(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231108BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20231108BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06T19/00 300A
G06F3/04815
(21)【出願番号】P 2022147570
(22)【出願日】2022-09-16
【審査請求日】2022-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】藤城 大樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-055257(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099192(WO,A1)
【文献】特開2020-126455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すAR(Augmented Reality)オブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示するAR制御部
と、
前記実空間における前記表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部と、
を備え、
前記AR制御部は、
前記実アバター位置及び前記デバイス位置の関係、又は前記仮想空間における前記アバターの存在位置及び前記デバイス位置に対応する前記仮想空間における位置の関係に基づいて、前記実アバター位置を示す
ための情報を前記ARオブジェクトとは異な
るオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御情報によって示される前記仮想空間における方向に前記アバターを移動させることによって前記アバターの動作を制御するVR(Virtual Reality)制御部をさらに備え、
前記AR制御部は、前記ARオブジェクトを、前記VR制御部が前記制御情報に基づいて前記仮想空間における前記アバターの動作を制御した後における前記アバターの存在位置に対応する前記実アバター位置に提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記AR制御部は、前記制御情報によって示される前記実空間における方向に前記ARオブジェクトを移動させることによって前記ARオブジェクトの動作を制御し、前記ARオブジェクトを、前記制御情報に基づいて制御した後における前記実アバター位置に提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1ユーザが利用する第1表示デバイスであって前記表示デバイスである第2表示デバイスとは異なる前記第1表示デバイスに対して、前記実空間に存在する構造物を示すVRオブジェクトである構造物オブジェクトを、前記構造物の位置に対応する前記仮想空間の位置に提示するVR制御部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記AR制御部は、前記仮想空間における前記アバターの位置と、前記デバイス位置に対応する前記仮想空間における位置との間に、前記構造物オブジェクトが存在すると前記VR制御部が判定することを契機として、前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記AR制御部は、前記実アバター位置と、前記デバイス位置との間に、前記構造物が存在することを契機として、前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記AR制御部は、前記実アバター位置と前記デバイス位置との距離が、あらかじめ定められた情報表示閾距離より大きくなることを契機として前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記AR制御部は、前記アバターが存在する位置を示す地図情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記AR制御部は、前記実アバター位置と前記デバイス位置との距離を示す情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記AR制御部は、前記表示デバイスの位置を始点とした場合の前記実アバター位置の方向を示す情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記AR制御部は、前記第1ユーザとあらかじめ関連付けられた第2ユーザが利用する表示デバイスに前記情報ARオブジェクトを表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すARオブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示させるステップ
と、
前記実空間における前記表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得するステップと、
を備え、
前記ARオブジェクトを提示させるステップにおいて、
前記実アバター位置及び前記デバイス位置の関係、又は前記仮想空間における前記アバターの存在位置及び前記デバイス位置に対応する前記仮想空間における位置の関係に基づいて、前記実アバター位置を示す
ための情報を前記ARオブジェクトとは異な
るオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示させる、
情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すARオブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示させるAR制御部
、及び
前記実空間における前記表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部、
として機能させ、
前記AR制御部は、
前記実アバター位置及び前記デバイス位置の関係、又は前記仮想空間における前記アバターの存在位置及び前記デバイス位置に対応する前記仮想空間における位置の関係に基づいて、前記実アバター位置を示す
ための情報を前記ARオブジェクトとは異な
るオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VR(Virtual Reality)及びAR(Augmented Reality)に関するコンテンツを提供するサービスが普及しつつある。特許文献1には、第1ユーザに対して仮想世界における所定の場所のVRに関するコンテンツを提供し、第2ユーザに対して第1ユーザのアバターを配置したARに関するコンテンツを提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術を用いることにより、実空間における所定の場所に存在するユーザと、当該所定の場所に存在しないユーザとが行動を共にすることができる。しかしながら、これらのユーザは、お互いの実体を直接視認することができないため、行動を共にすることが難しい場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、VRを利用するユーザとARを利用するユーザとが行動を共にしやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すARオブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示するAR制御部を備え、前記AR制御部は、前記実アバター位置に関する情報を前記ARオブジェクトとは異なるARオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記制御情報によって示される前記仮想空間における方向に前記アバターを移動させることによって前記アバターの動作を制御するVR制御部をさらに備えてもよいし、前記AR制御部は、前記ARオブジェクトを、前記VR制御部が前記制御情報に基づいて前記仮想空間における前記アバターの動作を制御した後における前記アバターの存在位置に対応する前記実アバター位置に提示してもよい。
