IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新コスモス電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-報知装置及び発報方法 図1
  • 特許-報知装置及び発報方法 図2
  • 特許-報知装置及び発報方法 図3
  • 特許-報知装置及び発報方法 図4
  • 特許-報知装置及び発報方法 図5
  • 特許-報知装置及び発報方法 図6
  • 特許-報知装置及び発報方法 図7
  • 特許-報知装置及び発報方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】報知装置及び発報方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20231108BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231108BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08B23/00 520B
G08B17/00 C
G08B21/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023042297
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰正
(72)【発明者】
【氏名】石野 智敬
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-029040(JP,A)
【文献】特開2019-148845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、
前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、
前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく第1音声を発し、及び、前記第2処理装置の制御により前記通信に基づく第2音声を発する、出力装置と、
を備えている、通信機能を有する報知装置であって、
前記出力装置は、単一の音声発生装置を含んでいて前記第1処理装置及び前記第2処理装置から、前記第1音声の発声指示と共に前記第2音声の発声指示が送られると、前記音声発生装置から前記第1音声及び前記第2音声の両方を並行して発するように構成されており、
並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられる、報知装置。
【請求項2】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、
前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、
前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく第1音声を発し、及び、前記第2処理装置の制御により前記通信に基づく第2音声を発する、出力装置と、
を備えている、通信機能を有する報知装置であって、
前記出力装置は、前記第1処理装置及び前記第2処理装置から、前記第1音声の発声指示と共に前記第2音声の発声指示が送られると、前記第1音声及び前記第2音声の両方を並行して発するように構成されており、
前記検知情報の内容、及び前記通信により得られる受信情報の内容に応じて設定された優先順位に基づいて、並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられる、報知装置。
【請求項3】
並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記一方の音声は、前記他方の音声の音量未満であって、音圧レベルで0dB以上の音量で発せられる、請求項1又は2記載の報知装置。
【請求項4】
並行して発せられている前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記他方の音声の発声が終了すると、前記一方の音声が、前記一方の音声の単独での発声用に設けられている所定の音量で発せられる、請求項1又は2記載の報知装置。
【請求項5】
周囲環境を監視して前記検知情報を取得する検知手段をさらに備え、
前記第1音声が、前記検知手段によって前記周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報音である、請求項1記載の報知装置。
【請求項6】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、
前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、
前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく第1音声を発し、及び、前記第2処理装置の制御により前記通信に基づく第2音声を発する、出力装置と、
を備えている、通信機能を有する報知装置であって、
前記出力装置は、前記第1処理装置及び前記第2処理装置から、前記第1音声の発声指示と共に前記第2音声の発声指示が送られると、前記第1音声及び前記第2音声の両方を並行して発するように構成されており、
前記第2処理装置と前記出力装置との間に、前記第2音声の音量を低下させる減衰手段をさらに備え、
前記第1処理装置は、前記減衰手段を用いて前記第2音声の音量を低下させ
並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声の前記第2音声が、前記第1音声の音量よりも低い音量で発せられ、報知装置。
【請求項7】
取得される検知情報に基づく第1音声、及び外部機器との通信に基づく第2音声を出力装置から発する報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法であって、
前記報知装置に前記第1音声及び前記第2音声の一方の音声の音量を選択させることと、
選択された前記音量で前記出力装置に含まれる単一の音声発生装置に前記一方の音声を発しさせることと、
前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記一方の音声と異なる他方の音声を、前記音量よりも高い音量で、前記一方の音声と並行して前記音声発生装置に発しさせることと、
を含んでいる、発報方法。
【請求項8】
取得される検知情報に基づく第1音声、及び外部機器との通信に基づく第2音声を出力装置から発する報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法であって、
前記報知装置に前記第1音声及び前記第2音声の一方の音声の音量を選択させることと、
選択された前記音量で前記出力装置に前記一方の音声を発しさせることと、
前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記一方の音声と異なる他方の音声を、前記音量よりも高い音量で、前記一方の音声と並行して発しさせることと、
前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記他方の音声を発するときに、前記一方の音声の発声を制御する処理装置と前記出力装置との間に備えられていて前記一方の音声の音量を低下させる減衰手段を、前記他方の音声の発声を制御する処理装置に作動させることと、を含んでいる、発報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有する報知装置、及び、報知装置における発報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサなどによって得られる各種の情報をユーザーに報せる報知装置が、一般家庭や、商業施設、及び工場などで用いられている。例えば、周囲環境を温度センサやガスセンサで監視して、異常な状態の検出に応じて警報を発してユーザーに危険を報せる警報器は、ユーザーの安全確保のために重要な役割を果たしている。近年、このような報知装置では、単純なビープ音だけでなく、多様な情報を伝えるメッセージを発し得るように、音声信号の処理装置や、スピーカなどの発声手段が備えられている。
【0003】
