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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】高電圧構成部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20231108BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K3/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022514228
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074234
(87)【国際公開番号】W WO2021047936
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】19196333.9
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン・エントナー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・シュミッツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ビーンミュラー
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-194208(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00203838(EP,A1)
【文献】特開2003-255202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0221254(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103571179(CN,A)
【文献】特開2009-140612(JP,A)
【文献】特開2009-143326(JP,A)
【文献】特開2001-071654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧構成部品としてのポリアミドをベースとする製品をレーザーによってマーキングするための、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物の使用方法
【請求項2】
前記のポリアミドをベースとする製品が、電動モビリティのための、ポリアミドをベースとする製品であることを特徴とする、請求項1に記載の使用方法
【請求項3】
1064nmの波長においてダイオードレーザー又はND:YAGレーザーをマーキングのために使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項4】
セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物として、硫化セリウム(III)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)使用ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用方法
【請求項5】
ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド-4,6及び/又は半芳香族コポリアミドを前記ポリアミドとして使用ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用方法
【請求項6】
前記半芳香族コポリアミドとして、ポリアミド6T/6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、又はポリアミド6T/6I/66を使用することを特徴とする、請求項5に記載の使用方法。
【請求項7】
レーザーによってマーキングされる高電圧構成部品であって、少なくとも1種のポリアミドと、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とを含む高電圧構成部品
【請求項8】
前記ポリアミドとして、ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド-4,6及び/又は半芳香族コポリアミドを使用することを特徴とする、請求項7に記載の高電圧構成部品。
【請求項9】
前記高電圧構成部品が、電気装置若しくは電子装置のためのカバー、制御装置、ヒューズのためのカバー/ハウジング、リレー、電池モジュール、ヒューズホルダー、ヒューズプラグ、端子、ケーブルホルダー又は外装を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の高電圧構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリアミドと、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とをベースとするポリマー組成物を含む、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品と、ポリアミドをベースとする高電圧構成部品の製造のための、又はレーザーによる、高電圧構成部品としての、ポリアミドをベースとする製品のマーキングのためのその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドなどの工業用熱可塑性樹脂は、それらの良好な機械的安定性、それらの耐薬品性、非常に良好な電気特性及び良好な加工性のため、特に動力車のための構成部品の分野でも重要な材料である。
【0003】
ポリアミドは、長年にわたり、要求の厳しい動力車構成部品を製造するための重要な構成成分を形成している。内燃エンジンは、長年にわたり、主要な駆動コンセプトであったが、材料の選択に関する新たな要件も代替駆動コンセプトの探求の過程で生じている。重要な役割は、ここで、それらの電気エネルギーをバッテリ又は燃料電池から典型的に引き出す1つ以上の電動機によって内燃エンジンが部分的に(ハイブリッド車[HEV、PHEV、BEV Rex]又は完全に(電気自動車[BEV、FCEV])置き換えられている電動モビリティによって果たされている。駆動力のそれらの唯一の手段として内燃エンジン(ICE)を有する従来の車両は、典型的には、12V搭載電圧システムで間に合うが、駆動装置として電動機を有するハイブリッド及び電気自動車は、著しくより高い電圧を必要とする。これは、技術仕様書又は標準において一層重要な役割を果たす、そのような高電圧部品の直接領域及びごく近い周囲に対して重大な追加のリスクの可能性を呈する。したがって、人々(運転手、機械工等)との意図的ではない接触を避けるために、重要な役割は、ここで、これらの危険な領域の明白なマーキングによって果たされ、そのような高電圧アセンブリの明白なカラーマーキングは、したがって、特に重要である。
【0004】
例えば、(非特許文献1)において、Advanced Vehicle Team of the Idaho National Laboratory for HEV(Hybrid Electric Vehicle)は、「高電圧」としての明確なマーキングなど、60V以上の高電圧を受ける全ての装置に関する勧告付きの技術仕様書を公開しており、これに関連してマーキングのためのオレンジ色も提案している。
【0005】
しかしながら、コンパウンディング中及び射出成形中のいくつかの場合には300℃超の高い処理温度のため、オレンジ色のための好適な着色剤の選択は、とりわけポリアミドなどの工業用熱可塑性樹脂に関して非常に制限される。
【0006】
(特許文献1)は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、特にポリマー中における、マニキュア液及び化粧品に使用されるメーキャップ製品でペイント及びワニスの構成成分として使用される樹脂中における着色顔料としての希土類金属硫化物を教示している。実施例9は、RAL表色系においてL=35.8、a=8.6及びb=1.8の値を達成するためにCeが使用される、ナイロン-6,6系ポリマー組成物を開示している。
【0007】
(特許文献2)は、使用される着色顔料が硫化セリウムであり得る、金属系無機着色顔料を含む赤色ポリアミド組成物を開示している。
【0008】
(特許文献3)は、光の波長を変えることができる蛍光性組成物、光波変換素子としての、そのような組成物をベースとする成形品及びそのような素子を用いて光エネルギーを電気エネルギーに変換するための装置を記載している。(特許文献3)の実施例は、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)中に12H-フタロペリン-12-オンを使用している。更に、とりわけポリアミド中の使用が(特許文献3)で提案されている。
【0009】
Solvent Orange 60として知られる12H-フタロペリン-12-オン[CAS No.6925-69-5]は、例えば、Lanxess Deutschland GmbH,CologneからMacrolex(登録商標)Orange 3Gとして入手可能である。しかしながら、不利点は、極端な要求下、とりわけ電動モビリティにおいて見られる要求下において、Solvent Orange 60が、高温で色の強さの低下をもたらす、プラスチックマトリックスから移行する性向を有することである。Solvent Orange 60は、プラスチックの表面に移行する(ブルーミング)。そこから、それは、こすり取られるか、洗い流されるか若しくは溶解し得るか、揮発し(曇り)得るか、又は他の材料(例えば、隣接するプラスチック若しくはゴム部品)中に移行し得る(ブリーディング)。元のプラスチック中のSolvent Orange 60の濃度が低減し、したがって色の強さの低下を引き起こす。移行したSolvent Orange 60は、機械的又は物理的プロセスにより、隣接する構成部品に運ばれて、そこで性能障害を引き起こし得るという不利な点も有する。例としては、電気接点の表面上へのSolvent Orange 60の堆積に由来するスイッチ接点での電気抵抗の上昇が挙げられる。電気部品の分野において、プラスチックからの原料の移行は、いくつかの場合、電気部品の機能がもはや保証されないという結果となって、プラスチック及び空間的に隣接する部品の特性に影響を及ぼし得るため、したがって一般に望ましくない。(特許文献3)の教示から進んで、本発明によって対処される課題は、したがって、12H-フタロペリン-12-オンをベースとする、(特許文献3)における解決策と比較して、移行、とりわけブリーディングの傾向がより少ない、高電圧構成部品、とりわけ電気自動車における高電圧構成部品のための、ポリアミドをベースとするオレンジポリマー組成物を提供するというものであった。
【0010】
とりわけ電動モビリティにおける高電圧構成部品にとって、通し番号、製造業者特徴、据え付け情報又は安全性関連情報などの追加の情報でこれらを特定するために、識別の可能性も重要である。プラスチック系構成部品を特定する好適な手段は、好ましくは、波長1064nmのダイオードレーザー又はND:YAGレーザーを用いるレーザー刻印である((非特許文献2)を参照されたい)。
【0011】
先行技術によれば、波長1064nmのレーザーでの刻印の場合、通常、三酸化アンチモン系添加剤が刻印コントラストを向上させるために使用される((特許文献4)を参照されたい)。しかしながら、三酸化アンチモンの使用は、H351危険度声明(「癌を引き起こす疑いがある」)のために市場でマイナスのイメージを有するため、好ましくは本発明に従って回避されるべきである。三酸化アンチモンでも、IEC 60112に従って耐トラッキング性への悪影響を有し得、それは、比較的低い耐トラッキング性の場合、望ましくない電流フローの結果としての安全性リスクを排除するために、耐電流アセンブリ間の距離を増やさなければならないため、特に電動モビリティのための高電圧構成部品での用途にとって特に不利であろう。
【0012】
したがって、1064nmのレーザー波長でのレーザー刻印性が三酸化アンチモン又は三酸化アンチモン含有誘導体の添加なしでも可能であることと、可能な場合、耐トラッキング性の低下の結果としての三酸化アンチモンに対応するいかなる不利点も受け入れる必要性が全くないこととが本発明の追加の目的である。
【0013】