【0008】
前記AR制御部は、前記制御情報によって示される前記実空間における方向に前記ARオブジェクトを移動させることによって前記ARオブジェクトの動作を制御し、前記ARオブジェクトを、前記制御情報に基づいて制御した後における前記実アバター位置に提示してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記第1ユーザが利用する第1表示デバイスであって前記表示デバイスである第2表示デバイスとは異なる前記第1表示デバイスに対して、前記実空間に存在する構造物を示すVRオブジェクトである構造物オブジェクトを、前記構造物の位置に対応する前記仮想空間の位置に提示するVR制御部をさらに備えてもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記実空間における前記第2表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部をさらに備えてもよいし、前記AR制御部は、前記仮想空間における前記アバターの位置と、前記デバイス位置に対応する前記仮想空間における位置との間に、前記構造物オブジェクトが存在すると前記VR制御部が判定することを契機として、前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させてもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記実空間における前記第2表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部をさらに備えてもよいし、前記AR制御部は、前記実アバター位置と、前記デバイス位置との間に、前記構造物が存在することを契機として、前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させてもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記実空間における前記第2ユーザが利用する表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部をさらに備えてもよいし、前記AR制御部は、前記実アバター位置と前記デバイス位置との距離が、あらかじめ定められた情報表示閾距離より大きくなることを契機として前記情報ARオブジェクトを前記表示デバイスに表示させてもよい。
【0013】
前記AR制御部は、前記アバターが存在する位置を示す地図情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させてもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記実空間における前記第2ユーザが利用する表示デバイスの位置を示すデバイス位置を取得する位置情報取得部をさらに備えてもよいし、前記AR制御部は、前記実アバター位置と前記デバイス位置との距離を示す情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させてもよい。
【0015】
前記AR制御部は、前記表示デバイスの位置を始点とした場合の前記実アバター位置の方向を示す情報を、前記情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスに表示させてもよい。
前記AR制御部は、前記第1ユーザとあらかじめ関連付けられた第2ユーザが利用する表示デバイスに前記情報ARオブジェクトを表示させてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すARオブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示させるステップを備え、前記ARオブジェクトを提示させるステップにおいて、前記実アバター位置に関する情報を前記ARオブジェクトとは異なるARオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示させる。
【0017】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御される前記アバターを示すARオブジェクトを、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、前記仮想空間における前記アバターの存在位置に対応する前記実空間の位置である実アバター位置に提示させるAR制御部として機能させ、前記AR制御部は、前記実アバター位置に関する情報を前記ARオブジェクトとは異なるARオブジェクトである情報ARオブジェクトとして前記表示デバイスにさらに提示させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、VRを利用するユーザとARを利用するユーザとが行動を共にしやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】仮想空間と実空間との対応付けの一例を模式的に表した図である。
【
図4】イベント管理データベースの構成の一例を示す図である。
【
図5】第1表示デバイスに表示されるVR画像を模式的に表した図である。
【
図6】第1表示デバイスに表示されるVR画像を模式的に表した図である。
【
図7】第1表示デバイスに表示されるVR画像を模式的に表した図である。
【
図8】第2表示デバイスに表示される重畳画像を模式的に表した図である。
【
図9】第2表示デバイスに表示される重畳画像を模式的に表した図である。
【
図10】第2表示デバイスに表示される重畳画像を模式的に表した図である。
【
図11】情報処理装置の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、イベント提供サービスを提供するために用いられるシステムである。イベント提供サービスは、実空間における所定の場所(以下、「行動場所」という。)において、実空間における行動場所に存在しない第1ユーザのアバターと、実空間における行動場所に存在する第2ユーザとを共に行動させるイベントを提供するサービスである。
【0021】
第1ユーザは、例えば、行動場所を案内するガイド、又は第2ユーザとアバターを通して散歩する芸能人等であり、例えば、イベント提供サービスを管理する事業者からの依頼に応じてイベント提供サービスに参加するユーザである。第2ユーザは、第1ユーザとは異なるユーザであり、例えば、第1ユーザとの行動を希望してイベント提供サービスに参加するユーザである。情報処理システムSは、第1表示デバイス1と、第2表示デバイス2と、情報処理装置3とを有する。情報処理システムSは、複数の第2表示デバイス2を有してもよい。
【0022】