さらに、得られた情報を報知装置の周囲だけでなく遠方の関係者にも伝えられるように、通信機能を有する報知装置が普及している。そして、そのような通信機能を有する報知装置は、特定の通信先との交信だけではなく、広く情報を発信できるように、また、多くの情報を外部から入手して報知装置の周囲のユーザーの便益を高められるように、インターネットのようなネットワーク回線に接続可能なものも存在する。例えば、特許文献1には、警報メッセージを発するスピーカ、及び、インターネットへの接続を可能にするLANポートを備える警報器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-326360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の警報器では、インターネットを通じて警報器の外部の機器から各種の情報を入手することができ、その情報を、警報器が備える各種の報知手段を介してユーザーに伝えることができる。しかし、特許文献1の警報器のように通信によって外部の機器から得た多様な情報をユーザーに伝え得る報知装置では、例えば、音声情報が外部機器から送られて、その音声がスピーカなどの報知手段によって発せられる場合には、例えば警報などの報知機能により発せられる音声が、ユーザーに聞き取られ難くなることがある。
【0006】
警報などの音声が聞き取られ易いように、報知機能により発せられる音声を発するときには通信によって発せられる音声を遮断することが考えられる。しかし、外部機器からユーザーにとって重要な情報や有益な情報が発信されていることもある。すなわち、メッセージを保管する報知装置内の記憶容量には限りがあるため、ユーザーにとって重要な情報を伝えるメッセージや新規のメッセージの入手を、通信で接続されている外部機器に依存していることもある。従って、通信による音声を一概に遮断することは必ずしも好ましくないこともある。また、既に発せられている何らかの音声が突然遮断されて異なる音声が発せられると、聴取中のユーザーが混乱することがある。逆に、その音声の切り換わりにおいて切り換わり前後の音声が違和感なく自然に聞こえるように繋がっていると、音声の切り換わりによって重要な情報の音声が流れ始めているのにユーザーが気づくのが遅れることもある。このような事態は、例えば警報器のようにユーザーなどの安全を確保するという役割を担い得る報知装置にとって好ましくない。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、通信により得られる情報、及び報知装置において検知される情報の両方を、優先度が理解され易い状態で混乱なくユーザーに届けることができる報知装置、及び、報知装置における発報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の報知装置は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく第1音声を発し、及び、前記第2処理装置の制御により前記通信に基づく第2音声を発する、出力装置と、を備えている、通信機能を有する報知装置であって、前記出力装置は、前記第1処理装置及び前記第2処理装置から、前記第1音声の発声指示と共に前記第2音声の発声指示が送られると、前記第1音声及び前記第2音声の両方を並行して発するように構成されており、並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられる。
【0009】
前記検知情報の内容、及び前記通信により得られる受信情報の内容に応じて設定された優先順位に基づいて、並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられてもよい。
【0010】
並行して発せられる前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記一方の音声は、前記他方の音声の音量未満であって、音圧レベルで0dB以上の音量で発せられてもよい。
【0011】
並行して発せられている前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記他方の音声の発声が終了すると、前記一方の音声が、前記一方の音声の単独での発声用に設けられている所定の音量で発せられてもよい。
【0012】
前記報知装置は、周囲環境を監視して前記検知情報を取得する検知手段をさらに備えていてもよく、前記第1音声が、前記検知手段によって前記周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報音であってもよい。
【0013】
前記報知装置は、前記第2処理装置と前記出力装置との間に、前記第2音声の音量を低下させる減衰手段をさらに備えていてもよく、前記第1処理装置は、前記減衰手段を用いて前記第2音声の音量を低下させてもよい。
【0014】
本発明の発報方法は、取得される検知情報に基づく第1音声、及び外部機器との通信に基づく第2音声を出力装置から発する報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法であって、前記報知装置に前記第1音声及び前記第2音声の一方の音声の音量を選択させることと、選択された前記音量で前記出力装置に前記一方の音声を発しさせることと、前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記一方の音声と異なる他方の音声を、前記音量よりも高い音量で、前記一方の音声と並行して発しさせることと、を含んでいる。
【0015】
前記発報方法は、前記第1音声及び前記第2音声のうちの前記他方の音声を発するときに、前記一方の音声の音量を低下させる減衰手段を作動させることをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通信により得られる情報、及び報知装置において検知される情報の両方を、優先度が理解され易い状態で混乱なくユーザーに届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の報知装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態の報知装置における合成回路の一例を示す回路図である。
図3】本発明の一実施形態の報知装置における第1音声と第2音声両方の発声時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4図3のフローチャートに対応する各音声の発声状態の推移を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の一実施形態の報知装置の他の例の概略構成を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態の報知装置の他の例における減衰手段の一例を示す回路図である。
図7】本発明の一実施形態の報知装置における第1音声と第2音声両方の発声時の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
図8図7のフローチャートに対応する各音声の発声状態の推移を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る報知装置及び報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法を説明する。但し、以下に説明される実施形態及び添付の図面は、本発明に係る報知装置又は報知装置に報知を行なわせる発報方法の一例を示しているに過ぎない。本発明に係る報知装置及び発報方法の構成及び作用は、以下に説明される実施形態及び添付の図面に例示される構成及び作用に限定されない。
【0019】
<一実施形態の報知装置の構成及び作用>
図1には、本発明の一実施形態の報知装置の一例である報知装置100の主要な構成要素がブロック図で示されている。一実施形態の報知装置100は、一例として、住居や工場などに設置されたり、ユーザーに携帯されたりして、報知装置100の周囲の環境を監視する。そして、報知装置100は、周囲の環境が特定の状態にある場合にはそれを検知して、例えば、警報を発したり信号を送ったりして、周囲環境が特定の状態、例えば人体や物的資産に危害が及び得る異常な状態にあることを周囲の人や所定の機器に報せる。すなわち、本実施形態の報知装置は一態様において警報器であり得る。この態様での報知装置100は、特定の状態として、例えば、火災の発生及びガス漏れのいずれか一方、又は両方を検知する。警報器である報知装置100が他に検知し得る特定の状態としては、一酸化炭素の濃度上昇、煙の充満、及び過剰な温湿度、などが例示されるが、警報器として機能する報知装置100が検知し得る特定の状態は、これらに限定されない。
【0020】
一実施形態の報知装置は、周囲環境の状態の検知に基づく情報以外にも、取得される任意の情報をユーザーなどに報せるために機能し得る。例えば、報知装置100は、報知装置100自身の特定の状態への遷移や報知装置100における特定の処理の完了、又は、報知装置100と協働する別個の機器における特定の状態への遷移や特定の処理の完了、若しくはそのような別個の機器に対する人的操作、などを検知して、その検知によって取得された検知情報を、報知装置100の周囲のユーザーなどに報せてもよい。例えば、報知装置100は、建物の外壁に設置された被操作器への人的操作の検知に基づいて人の来訪を報せてもよい。また、報知装置100は、予め設定された時刻の到来や電話の着信などを報知してもよく、例えば調理機器における自動調理などのような、家庭用電化機器における所定の自動動作の開始や終了を報知してもよい。また、報知装置100は、工場などにおいて、故障や供給材料の枯渇などによる設備の停止や、各製造ロットのバッチ処理の終了などを報知してもよい。
