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特許7381766車両の運転するための方法、駐車支援システム及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】車両の運転するための方法、駐車支援システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20231108BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022552675
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021054267
(87)【国際公開番号】W WO2021175631
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102020105434.3
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】シャラド、シバジラオ、バドガオンカル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー、プリンツハウゼン
(72)【発明者】
【氏名】セドリック、ランガー
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング、ガイム
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530867(JP,A)
【文献】特開2004-352110(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018117718(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援システム(110)によって車両(100)を運転するための方法であって、前記駐車支援システム(110)は、追従モードにおいて前記車両(100)をトレーニングされた軌道(TR)に沿って運転するように又は運転を開始するように構成される、前記方法は、
a) 前記トレーニングされた軌道(TR)を受け取る(S1)ことであって、トレーニングモードにおいて、手動でナビゲートされる軌道が前記トレーニングされた軌道(TR)として記録され、前記トレーニングされた軌道(TR)は少なくとも1つの強く湾曲するセクション(TA)を含み、当該少なくとも1つの強く湾曲するセクション(TA)の曲率半径(R1、R2)は、前記追従モードにおいて予め定められる最大許容ステアリングロックを有する前記車両(100)で達成できる半径よりも小さい、ことと、
b) 前記トレーニングされた軌道(TR)における前記強く湾曲するセクション(TA)の開始ポイント(A)及び終了ポイント(E)を決定する(S2)ことと、
c) 代替開始ポイント(EA)を代替終了ポイント(EE)に接続する代替軌道(ETR)を特定する(S3)ことと、
を含み、
前記代替開始ポイント(EA)及び前記代替終了ポイント(EE)は各々前記トレーニングされた軌道(TR)上にあり、前記強く湾曲するセクション(TA)は、前記代替開始ポイント(EA)と前記代替終了ポイント(EE)との間にあり、
前記代替軌道(ETR)の最大曲率は、前記追従モードにおいて予め定められる前記最大許容ステアリングロックによって又はより小さなステアリングロックによって達成可能な曲率半径(R1、R2)を有
前記代替開始ポイント(EA)は、前記車両(100)の進行方向(DIR)に関し、前記トレーニングされた軌道(TR)上の前記強く湾曲するセクション(TA)の前記開始ポイント(A)の前にあること、及び/又は、前記代替終了ポイント(EA)は、前記車両(100)の前記進行方向(DIR)に関し、前記トレーニングされた軌道(TR)上の前記強く湾曲するセクション(TA)の前記終了ポイント(E)の後にある、
方法。
【請求項2】
前記代替軌道(ETR)は、前記強く湾曲するセクション(TA)内のセクションにおいて少なくとも延びること、及び/又は、前記代替軌道(ETR)は、前記強く湾曲するセクション(TA)の曲率に比べて曲率が負であるセクションを有すること、及び/又は、前記代替軌道(ETR)は複数の進行方向変更セクション(RWTA)を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記代替軌道(ETR)は、前記強く湾曲するセクション(TA)よりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記トレーニングされた軌道(TR)と前記代替軌道(ETR)との間の最大オフセット(DT)は、予め定められる限界値よりも小さいことを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項5】
前記代替軌道(ETR)は少なくとも1つの進行方向変更セクション(RWTA)を含み、当該少なくとも1つの進行方向変更セクション(RWTA)の曲率は、前記進行方向変更セクション(RWTA)のセクション開始ポイント(U1)における前記代替軌道(ETR)の曲率よりも小さことを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項6】
前記進行方向変更セクション(RWTA)のそれぞれの前記セクション開始ポイント(U1)における前記代替軌道(ETR)に対する第1接線と、前記セクション開始ポイント(U1)に対応するポイントにおける前記トレーニングされた軌道(TR)に対する第2接線と、の間の開き角は、予め定められる限界値以上であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記代替軌道(ETR)は、各ケースにおいて、前記代替軌道(ETR)に沿った予め定められる距離の後に、進行方向変更セクション(RWTA)を含むことを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項8】