創意に富むオレンジポリアミド系成形コンパウンド及びレーザー刻印性は、理想的には、射出成形の直後に達成される原色が、12H-フタロペリン-12-オンと比較して、UV光又は熱応力下でそれぞれの場合により長い期間にわたって保持される点において、上で引用された先行技術よりも改善された耐光性及び改善された熱安定性も有することになる。本発明に関連して、熱応力に関してより長い期間は、80℃で12時間にわたるホットエア乾燥キャビネット中での保管を意味する。本発明に関連して、耐光性に関してより長い期間は、96時間にわたるキセノンランプ、1500ワット、45~130klx及び波長300~800nmでの照射時間を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第0 203 838 A2号明細書
【文献】特開2002-194208号公報
【文献】欧州特許第0 041 274 B1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3 281 974 A1号明細書
【非特許文献】
【0015】
【文献】https://avt.inl.gov/sites/default/files/pdf/hev/hevtechspecr1.pdf
【文献】https://de.wikipedia.org/wiki/Laserbeschriftung
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
意外にも、ポリアミドと、オレンジ着色剤としての、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とをベースとする熱可塑性ポリマー組成物を含む、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品は、ブリーディング、耐光性及び必須のレーザー刻印性に関する要求を満たすことが今や見出された。
【0017】
本発明は、少なくとも1種のポリアミドと、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とを含むポリマー組成物を提供する。
【0018】
ポリアミドの100質量部ごとに、0.01~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物が使用されるポリマー組成物が更に好ましい。
【0019】
本発明は、少なくとも1種のポリアミドと、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物を含むポリマー組成物とをベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品も提供する。
【0020】
本発明は、少なくとも1種のポリアミドの100質量部ごとに、0.01~5質量部、より好ましくは0.01~3重量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品も提供する。
【0021】
本発明は、ポリアミド系ポリマー組成物、好ましくはポリアミドをベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための、ポリアミドをベースとする高電圧構成部品の製造のための、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物の使用にも関する。
【0022】
本発明は、レーザー、好ましくは1064nmの波長におけるダイオードレーザー又はND:YAGレーザーによる、高電圧構成部品としての、ポリアミドをベースとする製品のマーキングのための、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物の使用に更に関する。
【0023】
本発明は、好ましくは、ポリマー組成物、それらから製造される成形コンパウンド及びしたがってそれらから製造される高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品に関し、但し、これらが、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011に対応することを条件とする。
【0024】
最後に、本発明は、製品に放射線を照射するために、レーザー、好ましくは1064nmの波長におけるダイオードレーザー又はND:YAGレーザーを使用することにより、高電圧構成部品としての、ポリアミドをベースとする製品をマーキングする方法であって、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物がポリアミド中で使用される、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
高電圧構成部品として使用するための発明のポリアミド系ポリマー組成物の配合は、少なくとも1つの混合システム中において、反応剤として使用される構成要素である、A)ポリアミドと、B)セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とを混合することによって達成され、但し、A)及びB)に基づくポリマー組成物又はそれらから製造される高電圧構成部品若しくは電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011に対応することを条件とする。
【0026】
混合は、中間体として、本発明のポリマー組成物をベースとする成形コンパウンドをもたらす。これらの成形コンパウンドは、専ら、構成要素A)及びB)からなり得るか、又は構成要素A)及びB)に加えて少なくとも1種の更なる構成要素を含有し得るかのいずれかであり、但し、A)及びB)並びに任意選択による更なる構成要素に基づく成形コンパウンド又はそれらから製造される高電圧構成部品若しくは電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011に対応することを条件とする。
【0027】
好ましくは、上記の理由のため、アンチモン系構成要素の使用、とりわけ三酸化アンチモン含有誘導体の使用は、ポリマー組成物又は成形コンパウンドの製造において省かれる。
【0028】
明確にするために、本発明の範囲は、一般的に又は任意の所望の組合せでの好ましい範囲で列挙される定義及びパラメータを全て包含する。本出願に関連して引用される規格は、本発明の出願日における最新版に関連する。
【0029】
<ブリーディング>
本発明に関連して、ブリーディングは、以下のように確認される:60・40・2mmの寸法を有するプラスチックシートを、最初に、検討される着色剤含有ポリアミド組成物から二次加工する。本発明に関連して、プラスチックシートについて、使用される顔料は、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物である。30・20・2mmの寸法を有する可塑化PVCフィルムは、次に、最初に二次加工されたプラスチックシートの2つの間に置かれ、ホットエア乾燥キャビネット中において80℃で12時間保管される。2つのプラスチックシートから可塑化PVC中に移行した着色剤は、次いで、ISO 105-A02に従ってグレースケールによって視覚的に評価され、「5」は、PVCフィルムが色変化を全く示さないこと(ポリアミドプラスチックシートからPVCフィルムへの視覚的に識別できる着色剤移動なし)を意味し、「1」は、PVCフィルムが著しい色変化を示すこと(ポリアミドプラスチックシートからPVCフィルムへの著しい視覚的に識別できる着色剤移動)を意味する。
【0030】
<耐光性>
本発明に関連して用いられる耐光性の尺度は、Suntest CPS+空冷Atlas Xenonランプ、1500ワット、45~130klx、波長300~800nm及びAtlas Material Testing Technology GmbH,Linsengericht,Germany製の窓ガラスフィルター250~267W/mからのタイプのUV光並びに96時間の照射時間での、検討される着色剤含有ポリアミド組成物の上記のプラスチックシートのUV保管後の変色である。変色は、DIN EN ISO 105-B02に準拠してブルーウールスケールに基づいて視覚的に評価され、「8」は、優れた耐光性(色変化ほとんどなし)を表し、「1」は、低い耐光性(著しい色変化)を表す。
【0031】
<高電圧>
国連欧州経済委員会(UNECE)の規制番号100 - 電気パワートレインの具体的要件に関する車両の認可に関するUniform規定[2015/505]、段落2.17は、用語「高電圧」を、その作動電圧が60V超及び1500V以下(直流)又は30V超及び1000V以下(交流)二乗平均平方根(rms)である場合、電気部品又は電気回路の分類として記載している。
【0032】
「高電圧」のこの分類は、ISO6469-3:2018(「Electrically propelled road vehicles-Safety specifications - Part 3:Electrical safety」)の電圧クラスBに対応する。そのセクション5.2は、適切な危険度記号又は「オレンジ」色による電圧クラスBの電気部品のマーキング要件も含む。
【0033】
<高電圧構成部品及び電動モビリティのための高電圧構成部品>
本発明によれば、高電圧構成部品という用語は、国連欧州経済委員会(UNECE)の上述の規制番号100のセクション2.17に準拠する、作動電圧を受ける構成部品又は製造品を意味すると理解される。本発明によれば、電動モビリティのための高電圧構成部品は、好ましくは、30V以上(直流)又は20V以上(交流)の作動電圧、より好ましくは - ISO6469-3:2018の電圧クラスBに従って - 60V超(直流)又は30V超(交流)の作動電圧を受ける電気自動車における構成部品を指す。
【0034】
本発明によれば、電動モビリティのための高電圧構成部品は、電圧伝導部品と直接接触しているそれらの構成部品のみならず、それに直接隣接した又はそれと空間的近接したものも含み、タッチガード、警告マーカー又は遮蔽手段としての役割を果たし、電圧伝導部品と直接接触した構成部品が、本発明に従って好ましい。
【0035】
本発明のポリマー組成物、それらから製造される製品、好ましくは高電圧構成部品、より好ましくは電動モビリティのための高電圧構成部品は、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物のために、色がオレンジであり、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010及びRAL2011に対応する色調が特に好ましく、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2008及びRAL2009に対応する色調が非常に特に好ましく、RAL2003がとりわけ好ましい。
【0036】
本発明に従って同様に許容可能な「類似の色調」は、L系におけるその色の距離が、RALカラーチャートにおいて定義される特定のRAL色調のL値から20未満のΔE、好ましくは10未満のΔE、より好ましくは5未満のΔEを有する色調である。ΔEの説明については、例えば、https://de.wikipedia.org/wiki/Delta_Eを参照されたい。
【0037】
<オレンジ>
本発明に関連して、オレンジは、https://de.wikipedia.org/wiki/RAL-Farbe#OrangeによるRAL表色系において、RALカラーチャートで「2」から始まる色数を有する色を意味すると考えられる。特に、本発明の出願日において、区別は、表1に従ったオレンジの色調間でなされる。
【0038】
【表1】
【0039】
表1は、それぞれのRAL値について装置独立性のCIE L明度を示す。Lは、輝度を表し、a=D65及びb=10°である。色モデルは、EN ISO 11664-4「Colorimetry - Part 4:CIE 1976 LColor space」において標準化されている。L色空間(同様にCIELAB)については、https://de.wikipedia.org/wiki/Lab-Farbraumを参照されたい。
【0040】
色空間における各色は、デカルト座標{L、a、b}を有する色座によって画定される。a座標面は、反対色理論を用いて構築された。緑及び赤は、互いにa軸の反対端にあり、b軸は、青から黄へと延びている。補色の色調は、それぞれ互いに180°だけ反対側であり、それらの間の中心の点(座標原点a*=0、b*=0)は、グレーである。
【0041】
軸は、0~100の値で色の明るさ(輝度)を表現する。そのダイヤグラムにおいて、L軸は、原点でa面に対して垂直に立っている。それは、全ての非着色色調(グレー色調)が黒(L=0)及び白(L=100)の終点間に含まれるため、中性グレー軸ともよぶことができる。a軸は、色の緑又は赤部分を表し、負の値は、緑を表し、正の値は、赤を表す。b軸は、色の青又は黄部分を表し、負の値は、青を表し、正の値は、黄を表す。
