(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/519 20210101AFI20231108BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20231108BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20231108BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20231108BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20231108BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20231108BHJP
H01M 50/507 20210101ALN20231108BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/289
H01M50/284
H01G4/228 J
H01G11/10
H01G11/82
H01G11/76
H01M50/507
(21)【出願番号】P 2023052501
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2021070413の分割
【原出願日】2021-04-19
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 英明
(72)【発明者】
【氏名】大平 雄貴
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-014369(JP,A)
【文献】特開2019-050200(JP,A)
【文献】特開2019-192336(JP,A)
【文献】特開2015-156329(JP,A)
【文献】特開2018-045826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/014001(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107293794(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
H01G 2/02-2/06
H01G 4/228-4/252
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
前記電極端子に電気的に接続される可撓性基板と、
前記可撓性基板に接続されるコネクタと、
前記可撓性基板と前記コネクタとを保持するケースと、を備え、
前記ケースは、前記複数の蓄電素子に対して固定されるケース本体と、前記コネクタを保持するコネクタ保持部と、伸縮可能とされ、前記コネクタ保持部を前記ケース本体に対して移動自在に連結する連結部と、を備え、
前記可撓性基板は、前記ケース本体に固定される基板本体と、前記基板本体からのびて設けられ、端部に前記コネクタが接続される余長部と、を備え、
前記余長部は、前記連結部の伸縮に追従可能とされている、配線モジュール。
【請求項2】
前記連結部は、複数のヒンジを備えて構成されている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記コネクタ保持部は、前記コネクタを前記ケース本体に対して係止するための被係止部を備え、
前記ケース本体は、前記被係止部と係止する係止部を備える、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記ケースは、前記連結部の伸縮に伴って前記コネクタ保持部が移動することができる方向を規制するガイド部を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記可撓性基板と前記電極端子とは、バスバーを介して電気的に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子に装着される配線モジュールとして、特開2015-156329号公報に記載のものが知られている。この配線モジュールは、蓄電素子の電極ポストに、FFC(フレキシブルフラットケーブル)やFPC(フレキシブルプリント基板)などの可撓性を有する接続配線により構成される電圧監視線を備える。電圧監視線の一端には接続コネクタが接続されている。この接続コネクタは、電圧監視ユニットに設けられた機器側コネクタに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続コネクタと機器側コネクタとを嵌合させる作業は、例えば以下のように行われる。配線モジュールが装着された蓄電素子を所定の位置に固定し、機器側コネクタを所定の位置に固定する。接続コネクタを、機器側コネクタに接近させて宛がい、機器側コネクタに押し込む。これにより、接続コネクタと機器側コネクタとが嵌合される。
【0005】
上記の作業を行う場合、接続コネクタを機器側コネクタに接近させて宛がうために必要な長さ寸法に相当する部分と、接続コネクタを機器側コネクタに押し込むために必要な長さ寸法に相当する部分とが、電圧監視線に余長部として予め設けられている必要がある。この余長部は、接続コネクタと機器側コネクタとの嵌合作業時には、接続コネクタに追従して動くことが求められる。
【0006】