前記代替軌道(ETR)は、開始部分(NTA1)及び/又は終了部分(NTA2)において前記強く湾曲するセクション(TA)に対して負の曲率を有し、前記開始部分(NTA1)は前記代替開始ポイント(EA)に直接続き、前記終了部分(NTA2)は前記代替終了ポイント(EE)に直接続くことを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項9】
前記代替開始ポイント(EA)、前記代替終了ポイント(EE)及び前記代替軌道(ETR)は反復最適化法によって特定され、前記車両(100)の環境センサー(120、130)によって及び/又は外部環境センサーによって与えられる環境センサーデータは、前記特定において考慮されることを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項10】
前記車両(100)は、前記強く湾曲するセクション(TA)の前記開始ポイント(A)の前にある前記トレーニングされた軌道(TR)上の定位位置で、場所が特定されることを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の方法。
【請求項11】
前記追従モードにおいて予め定められる最大許容ステアリング角は、左及び右に関して異なることを特徴とする請求項1~10のうちの1つに記載の方法。
【請求項12】
コンピュータプログラムプロダクトであって、前記プログラムがコンピュータによって実行される場合、前記コンピュータに請求項1~11のうちの1つに記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項13】
車両(100)のための駐車支援システム(110)であって、追従モードにおいて、前記車両(100)をトレーニングされた軌道(TR)に沿って運転するように又は運転を開始するように構成される駐車支援システム(110)において、当該駐車支援システム(110)は、
トレーニングモードの間に手動でナビゲートされる軌道である前記トレーニングされた軌道(TR)を受け取るための演算ユニット(111)であって、前記トレーニングされた軌道(TR)は、少なくとも1つの強く湾曲するセクション(TA)を含み、当該少なくとも1つの強く湾曲するセクション(TA)の曲率半径(R1、R2)は、前記追従モードにおいて予め定められる最大許容ステアリングロックを有する前記車両(100)で達成できるものよりも小さい、演算ユニット(111)と、
前記トレーニングされた軌道(TR)における前記強く湾曲するセクション(TA)の開始ポイント(A)及び終了ポイント(E)を決定するための決定ユニット(112)と、
代替開始ポイント(EA)を代替終了ポイント(EE)に接続する代替軌道(ETR)を特定するための特定ユニット(113)と、
を備え、
前記代替開始ポイント(EA)及び前記代替終了ポイント(EE)は各々前記トレーニングされた軌道(TR)上にあり、前記強く湾曲するセクション(TA)は、前記代替開始ポイント(EA)と前記代替終了ポイント(EE)との間にあり、
前記代替軌道(ETR)の最大曲率は、前記追従モードにおいて予め定められる前記最大許容ステアリングロックによって又はより小さなステアリングロックによって達成可能な曲率半径(R1、R2)を有し、
前記代替開始ポイント(EA)は、前記車両(100)の進行方向(DIR)に関し、前記トレーニングされた軌道(TR)上の前記強く湾曲するセクション(TA)の前記開始ポイント(A)の前にあること、及び/又は、前記代替終了ポイント(EA)は、前記車両(100)の前記進行方向(DIR)に関し、前記トレーニングされた軌道(TR)上の前記強く湾曲するセクション(TA)の前記終了ポイント(E)の後にある、
駐車支援システム(110)。
【請求項14】
請求項13に記載の駐車支援システム(110)を有する車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転するための方法、駐車支援システム、及び車両に関する。
【発明の概要】
【0002】
トレーニングモードにおいて、例えば中庭入り口から車庫に入るまでの、具体的な軌道を車両によって辿るようにユーザによりトレーニング可能な車両用駐車支援システムが知られている。この目的のために、ユーザによって手動でナビゲートされる軌道が記録される。後の追従する場合、駐車支援システムは、トレーニング中にユーザによって行われた制御アクションを自動的に実行し、その結果、車両はその軌道を辿る。
【0003】
DE 10 2017 002 731 A1は、動力車両を運転するための方法を記載する。その方法は、第1駐車プロセスの間、特に入庫プロセスの間、第1軌道に沿って動力車両を手動で案内することを含む。第1軌道は、第1駐車プロセス中に記録される。さらに第2軌道は、第1軌道に平滑化法を適用することによって、及び/又は、第1駐車プロセス中に取得された環境データに対し、特に取得された環境データから決定される障害物領域及び/又は障害物のない領域に対し、第1軌道を適合させることによって、決定される。
【0004】
技術的な理由により、軌道をトレーニングする際にユーザによって簡単に変えられる非常に大きな或いは最大のステアリングロックが、追従モードにおいて達成できない。そのため、ユーザがステアリングロックに関する上限値を超えた場合、駐車支援システムが軌道のトレーニングを中断するように、規定される。そしてその軌道は保存されずに、追従に利用可能とはならない。駐車支援システムが依然として軌道をトレーニングして記憶する場合、トレーニングされた軌道を辿る際に車両がトレーニングされた軌道から外れるという問題が発生する可能性があり、それは良くて追従運転が中止されることにつながり、悪くて車両が障害物に衝突することにつながる。
【0005】
この背景に対し、本発明の1つの目的は、車両の運転性を向上させることにある。
【0006】
