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特許7381777調光機構、自動車ランプモジュール、自動車ランプ及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】調光機構、自動車ランプモジュール、自動車ランプ及び車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/657 20180101AFI20231108BHJP
   B60Q 1/068 20060101ALI20231108BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20231108BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20231108BHJP
【FI】
F21S41/657
B60Q1/068
F21W102:13
F21W102:155
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572407
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 CN2021078234
(87)【国際公開番号】W WO2022178855
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】金 朗▲潤▼
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04884174(US,A)
【文献】特開2011-060730(JP,A)
【文献】実開昭63-178004(JP,U)
【文献】特開2002-193024(JP,A)
【文献】特開2001-151011(JP,A)
【文献】特開2010-176859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/657
B60Q 1/068
F21W 102/13
F21W 102/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ユニット(2)を調光する調光機構であって、第1ボール接続部材(1a)、第2ボール接続部材(1b)、第3ボール接続部材(1c)及び摺動接続部材(6)を備え、
前記第1ボール接続部材(1a)及び第2ボール接続部材(1b)は一端が前記照明ユニット(2)に接続され、他端が支持フレーム又はランプ本体に接続され、
前記照明ユニット(2)に摺動ブラケット(4)が設けられ、前記摺動接続部材(6)は前記摺動ブラケット(4)に摺動可能に接続され、前記第3ボール接続部材(1c)は一端が前記摺動接続部材(6)に摺動可能に接続され、他端が前記支持フレーム又はランプ本体に支持され、前記第3ボール接続部材(1c)は前記支持フレーム又はランプ本体に対して移動可能であり、それにより前記摺動接続部材(6)を駆動して運動させ、さらに前記摺動接続部材(6)によって前記摺動ブラケット(4)及びそれに接続される前記照明ユニット(2)を駆動して回動させることができ、それにより第1方向における調光を実現することを特徴とする調光機構。
【請求項2】
前記摺動接続部材(6)は異なる方向に設けられる第1摺動溝(61)及び第2摺動溝(62)を備え、前記摺動ブラケット(4)は前記第1摺動溝(61)内に取り付けられ、前記第1摺動溝(61)に対して摺動可能であり、前記第3ボール接続部材(1c)のボールは前記第2摺動溝(62)内に取り付けられ、前記第2摺動溝(62)内を摺動可能であることを特徴とする請求項1に記載の調光機構。
【請求項3】
前記第1摺動溝(61)の摺動トラックと前記第2摺動溝(62)の摺動トラックは同一平面上にないことを特徴とする請求項2に記載の調光機構。
【請求項4】
前記摺動ブラケット(4)は摺動支持板(41)及び補強リブ(42)を備え、前記第1摺動溝(61)に第1ノッチ(611)があり、前記摺動接続部材(6)は前記摺動ブラケット(4)に取り付けられ、それにより前記摺動支持板(41)は前記第1摺動溝(61)内を摺動可能であり、前記補強リブ(42)は前記第1ノッチ(611)内に位置することを特徴とする請求項2又は3に記載の調光機構。
【請求項5】
前記第1摺動溝(61)の前記第1ノッチ(611)と対向する側の内壁に弾性支持構造(612)が設けられ、前記弾性支持構造(612)は前記摺動支持板(41)に弾性接触することを特徴とする請求項4に記載の調光機構。
【請求項6】
前記第1ボール接続部材(1a)及び第2ボール接続部材(1b)はいずれもボール頭ねじアセンブリであり、前記ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備え、前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に接続され、前記ボールナットは前記照明ユニット(2)に接続され、前記第2ボール接続部材(1b)の前記ボールナットは前記照明ユニット(2)に接続され、前記第2ボール接続部材(1b)の前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に支持され、前記支持フレーム又はランプ本体に対して移動可能であり、それにより前記照明ユニット(2)を駆動して回動させることで第2方向における調光を実現でき、前記第3ボール接続部材(1c)はボール調節ねじであり、前記ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備え、前記摺動接続部材(6)は第1摺動溝(61)及び第2摺動溝(62)を備え、前記第2摺動溝(62)に第2ノッチ(621)があり、前記ねじボールは前記第2摺動溝(62)内に取り付けられ、それにより前記ねじボールは前記第2摺動溝(62)内を摺動可能であり、前記調節ねじは前記第2ノッチ(621)内を通過する、又は
