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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】報知装置及び発報方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20231108BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20231108BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08B23/00 520D
G08B21/16
G08B17/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023042325
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 康介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和也
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-029040(JP,A)
【文献】特開2001-217959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、
前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、
前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく音声を発する出力装置と、
を備えている、通信機能を有する報知装置であって、
前記第2処理装置は、前記第1処理装置による制御を受けるように構成されると共に、前記通信による受信情報に基づく音声を前記出力装置に発声させるように構成されており、
前記第1処理装置は、音声の発声に関する前記第1処理装置による前記第2処理装置の制御における不具合を検知すると、前記第2処理装置の初期化を実行するように構成されている、報知装置。
【請求項2】
前記第1処理装置は、前記初期化として、前記第2処理装置に内蔵されているソフトウェアの初期化を前記第2処理装置に実行させるように構成されている、請求項1記載の報知装置。
【請求項3】
前記ソフトウェアは、前記第2処理装置のメモリに書き込まれているファームウェアである、請求項記載の報知装置。
【請求項4】
前記第1処理装置は、前記初期化として、前記第2処理装置に所定のリセット動作を実行させるように構成されている、請求項1記載の報知装置。
【請求項5】
前記第1処理装置は、前記所定のリセット動作の後に前記不具合が継続している場合に、前記第2処理装置に前記所定のリセット動作を継続的に実行させるように構成されている、請求項記載の報知装置。
【請求項6】
前記第1処理装置は、前記所定のリセット動作を連続的に実行することによって、前記所定のリセット動作の連続実行の間、前記第2処理装置による前記受信情報に基づく音声の発声を停止させる、請求項5記載の報知装置。
【請求項7】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、前記検知情報に基づく音声を発する出力装置と、外部機器との通信に基づく音声を前記出力装置に発声させる第2処理装置と、を備える報知装置に前記検知情報に基づく音声による報知を行なわせる発報方法であって、
前記第1処理装置に、音声の発声に関する前記第1処理装置による前記第2処理装置の制御における不具合の有無を検知させることと、前記第1処理装置に、前記不具合が生じている前記第2処理装置の初期化を実行させることと、
を含んでいる発報方法。
【請求項8】
前記初期化を実行させることは、前記第2処理装置に内蔵されているソフトウェアの初期化を前記第2処理装置に実行させることを含んでいる、請求項7記載の発報方法。
【請求項9】
前記初期化を実行させることは、前記第2処理装置に所定のリセット動作を実行させることを含んでいる、請求項7記載の発報方法。
【請求項10】
前記初期化を実行させることは、さらに、前記第2処理装置による前記所定のリセット動作の実行後に前記不具合が継続している場合に、前記第2処理装置に前記所定のリセット動作をさらに継続的に実行させることを含んでいる、請求項9記載の発報方法。
【請求項11】
取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、
前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、
前記第1処理装置及び前記第2処理装置とは別に設けられて前記第1処理装置及び前記第2処理装置を制御する機能を有する第3処理装置と、
前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく音声を発する出力装置と、
を備えている、通信機能を有する報知装置であって、
前記第3処理装置は、前記報知装置の所定の機能を制御する制御部を有し、
前記第2処理装置は、前記制御部による制御を受けるように構成されると共に、前記通信による受信情報に基づく音声を前記出力装置に発声させるように構成されており、
前記制御部は、音声の発声に関する前記制御部による前記第2処理装置の制御における不具合を検知すると、前記第2処理装置の初期化を実行するように構成されている、報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有する報知装置、及び報知装置における発報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサなどによって得られる各種の情報をユーザーに報せる報知装置が、一般家庭や、商業施設、及び工場などで用いられている。例えば、周囲環境を温度センサやガスセンサで監視して、異常な状態の検出に応じて警報を発してユーザーに危険を報せる警報器は、ユーザーの安全確保のために重要な役割を果たしている。近年、このような報知装置では、単純なビープ音だけでなく、多様な情報を伝えるメッセージを発し得るように、音声信号の処理装置や、スピーカなどの発声手段が備えられている。
【0003】
さらに、得られた情報を報知装置の周囲だけでなく遠方の関係者にも伝えられるように、通信機能を有する報知装置が普及している。そして、そのような通信機能を有する報知装置は、特定の通信先との交信だけではなく、広く情報を発信できるように、また、多くの情報を外部から入手して報知装置の周囲のユーザーの便益を高められるように、インターネットのようなネットワーク回線に接続可能なものも存在する。例えば、特許文献1には、警報メッセージを発するスピーカ、及び、インターネットへの接続を可能にするLANポートを備える警報器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-326360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の警報器では、前述したスピーカやLANポート、さらに、周囲環境を監視して警報機能を担うCOセンサなどの各種センサが、一つの信号処理回路に接続されている。そして、この一つの信号処理回路によって、警報器である報知装置の主機能である警報の報知機能に加えて、通信機能も制御されている。しかしこのような構成の場合、一つの信号処理回路で報知機能も通信機能も制御しているが故に、主機能である報知機能に支障を来たすことがある。例えば、新たな制御方式の取り込みやセキュリティレベルの向上のために繰り返される通信プロトコルのバージョンアップによって報知機能が影響を受けることがある。すなわち、このようなバージョンアップに伴って必要となる通信機能に関するソフトウェアのアップデート中に報知機能が機能停止に陥ったり、そのアップデートの不具合によって信号処理回路全体が動作不能に陥ったりすることが考えられる。このような報知機能の不具合は、ユーザーなどの安全確保という役割も担い得る報知装置にとって、至って好ましくない。
【0006】