第1態様は、追従モードにおいて、トレーニングされた軌道に沿って車両を運転するように又は車両の運転を開始するように構成された駐車支援システムによって、車両を運転するための方法を提案する。第1ステップa)において、手動でナビゲートされる軌道がトレーニングされた軌道として記録されるトレーニングモードにおいてトレーニングされた軌道が、受信される。このケースにおける「受信」は、特に、その軌道のセンサーベースの記録から少なくとも生の測定データが提供されることを意味する。トレーニングされた軌道は、好ましくは、特に、超音波センサー及び/又はカメラセンサー及び/又はGPSセンサー及び/又はレーダセンサー及び/又はlidarセンサー及び/又はオドメトリセンサー(odometry sensor)などの少なくとも1つの車両センサーの助けによって、センサーベースの方法で予め記録される。トレーニングされた軌道は、少なくとも1つの強く湾曲するセクションを含み、当該セクションの曲率の半径は、追従モードにおいて予め定められた最大許容ステアリングロックを有する車両で達成できる半径より小さい。第2ステップb)において、トレーニングされた軌道における強く湾曲するセクションの開始ポイント及び終了ポイントが決定される。また決定することは、規定すること及び/又は検出することを含む。第3ステップc)において、代替開始ポイントを代替終了ポイントに接続する代替軌道が特定される。代替開始ポイント及び代替終了ポイントは各々トレーニングされた軌道上にあり、強く湾曲するセクションは、代替開始ポイントと代替終了ポイントとの間にある。代替軌道の最大曲率は、追従モードにおいて予め定められた最大許容ステアリングロックで達成可能な又はより小さなステアリングロックで達成可能な曲率の半径を有する。
【0007】
この方法は、一方では、非常にきついカーブを含む軌道がトレーニングモードでトレーニングされることができ、他方では、車両がトレーニングされた軌道から大きく離れ過ぎることなく、トレーニングされた軌道が追従モードでうまく辿られることができるという利点を有する。その方法は、軌道をトレーニングする際にユーザによって使用される最大ステアリングロックを交通状況が必ずしも必要としない場合に、好ましくは使用される。ステアリングロック又はステアリングアングルは、例えば、ステアリングホイールの回転の車軸と車両の横方向との間の角度、又は、ホイール回転方向と車両の縦方向との間の角度を、意味するものとして理解される。
【0008】
駐車支援システムは、運転支援システムとも呼ばれうるものであり、特に車両の部分的な自律運転又は完全な自律運転のために構成される。部分的な自律運転は、例えば、駐車支援システムがステアリング装置及び/又は自動速度レベルシステムを制御することを意味するものとして理解される。完全な自律運転は、例えば、駐車支援システムが駆動デバイス及び制動デバイスも追加的に制御することを意味するものとして理解される。駐車支援システムは、ハードウェアの形態及び/又はソフトウェアの形態で実装されうる。ハードウェアの形態での実装の場合、駐車支援システムは、例えば、コンピュータ又はマイクロプロセッサの形態としうる。ソフトウェアの形態での実装の場合、駐車支援システムは、コンピュータプログラムプロダクト、関数、ルーチン、プログラムコードの一部、又は実行可能物体の形態としうる。特に、駐車支援システムは、車両の上位の制御システム、例えばECU(Engine Control Unit)、の一部の形態としうる。
【0009】
車両は、例えば自動車或いはトラックである。特に、車両は、車両の走行状態を把握するように及び車両の環境を把握するように構成された複数のセンサーユニットを備える。車両のそのようなセンサーユニットの例は、カメラなどの画像記録デバイス、RADAR又はLIDAR、超音波センサー、位置センサー、車輪角センサー及び/又は車輪速度センサーである。センサーユニットは、各々、センサー信号を出力するように構成されており、例えば、取得したセンサー信号に基づいて部分的な自律運転又は完全な自律運転を行う駐車支援システムに対し、センサー信号を出力する。
【0010】
軌道をトレーニングするため、例えばユーザによって駐車支援システムがトレーニングモードに置かれる。トレーニングモードにおいて、駐車支援システムは、好ましくは、ユーザの制御入力の全て、例えばステアリング角、係合ギア、移動距離などを記録する。対応する値は、好ましくは互いに関連付けられて記憶され、その結果、例えば、ステアリング角が車輪回転数の関数として利用できる。このように、少なくともノンスリップドライブの場合には、トレーニングされた軌道が明確に定められる。オドメトリデータ(odometry data)とも呼ばれるこれらのデータに加え、車両の環境センサーからのセンサー信号も好ましくはトレーニング中に記録される。これは、特に追従モードにおいて、駐車支援システムの方向付けを容易にすることができる。
【0011】
ここでの特別な特徴は、追従モードで達成できるよりも大きなステアリング角が使用される場合に軌道も記録されることである。非常に大きなステアリング角、例えば最大ロック、は、非常に高いトルクが必要となる。ユーザはステアリングホイール及びサーボモーターを使って簡単にそのトルクを実現できるが、これは自律運転時のステアリング角を制御するためのアクチュエータに関して非常に高い負荷である。アクチュエータの急速な摩耗又は早期故障のリスクを低く抑えるため、自律運転モードで達成できる最大ステアリング角は、それ故に、小さくされることが可能であり、例えばそれは設計に関連づけられる最大ステアリング角の80%又は90%である。追従モードにおいて達成可能な最大ステアリング角は、限界ステアリング角としても、以下で言及されうる。
【0012】
ステアリング角が大きいほど、それによって生じる軌道の曲率は大きくなり、曲率円又は接触円の曲率の半径は小さくなる。従って、追従モードでナビゲートされうる軌道は、最大限界曲率及び最小限界曲率半径を有する。そのため、限界曲率より大きい曲率及び限界曲率半径より小さい曲率半径を実現することはできない。
【0013】
また、トレーニングされた軌道は、限界曲率よりも大きな曲率の複数のセクションを含むことも可能である。それぞれの軌道、例えばトレーニングされた軌道及び代替軌道、は、例えば基準ポイント、特に中心ポイント、重心又は車両の後軸の中心ポイント、に関連付けられる。代替的に又は追加的に、車両の1つ又は複数の車輪の軌道は、記録され及び/又は特定され及び/又は受信されることができ、及び/又は車両の本体の1つ又は複数のコーナーポイントに関する軌道としうる。