前記第1ボール接続部材(1a)及び第2ボール接続部材(1b)はいずれもボール頭ねじアセンブリであり、前記ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備え、前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に固定され、前記ボールナットは前記照明ユニット(2)に固定され、前記第3ボール接続部材(1c)はボール調節ねじであり、前記ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備え、前記摺動接続部材(6)は第1摺動溝(61)及び第2摺動溝(62)を備え、前記第2摺動溝(62)に第2ノッチ(621)があり、前記ねじボールは前記第2摺動溝(62)内に取り付けられ、それにより前記ねじボールは前記第2摺動溝(62)内を摺動可能であり、前記調節ねじは前記第2ノッチ(621)内を通過することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の調光機構。
【請求項7】
前記第1方向は上下方向、前記第2方向は左右方向であり、前記第1ボール接続部材(1a)のボールの球心と前記第2ボール接続部材(1b)のボールの球心とを結ぶ線は前記第2方向に延びており、前記摺動ブラケット(4)上での前記摺動接続部材(6)の摺動方向及び前記摺動接続部材(6)に対する前記第3ボール接続部材(1c)の摺動方向はいずれも前記第1ボール接続部材(1a)のボールの球心と前記第2ボール接続部材(1b)のボールの球心とを結ぶ線の外にあることを特徴とする請求項6に記載の調光機構。
【請求項8】
前記摺動ブラケット(4)は前後方向の垂直平面内で水平面に対して傾斜して設けられ、前記第1ボール接続部材(1a)のボールの球心、前記第2ボール接続部材(1b)のボールの球心及び前記第3ボール接続部材(1c)のボールの球心は同一水平面上にあることを特徴とする請求項7に記載の調光機構。
【請求項9】
自動車ランプモジュールであって、請求項1~のいずれか1項に記載の調光機構及び前記照明ユニット(2)を備えることを特徴とする自動車ランプモジュール。
【請求項10】
前記照明ユニット(2)は放熱部材を備え、前記摺動ブラケット(4)は前記放熱部材に一体的に形成されることを特徴とする請求項に記載の自動車ランプモジュール。
【請求項11】
請求項又は10に記載の自動車ランプモジュールを備えることを特徴とする自動車ランプ。
【請求項12】
請求項11に記載の自動車ランプを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車ランプ部材に関し、具体的には、調光機構に関する。また、本発明はさらに自動車ランプモジュール、自動車ランプ及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ランプ、特にヘッドライトは、使用前又は取り付け中にその照射パターンを標準位置に調光校正する必要がある。従って、照明ユニットの照射パターンを上下又は左右方向に調整でき、設計された標準位置に照射して標準照射パターン(本明細書に記載の照射パターンは標準スクリーンに照射される照射パターンであり、ヘッドライトロービーム又はハイビームの場合、標準スクリーンは自動車ランプモジュールの前方25mに設けられる垂直スクリーンである)を形成するように、自動車ランプモジュールに調光機構を設ける必要がある。図1図3に示すように、Pは照射パターンの標準位置、P、P、P、Pは、自動車ランプモジュールにより初期形成される、位置がずれた照射パターンであり、Pに示す照射パターンを下へ調光する必要があり、Pに示す照射パターンを上へ調光する必要があり、Pに示す照射パターンを右へ調光する必要があり、Pに示す照射パターンを左へ調光する必要があり、それにより標準位置に位置する照射パターンPを得る。
【0003】
従来の調光機構は通常、3つのボール頭ねじアセンブリを用いて調光を行う。ボール頭ねじアセンブリのねじはねじ山が設けられ、ねじ山を介して支持フレーム又はランプ本体に接続され、ねじの前端にボールが設けられ、ボールは照明ユニットに固定されるボールナットに可動に接続され、ボール頭ねじアセンブリのねじを回転させると、照明ユニットを駆動して支持フレーム又はランプ本体に対して移動させることができる。通常、3つのボール頭ねじアセンブリのうち、1つは支持フレーム又はランプ本体に対して固定する固定ボール頭ねじアセンブリであり、残りの2つは支持フレーム又はランプ本体に対して前後運動可能である調整可能ボール頭ねじアセンブリである。2つの調整可能ボール頭ねじアセンブリのうち、一方は固定ボール頭ねじアセンブリの下方に設けられ、該調整可能ボール頭ねじアセンブリのねじを回動させて、照明ユニットを支持フレーム又はランプ本体に対して水平軸の周りに上下回動させることで、上下方向における調光を実現し、他方は固定ボール頭ねじアセンブリの左側又は右側に設けられ、該調整可能ボール頭ねじアセンブリのねじを回動させて、照明ユニットを支持フレーム又はランプ本体に対して垂直軸の周りに左右回動させることで、左右方向における調光を実現する。
【0004】
従来の調光機構は、上下及び左右方向における調光を実現できるが、少なくとも以下の2つの欠陥がある。第1に、上下及び左右調光を実現するために、固定ボール頭ねじアセンブリの側方及び下方の両方に調整可能ボール頭ねじアセンブリを設ける必要があり、ボールナットの寸法は通常大きく、その結果、調光機構全体の上下方向及び左右方向での寸法は大きく、現在の自動車ランプモジュールの扁平化の傾向及びますます小さくなる自動車ランプモジュールの配置空間の要件を満たすことができず、第2に、自動車ランプモジュールの上下方向又は左右方向での寸法が小さいと、上下方向又は左右方向の2つのボール頭ねじアセンブリ間の距離が短くなり、ボール頭ねじアセンブリのねじを調整する時に形成される調整力のアームが短くなり、ボール頭ねじアセンブリの調整力を調整する要件を高め、また、調整可能ボール頭ねじアセンブリの移動距離が同じであっても、形成される照明ユニットの回動角度は大きく、調光精度を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、占有空間が小さく、調光精度が高く、製造が容易である調光機構を提供することである。