第1表示デバイス1は、第1ユーザが利用する表示デバイスであり、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ又はヘッドマウントディスプレイ等である。第1表示デバイス1は、VRに関する情報を表示する。第1表示デバイス1は、操作を受け付けるためのタッチパネル、キーボード又はコントローラ等の操作部と、音声を取得するためのマイク等の集音部と、音声を出力するためのスピーカ及び情報を表示するための液晶ディスプレイ等の出力部とを有する。第1表示デバイス1は、ネットワークを介して情報処理装置3と通信可能である。
【0023】
第2表示デバイス2は、第2ユーザが利用する表示デバイスであり、例えば、スマートフォン又はタブレット等である。第2表示デバイス2は、ARに関する情報を表示する。第2表示デバイス2は、操作を受け付けるためのタッチパネル、キーボード又はコントローラ等の操作部と、音声を取得するためのマイク等の集音部と、音声を出力するためのスピーカ及び情報を表示するための液晶ディスプレイ等の出力部と、情報を読み取るためのカメラ等の撮像部と、第2表示デバイス2の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)受信部とを有する。第2表示デバイス2は、ネットワークを介して情報処理装置3と通信可能である。
【0024】
情報処理装置3は、イベント提供サービスを管理するために用いられる装置であり、例えばサーバである。情報処理装置3は、ネットワークを介して第1表示デバイス1及び第2表示デバイス2と通信可能である。情報処理装置3は、VRに関する情報を第1ユーザに提示する処理を実行するためのVR制御処理と、ARに関する情報を第2ユーザに提示する処理を実行するためのAR制御処理とを実行する。本明細書において、情報処理システムは、VR制御処理とAR制御処理とを実行する1つの情報処理装置3を含む例を説明するが、これに限らず、VR制御処理を実行する第1の情報処理装置3と、AR制御処理を実行する第2の情報処理装置3とを含んでもよい。
【0025】
VR制御処理で提示される仮想空間は、実空間と対応づけられており、情報処理装置3は、第1表示デバイス1に対して、所定の物体が存在する実空間の位置に対応する仮想空間の位置に当該所定の物体を示すオブジェクトであって、仮想空間において表示されるVRオブジェクトを提示する。また、情報処理装置3は、第2表示デバイス2に対して、VRオブジェクトが存在する仮想空間の位置に対応する実空間の位置にVRオブジェクトに対応するオブジェクトであって、実空間において表示されるARオブジェクトを提示する。
【0026】
図2は、仮想空間と実空間との対応付けの一例を模式的に表した図である。
図2に示す例において、空間Rは実空間であり、物体B(例えば、ビル及び道路等の構造物)と、第2ユーザである人Hとが存在する。空間Vは仮想空間であり、オブジェクトAは第1ユーザのアバターを示すVRオブジェクトである。
【0027】
情報処理装置3は、第1表示デバイス1に対して、空間Rにおける物体Bの位置に対応する空間Vの位置P1に物体Bを示すVRオブジェクトを提示し、空間Rにおける人Hの位置に対応する空間Vの位置P2に人Hのアバターを示すVRオブジェクトを提示する。また、情報処理装置3は、第2表示デバイス2に対して、空間VにおけるオブジェクトAの位置に対応する空間Rの位置P3にオブジェクトAを示すARオブジェクトを提示する。このようにすることで、情報処理装置3は、第2ユーザが第1ユーザと行動を共にすることを疑似的に体験させることができる。
【0028】
ここで、第1ユーザと第2ユーザとは、実空間においてお互いの実体を直接視認することができないため、第1ユーザ及び第2ユーザが行動を共にすることが難しい場合がある。例えば、第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの移動のペースが異なると、第1ユーザ又は第2ユーザの一方が他方を見失ってしまう事態が生じ得る。そこで、情報処理装置3は、第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの位置に関する情報をさらに提示する。
【0029】
具体的には、情報処理装置3は、第1表示デバイス1に対して情報VRオブジェクトをさらに提示し、第2表示デバイス2に対して情報ARオブジェクトをさらに提示する。情報VRオブジェクトは、第2ユーザ(
図2に示す例における人H)のアバターの位置に関する情報を示すVRオブジェクトであって、物体Bを示すVRオブジェクト及び人Hのアバターを示すVRオブジェクトとは異なるVRオブジェクトである。情報ARオブジェクトは、仮想空間における第1ユーザのアバターの位置に対応する実空間の位置(
図2に示す例における位置P3)に関する情報を示すARオブジェクトであって、第1ユーザのアバターを示すARオブジェクトとは異なるARオブジェクトである。
【0030】
このようにすることで、情報処理システムSは、第1ユーザ及び第2ユーザがお互いのがどこにいるのかを把握させることができる。これにより、情報処理システムSは、第1ユーザ及び第2ユーザがお互いを見失ってしまう事態の発生を低減させることができる。その結果、情報処理システムSは、第1ユーザ及び第2ユーザが行動を共にしやすくさせることができる。
以下、情報処理装置3の構成について説明する。
【0031】
[情報処理装置3の構成]
図3は、情報処理装置3のブロック図である。
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図3に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0032】
情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。情報処理装置3は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置3は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0033】
通信部31は、ネットワークを介して第1表示デバイス1及び第2表示デバイス2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部31は、第1表示デバイス1又は第2表示デバイス2からネットワークを介して受信したデータを制御部33に通知する。また、通信部31は、ネットワークを介して、制御部33から出力されたデータを第1表示デバイス1又は第2表示デバイス2に送信する。
【0034】
記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部32は、情報処理装置3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部33との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
記憶部32は、仮想空間を生成するための三次元マップと、VRオブジェクト情報と、第1ユーザに関する情報と、第2ユーザに関する情報とを記憶している。例えば、三次元マップには、実空間における位置座標に対応する位置座標が定められている。VRオブジェクト情報は、例えば、実空間に存在する建物及び道路等の構造物を示すVRオブジェクトに関する情報であり、少なくとも、VRオブジェクトの属性(例えば、形、色等)と、仮想空間におけるVRオブジェクトの位置とを含む。第1ユーザに関する情報は、例えば、第1ユーザを識別するための識別情報(ID:identifier)、及び第1ユーザの名前等を含む。第2ユーザに関する情報は、例えば、第2ユーザのID、及び第2ユーザの名前等を含む。