【0021】
このように、実施形態の報知装置100は、報知装置100の実際の用途に応じて、取得される任意の検知情報に基づく報知を実行し得る。以下の説明には、報知装置100が警報器である場合についての例示が多く含まれるが、報知装置100は、報知装置100自らが取得する、又は報知装置100とは別個の機器が取得する、任意の検知情報に基づく報知を行なう装置であり得る。例えば、報知装置100は、警報器の他、携帯電話などの携帯機器、固定電話の親機、情報取得に関する付随機能を有する音響機器、各種家庭用電化機器と共に提供される発声機能を有する付属器、又は、ビル内や工場内の各種管理システムに組み込まれる発声機器として、具現化されることがある。
【0022】
報知装置100は、図1に示されるように、報知部1及び通信部2を備えている。報知部1は、報知装置100の内部又は外部で取得される検知情報をユーザーなどに報せる機能を担っている。報知装置100が警報器である場合、報知部1は、周囲環境の監視から監視結果に基づく警報の発報までの機能を含む警報機能を担っている。また、報知装置100が携帯電話である場合、報知部1は、例えば携帯電話の内部状態の変化や携帯電話が備えるセンサなどの検知結果を報せる機能を担い得る。また、報知装置100が家庭用電化機器の付属器である場合、報知部1は、本体の家庭用電化機器における内部状態の変化や自動動作の進行状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。また、報知装置100が工場に設置される管理システムに組み込まれる場合、報知部1は、工場内の各種設備の稼働状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。
【0023】
報知装置100は、さらに通信機能を有しており、通信部2は報知装置100の通信機能を担っている。通信部2は、少なくとも報知装置100の外部からの信号を受信し、さらに、報知装置100の外部へと信号を送信してもよい。図1の例において報知装置100は、外部機器Eとの間で信号を送受する。
【0024】
報知装置100は、さらに、出力装置40を備えている。出力装置40は、報知部1から送られる指示に従って第1音声V1を発する。出力装置40は、さらに、通信部2から送られる指示に従って第2音声V2を発する。本開示において「音声」は、ヒトが声として発する音やヒトの声を模して人工的に生成された音だけでなく、楽曲の音、及び、雨風や波、又はヒト以外の生物などによって自然界で生成される特段の意味を有さない音、並びに、それらの録音後の再生音、などのあらゆる音を含んでいる。報知装置100は、報知装置100の構成部品を収容する筐体60を有しており、報知部1、通信部2、及び出力装置40は、筐体60の中に収められている。
【0025】
<報知部>
報知部1は、第1処理装置10を含んでいる。図1の報知部1は、さらに検知手段50を含んでいる。図1の報知部1は、主に第1処理装置10及び検知手段50で構成され、例えば第1処理装置10及び検知手段50と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。第1処理装置10は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する。図1の報知装置100では、第1処理装置10によって制御される報知機能が基づく検知情報は、検知手段50によって取得されるか、或いは、検知情報源Isで取得又は生成される。検知情報源Isは、報知装置100と別個に、すなわち、筐体60の外部に設けられている。なお、検知情報源Isは必ずしも設けられる訳ではなく、略検知手段50のみから検知情報が取得されてもよい。
【0026】
第1処理装置10は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、内蔵されたプログラム、又は、報知部1が備える、第1処理装置10の外部のROMなどの記憶装置(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作する。第1処理装置10は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有しており、検知手段50の動作を含む報知部1の動作を全体的に制御すると共に、必要に応じて出力装置40に第1音声V1を発しさせる。すなわち、第1処理装置10は、検知手段50又は検知情報源Isによって得られる検知情報に基づく第1音声V1の発声指示I1を出力装置40に送るように構成されている。
【0027】
このように、第1処理装置10は、検知手段50による報知装置100の内部状態や周囲の状態などに関する検知動作及びそれに伴う検知情報の取得、並びに検知情報源Isからの検知情報の取得から、それら検知情報に基づく発報に至る動作を全体的に制御する。例えば報知装置100が警報器である場合、第1処理装置10は、周囲環境の監視動作中に、検知手段50による周囲環境の監視から、例えば出力装置40による警報の発報のような異常の報知に至る動作を全体的に制御する。
【0028】
なお、本明細書において、第1処理装置10若しくは報知装置100(又は、後述される第2処理装置20)が特定の動作又は処理を行うように(又は行わないように)「構成されている」は、各処理装置又は報知装置100にその特定の動作又は処理を行わせる(又は行わせない)命令が、各処理装置の動作や処理を記述するプログラムに含まれていることを含んでいる。
【0029】
検知手段50は、報知装置100の内部若しくは周囲における状態の変化や特定の状態への到達、又は報知装置100の内部での処理の進行状態を検知して検知結果に基づく情報(検知情報)を生成する。例えば、検知手段50は、報知部1において特定の処理が開始してからの所定時間の経過を検知するタイマーであり得る。検知手段50は、報知部1の内外における状態の変化や、報知部1の内部での特定の処理の進捗に伴って生成又は受信される所定の信号を検知する、電圧若しくは電流検知器であってもよい。これらの例において所定時間の経過や所定の信号を検知すると、検知手段50は、検知をしたことやその検知内容を示す信号を検知情報として第1処理装置10に提供する。
【0030】
検知手段50は、報知装置100の周囲の物理現象について特定の変化や特定の状態の出現を検知してもよい。特に、報知装置100が警報器である場合、検知手段50は、報知装置100の周囲環境を監視する1以上の各種のセンサであり得る。センサとしての検知手段50は、周囲環境の監視を通じて監視データとして得られる、監視領域の物理現象に関する検知情報を取得する。図1の例の報知装置100において検知手段50は、報知部1及び通信部2の構成要素並びに出力装置40と共に、筐体60内に設けられている。そのため、検知手段50は報知装置100の近傍の領域を監視することができる。
【0031】
報知装置100の検知手段50として機能する各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)又はプロパンガス(C38)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、煙センサ、臭気センサ、又は、部外者の立ち入りを検知する侵入センサなどであってよい。検知手段50は、これらセンサの1つ又は複数で構成され得る。報知装置100において検知手段50は、好ましくは、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である。例えば、各種のガスセンサによって、報知装置100の周囲の空間におけるガス漏れが検知される。また、温度センサ及び煙センサなどによって、報知装置100の周囲での火災の発生が検知される。
【0032】
報知装置100が警報器である場合、第1処理装置10は、例えば、検知手段50による周囲環境の監視動作の開始や停止を制御する。また、第1処理装置10は、検知手段50から送られる検知情報が示す、一酸化炭素やガスの濃度、周囲の温度、及び、煙の濃度などが、所定の閾値を超えているか否かを判断する。そして、温度や濃度などが閾値を超えている場合には、例えばその超過の程度に応じて警報の態様(音声の鳴動の仕方や、後述する発光ダイオード等の発光部における発光の仕方など)を決定し、決定した方法で、出力装置40に警報を発報させる。
【0033】