【0006】
本発明がさらに解決しようとする技術的問題は、調光機構の構造が簡単で、占有空間が小さく、調光精度が高い自動車ランプモジュールを提供することである。
【0007】
本発明がまたさらに解決しようとする技術的問題は、調光機構の占有空間が小さく、調光精度が高い自動車ランプを提供することである。
【0008】
本発明がまたさらに解決しようとする技術的問題は、自動車ランプの体積が小さく、照射パターン測位精度が高い車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的問題を解決するために、本発明の第1態様は、照明ユニットを調光する調光機構であって、第1ボール接続部材、第2ボール接続部材、第3ボール接続部材及び摺動接続部材を備え、前記第1ボール接続部材及び第2ボール接続部材は一端が前記照明ユニットに接続され、他端が支持フレーム又はランプ本体に接続され、前記照明ユニットに摺動ブラケットが設けられ、前記摺動接続部材は前記摺動ブラケットに摺動可能に接続され、前記第3ボール接続部材は一端が前記摺動接続部材に摺動可能に接続され、他端が前記支持フレーム又はランプ本体に支持され、前記第3ボール接続部材は前記支持フレーム又はランプ本体に対して移動可能であり、それにより前記摺動接続部材を駆動して運動させ、さらに前記摺動接続部材によって前記摺動ブラケット及びそれに接続される前記照明ユニットを駆動して回動させることができ、それにより第1方向における調光を実現する調光機構を提供する。
【0010】
好ましくは、前記摺動接続部材は異なる方向に設けられる第1摺動溝及び第2摺動溝を備え、前記摺動ブラケットは前記第1摺動溝内に取り付けられ、前記第1摺動溝に対して摺動可能であり、前記第3ボール接続部材のボールは前記第2摺動溝内に取り付けられ、前記第2摺動溝内を摺動可能である。この好ましい技術案では、摺動ブラケットと第1摺動溝との摺動及び第3ボール接続部材のボールと第2摺動溝との摺動によって、第3ボール接続部材の移動をよりよく照明ユニットに伝達し、照明ユニットの調光を実現する。
【0011】
さらに好ましくは、前記第1摺動溝の摺動トラックと前記第2摺動溝の摺動トラックは同一平面上にない。この好ましい技術案によって、第3ボール接続部材の移動をよりよく摺動接続部材の回動に変換でき、さらに照明ユニットの回動を駆動する。
【0012】
好ましくは、前記摺動ブラケットは摺動支持板及び補強リブを備え、前記第1摺動溝に第1ノッチがあり、前記摺動接続部材は前記摺動ブラケットに取り付けられ、それにより前記摺動支持板は前記第1摺動溝内を摺動可能であり、前記補強リブは前記第1ノッチ内に位置する。この好ましい技術案では、摺動支持板と摺動溝との嵌合精度はさらに高く、補強リブが設けられることで、摺動支持板の機械的強度を向上させることができ、第1ノッチが設けられることで、摺動溝の構造を簡素化できるとともに、第1ノッチと補強リブとの嵌合によって摺動ブラケットと摺動接続部材との嵌合精度をさらに高める。
【0013】
さらに好ましくは、前記第1摺動溝の前記第1ノッチと対向する側の内壁に弾性支持構造が設けられ、前記弾性支持構造は前記摺動支持板に弾性接触する。この好ましい技術案によって、弾性支持構造の弾力作用で、摺動接続部材と摺動ブラケットが密着して接触し、摺動接続部材と摺動ブラケットとの嵌合隙間を小さくし、嵌合精度を向上させる。
【0014】
好ましくは、前記第1ボール接続部材及び前記第2ボール接続部材はいずれもボール頭ねじアセンブリであり、前記ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備え、前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に接続され、前記ボールナットは前記照明ユニットに接続され、前記第2ボール接続部材の前記ボールナットは前記照明ユニットに接続され、前記第2ボール接続部材の前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に支持され、前記支持フレーム又はランプ本体に対して移動可能であり、それにより前記照明ユニットを駆動して回動させることで第2方向における調光を実現でき、前記第3ボール接続部材はボール調節ねじであり、前記ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備え、前記摺動接続部材は第1摺動溝及び第2摺動溝を備え、前記第2摺動溝に第2ノッチがあり、前記ねじボールは前記第2摺動溝内に取り付けられ、それにより前記ねじボールは前記第2摺動溝内を摺動可能であり、前記調節ねじは前記第2ノッチ内を通過する。この好ましい技術案によって、ねじボールと第2摺動溝との精密嵌合を形成できるとともに、調節ねじは第2ノッチ内を摺動接続部材に対して移動可能であり、第3ボール接続部材と摺動接続部材との接続の可動性を向上させる。
【0015】
好ましくは、前記第1方向は上下方向、前記第2方向は左右方向であり、前記第1ボール接続部材のボールの球心と前記第2ボール接続部材のボールの球心とを結ぶ線は前記第2方向に延びており、前記摺動接続部材の前記摺動ブラケット上での摺動方向及び前記摺動接続部材に対する前記第3ボール接続部材の摺動方向はいずれも前記第2方向ではない。この好ましい技術案では、上下方向及び左右方向にそれぞれ調光を行い、調光が容易である。摺動ブラケット及び第3ボール接続部材に対する摺動接続部材の摺動方向は第2方向とは異なり、第1方向における調光を容易に実現できる。
【0016】
