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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電子レンジ調理用指示書付食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20231108BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20231108BHJP
   A23L 23/10 20160101ALI20231108BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L7/109 E
A23L23/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023126452
(22)【出願日】2023-08-02
【審査請求日】2023-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2022年11月16日 プレゼンテーション資料にて発表 2.2022年12月23日 他 別紙の通り 別紙記載の刊行物にて発表 3.2023年2月3日 他 別紙の通り 別紙記載のウェブサイトにて発表 4.2023年2月16日 他別紙の通り 別紙記載のウェブサイトにて発表 5.2023年3月13日 パキット発表会(新製品発表会)にて発表 6.2023年3月13日 全国販売にて発表 7.2023年4月1日 別紙記載の広告にて発表 8.2023年4月27日 他 別紙の通り 別紙記載の番組にて発表 特30条記事欠損あり
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592061902
【氏名又は名称】株式会社永谷園ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 真二
(72)【発明者】
【氏名】篠原 由加里
(72)【発明者】
【氏名】宮本 朋子
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-233516(JP,A)
【文献】特開2010-233515(JP,A)
【文献】特開2012-231745(JP,A)
【文献】レンジだけ=☆+。簡単蒸しパスタレシピ・作り方,[online],2011年02月10日,[2023年10月12日検索], Retrieved from the Internet:<URL: https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1900001148/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用する電子レンジ調理用指示書付食品であって、
調味液と固形具材とを含み、水で希釈することにより、前記調味液の水希釈液と前記固形具材とを含んだ前記パスタソース希釈物を生成するパスタソースと、
前記パスタソースを希釈する水の量並びに前記乾燥パスタを入れた前記パスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載された指示書と
を備え、
前記パスタソースを前記指示書に記載された前記量の水で希釈した場合に生成する前記パスタソース希釈物は、25℃における前記水希釈液の粘度が130mPa・s以下であり且つ25℃における前記水希釈液の可溶性固形分濃度が16質量%以下である電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項2】
マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用する電子レンジ調理用指示書付食品であって、
調味液の水希釈液と固形具材とを含んだ前記パスタソース希釈物と、
前記乾燥パスタを入れた前記パスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載された指示書と
を備え、
前記水希釈液は、25℃における粘度が130mPa・s以下であり且つ25℃における可溶性固形分濃度が16質量%以下である電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項3】
前記加熱条件は、前記マイクロ波加熱による加熱時間を含み、前記蒸らし条件は、電子レンジの庫内での放置時間を含んだ請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項4】
前記加熱時間に対する前記放置時間の比は、0.1乃至3.3の範囲内にある請求項3に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項5】
前記加熱時間と前記放置時間との合計は6乃至20分の範囲内にある請求項4に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項6】
前記指示書には、前記パスタソース希釈物と共に加熱するべき前記乾燥パスタの量が更に記載された請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項7】
前記水希釈液の量は、前記乾燥パスタの前記量に対して、質量基準で1.5乃至3.0倍の範囲内にある請求項6に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項8】
前記乾燥パスタを更に備えた請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【請求項9】
