータを回転させ、これにより発電機を駆動するように方向付けられている。したがって、ブレードの回転エネルギは発電機に送られ、次いで発電機が、機械エネルギを電気に変換し、電気を電力供給網に送る。
【0003】
風力タービンは、高い風量をもたらす位置に配置されている。これらの位置は、遠隔の陸上位置または海上の洋上位置であってよい。電気エネルギを搬送するためには、風力タービンの発電機により発電された電力が、ウインドファームの伝送サブステーションに移動し、そこで、送電線を介したトランスミッショングリッド上での長距離伝送用に、通常は130~765kVの高電圧に変換される。トランスミッショングリッドは、遠隔位置のウインドファームを電力供給網の変圧器ステーションに接続し、変圧器ステーションは、電気を電力供給網に適合した電圧に変圧する。
【0004】
遠隔のウインドファームの問題は、ウインドファームと電力供給網の変圧器ステーションとの間の距離を架橋する必要がある、という点である。設置コストが極めて高い長い送電線が必要である。
【0005】
風力タービン技術の目下の開発は、より長いブレードとより高いタワーとを備えた、より多くの風力エネルギを回収するための風力タービンのサイズの増大に向けられている。風力タービンのサイズの増大に基づき、より多くの電力がグリッドに供給され、電力は、ウインドファームから最も近いグリッドの入力点に送られる。長距離送電線を介して伝送される電力が増大すると、結果的にケーブルに対する要求が高くなり、コストが高くなる。
【0006】
トランスミッショングリッドの送電線により伝送されるエネルギの量を減らすため、または長距離送電線の使用を完全に回避するためには、風力タービンの近くに電解ユニットを設置することができる。電解ユニットを備えた風力タービンは、発電機により電力を発生させ、かつ風力タービンの電力の少なくとも一部により駆動される電解ユニットにより水素を発生させる。
【0007】
電解ユニットは、水素を生成するように構成されたパワーツーガス(power-to-gas)ユニットである。したがって、風力タービンにより生成されたエネルギを、電気分解プロセスにおいて使用して、水素と酸素とを発生させることができる。これらのガスは、その後、燃料電池における電気エネルギ発生用に使用され得るか、あるいはアンモニアまたはメタンといった化学物質を製造するために使用され得る。電解ユニットから生成されたガスは、パイプラインを使用することにより、またはガスを加圧することにより、容器内に送ることができ、このことは、電気を直接、長距離送電線を介して送るよりも安価である。
【0008】
風力タービンと組み合わせた電解ユニットの使用は従来技術から、例えば米国特許第5592028号明細書において公知であり、ここでは複数の電解セルがウインドファームに接続されており、風力タービンの発電機により生成された電気を用いて水素を生成する。同様に、国際公開第2020/095012号には、脱塩ユニットと電気分解ユニットとを備えた浮遊式タワー構造を含む、大規模水素製造用の洋上風力タービンシステムが記載されている。
【0009】
電解ユニットを備えたウインドファームでは、入力流体を用いて水素が生成される。例えば洋上ウインドファームの場合、入力流体は海水であり、この海水は、電解装置に入る前に脱塩される。択一的に、洋上ウインドファームは、湖上または任意の水体上に配置され得、入力流体は水であり、水は通常、電解装置に入る前に濾過される。洋上風力タービンが直面する問題は、入力流体を、電解ユニットが配置されている電解ユニットプラットフォームに供給せねばならず、この場合、水面と電解ユニットプラットフォームとの間の高低差を克服する必要がある、という点にある。このことは、流体供給アセンブリにより達成される。従来の流体供給アセンブリは、水中ポンプと共に水中に懸吊されたホースを有している。ホースは、風および波を起点とする外力からポンプおよびパイプラインを保護するように設計されている。
【0010】