さらに好ましくは、前記摺動ブラケットは前後方向の垂直平面内で水平面に対して傾斜して設けられ、前記第1ボール接続部材のボールの球心、前記第2ボール接続部材のボールの球心及び前記第3ボール接続部材のボールの球心は同一水平面上にある。この好ましい技術案によって、第1ボール接続部材、第2ボール接続部材及び第3ボール接続部材が同一水平平面内に設けられることで、調光機構の扁平化に有利である。摺動ブラケットが前後方向に傾斜して設けられることで、上下方向における調光を容易に実現できる。
【0017】
好ましくは、前記第1ボール接続部材及び第2ボール接続部材はいずれもボール頭ねじアセンブリであり、前記ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備え、前記ボール頭ねじは前記支持フレーム又はランプ本体に固定され、前記ボールナットは前記照明ユニットに固定され、前記第3ボール接続部材はボール調節ねじであり、前記ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備え、前記摺動接続部材は第1摺動溝及び第2摺動溝を備え、前記第2摺動溝に第2ノッチがあり、前記ねじボールは前記第2摺動溝内に取り付けられ、それにより前記ねじボールは前記第2摺動溝内を摺動可能であり、前記調節ねじは前記第2ノッチ内を通過する。この好ましい技術案では、第1ボール接続部材及び第2ボール接続部材のボール頭ねじはいずれも支持フレーム又はランプ本体に固定されるため、第1ボール接続部材と第2ボール接続部材のボールの球心を結ぶ線方向における調光が不能であるが、接続構造が簡単で、作製コストも低い。第3ボール接続部材のねじボールと第2摺動溝との精密嵌合を形成できるとともに、調節ねじは第2ノッチ内を摺動接続部材に対して移動可能であり、第3ボール接続部材と摺動接続部材との接続の可動性を向上させる。
【0018】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様に係る調光機構及び前記照明ユニットを備える自動車ランプモジュールを提供する。
【0019】
好ましくは、前記照明ユニットは放熱部材を備え、前記摺動ブラケットは前記放熱部材に一体的に形成される。この好ましい技術案では、摺動ブラケットが放熱部材と一体成形して設けられることで、調光機構の構造を簡素化し、照明ユニットの調光が容易になる。
【0020】
本発明の第3態様は、本発明の第2態様に係る自動車ランプモジュールを備える自動車ランプを提供する。
【0021】
本発明の第4態様は、本発明の第3態様に係る自動車ランプを備える車両を提供する。
【0022】
上記技術案によれば、本発明における調光機構は、摺動接続部材によって第3ボール接続部材の前後運動を照明ユニットの回動に変換して、第1方向における調光を実現する。該調光機構は第3ボール接続部材を第1方向に第1ボール接続部材の一側に設ける必要がないため、照明ユニットの第1方向の寸法を小さくすることができ、第1方向における照明ユニットの小型化及び扁平化を容易に実現できる。摺動接続部材によって第3ボール接続部材と照明ユニットとの間の運動変換を実現することで、第3ボール接続部材の運動方向と、第1ボール接続部材と第2ボール接続部材ボールの球心を結ぶ線との距離を大きくすることができ、それにより第3ボール接続部材の調光トルク及び調光精度を高める。照明ユニットに設けられる摺動ブラケットの構造が簡単であり、照明ユニットの製造が容易になる。支持フレーム又はランプ本体に対する第2ボール接続部材のボール頭ねじの移動によって照明ユニットを駆動して回動させることができ、それにより第2方向における調光を実現し、本発明の自動車ランプモジュールは、構造が簡単で、占有空間が小さく、調光精度もより高い。本発明の自動車ランプ及び車両も上記利点を持つ。
【0023】
本発明のほかの利点及び好ましい実施形態の技術効果について、以下の具体的な実施形態ではさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】標準位置に位置する照射パターン図である。
図2】照射パターンの上下方向調整の模式図である。
図3】照射パターンの左右方向調整の模式図である。
図4】本発明の調光機構の一実施例の構造模式図である。
図5】本発明の調光機構の一実施例の構造模式図(ボール頭ねじを含まない)である。
図6図5の背面図である。
図7図5の分解図である。
図8】本発明の調光機構の一実施例における摺動接続部材と摺動ブラケットとの嵌合状態の構造模式図である。
図9図8の下面図である。
図10図8の背面図である。
図11図10のA-A方向断面図である。
図12図8の側面図である。
図13図8の上面図である。
図14図13のB-B方向断面図である。
図15】本発明の調光機構の一実施例における摺動接続部材の構造模式図である。
図16図15の別の角度からの斜視図である。
図17図15のさらに別の角度からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明では、反対の説明をしない限り、使用される方位語、例えば「前、後、上、下、左、右」で指示される方位又は位置関係は本発明に基づく自動車ランプを車両に正常に取り付けた後の方位又は位置関係である。方位語「前」で指示される方向は車両の正常な走行方向である。本発明における調光機構、自動車ランプモジュール及びその部品の方位又は位置関係についての説明はその実際の使用中の取り付け方位に一致する。なお、方位語は単に本発明の説明の便宜上及び簡素化のために使用され、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0026】
用語「第1」、「第2」、「第3」は単に説明の目的に用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示したり指示される技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものではないと理解すべきであり、従って、「第1」、「第2」、「第3」で限定される特徴は1つ又は複数の前記特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。