【0014】
軌道が記録され又はトレーニングされながら、強く湾曲するセクションの開始ポイントと終了ポイントはすでに決定されることができる。例えば、ユーザが限界ステアリング角を超えた時点又はそれを再び下回った時点に対応するオドメトリデータにおけるデータポイントが、それに応じてマークが付けられる。或いは、軌道の曲率が軌道の各ポイントで解析され、追従モードが作動されており且つ対応する軌道が選択されている場合にのみ、限界曲率を超える曲率の接続部分がそれに応じてマークを付けられるように規定されてもよい。そして、そのような部分の最初のポイントが開始ポイントであり、その部分の最後のポイントが終了ポイントである。
【0015】
そして代替軌道が、強く湾曲するセクションに関して特定され、当該代替軌道の最大曲率は限界曲率を超えない。代替軌道の代替開始ポイントと代替終了ポイントは、いずれもトレーニングされた軌道上にあり且つ強く湾曲するセクションも含む。これは、代替軌道がトレーニングされた軌道からできるだけ逸脱しないようにすること、及び、車両が代替軌道をたどった後に再びトレーニングされた軌道に乗るようにすることを確かにする。
【0016】
S-湾曲などの互いに近接している複数の強く湾曲するセクションを有する複雑なトレーニングされた軌道の場合、代替軌道が、強く湾曲するセクションの個々のものに関して、トレーニングされた軌道上にないそれぞれの代替軌道の代替開始ポイント及び/又は代替終了ポイントとともに、特定されるように規定されてもよい。そして、こうして決定された複数の代替軌道は連結されて全体の代替軌道を形成し、当該全体の代替軌道の開始ポイント及び終了ポイントがトレーニングされた軌道上にある。この場合、その全体の代替軌道は、必ずしも複数の代替軌道の全体過程を含む必要はなく;むしろ、これらは部分的に短くされることができる。例えば、第1の代替軌道から第2の後続の代替軌道への移行がある移行ポイントが、この目的のために特定される。そのような移行ポイントは、それぞれの代替軌道の代替開始ポイントと代替終了ポイントとの間であってもよい。
【0017】
実施形態において、特定された代替軌道が記憶され、特に、特定された代替軌道がうまく追従されることができたかどうかの情報を記憶することが可能である。そして、ユーザがトレーニングされた軌道を辿らせたい次回に、記憶された軌道を利用することが可能である。これは、必要な計算量を減らすことができる。
【0018】
その方法の一実施形態によれば、代替軌道は、少なくとも強く湾曲するセクション内のセクションにおいて延び、及び/又は、代替軌道は、強く湾曲するセクションの曲率と比較して負の曲率のセクションを有し、及び/又は、代替軌道は、複数の進行方向変更セクションを含む。
【0019】
強く湾曲するセクション内において代替軌道が延びることは、例えば、曲率半径で描かれた円であって強く湾曲するセクションに対して横たわる曲率円又は接触円が交わることを意味するものとして理解される。
【0020】
負の曲率は、曲率が同じ進行方向における他の方向に向かうことを意味し、それは、左回りから右回りへの又はその逆の進行方向の変化に対応する。またそれは凸型の曲率又は凹型の曲率を指すことも可能である。また曲率円が軌道の反対側にあるとも言えることができる。
【0021】
進行方向変更セクションは、車両がこの部分において進行方向を変更すること、すなわち前向き走行から後ろ向き走行に変更すること又はその逆、を意味するものとして理解される。
【0022】
その方法の更なる実施形態によれば、代替開始ポイントは、車両の進行方向に関してトレーニングされた軌道上の強く湾曲するセクションの開始ポイントよりも前であり、及び/又は代替終了ポイントは、車両の進行方向に関してトレーニングされた軌道上の強く湾曲するセクションの終了ポイントよりも後である。
【0023】
これは、代替軌道が強く湾曲するセクションを完全に囲むことを、例えばトレーニングされた軌道の終了ポイントに安全に近づくことができることを、確かにする。
【0024】
その方法の更なる実施形態によれば、代替軌道は、強く湾曲するセクションよりも短い。
【0025】
これは、特に代替軌道が強く湾曲するセクション内の大部分又は全体を通る場合の事例である。
【0026】
その方法の更なる実施形態によれば、トレーニングされた軌道と代替軌道との間の最大オフセットは、予め定められた限界値よりも小さい。
【0027】
そのオフセットは、距離と呼ぶこともできる。特に、代替軌道の特定位置での最大オフセットは、トレーニングされた軌道に沿ったポイントまでの最短距離である。その予め定められた限界値は、例えば、1m、2m、3m、4m、或いは5mまでである。この場合、地下駐車場、駐車場棟、庭での又は道路沿いの駐車場などの様々な環境に関する最大オフセットに関する様々な制限値が与えられうる。
【0028】
ここでは好ましくは車両の形状も考慮され、その結果、例えば、車両の異なる方向もオフセットに寄与する。例えば、車両の形状は、車両が進んだ占有面積(footprint)で近似されることができる。ここでは、オフセットとして様々な寸法を導入することができる。例えば、トレーニングモードにおいて車両が進んだエリアの外側にあるすべてのポイントが、オフセットとして指定されることができる。代替的に、これらのポイントとその進んだエリアとの間の最短距離の平均値又はRMS値も、オフセットとして定められることができる。
【0029】
この実施形態は、車両が、代替軌道を辿る際に、トレーニングされた軌道から大きく離れ過ぎて移動しないことを確かにする。
【0030】
その方法の更なる実施形態によれば、代替軌道は少なくとも1つの進行方向変更セクションを含み、当該少なくとも1つの進行方向変更セクションの曲率は、その進行方向変更セクションのセクション開始ポイントにおける代替軌道の曲率よりも小さく、好ましくはゼロであり、好ましくは負である。
【0031】
また、逆位相操舵(countersteering)が進行方向変更セクションにおいて行われるとも言える。このようにして、トレーニングされた軌道上での車両の方向と比較した車両の方向の逸脱は、特に効率的に修正されることができる。
