(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】自動計時器用ムーブメントのための装飾要素を備える振動巻き錘
(51)【国際特許分類】
G04B 5/18 20060101AFI20231108BHJP
G04B 45/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G04B5/18
G04B45/02
(21)【出願番号】P 2022528243
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2020079065
(87)【国際公開番号】W WO2021121713
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】シャルトレル,バンジャマン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020396(JP,A)
【文献】特開2006-038713(JP,A)
【文献】実開昭51-118764(JP,U)
【文献】特開2018-057476(JP,A)
【文献】特開2009-198502(JP,A)
【文献】実開昭51-055656(JP,U)
【文献】スイス国特許発明第00695394(CH,A5)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 5/18, 5/16
G04B 5/00, 7/00
G04B 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器のムーブメント(5、15)の振動巻き錘(1、10)であって、
前記振動巻き錘(1、10)は、前記ムーブメント(5、15)のアーバー(6、16)に対して回転することができるように取り付けられるように意図されており、
前記振動巻き錘(1、10)には、前記振動巻き錘(1、10)の全体的な形状を与えるメイン要素があり、
前記振動巻き錘(1、10)の重い部分によって、計時器の運動と重力に応じて前記振動巻き錘(1、10)が振動することができ、
前記振動巻き錘(1、10)には、
形体がロゴ又はイニシャルである装飾要素(3、13)
を有し、
前記装飾要素(3、13)は、
該装飾要素(3、13)の全体が前記メイン要素(2、12)に
重なるように取り付けられ、
前記メイン要素(2、12)は、第1の材料を含み、
前記装飾要素(3、13)は、第2の材料を含み、
前記重い部分は、第3の材料を含み、
前記第3の材料は、前記重い部分が前記装飾要素(3、13)よりも重いように、前記第2の材料よりも密度が高く、
これによって、前記振動巻き錘(1、10)を所定の位置に配置する
ことを特徴とする振動巻き錘(1)。
【請求項2】
前記振動巻き錘(1)には、前記重い部分を形成する補助的要素(4)があり、
前記補助的要素(4)は、前記メイン要素(2)と一体的になっている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項3】
前記補助的要素(4)は、前記メイン要素(2)の周部に配置されている不均衡要素であり、
又は円弧の形である
ことを特徴とする請求項
2に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項4】
前記装飾要素(3)は、前記メイン要素(2)の中心に対して前記補助的要素(4)の位置と対称的な位置に配置されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項5】
前記補助的要素(4)は、前記メイン要素(2、12)内に押し込まれ、前記メイン要素(2、12)上にオーバーモールドされ、又は前記メイン要素(2、12)に接着される
ことを特徴とする請求項
2に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項6】
前記重い部分を形成する補助的要素(14)があり、
前記補助的要素(14)は、前記装飾要素(13)と一体的である
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項7】
前記重い部分には、前記装飾要素(13)上に配置される重み付けメンバー(14)があり、これによって、前記巻き錘(10)が平静状態であるときに前記装飾要素(13)が好ましい方向に向くようにする
ことを特徴とする請求項6に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項8】
前記重み付けメンバー(14)は、10よりも大きい
比重を有する高密度材料、
又はタングステン
若しくはタングステン合金、を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項9】
前記補助的要素(4)は、前記装飾要素(3、13)内に押し込まれ、前記装飾要素(3、13)上にオーバーモールドされ、又は前記装飾要素(3、13)に接着される
ことを特徴とする請求項6に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項10】
前記第2の材料は、5未満、
又は3未満、
又は2未満、である
比重を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項11】
前記第2の材料は
、金属
を含む、又はアルミニウム、マグネシウム
若しくはチタ
ンを含む
、又は全体的に、金属、アルミニウム、マグネシウム若しくはチタンを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項12】
前記第3の材料は、10よりも大きい
若しくは20よりも大きい
比重を有
する、
又はタングステン