【0027】
なお、本発明の説明では、特に明確な規定や限定がない限り、用語「接続」、「連結」は広義に理解すべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接的接続であってもよく、2つの素子の内部が連通すること又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、場合によって本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明するが、理解できるように、ここで説明される具体的な実施形態は単に本発明を説明及び解釈するためのものであり、本発明の保護範囲は以下の具体的な実施形態に限定されない。
【0029】
本発明における調光機構は照明ユニット2と支持フレーム又はランプ本体との間に取り付けられ、照明ユニット2を調光する機構である。
【0030】
本発明の調光機構の一実施例では、図4図7に示すように、第1ボール接続部材1a、第2ボール接続部材1b、第3ボール接続部材1c及び摺動接続部材6を備える。第1ボール接続部材1aは一端が照明ユニット2に接続され、他端が支持フレーム又はランプ本体に接続される。第1ボール接続部材1aは回動構造を有し、それにより照明ユニット2は該回動構造の周りに支持フレーム又はランプ本体に対して回動可能である。第1ボール接続部材1aでの支持フレーム又はランプ本体の接続位置は相対的に固定してもよく、つまり、照明ユニット2と支持フレーム又はランプ本体との間の第1ボール接続部材1aの長さを調節できない。
【0031】
第2ボール接続部材1bは一端が照明ユニット2に接続され、他端が支持フレーム又はランプ本体に接続される。第2ボール接続部材1bも回動構造を有し、それにより照明ユニット2は該回動構造の周りに支持フレーム又はランプ本体に対して回動可能である。第2ボール接続部材1bと支持フレーム又はランプ本体とは固定して接続されてもよく、それにより照明ユニット2と支持フレーム又はランプ本体との間の第2ボール接続部材1bの長さは変わらず、第2ボール接続部材1bと支持フレーム又はランプ本体とは、ねじ山構造のような調節構造を介して接続されてもよく、それにより第2ボール接続部材1bでの支持フレーム又はランプ本体の接続位置は移動可能である。このように、第2ボール接続部材1bを調節すると、照明ユニット2を駆動して支持フレーム又はランプ本体に対して第2方向に回動させることができ、それにより第2方向における調光を実現する。
【0032】
照明ユニット2に摺動ブラケット4が設けられ、摺動接続部材6は摺動ブラケット4に取り付けられ、摺動ブラケット4に対して摺動可能である。第3ボール接続部材1cは一端が摺動接続部材6に摺動可能に接続され、他端が支持フレーム又はランプ本体に支持される。第3ボール接続部材1cと支持フレーム又はランプ本体とは、ねじ山構造のような調節構造を介して接続されてもよく、それにより第3ボール接続部材1cでの支持フレーム又はランプ本体の接続位置は移動可能であり、このように、第3ボール接続部材1cを調節すると、摺動接続部材6を駆動して運動させることができ、該運動は摺動ブラケット4に対する摺動接続部材6の摺動であってもよく、さらに第3ボール接続部材1cに対する摺動接続部材6の回動を含んでもよい。摺動接続部材6は運動して、摺動ブラケット4及び摺動ブラケット4に接続される照明ユニット2を駆動して第1方向に回動させ、それにより第1方向における調光を実現する。
【0033】
なお、本明細書に記載の第1方向とは、第3ボール接続部材1cを調節することによって引き起こされる照明ユニット2の回動方向であり、具体的な方向は調光機構の構造により決められ、上下方向であってもよく、左右方向であってもよく、ほかの任意の方向であってもよい。
【0034】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、図4図17に示すように、摺動接続部材6は第1摺動溝61及び第2摺動溝62を備え、第1摺動溝61と第2摺動溝62の延び方向は異なり、いずれも前後方向の成分を有してもよい。第1摺動溝61の形状は摺動ブラケット4に適応し、それにより摺動接続部材6は第1摺動溝61を介して摺動ブラケット4に取り付られ得、且つ、摺動接続部材6は摺動ブラケット4上を摺動可能である。第2摺動溝62の内面は第3ボール接続部材1cのボールの輪郭線が設定方向に沿ってスイープしてなる形状であり、該設定方向は直線であってもよく、弧線であってもよい。第2摺動溝62が設けられることで、調光時に第3ボール接続部材1cのボールが受ける応力を小さくすることもできる。第3ボール接続部材1cはそのボールと第2摺動溝62との嵌合によって第2摺動溝62内に取り付けられ得、第2摺動溝62内を第2摺動溝62の延び方向に摺動可能である。また、第3ボール接続部材1cのボールはさらに第2摺動溝62内を回動可能である。第3ボール接続部材1cを調節する時、第3ボール接続部材1cは固定方向に運動し、第3ボール接続部材1cのボールと第2摺動溝62との嵌合によって摺動接続部材6の移動及び回動を駆動し、摺動接続部材6の移動及び回動はさらに第1摺動溝61と摺動ブラケット4との嵌合によって照明ユニット2の回動を駆動でき、それにより第1方向における照明ユニット2の調光を実現する。通常、第1摺動溝61と摺動ブラケット4との嵌合構造の横断面において、摺動接続部材6と摺動ブラケット4は第1方向に密着して嵌合され、第1方向に垂直な方向において嵌合隙間を有し、それにより第1方向における調光精度を確保するとともに、摺動接続部材6の可動性を向上させ、調光時に第3ボール接続部材1cのボールが受ける応力を小さくする。