【0042】
値は、およそ-170~+100、b値は、-100~+150の範囲であり、最大値は、一定の色調の適度な明るさにおいてのみ達成される。CIELAB色空間は、適度な明るさの領域でその最大の広がりを有するが、これは、色範囲(カラーレンジ)に応じて高さ及びサイズが異なる。
【0043】
本発明に関連して、RAL2003、66.02/41.22/52.36のLのパステルオレンジに可能な限り近い又は更にそれに正確に対応する色数を有するポリマー組成物及びそれらから製造可能な高電圧構成部品が好ましい。この目的のために、当業者は、RAL2003が結果として理想的に達成されるように、本発明によるポリマー組成物に使用される構成要素の量を選択するであろう。
【0044】
<本発明の更なる好ましい実施形態>
好ましい実施形態において、本発明は、構成要素A)及びB)に加えて、C)それぞれの場合に構成要素A)の100質量部を基準として好ましくは1~150質量部、より好ましくは5~80質量部、最も好ましくは10~50質量部の量の少なくとも1種の充填材及び/又は強化材(補強材)も含むポリマー組成物、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品に関し、但し、ポリマー組成物及びそれらから製造される高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0045】
更なる好ましい実施形態において、本発明は、構成要素A)、B)及びC)に加えて又はC)の代わりに、D)それぞれの場合に構成要素A)の100質量部を基準として好ましくは3~100質量部、より好ましくは5~80質量部、最も好ましくは10~50質量部の量の少なくとも1種の難燃剤も含むポリマー組成物、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品に関し、但し、A)、B)、C)及びD)をベースとするか、又はA)、B)及びD)をベースとするポリマー組成物及びそれらから製造される高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0046】
更なる好ましい実施形態において、本発明は、構成要素A)、B)、C)、D)に加えて又はC)及び/若しくはD)の代わりに、E)それぞれの場合に構成要素A)の100質量部を基準として好ましくは0.01~80質量部、より好ましくは0.05~50質量部、最も好ましくは0.1~30質量部の量の、構成要素B)、C)及びD)以外の少なくとも1種の更なる添加剤も含むポリマー組成物、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品に関する。E)は、好ましくは、A)、B)、C)、D)及びE)をベースとするか、又はA)、B)、E)をベースとするか、又はA)、B)、C)及びE)をベースとするか、又はA)、B)、D)及びE)をベースとするポリマー組成物及びそれらから製造される高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件として使用される。
【0047】
<構成要素A)>
構成要素A)として本発明に従って使用するためのポリアミドは、様々な方法によって製造されることでき、且つ様々なモノマーから合成され得る。ポリアミドを調製するための多数の手順が公知であり、所望の最終製品に応じて、様々なモノマー単位及び所望の分子量を達成するための様々な連鎖移動剤又は後の段階で意図される後処理のための反応基を有するモノマーを使用することが可能である。
【0048】
ポリアミドの調製のための工業関連のプロセスは、通常、溶融物における重縮合によって進行する。これに関連して、ラクタムの加水分解重合も重縮合であると考えられる。
【0049】
有用な反応剤(反応原料)には、脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸など、脂肪族及び/又は芳香族ジアミン、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナン-1,9-ジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アミノカルボン酸、例えば、アミノカプロン酸又は対応するラクタムが含まれる。カプロラクタム、とりわけε-カプロラクタムを使用することが特に好ましい。言及した複数のモノマーのコポリアミドが含まれる。
【0050】
好ましいポリアミドは、ジアミン及びジカルボン酸並びに/又は少なくとも5つの環員を有するラクタム若しくは対応するアミノ酸から進めて調製可能である半結晶性ポリアミドである。
【0051】
使用される特に好ましいポリアミドは、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-4,6、及び/又は半芳香族コポリアミドである。好ましい半芳香族コポリアミドは、PA6T/6、PA6T/66、PA6T/6I、又はPA6T/6I/66である。
【0052】
本発明に従って非常に特に好ましいポリアミドは、ナイロン-6及びナイロン-6,6であり、ナイロン-6が非常にとりわけ好ましい。本発明は、したがって、少なくとも1種のポリアミドと、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とを含有するポリマー組成物であって、使用されるポリアミドは、ナイロン-6又はナイロン-6,6であるポリマー組成物をベースとする、好ましくは高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品を提供し、但し、ポリマー組成物又はそれらから製造される高電圧構成部品若しくは電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0053】
本出願に関連して使用されるポリアミドの命名法は、国際標準ISO 1874-1に対応し、最初の数は、出発ジアミン中の炭素原子の数を示し、最後の数は、ジカルボン酸中の炭素原子の数を示す。PA6の場合のように、1つのみの数が示されている場合、これは、出発原料がα,ω-アミノカルボン酸又はそれから誘導されるラクタムであったこと、すなわちPA6の場合にはε-カプロラクタムであったことを意味する。
【0054】
構成要素A)として本発明に従って好ましく使用するためのPA6[CAS No.25038-54-4]は、好ましくは、80~180ml/gの範囲、より好ましくは85~160ml/gの範囲、最も好ましくは90~140ml/gの範囲の、25℃において96重量%硫酸中の0.5重量%溶液中でISO 307に準拠して測定可能な粘度数を有する。構成要素A)として本発明に従って好ましく使用するためのナイロン-6は、例えば、Lanxess Deutschland GmbH,CologneにおいてDurethan(登録商標)B26として入手可能である。
【0055】
構成要素A)として好ましく使用するためのナイロン-6,6[CAS No.32131-17-2]は、好ましくは、80~180ml/gの範囲、更により好ましくは85~160ml/gの範囲の粘度数、とりわけ好ましくは90~140ml/gの範囲の、25℃において96重量%硫酸中の0.5重量%の溶液中でISO 307に準拠して測定可能な粘度数を有する。構成要素A)として本発明に従って使用するためのナイロン-6,6は、例えば、BASF SE,LudwigshafenにおいてUltramid(登録商標)A24E01として入手可能である。
【0056】
構成要素A)として本発明に従って使用するためのポリアミドは、少なくとも1種の他のポリアミドとの混合物において、コポリアミドの形態において及び/又は少なくとも1種の他のポリマーと共に使用してもよい。好ましい他のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)の群から選択される。少なくとも1種の更なるポリアミド又は少なくとも1種の他のポリマーを使用する場合、これは、好ましくは又は任意選択により場合によっては、少なくとも1種の相溶化剤の使用と組み合わされる。
【0057】
慣用される添加剤、好ましくは当業者に公知の離型剤、安定剤、及び/又は流動(フロー)助剤を、既に融解した形態で、構成要素A)として使用されているポリアミド中に混ぜ込むことが可能である。
【0058】
<構成要素B)>
本発明によれば、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物が構成要素B)として使用される。セリウムを含有する好ましい硫化物は、C.I.Pigment Orange 75としても知られる硫化セリウム(III)(Ce)[CAS No.12014-93-6]又はC.I.Pigment Orange 78としても知られる硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)(Ce/La)[CAS No.12014-93-6;CAS No.12031-49-1]である。本発明に従って特に好ましく使用される、セリウムを含有する硫化物は、混合硫化物硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)(C.I.Pigment Orange 78)である。C.I.分類に関しては、https://de.wikipedia.org/wiki/Colour_Indexを参照されたい。
【0059】
Pigment Orange 75及びPigment Orange 78は、例えば、Chemikos,Dr.Oliver Schmitt,Karlsruhe,Germany[https://www.chemikos.de/cersulfid-orange-pigmente]から、又は商品名Neolor(登録商標)Orange S若しくはNeolor(登録商標)Light Orange SでBaotou Hongbo Te Technology co.Ltd.,「Inner Mongolia」,Chinaから調達され得る。
【0060】
本発明によれば、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物は、個別に又はセリウムを含有する少なくとも1種の更なる硫化物との混合物で使用されてもよく、ここで、本発明は、セリウムと他のランタニド、好ましくはランタンとの混合酸化物又は混合硫化物も包含し、但し、ポリマー組成物及びそれらから製造される高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0061】
構成要素B)として本発明に従って使用される、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物は、粉末として或いはペースト若しくはマスターバッチ、コンパクト又は濃縮物の形態で構成要素A)中に直接使用してもよく、マスターバッチが好ましく、特定の構成要素A)に対応するポリマーマトリックス中のマスターバッチが特に好ましい。
【0062】
<構成要素C)>
好ましい実施形態において、少なくとも1種の充填材又は強化材(補強材)が構成要素C)として使用される。ここで、2種以上の異なる充填材又は強化材の混合物を使用することも可能である。
【0063】
炭素繊維[CAS No.7440-44-0]、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ、ガラス繊維、粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ金属含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)[CAS No.65997-17-3]、非晶質シリカ[CAS No.7631-86-9]、石英粉[CAS No.14808-60-7]、ケイ酸カルシウム[CAS No.1344-95-2]、メタケイ酸カルシウム[CAS No.10101-39-0]、炭酸マグネシウム[CAS No.546-93-0]、カオリン[CAS No.1332-58-7]、か焼カオリン[CAS No.92704-41-1]、チョーク[CAS No.1317-65-3]、カイアナイト[CAS No.1302-76-7]、粉末又は粉砕石英[CAS No.14808-60-7]、雲母[CAS No.1318-94-1]、金雲母[CAS No.12251-00-2]、硫酸バリウム[CAS No.7727-43-7]、長石[CAS No.68476-25-5]、ウォラストナイト[CAS No.13983-17-0]、モンモリロナイト[CAS No.67479-91-8]、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム[CAS No.12125-28-9]及びタルク[CAS No.14807-96-6]の群からの少なくとも1種の充填材又は強化材を使用することが好ましい。