若しくはタングステン合
金を含む
、又は全体的に、10よりも大きい若しくは20よりも大きい比重を有する、若しくはタングステン若しくはタングステン合金を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項13】
前記装飾要素(3、13)は、前記メイン要素(2、12)内に押し込まれ、前記メイン要素(2、12)上にオーバーモールドされ、又は前記メイン要素(2、12)に接着される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項14】
前記第1の材料は、光透過性であり、
又はサファイア、ガラス
若しくはプラスチックによって作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動巻き錘(1)。
【請求項15】
風防によって閉じられるケースミドル部及び少なくとも部分的に光透過性のケース裏部によって形成されるケースを備える計時器であって、
前記ケースには、自動巻き式の計時器用ムーブメント(5、15)が収容され、
前記ムーブメント(5、15)には、請求項1に記載の振動巻き錘(1)が取り付けられている
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動式ムーブメント型の計時器のムーブメントのための装飾要素を備える振動巻き錘に関する。本発明は、特に、光透過性のケース裏部を備える腕時計に取り付けられるように意図されている前記のような巻き錘に関する。
【背景技術】
【0002】
ケース裏部が光透過性であってムーブメントを観察することができるようなケースを備える腕時計が知られている。しかし、このような携行型時計(例、腕時計、懐中時計)が自動巻き式のムーブメントを備える場合、振動巻き錘の存在によってムーブメントを常に観察しにくくなってしまう。また、いわゆる「スケルトン」ウォッチの場合のように機構がオープンになっていてもムーブメントの快適な観察を妨げてしまう。
【0003】
この問題を克服するために、欧州特許文献0957414は、メイン要素に重い部分が固定されている振動巻き錘を提案している。このメイン要素は、ムーブメントと一体的なアーバーに前記重い部分を接続するように構成しており、かつ、光透過性ないし半透明の材料によって作られている。このような振動巻き錘によって、この振動巻き錘が取り付けられるムーブメントを目に見える障害物がなく観察することができる。
【0004】
しかし、このような光透過性の振動巻き錘は、特に止まっているときに、美的に満足させるような結果を得るには十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特定の装飾要素を備える計時器用の振動巻き錘を提供することによって、従来技術の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、計時器のムーブメントの振動巻き錘に関し、前記振動巻き錘は、前記ムーブメントのアーバーに対して回転することができるように取り付けられるように意図されており、前記振動巻き錘には、前記振動巻き錘の全体的な形状を与えるメイン要素があり、前記振動巻き錘の重い部分によって、計時器の運動と重力に応じて前記振動巻き錘が振動することができる。
【0007】
本発明は、前記振動巻き錘には、ロゴ又はイニシャルである装飾要素があり、前記装飾要素は、前記メイン要素に取り付けられ、前記メイン要素は、第1の材料を含み、前記装飾要素は、第2の材料を含み、前記重い部分は、第3の材料を含み、前記第3の材料は、前記重い部分が前記装飾要素よりも重いように、前記第2の材料よりも比重が高く、これによって、前記振動巻き錘を所定の位置に配置するという点で、注目に値する。
【0008】
この新しい巻き錘の構造のおかげで、振動巻き錘のメイン要素上に装飾要素が配置される。したがって、この巻き錘は、従来技術において知られている伝統的な巻き錘と比べて魅力的な美的外観を有する。具体的には、ロゴやブランドのイニシャルを表すことができる装飾要素が、振動巻き錘、したがって計時器、の魅力を向上させる。第2の材料と第3の材料が異なるために、振動巻き錘が平静状態であるときに、振動巻き錘が特定の向きに向くようにして特定の位置にすることができる。このように、ロゴ又はイニシャルは、平静位置において特定の位置にある。
【0009】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記振動巻き錘には、前記重い部分を形成する補助的要素があり、前記補助的要素は、前記メイン要素と一体的になっている。
【0010】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記補助的要素は、前記メイン要素の周部に配置されている不均衡要素であり、例えば円弧によって形成される。
【0011】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記装飾要素は、前記メイン要素の中心に対して前記補助的要素の位置と対称的な位置に配置されている。
【0012】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記補助的要素は、前記メイン要素内に押し込まれ、前記メイン要素上にオーバーモールドされ、又は前記メイン要素に接着される。
【0013】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記重い部分を形成する補助的要素があり、前記補助的要素は、前記装飾要素と一体的である。
【0014】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記重い部分には、前記装飾要素上に配置される重み付けメンバーがあり、これによって、前記巻き錘が平静状態であるときに前記装飾要素が好ましい方向に向くようにする。