前記水希釈液の量は、前記乾燥パスタの量に対して、質量基準で1.5乃至3.0倍の範囲内にある請求項8に記載の電子レンジ調理用指示書付食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ調理用指示書付食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パスタ料理の簡便な調理法として、乾燥パスタと、パスタソースを収容したレトルトパウチとを使用した方法が広く利用されている。しかしながら、乾燥パスタを喫食可能な状態にするためには、熱水を準備し、熱水中でパスタを茹で、その後、パスタの湯切りを行うなどの様々な作業が必要である。また、パスタソースについても、喫食可能な状態にするためには、熱水の準備及びレトルトパウチの湯煎等の作業が必要である。
【0003】
近年、調理に伴う作業を更に軽減する要求が高まっている。そのような状況下、電子レンジで調理することにより喫食可能となる食品として、糊化させたパスタとパスタソースとを冷凍してなる冷凍食品が広く普及しつつある。しかしながら、このような冷凍食品は、冷凍パスタが嵩張るため、冷凍庫内で広い空間を占有する。
【0004】
また、乾燥パスタと、粉末状のパスタソースと、これらを収容した容器とを含んだ電子レンジ調理用食品も提案されている(特許文献1)。この電子レンジ調理用食品は、乾燥パスタを収容した容器へ水と粉末状のパスタソースとを投入し、その後、電子レンジで加熱することにより喫食可能となる。このような電子レンジ調理用食品は、常温保存が可能であるため、冷蔵庫内の空間を占有することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-211974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、保存に冷凍が不要であり、軽減された作業で品質に優れたパスタ料理を調理可能とする食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用する電子レンジ調理用指示書付食品であって、調味液と固形具材とを含み、水で希釈することにより、前記調味液の水希釈液と前記固形具材とを含んだ前記パスタソース希釈物を生成するパスタソースと、前記パスタソースを希釈する水の量並びに前記乾燥パスタを入れた前記パスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載された指示書とを備え、前記パスタソースを前記指示書に記載された前記量の水で希釈した場合に生成する前記パスタソース希釈物は、25℃における前記水希釈液の粘度が130mPa・s以下であり且つ25℃における前記水希釈液の可溶性固形分濃度が16質量%以下である電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0008】
本発明の他の側面によると、マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用する電子レンジ調理用指示書付食品であって、調味液の水希釈液と固形具材とを含んだ前記パスタソース希釈物と、前記乾燥パスタを入れた前記パスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載された指示書とを備え、前記水希釈液は、25℃における粘度が130mPa・s以下であり且つ25℃における可溶性固形分濃度が16質量%以下である電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0009】
本発明の更に他の側面によると、前記加熱条件は、電子レンジによる加熱時間を含み、前記蒸らし条件は、前記電子レンジの庫内での放置時間を含んだ上記側面の何れかに係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、前記加熱時間に対する前記放置時間の比は、0.1乃至3.3の範囲内にある上記側面に係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、前記加熱時間と前記放置時間との合計は5乃至18分の範囲内にある上記側面の何れかに係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、前記指示書には、前記パスタソース希釈物と共に加熱するべき前記乾燥パスタの量が更に記載された上記側面の何れかに係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0013】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記乾燥パスタを更に備えた上記側面の何れかに係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、前記水希釈液の量は、前記乾燥パスタの量に対して、質量基準で1.5乃至3.0倍の範囲内にある上記側面の何れかに係る電子レンジ調理用指示書付食品が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、保存に冷凍が不要であり、軽減された作業で品質に優れたパスタ料理を調理可能とする食品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る電子レンジ調理用指示書付食品(以下、指示書付食品と略記することがある)は、マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用するものである。この指示書付食品は、パスタソースと指示書とを含んでいる。パスタソースは、容器に収容されている。後述するように、この指示書付食品は、ユーザが乾燥パスタを別途用意することと、パスタソース希釈物を得るための水によるパスタソースの希釈をユーザが行うこととを想定したものである。
【0018】
・パスタソース