【0064】
繊維状充填材又は強化材の中でも、ガラス繊維及びウォラストナイトが特に好ましく、ガラス繊維が非常に特に好ましい。充填材又は強化材として炭素繊維を使用することも可能である。
【0065】
ガラス繊維に関して、当業者は、「http://de.wikipedia.org/wiki/Faser-Kunststoff-Verbund」に従い、0.1~1mmの範囲の長さを有する、短繊維とも呼ばれる細断した繊維と、1~50mmの範囲の長さを有する長繊維と、長さL>50mmを有する連続繊維とを区別する。短繊維は、好ましくは、射出成形法に使用され、押出機で直接処理され得る。長繊維は、同様に依然として押出機で処理することができる。前記繊維は、繊維吹付けにおいて広く使用されている。長繊維は、充填材として熱硬化性樹脂に頻繁に添加されている。連続繊維は、繊維強化プラスチックにおいてロービング又はファブリックの形態で使用されている。連続繊維を含む製品は、最高の剛性及び強度値を達成する。粉砕後のその長さが、典型的には、70~200μmの範囲である、粉砕ガラス繊維も利用可能である。
【0066】
構成要素C)として本発明に従って好ましく使用されるガラス繊維は、1~50mmの範囲、より好ましくは1~10mmの範囲、最も好ましくは2~7mmの範囲の、ISO 13320に準拠してレーザー回折法によって測定される平均出発長さを有する細断した長ガラス繊維である。標準ISO 13320に準拠したレーザー回折粒径測定/レーザー回折法に関しては、https://de.wikipedia.org/wiki/Laserbeugungs-Partikelgr%C3%B6%C3%9Fenanalyseを参照されたい。
【0067】
構成要素C)として使用するための好ましいガラス繊維は、7~18μmの範囲、より好ましくは9~15μmの範囲の、ISO 13320に準拠してレーザー回折法によって測定される平均繊維径を有する。
【0068】
好ましい実施形態において、構成要素C)として使用するための好ましいガラス繊維は、好適なサイジングシステム又は接着促進剤/接着促進剤システムで改質される。シラン系サイジングシステム又は接着促進剤を使用することが好ましい。構成要素E)の処理、とりわけガラス繊維の処理のための特に好ましいシラン系接着促進剤は、一般式(I)
(X-(CH-Si-(O-CrH2r+14-k (I)
(式中、
Xは、NH-、カルボキシル-、HO-又は
【化1】
であり、
qは、式(I)において、2~10、好ましくは3~4の整数を表し、
rは、式(I)において、1~5、好ましくは1~2の整数を表し、
kは、式(I)において、1~3、好ましくは1の整数を表す)
のシラン化合物である。
【0069】
とりわけ好ましい接着促進剤は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、及びX置換基としてグリシジル基又はカルボキシル基を含有する対応するシランの群からのシラン化合物であり、カルボキシル基が非常に特に好ましい。
【0070】
構成要素C)として使用するための充填材、好ましくはガラス繊維の改質のために、接着促進剤、好ましくは式(I)のシラン化合物は、それぞれの場合に構成要素C)の100重量%を基準として好ましくは0.05重量%~2重量%の範囲の量、より好ましくは0.25重量%~1.5重量%の範囲の量、最も好ましくは0.5重量%から1重量%の範囲の量で使用される。
【0071】
組成物を与えるための又は製品を与えるための処理の結果として、構成要素C)として好ましく使用されるガラス繊維は、元々使用されるガラス繊維よりも組成物中又は製品中で短い可能性がある。したがって、高分解能X線コンピュータ断層撮影によって測定される、処理後のガラス繊維長さの算術平均は、多くの場合、わずかに150μm~300μmの範囲である。
【0072】
「http://www.r-g.de/wiki/Glasfasern」によれば、ガラス繊維は、融解紡糸プロセス(ダイ延伸、棒延伸、及びダイブローイングプロセス)によって製造される。ダイ延伸プロセスにおいて、ガラスの熱塊が白金紡糸口金プレートの数百のダイ穴を通して重力下で流れる。フィラメントは、無限長で3~4km/分の速度において延伸することができる。
【0073】
当業者は、それらのいくつかが例としてここで列挙される種々のタイプのガラス繊維:
・Eガラス、最適の費用対効果を有する最も一般的に使用される材料(R&G製のEガラス)
・Hガラス、低減された質量のための中空ガラス繊維(R&G中空ガラス繊維布160g/m及び216g/m
・R,Sガラス、向上した機械的な要求のためのもの(R&G製のS2ガラス)
・Dガラス、向上した電気的な要求のためのホウケイ酸ガラス
・Cガラス、増加した耐薬品性を有する
・石英ガラス、高い熱安定性を有する
を区別する。
【0074】
更なる例は、「http://de.wikipedia.org/wiki/Glasfaser」において見出すことができる。Eガラス繊維は、プラスチックの強化のために最大の重要性を獲得している。それは、元々、特に電気産業において使用されたため、Eは、電気ガラスを表す。Eガラスの製造のために、ガラス融解物は、石灰石、カオリン及びホウ酸を添加した純石英から製造される。二酸化ケイ素と同様に、それらは、異なる量の様々な金属酸化物を含有する。組成が製品の特性を決定する。本発明に従い、Eガラス、Hガラス、R,Sガラス、Dガラス、Cガラス及び石英ガラスの群からの少なくとも1つのタイプのガラス繊維を使用することが好ましく、Eガラスでできたガラス繊維を使用することが特に好ましい。
【0075】
Eガラスでできたガラス繊維は、最も一般的に使用される強化材である。強度特性は、金属(例えば、アルミニウム合金)のものに相当し、ここで、Eガラス繊維を含有するラミネートの比重は、金属のものよりも低い。Eガラス繊維は、不燃性であり、約400℃まで耐熱性であり、且つほとんどの化学物質及び風化による影響に対して安定である。
【0076】
針状無機充填材も構成要素C)として更に好ましく使用される。針状無機充填材は、高度に目立った針状特徴を有する無機充填材を意味することが本発明に従って理解される。構成要素C)として使用するための好ましい針状無機充填材は、ウォラストナイトである。針状無機充填材は、好ましくは、2:1~35:1の範囲、より好ましくは3:1~19:1の範囲、とりわけ好ましくは4:1~12:1の範囲の、高分解能X線コンピュータ断層撮影によって測定される長さ:直径比を有する。高分解能X線コンピュータ断層撮影による測定のための針状無機充填材の平均粒径は、好ましくは、20μm未満、特に好ましくは15μm未満、とりわけ好ましくは10μm未満である。
【0077】
代わりに、構成要素C)として、5~250μmの範囲のd90、好ましくは10~150μmの範囲のd90、より好ましくは15~80μmの範囲のd90、最も好ましくは16~25μmの範囲のd90の、ISO 13320に準拠したレーザー回折法によって測定される粒径分布を有する非繊維質及び非発泡粉砕ガラスを使用することが好ましい。d90値、それらの測定及びそれらの重要性に関して、Chemie Ingenieur Technik(72)pp.273-276,3/2000,Wiley-VCH Verlags GmbH,Weinheim,2000を挙げることができ、それによれば、d90値は、粒子の量の90%がそれ未満である粒径である。
【0078】
好ましくは、本発明に従って、非繊維質及び非発泡粉砕ガラスは、粒子のものであり、非円筒形状のものであり、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満の、ISO 13320に準拠したレーザー回折法によって測定される長さ対厚さ比を有する。ゼロの値は、当然のことながら、不可能である。
【0079】
一実施形態において、構成要素C)として特に好ましく使用される非発泡及び非繊維質粉砕ガラスは、ISO 13320に従ったレーザー回折法によって測定して5より大きな長さ対直径比(L/D比)を有する円筒形又は卵形横断面をもつ繊維ガラスに典型的なガラスジオメトリーを有しないことを更に特徴とする。
【0080】
一実施形態において、構成要素C)として本発明に従って特に好ましく使用される非発泡及び非繊維質粉砕ガラスは、好ましくは、ミル、好ましくはボールミルで粉砕することにより、より好ましくはその後の篩分け又はふるい分けによって得られる。一実施形態において、構成要素C)として使用するための非繊維質及び非発泡粉砕ガラスの粉砕のための好ましい出発原料には、とりわけガラス製品の製造において、望ましくない副生成物として及び/又は規格外第一産品(規格外材料と呼ばれる)として発生するようなガラス廃棄物も含まれる。これらには、とりわけメルトケーキと呼ばれるものの形態において、窓ガラス又は瓶ガラスの製造において且つガラス含有充填材及び強化材の製造においてとりわけ得ることができるような廃ガラス、リサイクルガラス及び割れたガラスがとりわけ含まれる。ガラスは、着色され得るが、構成要素C)として使用するための出発原料として非着色ガラスが好ましい。
【0081】
<構成要素D)>
好ましい実施形態において、少なくとも1種の難燃剤が構成要素D)として使用される。好ましい難燃剤は、構成要素C)以外の無機難燃剤、窒素含有難燃剤、又はリン含有難燃剤である。
【0082】
無機難燃剤の中でも、水酸化マグネシウムが特に好ましい。水酸化マグネシウム[CAS No.1309-42-8]は、その起源及び製造方法の結果として純粋でない可能性がある。典型的な不純物には、例えば、水酸化マグネシウム結晶に酸化物の形態で挿入され得るケイ素、鉄、カルシウム及び/又はアルミニウム含有化学種が含まれる。無機難燃剤として使用するための水酸化マグネシウムは、サイジングされていなくても又はされていてもよい。サイジングは、プラスチック(マトリックス)と、サイジングを付与した構成要素との間の機械的接合の質に有益な影響を及ぼす。無機難燃剤として好ましく使用される水酸化マグネシウムは、好ましくは、ステアレート又はアミノシロキサンに基づくサイジング、より好ましくはアミノシロキサンを付与される。無機難燃剤として好ましく使用するための水酸化マグネシウムは、0.5μm~6μmの範囲の、ISO 13320に準拠したレーザー回折法によって測定される中央粒径d50を有し、0.7μm~3.8μmの範囲のd50が好ましく、1.0μm~2.6μmの範囲のd50が特に好ましい。
【0083】
本発明にしたがって無機難燃剤として好適な水酸化マグネシウムタイプには、例えば、Martinswerk GmbH,Bergheim,Germany製のMagnifin(登録商標)H5IV又はPenoles,Mexico City,Mexico製のHidromag(登録商標)Q2015 TCが含まれる。
【0084】
好ましい窒素含有難燃剤は、CAS No.1078142-02-5のトリクロロトリアジン、ピペラジン及びモルホリンの反応生成物、とりわけMCA Technologies GmbH,Biel-Benken,Switzerland製のMCA PPM Triazine HF並びにまたメラミンシアヌレート及びメラミンの縮合生成物、特にメレム、メラム、メロン又はこのタイプのより高度の縮合化合物である。好ましい無機窒素含有化合物は、アンモニウム塩である。
【0085】
加えて、脂肪族及び芳香族スルホン酸の塩及び無機難燃添加剤、とりわけ水酸化アルミニウム又はCa-Mg炭酸塩水和物(独国特許出願公開第A 4 236 122号明細書)を使用することも可能である。
【0086】
酸素、窒素又は硫黄含有金属化合物の群からの難燃相乗剤も構成要素D)としての使用に好適である。これらの中でも、亜鉛を含まない化合物、とりわけ、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、窒化チタン、窒化マグネシウム、リン酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム又はそれらの混合物が好ましい。
【0087】
しかしながら、代わりの実施形態において、必要に応じて、構成要素D)として亜鉛含有化合物を使用することも可能である。これらには、好ましくは、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、硫化亜鉛及び窒化亜鉛、又はそれらの混合物が含まれる。