検知情報源Isは、報知装置と協働する別個の機器EEの内部若しくは周囲における状態の変化や特定の状態への到達、又は、別個の機器EEの内部での処理の進行状態を検知して、検知結果に基づく情報(検知情報)を生成する。すなわち、検知情報源Isは、検知手段50の例示として前述されたような、所定時間の経過を検知したり、別個の機器EEの内外における状態の変化や、特定の処理の進捗に伴う信号の生成を検知したりして、その検知情報を第1処理装置10に提供する、電圧などの検知器やタイマーなどであり得る。また、検知情報源Isは、別個の機器EEに設けられて周囲の物理現象を監視するセンサであってもよい。さらに、検知情報源Isは、別個の機器EEに対する人的な操作を検知してその操作に基づく信号を生成して検知情報として第1処理装置10に提供する各種の入力手段であってもよい。すなわち、検知情報源Isは、別個の機器EEに備えられた各種のスイッチや操作ボタン、キーボード、又はタッチパネルなどであってもよい。
【0034】
<通信部>
通信部2は、第2処理装置20及び通信装置21を含んでいる。通信部2は、主に第2処理装置20及び通信装置21で構成され、例えば第2処理装置20及び通信装置21と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。第2処理装置20は、第1処理装置10と別個に設けられている。第2処理装置20は、報知装置100と外部機器Eとの通信を制御する。第2処理装置20は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、内蔵されたプログラム、又は、通信部2が備える、第2処理装置20の外部のROMなどの記憶装置(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作する。第2処理装置20は、好ましくは、演算機能や記憶機能、及び比較機能などを有し、報知装置100の動作中に通信装置21で行われる、報知装置100と外部機器Eとの間での通信に必要な動作を全体的に制御する。
【0035】
さらに、第2処理装置20は、外部機器Eのような外部機器と報知装置100との間の通信に基づく第2音声V2の発声指示I2を出力装置40に送るように構成されている。第1音声V1又は第2音声V2を発しさせるべく第1処理装置10又は第2処理装置20から出力装置40に送られる発声指示I1、I2は、発せられる音の音量、長さ、音調、及び/又は音質などの情報を含む電気信号であり得る(以下では、このような電気信号を「音声信号」とも称する)。出力装置40から発せられる音声の音量は、一例として、出力装置40に入力される音声信号の振幅で制御される。第1処理装置10及び第2処理装置20は、発しさせる音声に対応する適切な音声信号を、発声指示I1又は発声指示I2として出力装置40に送信してもよい。或いは、音声信号の送信に先行して、信号レベル、振幅、及び/又は、周波数などについて予め定められた特定の値や変化パターンを有する信号が、発声指示I1又は発声指示I2として出力装置40に送られてもよい。
【0036】
通信装置21は、無線通信又は有線通信によって外部機器Eとの間で信号を送受する。通信装置21は、外部機器Eと報知装置100との間で電気信号を送受するように構成された、集積回路装置や個々の部品からなる電気回路などのハードウェアにより構成される。通信装置21は、外部機器Eとの通信に必要となる、信号の変換(アナログ/デジタル変換や信号のレベル変換など)、信号の増幅、信号の合成及び分解、信号の変調及び復調、外部機器Eとの間のリンクの設定、及び/又は誤り制御、などを行うように構成され得る。例えば、通信装置21は、外部機器Eとの通信に必要な信号処理を行うように設計されたASICなどからなる通信制御IC、又はモデムIC、及びその周辺回路で構成されていてもよい。通信装置21は、第2処理装置20と一体の集積回路装置として構成されていてもよい。
【0037】
報知装置100において通信部2は、無線回線又は有線回線を介して外部機器Eとの間で直接送受信を行ってもよく、無線回線又は有線回線で接続された、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークNを介して外部機器Eとの間で信号の送受信を行ってもよい。外部機器Eとしては、報知装置100以外の同種、又は検知対象の異なる警報器、並びに、報知装置100の動作を監視若しくは制御する、及び/又は、報知装置100での検知結果若しくは警報発報経過を収集して統計処理若しくは解析するサーバーのような情報処理装置が例示される。また、外部機器Eは、ネットワークNから情報を入手して、報知装置100で報知させる情報を取捨選択したり、必要な処理や加工を施したりして、報知装置100に向けて送信する情報処理装置であってもよい。さらに、インターネットなどのネットワークNに繋がり得る報知装置100にとって、外部機器Eは、各者各様の情報を提供する任意の個人又は機関がネットワークNに接続可能な態様で設置する、サーバー、データベース、及び/又は情報処理装置などであり得る。
【0038】
<出力装置>
出力装置40は、第1処理装置10の制御により、検知手段50や検知情報源Isで取得される検知情報に基づく第1音声V1を発する。出力装置40は、さらに、第2処理装置20の制御により、通信部2における通信に基づく第2音声V2を発する。従って出力装置40は、少なくとも、例えば、スピーカ及び/又はブザーなどのような音声の発生装置41を含んでいる。出力装置40は、スピーカなどの音声発生装置41を1つだけ含んでいてもよく、複数の音声発声装置41を含んでいてもよい。
【0039】
報知装置100が警報器である場合、出力装置40は、検知手段50で周囲環境の異常が検知されると、第1処理装置10の制御に従って、鳴動、及び/又は音響を発することにより警報を発する。すなわち、警報器として機能する報知装置100では、第1音声V1は検知手段50によって周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報音であり得る。また、出力装置40は、警報を発する以外にも、報知装置100の状態や、警報を発するに至らない監視領域の環境に関する情報をユーザーなどに伝えるために動作してもよい。なお、報知装置100は、図1に示される、音声を発する出力装置40以外にも、報知装置100のユーザーの視覚を通じて検知情報を伝える、発光ダイオードやディスプレイなどの報知手段(図示せず)を含んでいてもよい。また、図1に示される出力装置40が、発光ダイオードなどの視覚的に警報を発する報知手段を含んでいてもよい。
【0040】
第1音声V1と第2音声V2の両方を発する出力装置40は、必要に応じて第1音声V1及び第2音声V2の両方を同時に発するように構成されている。すなわち、本実施形態において出力装置40は、第1処理装置10から第1音声V1の発声指示I1が送られると共に、第2処理装置20から第2音声V2の発声指示I2が送られると、第1音声V1及び第2音声V2の両方を並行して発するように構成されている。なお「並行して発する」は、報知装置100の稼働中の任意の時点又は期間に渡って、第1音声V1及び第2音声V2の両方が発せられることを意味している。しかし、これら二つの音声の発声が同時に開始されることは、必ずしも意味されない。
【0041】
本実施形態の報知装置100では、このように、出力装置40が、必要に応じて第1音声V1と第2音声V2とを並行して発するように構成されているので、検知手段50などで取得される検知情報に基づく音声も、通信によって得られる情報に基づく音声も、同時にユーザーなどに伝えることができる。例えば、外部機器Eから送られる、ユーザーにとって重要な情報や貴重な情報を、警報音のような検知情報に基づく音声と共に、漏らさずユーザーなどに伝え得ることがある。一例として、災害などの発生時には、周辺地域の被災状況や避難に関する情報がインターネットを通じてリアルタイムで送られてくることがある。このような通信で得られる外部からの情報を、検知手段50などによる検知情報と共に、ユーザーなどに伝えることができる。
【0042】
また、検知情報に基づいて発せられる警報を、通信によって得られる情報に基づく音声の発声完了を待つことなく迅速に発して、ユーザーなどに危険を報せ得ることがある。例えば、警報などが発せられるときに、通信に基づく音声の発声中であっても、その音声を遮断することなく発声を継続させながら警報などを発することができる。発声中の音声が突然遮断されないので、聴取中のユーザーが混乱を来たし難いと考えられる。さらに、発せられる音声が切り換わるのではなく新たな音声が加わるので、切り換わり前後の音声が自然に聞こえるように繋がることが起こり難い。そのため、警報の発報が開始されていることや、通信による重要な情報が新たに発し始められていることをユーザーに遅滞なく認識させることができると考えられる。
【0043】
また、二つの音声が重なって発せられるので、二つの異なる情報の両方を短時間のうちにユーザーに伝え終えることができたり、一つの音声だけが発せられるときと異なるニュアンスを与えたり、その結果、緊急性や重大性をユーザーに実感させ易くできたりすることがある。従って、例えば身の危険が迫っていることや貴重な情報を、ユーザーに確実且つ迅速に伝えることができると考えられる。
【0044】