【0036】
記憶部32は、第1ユーザと第2ユーザとが行動を共にするイベントを管理するイベント管理データベースを記憶している。
図4は、イベント管理データベースの構成の一例を示す図である。
図4に示す例において、イベント管理データベースは、イベントIDと、開始日時と、開始場所と、VR参加者と、AR参加者とを関連付けて記憶している。
【0037】
開始日時は、イベントが開始される日時である。開始場所は、イベントが開始される場所である。VR参加者は、VRでイベントに参加する第1ユーザを示す情報であり、例えば、第1ユーザのIDで示される。AR参加者は、ARでイベントに参加する一以上の第2ユーザを示す情報であり、例えば、第2ユーザのIDで示される。
【0038】
図3に戻り、制御部33は、取得部331と、VR制御部332と、AR制御部333と、送信部334とを有する。制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331、VR制御部332、AR制御部333及び送信部334として機能する。取得部331、VR制御部332、AR制御部333及び送信部334それぞれが行う処理については後述する。
【0039】
[VR制御処理]
まず、情報処理装置3が実行するVR制御処理について説明する。VR制御部332は、制御情報に基づいて第1ユーザのアバターの動作を制御する。制御情報は、仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための情報である。
【0040】
例えば、第1ユーザが第1表示デバイスにおいて仮想空間を移動するための操作を行うと、第1表示デバイス1は、第1ユーザの操作を示す情報を制御情報として情報処理装置3に送信する。そして、取得部331が第1表示デバイス1から制御情報を取得すると、VR制御部332は、当該制御情報によって示される仮想空間における方向に第1ユーザのアバターを移動させることによって第1ユーザのアバターの動作を制御する。
【0041】
制御情報は、仮想空間における第1ユーザのアバターが予め定められたルートを移動するための情報であってもよい。例えば、イベント管理データベースには、イベントに対応する制御情報がさらに関連付けて記憶されている。この場合において、VR制御部332は、あるイベントにおいて、当該イベントの開始日時を経過したことを契機として、当該イベントに対応するイベントIDに関連付けられている制御情報に基づいて、第1ユーザのアバターの動作を制御する。
【0042】
VR制御部332は、VRオブジェクトを第1表示デバイス1に提示する処理を実行する。具体的には、VR制御部332は、VRオブジェクトとして構造物オブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。構造物オブジェクトは、仮想空間において構造物(実空間に存在する構造物)を示すVRオブジェクトである。より具体的には、VR制御部332は、構造物オブジェクトを、実空間における構造物の位置に対応する仮想空間の位置に表示させる。
【0043】
例えば、まず、VR制御部332は、記憶部32に記憶されている三次元マップ及びVRオブジェクト情報に基づいて、所定の範囲の仮想空間であって、実空間における構造物の位置に対応する仮想空間の位置に配置した構造物オブジェクトを含む仮想空間が表示されたVR画像を生成する。所定の範囲は、第1ユーザのアバターの位置に応じて定まる範囲(例えば、第1ユーザのアバターの位置から100メートルまでの範囲)、又はイベント提供サービスにおいて第1ユーザと第2ユーザとが行動する範囲として予め定められた行動範囲等である。送信部334は、VR制御部332が生成したVR画像を第1表示デバイス1に送信する。そして、第1表示デバイス1は、取得したVR画像を表示させる。
【0044】
VR制御部332は、第1表示デバイス1にVR画像を生成させてもよい。例えば、まず、VR制御部332は、記憶部32に記憶されている三次元マップ及びVRオブジェクト情報の中から、所定の範囲に含まれる三次元マップの部分及びVRオブジェクト情報の部分を特定する。送信部334は、VR制御部332が特定した三次元マップ及びVRオブジェクト情報を第1表示デバイス1に送信する。そして、第1表示デバイス1は、取得した三次元マップ及びVRオブジェクト情報に基づいて、構造物オブジェクトを含む仮想空間が表示されたVR画像を生成し、生成したVR画像を表示する。
【0045】
VR制御部332は、VRオブジェクトとして第1ユーザVRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させてもよい。第1ユーザVRオブジェクトは、第1ユーザのアバターを示すVRオブジェクトであって、構造物オブジェクトとは異なるVRオブジェクトである。
【0046】
具体的には、VR制御部332は、第1ユーザVRオブジェクトを、制御情報に基づいて第1表示デバイス1に表示させる。より具体的には、VR制御部332は、第1ユーザVRオブジェクトを、制御情報に基づいて第1ユーザのアバターの動作を制御した後の仮想空間の位置に表示させる。
【0047】
VR制御部332は、VRオブジェクトとして第2ユーザVRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させてもよい。第2ユーザVRオブジェクトは、第2ユーザのアバターを示すVRオブジェクトであって、構造物オブジェクト及び第1ユーザVRオブジェクトとは異なるVRオブジェクトである。
【0048】
具体的には、まず、取得部331は、位置情報取得部として機能し、第2表示デバイス2から、第2表示デバイス2のデバイス位置を取得する。デバイス位置は、実空間における第2表示デバイス2の位置を示す情報であり、例えば、第2表示デバイス2のGPS受信部が受信した情報に基づいて測定された位置を示す情報である。デバイス位置は、これに限らず、第2表示デバイス2の撮像部が周囲を撮像した撮像画像に基づいて特定された位置を示す情報であってもよく、この場合、第2表示デバイス2が撮像画像に基づいて位置を特定してもよいし、情報処理装置3が撮像画像に基づいて位置を特定してもよい。そして、VR制御部332は、取得部331が取得したデバイス位置に対応する仮想空間の位置に、第2ユーザVRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。
【0049】
VR制御部332は、VRオブジェクトとして情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。情報VRオブジェクトは、構造物オブジェクト、第1ユーザVRオブジェクト及び第2ユーザVRオブジェクトとは異なるVRオブジェクトである。
【0050】
具体的には、VR制御部332は、実空間における第2表示デバイス2のデバイス位置に対応する仮想空間における第2ユーザのアバターの位置に関する情報を情報VRオブジェクトとして、第1表示デバイス1に表示させる。位置に関する情報は、例えば、第2ユーザのアバターの位置を示す情報である。より具体的には、VR制御部332は、第2ユーザVRオブジェクトが存在する位置を示す地図情報を、情報VRオブジェクトとして第1表示デバイス1に表示させる。
【0051】
図5は、第1表示デバイス1に表示されるVR画像を模式的に表した図である。
図5に示す例において、第1表示デバイス1に表示されているVR画像である画像V1には、地図情報であるオブジェクトX1が表示されている。オブジェクトX1には、第1ユーザのアバターの位置を示すマークL1と、第2ユーザのアバターの位置を示すマークL2とが表示されている。情報処理装置3がこのような情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させることにより、第1ユーザは、第2ユーザVRオブジェクトがどこにいるかを把握することができる。