【0088】
好ましいリン含有難燃剤は、有機金属ホスフィン酸塩、ホスホン酸のアルミニウム塩、赤リン、無機金属次亜リン酸塩、金属ホスホン酸塩、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン10-オキシドの誘導体(DOPO誘導体)、オリゴマーを含むレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)、オリゴマーを含むビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンポリ(アルミニウムホスフェート)、メラミンポリ(亜鉛ホスフェート)又はフェノキシホスファゼンオリゴマー及びそれらの混合物である。
【0089】
好ましい有機金属ホスフィン酸塩は、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)である。好ましい無機金属次亜リン酸塩は、次亜リン酸アルミニウムである。
【0090】
構成要素D)として使用するための更なる難燃剤は、チャーフォーマー(char former)、特に好ましくは、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、又はポリエーテルケトン、及びまたアンチドリップ剤、特に、テトラフルオロエチレンポリマーである。
【0091】
構成要素D)として使用される難燃剤は、純粋な形態において又はマスターバッチ若しくは圧縮成形物によって構成要素A)に添加され得る。
【0092】
しかしながら、代わりの実施形態において - 必要に応じて且つ難燃剤からのハロゲンがないことを失う不利益を考慮に入れて - ハロゲン含有難燃剤も難燃剤として使用してもよい。好ましいハロゲン含有難燃剤は、商業的に入手可能な有機ハロゲン化合物、より好ましくは、エチレン-1,2-ビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネート、テトラクロロビスフェノールAオリゴカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリスチレン又は臭素化ポリフェニレンエーテルであり、それらは、単独で又は相乗剤と組み合わせて使用することができ、ハロゲン化難燃剤の中でも、臭素化ポリスチレンが特に好ましい。臭素化ポリスチレンは、それぞれの場合に全体組成物を基準として好ましくは10~30重量%、より好ましくは15~25重量%の量で使用され、ここで、他の構成要素の少なくとも1つは、全ての重量百分率の合計が常に100であるような程度まで減らされる。
【0093】
更なる代わりの実施形態において、使用される難燃相乗剤は、代わりに - 必要に応じて且つH351分類及びいくつかの状況下で不利である耐トラッキング性への影響に関して最初に記載された不利益を考慮に入れて - 三酸化アンチモン及び五酸化アンチモンであってもよい。
【0094】
臭素化ポリスチレンは、非常に多様な製品品質で商業的に入手可能である。その例は、例えば、Lanxess,Cologne,Germany製のFiremaster(登録商標)PBS64及びAlbemarle,Baton Rouge,USA製のSaytex(登録商標)HP-3010である。
【0095】
構成要素D)として使用するための難燃剤の中でも、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)[CAS No.225789-38-8]及びアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)とメラミンポリホスフェートとの組合せ又はアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)と少なくとも1種のホスホン酸のアルミニウム塩との組合せが非常に特に好ましく、後者の組合せがとりわけ好ましい。
【0096】
アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)とメラミンポリホスフェートとの組合せ又はアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)と少なくとも1種のホスホン酸のアルミニウム塩との組合せの場合、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)の割合は、それぞれの場合にアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)とメラミンポリホスフェートとの組合せ又はアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)と少なくとも1種のホスホン酸のアルミニウム塩との組合せの100重量部を基準として好ましくは40~90重量部の範囲、より好ましくは50~80重量部の範囲、最も好ましくは60~70重量部の範囲である。
【0097】
構成要素D)として使用されるアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)は、Clariant International Ltd.Muttenz,Switzerland製のExolit(登録商標)OP1230又はExolit(登録商標)OP1240として当業者に公知である。メラミンポリホスフェートは、多様な製品品質で商業的に入手可能である。その例は、例えば、BASF,Ludwigshafen,Germany製のMelapur(登録商標)200/70及びまたBudenheim,Budenheim,Germany製のBudit(登録商標)3141である。
【0098】
ホスホン酸の好ましいアルミニウム塩は、以下のものからなる群から選択される:
第一アルミニウムホスホネート[Al(HPO]、
塩基性アルミニウムホスホネート[Al((OH)HPO・2HO]、
Al(HPO・xAl・nHO(xは、2.27~1の範囲であり、nは、0~4の範囲である)
式(II)のAl(HPO・(HO)(qは、0~4の範囲である)、とりわけアルミニウムホスホネート四水和物[Al(HPO・4HO]又は第二アルミニウムホスホネート[Al(HPO]、
式(III)のAl(HPO(OH)・(HO)(式中、Mは、アルカリ金属イオンを示し、zは、0.01~1.5の範囲であり、yは、2.63~3.5の範囲であり、vは、0~2の範囲であり、wは、0~4の範囲である)、及び
式(IV)のAl(HPO(HPO・(HO)(式中、uは、2~2.99の範囲であり、tは、2~0.01の範囲であり、sは、0~4の範囲である)。
ここで、式(III)のz、y及びv並びに式(IV)のu及びtは、ホスホン酸の対応するアルミニウム塩が全体として帯電していない数のみを取ることができる。
【0099】
式(III)中の好ましいアルカリ金属Mは、ナトリウム及びカリウムである。
【0100】
記載されたホスホン酸のアルミニウム塩は、個別に又は混合物で使用され得る。
【0101】
ホスホン酸の特に好ましいアルミニウム塩は、以下のものからなる群から選択される:
第一アルミニウムホスホネート[Al(HPO]、
第二アルミニウムホスホネート[Al(HPO]、
塩基性アルミニウムホスホネート[Al((OH)HPO・2HO]、
アルミニウムホスホネート四水和物[Al(HPO・4HO]、及び
Al(HPO・xAl・nHO(xは、2.27~1の範囲であり、nは、0~4の範囲である)。
【0102】
第二アルミニウムホスホネートAl(HPO[CAS No.71449-76-8]及び第二アルミニウムホスホネート四水和物Al(HPO・4HO[CAS No.156024-71-4]が非常に特に好ましく、第二アルミニウムホスホネートAl(HPOがとりわけ好ましい。
【0103】
構成要素D)として本発明に従って使用するためのホスホン酸のアルミニウム塩の調製は、例えば、国際公開第2013/083247 A1号パンフレットに記載されている。それは、典型的には、20℃~200℃において、4日までの期間にわたって溶媒中でアルミニウム源、好ましくはアルミニウムイソプロポキシド、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム又は水酸化アルミニウムをリン源、好ましくはホスホン酸、アンモニウムホスホネート、アルカリ金属ホスホネート及び任意選択的にテンプレートと反応させることを含む。この目的のために、アルミニウム源とリン源とは、混合され、熱水条件下又は還流において加熱され、濾過され、洗浄され、乾燥される。好ましいテンプレートは、ヘキサン-1,6-ジアミン、グアニジンカーボネート又はアンモニアである。好ましい溶媒は、水である。
【0104】
<構成要素E)>
構成要素B)~D)以外の少なくとも1種の更なる添加剤が構成要素E)として使用される。構成要素E)として使用するための好ましい添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、水吸収を減らすための構成要素又は加水分解安定剤、帯電防止剤、乳化剤、核形成剤、可塑剤、加工助剤、衝撃改質剤、滑剤及び/又は離型剤、水吸収を減らすための構成要素、流動(フロー)助剤又はエラストマー改質剤、鎖延長添加剤、構成要素B)以外の着色剤並びに必要に応じて更なるレーザー吸収剤である。添加剤は、単独で若しくは混合物又はマスターバッチの形態で使用することができる。
【0105】
構成要素E)の好ましい熱安定剤は、立体障害のあるフェノール、特に少なくとも1つの2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基及び/又は2-tert-ブチル-6-メチルフェニル基を含有するもの並びにまたホスファイト、ハイポホスファイト、とりわけ次亜リン酸ナトリウムNaHPO、ヒドロキノン類、芳香族第二級アミン、置換されたレゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノン類、3,3’-チオジプロピオン酸エステル並びにこれらの群の様々に置換された代替物又はそれらの混合物である。
【0106】
一実施形態において、構成要素E)に使用される熱安定剤は、好ましくは、次亜リン酸ナトリウムNaHPOと組み合わせた銅塩でもあり得る。使用される銅塩は、好ましくは、ヨウ化銅(I)[CAS No.7681-65-4]及び/又はヨウ化(トリフェニルホスフィノ)銅[CAS No.47107-74-4]である。次亜リン酸ナトリウムNaHPO又は少なくとも1種のアルカリ金属ヨウ化物と組み合わせて銅塩を使用することが好ましい。好ましいアルカリ金属ヨウ化物は、ヨウ化カリウム[CAS No.7681-11-0]である。
【0107】
構成要素E)として使用するための熱安定剤は、それぞれの場合に構成要素A)の100質量部を基準として好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.05~1質量部の量で使用される。
【0108】
構成要素E)として使用されるUV安定剤は、好ましくは、置換されたレゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノン類、少なくとも1つの2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル単位を含むHALS誘導体(「ヒンダードアミン光安定剤」)又はベンゾフェノン類である。
【0109】
構成要素E)として使用するためのUV安定剤は、それぞれの場合に構成要素A)の100質量部を基準として好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.1~1質量部の量で使用される。
【0110】
一実施形態において、構成要素E)として使用される、構成要素B)以外の着色剤は、好ましくは、無機顔料、より好ましくは、群青、メタバナジン酸ビスマス[CAS No.14059-33-7]、酸化鉄[CAS No.1309-37-1]、二酸化チタン[CAS No.13463-67-7(ルチル)又はCAS No.1317-70-0(アナターゼ)]、硫酸バリウム[CAS No.7727-43-7]、硫化亜鉛[CAS No.1314-98-3]又はスズチタン亜鉛酸化物[CAS No.923954-49-8]であり、硫酸バリウムがとりわけ好ましい。
【0111】
一実施形態において、構成要素E)として使用される、構成要素B)以外の着色剤は、好ましくは、有機着色剤、より好ましくは、フタロシアニン類、キナクリドン類、ベンズイミダゾール類、とりわけNi-2-ヒドロキシナフチルベンズイミダゾール[CAS No.42844-93-9]、及び/又はピリミジン-アゾ-ベンゾイミダゾール[CAS No.72102-84-2]、及び/又はPigment Yellow 192[CAS No.56279-27-7]並びにまたペリレン類、アントラキノン類、とりわけC.I.Solvent Yellow 163[CAS No.13676-91-0]である。