しかしながら、常に余長部が自由に動ける構成であると、振動等により、接続コネクタが動いて余長部に応力がかかるおそれがある。例えば、接続コネクタと機器側コネクタとの嵌合作業を行う前の状態において配線モジュールを搬送する際の振動や、接続コネクタと機器側コネクタとの嵌合作業が終了して車両に取り付けられた後の車両の振動により、接続コネクタが移動して、余長部に応力がかかる可能性がある。
【0007】
また、外部からの人為的な力が直接余長部に加わる場合も考えられる。例えば、接続コネクタと機器側コネクタとを嵌合させる際に、誤って接続コネクタを必要以上に引き出してしまった場合には、余長部に応力がかかるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、前記電極端子に電気的に接続される可撓性基板と、前記可撓性基板に接続されるコネクタと、前記可撓性基板と前記コネクタとを保持するケースと、を備え、前記ケースは、前記複数の蓄電素子に対して固定されるケース本体と、前記コネクタを保持するコネクタ保持部と、伸縮可能とされ、前記コネクタ保持部を前記ケース本体に対して移動自在に連結する連結部と、を備え、前記可撓性基板は、前記ケース本体に固定される基板本体と、前記基板本体からのびて設けられ、端部に前記コネクタが接続される余長部と、を備え、前記余長部は、前記連結部の伸縮に追従可能とされ、前記連結部よりも前記余長部が常に長く存在し、前記連結部が伸びきったとしても前記余長部はたるんだ状態となっている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、コネクタに接続された可撓性基板に応力がかかることを抑制することができる配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
【
図2】
図2は、コネクタ保持部がケース本体に係止された状態の蓄電モジュールの拡大平面図である。
【
図3】
図3は、連結部が伸びきった状態の蓄電モジュールの拡大平面図である。
【
図10】
図10は、コネクタと機器側コネクタとの嵌合について示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0012】
(1)本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、前記電極端子に電気的に接続される可撓性基板と、前記可撓性基板に接続されるコネクタと、前記可撓性基板と前記コネクタとを保持するケースと、を備え、前記ケースは、前記複数の蓄電素子に対して固定されるケース本体と、前記コネクタを保持するコネクタ保持部と、伸縮可能とされ、前記コネクタ保持部を前記ケース本体に対して移動自在に連結する連結部と、を備え、前記可撓性基板は、前記ケース本体に固定される基板本体と、前記基板本体からのびて設けられ、端部に前記コネクタが接続される余長部と、を備え、前記余長部は、前記連結部の伸縮に追従可能とされ、前記連結部よりも前記余長部が常に長く存在し、前記連結部が伸びきったとしても前記余長部はたるんだ状態となっている。
【0013】
このような構成によると、連結部が伸びきった状態で、余長部はたるんだ状態となっているため、余長部に応力がかかることを抑制することができる。
【0014】
(2)前記連結部は、複数のヒンジを備えて構成されていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、連結部がスムーズに伸縮しやすい。
【0016】
(3)前記コネクタ保持部は、前記コネクタを前記ケース本体に対して係止するための被係止部を備え、前記ケース本体は、前記被係止部と係止する係止部を備えることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、配線モジュールを搬送する際等に、コネクタをケース本体に固定することができる。
【0018】
(4)前記ケースは、前記連結部の伸縮に伴って前記コネクタ保持部が移動することができる方向を規制するガイド部を備えることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、コネクタの嵌合操作が行いやすい。
【0020】
(5)前記可撓性基板と前記電極端子とは、バスバーを介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によると、可撓性基板と電極端子との電気的接続が行いやすい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0023】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図10を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車などの車両を駆動するための電源として車両に搭載されるものである。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0024】
[蓄電素子]
図1に示すように、蓄電モジュール10においては、複数の蓄電素子11が前後方向に並んでいる(複数の蓄電素子11の後側部分は図示省略)。蓄電素子11は平面視において長方形状をしている。蓄電素子11の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子11は特に限定されず、二次電池でもよく、またキャパシタでもよい。本実施形態にかかる蓄電素子11は二次電池とされる。
【0025】
[電極端子]