【0035】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、図4図17に示すように、摺動接続部材6における第1摺動溝61の摺動トラックと第2摺動溝62の摺動トラックとは同一平面上になく、それにより第3ボール接続部材1cは支持フレーム又はランプ本体に対して移動する時、摺動接続部材6の回転を駆動しやすくなる。
【0036】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、図4図17に示すように、摺動ブラケット4は、摺動支持板41と、摺動支持板41の一側に設けられる補強リブ42とを備える。補強リブ42が設けられることで、摺動ブラケット4の重量をわずかに増加させるだけで摺動ブラケット4の機械的強度を効果的に向上させることができる。通常、補強リブ42が摺動支持板41の下側に設けられ、摺動支持板41の長さ方向、つまり、前後方向に設けられる。これに対応して、第1摺動溝61の一側に第1ノッチ611がある。摺動接続部材6が摺動ブラケット4に取り付けられている時、補強リブ42は第1ノッチ611内に位置し、それにより摺動接続部材6と摺動ブラケット4との嵌合精度を向上させ、摺動接続部材6が摺動ブラケット4上を摺動する安定性を向上させる。
【0037】
本発明における調光機構の具体的な実施形態として、図8図17に示すように、第1摺動溝61の第1ノッチ611と対向する側の内壁に弾性支持構造612が設けられる。弾性支持構造612は一側が第1摺動溝61の内壁に固定される弾性構造であり、摺動接続部材6が摺動ブラケット4に取り付けられている時、弾性支持構造612は圧力を受けて第1摺動溝61の内壁への変形が生じ、形成される反作用力が摺動ブラケット4に作用でき、それにより摺動ブラケット4の弾性支持構造612から離れた面は第1摺動溝61の内壁に密着し、摺動接続部材6が摺動ブラケット4上を摺動する安定性を向上させる。弾性支持構造612は、第1摺動溝61の摺動トラックの方向に延びる、ペアをなす弧状弾性シートとして設けられてもよい。具体的には、弾性支持構造612は一側が第1摺動溝61の内壁に固定され、他側が第1摺動溝61内にぶら下がり、弾性支持構造612の中部は湾曲して弾性を有する曲面構造を形成する。摺動支持板41が第1摺動溝61内に挿入されると、弾性支持構造612の中部の曲面構造は弾力の作用で摺動支持板41に押圧され、それにより摺動支持板41は一方の面が弾性支持構造612に弾性接触し、他方の面が第1摺動溝61の内壁に密着し、摺動接続部材6と摺動ブラケット4との接続の安定性を向上させるとともに、摺動ブラケット4上での摺動接続部材6の自由摺動を妨げることがない。
【0038】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、図4に示すように、第1ボール接続部材1a及び第2ボール接続部材1bはいずれもボール頭ねじアセンブリであり、ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備え、ボール頭ねじはボールナットに接続され、且つ、ボール頭ねじのボールはボール頭ナット内を回動可能である。ボール頭ねじは支持フレーム又はランプ本体に接続され、ボールナットは照明ユニット2に接続され、それにより照明ユニット2は支持フレーム又はランプ本体に対して回動可能である。第2ボール接続部材1bのボール頭ねじは支持フレーム又はランプ本体に設けられるねじ穴に螺合接続され、第2ボール接続部材1bのボール頭ねじを調節する時、第2ボール接続部材1bのボール頭ねじは支持フレーム又はランプ本体に対して移動可能であり、照明ユニット2を駆動して、第1ボール接続部材1aのボールの球心を中心として第2方向に回動させる。このように、第2ボール接続部材1bのボール頭ねじを調整すると、第2方向における照明ユニット2の回動角度を調整し、第2方向における調光を形成することができる。同様に、第2方向とは、第2ボール接続部材1bを調節することによって引き起こされる照明ユニット2の回動方向であり、具体的な方向は調光機構の構造により決められる。第2方向は、第1方向と所定の夾角をなし、同一直線上にない方向であり、上下方向であってもよく、左右方向であってもよく、ほかの任意の方向であってもよい。
【0039】
第3ボール接続部材1cはボール調節ねじであり、ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備える。第2摺動溝62の一側に第2ノッチ621がある。調節ねじボールは第2摺動溝62内に取り付けられ、第3ボール接続部材1cの調節ねじは第2ノッチ621から出て、それによりねじボールは第2摺動溝62内を摺動可能であり、且つ、第3ボール接続部材1cと摺動接続部材6とは相対回動可能である。調節ねじを調整すると、第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線の外で摺動接続部材6に推進力を形成でき、それにより摺動接続部材6の平行移動及び回転運動を発生させ、さらに第1方向における照明ユニット2の回転角度を調整し、第1方向における調光を形成する。
【0040】
なお、本実施例では、第2ボール接続部材1bのボール頭ねじを調節して第2方向における調光を行う時、照明ユニット2に設けられる摺動ブラケット4も第2方向にその分回転し、摺動接続部材6を駆動して摺動ブラケット4に追従して運動させる。第3ボール接続部材1cのねじボールが第2摺動溝62に取り付けられ、第2摺動溝62との間に応力を形成し、摺動接続部材6を駆動して摺動ブラケット4上を摺動させ、第1方向における照明ユニット2のわずかな偏向を形成する。第2摺動溝62の延び方向、即ち上記設定方向を合理的に設定し、例えば、第2摺動溝62の延び方向を、第2方向における調光を行う時に第3ボール接続部材1cのねじボールが応力を受けない場合の摺動接続部材6に対する運動トラックと同じ方向に設定することで、第2方向における調光によって第3ボール接続部材1cに形成される応力を回避できる。しかし、実際の製造過程では、該延び方向を確保することは困難であり、製造プロセスも非常に複雑であり。