【0112】
構成要素E)として使用される無機又は有機のリストは、決定的なものではない。
【0113】
一実施形態において、必要に応じて、カーボンブラック又はニグロシンも着色剤として使用され得る。
【0114】
好ましい実施形態において、Pigment White 6又はCI 77891とも呼ばれる二酸化チタンは、チタンホワイト着色剤として構成要素E)のために使用される。
【0115】
構成要素E)として使用される核形成剤は、好ましくは、ナトリウムフェニルホスフィネート又はカルシウムフェニルホスフィネート、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素、最も好ましくはタルクであり、この列挙は、決定的ではない。
【0116】
構成要素E)として使用されるフロー助剤(流動助剤)は、好ましくは、少なくとも1種のα-オレフィンと、脂肪族アルコールの少なくとも1種のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルとのコポリマーである。α-オレフィンがエテン及び/又はプロペンから形成されており、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが、そのアルコール成分として、6~20個の炭素原子を有する線状又は分岐アルキル基を含有するコポリマーが特に好ましい。2エチルヘキシルアクリレートが非常に特に好ましい。フロー助剤として好適なコポリマーの特徴は、それらの組成のみならず、それらの低い分子量でもある。したがって、本発明に従って熱分解から防護されるポリマー組成物のための好適なコポリマーは、特に、少なくとも100g/10分、好ましくは少なくとも150g/10分、より好ましくは少なくとも300g/10分の、190℃及び2.16kgの荷重で測定されるMFI値を有するものである。MFI、メルトフローインデックスは、熱可塑性樹脂の融解物のフローを特徴付け、標準ISO 1133又はASTM D 1238によって規定されている。使用されるフロー助剤は、とりわけ好ましくは、Lotryl(登録商標)37EH550として知られる、MFI 550のエテンと2-エチルヘキシルアクリレートとのコポリマーである。
【0117】
構成要素E)として使用される鎖延長添加剤は、好ましくは、1分子当たり少なくとも2つの分岐又は鎖延長官能基を有する二官能性又は多官能性の分岐又は鎖延長添加剤である。好ましい分岐又は鎖延長添加剤には、1分子当たり、第一級及び/若しくは第二級アミノ基、並びに/又はアミド基、並びに/又はカルボン酸基と反応することができる少なくとも2つの鎖延長官能基を有する低分子量化合物又はオリゴマー化合物が含まれる。鎖延長官能基は、好ましくは、イソシアネート、アルコール、ブロックされたイソシアネート、エポキシド、無水マレイン酸、オキサゾリン、オキサジン、オキサゾロンであり、エポキシドが好ましい。
【0118】
とりわけ好ましい二官能性又は多官能性の分岐又は鎖延長添加剤は、別々に又は混合物において、ジグリシジルエーテル(ビスフェノール及びエピクロロヒドリン)、アミンエポキシ樹脂(アニリン及びエピクロロヒドリン)、ジグリシジルエステル(脂環式ジカルボン酸及びエピクロロヒドリン)に基づくジエポキシド並びにまた2,2-ビス[p-ヒドロキシフェニル]プロパンジグリシジルエーテル、ビス[p-(N-メチル-N-2,3-エポキシプロピルアミノ)フェニル]メタン及び1分子当たり少なくとも2つのエポキシ基を含むグリセロールのエポキシ化脂肪酸エステルである。
【0119】
特に好ましい二官能性又は多官能性の分岐又は鎖延長添加剤は、グリシジルエーテル、非常に特に好ましくはビスフェノールAジグリシジルエーテル[CAS No.98460-24-3]又はグリセロールのエポキシ化脂肪酸エステル並びにまた非常に特に好ましくはエポキシ化大豆油[CAS No.8013-07-8]及び/又はエポキシ化アマニ油である。
【0120】
構成要素E)として使用するための好ましい可塑剤は、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油、又はN-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0121】
構成要素E)として好ましく使用されるエラストマー改質剤には、
E.1 5重量%~95重量%、好ましくは30重量%~90重量%の少なくとも1種のビニルモノマー、及び
E.2 95重量%~5重量%、好ましくは70重量%~10重量%の、10℃未満、好ましくは0℃未満、より好ましくは-20℃未満のガラス転移温度を有する1つ以上のグラフトベース(ここで、重量百分率は、エラストマー改質剤の100重量%を基準とする)
の1種以上のグラフトポリマーが含まれる。
【0122】
グラフトベースE.2は、一般に、0.05~10μmの範囲、好ましくは0.1~5μmの範囲、より好ましくは0.2~1μmの範囲の、ISO 13320に準拠したレーザー回折法によって測定される中央粒径d50を有する。
【0123】
モノマーE.1は、好ましくは、
E.1.1 50重量%~99重量%のビニル芳香族化合物及び/又は環置換ビニル芳香族化合物、特に、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン及び/又は(C~C)アルキルメタクリレート、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレートと、
E.1.2 1重量%~50重量%のシアン化ビニル、特に、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル並びに/又は(C~C)アルキル(メタ)アクリレート、特に、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート及び/若しくは誘導体、特に不飽和カルボン酸の無水物及びイミド、特に無水マレイン酸若しくはN-フェニルマレイミド(ここで、重量百分率は、エラストマー改質剤の100重量%を基準とする)と
の混合物である。
【0124】
好ましいモノマーE.1.1は、モノマーであるスチレン、α-メチルスチレン及びメチルメタクリレートの少なくとも1つから選択され;好ましいモノマーE.1.2は、モノマーであるアクリロニトリル、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート及びメチルメタクリレートの少なくとも1つから選択される。特に好ましいモノマーは、E.1.1 スチレン及びE.1.2 アクリロニトリルである。
【0125】
エラストマー改質剤に使用するためのグラフトポリマーのために好適なグラフトベースE.2は、例えば、ジエンゴム、EPDMゴム、すなわちエチレン/プロピレン及び任意選択により場合によってジエンをベースとするもの及びまたアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレン及びエチレン/酢酸ビニルゴムである。EPDMは、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを表す。
【0126】
好ましいグラフトベースE.2は、とりわけブタジエン、イソプレン等をベースとするジエンゴム又はジエンゴムの混合物若しくはジエンゴムのコポリマー或いはとりわけE.1.1及びE.1.2の更なる共重合性モノマーとのそれらの混合物であり、但し、成分E.2のガラス転移温度が10℃未満、好ましくは0℃未満、より好ましくは-10℃未満であることを条件とする。
【0127】
特に好ましいグラフトベースE.2は、ABSポリマー(乳化、バルク、及び懸濁ABS)であり、ここで、ABSは、例えば、独国特許出願公開第A 2 035 390号明細書若しくは独国特許出願公開第A 2 248 242号明細書又はUllmann,Enzyklopaedie der Technischen Chemie,vol.19(1980),p.277-295に記載されているように、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンを表す。グラフトベースE.2のゲル含量は、好ましくは、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%(トルエン中で測定される)である。
【0128】
構成要素E)として使用するためのエラストマー改質剤/グラフトポリマーは、フリーラジカル重合、好ましくは乳化、懸濁、溶液又はバルク重合、特に乳化又はバルク重合によって製造される。
【0129】
特に好適なグラフトゴムには、米国特許第4,937,285号明細書に従って有機ヒドロペルオキシド及びアスコルビン酸からなる開始剤系を用いたレドックス開始によって製造されるABSポリマーも含まれる。
【0130】
周知のとおり、グラフトモノマーは、グラフト反応においてグラフトベース上に必ずしも完全にグラフトされるわけではないため、グラフトポリマーは、グラフトベースの存在下でのグラフトモノマーの(共)重合から生じ、また、ワークアップにおいても得られる生成物を意味することも本発明に従って理解される。
【0131】
同様に好適なアクリレートゴムはグラフトベースE.2に基づくものであり、グラフトベースE.2は、E.2を基準として40重量%以下の他の重合性のエチレン性不飽和モノマーを任意選択によって有していてもよい、アルキルアクリレートのポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルには、C~Cアルキルエステル、好ましくは、メチル、エチル、ブチル、n-オクチル及び2-エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロ-C~Cアルキルエステル、例えば、クロロエチルアクリレート、グリシジルエステル及びこれらのモノマーの混合物が含まれる。ここで、コアとしてのブチルアクリレート及びシェルとしてメチルメタクリレートのグラフトポリマー、特にParaloid(登録商標)EXL2300,Dow Corning Corporation,Midland Michigan,USAが特に好ましい。
【0132】
エチレン性不飽和モノマーの代替として、架橋は、1つより多い重合性二重結合を有するモノマーを共重合させることによって達成され得る。好ましい架橋モノマーは、3~8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3~12個の炭素原子を有する不飽和の一価アルコール又は2~4個のOH基及び2~20個の炭素原子を有する飽和ポリオールとのエステル、好ましくは、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート;ポリ不飽和複素環化合物、好ましくは、トリビニルシアヌアレート及びトリアリルシアヌレート;多官能性ビニル化合物、好ましくはジ-及びトリビニルベンゼンであるが、トリアリルホスフェート及びジアリルフタレートでもある。
【0133】
特に好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、及び少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する複素環化合物である。
【0134】
非常に特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーであるトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリアリルベンゼンである。架橋したモノマーの量は、グラフトベースE.2を基準として好ましくは0.02重量%~5重量%、とりわけ0.05重量%~2重量%である。
【0135】
少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合、その量をグラフトベースE.2の1重量%未満に制限することが有利である。
【0136】
グラフトベースE.2を製造するためにアクリル酸エステルに加えて、任意選択によって使用してもよい好ましい「他の」重合性のエチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC~Cアルキルエーテル、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースE.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含量を有するエマルションポリマーである。