【0032】
その方法の更なる実施形態によれば、複数のそれぞれの進行方向変更セクションのセクション開始ポイントでの代替軌道に対する第1接線と、セクション開始ポイントに対応するポイントでのトレーニングされた軌道に対する第2接線との間の開き角度は、予め定められた限界値以上である。
【0033】
その対応するポイントは、例えば、トレーニングされた軌道上のポイントであり、当該トレーニングされた軌道上のポイントは、セクション開始ポイントまで最も短い距離を有する。開き角度に関する予め定められた限界値は、例えば、15°、20°、25°、30°、35°、40°又は45°までである。この場合、地下駐車場、駐車場ブロック、庭における又は道路沿いの駐車場などの様々な環境に関し、様々な限界値が与えられることができる。
【0034】
その方法の更なる実施形態によれば、代替軌道に沿った予め定められた距離の後に、代替軌道は各ケースにおいて進行方向変更セクションを含む。
【0035】
予め定められた距離は、進んだ距離として定義されることができる。ただし、その予め定められた距離は方向転換に関するものでありうる;例えば、45°カーブや90°カーブの後の各ケースにおいて進行方向転換セクションを設けることが可能である。
【0036】
その方法の更なる実施形態によれば、代替軌道は、代替開始ポイントに直接続く開始部分において及び/又は代替終了ポイントに直接続く終了部分において、強く湾曲するセクションに対して負の曲率を有する。
【0037】
その方法の更なる実施形態によれば、代替開始ポイント、代替終了ポイント及び代替軌道は、反復最適化法(iterative optimization method)によって特定される。
【0038】
反復最適化法は、最大許容オフセット及び/又は開き角などの様々な予め定められた限界値を考慮するのに特に適している。さらに、移動物体や障害物などの動的に変化する状況が、反復最適化法によって考慮されることができる。
【0039】
実施形態において、車両の環境センサー及び/又は外部環境センサーによって提供される環境センサーデータが、その特定において考慮される。
【0040】
この実施形態は、代替軌道を特定する際に移動障害物などの経時的な交通状況の変化が考慮されるので、有利である。
【0041】
その方法の更なる実施形態によれば、車両は、強く湾曲するセクションの開始ポイントの直前にあるトレーニングされた軌道上の定位位置において、場所が特定される。
【0042】
定位は、ここで、車両の位置を決めるものと理解される。その位置は、例えば地球を表す球面上の座標によって、明確にされることができ、特にGPSなどの衛星ベースのシステムの助けを借りて特定されることができる。ただし、建物や道路標識などの固定物との関係でその位置を決めることもできる。その定位は、環境センサーデータに基づき内部デバイスによって、又は、外部カメラなどの外部デバイスによって、行われることができる。
【0043】
実施形態において、トレーニングされた軌道をたどる間に、オドメトリを使用して車両の位置が特定されてもよい。この代替として、定期的に又は必要に応じて、車両の定位を繰り返すことができる。これは、例えば最初の定位における及び/又はオドメトリの間の誤差に起因する、実際の位置のズレを回避することを可能にする。
【0044】
その方法の一実施形態によれば、追従モードにおいて予め定められた最大許容ステアリング角は、左及び右に関して異なっている。
【0045】
車輪サスペンションの設計に関連する相違などに起因して、車両の操縦行動に違いがありうるものであり、それはこれによって考慮されることができる。
【0046】
第2態様は、プログラムがコンピュータによって実行される場合に、前記コンピュータに上述の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムプロダクトを提案する。
【0047】
コンピュータプログラム手段などのコンピュータプログラムプロダクトは、例えば、メモリカード、USBメモリ、CD-ROM、DVDなどの記憶媒体として、或いはネットワークにおけるサーバからダウンロード可能なファイルの形態で、提供又は配信されてもよい。これは、例えば、無線通信ネットワークにおいて、コンピュータプログラムプロダクト又はコンピュータプログラム手段を含む対応するファイルを送信することによって、行われうる。
【0048】
第3態様は車両のための駐車支援システムを提案し、当該車両のための駐車支援システムは、追従モードにおいて、トレーニングされた軌道に沿って車両を運転するように構成される。その駐車支援システムは、トレーニングモード中に手動でナビゲートされた軌道であるトレーニングされた軌道を受け取るための演算ユニットを備え、そのトレーニングされた軌道は、少なくとも1つの強く湾曲するセクションを含み、当該少なくとも1つの強く湾曲するセクションの曲率半径は、追従モードにおいて予め定められた最大許容ステアリングロックを有する車両で達成できるよりも小さい。さらに、駐車支援システムは、トレーニングされた軌道における強く湾曲するセクションの開始ポイント及び終了ポイントを決定する決定ユニットと、代替開始ポイントと代替終了ポイントとを結ぶ代替軌道を特定するための特定ユニットとを備える。代替開始ポイント及び代替終了ポイントはトレーニングされた軌道上にあり、強く湾曲するセクションは代替開始ポイントと代替終了ポイントの間にあり、代替軌道の最大曲率は、追従モードにおいて予め定められた最大許容ステアリングロック又はより小さいステアリングロックで実現できる曲率半径を有する。
【0049】
この駐車支援システムは、第1態様の方法について説明したのと同じ利点を有する。説明された方法に関して提案される実施形態及び特徴は、提案された駐車支援システムに適宜適用する。駐車支援システムは、特に第1態様による方法で動作される。
【0050】