第1音声V1及び第2音声V2を並行して発し得る出力装置40は、音声発声装置41に加えて、第1処理装置10から入力される音声信号と、第2処理装置20から入力される音声信号とを合成する合成回路42を含んでいる。合成回路42は、例えば、集積化された演算増幅器(オペアンプ)や、その周囲に配置される、トランジスタなどの能動素子及び抵抗器やキャパシタのような受動素子によって構成され得る。合成回路42は、二つの音声信号の合成機能に加えて、合成前の各音声信号又は合成によって生成される合成音声信号を増幅する増幅機能を有していてもよい。
【0045】
図2には、合成回路42の一例の基本的な回路構成が示されている。第1処理装置10から送られる音声信号Sv1が一端に入力される抵抗423の他端と、第2処理装置20から送られる音声信号Sv2が一端に入力される抵抗424の他端とが、負帰還接続されたオペアンプ421の反転入力において接続されており、その非反転入力が接地されている。そのため、オペアンプ421からは、音声信号Sv1と音声信号Sv2との合成音声信号Svcが出力される。オペアンプ421の負帰還により合成音声信号Svcの位相は反転しているので、同様に負帰還のオペアンプ422が接続されており、オペアンプ422から出力されるさらに位相反転の合成音声信号Svoが、音声発声装置41に送られる。抵抗423、424の抵抗値と抵抗425の抵抗値との比率、及び/又は、抵抗426の抵抗値と抵抗427の抵抗値との比率を適切に選択することによって、合成回路42に増幅機能を付与することができる。一例としてこのような構成の合成回路42を備えることによって、音声信号Sv1及び音声信号Sv2それぞれに対応した二つの音声を、必要に応じて並行して発することができる。
【0046】
再度図1を参照して本実施形態の報知装置100をさらに説明する。本実施形態の報知装置100は、さらに、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられるように構成されている。そのため、第1音声V1及び第2音声V2の両方を並行して発しながらも、そのうちのいずれかの音声を、より聞き取り易くして、より明確に、ユーザーなどに聴取させることができる。
【0047】
並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のうちの、より低い音量で発せられる一方の音声は、他方の音声の音量未満であって、好ましくは、音圧レベルで0dB以上の音量で発せられる。なお「音圧レベル」は、基準音圧20μPaに対する、対象の音(ここでは一方の音声)の音圧の比の常用対数の20倍で表され、音圧レベル0dBは、ヒトの聴覚を起こし得る最小の音圧レベル(可聴最小値)を意味する。一方の音声が、他方の音声よりも低い音量で発せられても、可聴最小値以上の音量で発せられるので、第1音声V1及び第2音声V2の両方をユーザーなどに聴取させ得ることがある。
【0048】
より低い音量で発せられる、第1音声V1及び第2音声V2のうちの一方の音声の音量は、一例として、他方の音声の音量の1/10以上、1/2以下の音量であり得る。低い音量で発せられる一方の音声の音量がこの範囲の音量であれば、他方の音声をより明確に聞き取り可能にしながら、一方の音声も著しい支障なくユーザーなどに聴取させることができると考えられる。
【0049】
第1音声V1と第2音声V2のいずれを低い音量で発しさせるかについては、種々の基準が採用され得る。一例として、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2の一方が、固定的に他方よりも低い音量で発せられるように構成されていてもよい。例えば、警報器として機能する報知装置100では、常に、検知手段50による検知情報に基づく第1音声V1を、第2音声V2よりもユーザーに聞こえ易くすることが好ましいこともある。従って、第1音声V1と第2音声V2とが並行して発せられるときには常に第2音声V2が第1音声V1よりも低い音量で発せられるように報知装置100が構成されていてもよい。
【0050】
このように低い音量で発せられる音声が固定されるのではなく、例えば、より重要な情報や、より緊急性の高い情報を伝える音声(他方の音声)が聴き取られ易くなるように、相対的に重要性や緊急性の低い情報に基づく音声が、より低い音量で発せられてもよい。一例として、既に第1音声V1と第2音声V2のうちの一つが発せられている状態で、新たにもう一つの音声が発せられるときには、既に発せられている音声の音量が新たに発せられる音声の音量よりも低い音量となるように、第1音声V1及び第2音声V2が発せられてもよい。新たに発せられる音声の方が緊急性の高い情報を含むことが多いと考えられるからである。
【0051】
一例として、後から発せられる音声が、既に発せられている音声の音量よりも高い音量で発せられてもよい。或いは、既に発せられている音声の音量が、新たに発せられる音声の音量よりも低くなるように低下されてもよい。一例として、第1音声V1及び第2音声V2のうちの既に発せられている音声の音量が、新たに発せられる音声の音量の1/10以上、1/2以下の音量に低下されてもよい。
【0052】
また、他の例として、検知情報及び通信により得られる情報それぞれに、その内容の重要度に応じた優先順位が予め設定され、その優先順位に基づいて、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のいずれか一方の音声が、他方の音声の音量よりも低い音量で発せられてもよい。例えば報知装置100が警報器である場合、ガスセンサや温度センサである検知手段50で検知されるガス漏れや火災の発生についての検知情報には、最も高い優先順位(第1優先順位)が設定される。また、例えば、ある程度までの高温や高湿度が単独で温度センサ又は湿度センサで検出されたことに伴う熱中症リスクの一定程度の上昇についての検知情報には、3番目に高い優先順位(第3優先順位)が設定される。さらに、検知情報源Isによる家庭用電化機器における自動動作の終了などに関する検知情報には、5番目に高い優先順位(第5優先順位)が設定される。
【0053】
一方、外部機器Eとの通信により得られる情報のうち、例えば、荒天による各種気象警報の発令などに関する情報には、2番目に高い優先順位(第2優先順位)が設定される。また、例えば、通信により得られる情報のうち、最寄りの交通機関の運休などに関する情報には4番目に高い優先順位(第4優先順位)が設定され、単なる時事ニュースなどについての情報には、6番目に高い優先順位(第6優先順位)が設定される。なお、外部機器Eから送られる情報の優先順位は、例えば外部機器Eによって、報知装置100に送られる情報に追加情報として付与されて、第2処理装置20に把握され得る。
【0054】
そして、例えばガス漏れなどの発生に関する検知情報などの第1優先順位の情報に基づく第1音声V1と、最寄りの交通機関の運休などに関する情報などの第4優先順位の情報に基づく第2音声V2とが並行して発せられるときには、第2音声V2が第1音声V1よりも低い音量で発せられる。また、大雨洪水警報などの警報の発令に関する情報のような第2優先順位の情報に基づく第2音声V2と、家庭用電化機器における自動動作の終了などに関する検知情報のような第5優先順位の情報に基づく第1音声V1とが並行して発せられるときには、第1音声V1が第2音声V2よりも低い音量で発せられる。同様に、例えば第3優先順位の検知情報に基づく第1音声V1と、第6優先順位の情報に基づく第2音声V2とが並行して発せられるときには、第2音声V2が第1音声V1よりも低い音量で発せられる。
【0055】
なお、このように2よりも多い数で優先順位が設けられる場合、それぞれの優先順位に応じた大きさの音量で、第1音声V1及び第2音声V2それぞれが発せられてもよい。すなわち、例えば大、中、小のような3以上の数で、発声可能な音量が用意され、優先順位のような任意の選択基準に基づいて、そのうちの任意の二つのいずれか一方で第1音声V1が発せられ、他方で第2音声V2が発せられてもよい。
【0056】
第1処理装置10及び第2処理装置20の少なくとも一方は、このように他方よりも低い音量で第1音声V1又は第2音声V2を出力装置40に発しさせ得るように、出力装置40に送る音声信号を調整可能なように構成されてもよい。すなわち、第1処理装置10及び第2処理装置20は、少なくとも二つの音量の間で、第1音声V1又は第2音声V2の音量を切り替えられるように構成されていてもよい。二つの音量のうち、一方は、第1音声V1又は第2音声V2が単独で発せられるときの音量(以下では「第1音量」とも称する)である。他方は、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のうちの低い音量で発せられる音声の音量(以下では「第2音量」とも称する)である。第1音量は、必ずしも限定されないが、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のうちの高い音量で発せられる音声の音量であってもよい。
【0057】