【0052】
位置に関する情報は、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報であってもよい。具体的には、VR制御部332は、第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離、又は仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置からデバイス位置に対応する仮想空間の位置までの距離を示す情報を、情報VRオブジェクトとして第1表示デバイス1に表示させる。
【0053】
例えば、まず、VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実空間の位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離を特定する。VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置から仮想空間における第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離を特定してもよい。また、VR制御部332は、第1の空間(仮想空間及び実空間のうちのいずれか)における第1ユーザの位置から、第1の空間とは異なる第2の空間(第1の空間が仮想空間である場合、第2の空間は実空間であり、第1の空間が実空間である場合、第2の空間は仮想区間である。)における第2ユーザの位置までの距離を特定してもよい。送信部334は、VR制御部332が特定した距離を示す情報を、位置に関する情報として第1表示デバイス1に送信する。そして、第1表示デバイス1は、距離を示す情報を情報VRオブジェクトとして表示させる。
【0054】
図6は、第1表示デバイス1に表示されるVR画像を模式的に表した図である。
図6に示す例において、第1表示デバイス1に表示されているVR画像である画像V2には、仮想空間における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実空間の位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離が表示されている。なお、画像V2には、オブジェクトX2として、第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離を示すメッセージが表示されていてもよい。VR制御部332が、仮想空間における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実空間の位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離を特定した場合、画像V2には、オブジェクトX2として、第2ユーザとの距離が離れすぎていることを示すメッセージ又は警告を示すメッセージが表示されていてもよい。情報処理装置3がこのような情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させることにより、第1ユーザは、第2ユーザVRオブジェクトとどのくらい離れているかを把握することができる。
【0055】
位置に関する情報は、第2ユーザVRオブジェクトの方向を示す情報であってもよい。具体的には、VR制御部332は、第1ユーザVRオブジェクトを始点とした場合の第2ユーザVRオブジェクトの方向を示す情報を、情報VRオブジェクトとして第1表示デバイス1に表示させる。
【0056】
例えば、まず、VR制御部332は、第1ユーザVRオブジェクトを始点とした場合の第2ユーザVRオブジェクトの方向を特定する。送信部334は、VR制御部332が特定した方向を示す情報を、位置に関する情報として第1表示デバイス1に送信する。そして、第1表示デバイス1は、方向を示す情報を情報VRオブジェクトとして表示させる。
【0057】
図7は、第1表示デバイス1に表示されるVR画像を模式的に表した図である。
図7に示す例において、第1表示デバイス1に表示されているVR画像である画像V3には、第1ユーザVRオブジェクトを始点とした場合の第2ユーザVRオブジェクトの方向を示す矢印のオブジェクトX3が表示されている。なお、画像V3には、オブジェクトX3として、第1ユーザVRオブジェクトが向いている方向に対する第2ユーザVRオブジェクトの位置を示す矢印が表示されていてもよい。情報処理装置3がこのような情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させることにより、第1ユーザは、第2ユーザVRオブジェクトがどの方向にいるかを把握することができる。
【0058】
VR制御部332は、位置に関する情報として、第2ユーザVRオブジェクトが存在する位置を示す地図情報と、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報と、第2ユーザVRオブジェクトの方向を示す情報とのうちのいずれかを表示させてもよいし、第2ユーザVRオブジェクトが存在する位置を示す地図情報と、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報と、第2ユーザVRオブジェクトの方向を示す情報とを同時に表示させてもよい。
【0059】
VR制御部332は、例えば、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。VR制御部332は、所定の条件を満たす場合に、情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させてもよい。
【0060】
具体的には、VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離、又は仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置からデバイス位置に対応する仮想空間の位置までの距離が情報表示閾距離より大きくなることを契機として情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。情報表示閾距離は、予め定められた数値である。情報表示閾距離は、人及び建物が多い都市部、街中等においては短い距離が定められ、人及び建物が少ない郊外、河川敷等においては長い距離が定められる等のように、行動場所に応じて異なっていてもよい。
【0061】
例えば、まず、VR制御部332は、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離が情報表示閾距離より大きいか否かを判定する。そして、VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離が情報表示閾距離より大きいと判定した場合に、情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。情報処理装置3がこのような条件で情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させることにより、第1ユーザは、第2ユーザVRオブジェクトと離れていることを認識することができる。
【0062】