それぞれのユニット、例えば演算ユニット、決定ユニット及び/又は特定ユニット、及び駐車支援システムは、ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態で実装されることができる。ハードウェアの形態での実装の場合、そのユニットは、例えば、コンピュータ又はマイクロプロセッサの形態であってもよい。ソフトウェアの形態での実装の場合、そのユニットは、コンピュータプログラムプロダクト、関数、ルーチン、プログラムコードの一部、又は実行可能なオブジェクトの形態であってもよい。
【0051】
第4態様は、第3態様による駐車支援システムを有する車両を提案する。
【0052】
その車両は、好ましくは自動車又はトラックである。
【0053】
また発明の更なる可能な実装は、例示的な実施形態に関して上述又は下述した特徴又は実施形態の明示的に言及されていない組み合わせを含む。また、この場合、当業者であれば、発明のそれぞれの基本形態に対する改良又は追加として、個々の態様を追加することになる。
【0054】
発明の更なる有利な構成及び態様は、従属請求項の主題及び以下に説明する発明の例示的な実施形態の主題である。発明は、添付図を参照しながら、好ましい実施形態に基づいて以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、鳥瞰図からの車両の概略図を示す。
図2図2は、代替軌道の第1例を概略的に示す。
図3図3は、代替軌道の第2例を概略的に示す。
図4図4は、代替軌道の第3例を概略的に示す。
図5図5は、代替軌道の第4例を概略的に示す。
図6図6は、複数の曲率円を有する軌道を概略的に示す。
図7図7は、駐車支援システムを動作させるための方法の例示的な実施形態の概略ブロック図を示す。
図8図8は、駐車支援システムの一例の概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
同一の要素又は機能的に同一の要素は、特に断りのない限り、図面において同一の参照符号が付されている。
【0057】
図1は、鳥瞰図からの車両100の概略図を示す。車両100は、例えば、環境200に配置される自動車である。自動車100は、例えば、制御デバイスの形態である駐車支援システム110を有する。さらに、自動車100には複数のセンサーデバイス120、130が配置されており、これらは例えば光学センサー120及び超音波センサー130である。光学センサー120は、例えば、視覚カメラ、RADAR(radio detection and ranging)及び/又はLIDAR(light detection and ranging)を含む。光学センサー120は、各々、自動車100の環境200からそれぞれの領域の画像を取り込んでもよく、それを光学センサー信号として出力してもよい。超音波センサー130は、環境200に配置された物体からの距離を検出するように構成され、対応するセンサー信号を出力するように構成される。センサー120、130により取り込まれるセンサー信号を用いて、駐車支援システム110は、自動車100を部分的に自律的に或いは完全に自律的にさえ走行させることができる。図1に示した光学センサー120及び超音波センサー130に加え、車両100が他の種々のセンサーデバイス120、130を有するようになっていてもよい。これらの例は、マイクロフォン、加速度センサー、電磁気的に伝達可能なデータ信号を受信するための連結されたレシーバを有するアンテナ、などである。また、車両100は、好ましくは定位ユニット(図示せず)を備え、当該定位ユニットは、環境200における車両100の位置を検出するように構成され、駐車支援システム110にそれを出力するように構成される。
【0058】
駐車支援システム110は、追従モードにおいて、トレーニングされた軌道TR(図2図6参照)に沿って車両100を走行させるように構成される。駐車支援システム110は、例えば、演算ユニット111(図8参照)と、決定ユニット112(図8参照)と、特定ユニット113(図8参照)とを備える。
【0059】
図2は、トレーニングされた軌道TRに基づいて特定された代替軌道ETRの第1例を概略的に示す。トレーニングされた軌道TRは、車両100が意図された進行方向DIRとともに示される開始位置APで始まり、終了位置EPで終了する。トレーニングされた軌道TRは強く湾曲するセクションTAを有し、当該強く湾曲するセクションTAは、開始ポイントAで始まって終了ポイントEまで延び、このケースでは90°の曲がりを表す。車両100で強く湾曲するセクションTAを追従するために必要なステアリングロックは、駐車支援システム110(図1又は図8参照)の追従モードにおける最大許容ステアリングロックより大きい。そこで、駐車支援システム110は代替軌道ETRを特定し、当該代替軌道ETRは、代替開始ポイントEAを代替終了ポイントEEに接続させ、当該代替軌道ETRの曲率は、追従モードにおいて実現可能なステアリングロックで実現される。代替開始ポイントEAは、トレーニングされた軌道TR上において、強く湾曲するセクションTAの開始ポイントAより手前にある。代替終了ポイントEEは、トレーニングされた軌道TR上において、強く湾曲するセクションTAの終了ポイントEより後にある。そのため、代替軌道ETRは強く湾曲するセクションTAによって定められる湾曲を横断する。代替軌道ETRを用いてトレーニングされた軌道TRを辿る駐車支援システム110のおかげで、車両100は、限界ステアリング角を超えることなく且つトレーニングされた軌道TRからの最大逸脱DTが上限値を超えることなく、開始位置APから終了位置EPに到達する。最大オフセットDTに関する上限値は、好ましくは予め定められ、異なるトレーニングされた軌道TRに関し又はトレーニングされた軌道TRに沿った異なるセクションに関し、異なりうる。さらに、最大オフセットDTの上限値は、環境200(図1参照)の性質に基づいて、特に環境200に存在する障害物又は物体に基づいて、予め定められることができる。また、最大許容オフセットDTを使い切る必要はないことに留意されるべきである。代替軌道ETRは、好ましくは、各ポイントでの最大オフセットが最小となるように特定する。
【0060】