このようなリスクを軽減する手段として、報知機能を制御する報知用信号処理装置と、通信機能を制御する通信用信号処理装置とを、互いに独立して個別に設けることが考えられる。しかしこのように信号処理装置を機能ごとに単に個別に設けて動作させると、インターネットなどを通じた外部機器との通信が、その内容次第で、主機能たる報知機能に影響を及ぼすことがある。例えば、音声情報が外部機器から送られてその情報が報知機能と共用のスピーカによって発せられる場合には、音声による警報などの速やかな報知が、通信により得られた情報を発する音声で阻害されることがある。
【0007】
このように通信に基づく音声で報知機能が阻害されないように、音声の発声に関して、報知機能などの各機能を制御する制御手段の制御の下で通信用信号処理装置を動作させることが考えられる。しかし、音声の発声に関して制御手段の制御の下で動作すべき通信用信号処理装置に、その制御から逸脱して独自にスピーカに音声を発声させるような不具合が生じることも考えられる。特に、外部のネットワークと繋がり得る通信用信号処理装置では、特定の信号の受信の結果、本来従うべき制御の通りに動作し得ない状態に陥ることも起こり得る。このような場合、やはり、警報などの音声が通信による情報の音声で掻き消されてユーザーに届かない状態となり、その結果、ユーザーなどの安全が脅かされることになり兼ねない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、通信により得られる情報に基づく発声が可能でありながら、その発声に阻害されずに音声による報知機能を適切に発揮し得る報知装置、及び報知装置における音声による発報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の報知装置は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、前記第1処理装置と別個に設けられていて外部機器との通信を制御する第2処理装置と、前記第1処理装置の制御により前記検知情報に基づく音声を発する出力装置と、を備えている、通信機能を有する報知装置であって、前記第2処理装置は、前記報知装置の所定の機能を制御する制御部による制御を受けるように構成されると共に、前記通信による受信情報に基づく音声を前記出力装置に発声させるように構成されており、前記制御部は、音声の発声に関する前記制御部による前記第2処理装置の制御における不具合を検知すると、前記第2処理装置の初期化を実行するように構成されている。
【0010】
上記報知装置は周囲環境の監視手段をさらに備えていてもよく、前記検知情報に基づく発報が、前記監視手段によって前記周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報の発報であってもよい。
【0011】
前記制御部は、前記初期化として、前記第2処理装置に内蔵されているソフトウェアの初期化を前記第2処理装置に実行させるように構成されていてもよい。
【0012】
前記ソフトウェアは、前記第2処理装置のメモリに書き込まれているファームウェアであってもよい。
【0013】
前記制御部は、前記初期化として、前記第2処理装置に所定のリセット動作を実行させるように構成されていてもよい。
【0014】
前記制御部は、前記所定のリセット動作の後に前記不具合が継続している場合に、前記第2処理装置に前記所定のリセット動作を継続的に実行させるように構成されていてもよい。
【0015】
本発明の報知装置における発報方法は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置と、前記検知情報に基づく音声を発する出力装置と、外部機器との通信に基づく音声を前記出力装置に発声させる第2処理装置と、を備える報知装置に前記検知情報に基づく音声による報知を行なわせる発報方法であって、前記報知装置の所定の機能を制御する制御部に、音声の発声に関する前記制御部による前記第2処理装置の制御における不具合の有無を検知させることと、前記制御部に、前記不具合が生じている前記第2処理装置の初期化を実行させることと、を含んでいる。
【0016】
上記発報方法において前記初期化を実行させることは、前記第2処理装置に内蔵されているソフトウェアの初期化を前記第2処理装置に実行させることを含んでいてもよい。
【0017】
上記発報方法において前記初期化を実行させることは、前記第2処理装置に所定のリセット動作を実行させることを含んでいてもよい。
【0018】
上記発報方法において前記初期化を実行させることは、さらに、前記第2処理装置による前記所定のリセット動作の実行後に前記不具合が継続している場合に、前記第2処理装置に前記所定のリセット動作をさらに継続的に実行させることを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信に基づく音声を発する報知装置において、その通信に基づく音声に阻害されることなく、音声による報知機能を適切に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態の報知装置の一例の構成を概略的に示すブロック図である。
図2】一実施形態の報知装置における第1処理装置による第2処理装置の初期化のための処理の幾つかの例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態の報知装置の他の例の構成を概略的に示すブロック図である。
図4図3の例の発声指示検知手段の構成の一例を示す回路図である。
図5】本発明の一実施形態の発報方法における手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る報知装置及び報知装置に音声による報知を行なわせる発報方法を説明する。但し、以下に説明される実施形態及び添付の図面は、本発明に係る報知装置又は報知装置に報知を行なわせる発報方法の一例を示しているに過ぎない。本発明に係る報知装置及び発報方法の構成及び作用は、以下に説明される実施形態及び添付の図面に例示される構成及び作用に限定されない。
【0022】
<一実施形態の報知装置の構成及び作用>
図1には、本発明の一実施形態の報知装置の一例である報知装置100の主要な構成要素がブロック図で示されている。一実施形態の報知装置100は、一例として、住居や工場などに設置されたり、ユーザーに携帯されたりして、報知装置100の周囲の環境を監視する。そして、報知装置100は、周囲の環境が特定の状態にある場合にはそれを検知して、例えば、警報を発したり信号を送ったりして、周囲環境が特定の状態、例えば人体や物的資産に危害が及び得る異常な状態にあることを周囲の人や所定の機器に報せる。すなわち、本実施形態の報知装置は一態様において警報器であり得る。この態様での報知装置100は、特定の状態として、例えば、火災の発生及びガス漏れのいずれか一方、又は両方を検知する。警報器である報知装置100が他に検知し得る特定の状態としては、一酸化炭素の濃度上昇、煙の充満、及び過剰な温湿度、などが例示されるが、警報器として機能する報知装置100が検知し得る特定の状態は、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態の報知装置は、周囲環境の状態の検知に基づく情報以外にも、取得される任意の情報をユーザーなどに報せるために機能し得る。例えば、報知装置100は、報知装置100自身の特定の状態への遷移や報知装置100における特定の処理の完了、又は、報知装置100と協働する別個の機器における特定の状態への遷移や特定の処理の完了、若しくはそのような別個の機器に対する人的操作、などを検知して、その検知によって取得された検知情報を、報知装置100の周囲のユーザーなどに報せてもよい。例えば、報知装置100は、建物の外壁に設置された被操作器への人的操作の検知に基づいて人の来訪を報せてもよい。また、報知装置100は、予め設定された時刻の到来などを報知してもよく、例えば調理機器における自動調理などのような、家庭用電化機器における所定の自動動作の開始や終了を報知してもよい。また、報知装置100は、工場などにおいて、故障や供給材料の枯渇などによる設備の停止や、各製造ロットのバッチ処理の終了などを報知してもよい。
【0024】