VR制御部332は、第2ユーザVRオブジェクトが構造物オブジェクトで遮蔽されてしまった場合に、情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させてもよい。具体的には、VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置と第2ユーザVRオブジェクトの位置との間、又は仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置とデバイス位置に対応する仮想空間の位置との間に構造物オブジェクトが存在することを契機として、情報VRオブジェクトを第1表示デバイスに表示させる。
【0063】
例えば、まず、VR制御部332は、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置と第2ユーザVRオブジェクトの位置との間に構造物オブジェクトが存在するか否かを判定する。そして、VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置と第2ユーザVRオブジェクトの位置との間に構造物オブジェクトが存在すると判定した場合に、情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。情報処理装置3がこのような条件で情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させることにより、第1ユーザは、第2ユーザVRオブジェクトが見えなくなったことを認識することができる。
【0064】
VR制御部332は、例えば、あるイベントにおいて、当該イベントの開始日時を経過したことを契機として、VRオブジェクトを第1表示デバイス1に提示する処理を実行する。VR制御部332は、イベントに参加した第2ユーザのアバターに対応する情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させてもよい。
【0065】
具体的には、VR制御部332は、第1ユーザとあらかじめ関連付けられた第2ユーザのアバターに対応する情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。VR制御部332は、例えば、イベント管理データベースにおいて、VR参加者(第1ユーザ)と関連付けられているAR参加者(第2ユーザ)のアタバーに対応する情報VRオブジェクトを第1表示デバイス1に表示させる。このようにすることで、情報処理装置3は、イベントに参加していない第2ユーザのアバターに対応する情報VRオブジェクトの表示を抑止することができる。
【0066】
なお、VR制御部332は、イベントに参加している第2ユーザのアバターと、当該イベントに参加していない第2ユーザのアバターとをそれぞれ異なる態様で表示させてもよい。VR制御部332は、例えば、イベントに参加している第2ユーザに対応する第2ユーザVRオブジェクトにマーク、フラグを付けたり、当該第2ユーザVRオブジェクトに目立ち得る色(例えば、赤色、青色等)を付けたりして表示させる。一方、VR制御部332は、例えば、イベントに参加していない第2ユーザに対応する第2ユーザVRオブジェクトに色を付けなかったり(例えば、半透明)、当該第2ユーザVRオブジェクトに目立ち得ない色(例えば、白色)を付けたりして表示させる。
【0067】
[AR制御処理]
続いて、情報処理装置3が実行するAR制御処理について説明する。AR制御部333は、ARオブジェクトを第2表示デバイス2に提示する処理を実行する。具体的には、AR制御部333は、ARオブジェクトとして第1ユーザARオブジェクトを、第2表示デバイス2に対して実アバター位置に提示する。第1ユーザARオブジェクトは、第1ユーザのアバターを示すARオブジェクトである。実アバター位置は、仮想空間における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実空間の位置である。
【0068】
例えば、まず、AR制御部333は、実アバター位置に配置した第1ユーザARオブジェクトが表示されたAR画像を生成する。送信部334は、AR制御部333が生成したAR画像を第2表示デバイス2に送信する。そして、第2表示デバイス2は、取得したAR画像を第2表示デバイス2の撮像部が撮像した撮像画像に重畳した重畳画像を表示させる。
【0069】
AR制御部333は、第2表示デバイス2にAR画像を生成させてもよい。例えば、まず、送信部334は、第1ユーザARオブジェクトに関するARオブジェクト情報と、実アバター位置とを第2表示デバイス2に送信する。ARオブジェクト情報は、例えば、第1ユーザARオブジェクトの形、色等を示す情報である。そして、第2表示デバイス2は、取得しARオブジェクト情報と実アバター位置とに基づいて、実アバター位置に配置された第1ユーザARオブジェクトが表示されたAR画像を生成し、生成したAR画像を第2表示デバイス2の撮像部が撮像した撮像画像に重畳した重畳画像を表示する。
【0070】
AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトを、VR制御部332が制御情報に基づいて仮想空間における第1ユーザのアバターの動作を制御した後における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実アバター位置に提示する。具体的には、AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトを、第1ユーザのアバターの第1存在位置から移動させた第1ユーザのアバターの第2存在位置に対応する実アバター位置に提示する。第1存在位置は、VR制御部332が制御情報に基づいて第1ユーザのアバターを移動させる前の仮想空間の存在位置である。第2存在位置は、VR制御部332が制御情報に基づいて第1ユーザのアバターを移動させた後の仮想空間の存在位置である。
【0071】
AR制御部333は、制御情報によって示される実空間における方向に第1ユーザARオブジェクトを移動させることによって第1ユーザARオブジェクトの動作を制御し、第1ユーザARオブジェクトを、制御情報に基づいて制御した後における実アバター位置に提示してもよい。具体的には、AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトを、第1実アバター位置から移動させた第2実アバター位置に提示する。第1実アバター位置は、制御情報に基づいて第1ユーザARオブジェクトを移動させる前の実空間の位置である。第2実アバター位置は、制御情報に基づいて第1ユーザARオブジェクトを移動させた後の実空間の位置である。
【0072】
AR制御部333は、複数の第2ユーザが存在する場合、複数の第2ユーザのうちの一方に対して、ARオブジェクトとして他方の第2ユーザARオブジェクトを提示してもよい。具体的には、AR制御部333は、複数の第2ユーザのうちの一方の第2表示デバイス2に対して、他方の第2ユーザARオブジェクトを、当該他方の第2表示デバイス2のデバイス位置に表示させる。
【0073】
AR制御部333は、ARオブジェクトとして情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2にさらに提示する。情報ARオブジェクトは、第1ユーザARオブジェクト及び第2ユーザARオブジェクトとは異なるARオブジェクトであるである。
【0074】
具体的には、AR制御部333は、第1ユーザのアバターの実アバター位置に関する情報を情報ARオブジェクトとして第2表示デバイス2にさらに表示させる。実アバター位置に関する情報は、例えば、第1ユーザのアバターの位置を示す情報である。より具体的には、AR制御部333は、第1ユーザのアバターが存在する位置を示す地図情報を、情報ARオブジェクトとして第2表示デバイス2に表示させる。