【0015】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記重み付けメンバーは、10よりも大きい比重を有する高比重材料、例えば、タングステン又はタングステン合金、を含む。
【0016】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記補助的要素は、前記装飾要素内に押し込まれ、前記装飾要素上にオーバーモールドされ、又は前記装飾要素に接着される。
【0017】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記第2の材料は、5未満、好ましくは3未満、さらに好ましくは2未満、である比重を有する。
【0018】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記第2の材料は、好ましくは全体的に、金属、例えば、アルミニウム、マグネシウム又はチタン、を含む。
【0019】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記第3の材料は、10よりも大きい、好ましくは20よりも大きい、比重を有する。
【0020】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記装飾要素は、前記メイン要素内に押し込まれ、前記メイン要素上にオーバーモールドされ、又は前記メイン要素に接着される。
【0021】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記第1の材料は、光透過性であり、好ましくは、サファイア、ガラス又はプラスチックによって作られている。
【0022】
本発明は、さらに、風防によって閉じられるケースミドル部及び少なくとも部分的に光透過性のケース裏部によって形成されるケースを備える計時器に関し、前記ケースには、自動巻き式の計時器用ムーブメントが収容され、前記ムーブメントには、本発明に係る振動巻き錘が取り付けられている。
【0023】
添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことによって、本発明の他の詳細内容を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る振動巻き錘の第1の実施形態を上から見た図である。
【
図2】本発明に係る振動巻き錘の第2の実施形態を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る振動巻き錘1の第1の実施形態を示している。この振動巻き錘1は、伝統的な形態で計時器の自動巻き式のムーブメント5に取り付けられるように意図されている。この計時器は、特に、風防によって閉じられるケースミドル部と、ムーブメント5を裏から見えるようにするために少なくとも部分的に光透過性であるケース裏部とによって形成されるケースを備える。ケースミドル部とケース裏部については、図示していない。
【0026】
振動巻き錘1には、この振動巻き錘1の全体的な形状を与えるメイン要素2がある。メイン要素2は、中実の固体ディスクによって形成されている。メイン要素2は、第1の光透過性材料によって作られている。メイン要素2は、例えば、比重が実質的に4であるサファイア、比重が実質的に2であるガラス、又は比重が実質的に1.2であるプラスチック、によって作られている。当然、他のいずれの光透過性ないし半透明である合成又は天然の材料を用いることもできる。例えば、この用途に適したポリカーボネートを用いることができる。いずれにせよ、この材料は、背後にある要素の形を区別することができるように少なくとも光を通過させる必要がある。
【0027】
メイン要素2は、アーバー6によってムーブメント5の機構に接続されており、メイン要素2はアーバー6のまわりを回転することができる。アーバー6はディスクの中心を通り抜ける。したがって、メイン要素2は、そのメイン要素2が振動するときに、アーバー6のまわりを円運動する。
【0028】
巻き錘1の一部が重い部分を形成し、この重い部分によって、計時器の運動と重力に応じて錘を振動させることができる。重い部分は、10より大きい、好ましくは20以上の、比重を有する第3の材料を含む。例えば、第3の材料は、好ましくは全体的に、比重が実質的に20であるタングステン又はタングステン合金を含む。
【0029】
第1の実施形態において、振動巻き錘1には、さらに、重い部分を形成する補助的要素4がある。補助的要素4は、メイン要素2と一体的になっている。この実施形態において、補助的要素4は、メイン要素2のディスクの周部に配置される円弧状の不均衡要素である。この円弧は、90~180°、好ましくは150~180°、の中心角度を形成し、これは、例えば、実質的に170°である。
【0030】
他の実施形態において、当然、不均衡要素が他の形状であることも可能である。
【0031】