このように、実施形態の報知装置100は、報知装置100の実際の用途に応じて、取得される任意の検知情報に基づく報知を実行し得る。以下の説明には、報知装置100が警報器である場合についての例示が多く含まれるが、報知装置100は、報知装置100自らが取得する、又は報知装置100とは別個の機器が取得する、任意の検知情報に基づく報知を行なう装置であり得る。例えば、報知装置100は、警報器の他、情報取得に関する付随機能を有する音響機器、各種家庭用電化機器と共に提供される発声機能を有する付属器、又は、ビル内や工場内の各種管理システムに組み込まれる発声機器として、具現化されることがある。
【0025】
報知装置100は、図1に示されるように、報知部1及び通信部2を備えている。報知装置100は、さらに、制御部Cを備えている。制御部Cは、報知装置100に備わる所定の機能を制御する。報知部1は、報知装置100の内部又は外部で取得される検知情報をユーザーなどに報せる機能を担っている。報知装置100が警報器である場合、報知部1は、周囲環境の監視から監視結果に基づく警報の発報までの機能を含む警報機能を担っている。また、報知装置100が家庭用電化機器の付属器である場合、報知部1は、本体の家庭用電化機器における内部状態の変化や自動動作の進行状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。また、報知装置100が工場に設置される管理システムに組み込まれる場合、報知部1は、工場内の各種設備の稼働状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。
【0026】
報知装置100は、さらに通信機能を有しており、通信部2は報知装置100の通信機能を担っている。通信部2は、少なくとも報知装置100の外部からの信号を受信し、さらに、報知装置100の外部へと信号を送信してもよい。図1の例において報知装置100は、外部機器Eとの間で信号を送受する。
【0027】
報知装置100は、さらに、出力装置40を備えている。出力装置40は、報知部1から送られる指示に従って音声を発する。出力装置40は、さらに、通信部2から送られる指示に従って音声を発する。本開示において「音声」は、ヒトが声として発する音やヒトの声を模して人工的に生成された音だけでなく、楽曲の音、及び、雨風や波、又はヒト以外の生物などによって自然界で生成される特段の意味を有さない音、並びに、それらの録音後の再生音、などのあらゆる音を含んでいる。報知装置100は、報知装置100の構成部品を収容する筐体60を有しており、報知部1、通信部2、制御部C、及び出力装置40は、筐体60の中に収められている。
【0028】
さらに図1の例の報知装置100は、記憶手段を備えている。記憶手段は、報知装置100が所定の機能を果たすために取得、処理、使用、又は出力される任意の情報を記憶する。図1の記憶装置30は、記憶手段の一例である。記憶装置30に記憶される情報は、報知部1及び/又は通信部2によって書き込まれてもよく、報知部1及び/又は通信部2によって読み出されてもよい。記憶装置30は、例えば、報知装置100が従う命令が記述されたプログラムなどのソフトウェアを記憶してもよい。その場合、記憶装置30は、例えば、ROM、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(イレーサブルPROM)、EEPROM(エレクトリカリー・イレーサブルPROM)、又はフラッシュメモリなどであり得る。なお、報知装置100は、記憶装置30のような単独の記憶手段を備えていなくてもよい。
【0029】
<報知部>
報知部1は、第1処理装置10を含んでいる。図1の報知部1は、さらに監視手段50を備えている。図1の報知部1は、主に第1処理装置10及び監視手段50で構成され、例えば第1処理装置10及び監視手段50と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。第1処理装置10は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する。図1の報知装置100では、第1処理装置10によって制御される報知機能による発報をもたらす検知情報は、監視手段50によって取得されるか、或いは、検知情報源Isで取得又は生成される。監視手段50又は検知情報源Isで取得若しくは生成された検知情報は、第1処理装置10へと送られて第1処理装置10に取得される。検知情報源Isは、報知装置100と別個に、すなわち、筐体60の外部に設けられている。なお、検知情報源Isは必ずしも設けられる訳ではなく、略監視手段50のみから検知情報が取得されてもよい。
【0030】
第1処理装置10は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、内蔵されたプログラム、又は、図1の例の記憶装置30のような、第1処理装置10の外部のROMなどの記憶装置に格納されたプログラムに従って動作する。第1処理装置10は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有しており、監視手段50の動作を含む報知部1の動作を全体的に制御する。そして第1処理装置10は、必要に応じて出力装置40に音声を発しさせる。第1処理装置10は、監視手段50又は検知情報源Isによって得られる検知情報に基づく音声(第1音声)の発声指示I1を出力装置40に送出する。
【0031】
このように、第1処理装置10は、監視手段50による報知装置100の内部状態や周囲状況などの監視、その監視を通じて検知される事象に関する情報(検知情報)の取得、及び検知情報源Isからの検知情報の取得から、それら検知情報に基づく発報に至る動作を、全体的に制御するように構成されている。例えば報知装置100が警報器である場合、第1処理装置10は、周囲環境の監視動作中に、監視手段50による周囲環境の監視から、例えば出力装置40による警報の発報のような異常の報知に至る動作を全体的に制御する。
【0032】
なお、本明細書において、第1処理装置10、制御部C、若しくは報知装置100(又は、後述される第2処理装置20)が特定の動作又は処理を行うように(又は行わないように)「構成されている」は、各処理装置、制御部C、又は報知装置100にその特定の動作又は処理を行わせる(又は行わせない)命令が、各処理装置の動作や処理を記述するプログラムに含まれていることを含んでいる。
【0033】
監視手段50は、報知装置100の内部若しくは周囲の状況を監視して、監視を通じて、警報器の内部又は周囲の状態の変化や特定の状態への到達、若しくは報知装置100の内部での処理の進行状態を検知して、検知結果に基づく検知情報を生成する。例えば、監視手段50は、報知部1において特定の処理が始まってからの時間の経過を監視して所定時間の経過を検知するタイマーであり得る。監視手段50は、報知部1の内外の状態の推移や報知部1内での処理の進行に伴って生成又は受信される各種信号の生成状況や受信状況を監視して、内外の状態の変化や特定の処理の完了を示す所定の信号を検知する、電圧若しくは電流検知器であってもよい。これらの例において所定時間の経過や所定の信号を検知すると、監視手段50は、検知をしたことや、その検知内容を示す信号を検知情報として第1処理装置10に提供する。
【0034】
監視手段50は、報知装置100の周囲の物理現象について特定の変化や特定の状態の出現を検知してもよい。特に、報知装置100が警報器である場合、監視手段50は、報知装置100の周囲環境を監視する1以上の各種のセンサであり得る。センサとしての監視手段50は、周囲環境の監視を通じて監視データとして得られる、監視領域の物理現象に関する検知情報を取得する。図1の例の報知装置100において監視手段50は、報知部1や通信部2の構成要素と共に、筐体60内に設けられている。そのため、監視手段50は報知装置100の近傍の領域を監視することができる。
【0035】