図1の報知装置100では、第1処理装置10及び第2処理装置20の両方が、このような音量調整が可能なように構成されており、第1処理装置10及び第2処理装置20それぞれが、音量調整部120を備えている。音量調整部120は、一例として、各処理装置から出力される音声信号の振幅を変化させる、ゲイン調整が可能な増幅回路やバッファ回路で構成される。第1処理装置10及び第2処理装置20は、この増幅回路などのゲインを調整することによって、第1音声V1又は第2音声V2の音量を、第1音量と第2音量との間で切り替えてもよい。
【0058】
第1音声V1及び第2音声V2は、それぞれ、第1音量及び第2音量の二段階だけでなく、三つ以上の異なる音量で発せられてもよい。例えば、音量調整部120を構成する増幅回路がゲイン調整用に可変抵抗が備えられる。そうすることで、第1音声V1及び第2音声V2それぞれの音量を多段階に切り替ええることが可能になる。その場合、第1音声V1と第2音声V2とが並行して発せられるときに、前述した検知情報や通信による情報の内容に応じて設定される優先順位に応じて、低い音量で発せられる音声の音量が、2以上の音量から選択されてもよい。
【0059】
すなわち、優先順位の高い検知情報に基づく第1音声V1と並行して発せられる第2音声V2は、その第2音声V2が基づく情報の優先順位が低い程、より低い音量で発せられてもよい。例えば、前述した第4優先順位の情報に基づく第2音声V2は、第1音声V1よりも低い音量で第1音声V1と並行に発せられるときの音量に関して、第2優先順位の情報に基づく第2音声V2の音量よりも低い音量で発せられてもよい。同様に、優先順位の高い通信による情報に基づく第2音声V2と並行して発せられる第1音声V1は、その第1音声V1が基づく検知情報の優先順位が低い程、より低い音量で発せられてもよい。
【0060】
なお、報知装置100では、第1音声V1と第2音声V2とが同時に発せられるときに低い音量で発せられる方の音声の音量が、設定によって、ヒトの聴覚を起こし得ない大きさに切り替えられ得るように構成されていてもよい。高い音量で発せられている方の音声が聞き取り難いような場合には、低い音量で発せられる方の音声の音量を聞こえないレベルまで小さくすることにより、高い音量の音声を聴き取り易くすることができる。
【0061】
報知装置100では、第1音声V1及び第2音声V2が並行して発せられている状態で、より高い音量で発せられている音声(他方の音声)の発声が終了すると、低い音量(第2音量)で発せられている一方の音声が、一方の音声の単独での発声用に設けられている音量(第1音量)で発せられてもよい。例えば、一方の音声の音量が、第1音声V1及び第2音声V2が並行して発し始められるときに第2音量へと低下された場合には、他方の音声の発声終了時に、一方の音声の音量が、低下される前の音量まで戻されてもよい。低い音量で発せられていた一方の音声の聞き取り易さを、より高めたり復旧させたりすることができる。なお、低い音量で音声を発声させている、第1処理装置10及び第2処理装置20のうちの一方は、後述するように他方からの通知により、高い音量で発せられている音声の発声の終了を知ることができる。
【0062】
<第1処理装置と第2処理装置との間の交信>
設定した基準に従って適切に第1音声V1と第2音声V2の一方を他方よりも低い音量で発せられるように、第1処理装置10と第2処理装置20は、第1音声V1又は第2音声V2の発声に関する情報の交信を行ってもよい。例えば、第1処理装置10は、第1音声V1の発声を始めるときに、第1音声V1を発することを第2処理装置20に通知する。一方、第2処理装置20は、第2音声V2の発声を始めるときに、第2音声V2を発することを第1処理装置10に通知する。このように互いにそれぞれの音声を発することを通知し合うことで、第1処理装置10及び第2処理装置20の一方が、他方の制御によって第1音声V1又は第2音声V2が発せられていることを把握することができる。互いの音声発声の有無の把握が可能なので、例えば前述したように既に一方の音声が発せられている状態で他の音声が後から発せられるときに、既に発せられている音声を、新たに発せられる音声の音量よりも低い音量で発声させることができる。
【0063】
例えば、先に音声を発している第1処理装置10又は第2処理装置20が、他方の処理装置から音声の発声通知を受けると、発している音声の音量を、後から発せられる音声の音量よりも低い音量(例えば第2音量)に切り替える。或いは、後から音声を発する第1処理装置10又は第2処理装置20が、他方の処理装置に、先に発している音声の音量を、後から発する音声の音量よりも低い音量に低下させるように指示する信号を送ってもよい。そしてこの信号を受けた他方の処理装置が、発している音声の音量を、指示された音量まで低下させてもよい。
【0064】
第1処理装置10と第2処理装置20は、それぞれが発する第1音声V1又は第2音声V2が基づく情報に関する、前述した優先順位を互いに通知し合ってもよい。そのように各処理装置が自らの制御で発せられる音声に関する優先順位を通知し合うことで、前述したような優先順位に基づいた、第1音声V1及び第2音声V2のいずれか一方の低い音量での発声が可能になる。また、第1処理装置10と第2処理装置20の一方が、自らの制御で発せられる音声に関する優先順位を他方に伝えてもよい。例えば第2処理装置20だけが、第2音声V2に関する優先順位を第1処理装置10に伝えてもよい。そのように一方だけが優先順位を通知する場合でも、一方から優先順位を伝えられた他方の制御の下で、いずれかの音量が低い二つの音声の並行した発声が可能になると考えられる。
【0065】
例えば、第1処理装置10が、第2処理装置20によって発せられる第2音声V2が基づく情報よりも優先順位の高い検知情報に基づく第1音声V1を発し始めるときには、第2処理装置20からの通知により第2音声V2に関する優先順位を把握している第1処理装置10は、第1音声V1を例えば第1音量で発声させる。そして第1処理装置10は、第2処理装置20に第1音量よりも低い第2音量で第2音声を発するように指示する信号を送り、この信号を受けた第2処理装置20が、指示に従って第2音量で第2音声V2を発声させる。
【0066】
また、例えば、第2処理装置20が、第1処理装置10によって発せられる第1音声V1が基づく情報よりも優先順位の低い検知情報に基づく第2音声V2を発し始めるときには、第1理装置10からの通知により第1音声V1に関する優先順位を把握している第2処理装置20は、第2音声V2を例えば第2音量で発声させる。また第2処理装置20は、第1処理装置10に、発する第2音声V2に関する優先順位を通知する。一方、第1処理装置10は、第1音量で第1音声V1を発声中である場合は、そのままの音量で第1音声V1の発声を継続する。また、第1処理装置10は、第2音声V2と同時に第1音声V1の発声を始める場合や、第2音量よりも低い音量で第1音声V1を発声させていた場合は、少なくとも第2音量よりも高い音量で第1音声V1を発声させる。このようにして、第1音声V1及び第2音声V2を、優先順位に応じていずれか一方の音量を他方の音量よりも低い音量で、並行して発することができる。
【0067】
<第1音声と第2音声の並行発声時の処理フローの一例>
図3及び図4を参照して、第1音声V1と第2音声V2との並行発声の態様の一例を説明する。図3には、第1音声V1と第2音声V2とが並行して発せられるときの各処理装置での処理の手順が示されており、図4には、図3の処理手順に対応する、第1音声V1と第2音声V2それぞれの発声状態の推移が示されている。図3及び図4は、第1音声V1と第2音声V2が略同時に発し始められ、第1音声V1が基づく情報の優先順位が、第2音声V2が基づく情報の優先順位よりも高い場合の例である(「(第1又は第2)音声が基づく情報の優先順位」は、以下では単に「(第1又は第2)音声の優先順位」とも称される)。なお、図3において、二点鎖線L1から左側には、第1処理装置10による処理が示され、右側には、第2処理装置20による処理が示されている。また、図4において、「処理装置間の交信」に示されるインパルスIn1、In2は、そのそれぞれの時点T1、T2で第1処理装置10と第2処理装置20との間で通知や指示が送られていることを示している。
【0068】
図3及び図4の例において、例えば検知手段50(図1参照)で、火災の発生などが検知されてその情報が第1処理装置10で取得されると(図3のステップS11)、第1処理装置10は、第1音声V1の発声を第2処理装置20に通知する(ステップS12、図4の時点T1のIn1)。一方、通信部2(図1参照)による通信で時事ニュースなどに関する音声情報を第2処理装置20が取得すると(図3のステップS21)、第2処理装置20は、第2音声V2の発声を第1処理装置10に通知する(ステップS22、図4の時点T1)。第1音声V1の発声通知によって、第1音声V1の優先順位が第2処理装置20に伝えられ、第2音声V2の発声通知によって、第2音声V2の優先順位が第1処理装置10に伝えられる。
【0069】