図3は、トレーニングされた軌道TRのための代替軌道ETRの第2例を概略的に示し、それは本ケースにおいて180°の湾曲を表す強く湾曲するセクションTAを有する。強く湾曲するセクションTAの曲率は、追従モードで達成できる最大曲率よりも大きい。ここで代替軌道ETRは、3つのセクション、第1セクションETA1、第2セクションETA2及び進行方向変更セクションRWTA、を含む。代替軌道ETRの曲率は、全てのポイントで最大許容曲率以下である。第1セクションETA1は、トレーニングされた軌道TR上にある代替開始ポイントEAを、進行方向転換が行われる第1反転ポイントU1に接続する。進行方向変更セクションRWTAは、第1反転ポイントU1と第2反転ポイントU2とを接続し、当該第2反転ポイントU2において更なる進行方向変更が行われる。そのため、進行方向変更セクションRWTAにおける車両100の進行方向DIRは、代替軌道ETRの他のポイントにおける車両100の進行方向DIRと逆である。第2セクションETA2は、第2反転ポイントU2を、再びトレーニングされた軌道TR上にある代替終了ポイントEEに接続させる。
【0061】
代替軌道ETRは、強く湾曲するセクションTAの内側で部分的に且つ外側で部分的に延びることがわかる。進行方向変更セクションRWTAは、トレーニングされた軌道TRに対する最大許容オフセットDTを超えないように特定された。最大許容オフセットDTは、例えば、0.3m、0.5m、1m、2m、3m、4m又は最大5mであり、例えば2つの軌道の間の距離がオフセットDTとして定められる。進行方向変更セクションRWTAにおいて車両100を反転させることにより、ここでは、例えば構造物障害物(図示せず)によって遮られうる代替軌道ETRが右方向に継続しないことが確保される。
【0062】
また代替軌道ETRが、例えば代替開始ポイントEAを開始位置APの方向にさらに移動させることによって且つ代替終了ポイントEEを終了位置EPの方向にさらに移動させることによって、及び/又は、強く湾曲するセクションTA内に各々がある複数の進行方向変更セクションRWTAを挿入することによって、それが強く湾曲するセクションTA内で完全に延びるように、特定されることができることに留意されるべきである。この場合、代替軌道ETRはトレーニングされた軌道TRを横断したり又は交差したりすることはもはやなくなる。
【0063】
図4は、トレーニングされた軌道TRに関して代替軌道ETRの第3例を概略的に示し、本ケースでは、180°の湾曲を表す強く湾曲するセクションTAを有する。強く湾曲するセクションTAの曲率は、追従モードで達成できる最大曲率よりも大きい。この場合、代替軌道ETRは、進行方向変更セクションRWTA(図3又は図5参照)無しで管理する。代わりに、代替軌道ETRは、強く湾曲するセクションTAの曲率と比べ、開始部分NTA1及び終了部分NTA2において負の曲率を有する。開始部分NTA1は、代替開始ポイントEAから、曲率が再び正となる転向ポイントW1まで、延びる。終了ポイントNTA2は、その曲率が負となる転向ポイントW2から、代替終了ポイントEEまで延在している。
【0064】
代替軌道ETRは、車両100の開始進行方向DIRと平行な方向において、トレーニングされた軌道TRを超えないことが分かる。さらに、トレーニングされた軌道TRに対する最大許容オフセットDT(図2又は図3参照)を超えない(図示せず)。
【0065】
図5は、代替軌道ETRの第4例を概略的に示す。この例では、トレーニングされた軌道TRに隣り合って2つの障害物Oが存在し、当該2つの障害物Oは固定された障害物でもありうるし可動性の障害物でもありうる。トレーニングされた軌道TRは強く湾曲するセクションTAを有し、当該強く湾曲するセクションTAは、180°の曲げを描写し、90°の曲げを描写する部分が続き、その曲率は最大許容曲率を超えない。図3及び図4を参照して上述したような代替軌道ETRは、これが障害物Oのうちの1つとの衝突を招く可能性があるため、可能ではない。これは軌道X1,X2で示される。したがって、代替軌道ETRは以下のように特定される。ここでの代替開始ポイントEAは、強く湾曲するセクションTAの開始ポイントAに対応する。第1代替セクションETA1が、強く湾曲するセクションTAの外側で第1反転ポイントU1まで延びる。これには、第2反転ポイントU2までの進行方向変更セクションRWTAが続く。トレーニングされた軌道TRは第2代替セクションETA2で横断され、その結果、第2代替セクションETA2は強く湾曲するセクションTAの外側で部分的に延び且つ内側で部分的に延びる。
【0066】
この例は、説明した概念を用いて、特に負の曲率の部分NTA1、NTA2(図4参照)を用いて且つ進行方向変更セクションRWTAを用いて、代替軌道ETRが所望のように生成又は構築されることができることを示す。そのため、代替軌道ETRを見つける際に、非常に大きいレベルの適応性が可能になる。そのため、また、新たな障害物O及び/又は可動性の障害物Oなどの場合におけるような状況変化において、代替軌道ETRをうまく特定することができる。特に、トレーニングされた軌道TRに対する最大許容オフセットDT(図2又は図3参照)を超えないことが保証される(図示せず)。
【0067】
図6は、曲率円KR1、KR2を有する軌道TRを概略的に示す。曲率円KRは曲率半径R1を有し、曲率円KR2は曲率半径R2を有する。曲率円KR1、KR2は、接触円としても言及されることができる。軌道TRの曲率は、曲率円KR1で描写されるその部分において、曲率円KR2で描写されるセクションにおける軌道TRの曲率に比べ、負である。
【0068】
代替軌道ETR(図2図5参照)は、それがトレーニングされた軌道TR上の対応する曲率円KR1、KR2を横切る場合、すなわち曲率円KR1、KR2内に延びる場合、強く湾曲するセクションTA(図2図5参照)内に延びるものとして言及される。
【0069】
図7は、駐車支援システム110(図1又は図8参照)によって車両100(図1図5参照)を運転するための方法の例示的な実施形態の概略ブロック図を示す。駐車支援システム110は、追従モードにおいて、車両100をトレーニングされた軌道TR(図2図6参照)に沿って走行させるように構成される。車両100は、好ましくは、車両100の環境200(図1参照)を取得するための及び対応するセンサー信号を駐車支援システム110に出力するための複数の環境センサー120、130(図1参照)を含む。そして、駐車支援システム100は、好ましくは、受信したセンサー信号に基づいて、自動駐車又は追従運転を実行するように構成される。