本発明によると、巻き錘1には、装飾要素3があり、装飾要素3は、ロゴ又はイニシャルであり、装飾要素3は、振動巻き錘1のメイン要素2に取り付けられる。装飾要素3は、光透過性のメイン要素2にて見ることができるように、好ましくは不透明である、第2の材料によって作られている。この実施形態において、装飾要素3の第2の材料は、5未満、好ましくは3未満、さらに好ましくは2未満、の比重を有する。第2の材料は、好ましくは全体的に、例えば、金属、を含み、この金属は、比重が実質的に4.5であるチタン、比重が実質的に2.7であるアルミニウム、又は比重が実質的に1.7であるマグネシウム、又はこれらの金属又はこれらの金属と他の物質との組み合わせによって形成される合金であることができる。この場合、装飾要素3は、実質的にまっすぐな区画7及び曲がった区画8がある錨状のロゴであり、このまっすぐな区画7は、曲がった区画8の中央における曲がりの内側において曲がった区画8に接続されている。装飾要素3は、メイン要素2の中心に対して、補助的要素4の位置と対称的な位置に配置されている。装飾要素3の形は、不均衡要素の曲がりに対して逆の曲がりになっている。したがって、平静位置において、不均衡要素はディスクの下の方を向くように配置され、図においては、重力が下向きであり、錨が逆側の位置にてディスクの上部に配置され、すなわち、曲がった区画8がまっすぐな区画7の上にある。平静位置とは、振動巻き錘が動いておらず、したがって、重い部分が重力にしたがって配置されている位置を意味すると理解される。この配置によって、振動巻き錘が平静位置にあるときにその振動巻き錘に美的に満足できるような品質を与える。特に、ロゴは、メイン要素2の上部に上下逆さまに配置される。
【0032】
第2の材料と第3の材料は互いに異なる
比重を有する。したがって、補助的要素4は、装飾要素3よりも重く、振動巻き錘1が平静状態であるときに振動巻き錘1が特定の位置になるような向きを振動巻き錘1が向くようにすることができる。特に、
比重の違いによって、重力の方向に応じて補助的要素4の位置が下側になる程度が増す。これによって、装飾要素3が所定の位置になるようになる。この実施形態において、この構成によって、装飾要素3を、重力に逆らって、例えば、
図1に示しているように上下逆さまに、好ましい方向に配置することができる。すなわち、装飾要素3は、振動巻き錘が平静状態であるときに、携行型時計のケースミドル部に対して特定の向きとなる位置を維持する。
【0033】
振動巻き錘1の第1の代替的形態において、装飾要素3と補助的要素4は、メイン要素2内に押し込まれる。このために、メイン要素2は、各要素3、4が押し込まれる刻み込み(インデンテーション)を形成するように凹んでおり、各刻み込みは、要素3、4の1つの寸法構成に対応する。
【0034】
振動巻き錘1の第2の代替的形態において、装飾要素3と補助的要素4は、メイン要素2上にてオーバーモールドされる。また、例えば、装飾要素3と補助的要素4も光透過性の材料によって作られていることができる。
【0035】
振動巻き錘1の第3の代替的形態において、装飾要素3と補助的要素4は、メイン要素2に結合されている。また、しっかりと保持するために、メイン要素2に凹んだ刻み込みを設けることもできる。
【0036】
図2の第2の実施形態は、振動巻き錘10の重い部分が装飾要素12上に配置されている振動巻き錘10を示している。
【0037】
振動巻き錘10には、この振動巻き錘10の全体的な形状を与えるメイン要素12がある。メイン要素12は、中実の固体ディスクによって形成されている。メイン要素12は、第1の光透過性材料によって作られている。メイン要素12は、例えば、比重が実質的に4であるサファイア、比重が実質的に2であるガラス、又は比重が実質的に1.2であるポリカーボネートのようなプラスチックによって作られている。メイン要素12は、ムーブメント15のアーバー16のまわりを回転する。
【0038】
本発明によると、巻き錘10には、ロゴやイニシャルである装飾要素13があり、装飾要素13は、振動巻き錘10のメイン要素12に取り付けられる。この場合、装飾要素13は、実質的にまっすぐな区画17及び実質的に曲がった区画18がある錨状のロゴであり、まっすぐな区画17は、曲がった区画18の中央における曲がりの内側にて、曲がった区画18に接続される。装飾要素13は、光透過性のメイン要素にて見えるように好ましくは不透明である、第2の材料を含む。装飾要素13の第2の材料は、5未満、好ましくは3未満、さらに好ましくは2未満、の比重を有する。第2の材料は、好ましくは全体的に、例えば、金属、を含み、この金属は、比重が実質的に4.5であるチタン、比重が実質的に2.7であるアルミニウム、又は比重が実質的に1.7であるマグネシウム、又は複数種類の金属によって形成される合金であることができる。
【0039】
この実施形態において、重い部分には、装飾要素13上に配置される重み付けメンバー14がある。この重み付けメンバー14は、好ましくは10より大きい比重を有する、高比重な第3の材料によって作られている。第3の材料は、例えば、好ましくは全体的に、実質的に20である比重を有するタングステン、又はタングステン合金を含む。
【0040】
重み付けメンバー14は、例えば、ボール又は円筒状ブロック、又はグラブねじ(grub screw)のような形状である。重み付けメンバー14を、錨の形の中又は下に隠すこともできる。
【0041】
重み付けメンバー14によって、振動巻き錘が平静状態であるときに装飾要素13が好ましい方向を向くようにすることが可能になる。
図2に示すように、重み付けメンバー14は、錨の曲がった区画18の一端19に配置される。したがって、重み付けメンバー14は、振動巻き錘10が平静位置にあるときに装飾要素の位置をオフセットするように装飾要素13の片側を重みによって下側にする。特に、重み付けメンバー14がなければ、錨は実質的にまっすぐとなるが、重み付けメンバーがあると、重み付けメンバー14の重みによって錨は角度的にオフセットされる。重み付けメンバー14がないと、錨は、そのバランス位置に対してずれた位置にされる。重み付けメンバー14の目的は、装飾要素13のバランスを崩して、装飾要素13が所定の位置を向くようにすることである。
【0042】
この実施形態の異なる代替的形態によると、振動巻き錘10が平静状態であるときに、重み付けメンバー14を、その所望の向きに応じて、装飾要素13上の他の箇所に配置することができる。
【0043】
振動巻き錘の代替的実施形態は、重み付けメンバー14を除いて第1の実施形態の場合と同じであり、この重み付けメンバー14は、メイン要素12ではなく装飾要素13に対して、ねじ込まれ、接着され、オーバーモールドされ、又はプレスされる。