【0075】
図8は、第2表示デバイス2に表示される重畳画像を模式的に表した図である。
図8に示す例において第2表示デバイス2に表示されている画像O1は、AR画像に第2表示デバイス2が撮像した撮像画像を重畳した重畳画像である。画像O1には、地図情報であるオブジェクトY1が表示されている。オブジェクトY1には、第2ユーザのアバターの位置を示すマークL3と、第1ユーザのアバターの位置を示すマークL4とが表示されている。情報処理装置3がこのような情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させることにより、第2ユーザは、第1ユーザARオブジェクトがどこにいるかを把握することができる。
【0076】
実アバター位置に関する情報は、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報であってもよい。具体的には、AR制御部333は、実アバター位置とデバイス位置との距離を示す情報を、情報ARオブジェクトとして第2表示デバイス2に表示させる。
【0077】
例えば、まず、AR制御部333は、実アバター位置からデバイス位置までの距離を特定する。AR制御部333は、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置から仮想空間における第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離を特定してもよい。また、AR制御部333は、第1の空間(仮想空間及び実空間のうちのいずれか)における第1ユーザの位置から、第1の空間とは異なる第2の空間(第1の空間が仮想空間である場合、第2の空間は実空間であり、第1の空間が実空間である場合、第2の空間は仮想区間である。)における第2ユーザの位置までの距離を特定してもよい。送信部334は、AR制御部333が特定した距離を示す情報を、実アバター位置に関する情報として第2表示デバイス2に送信する。そして、第2表示デバイス2は、距離を示す情報を情報VRオブジェクトとして表示させる。
【0078】
図9は、第2表示デバイス2に表示される重畳画像を模式的に表した図である。
図9に示す例において第2表示デバイス2に表示されている画像O2は、AR画像に第2表示デバイス2が撮像した撮像画像を重畳した重畳画像である。画像O2には、第1ユーザの実アバター位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離を示すメッセージのオブジェクトY2が表示されている。なお、画像O2には、オブジェクトY2として、第1ユーザVRオブジェクトの位置から第2ユーザVRオブジェクトの位置までの距離を示すメッセージが表示されていてもよい。AR制御部333が、仮想空間における第1ユーザのアバターの存在位置に対応する実空間の位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離を特定した場合、画像O2には、オブジェクトY2として、第1ユーザとの距離が離れすぎていることを示すメッセージ又は警告を示すメッセージが表示されていてもよい。情報処理装置3がこのような情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させることにより、第2ユーザは、第1ユーザARオブジェクトとどのくらい離れているかを把握することができる。
【0079】
実アバター位置に関する情報は、第1ユーザARオブジェクトの方向を示す情報であってもよい。具体的には、AR制御部333は、第2表示デバイス2のデバイス位置を始点とした場合の第1ユーザの実アバター位置の方向を示す情報を、情報ARオブジェクトとして第2表示デバイス2に表示させる。
【0080】
例えば、まず、AR制御部333は、第2表示デバイス2のデバイス位置を始点とした場合の第1ユーザの実アバター位置の方向を特定する。送信部334は、AR制御部333が特定した方向を示す情報を、実アバター位置に関する情報として第2表示デバイス2に送信する。そして、第2表示デバイス2は、方向を示す情報を情報ARオブジェクトとして表示させる。
【0081】
図10は、第2表示デバイス2に表示される重畳画像を模式的に表した図である。
図10に示す例において第2表示デバイス2に表示されている画像O3は、AR画像に第2表示デバイス2が撮像した撮像画像を重畳した重畳画像である。画像O3には、第2表示デバイス2のデバイス位置を始点とした場合の第1ユーザの実アバター位置の方向を示す矢印のオブジェクトY3が表示されている。なお、画像O3には、オブジェクトY3として、第2表示デバイス2の撮像部が向いている方向に対する第1ユーザの実アバター位置を示す矢印が表示されていてもよい。情報処理装置3がこのような情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させることにより、第2ユーザは、第1ユーザARオブジェクトがどの方向にいるかを把握することができる。
【0082】
AR制御部333は、位置に関する情報として、第1ユーザのアバターが存在する位置を示す地図情報と、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報と、第1ユーザARオブジェクトの方向を示す情報とのうちのいずれかを表示させてもよいし、第1ユーザのアバターが存在する位置を示す地図情報と、第1ユーザから第2ユーザまでの距離を示す情報と、第1ユーザARオブジェクトの方向を示す情報とを同時に表示させてもよい。
【0083】
AR制御部333は、例えば、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。AR制御部333は、所定の条件を満たす場合に、情報ARオブジェクトをAR制御部333に表示させてもよい。
【0084】
具体的には、AR制御部333は、第1ユーザの実アバター位置と第2表示デバイス2のデバイス位置との距離が情報表示閾距離より大きくなることを契機として情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。
【0085】
例えば、まず、AR制御部333は、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、第1ユーザの実アバター位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離が情報表示閾距離より大きいか否かを判定する。そして、AR制御部333は、第1ユーザの実アバター位置から第2表示デバイス2のデバイス位置までの距離が情報表示閾距離より大きいと判定した場合に、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。情報処理装置3がこのような条件で情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させることにより、第2ユーザは、第1ユーザARオブジェクトと離れていることを認識することができる。
【0086】
AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトが構造物で遮蔽されてしまった場合に、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させてもよい。具体的には、AR制御部333は、仮想空間における第1ユーザのアバターの位置と、第2表示デバイス2のデバイス位置に対応する仮想空間における位置との間に、構造物オブジェクトが存在するとVR制御部332が判定することを契機として、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。