【0137】
好ましく好適である更なるグラフトベースE.2は、独国特許出願公開第A 3 704 657号明細書、独国特許出願公開第A 3 704 655号明細書、独国特許出願公開第A 3 631 540号明細書及び独国特許出願公開第A 3 631 539号明細書に記載されているような、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムである。
【0138】
シリコーン含量を有する好ましいグラフトポリマーは、シェルとしてメチルメタクリレート又はスチレン-アクリロニトリル、及びコアとしてシリコーン/アクリレートグラフトを有するものである。シェルとして好ましく使用されるスチレン-アクリロニトリルは、Metablen(登録商標)SRK200である。シェルとして好ましく使用されるメチルメタクリレートは、Metablen(登録商標)S2001又はMetablen(登録商標)S2030又はMetablen(登録商標)SX-005である。Metablen(登録商標)S2001を使用することが特に好ましい。Metablen(登録商標)商品名を有する製品は、三菱レイヨン株式会社(東京、日本)から入手可能である。
【0139】
架橋は、2つ以上の重合性二重結合を有するモノマーを共重合させることによって達成され得る。架橋モノマーの好ましい例は、3~8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3~12個の炭素原子を有する不飽和の一価アルコール又は2~4個のOH基及び2~20個の炭素原子を有する飽和ポリオールとのエステル、好ましくは、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート;ポリ不飽和複素環化合物、好ましくは、トリビニルシアヌレート及びトリアリルシアヌレート;多官能性ビニル化合物、好ましくは、ジ-及びトリビニルベンゼンであるが、トリアリルホスフェート及びジアリルフタレートでもある。
【0140】
好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、及び少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する複素環化合物である。
【0141】
特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーであるトリアリルシアヌアレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリアリルベンゼンである。架橋したモノマーの量は、グラフトベースE.2を基準として好ましくは0.02重量%~5重量%、とりわけ0.05重量%~2重量%である。
【0142】
少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合、その量をグラフトベースE.2の1重量%未満に制限することが有利である。
【0143】
アクリル酸エステルに加えて、グラフトベースE.2を製造するために任意選択により使用してもよい好ましい「他の」重合性のエチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC~Cアルキルエーテル、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースE.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含量を有するエマルションポリマーである。
【0144】
グラフトポリマーをベースとするエラストマー改質剤に加えて、グラフトポリマーをベースとせず、且つ10℃未満、好ましくは0℃未満、より好ましくは-20℃未満のガラス転移温度を有するエラストマー改質剤を使用することが同様に可能である。これらには、好ましくは、ブロックコポリマー構造を有するエラストマー及び更に熱可塑的に融解可能なエラストマー、とりわけ、EPM、EPDM、及び/又はSEBSゴム(EPM=エチレン-プロピレンコポリマー、EPDM=エチレン-プロピレン-ジエンゴム、及びSEBS=スチレン-エテン-ブテン-スチレンコポリマー)が含まれる。
【0145】
構成要素E)として使用するための滑剤及び/又は離型剤は、好ましくは、長鎖脂肪酸、とりわけ、ステアリン酸又はベヘン酸、それらの塩、とりわけ、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛、及びそれらのエステル誘導体、とりわけ、ペンタエリスリトールをベースとするもの、とりわけ、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル又はアミド誘導体、とりわけ、エチレンビスステアリルアミド、モンタンワックス、並びに低分子量ポリエチレン又はポリプロピレンワックスである。
【0146】
本発明に関連して、モンタンワックスは、28~32個の炭素原子の鎖長を有する直鎖の飽和カルボン酸類の混合物である。
【0147】
本発明によれば、8~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和脂肪族カルボン酸と、脂肪族飽和アルコールとのエステル又は2~40個の炭素原子を有するアミンと8~40個の炭素原子を有する不飽和脂肪族カルボン酸とのアミド或いはそれぞれのカルボン酸の代わりに、8~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸の金属塩の群からの滑剤及び/又は離型剤を使用することが特に好ましい。
【0148】
構成要素E)として非常に特に好ましく使用される滑剤及び/又は離型剤は、ペンタエリスリトールテトラステアレート[CAS No.115-83-3]、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウム、及びエチレングリコールジモンタネートの群から選択される。ステアリン酸カルシウム[CAS No.1592-23-0]又はエチレンビスステアリルアミド[CAS No.10-30-5]の使用がとりわけ好ましい。エチレンビスステアリルアミド(Emery Oleochemmicals製のLoxiol(登録商標)EBS)の使用が非常にとりわけ好ましい。
【0149】
構成要素E)として使用するための好ましい加水分解安定剤/水吸収を減らすための構成要素は、好ましくは、ポリエステルであり、ここで、ポリブチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンテレフタレートが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが非常に特に好ましい。ポリエステルは、好ましくは、それぞれの場合に全体ポリマー組成物を基準として5重量%~20重量%の濃度、より好ましくは7重量%~15重量%の濃度で使用され、但し、ポリマー組成物の全ての重量百分率の合計が常に100重量%であることを条件とする。
【0150】
構成要素E)として好ましく使用されるレーザー吸収剤は、好ましくは、酸化スズ、オルトリン酸スズ、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、銅ヒドロキシホスフェート、オルトリン酸銅、二リン酸カリウム銅、水酸化銅、三酸化ビスマス、及びアントラキノンの群から選択される。酸化スズが特に好ましい。
【0151】
代わりの実施形態において、レーザー吸収剤は、代わりに - 必要に応じて、H351危険度分類及び耐トラッキング性への不利な影響に関して最初に記載された不利な点を考慮に入れて - 酸化アンチモンスズ、三酸化アンチモン、又は五酸化アンチモンでもあり得る。
【0152】
レーザー吸収剤は、粉末として直接又はマスターバッチの形態で使用され得る。好ましいマスターバッチは、ポリアミド及び/又はポリオレフィン、好ましくはポリエチレンをベースとするものである。レーザー吸収剤は、非常に特に好ましくは、ナイロン-6ベースのマスターバッチの形態で使用される。
【0153】
レーザー吸収剤は、個別に又は2種以上のレーザー吸収剤の混合物として使用され得る。
【0154】
レーザー吸収剤は、特定の波長のレーザー光を吸収することができる。実際には、この波長は、157nm~10.6μmの範囲である。これらの波長のレーザーの例は、国際公開第2009/003976 A1号パンフレットに記載されている。1064、532、355、及び266nmの波長を達成することができるNd:YAGレーザー及びCOレーザーを使用することが好ましい。
【0155】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、及び
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0156】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、及び
C)0.01~2質量部の少なくとも二酸化チタン
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0157】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の少なくとも硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)、及び
C)0.01~2質量部の少なくとも二酸化チタン
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0158】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の少なくとも硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)、及び
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が特に好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0159】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム、及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、及び
D)3~100質量部の、無機難燃剤、窒素含有難燃剤、又はリン含有難燃剤から好ましくは選択される少なくとも1種の難燃添加剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0160】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の少なくとも硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、及び
D)3~100質量部の、無機難燃剤、窒素含有難燃剤、又はリン含有難燃剤から好ましくは選択される少なくとも1種の難燃添加剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が特に好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。
【0161】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、及び
E)0.01~2質量部の、立体障害のあるフェノール、特に少なくとも1つの2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基及び/又は2-tert-ブチル-6-メチルフェニル基を含有するもの、更にホスファイト、ハイポホスファイト、とりわけ次亜リン酸ナトリウムNaHPO、ヒドロキノン類、芳香族第二級アミン及び3,3’-チオジプロピオネートの群から好ましくは選択される少なくとも1種の熱安定剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。構成要素E)として二酸化チタンを使用することが好ましい。
【0162】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の少なくとも硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、及び