図1に示すように、蓄電素子11の上面の左右両端部には、電極端子12が形成されている。電極端子12の一方は正極で、他方は負極である。複数の蓄電素子11において、電極端子12は、前後方向に連なって二列に配列されており、二列の電極端子12は、左右方向に離間している。右側の列をなす電極端子12には、接続バスバー13(バスバーの一例)が電気的に接続されている。左側の列をなす電極端子12には、接続バスバー13または出力バスバー14(バスバーの一例)が電気的に接続されている。
【0026】
[接続バスバー、出力バスバー]
接続バスバー13及び出力バスバー14は、金属板材が所定の形状にプレス加工されてなる。金属板材を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を選択できる。接続バスバー13及び出力バスバー14の表面には、図示しないメッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル、半田等、任意の金属を選択できる。
【0027】
図1に示すように、接続バスバー13は、前後方向に隣り合う電極端子12同士に跨った状態で電極端子12に接続される。出力バスバー14は、1つの電極端子12に接続されて外部機器へ電力を出力する。本実施形態における出力バスバー14は2つあって、最前部及び最後部の蓄電素子11の左側に配される電極端子12に接続されている(
図1では最前部の出力バスバー14のみ図示)。出力バスバー14及び接続バスバー13と、電極端子12とは、半田付け、溶接、ボルト締結等の公知の手法により、電気的に接続することができる。
【0028】
図1に示すように、接続バスバー13は、配線モジュール20の可撓性基板21と電気的に接続されるようになっている。本実施形態では、接続バスバー13は、ニッケル等の金属小片15を介して可撓性基板21に接続されている。接続バスバー13と金属小片15とは溶接により接続され、可撓性基板21と金属小片15とは半田付けにより接続されている。図示しないが、出力バスバー14も同様に可撓性基板21と接続されるようになっている。
【0029】
[配線モジュール]
図1に示すように、複数の蓄電素子11の上面には、配線モジュール20が載置されている。本実施形態にかかる配線モジュール20は、可撓性基板21と、可撓性基板21が接続されるコネクタ26と、可撓性基板21とコネクタ26とを保持するケース30と、を備える。蓄電モジュール10は、複数の蓄電素子11の右側に配される電極端子12に接続される配線モジュール20(
図1参照)と、複数の蓄電素子11の左側に配される電極端子12に接続される配線モジュール(図示省略)と、を備えて構成されるが、両者は同等の構成を有するため、本明細書では前者についてのみ詳細に説明する。
【0030】
[可撓性基板]
図1に示すように、可撓性基板21は、全体として前後方向に細長い短冊状をなす。可撓性基板21は、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により複数の電圧検知線(図示せず)が形成されて構成されている。本実施形態の可撓性基板21は、フレキシブルプリント基板とされている。
図7に示すように、可撓性基板21は、ケース本体31に固定される基板本体22と、基板本体22に連なって設けられる余長部25と、を備える。
【0031】
[基板本体]
図6に示すように、基板本体22には、貫通孔23が設けられており、ケース本体31の支柱部34Bが挿通されるようになっている。これにより、可撓性基板21のケース本体31に対する位置決め及び固定がされている。
図2に示すように、基板本体22は、右方に突出して設けられる基板側接続部24を有する。基板側接続部24は、金属小片15と接続される部分であり、図示しない電圧検知線の一端が配されている。
【0032】
[余長部、コネクタ]
図7に示すように、余長部25は、ケース本体31の前方に配され、ケース本体31に固定されていない。すなわち、余長部25は、ケース本体31に対して移動可能とされている。余長部25の前端部にはフレキシブルプリント基板用のコネクタ26が接続されている。コネクタ26の内部には図示しない端子が収容されている。この端子は、可撓性基板21の電圧検知線の他端(図示せず)に電気的に接続されている。
【0033】
図10に示すように、コネクタ26は、外部のECU(Electronic Control Unit)等に設けられた機器側コネクタ27に接続されるようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0034】
[ケース]
ケース30は、絶縁性の合成樹脂から構成され、板状をなしている。
図2に示すように、ケース30は、複数の蓄電素子11に対して固定されるケース本体31と、コネクタ26を保持するコネクタ保持部41と、ケース本体31とコネクタ保持部41とを連結する連結部39と、を備える。
【0035】
[ケース本体]
図2に示すように、ケース本体31の右側には、一部底の抜けた枠状をなすバスバー配設部32が設けられている。バスバー配設部32には、接続バスバー13が配設されるようになっている。ケース本体31の左側には、可撓性基板21の基板本体22を保持する基板保持部33が設けられている。
図1に示すように、バスバー配設部32と、バスバー配設部32と略同一の前後方向の寸法を有する基板保持部33と、を備えて構成される部材は、単位ユニット37とされている。全体を図示しないものの、ケース30は、前後方向に並ぶ複数の単位ユニット37がリンク部38により互いに接続されて構成されている。リンク部38を設けることで、電極端子12に対する接続バスバー13の組み付け公差を吸収することができる。
【0036】