【0070】
第1ステップS1において、その方法はトレーニングされた軌道TRを受け取ることを含み、トレーニングモードにおいて、手動でナビゲートされる軌道がトレーニングされた軌道TRとして記録される。車両100のユーザによって、例えば対応する入力によって、起動されるトレーニングモードにおいて、駐車支援システム110は、例えば、環境200における車両100の位置、車両100に対する物体又は障害物O(図6参照)の配置、及び車両100に関するオドメトリデータを、連続的に記録する。特に、オドメトリデータは、現在のステアリング角、アクセルペダル位置、ブレーキペダル位置を含む。トレーニングされた軌道TRは、少なくとも1つの強く湾曲するセクションTA(図2図5参照)を含み、当該少なくとも1つの強く湾曲するセクションTAの曲率半径R1、R2(図6参照)は、追従モードで予め定められた最大許容ステアリングロックで車両100が実現可能な半径より小さい。
【0071】
第2ステップS2において、トレーニングされた軌道TRにおける強く湾曲するセクションTAの開始ポイントA(図2図5参照)及び終了ポイントE(図2図5参照)が定められる。これは、センサーに基づく軌道の記録又は取得の間に既に行われうるものであり、或いは、トレーニングされた軌道TRが追従のために選択又は起動された場合にのみ既に行われるものである。
【0072】
第3ステップS3において、代替開始ポイントEA(図2図5参照)と代替終了ポイントEE(図2図5参照)とを結ぶ代替軌道ETR(図2図5参照)が特定され、代替開始ポイントEA及び代替終了ポイントEPは各々トレーニングされた軌道TR上にあり、強く湾曲するセクションTAは、代替開始ポイントEAと代替終了ポイントEEとの間にある。加えて、代替軌道ETRの最大曲率は、追従モードにおいて予め定められる最大許容ステアリングロックで実現できる又はより小さなステアリングロックで実現できる曲率半径R1、R2を有する。したがって、このようにして特定される代替軌道ETRは、追従モードにおいて簡単に辿られることができる。
【0073】
図8は、駐車支援システム110の例の概略的なブロック図を示す。駐車支援システム110は、例えば、自動車又はトラックなどの車両100(図1参照)に設置される。駐車支援システム110は、トレーニングモード中に手動でナビゲートされた軌道であるトレーニングされた軌道TR(図2図6参照)を受信するための演算ユニット111を備え、トレーニングされた軌道TRは、少なくとも1つの強く湾曲するセクションTA(図2図5参照)を含み、当該少なくとも1つの強く湾曲するセクションTAの曲率半径R1、R2(図6参照)は、追従モードにおいて予め定められる最大許容ステアリングロックを有する車両100で達成可能なものよりも小さい。さらに、トレーニングされた軌道TRにおける強く湾曲するセクションTAの開始ポイントA(図2図5参照)及び終了ポイントE(図2図5参照)を決定するための決定ユニット112と、代替軌道ETR(図2図5参照)を特定するための特定ユニット113と、が設けられる。特定される代替軌道ETRは、代替開始ポイントEA(図2図5参照)を代替終了ポイントEE(図2図5参照)に接続し、それらは各々トレーニングされた軌道TR上に存在し、代替開始ポイントEAと代替終了ポイントEEとの間に強く湾曲するセクションTAが存在する。代替軌道ETRの最大曲率は、追従モードで予め定められた最大許容ステアリングロックとともに実現可能な曲率半径R1、R2(図6参照)を有する。
【0074】
それぞれのユニット、例えば演算ユニット111、決定ユニット112及び/又は特定ユニット113、並びに駐車支援システム110は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態で実装することができる。ハードウェアの形態での実装の場合、そのユニットは、例えば、コンピュータ又はマイクロプロセッサの形態であってよい。ソフトウェアの形態での実装の場合、そのユニットは、コンピュータプログラムプロダクト、関数、ルーチン、プログラムコードの一部、又は実行可能なオブジェクト形態であってもよい。
【0075】
駐車支援システム110はまた、好ましくは、環境センサー120、130に対する、図示しないインターフェイスを有し、当該環境センサー120、130は車両100において及び/又は環境200において配置され、当該環境センサー120、130を介して駐車支援システム110は、駐車支援システム110が車両100の位置及び/又は場所を正確に推定することを可能にするセンサー信号を受け取り、それに基づいて駐車支援システム110は車両100を制御する。また特定ユニット113は、好ましくは、代替軌道ETRを特定する際に、受信した環境センサー信号を考慮するように構成される。
【0076】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて説明されているが、それは多くのやり方で変更されてもよい。
【0077】
参照符号のリスト
100 車両
110 駐車支援システム
111 演算ユニット
112 決定ユニット
113 特定ユニット
120 光学センサー
130 超音波センサー
A 開始ポイント
AP 開始位置
DIR 進行方向
DT 距離
E 終了ポイント
EA 代替開始ポイント
EE 代替終了ポイント
EP 終了位置
ETA1 代替部
ETA2 代替部
ETR 代替軌道
KR1 曲率円
KR2 曲率円
NTA1 開始部分
NTA2 終了部分
O 障害物
PP 駐車位置
R1 曲率半径
R2 曲率半径
RWT 進行方向変更セクション
S1 方法ステップ
S2 方法ステップ
S3 方法ステップ
TA 強く湾曲するセクション
TR トレーニングされた軌道
U1 反転ポイント
U2 反転ポイント
W1 転向ポイント
W2 転向ポイント
X1 衝突軌道
X2 衝突軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8