第1処理装置10において第1音声V1の音量が選択され(ステップS13)、第2処理装置20では第2音声V2の音量が選択される(ステップS23)。図3及び図4は、前述したように第1音声V1の優先順位の方が高い例を示しているので、第1音声V1の音量として第1音量が選択され、第2音声V2の音量として第2音量が選択される。この際、例えば第2処理装置20で第2音声V2の音量が選択されず、第2音声V2の優先順位を把握している第1処理装置10が第2音声V2の音量を選択して、第2処理装置20に第2音声V2の音量を指示してもいい(ステップS14)。そして、第1処理装置10は、第1音量の第1音声V1用の音声信号を出力装置40(図1参照)へと送信し(ステップS15)、第2処理装置20は、第2音量の第2音声V2用の音声信号を出力装置40へ送信する(ステップS24)。出力装置40からは、図4の時点T1以降の期間に示されるように、第1音声V1が第1音量で発せられ、並行して、第2音声V2が第2音量で発せられる。
【0070】
その後、検知情報に基づく第1音声V1の発声が終了すると(図3のステップS16、図4の時点T2)、第1処理装置10は、第2処理装置20に第1音声V1の発声終了を通知する(図3のステップS17、図4のIn2)。第1音声V1の発声終了の通知を受けた第2処理装置20は、第2音声V2の音量を第2音量から第1音量に変えて発声を継続させる(ステップS25)。図4の時点T2以降に示されるように、第1音量で第2音声V2が発せられる。その後、通信部2での音声情報の受信が終了すると、第2処理装置20からの音声信号の送出が停止され(ステップS26)、図4の時点T3以降に示されるように、出力装置40からいずれの音声も発せられなくなる。
【0071】
なお、図3及び図4の例において、低い音量で発せられている音声の発声が先に終了しても、高い音量で発せられている音声の発声は、その音量のまま継続されてよい。また、第2音声V2の優先順位の方が第1音声V1の優先順よりも高い場合は、第1音声V1が第2音量で発せられ、第2音声V2が第1音量で発せられるだけで、図3に示される処理と同様の処理で、二つの音声が互いに異なる音量で発せられる。その場合でも、第1処理装置10から第2処理装置20に第2音声V2の音量に関する指示が送られてもよい。さらに、これら二つの音声の優先順位の高低に依らず、第2処理装置20から第1処理装置10に、第1音声V1の音量についての指示が送られてもよい。
【0072】
<一実施形態の報知装置の他の例>
図5には、一実施形態の報知装置の他の例である報知装置101の主要な構成要素がブロック図で示されている。報知装置101は、第1処理装置10及び第2処理装置20それぞれと出力装置40との間に、第1音声V1又は第2音声V2の音量を低下させる減衰手段7を備えている点で、図1に示される警報器100と異なっている。また、図5の例では第1処理装置10及び第2処理装置20は、図1の警報器100においてこれら各処理装置が備えている音量調整部120を備えておらず、図5には、図1に示される検知情報源Isも示されていない。図5に示される報知装置101は、検知手段50としてガスセンサや、温度センサ及び煙センサなどの各種のセンサを備える、ガス警報器又は火災警報器などの警報器であり得る。しかし、減衰手段7を備える報知装置101においても、第1処理装置10及び第2処理装置20は、図1に示される音量調整部120のような音量調整手段を備えていてもよく、報知装置101の第1処理装置10が、図1に示される検知情報源Isのような情報源と接続されていてもよい。図5において、図1の例の警報器100の構成要素と同様の構成要素については、図1に付された符号と同じ符号が付されるか省略され、その構成要素に関する繰り返しとなる説明は省略される。
【0073】
図5に示されるように、報知装置101は、第1処理装置10と出力装置40との間、及び第2処理装置20と出力装置40との間、それぞれに、減衰手段7を備えている。二つの減衰手段7のうちの一方は、第1処理装置10と出力装置40との間の信号の伝達経路CL1に配置され、他方は、第2処理装置20と出力装置40との間の信号の伝達経路CL2に配置されている。伝達経路CL1に設けられている減衰手段7の入力端子7aは第1処理装置10に接続され、出力端子7bは出力装置40に接続され、制御端子7cは第2処理装置20に接続されている。伝達経路CL2に設けられている減衰手段7の入力端子7aは第2処理装置20に接続され、出力端子7bは出力装置40に接続され、制御端子7cは第1処理装置10に接続されている。
【0074】
伝達経路CL1に設けられている減衰手段7は、第2処理装置20の制御を受けて第1音声V1の音量を低下させるように動作し、伝達経路CL2に設けられた減衰手段7は、第1処理装置10の制御を受けて第2音声V2の音量を低下させるように動作する。第1処理装置10は、第1音声V1が第2音声V2よりも高い音量で第2音声V2と並行して発せられるときには、伝達経路CL2に設けられている減衰手段7を用いて第2音声V2の音量を低下させる。一方、第2処理装置20は、第2音声V2が第1音声V1よりも高い音量で第1音声V1と並行して発せられるときには、伝達経路CL1に設けられている減衰手段7を用いて第1音声V1の音量を低下させる。
【0075】
図6には、報知装置101における減衰手段7の一例が示されている。図6の例の減衰手段7は、トランジスタ71、抵抗72、及び抵抗73を備えている。直列接続された抵抗72と抵抗73の一端が入力端子7aに接続され、他端がトランジスタ71のコレクタに接続され、抵抗72と抵抗73との接続点が出力端子7bに接続されている。トランジスタ72のエミッタが接地され、ベースが制御端子7cに接続されている。トランジスタ71はスイッチング素子として動作し、トランジスタ71が非導通の状態では、第1処理装置10又は第2処理装置20から送られる音声信号Svは、抵抗72だけを通って、出力装置40に入力される。
【0076】
一方、第1音声V1と第2音声V2とを並行して発するべく第2音声V2又は第1音声V1の音量が低くされるときには、第1処理装置10又は第2処理装置20が、トランジスタ71を導通状態にする制御信号Scを制御端子7cへと出力する。制御信号Scによってトランジスタが導通状態となり、出力端子7bからは、抵抗72の抵抗値と抵抗73の抵抗値との比率による分圧で減衰された大きさの振幅を有する音声信号が出力され、出力装置40へと送られる。出力装置40からは、減衰された振幅に応じた、トランジスタ71が非導通状態であるときよりも低い音量の第1音声V1及び第2音声V2の一方が、他方と共に発せられる。このようにして、減衰手段7によって一方の音声の音量が低下される。
【0077】
報知装置101は、減衰手段7を備えているので、第1処理装置10及び第2処理装置20の一方が、例えば故障により第1音声V1又は第2音声V2の音量の調整が不能な状態に陥っても、他方の処理装置によって、音量調整不能となった処理装置の制御の下で発せられている音声の音量を低下させることができる。なお、図6の減衰手段7は、本実施形態の報知装置101に備えられる減衰手段7の一例に過ぎない。減衰手段7は、第1音声V1又は第2音声V2の音量を低下させ得るものであれば、特に図6の例の回路に限定されない。
【0078】
図6のような減衰手段7が備えられる場合、第1音声V1と第2音声V2とが並行して発せられるときにいずれか一方が固定的に他方よりも低い音量で発せられるのであれば、第1処理装置10と第2処理装置20との間で、図1の報知装置100について前述した発声通知の送信や優先順位についての交信は、必ずしも必要ではない。第1処理装置10と第2処理装置20のうちの、並行発声時に常に高い音量で発せられる音声を発しさせる処理装置が、自身が音声を発しさせるときに、並行発声か単独発声かに関わらず、低い音量で発せられる音声の音量を低下させる減衰手段7を作動させる。そうすることで、並行発声時には、二つの音声が異なる音量で並行して発せられる。また、このようにいずれか一方が固定的に他方よりも低い音量で発せられるのであれば、並行発声時に固定的に低い音量で発せられる音声の音量を低下させる減衰手段7だけが備えられてもよい。
【0079】
<第1音声と第2音声の並行発声時の処理フローの他の例>
図7及び図8を参照して、図6の報知装置101における第1音声V1と第2音声V2との並行発声の態様の一例を説明する。図7には、先に参照した図3と同様に、第1音声V1と第2音声V2とが並行して発せられるときの各処理装置での処理の手順が示されており、図8には、図7の処理手順に対応する、第1音声V1と第2音声V2それぞれの発声状態の推移が、図4と同様の方法で示されている。図7及び図8は、第2音声V2が先に発せられ、その発声中に第1音声V1が発し始められる例であり、第1音声V1の優先順位が第2音声V2の優先順位よりも高い場合の例である。また、図4において、制御信号Scのハイレベルは、減衰手段7が作動して第2音声V2の音量を低下させていることを示し、ロウレベルはこの減衰手段7が作動していないことを示している。なお、図3に示される処理フローの例の各ステップと同様のステップについては、図3に付された符号と同様の符号が図7において付され、それら各ステップについての繰り返しとなる説明は省略される。