懸吊された流体供給アセンブリは、強風によりホースがタワーに衝突し、これにより流体供給アセンブリ自体とタワーとが損傷するリスクを有している。また、ホースは過酷な環境条件に晒されており、しばしば水面から20メートルを超す高さを克服する必要があるため、懸吊式の流体供給手段の損傷は結果的に、損傷したコンポーネントを交換するための高コストの材料および作業時間をもたらす。
【0011】
本発明の課題は、従来技術から周知の問題を克服する流体供給アセンブリを備えた洋上風力タービンを提供することにある。
【0012】
このことは、請求項1記載の洋上風力タービンおよび請求項15記載の洋上風力タービンに入力流体を供給する方法により達成される。
【0013】
本発明によれば、水体(water)に立設された洋上風力タービンは、発電機と、ベースと、ナセルと、ベースに取り付けられた第1の端部およびナセルを支持する第2の端部を有するタワーと、発電機により電力を供給され、入力流体、特に水から水素を生成する電解ユニットと、水面より下に配置された流体入口から、水面より上に配置された電解ユニットへ入力流体を供給するための流体供給アセンブリとを有している。流体供給アセンブリには、ポンプと、流体入口と電解ユニットとの間の流体接続手段とが含まれる。
【0014】
したがって、発電機は電力を発電し、発電した電力の少なくとも一部を電解ユニットに供給する。それというのも、両コンポーネントは電気的に接続されているからである。
【0015】
例えば気象条件や風力レベルに応じて発電量の変動が生じるため、電力供給網またはエネルギ貯蔵装置への洋上風力タービンの電力出力量を予測することは困難である。発電機により生成されるエネルギの一部を利用して水素を生成することにより、変動を緩和することができる。水素は、電解ユニットの出口に接続されたシステム出口を介して、風力タービンから取り出すことができる。
【0016】
したがって、発電機により生成されたエネルギの少なくとも一部は、電解ユニットに電力を供給するために利用され得るため、電力供給網が、変動する発電設備の発電のピークにより過剰に負荷されることはない。さらに、電力供給網への出力に問題が発生した場合には、電力を全て電解ユニットに転送することができ、これにより、水素のみが生成されることになる。生成される水素は、通常は気体の状態であり、これを圧縮しかつ/または他の成分と混合して、貯蔵および/または搬送がより簡単な液体の状態にすることができる。
【0017】
電解ユニットは、電気分解を行って別のガスを生成する混合ガス発生器であってもよい。例えば、電解ユニットは、水および二酸化炭素に対して電気分解を行って、水素と一酸化炭素とから成る混合ガスを生成することができる。択一的に、水素は天然ガスと混合されてもよく、これにより、水素の水素/炭素比が増加し、圧縮天然ガスよりも最大で8倍高い火炎速度がもたらされる。
【0018】
電解ユニットは、水から水素を生成するために使用される。したがって、風力タービンが水、すなわち河川または海の近くに設置されていると、電解ユニットは、この水を電解ユニットへの入力手段として利用して、水素と酸素とを生成することができる。しかしながら、水素をさらに処理して、メタンまたはアンモニア等の他の化合物を得ることも可能である。
【0019】
水は、流体供給アセンブリにより抽出される。
【0020】
本発明によれば、流体入口には、水面より下のベースまたはタワーに設けられた開口が含まれており、この開口を通って入力流体が電解ユニットに送られる。
【0021】
したがって、ベースは、水を収集するための開口または孔を有している。ベースにおける開口の位置は、開口が常に水面より下に沈んでいるように、水の潮汐運動を考慮して選択されるべきである。
【0022】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ベースは、水体の底に取り付けられた基礎である。
【0023】
ベースは、沿岸海域等の浅い水域および/または中深水域に適当であり得る基礎である。基礎の形式は、モノパイル式基礎、ジャケットフレーム式基礎、三脚式基礎、重力ベース式基礎、サクションバケット式基礎、管状トラス式基礎、またはトリパイル式基礎から成る群から選択され得る。
【0024】
したがって、洋上風力タービンは、基礎により海底または水体の底に結合されている。
【0025】