【0087】
例えば、まず、VR制御部332は、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置と第2ユーザVRオブジェクトの位置との間に構造物オブジェクトが存在するか否かを判定する。そして、VR制御部332が、仮想空間における第1ユーザVRオブジェクトの位置と第2ユーザVRオブジェクトの位置との間に構造物オブジェクトが存在すると判定した場合に、AR制御部333は、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。
【0088】
AR制御部333は、第1ユーザの実アバター位置と、第2表示デバイス2のデバイス位置との間に、構造物が存在することを契機として、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させてもよい。例えば、記憶部32には、実空間における地図を示す情報が記憶されている。この場合において、まず、AR制御部333は、取得部331が所定の間隔で第2表示デバイス2のデバイス位置を取得するごとに、記憶部32に記憶されている実空間における地図を参照し、第1ユーザの実アバター位置と、第2表示デバイス2のデバイス位置との間に、構造物が存在するか否かを判定する。そして、AR制御部333は、第1ユーザの実アバター位置と、第2表示デバイス2のデバイス位置との間に、構造物が存在すると判定した場合に、情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させる。情報処理装置3がこのような条件で情報VRオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させることにより、第2ユーザは、第1ユーザARオブジェクトが見えなくなったことを認識することができる。
【0089】
AR制御部333は、例えば、あるイベントにおいて、当該イベントの開始日時を経過したことを契機として、ARオブジェクトを第2表示デバイス2に提示する処理を実行する。AR制御部333は、イベントに参加した第1ユーザのアバターに対応する情報ARオブジェクトを第2表示デバイス2に表示させてもよい。
【0090】
具体的には、AR制御部333は、第1ユーザとあらかじめ関連付けられた第2ユーザが利用する第2表示デバイス2に情報ARオブジェクトを表示させる。AR制御部333は、例えば、イベント管理データベースにおいて、VR参加者(第1ユーザ)に対応する情報ARオブジェクトを、VR参加者に関連付けられているAR参加者(第2ユーザ)の第2表示デバイス2に表示させる。このようにすることで、情報処理装置3は、第2ユーザが参加するイベントに参加していない第1ユーザのアバターに対応する情報ARオブジェクトの表示を抑止することができる。
【0091】
なお、AR制御部333は、イベントに参加している第1ユーザのアバターと、当該イベントに参加していない第1ユーザのアバターとをそれぞれ異なる態様で表示させてもよい。AR制御部333は、例えば、イベントに参加している第1ユーザに対応する第1ユーザARオブジェクトにマーク、フラグを付けたり、当該第1ユーザARオブジェクトに目立ち得る色(例えば、赤色、青色等)を付けたりして表示させる。一方、AR制御部333は、例えば、イベントに参加していない第1ユーザに対応する第1ユーザARオブジェクトに色を付けなかったり(例えば、半透明)、当該第1ユーザARオブジェクトに目立ち得ない色(例えば、白色)を付けたりして表示させる。
【0092】
[情報処理装置3の処理の流れ]
続いて、情報処理装置3の処理の流れについて説明する。
図11は、情報処理装置3の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部331が第2表示デバイス2からデバイス位置を取得したことを契機として開始する(S1)。
【0093】
VR制御部332は、仮想空間における第1ユーザのアバターの位置から、第2表示デバイス2のデバイス位置に対応する第2ユーザのアバターの位置までの距離を特定する(S2)。VR制御部332は、特定した距離が情報表示閾距離より大きいか否かを判定する(S3)。
【0094】
VR制御部332は、特定した距離が情報表示閾距離より大きくはないと判定した場合(S3においてNOの場合)、構造物オブジェクトを含むVR画像であって、情報VRオブジェクトを含まないVR画像である第1のVR画像を第1表示デバイス1に提示する(S4)。また、VR制御部332が、特定した距離が情報表示閾距離より大きくはないと判定した場合(S3においてNOの場合)、AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトを含むAR画像であって、情報ARオブジェクトを含まないAR画像である第1のAR画像を第2表示デバイス2に提示する(S5)。
【0095】
一方、VR制御部332は、特定した距離が情報表示閾距離より大きいと判定した場合(S3においてYESの場合)、構造物オブジェクトと情報VRオブジェクトとを含むVR画像である第2のVR画像を第1表示デバイス1に提示する(S6)。また、VR制御部332が、特定した距離が情報表示閾距離より大きいと判定した場合(S3においてYESの場合)、AR制御部333は、第1ユーザARオブジェクトと情報ARオブジェクトとを含むAR画像である第2のAR画像を第2表示デバイス2に提示する(S7)。
【0096】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置3は、第1表示デバイス1に対して第2ユーザのアバターの位置に関する情報を情報VRオブジェクトとして提示し、第2表示デバイス2に対して第1ユーザの実アバター位置に関する情報を情報ARオブジェクトとして提示する。このようにすることで、情報処理装置3は、第1ユーザ及び第2ユーザがお互いのがどこにいるのかを把握させることができる。これにより、情報処理装置3は、第1ユーザ及び第2ユーザがお互いを見失ってしまう事態の発生を低減させることができる。その結果、情報処理装置3は、第1ユーザ及び第2ユーザが行動を共にしやすくさせることができる。
【0097】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0098】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0099】
1 第1表示デバイス
2 第2表示デバイス
3 情報処理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 VR制御部
333 AR制御部
334 送信部
S 情報処理システム
【要約】
【課題】VRを利用するユーザとARを利用するユーザとが行動を共にしやすくする。
【解決手段】情報処理装置3は、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターを制御するための制御情報に基づいて動作が制御されるアバターを示すARオブジェクトを、第1ユーザとは異なる第2ユーザが利用する表示デバイスに対して、仮想空間におけるアバターの存在位置に対応する実空間の位置である実アバター位置に提示するAR制御部333を備え、AR制御部333は、実アバター位置に関する情報をARオブジェクトとは異なるARオブジェクトである情報ARオブジェクトとして表示デバイスにさらに提示する。
【選択図】
図3