報知装置100の監視手段50として機能する各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)又はプロパンガス(C38)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、煙センサ、臭気センサ、又は、部外者の立ち入りを検知する侵入センサなどであってよい。監視手段50は、これらセンサの1つ又は複数で構成され得る。警報器として機能する報知装置100において監視手段50は、好ましくは、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である。例えば、各種のガスセンサによって、報知装置100の周囲の空間におけるガス漏れが検知される。また、温度センサ及び煙センサなどによって、報知装置100の周囲での火災の発生が検知される。
【0036】
報知装置100が警報器である場合、第1処理装置10は、例えば、監視手段50による周囲環境の監視動作の開始や停止を制御する。また、第1処理装置10は、監視手段50から送られる検知情報が示す、一酸化炭素やガスの濃度、周囲の温度、及び、煙の濃度などが、所定の閾値を超えているか否かを判断する。そして、温度や濃度などが閾値を超えている場合には、例えばその超過の程度に応じて警報の態様(音声の鳴動の仕方や、後述する発光ダイオード等の発光部における発光の仕方など)を決定し、決定した方法で、出力装置40に警報を発報させる。
【0037】
検知情報源Isは、報知装置100と協働する別個の機器EEの内部若しくは周囲における状態の変化や特定の状態への到達、又は、別個の機器EEの内部での処理の進行状態を検知して、検知結果に基づく情報(検知情報)を生成する。すなわち、検知情報源Isは、監視手段50の例示において前述されたような、所定時間の経過を検知したり、別個の機器EEの内外における状態の変化や特定の処理の完了に伴う信号の生成を検知したりして、その検知情報を第1処理装置10に提供するタイマーや電圧検知器などであり得る。また、検知情報源Isは、別個の機器EEに設けられて周囲の物理現象を監視するセンサであってもよい。さらに、検知情報源Isは、別個の機器EEに対する人的な操作を検知してその操作に基づく信号を生成して検知情報として第1処理装置10に提供する各種の入力手段であってもよい。すなわち、検知情報源Isは、別個の機器EEに備えられた各種のスイッチや操作ボタン、キーボード、又はタッチパネルなどであってもよい。
【0038】
<制御部>
制御部Cは、報知装置100の任意の機能を直接又は間接的に制御する。制御部Cは、報知装置100の一部の機能を直接的に制御してもよく、報知装置100の一部又は全部の機能を直接又は間接的に制御してもよい。例えば制御部Cは、報知部1が担う機能を直接又は間接的に制御する。また制御部Cは、少なくとも、後述される通信部2が担う通信機能を、通信部2を介して間接的に制御する。図1に概念的に示されるように、図1の報知装置100では、制御部Cと報知部1とは、報知装置100の一部の構成要素を共有している。図1の報知装置100において制御部C及び報知部1それぞれが担う機能は重複していてもよい。従って、一例として、第1処理装置10が制御部Cを兼ねてもよい。すなわち、主に第1処理装置10によって制御部Cが構成されてもよい。
【0039】
また、他の例では、制御部Cと報知部1とが別個に構成されてもよい。その場合、第1処理装置10(及び後述の第2処理装置20)とは別に、マイコンやASICなどの半導体装置からなる第3処理装置(図示せず)が報知装置100に備えられてもよく、その処理装置を主要な構成要素として含む制御部Cが構成されてもよい。すなわち、図1の報知装置100は、マイコンやASICなどの半導体装置からなる処理装置を二つ備える本実施形態の報知装置の一例であるが、本実施形態の報知装置では、制御部Cを有する例えばマイコンなどの別の処理装置が設けられてもよい。従って、本実施形態の報知装置は、三つ以上の処理装置を含んでいてもよい。そして、三つ以上の処理装置のいずれか1以上が第1処理装置10として機能し、他のいずれか1以上が第2処理装置20として機能し、さらに他のいずれか1以上が、制御部Cの機能を有していてもよい。
【0040】
<通信部>
通信部2は、第2処理装置20及び通信装置21を含んでいる。通信部2は、主に第2処理装置20及び通信装置21で構成され、例えば第2処理装置20及び通信装置21と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。第2処理装置20は、報知装置100と外部機器Eとの通信に必要な動作を全体的に制御する。第2処理装置20は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、好ましくは、演算機能や記憶機能、及び比較機能などを有している。
【0041】
図1の第2処理装置20は記憶部20aを有しており、ソフトウェアSWが記憶部20aに書き込まれている。ソフトウェアSWは、第2処理装置20が行う動作に関する命令が記述された制御プログラムなどのソフトウェアを含んでいる。第2処理装置20はソフトウェアSWが含む命令に従って動作する。記憶部20aは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリなどの各種のメモリであり得る。
【0042】
第2処理装置20は、さらに、外部機器Eのような外部の機器と報知装置100との間の通信による受信情報に基づく音声(第2音声)を出力装置40に発声させるように構成されている。第2処理装置20は、例えば、図1に示されるような発声指示I2を出力装置40に送ることによって、受信情報に基づく音声を出力装置40に発声させる。
【0043】
音声を発しさせるべく第1処理装置10及び第2処理装置20それぞれから出力装置40に送られる発声指示I1、I2は、発せられる音の音量、長さ、音調、及び/又は音質などの情報を含む電気信号であり得る(以下では、このような電気信号を「音声信号」とも称する)。第1処理装置10及び第2処理装置20は、発しさせる音声に対応する適切な音声信号を、発声指示I1又は発声指示I2として出力装置40に送信してもよい。或いは、音声信号の送信に先行して、信号レベル、振幅、及び/又は、周波数などについて予め定められた特定の値や変化パターンを有する信号が、発声指示I1又は発声指示I2として出力装置40に送られてもよい。
【0044】
通信装置21は、無線通信又は有線通信によって外部機器Eとの間で信号を送受する。通信装置21は、外部機器Eと報知装置100との間で電気信号を送受するように構成された、集積回路装置や個々の部品からなる電気回路などのハードウェア(例えばASICなどからなる通信制御IC、又はモデムIC、及びその周辺回路)で構成される。通信装置21は、外部機器Eとの通信に必要となる、信号の変換(アナログ/デジタル変換や信号のレベル変換など)、信号の増幅、信号の合成及び分解、信号の変調及び復調、外部機器Eとの間のリンクの設定、及び/又は誤り制御、などを行う。通信装置21は、第2処理装置20と一体の集積回路装置として構成されていてもよい。
【0045】
報知装置100において通信部2は、無線回線又は有線回線を介して外部機器Eとの間で直接送受信を行ってもよく、無線回線又は有線回線で接続された、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークNを介して外部機器Eとの間で信号の送受信を行ってもよい。外部機器Eとしては、報知装置100以外の同種、又は検知対象の異なる警報器、並びに、報知装置100の動作を監視若しくは制御する、及び/又は、報知装置100での検知結果若しくは警報発報経過を収集して統計処理若しくは解析するサーバーのような情報処理装置が例示される。さらに、インターネットなどのネットワークNに繋がり得る報知装置100にとって外部機器Eは、各者各様の情報を提供する任意の個人又は機関がネットワークNに接続可能な態様で設置する、サーバー、データベース、及び/又は情報処理装置などであり得る。
【0046】
<出力装置>
出力装置40は、第1処理装置10の制御により、監視手段50や検知情報源Isで取得される検知情報に基づく音声を発する。出力装置40は、さらに、第2処理装置20の制御により、通信部2における通信に基づく音声を発する。従って出力装置40は、少なくとも、例えば、スピーカ及び/又はブザーなどのような音声の発生装置41を含んでいる。出力装置40は、スピーカなどの音声発生装置41を1つだけ含んでいてもよく、複数の音声発声装置41を含んでいてもよい。図1の例の出力装置40は、さらに、出力装置40に第1処理装置10から入力される音声信号及び第2処理装置20から入力される音声信号を増幅する増幅回路42を含んでいる。増幅回路42は、例えば、集積化された演算増幅器や、その周囲に配置される、トランジスタなどの能動素子及び抵抗器やキャパシタのような受動素子によって構成される。