通常、第1方向が上下方向、第2方向が左右方向である場合、第2摺動溝62の延び方向を、左後から右前への直線方向、又は左後上から右前下への直線方向に設定でき、このように、製造プロセスを簡素化でき、第2方向における調光を行う時に第1方向における照明照射パターンのずれを引き起こすにもかかわらず、第2方向における調光を行ってから第1方向における調光を行う方法によってこの影響を軽減させることができる。好ましくは、該調光機構の初期設計状態では、即ち製造公差及び組立公差がないと仮定し、照明ユニットの調光が不必要な状態では、第1ボール接続部材1aのボールの球心、第2ボール接続部材1bのボールの球心及び第3ボール接続部材1cのボールの球心が同一水平面上にあり、第2摺動溝62の延び方向を第1ボール接続部材1aのボールの球心と第3ボール接続部材1cボールの球心とを結ぶ線に垂直な直線方向に設定するようにしてもよく、それにより第2方向における調光を行う時、摺動接続部材6に対する第3ボール接続部材1cのねじボールの運動トラックは第3ボール接続部材1cのねじボールが応力を受けない場合の摺動接続部材6に対する運動トラックにより近くなり、第2方向における調光によって第3ボール接続部材1cに形成される応力を大幅に小さくする。
【0041】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、第1方向は上下方向、第2方向は左右方向である。つまり、第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とは左右方向における同一水平直線上にあり、このように、第2ボール接続部材1bを調整すると、照明ユニット2を駆動して第1ボール接続部材1aのボールの球心に対して左右方向に回動させ、左右方向における調光を形成することができる。摺動ブラケット4上での摺動接続部材6の摺動方向と摺動接続部材6に対する第3ボール接続部材1cの摺動方向とは異なり、いずれも第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線上にない。第3ボール接続部材1cを調整する時、第3ボール接続部材1cは第2摺動溝62の延び方向とは異なる方向に直線運動可能であり、それにより第3ボール接続部材1cのボールは第2摺動溝62内を摺動し、摺動接続部材6を駆動して第3ボール接続部材1cの調節方向とは異なる方向に運動させる。摺動接続部材6は摺動ブラケット4に取り付けられ、摺動ブラケット4は第1摺動溝61内を摺動可能であるため、摺動接続部材6の運動は第1摺動溝61内での摺動ブラケット4の摺動を形成でき、摺動ブラケット4上での摺動接続部材6の摺動方向と摺動接続部材6に対する第3ボール接続部材1cの摺動方向はいずれも第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線上になく、従って、摺動接続部材6の運動は照明ユニット2に対して第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線の外の推進力を形成でき、照明ユニット2を第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線の周りに回動させ、即ち、上下方向における回動が発生し、それにより上下方向における調光を形成する。
【0042】
本発明における調光機構の具体的な実施形態として、図8図17に示すように、摺動ブラケット4は前後方向の垂直平面内で水平面に対して傾斜して設けられる。また、第1ボール接続部材1aのボールの球心、第2ボール接続部材1bのボールの球心及び第3ボール接続部材1cのボールの球心は同一水平面上にある。具体的には、摺動ブラケット4は前から後へ下向きに傾斜して設けられてもよく、このとき、第3ボール接続部材1cを調節すると、第3ボール接続部材1cを支持フレーム又はランプ本体に対して前後移動させ、さらに摺動接続部材6の前後移動を駆動することができる。摺動接続部材6が摺動ブラケット4に対して前へ摺動すると、摺動ブラケット4を駆動して下へ回動させることができる。摺動ブラケット4は第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線の後方に位置し、照明照射パターンを生成する光学素子は第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線の前方に位置し、摺動ブラケット4は下へ回動すると、照明ユニット2により生成される照明照射パターンを上へずれさせ、上向き調光を形成する。それと同時に、摺動ブラケット4は下へ回動する時、摺動ブラケット4に取り付けられる摺動接続部材6を駆動して下へ回動させ、摺動接続部材6と第3ボール接続部材1cとの相対回動を形成する。
【0043】
本発明における調光機構のいくつかの実施例では、第1ボール接続部材la及び第2ボール接続部材1bはいずれもボール頭ねじアセンブリであり、該ボール頭ねじアセンブリはボール頭ねじ及びボールナットを備える。第1ボール接続部材la及び第2ボール接続部材1bのボール頭ねじは左右方向に支持フレーム又はランプ本体の異なる位置に固定され、ボールナットは照明ユニット2の該当するボール頭ねじに対応する位置に固定される。従って、本実施例における照明ユニット2は左右方向に固定し、左右方向における調光が不能である。しかし、ボール頭ねじと支持フレーム又はランプ本体との固定接続方式は、接続構造が簡単で、作製コストも低く、照明照射パターンのカットオフラインが水平であるいくつかの照明モジュール、例えば、補助ロービームモジュール、コーナリングランプ照明モジュール、及びベンディングランプ照明モジュール等に適用できる。第3ボール接続部材1cはボール調節ねじであり、該ボール調節ねじはねじボール及び調節ねじを備え、摺動接続部材6は第1摺動溝61及び第2摺動溝62を備え、第2摺動溝62に第2ノッチ621がある。