【0080】
図7及び図8の例において、通信部2(図5参照)による通信で音声情報を第2処理装置20が取得すると(図7のステップS21)、第2処理装置20は、第2音声V2の発声を第1処理装置10に通知する(ステップS22)。第2音声V2の発声通知によって、第2音声V2の優先順位が第1処理装置10に伝えられる。第2処理装置20において第2音声V2の音量が選択される(ステップS23)。第2音声V2が単独で発せられるので第2音声V2の音量として第1音量が選択される。第2処理装置20は、第1音量の第2音声V2用の音声信号を出力装置40(図5参照)へ送信する(ステップS24)。出力装置40からは、第2音声V2が第1音量で発せられる(図8の時点T11)。
【0081】
その後、火災の発生などの検知情報が第1処理装置10で取得されると(図7のステップS11)、第1処理装置10において第1音声V1の音量が選択される(ステップS13)。図7及び図8は、前述したように第1音声V1の優先順位の方が高い例を示しているので、第1音声V1の音量として第1音量が選択される。また、第1処理装置10は、第2音声V2の音量を低下させる必要があることを認識し、第2処理装置20側に設けられた、第2音声V2の音量を低下させる減衰手段7を作動させる(ステップS18)。すなわち第1処理装置10は、減衰手段7を作動させる制御信号Scを送信する(図8の時点T12)。そして、第1処理装置10は、第1音量の第1音声V1用の音声信号を出力装置40へと送信する(ステップS15)。
【0082】
出力装置40からは、図8の時点T12以降の期間に示されるように、第1音声V1が第1音量で発せられる。その第1音声V1の発声と並行して、第2音声V2の発声が続けられる。時点T12以降の期間においても、第2処理装置20からは、図8において二点鎖線L2で示されるような第1音量で第2音声V2を発しさせる音声信号が出力されている。しかし、減衰手段7が作動しているので、時点T12までの第1音量よりも低い音量で第2音声の発声が継続される。
【0083】
図8の例では、時点T12以降では、第2音量で第2音声V2が発せられている。すなわち、減衰手段7は、作動時に第2音声V2の音量を第1音量から第2音量まで低下させるように構成されている。例えば、先に参照した図6の例の減衰手段7であれば、抵抗72の抵抗値と抵抗73の抵抗値との和に対する抵抗73の抵抗値の比率が、第1音量に対する第2音量の比率と略等しくなるように抵抗72及び抵抗73の抵抗値が選択される。
【0084】
その後、検知情報に基づく第1音声V1の発声が終了すると(図7のステップS16)、第1処理装置10は、第2音声V2の音量を低下させている減衰手段7の作動を終了させる(ステップS19)。すなわち、減衰手段7の作動を終了させる制御信号Scを送信する(図8の時点T13)。図8の時点T13以降に示されるように、減衰手段7の作動が終了するので、第2音声の音量が第2音量から第1音量に切り替わって、第1音量で第2音声V2の発声が継続される。その後、通信部2での音声情報の受信が終了すると、第2処理装置20からの音声信号の送出が停止され(ステップS26)、図8の時点T14以降に示されるように、出力装置40からいずれの音声も発せられなくなる。
【0085】
なお、図7の例においても、第1処理装置10は、第1音声V1の発声を始めるときに発声通知を第2処理装置20に通知してもよく(図7のステップS12)、第1音声V1の発声を終了するときに、発声終了通知を第2処理装置20に通知してもよい(図7のステップS17)。
【0086】
また、第2音声V2の優先順位の方が第1音声V1の優先順位よりも高い場合は、第1音声V1が発せられるときに第1処理装置10からの発声通知を受けた第2処理装置20が、第1音声V1の音量を低下させる減衰手段7を作動させ、第1音声V1が、第2音声V2よりも低い音量、例えば第2音量で発せられる。一方、第2音声の発声は、第1音量のまま継続される。なお、第1音声V1と第2音声V2とが同時に発し始められる場合は、第1音声V1及び第2音声V2の発声開始と共に減衰手段7が作動される。また、第1音声V1が先に発せられている場合も、図7において第1処理装置10と第2処理装置20との役割が入れ替わるだけで、第1音声V1及び第2音声V2の優先順位に応じた図7と同様の処理によって、第1音声V1と第2音声とが並行して発せられる。
【0087】
<実施形態の発報方法>
本発明の一実施形態の発報方法は、先に参照した図1及び図5に示されるような、取得される検知情報に基づく第1音声V1、及び外部機器Eとの通信に基づく第2音声V2を出力装置40から発する報知装置100のような報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法である。そして、本実施形態の発報方法は、図3又は図7を参照して説明した各ステップで行われる処理を含み得る。本実施形態の発報方法は、少なくとも、図3のステップS23で第2処理装置20が第2音声V2の音量を選択しているように、報知装置100に第1音声V1及び第2音声V2の一方の音声の音量を選択させることと、図3のステップS24及び図4の時点T1に示されるように、第2音量のような選択された音量で出力装置40に第2音声V2のような一方の音声を発しさせることと、を含んでいる。さらに本実施形態の発報方法は、少なくとも、図4の時点T1以降の期間において第1音声V1が第2音量よりも高い第1音量で発せられているように、第1音声V1及び第2音声V2のうちの、第2音声V2のような一方の音声と異なる他方の音声を、第2音量よりも高い第1音量で、一方の音声と並行して発しさせることを含んでいる。少なくともこれらのステップを含んでいるので、本実施形態の発報方法によれば、通信により得られる情報、及び報知装置において検知される情報の両方を、優先度が理解され易い状態で混乱なくユーザーに届けることができる。
【0088】
また、本実施形態の発報方法は、さらに、図7のステップS18において第1処理装置10が第2音声V2の音量を低下させる減衰手段7を作動させているように、第1音声V1及び第2音声V2のうちの第1音声V1のような他方の音声を発するときに、第2音声V2のような一方の音声の音量を低下させる減衰手段を作動させることを含んでいてもよい。前述したように、第1音声V1又は第2音声のうちの一方の発声を制御する第2処理装置20のような処理装置が故障などの場合でも、例えば他方の音声を制御する第1処理装置10のような処理装置によって、一方の音声の音量を低下させ得ることがある。
【0089】
なお、本実施形態の発報方法は、さらに、図3のステップS12及びステップS17で第1音声V1の発声通知と発声の終了通知が送られているように、第1音声V1及び第2音声V2のうちの一方を制御する第2処理装置20のような処理装置及び他方を制御する第1処理装置10のような処理装置に、音声の発声通知を互いに送信させてもよく、さらに音声発声の終了通知を互いに送らせてもよい。第1音声V1及び第2音声V2を、前述したような優先順位に沿った適切な大小関係を有する音量で並行して発声させることができる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0091】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動及びフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0092】
100、101 報知装置
10 第1処理装置
20 第2処理装置
21 通信装置
40 出力装置
41 音声発生装置
42 合成回路
50 検知手段
60 筐体
7 減衰手段
E 外部機器
I1 第1音声の発声指示
I2 第2音声の発声指示
V1 第1音声
V2 第2音声
【要約】
【課題】通信で得られる情報と報知装置で検知される情報の両方を、優先度が理解され易い状態で届けることができる報知装置及び報知装置における発報方法を提供する。
【解決手段】実施形態の報知装置100は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置10と、第1処理装置10と別個に設けられていて通信を制御する第2処理装置20と、第1処理装置10の制御により検知情報に基づく第1音声V1を発し、第2処理装置20の制御により通信に基づく第2音声V2を発する出力装置40と、を備えている。出力装置40は、第1音声V1の発声指示I1が送られると共に第2音声V2の発声指示I2が送られると、第1音声V1及び第2音声V2の両方を並行して発するように構成されており、並行して発せられる第1音声V1及び第2音声V2のいずれか一方の音声が他方の音声の音量よりも低い音量で発せられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8