本発明の別の好適な実施形態によれば、洋上風力タービンは、浮体式風力タービンであり、ベースは、浮体式、半潜水式または潜水式のベースプラットフォームである。
【0026】
ベースは、深海に適当であり得る浮体式、半潜水式、または潜水式のベースプラットフォームである。ベースプラットフォームの形式は、浮体、緊張係留式プラットフォームTLPまたは半潜水式プラットフォームから成る群から選択され得る。
【0027】
ベースプラットフォームは、水平方向、すなわち水面に対して実質的に平行な方向における浮体式洋上風力タービンの移動の自由を制限するために、水中地盤に固定され得る。浮体式の洋上ベースは、典型的には海面変動を補償することができるように、固定された鉛直方向位置を有していない。固定用には、少なくとも1つのケーブルまたはチェーン、典型的には複数のチェーン、ケーブルまたはラインを使用することが可能であり、ラインは、海事関係では係留手段とも呼ばれる。
【0028】
本発明の別の好適な実施形態によれば、洋上風力タービンはさらに、水面より上の電解ユニットの少なくとも一部を支持する電解ユニットプラットフォームを有している。
【0029】
専用の電解ユニットプラットフォームを用いると、例えば電解ユニットをナセルに取り付けるよりもより一層簡単に電解ユニットを取り付けることができ、電解ユニットの少なくとも一部を水面より上に保つことができる。
【0030】
本発明の別の好適な実施形態によれば、洋上風力タービンは、ベースとタワーとの間またはベースと電解ユニットプラットフォームとの間に移行部材を有している。
【0031】
移行部材は、ベースの上部に配置されている。特に好適な結合形式は、モノパイルの上部に配置された移行部材であり、そこで移行部材は、移行部材の外周に配置された電解ユニットプラットフォームを有している。
【0032】
本発明の別の好適な実施形態によれば、流体供給アセンブリには、入力流体を濾過するためのフィルタが含まれる。したがって、水中の粒子およびその他の物質は、電解ユニットに入る前に濾過される。
【0033】
本発明の別の好適な実施形態によれば、流体入口は、砂またはその他の物質が地盤レベルから流体入口へ導入されることを回避するために、地盤レベルから十分に離れた距離のところに配置されている。地盤レベルは、水体より下のレベル、例えば海底レベルである。この方法は、濾過のコストを削減する。それというのも、必要とされるフィルタのエネルギおよびメンテナンスがより少なくなるからである。
【0034】
本発明の別の好適な実施形態によれば、流体入口と電解ユニットとをパイプラインが接続している。パイプラインは、ケーソン、すなわち水密保持構造体内に収容され得る。
【0035】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプラインは、少なくとも部分的にベースの内部を通って延びている。パイプラインは、例えば少なくとも部分的にベースの半径方向内側部分のところに位置しており、風力タービンの電解ユニットプラットフォームに向かって、ベースおよび/またはタワーの軸線に対して平行な長手方向に延びている。
【0036】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプラインは、部分的にタワーの内部を通って延びている。したがって、パイプラインは、部分的にタワーの外周の半径方向内側部分のところに位置しており、風力タービンの電解ユニットプラットフォームに向かって、ベースおよび/またはタワーの軸線に対して平行な長手方向に延びている。これは、ベースとタワーとの間の移行が電解ユニットの位置より下で起こる場合である。よって、パイプラインの第1の部分はベースを通って延びており、パイプラインの第2の部分はタワーを通って延びている。
【0037】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプラインは、腐食を回避するために、支持繊維強化ポリマー材料または支持繊維強化エポキシ材料から形成されている。
【0038】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプラインはガラスファイバから形成されている。