第3ボール接続部材1cの調節ねじはねじ山構造のような調節構造を介して支持フレーム又はランプ本体に接続され、ねじボールは第2摺動溝62内に取り付けられ、調節ねじは第2ノッチ621内を通過する。第3ボール接続部材1cの調節ねじを調節する時、第3ボール接続部材1cは支持フレーム又はランプ本体に対して前後移動し、ねじボールは摺動接続部材6を駆動して前後移動させ、それにより摺動ブラケット4は第1摺動溝61内を摺動し、第1ボール接続部材laと第2ボール接続部材1bのボールの球心を結ぶ線の外の推進力を形成し、照明ユニット2を駆動して第1ボール接続部材laと第2ボール接続部材1bのボールの球心を結ぶ線の周りに上下方向に回動させて、第1方向における調光を実現する。照明ユニット2の回動に伴い、第3ボール接続部材1cのねじボールも第2摺動溝62内を回動及び/又は摺動可能であり、調光時に第3ボール接続部材1cが受ける応力を低減させることができる。
【0044】
本発明の自動車ランプモジュールの一実施例は、照明ユニット2及び本発明のいずれかの実施例に係る調光機構を備える。本発明における調光機構によって、照明ユニット2を駆動して第1方向及び第2方向における回転を形成させ、各異なる方向における照明ユニット2の調光を実現することができる。
【0045】
本発明の自動車ランプモジュールの具体的な実施形態として、照明ユニット2に放熱部材が内蔵され、摺動ブラケット4は放熱部材に一体的に形成される。摺動ブラケット4が放熱部材と一体的に成形されるように設けられることで、調光機構の構造を簡素化し、調光の精度及び安定性を向上させる。また、摺動ブラケット4の構造が簡単であるため、放熱部材の製造も簡単であり、自動車ランプモジュールの製造コストをよりよく控える。
【0046】
以上のように、本発明における調光機構は、摺動接続部材6によって第3ボール接続部材1cと照明ユニット2との間での力の伝達を実現し、第3ボール接続部材1cの調節方向と、第1ボール接続部材1aのボールの球心と第2ボール接続部材1bのボールの球心とを結ぶ線との距離が近い場合、摺動接続部材6のトルクの伝達によって、第1方向における照明ユニット2の回動を駆動するトルクを高めることができ、それにより調光の精度を向上させる。従って、本発明では、第3ボール接続部材1cと第1ボール接続部材1a又は第2ボール接続部材1bとの間に距離を設けるという要件を外すことができ、それにより本発明における調光機構の設置はより自由になり、現在の自動車ランプモジュールの小型化及び扁平化の傾向によりよく適応できる。摺動接続部材6は第3ボール接続部材1cの移動と照明ユニット2の回動との変換を実現でき、運動変換の精度が高く、照明ユニット2の調光精度を向上させる。また、摺動ブラケット4の構造が簡単であるため、摺動ブラケット4が照明ユニット2の接続部材と接続して形成される接続体は構造が簡単で、一体成形を容易にする。
【0047】
本発明における調光機構の好ましい実施例では、第1摺動溝61及び第2摺動溝62が設けられることで、摺動接続部材6の移動の自由度を向上させ、摺動接続部材6の摺動及び回動を容易にし、調光時に第3ボール接続部材1cが受ける応力を小さくする。第1摺動溝61の摺動トラックと第2摺動溝62の摺動トラックとが同一平面上にないように設けられることで、第3ボール接続部材1cが照明ユニット2の回動を駆動するトルクを、第3ボール接続部材1cが摺動接続部材6の回動を駆動するトルク及び摺動接続部材6が照明ユニット2の回動を駆動するトルクに変換でき、さらに駆動効果及び調光精度を向上させる。補強リブ42、第1ノッチ611及び弾性支持構造612が設けられることで、第2方向における摺動接続部材6と摺動ブラケット4との嵌合隙間を小さくし、摺動接続部材6と摺動ブラケット4との嵌合精度を向上させ、照明ユニット2により形成される照射パターンの安定性及び調節精度を向上させる。第1ボール接続部材1aのボールの球心、第2ボール接続部材1bのボールの球心及び第3ボール接続部材1cのボールの球心が同一水平面上にあるように設けられることで、本発明における調光機構は上下方向の厚さをより小さくすることが可能であり、扁平状の自動車ランプ構造により適用できる。
【0048】
本発明における自動車ランプモジュールでは、本発明のいずれかの実施例に係る調光機構を使用し、同様に対応する実施例の調光機構の利点を持つ。摺動ブラケット4が自動車ランプモジュールの放熱部材と一体成形される構造によって、調光機構の構造を簡素化し、放熱部材製造の利便性を維持する。
【0049】
本発明における自動車ランプは、本発明のいずれかの実施例に係る自動車ランプモジュールを使用する。従って、同様に上記利点を持つ。
【0050】
本発明における車両は、本発明のいずれかの実施例に係る自動車ランプを使用し、同様に上記利点を持つ。
【0051】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明の技術的構想の範囲を逸脱せずに本発明の技術案に対して種々の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0052】
なお、上記具体的な実施形態において説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、適宜組み合わせることができ、不必要な重複を回避するために、本発明は様々な可能な組み合わせ方式を別途説明しない。
【0053】
また、本発明の様々な異なる実施形態同士も適宜組み合わせることができ、本発明の趣旨を逸脱しない限り、同様に本発明に開示される内容としてみなされる。
【符号の説明】
【0054】
1a 第1ボール接続部材
1b 第2ボール接続部材
1c 第3ボール接続部材
2 照明ユニット
4 摺動ブラケット
41 摺動支持板
42 補強リブ
6 摺動接続部材
61 第1摺動溝
611 第1ノッチ
612 弾性支持構造
62 第2摺動溝
621 第2ノッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17