図6に示すように、基板保持部33は、基板本体22が載置される基板載置部34と、基板本体22を上方から覆う基板カバー部35と、を備える。基板載置部34には、可撓性基板21を位置決めするための支柱部34Bが上方に突出して設けられている。基板載置部34と基板カバー部35とは、ヒンジ状の結合部36により結合されている。また、基板カバー部35には係止突起35Aが設けられ、基板載置部34の係止受け部34Aと係止するようになっている。すなわち、基板本体22は、基板載置部34と基板カバー部35との間に収容されるようになっている。基板カバー部35が設けられることにより、基板本体22の外部への露出が抑えられており、基板本体22に外部からの力がかかりにくくなっている。
【0037】
[連結部]
図2及び
図3に示すように、前端部の単位ユニット37は、基板カバー部35の前端部から延出される2つの連結部39を有する。
図8及び
図9に示すように、連結部39は複数のヒンジ40を備えて設けられている。ヒンジ40は左右方向(図示紙面垂直方向)にのびる溝状をなして肉薄に形成され、撓み可能に設けられている。連結部39は、キャタピラ状となっており、折り畳まれた状態(
図8参照)と展開状態(
図9参照)との間で伸縮可能とされている。連結部39は、
図9においては、前後方向に伸びているが、上下方向や斜め上方向にも伸縮可能である。連結部39の基板カバー部35に接続される端部と反対側の端部には、コネクタ保持部41が設けられている。
【0038】
[コネクタ保持部]
図4に示すように、コネクタ保持部41は、コネクタ26の上下左右の外面の一部を覆うようにしてコネクタ26を保持している。コネクタ保持部41は、基板保持部33と同様に、結合部42、係止突起43、係止受け部44を備え、コネクタ26に上方及び下方から組み付けられるようになっている。
図8に示すように、コネクタ保持部41の上壁にはコネクタ26に後方から当接する後方当接部45が設けられ、コネクタ保持部41の下壁にはコネクタ26に前方から当接する前方当接部46が設けられている。後方当接部45及び前方当接部46がコネクタ26に当接することで、コネクタ26がコネクタ保持部41から前後方向に抜けないようになっている。コネクタ保持部41の上壁は、後端部において連結部39とつながっている。
【0039】
図8及び
図9に示すように、コネクタ保持部41は、伸縮可能な連結部39を介してケース本体31(基板カバー部35)に連結されているため、ケース本体31に対して前後方向及び上下方向に移動自在とされている。また、前後方向や上下方向に比べると可動範囲が少ないものの、コネクタ保持部41は、ケース本体31に対して左右方向にも移動可能である。連結部39が伸縮することによってコネクタ保持部41(及びコネクタ26)が移動すると、コネクタ26に接続された余長部25も追従できるようになっている。
【0040】
図8に示すように、配線モジュール20の前端部の基板載置部34の前側には、余長部収容部54が設けられている。余長部収容部54は、余長部25を収容し、余長部25が外部へ露出することを抑制している。余長部収容部54は、基板載置部34に対して下方に窪んだ形状をなしている。これにより、余長部25を折り畳むようにして、余長部収容部54に収めることができる。また、連結部39が縮んだ状態で、コネクタ保持部41を余長部25とともに余長部収容部54に配することで、コネクタ26が上方に突出することを抑制することができ、配線モジュール20を低背化することができる。
【0041】
図3は、連結部39がケース本体31に対して前方に伸びきった状態を示している。この状態では、コネクタ26はこれ以上前方に移動することができないようになっている。連結部39が伸びきった状態において、
図9に示すように、余長部25はたるんだ状態となっている。すなわち、連結部39の前後方向における最大寸法よりも余長部25は長く設定されている。ここで、連結部39の前後方向における最大寸法とは、ケース本体31の前端部からコネクタ26の後端面までの寸法のことをいう。なお、
図9においては、連結部39がケース本体31に対して前方に伸びている状態となっているが、これに限られることはなく、例えば連結部39が上方や後方に伸びていても余長部25はたるんだ状態となる。
【0042】
したがって、連結部39が伸びきった状態でも余長部25には応力がかからないようになっている。例えば、
図10に示すように、コネクタ26と機器側コネクタ27との嵌合時等に、コネクタ26が引っ張られて連結部39が伸びきったとしても、余長部25がたるんだ状態は保たれるため、余長部25には負荷がかかりにくくなっている。
【0043】
[被係止部、ガイド凸部]
図3に示すように、コネクタ保持部41の上壁の左右中央部における後側には、後方にのびるスライド板部47が設けられている。スライド板部47の後側には、上下方向に貫通する孔状の被係止部48が設けられている。スライド板部47の被係止部48より前側の左右両端部には、スライド板部47の両側縁に突出するガイド凸部49(ガイド部の一例)が設けられている。
図7に示すように、スライド板部47の後端部には、段差を介して操作部50が設けられている。
【0044】
[係止部]
図3に示すように、基板カバー部35の左右中央部における前端部には、スライド板部47を受け入れるスライド板部収容部51が設けられている。