【0039】
本発明の別の好適な実施形態によれば、ポンプは、パイプライン内に設置されており、この場合、検査およびメンテナンス作業のために、パイプラインを介してポンプを持ち上げることができるようになっている。パイプラインを介してポンプを降ろすこともできる。加えて、ポンプが使用されない場合にポンプを腐食および海洋環境から保護するために、ポンプを水面より上に上昇させることもできる。このことは、ポンプおよびパイプラインへの海洋生成物付着も制限する。
【0040】
ポンプは、過酷な天候条件によっても、すなわち暴風雨等によっても、ポンプを保護するために上昇させられてよい。
【0041】
ポンプをより簡単に保守整備することができる場所にポンプを移動させるために、クレーンが設置され得る。
【0042】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプライン内にフィルタが設置されており、洗浄、検査およびメンテナンス作業のために、パイプラインを介してフィルタを持ち上げることができる。
【0043】
本発明の別の好適な実施形態によれば、パイプラインは、タワーおよび/またはベースへのいかなる漏れも回避するようにシールされている。漏れは、タワーおよび/またはベースの内部の腐食につながる恐れがあり、したがって回避されるべきである。
【0044】
シールは、パイプラインと、パイプラインに接続された任意のコンポーネントとの間のボルト締結フランジにより達成され得る。
【0045】
本発明の別の好適な実施形態によれば、流体接続手段の少なくとも一部は、ベースおよび/またはタワーに穿孔された通路である。したがって、流体入口を電解ユニットに接続するために、通路が、ベース、タワー、またはベースおよびタワーの両方に穿孔されている。したがって、パイプラインに対して択一的にまたは追加的に、通路が使用され得る。通路の壁は、新たな酸素をもたらして腐食環境を促進する水、特に海水の連続的な交換によるコンポーネントの腐食を回避するために、防食材料により保護され得る。
【0046】
本発明の別の好適な実施形態によれば、流体入口には、流体入口における植物成長、特に海洋生成物付着(marine growth)を回避するために、銅等の防汚材料から形成された角度付き継手が含まれる。特に任意の不活性材料が、水の流れを妨げる、流体入口における植物形成を防止するための防汚材料として使用され得る。
【0047】
本発明の別の好適な実施形態によれば、角度付き継手は、タワーおよび/またはベースへのいかなる漏れも回避するようにシールされている。漏れは、タワーおよび/またはベースの腐食につながる恐れがあり、したがって回避されるべきである。
【0048】
シールは、角度付き継手とパイプラインまたは角度付き継手に接続された任意のコンポーネントとの間のボルト締結フランジにより達成され得る。
【0049】
本発明のさらに別の態様は、洋上風力タービンに入力流体を供給する方法であって、水面より下に配置された流体入口を介して入力流体を吸い込むステップと、入力流体を、流体入口から電解ユニットへ、ポンプにより圧送する(pumping)ステップとを含む、方法に関する。
【0050】
本発明の特徴の理解を容易にするために、本明細書の不可欠な部分であるいくつかの図面が添付されており、図面には、例示的であるが限定的ではない特徴を有する図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】流体供給用の電解ユニットから懸吊されたホースを含む、従来技術において周知の洋上風力タービンを示す概略図である。
【
図2】ベースの内部を通って延びる流体接続手段を含む、本発明の1つの実施形態による洋上風力タービンを示す概略図である。
【
図3】ベースの内部を通りかつ電解ユニットプラットフォームの下のタワーの内部を通って延びる流体接続手段を含む、本発明の別の実施形態による洋上風力タービンを示す概略図である。
【
図4】フィルタ、流体入口、ポンプ、角度付き継手およびパイプラインを含む流体供給アセンブリを示す図である。
【