【0047】
報知装置100が警報器である場合、出力装置40は、監視手段50で周囲環境の異常が検知されると、第1処理装置10の制御に従って、鳴動、及び/又は音響を発することにより警報を発する。すなわち、警報器として機能する報知装置100では、第1処理装置10の制御の下で行われる検知情報に基づく発報は、監視手段50によって周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報の発報であり得る。また、出力装置40は、警報を発する以外にも、報知装置100の状態や、警報を発するに至らない監視領域の環境に関する情報をユーザーなどに伝えるために動作してもよい。なお、報知装置100は、図1に示される、音声を発する出力装置40以外にも、報知装置100のユーザーの視覚を通じて検知情報を伝える、発光ダイオードやディスプレイなどの報知手段(図示せず)を含んでいてもよい。また、図1に示される出力装置40が、発光ダイオードなどの視覚的に警報を発する報知手段を含んでいてもよい。
【0048】
<制御部と第2処理装置との関係>
本実施形態の報知装置100では、第2処理装置20は、図1に示されるように、第1処理装置10及び制御部Cと別個に設けられている。そのため、例えば通信プロトコルのバージョンアップなどに応じて第2処理装置20のソフトウェアSWがアップデートされる場合に、そのアップデートの不具合によって報知機能が機能不全になるようなリスクが低減される。加えて、第2処理装置20は、通信で得られる情報に基づく音声を独自に出力装置40に発しさせることができる。外部機器Eからリアルタイムで得られる時事情報や気象情報などの各種の情報を、第1処理装置10や制御部Cに負荷をかけることなく、適時に且つ速やかに、ユーザーなどに音声によって伝えることができる。
【0049】
その一方で、第2処理装置20がこのように独自に出力装置40に発声をさせ得るように構成されていると、外部機器Eとの通信に基づいて発せられる音声で、監視手段50などによる検知情報に基づく警報などの音声による報知が阻害されることがある。そこで、本実施形態の報知装置100において第2処理装置20は、制御部Cによる制御を受けるように構成されている。すなわち、第2処理装置20は、制御部Cから特に指示がないときには、制御部C及び第1処理装置10から独立して自身の制御プログラムに従って独自に動作可能ではあるものの、制御部Cから特定の指示がある場合には、その指示に従って動作する。
【0050】
例えば、制御部Cから音声の発声の指示に関して特定の指示がある場合には、第2処理装置20は、外部機器Eとの通信で音声情報を取得中であっても、その音声情報に基づく音声を出力装置40に発しさせるか否かについて、制御部Cからの特定の指示に従う。例えば、検知情報に基づく音声が発せられる際に制御部Cが音声を発しないように第2処理装置20を制御するときには、第2処理装置20は、発声指示I2を出力装置40に送らない。
【0051】
報知装置100では、このように第2処理装置20が制御部Cの制御を受けるように構成されている。しかし、第2処理装置20が制御部Cの制御から逸脱してしまうような不具合が生じることも考えられる。例えば、前述したように第2処理装置20のソフトウェアSWのアップデートが不具合を含んでいると、別個に設けられている制御部C及び第1処理装置10の機能は直接影響を受けないが、第2処理装置20が制御部Cの制御に従い得なくなることがある。また、外部のネットワークNと繋がり得る第2処理装置20では、このような制御部Cの制御からの離反が、ネットワークNに繋がる任意の外部機器Eからの好ましくない情報の受信の結果としてもたらされることもある。さらに、制御部Cの制御を受け付けるべく設けられている第2処理装置20の特定の入力ポートが故障することも考えられる。
【0052】
このように第2処理装置20が制御部Cの制御から離反している状態では、監視手段50などによる検知情報に基づく音声が、外部機器Eとの通信に基づいて発せられる音声に掻き消されて、ユーザーなどに届かない、若しくは聴取され難くなることも起こり得る。すなわち、制御部Cの制御から逸脱して第2処理装置20が独自に動作し始めることによって、制御部Cによる第2処理装置20の音声の発声に関する制御にも不具合が生じることがある。
【0053】
そのため、本実施形態の報知装置100では、制御部Cは、音声の発声に関する制御部Cによる第2処理装置20の制御における不具合を検知すると、第2処理装置20の初期化を実行するように構成されている。以下では「音声の発声に関する制御部Cによる第2処理装置20の制御における不具合」を、単に「発声制御不具合」とも称する。本実施形態では、このように、発声制御不具合が生じている場合には、制御部Cによって第2処理装置20が初期化される。すなわち、制御部Cによって、第2処理装置20が、制御部Cの制御から逸脱して動作し始める前の状態に戻される。そして第2処理装置20は制御部Cの制御に従って動作する。例えば第1処理装置10が検知情報に基づく音声を発する際に、音声を発しないように制御部Cが第2処理装置20を制御するときには、第2処理装置20は、新たに音声情報を受信中若しくは受信後であっても、受信情報に基づく音声を出力装置40に発しさせない。
【0054】
従って、例えば音声による警報の発報のような、検知情報に基づいて第1処理装置10の制御の下で発せられる音声を、阻害されることなく、聴取し易い状態でユーザーに届けることができる。すなわち、本実施形態の報知装置は、通信により得られる情報に基づく発声が可能でありながら、その発声に阻害されずに音声による報知機能を適切に発揮することができる。なお、前述したように、第1処理装置10は制御部Cを兼ねてもよい。以下の説明では、特に制御部Cによる第2処理装置20の制御に関して、第1処理装置10が制御部Cを兼ねているものとして、実施形態の報知装置及び実施形態の発報方法が説明される。
【0055】
第2処理装置20の「初期化」は、第2処理装置20の構成要素の一部又は全部を、第2処理装置20の製造工場からの出荷時の状態若しくは報知装置100の稼働開始時の状態に戻すことであり得る。或いは、第2処理装置20の「初期化」は、第2処理装置20の構成要素の一部又は全部を、第2処理装置20の初期化後の状態として第2処理装置20内(例えば記憶部20a内)や記憶装置30内に記憶されている状態にすることであってもよい。制御部Cによる第2処理装置20の初期化において現に初期化される第2処理装置20の具体的な構成要素は、初期化されることによって第2処理装置20を制御部Cの制御から逸脱した状態から制御に従う状態へと復帰させるものであれば、特に限定されない。
【0056】
<第2処理装置の初期化の一例:リセット動作>
一例として、第1処理装置10が兼ねる制御部Cは、第2処理装置20の初期化として、第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させるように構成される。「所定のリセット動作」は、予め決定されて、例えば記憶部20a内に記憶されているソフトウェアSWに記述されている。「所定のリセット動作」は、一例として、第2処理装置20が次に実行する命令を記憶している記憶部20aのアドレスを保持するプログラムカウンタの値をゼロに設定(クリア)すること、若しくは予め決められた特定の値に設定することであり得る。また「所定のリセット動作」は、第2処理装置20が備えるRAMや各種レジスタのような一時記憶領域の記憶内容のクリア、又は一時記憶領域に予め決められた情報を記憶させることであってもよい。また「所定のリセット状態」は、第2処理装置20が備えるタイマーや入出力ポートの予め決められた状態への設定や、全ての割り込み処理の禁止であってもよい。第2処理装置20に上記のようなプログラムカウンタのクリアや一時記憶領域のクリアなどを実行させることによって、第2処理装置20を制御部Cの制御に従う本来の状態に復帰させ得ることがある。