図7に示すように、スライド板部収容部51の中央部には、上方に突出する係止部52が設けられている。係止部52の後端部は、切り立った面となっている。係止部52の前側部分は、前方に向かうほど下側に位置するテーパ面とされている。スライド板部47をスライド板部収容部51内に滑らせるようにして後方に移動させると、係止部52が被係止部48と係止するようになっている。係止部52と被係止部48とが係止することにより、連結部39が縮んだ状態で、コネクタ保持部41(ひいてはコネクタ26)をケース本体31に固定することができる。このように係止部52と被係止部48とが係止した状態を、以下、係止状態とする。
【0045】
[ガイド凹部]
図3に示すように、スライド板部収容部51の前側の左右両端部には、溝状をなすガイド凹部53(ガイド部の一例)が設けられている。
図5に示すように、係止状態において、ガイド凹部53はガイド凸部49と当接するようになっている。
【0046】
図7に示すように、スライド板部47の操作部50は、基板カバー部35の上方に間隔をあけて設けられている。よって、係止状態において、操作部50を上方に引き上げながらスライド板部47を前方に移動させることにより、係止部52と被係止部48との係止が外れるようになっている。
図5に示すように、係止状態ではガイド凸部49とガイド凹部53とが摺接しているため、スライド板部47を前方にスライドする際、ケース本体31に対してコネクタ保持部41が移動可能な方向を概ね前後方向に規制することができる。したがって、係止部52と被係止部48との係止を外して、コネクタ26を機器側コネクタ27に接続する作業が行いやすくなっている(
図10参照)。
【0047】
図3に示すように、本実施形態では、連結部39及びスライド板部47は、余長部25の上方に配されるようになっているため、余長部25の外部への露出を抑制することができる。また、連結部39、被係止部48、係止部52、ガイド凸部49、ガイド凹部53等の部材を可撓性基板21の上方に配することにより、配線モジュール20を左右方向に小型化することができる。
【0048】
[実施形態1の作用効果]
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
本実施形態にかかる配線モジュール20は、電極端子12を有する複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、電極端子12に電気的に接続される可撓性基板21と、可撓性基板21に接続されるコネクタ26と、可撓性基板21とコネクタ26とを保持するケース30と、を備え、ケース30は、複数の蓄電素子11に対して固定されるケース本体31と、コネクタ26を保持するコネクタ保持部41と、伸縮可能とされ、コネクタ保持部41をケース本体31に対して移動自在に連結する連結部39と、を備え、可撓性基板21は、ケース本体31に固定される基板本体22と、基板本体22からのびて設けられ、端部にコネクタ26が接続される余長部25と、を備え、余長部25は、連結部39の伸縮に追従可能とされ、連結部39よりも余長部25が常に長く存在し、連結部39が伸びきったとしても余長部25はたるんだ状態となっている。
【0049】
上記の構成によれば、連結部39が伸びきった状態で、余長部25はたるんだ状態となっているため、余長部25に応力がかかることを抑制することができる。
【0050】
本実施形態では、連結部39は、複数のヒンジ40を備えて構成されている。
【0051】
上記の構成によれば、連結部39がスムーズに伸縮しやすい。
【0052】
本実施形態では、コネクタ保持部41は、コネクタ26をケース本体31に対して係止するための被係止部48を備え、ケース本体31は、被係止部48と係止する係止部52を備える。
【0053】
上記の構成によれば、配線モジュール20を搬送する際等に、コネクタ26をケース本体31に固定することができる。
【0054】
本実施形態では、ケース30は、連結部39の伸縮に伴ってコネクタ保持部41が移動することができる方向を規制するガイド凸部49及びガイド凹部53を備える。
【0055】
上記の構成によれば、コネクタ26の嵌合操作が行いやすい。
【0056】
本実施形態では、可撓性基板21と電極端子12とは、接続バスバー13または出力バスバー14を介して電気的に接続されている。
【0057】
上記の構成によれば、可撓性基板21と電極端子12との電気的接続が行いやすい。
【0058】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、可撓性基板21はフレキシブルプリント基板とされたが、これに限られることはなく、可撓性基板はフレキシブルフラットケーブルでもよい。
(2)上記実施形態では、ケース30はガイド部としてガイド凸部49とガイド凹部53とを備えていたが、これに限られることはなく、ガイド部が設けられない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12: 電極端子
13: 接続バスバー
14: 出力バスバー
15: 金属小片
20: 配線モジュール
21: 可撓性基板
22: 基板本体
23: 貫通孔
24: 基板側接続部
25: 余長部
26: コネクタ
27: 機器側コネクタ
30: ケース
31: ケース本体
32: バスバー配設部
33: 基板保持部
34: 基板載置部
34A: 係止受け部
34B: 支柱部
35: 基板カバー部
35A: 係止突起
36: 結合部
37: 単位ユニット
38: リンク部
39: 連結部
40: ヒンジ
41: コネクタ保持部
42: 結合部
43: 係止突起
44: 係止受け部
45: 後方当接部
46: 前方当接部
47: スライド板部
48: 被係止部
49: ガイド凸部
50: 操作部
51: スライド板部収容部
52: 係止部
53: ガイド凹部
54: 余長部収容部