図5】潜水式のベースプラットフォームを備えた、本発明の別の実施形態による浮体式風力タービンとして構成された洋上風力タービンを示す図である。
【
図6】半潜水式のベースプラットフォームを備えた、本発明の別の実施形態による浮体式風力タービンとして構成された洋上風力タービンを示す図である。
【0052】
図1には、流体供給用の電解ユニット3から懸吊されたホースを含む、従来技術において周知の洋上風力タービン1の概略図が示されている。
【0053】
洋上風力タービン1はタワー4を有しており、タワー4の上部にはナセル6が回転可能に取り付けられている。洋上風力タービン1はさらに、ナセル6に結合されたハブを有している。ハブには複数のブレードが取り付けられている。ハブは、発電機2に結合されており、主軸受を介してロータ軸線を中心として回転可能に取り付けられている。洋上風力タービン1はさらに、電解ユニットプラットフォーム32を有しており、電解ユニットプラットフォーム32上には、電解ユニット3が水面31より上に配置されている。洋上風力タービン1はさらに、ベース5を有しており、ベース5にタワー4が取り付けられている。ベース5は、水体の底に取り付けられる基礎34である。
【0054】
発電機2により発電された電力は、全てが電解ユニット3に送られるが、洋上風力タービン1を電力供給網に接続し、発電機2により発電された電力の一部を電力供給網に送ることも可能であろう。電解ユニット3には、脱塩ユニット11、電解装置12、ならびに脱塩ユニット11と電解装置12との間の流体接続手段が含まれ、流体接続手段を通って脱塩水14が搬送される。電解装置12と脱塩ユニット11とは両方とも発電機2により電力を供給され、発電機2は、電気的な接続手段7を介して両方の装置に接続されている。
【0055】
電解ユニット3用の入力流体9は、ポンプ24により洋上風力タービン1の海から取り出された海水13である。流体供給アセンブリ21は、懸吊ホースを介して海水13を電解ユニット3に供給する。ホースは、脱塩ユニット11からベース5の外部の水体に懸吊されている。海水13は、流体入口23を通って流体供給アセンブリ21に入り、流体入口23と、電解ユニット3の一部を形成する脱塩ユニット11との間の流体接続手段22を形成するホースを通って搬送される。流体入口23とポンプ24とは、海水13を吸い込むように水面31より下に水没させられている。
【0056】
脱塩水14は、電解装置12への入力流体9である。電解装置は、生成された水素8が抽出される水素出口15を有している。この水素出口15は、水素8を陸上へ搬送する水素パイプラインに接続されている。択一的に、水素8を容器に充填して陸上へ搬送することもできる。
【0057】
図2には、ベース5の内部を通って延びる流体接続手段22を含む、本発明の1つの実施形態による洋上風力タービン1の概略図が示されている。
【0058】
この実施形態では、洋上風力タービン1はベース5を有しており、ベース5にタワー4が取り付けられている。ベース5は、水体の底に取り付けられたモノパイル等の基礎34である。
【0059】
ベース5に設けられた開口が、水面31より下に配置された流体供給アセンブリ21のポンプ24と流体入口23とを介した海水13の吸込みを可能にする。ベース5を通る流体接続手段22は、通路またはパイプライン26として形成され得る。流体接続手段22は、洋上風力タービン1の電解ユニットプラットフォーム32に向かって、ベース5の軸線およびタワー4の軸線に対して平行な長手方向に延びている。この流体接続手段22は、ベース5の内部を通って、すなわち、基礎34の内部を通って延びている。
【0060】
図3には、洋上風力タービン1の電解ユニットプラットフォーム32に向かって、ベース5の軸線およびタワー4の軸線に対して平行な長手方向に延在する流体接続手段22を含む、本発明の別の実施形態による洋上風力タービン1の概略図が示されている。この流体接続手段22はベース5の内部を通って延びており、ベース5の上部は電解ユニットプラットフォーム32より下で終わるため、流体接続手段22は電解ユニットプラットフォーム32より下のタワー4の内部も通って延びている。よって、流体接続手段22の第1の部分はベース5を通って、すなわち、基礎34の内部を通って延びており、流体接続手段22の第2の部分はタワー4を通って延びている。電解ユニットプラットフォーム32は、水面31より上に配置されている。