【0057】
第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化として実行させる所定のリセット動作の例として上述した、プログラムカウンタのクリア、一次記憶領域のクリア、及び入出力ポートなどの所定の状態への設定などの一部を実行させてもよく全部を実行させてもよい。また、第1処理装置10は、所定のリセット動作の例として上述した各処理を第2処理装置20に任意の順序で段階的に実行させてもよい。例えば、第1処理装置10は、第2処理装置20に、先ず、発声指示I2の出力ポートなどの各ポートを特定の状態に設定させ、それでも発声制御不具合が解消しない場合は、次に一次記憶領域をクリアさせ、なお発声制御不具合が継続する場合は、プログラムカウンタをクリアさせてもよい。
【0058】
第1処理装置10からの「所定のリセット動作」の実行の指示を受けて第2処理装置20で具体的に実行される処理は、前述したように、例えば記憶部20aに記憶されているソフトウェアSWに記述されている。第1処理装置10からの所定のリセット動作の実行指示の態様(例えば、第2処理装置20へのリセット動作指示の送受に、第1処理装置10及び第2処理装置20のどの入出力ポートが用いられるか、など)ごとに、第2処理装置20で具体的に実行される処理が規定されていてもよい。
【0059】
第1処理装置10が兼ねる制御部Cは、第2処理装置20の初期化として所定のリセット動作を第2処理装置20に実行させた後に発声制御不具合が継続している場合に、第2処理装置20に所定のリセット動作を継続的に実行させるように構成されていてもよい。第2処理装置20がプログラムカウンタのクリアなどの所定のリセット動作の実行後も第1処理装置10の制御から逸脱した動作を続けるような状況であっても、所定のリセット動作を継続的に、例えば繰り返し実行させることによって、リセット動作の実行中は、第2処理装置20による処理を停止させることができる。すなわち、第2処理装置20の制御による通信に基づく音声の発声を停止することができる。この場合、第1処理装置10は、第2処理装置20に、好ましくは合間を開けずに連続して所定のリセット動作を繰り返し実行させる。
【0060】
<第2処理装置の初期化の他の例:ソフトウェアの初期化>
第1処理装置10が兼ねる制御部Cは、第2処理装置20の初期化として、上述した所定のリセット動作の他に、第2処理装置20に内蔵されているソフトウェアSWの初期化を第2処理装置20に実行させるように構成されていてもよい。前述したように、第2処理装置20は、記憶部20aに記憶されているソフトウェアSWが含む命令に従って動作する。第2処理装置20が従う命令を含むソフトウェアSWを、例えば第2処理装置20の工場出荷時や報知装置100の稼働開始時の状態に戻すことによって、第2処理装置20を第1処理装置10の制御に従う本来の状態に復帰させることができる。
【0061】
記憶部20aのような第2処理装置20のメモリに書き込まれているソフトウェアSWは、第2処理装置20についてのファームウェアであり得る。初期化されるソフトウェアが、第2処理装置20の内部回路や装置などの基本的な制御を司る機能を持つファームウェアであれば、その初期化によって、より確実に、第2処理装置20を第1処理装置10の制御に従う状態へと戻すことができる。ソフトウェアSWが初期化される場合、好ましくは、記憶部20aは、EEPROMやフラッシュメモリのような、容易に書き換え可能なメモリで構成される。
【0062】
<初期化処理>
第1処理装置10、第2処理装置20、及び記憶装置30を抜粋して示す図2を参照して、第2処理装置20を初期化するために、制御部Cを兼ねる第1処理装置10が行う処理の例について説明する。
【0063】
図2に示される例において第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化のための出力ポート(第1ポート)101を備えており、出力ポート101は、第2処理装置20が備える外部リセット端子201に接続されている。第2処理装置20は、外部リセット端子201に、ロウレベル(例えばGND電位)が入力されると、ソフトウェアSWに記述された所定のリセット動作を実行するように構成されている。一例として第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化として所定のリセット動作を実行させるときには、出力ポート101に接続された例えばトランジスタなどのスイッチング素子10aを導通させる。出力ポート101から外部リセット端子201にロウレベルが印加され、第2処理装置20において所定のリセット動作が実行される。
【0064】
また、第1処理装置10は、第2処理装置20が備えるパワーオンリセット機能を用いて第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させてもよい。すなわち、図2に示される例において第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化のために備える出力ポート(第2ポート)102から所定の信号を出力することによって、スイッチ10bの開閉状態を制御する。スイッチ10bは、第2処理装置20の電源端子Vccへの電源電圧VDDの供給ラインに配置されている。第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化として所定のリセット動作を実行させるときには、出力ポート102からスイッチ10bを、一旦、非導通状態へと制御する信号を出力する。電源VDDの供給が一旦絶たれた後に再開されるので、第2処理装置20のパワーオンリセット機能によって、第2処理装置20において所定のリセット動作が実行される。
【0065】
上記以外にも、第1処理装置10は、第2処理装置20が備えるウォッチドッグ機能を利用して第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させてもよい。例えば、第1処理装置10は、第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させるときに、第2処理装置20のウォッチドッグタイマカウンタのリフレッシュを停止させる信号を第2処理装置20に送ってもよい。第2処理装置20においてウォッチドッグタイマのオーバーフローが発生し、ウォッチドッグ機能によってリセット動作が起動される。第1処理装置10は、第2処理装置20に予め備えられた任意のリセット動作の起動手段を用いて、第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させることができる。
【0066】
また、図2の例において第2処理装置20が従うソフトウェアSWには、第2処理装置20が備える入力ポート202に所定の信号が入力されるとソフトウェアSWの初期化を実行するように命じる命令が記述されていてもよい。第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化としてソフトウェアSWの初期化を実行させるときには、入力ポート202に接続された出力ポート103(第3ポート)から、例えば、ハイレベル、若しくはロウレベル、又は、ハイレベルとロウレベルの一方から他方への遷移、などの所定の信号Sbを送出する。その結果、第2処理装置20においてソフトウェアSWの初期化が実行される。
【0067】
図2の例において第2処理装置20は、記憶部20aの特定の記憶領域である第1領域A1にソフトウェアSWを内蔵しており、そして、初期化用のソフトウェアSWiを第1領域A1とは異なる特定の記憶領域である第n領域に内蔵している。ソフトウェアSWiは、例えば、第2処理装置20がその製造工場からの出荷時や報知装置100の稼働開始時に従うように用意された制御プログラムを含んでいる。一例として、ソフトウェアSWiは、第2処理装置20の製造工場の出荷時や報知装置100の稼働開始時に第1領域A1に記憶されていたソフトウェアと同じソフトウェアであってもよく、初期化用に別途用意されたソフトウェアであってもよい。第2処理装置20は、入力ポート202への所定の信号の入力を受けてソフトウェアSWの初期化を行うときには、ソフトウェアSWに代わってソフトウェアSWiが実行されるように、第1領域A1の記憶内容を、第n領域AnのソフトウェアSWiで書き換えてもよい。その結果、第2処理装置20は、初期化用のソフトウェアSWiに記述された命令に従って動作するようになる。一例として、このようにソフトウェアSWの初期化による第2処理装置20の初期化が行われてもよい。