E)0.01~2質量部の、立体障害のあるフェノール、特に少なくとも1つの2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基及び/又は2-tert-ブチル-6-メチルフェニル基を含有するもの、更にホスファイト、ハイポホスファイト、とりわけ次亜リン酸ナトリウムNaHPO、ヒドロキノン類、芳香族第二級アミン及び3,3’-チオジプロピオネートの群から好ましくは選択される少なくとも1種の熱安定剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。構成要素E)として二酸化チタンを使用することが好ましい。
【0163】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材及び強化材、
D)3~100質量部の、無機難燃剤、窒素含有難燃剤、又はリン含有難燃剤から好ましくは選択される少なくとも1種の難燃添加剤、及び
E)0.01~2質量部の、立体障害のあるフェノール、特に少なくとも1つの2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基及び/又は2-tert-ブチル-6-メチルフェニル基を含有するもの、更にホスファイト、ハイポホスファイト、とりわけ次亜リン酸ナトリウムNaHPO、ヒドロキノン類、芳香族第二級アミン及び3,3’-チオジプロピオネートの群から好ましくは選択される少なくとも1種の熱安定剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。構成要素E)として二酸化チタンを使用することが好ましい。
【0164】
本発明に従って、
A)少なくとも1種のポリアミド、好ましくは、ナイロン-6又はナイロン-6,6、とりわけナイロン-6の100質量部当たり、
B)0.01~5質量部の少なくとも硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)、
C)1~150質量部の、ガラスビーズ又は中実若しくは中空ガラスビーズ或いはガラス繊維又は粉砕ガラス、非晶質石英ガラス、1%のアルカリ含量を有するホウケイ酸アルミニウムガラス(Eガラス)、非晶質シリカ、石英粉、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、か焼カオリン、チョーク、カイアナイト、粉末若しくは粉砕石英、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイト、式AlO(OH)のシュードベーマイト、炭酸マグネシウム及びタルクの群、とりわけガラス繊維から好ましくは選択される少なくとも1種の充填材又は強化材、
D)3~100質量部の、無機難燃剤、窒素含有難燃剤、又はリン含有難燃剤から好ましくは選択される少なくとも1種の難燃添加剤、及び
E)0.01~2質量部の、立体障害のあるフェノール、特に少なくとも1つの2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基及び/又は2-tert-ブチル-6-メチルフェニル基を含有するもの、更にホスファイト、ハイポホスファイト、とりわけ次亜リン酸ナトリウムNaHPO、ヒドロキノン類、芳香族第二級アミン及び3,3’-チオジプロピオネートの群から好ましくは選択される少なくとも1種の熱安定剤
を含むポリマー組成物をベースとする高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品が好ましく、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。構成要素E)として二酸化チタンを使用することが好ましい。
【0165】
<方法(プロセス)>
本発明は、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品に使用されるポリマー組成物を製造する方法であって、A)少なくとも1種のポリアミドと、B)セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物と、任意選択により場合によっては、更なる構成要素C)、D)又はE)の少なくとも1つが、少なくとも1つの混合システムにおいて互いに混合される方法に更に関し、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。少なくとも1種のポリアミドの100質量部ごとに、0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物を使用することが好ましい。セリウムを含有する好ましい硫化物は、硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)である。
【0166】
本発明は、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品を製造する方法であって、ポリマー組成物は、GIT(ガス圧入法)、WIT(水噴射法)、及びPIT(発射体注入法)の特殊な方法を含めた射出成形、異形押出を含む押出方法、又はブロー成形によって更に加工される方法に更に関する。任意選択により場合によっては、ポリマー組成物は、更なる加工前にストランドに押し出され、ペレット化可能になるまで冷却され、任意選択によって、乾燥され、且つペレット化されてもよい。一実施形態において、ポリマー組成物は、ペレット化形態において中間的に保管される。
【0167】
本発明は、好ましくは、高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品を製造する方法であって、A)少なくとも1種のポリアミドと、B)セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物、好ましくは少なくとも1種のポリアミドの100質量部当たり0.01~5質量部の、セリウムを含有する少なくとも1種の硫化物とは、ポリマー組成物を与えるために互いに混合され、ストランドを与えるために排出され、ペレット化可能になるまで冷却され、且つペレット化され、及びポリマー組成物は、その後、GIT(ガス圧入法)、WIT(水噴射法)、及びPIT(発射体注入法)の特殊な方法を含めた射出成形、異形押出を含む押出法又はブロー成形によって更に加工される方法に関し、但し、高電圧構成部品又は電動モビリティのための高電圧構成部品が、RAL表色系において、色数RAL2003、RAL2004、RAL2007、RAL2008、RAL2009、RAL2010又はRAL2011、より好ましくは色数RAL2003、RAL2004、RAL2008又はRAL2009、最も好ましくは色数RAL2003に対応することを条件とする。セリウムを含有する好ましい硫化物は、硫化セリウム(III)(Ce)又は硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)である。
【0168】
<高電圧構成部品>
好ましい高電圧構成部品、とりわけ電動モビリティのための高電圧構成部品は、電気駆動系及び/又は電池システムに用途を見出す。特に好ましい高電圧構成部品は、電気装置又は電子装置のためのカバー、制御装置、ヒューズのためのカバー/ハウジング、リレー、電池モジュール、ヒュ-ズホルダー、ヒューズプラグ、端子、ケーブルホルダー又は外装、特に高電圧バスバーの外装である。
【実施例
【0169】
本発明に従って記載される特性の向上を実証するために、対応するポリアミド系ポリマー組成物を最初にコンパウンディングによって作り上げた。この目的のために、個々の構成要素を、270~300℃の温度で二軸スクリュー押出機((Coperion Werner&Pfleiderer(Stuttgart,Germany)製のZSK 25 Compounder)において混合し、ストランドとして排出し、ペレット化可能になるまで冷却し、且つペレット化した。乾燥(一般に真空乾燥キャビネット中において80℃で2日間)後、ペレットを270~290℃の範囲の温度で加工して、それぞれの試験のための標準試験検体を得た。
【0170】
本実験に関連して、ブリーディングは、表2に示されるポリマー組成物をベースとする2つの60・40・2mmプラスチックシート間に固定されて、80℃で12時間ホットエア乾燥キャビネット中において保管された、30・20・2mm可塑化PVCフィルム(P-PVC、FB110ホワイト、標準低温強度、Jedi Kunststofftechnik GmbH,Eitorf,Germany製)の変色によって測定した。これに、ISO 105-A02のグレースケール(「5」は、PVCフィルムが色変化を全く示さなかったことを意味し、「1」は、PVCフィルムが著しい色変化を示したことを意味する)に準拠した目視評価を続いて行った。
【0171】
本発明に関連して、耐光性の尺度は、Atlas Material Testing Technology GmbH,Linsengericht,Germany製のウィンドウガラスフィルター250~765W/m付きの、Suntest CPS+,300~800nm,45~130klxからのUV光でのUV下における96時間の保管後の、60・40・2mmシートの形態での表2に記載される成形コンパウンドの変色であると考えた。変色は、DIN EN ISO 105-B02に準拠したブルーウールスケール(blue wool scale)(「8」は、優れた耐光性(ほとんどない色変化)を表し、「1」は、非常に低い耐光性(著しい色変化)を表す)に基づいて目視評価した。
【0172】
1064nmでのレーサー刻印の質の尺度は、本発明に関連して、レーザービームで処理されていない表面と比較して、レーザービームで処理された表面のコントラストであると考えた。この目的のために、MagicMarkV3刻印ソフトウェア及び集束レンズF-Theta 163を備えた、ACI Laser GmbH,Chemnitz,Germany製のDPL-Genesis-Marker(8W)レーザー刻印デバイスを使用した。Nd:YAGレーザー結晶がその中でレーザーとして機能し、波長1064nmのレーザー光を送った。刻印後のコントラストの比較のために、3μsのパルス幅及び90%のデバイスのレーザー出力と共に、100mm/sの書き込み速度、1000Hzのパルス周波数及び100μmのライン間隔を選択した。
【0173】
コントラストは、ISO 105-A03に準拠したグレースケールを用いて以下のように分類した:
・分類(-):レーザー照射表面は非レーザー照射表面と異なり、クラス4、4/5、又は5の、ISO 105-A03に準拠したグレースケールに匹敵する。レーザー照射表面は、したがって、たとえあったとしても、非レーザー照射表面とほとんど区別できなかった。
・分類(+):レーザー照射表面は非レーザー照射表面と異なり、クラス1~3/4の、ISO 105-A03に準拠したグレースケールに匹敵する。レーザー照射表面は、したがって、非レーザー照射表面から容易に区別できた。
【0174】
比較トラッキング指数は、規格から離れて50滴ではなく100滴を用いて、600Vの電圧において、IEC 60112の7.3章に定義されている試験液Aを使用して、寸法60mm・40mm・4mmの試験体について、IEC 60112に準拠して測定した。101滴の数値結果は、IEC 60112の8.3章の不合格判定基準のいずれも、100滴では起こらなかったことを意味する。
【0175】
<反応物>:
構成要素A)ナイロン-6(Lanxess Deutschland GmbH,Cologne,Germany製のDurethan(登録商標)B26)
構成要素B1):硫化セリウム(III)/硫化ランタン(III)(CAS No.12014-93-6;CAS No.12031-49-1)[C.I.Pigment Orange 78(Baotou Hongbo Te Technology co.Ltd.,「Inner Mongolia」,China製のNeolor Light Orange S)
構成要素E/1):二酸化チタン[CAS No.13463-67-7](Venator Germany GmbH,Duisburg製のSachtleben R-KB-4)
構成要素X/1):12H-フタロペリン-12-オン[CAS No.6925-69-5]Lanxess Deutschland GmbH,Cologne製のMacrolex(登録商標)Orange 3Gの形態。
【0176】
【表2】
【0177】
表IIの結果は、本発明の実施例1のみが、同時に存在する高い耐光性と非常に低いブリーディングの傾向と組み合わせて、1064nmでのレーザー刻印後にも十分に良好なコントラストを示し、その一方で、先行技術による着色剤は、良好なコントラスト及び良好な耐光性の両方と、低いブリーディング傾向を同時に有していなかったことを示している。