【0061】
ベース5およびタワー4を通る流体接続手段22は、通路またはパイプライン26として形成され得る。
【0062】
ベース5に設けられた開口が、ポンプ24を含む流体供給アセンブリ21を介した海水13の吸込みを可能にする。
【0063】
図4には、フィルタ25、流体入口23、ポンプ24、角度付き継手27およびパイプライン26を含む流体供給アセンブリ21が示されている。
【0064】
海水13は、流体入口23に入る前にフィルタ25を通過するので、砂、植物およびその他の望ましくない物質は、流体供給アセンブリ21の外側に留められる。角度付き継手27は、海水13の流れを直立方向に曲げ、これにより、電解ユニットプラットフォーム32上に配置された電解ユニット3の方に向かわせる。海水13を搬送するためにはパイプライン26が使用され、パイプライン26は、ベース5の内部から電解ユニットプラットフォーム32まで延びている。パイプライン26および角度付き継手27は、両部品間の移行部における漏れを回避するために、ボルト締結フランジによりシールされている。
【0065】
脱塩ユニット11と水面31との間の高低差を克服するためには、モータにより駆動されるポンプ24を使用する。
【0066】
図5には、潜水式のベースプラットフォーム33を備えた、本発明の別の実施形態による浮体式風力タービンとして構成された洋上風力タービン1が示されている。
【0067】
潜水式のベースプラットフォーム33は、アンカーロープ、アンカーケーブル、アンカーチェーン等の複数のフレキシブルな連結部材により水中地盤に固定されている。ベースプラットフォーム33は、大きな水平方向の延在長さと比較的短い鉛直方向の延在長さとを有する箱形または円盤形のタンクであってよい。
【0068】
ベースプラットフォーム33に設けられた開口は、流体供給アセンブリ21のポンプ24を介した海水13の吸込みを可能にする。ベースプラットフォーム33を通る流体接続手段22は、通路またはパイプライン26として形成され得る。流体接続手段22は、洋上風力タービン1の電解ユニットプラットフォーム32に向かって、ベースプラットフォーム33の軸線およびタワー4の軸線に対して平行な長手方向に延びている。この流体接続手段22は、ベースプラットフォーム33の内部を通って延びており、ベースプラットフォーム33の上部は電解ユニットプラットフォーム32より下で終わるため、流体接続手段22は、電解ユニットプラットフォーム32より下のタワー4の内部も通って延びている。
【0069】
別の実施形態では、ベースプラットフォーム33は、円柱ブイ型であってよい。円柱ブイは、単一の長い円筒タンクから成り、質量中心を可能な限り低く移動させることにより、安定性を達成する。さらに別の実施形態では、ベースプラットフォーム33は、より複雑な構造体であってよく、洋上風力タービン1を支持する3つ以上の浮柱を有している。
【0070】
図6には、半潜水式のベースプラットフォーム33を備えた、本発明の別の実施形態による浮体式風力タービンとして構成された洋上風力タービン1が示されている。
【0071】
半潜水式のベースプラットフォーム33は、アンカーロープ、アンカーケーブル、アンカーチェーンなどの複数のフレキシブルな連結部材により水中地盤に固定されている。ベースプラットフォーム33は、ベースプラットフォーム33の上部が水上に留まるように固定されている。
【0072】
流体接続手段22の構成は、
図5に示したものと同様である。
【符号の説明】
【0073】
1 洋上風力タービン
2 発電機
3 電解ユニット
4 タワー
5 ベース
6 ナセル
7 電気的な接続手段
8 水素
9 入力流体
11 脱塩ユニット
12 電解装置
13 海水
14 脱塩水
15 水素出口
21 流体供給アセンブリ
22 流体接続手段
23 流体入口
24 ポンプ
25 フィルタ
26 パイプライン
27 角度付き継手
31 水面
32 電解ユニットプラットフォーム
33 ベースプラットフォーム
34 基礎