【0068】
なお、第2処理装置20のソフトウェアSWの初期化は、第2処理装置20内に記憶された初期化用ソフトウェアを用いて行われなくてもよい。例えば図2の例において、初期化用ソフトウェアSWiは、第2処理装置20の外部の記憶装置30にも記憶されている。第2処理装置20は、入力ポート202への所定の信号Sbの入力によりソフトウェアSWの初期化を行うときに、第1領域A1の記憶内容を、記憶装置30に記憶されているソフトウェアSWiで書き換えてもよい。第2処理装置20は、上記と同様に、初期化用のソフトウェアSWiに記述された命令に従って動作するようになる。
【0069】
第1処理装置10は、第2処理装置20が備えるブートローダを用いて、第2処理装置20に内蔵されるソフトウェアSWの初期化を行ってもよい。この場合、第2処理装置20は、外部からのリブートの指示を受け付けるように構成され、さらに、そのリブート指示の受信時に特定のポートが所定の状態にある場合には、ソフトウェアSWの初期化を実行するように構成される。図2の例において第2処理装置20は、入力ポート202で、リブートを指示する所定の信号Sbを受け付けるように構成され、その信号Sbの受信時に入力ポート203が、例えばロウレベルやハイレベルなどの所定の状態にある場合には、ソフトウェアSWの初期化を実行するように構成される。第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化としてソフトウェアSWの初期化を実行させるときには、入力ポート202に接続された出力ポート104から、例えば、ハイレベル、若しくはロウレベル、又は、ハイレベルとロウレベルの一方から他方への遷移、などのリブートを指示する所定の信号Sbを送出する。第1処理装置10は、さらに、その所定の信号Sbの送出と同時に、又は先立って、第2処理装置20の入力ポート203に接続された出力ポート104を、ハイレベル又はロウレベルの所定の状態に設定する。その結果、第2処理装置20において、ソフトウェアSWの初期化が実行される。
【0070】
なお、第2処理装置20の初期化として実行される、第2処理装置20内蔵のソフトウェアの初期化は、記憶部20aの記憶内容を書き換えずに、単に第2処理装置20が実行するプログラムを切り替えることによって行われてもよい。すなわち、図2の例において、第2処理装置20がソフトウェアSWの初期化を第1処理装置10から指示されると、第2処理装置20が、第1領域A1に記憶されているソフトウェアSWではなく、第n領域Anに記憶されているソフトウェアSWiに含まれている命令に従って動作するように構成されていてもよい。
【0071】
<発声制御不具合の検知>
図2の例において第1処理装置10と第2処理装置20とは、さらに、第1処理装置10からの信号を伝送する第1通信線CL1、及び第2処理装置20からの信号を伝送する第2通信線CL2で接続されている。第1処理装置10と第2処理装置20とは、第1通信線CL1及び第2通信線CL2を用いて、適宜、互いに通信を行う。第1処理装置10は、一例において、以下に説明するように第2処理装置20との通信を通じて、発声制御不具合を検知する。
【0072】
図2の例の第1処理装置10は、第1通信線CL1及び第2通信線CL2を用いて、所定の通信プロトコルで自身の状態(例えば音声による報知を実行中など)を定期的に第2処理装置20に報せている。両処理装置間の通信に用いられる所定のプロトコルは、一例として、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)であり得る。第2処理装置20は、所定のプロトコルに従って、第1処理装置10から定期通信信号Sstを受信すると応答信号Sakを返すように構成されている。第1処理装置10は、定期通信信号Sstを第2処理装置20に送信した後に所定の時間内に応答信号Sakを受け取るか否かによって、発声制御不具合を検知することができる。第1処理装置10は、所定の時間内に応答信号Sakを受け取らない場合に、発声制御不具合が生じていると判断する。
【0073】
また、第1処理装置10は、第1通信線CL1、若しくは、第1処理装置10と第2処理装置20との間の他の接続経路を介して、第2処理装置20に音声の発声を禁じる禁止指示I3を送るように構成されてもよい。禁止指示I3は、一例として検知情報に基づく音声を出力装置40(図1参照)に発しさせるときに第2処理装置20に送られる。一方で、第2処理装置20は、受信情報に基づく音声を出力装置40に発しさせるときに、その音声発声を報せる発声通知N2を、第2通信線CL2、若しくは、第2処理装置20と第1処理装置10との間の他の接続経路を介して、第1処理装置に送るように構成されていてもよい。この場合、第1処理装置10は、発声通知N2の受領に基づいて、発声制御不具合を検知することができる。すなわち、第1処理装置10は、禁止指示I3を送っているにも関わらず、発声通知N2が第2処理装置20から送られてくると、発声制御不具合が生じていると判断するように構成されていてもよい。
【0074】
<一実施形態の報知装置の他の例>
図3には、本実施形態の報知装置の他の例である報知装置101が示されている。報知装置101は、発声指示検知手段70を備えている点で、図1の例の報知装置100と異なっている。図3の報知装置101において図1の報知装置100に含まれる構成要素と同様の構成要素には、図1に付された符号と同じ符号が図3において付されるか適宜省略され、それら同様の構成要素についての重複する説明は省略される。なお図3の例においても第1処理装置10は制御部Cを兼ねていてもよく、以下では、第1処理装置10が制御部Cを兼ねているものとして図3の例が説明される。
【0075】
発声指示検知手段70は、第2処理装置20と出力装置40との接続経路CLと第1処理装置10との間に設けられており、第2処理装置20からの音声の発声指示I2を検知して、検知結果を第1処理装置10に通知する。発声指示検知手段70は、一例として、図4に示される回路で構成され得る。
【0076】
図4の例において、発声指示検知手段70は、コンパレータ71と、基準電圧源72とによって構成されている。コンパレータ71の非反転入力端子は、発声指示I2として音声信号が伝播する接続経路CLに接続される。発声指示I2として音声信号が送られる時には、コンパレータ71の非反転入力端子にも、発声指示I2の音声信号が入力される。一方、コンパレータ71の反転入力端子には、基準電圧源72で生成される基準電圧VREFが印加される。コンパレータ71の出力は、発声指示検知手段70の出力として機能し、第1処理装置10に検知結果を送る。基準電圧源72は、発声指示I2が出力されていないときの接続経路CLの電圧値よりも大きく、且つ、発声指示I2として出力される音声信号の電圧値を確実に下回る大きさの基準電圧VREFを生成する。従って、発生信号検知手段70の出力は。発声指示I2が送られていない間は、ロウレベルを出力し、発声指示I2が送られるとハイレベルを出力する。第1処理装置10は、発声指示検知手段70から送られる信号に基づいて、発声指示I2が送られているかどうかを把握することができる。
【0077】
図3の例の報知装置101において第1処理装置10は、第2処理装置20との間での禁止指示I3及び発声通知N2の送受に加えて、発声指示検知手段70から送られる信号に基づいて、発声制御不具合を検知してもよい。すなわち、禁止指示I3を送出しているにも拘わらず、発声指示検知手段70から、発声指示I2が送られていることを示す信号を受領すると、発声制御不具合が生じていると判断してもよい。また、発声通知N2が送られてきていないにも拘らず、発声指示I2が送られていることを示す信号を受領すると、発声制御不具合が生じていると判断してもよい。例えばこのようにして、第1処理装置10は発声制御不具合を検知する。なお、発声指示検知手段70は、第1処理装置10の内部に構成されていてもよい。また、第1処理装置10は、発声通知N2、及び、発声指示I2が送られていることを示す信号のいずれか一方だけを受け取ると、音声の発声に関して第2処理装置20に何らかの不具合が生じていると判断してもよい。
【0078】
また、第1処理装置10は、検知情報に基づく音声を出力装置40に発声させるときに、発声指示検知手段70を用いて、第2処理装置20から発声指示が送られているか否かを確認してもよい。例えば、第1処理装置10は、検知情報に基づく音声を発声させるときだけ、発声指示検知手段70を起動し、起動した発声指示検知手段70から送られる信号に基づいて、発声制御不具合を検知してもよい。例えばコンパレータ71のような発声指示検知手段70による消費電力を削減し得ることがある。
【0079】
第1処理装置10は、このように、直接第1処理装置10自身で、発声制御不具合を検知するように構成されていてもよいが、第1処理装置10は、発声制御不具合を間接的に検知するように構成されていてもよい。すなわち、報知装置100が、発声制御不具合を検知して検知結果を第1処理装置10に送る不具合検知手段(図示せず)を第1処理装置10と別個に備え、第1処理装置10が、不具合検知手段からの検知結果の受領によって発声制御不具合を検知してもよい。
【0080】
<実施形態の発報方法>
図5、並びに、図1図4を引き続き適宜参照して、本発明の一実施形態の発報方法を、図1又は図3に例示の報知装置100、101を例に、以下に説明する。図5は、本実施形態の発報方法における手順の一例を示すフローチャートである。図5において二点鎖線L1よりも左側には、本実施形態の発報方法の各ステップにおいて制御部Cに実行させる処理が示されている。また、二点鎖線L1の右側には、本実施形態の発報方法における各ステップに関連して第2処理装置20で行われる処理が示されている。
【0081】
本実施形態の発報方法は、一例として図1に示されるような、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置10と、検知情報に基づく音声を発する出力装置40と、外部機器Eとの通信に基づく音声を出力装置40に発声させる第2処理装置20と、を備える報知装置100のような報知装置に検知情報に基づく音声による報知を行なわせる発報方法である。ここで、第2処理装置20は、音声による報知を行なわせる報知装置の所定の機能を制御する制御部Cによる制御を受けるように構成されている。また、第1処理装置10は制御部Cを兼ねてもよい。そして、本実施形態の発報方法は、先に図2図4を参照して説明したように、制御部Cに、発声制御不具合(すなわち、音声の発声に関する制御部Cによる第2処理装置20の制御における不具合)の有無を検知させること(図5のステップS11)を含んでいる。本実施形態の発報方法は、さらに、制御部Cに、発声制御不具合が生じている第2処理装置20の初期化を実行させること(ステップS13)を含んでいる。
【0082】
本実施形態の発報方法によれば、発声制御不具合が生じている第2処理装置20が初期化される。すなわち第2処理装置20が、制御部Cの制御から逸脱する前の状態に戻される。初期化された第2処理装置20は制御部Cの制御に従って動作する。従って、検知情報に基づいて発せられる音声を阻害されずに聴取し易い状態でユーザーに届けることができる。このように本実施形態の発報方法によれば、報知装置において通信により得られる情報に基づく発声が可能でありながら、その発声に阻害されずに音声による報知機能を適切に発揮させることができる。
【0083】
図5において、第2処理装置20は、外部機器E(図1参照)との通信によって音声情報を受信すると、独自に、出力装置40に発声指示I2を送出する(ステップS21)。加えて、発声通知N2が第1処理装置10に送られてもよい(ステップS22)。ステップS11において、制御部Cを兼ねる第1処理装置10は、図2図4を参照して説明されたように、第2処理装置20に送出し得る禁止指示I3、第2処理装置20からの発声通知N2、及び発声指示I2を検知する発声指示検知手段70(図3参照)からの検知信号に基づいて、発声制御不具合の有無を検知する。そして発声制御不具合が発生していると(ステップS12で“Y”)、ステップS13において、制御部Cが第2処理装置20に初期化を実行させる。なお、音声制御不具合が発生していない場合は(ステップS12で“N”)、第2処理装置20は初期化を行うことなく、通信機能を制御する機能を継続して発揮すると共に、受信情報に基づく音声を発声させる機能を継続して発揮する。
【0084】
ステップS13において第2処理装置20に初期化を実行させることは、図2を参照して説明されたように、第2処理装置20に内蔵されているソフトウェアSWの初期化を第2処理装置20に実行させることを含んでいてもよく、第2処理装置20に所定のリセット動作を実行させることを含んでいてもよい。第2処理装置20において、所定のリセット動作又はソフトウェアSWの初期化が実行される(ステップS23)。
【0085】
なお、第2処理装置20の初期化として所定のリセット動作を実行させ、その所定のリセット動作の実行後に発声制御不具合が継続している場合(ステップS14で“Y”)には、図2を参照して説明されたように、第2処理装置20に所定のリセット動作をさらに継続的に実行させてもよい(ステップS15)。第2処理装置20において所定のリセット動作の実行後も発声制御不具合が継続するような状況でも、所定のリセット動作を継続的に、例えば繰り返し実行させることによって、リセット動作の実行中は、第2処理装置20による処理を停止させることができる。すなわち、第2処理装置20の制御による通信に基づく音声の発声を停止させ、第1処理装置10の制御による、音声による報知機能を適切に発揮させることができる。なお、第2処理装置20での所定のリセット動作又はソフトウェアの初期化の実行後、発声制御不具合が解消している場合は(ステップS14で“N”)、第2処理装置20は、所定のリセット動作を継続することなく、通信機能を制御する機能や受信情報に基づく音声を発声させる機能を発揮している。
【0086】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。例えば、前述したように、制御部Cは、第1処理装置10及び第2処理装置20とは別個の処理装置によって構成されていてもよい。その場合、図2において第1処理装置10の代わりに、制御部Cを構成する処理装置が、第2処理装置20の所定の入力ポートに特定のレベルを印加してもよく、第2処理装置20との間で所定の信号の送受を行ってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動及びフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0088】
100、101 報知装置
10 第1処理装置
20 第2処理装置
20a 記憶部
201 外部リセット端子
40 出力装置
50 監視手段
70 発声指示検知手段
C 制御部
E 外部機器
I1 第1処理装置からの音声の発声指示
I2 第2処理装置からの音声の発声指示
SW ソフトウェア
SWi 初期化用ソフトウェア
【要約】
【課題】報知装置において通信により得られる情報に基づく発声に阻害されずに適切に音声による報知機能を発揮する。
【解決手段】実施形態の報知装置100は、取得される検知情報に基づいて発報する報知機能を制御する第1処理装置10と、第1処理装置10と別個に設けられていて外部機器Eとの通信を制御する第2処理装置20と、第1処理装置10の制御により検知情報に基づく音声を発する出力装置40と、を備え、且つ、通信機能を有している。第2処理装置20は、報知装置100の所定の機能を制御する制御部Cによる制御を受けるように構成されると共に、通信による受信情報に基づく音声を出力装置40に発声させるように構成されており、制御部Cは、音声の発声に関する制御部Cによる第2処理装置20の制御における不具合を検知すると、第2処理装置20の初期化を実行するように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5