パスタソースは、例えば、カルボナーラパスタ等のクリーム系パスタ料理に使用するクリーム系ソース、ボロネーゼパスタ等のトマト系パスタ料理に使用するトマト系ソース、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ等のオイル系パスタ料理に使用するオイル系ソース、又は、ジェノベーゼパスタ、たらこパスタ及び明太子パスタ等のその他パスタ料理に使用するその他ソースである。
【0019】
パスタソースは、調味液と固形具材とを含んでいる。パスタソースは、水で希釈することにより、調味液の水希釈液と固形具材とを含んだパスタソース希釈物を生成する。
【0020】
ここで、「固形具材」は、パスタソースを指示書に記載された量の水で希釈してパスタソース希釈物を生成し、このパスタソース希釈物の品温を60℃とし、これを目開きが1mmのメッシュへ供給し、続いて、5分間に亘って静置した場合(以下、この操作を「固液分離」という)に、メッシュ上に残留した物質を意味している。
【0021】
固形具材は、例えば、肉類、魚介類、卵類、藻類、穀類、いも及びでん粉類、豆類、種実類、きのこ類、野菜類、並びに果実類の1以上を含んだものである。
【0022】
調味液は、パスタソースから固形具材を除いたものに相当する。なお、調味液の水希釈液は、パスタソース希釈物から固形具材を除いたものに相当する。調味液は、水と、調味成分とを含んでいる。調味成分は、例えば、油脂、食材から抽出した抽出物、上記の固形具材と比較してより小さな寸法の微細食品、上記固形具材又は微細食品からの溶出物、調味料、及び食品添加物の1以上である。
【0023】
パスタソースは、例えば、畜肉類、畜肉加工品、卵黄加工品、チーズ、乳加工品、魚介類、魚卵、魚介加工品、動物油脂、植物油脂、油脂加工品、野菜、野菜加工品、ハーブ加工品、種実加工品、ワイン類、みそ、糊料、増粘剤、食塩、砂糖、糖アルコール、ソルビトール等の甘味料、エキス調味料、アミノ酸等の調味料、香辛料、香味油、香料、着色料、酵母製剤、乳化剤、及び酸化防止剤から選ばれる1以上を、好ましくは複数を含む。
【0024】
パスタソースは、指示書に記載された量の水で希釈した場合に、25℃における水希釈液の粘度が130mPa・s以下となるように調製されている。パスタソースは、25℃における上記水希釈液の粘度が50mPa・s以下となるように調製されていることが好ましい。なお、パスタソースは、25℃における上記水希釈液の粘度が、例えば1mPa・s以上となるように、典型的には2mPa・s以上となるように調製されている。
【0025】
水希釈液の上記粘度を過剰に高くすると、指示書に記載された手順で調理を行った場合に、パスタソース希釈物とパスタとを含んだ混合物が加熱時に流動し難くなる。その結果、これによって得られるパスタ料理では、パスタの少なくとも一部が例えば束状に固まった状態となる。このような状態のパスタは、戻りが不十分であるため硬い。また、パスタの吸水が不十分であることに起因して、パスタソースの水分量が過剰になり、パスタソースがパスタへ十分に絡まない。
【0026】
パスタソースは、指示書に記載された量の水で希釈した場合に、25℃における水希釈液の可溶性固形分濃度が16質量%以下となるように調製されている。パスタソースは、25℃における上記水希釈液の可溶性固形分濃度が5質量%以下となるように調製されていることが好ましい。なお、パスタソースは、25℃における上記水希釈液の可溶性固形分濃度が、例えば1質量%以上となるように、典型的には2質量%以上となるように調製されている。
【0027】
水希釈液の可溶性固形分濃度を過剰に高くすると、指示書に記載された手順で調理を行った場合に、加熱時及び蒸らし時におけるパスタの吸水が不十分になる。吸水が不十分なパスタは、戻りが不十分であるため硬い。また、パスタの吸水が不十分であることに起因して、パスタソースの水分量が過剰になり、パスタソースがパスタへ十分に絡まない。
【0028】
・容器
パスタソースを収容した容器は、一例によれば袋である。袋は、例えば、三方シール袋、ピロー袋、又はスタンディングパウチである。
【0029】
パスタソースを収容した容器がスタンディングパウチである場合、このスタンディングパウチは、後述するように、パスタソース希釈物中で乾燥パスタを加熱調理するための容器として使用可能であることが好ましい。そのようなスタンディングパウチは、一例によれば、易開封構造と、再封止構造と、蒸気排出部とを有している。
【0030】
易開封構造は、ユーザの引き裂き動作によって、下端に対して略平行な開口がスタンディングパウチの上部に生じることを容易にするものある。一例によれば、易開封構造は、スタンディングパウチの側部上方に設けられたノッチである。なお、スタンディングパウチについて、用語「上方」、「上部」、「下方」、「下部」及び「側部」は、スタンディングパウチを直立させた状態を想定して使用している。
【0031】
再封止構造は、開封したスタンディングパウチの封止を可能とするものである。再封止構造は、上記の開口を生じさせるべき部分の下方に設ける。再封止構造は、一例によれば、ジッパーのような構造部である。このような封止部材で、開封したスタンディングパウチの封止を可能とする。
【0032】
蒸気排出部は、蒸気排出口が設けられた部分であるか、又は、内圧の増加に応じて蒸気排出口を生じる部分である。一例によれば、蒸気排出部は、上記の再封止構造のうち、一部の部分が完全には封止されない部分であるか、または、他の部分と比較して封止力が小さくなるように加工した部分である。
【0033】
パスタソースを収容した容器は、他の例によれば、有底筒状の容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体との組み合わせである。容器本体は、例えば、プラスチック成形品、金属缶、又は、ガラス瓶である。蓋体は、例えば、プラスチック成形品へヒートシールされるフィルム、巻き締めによって金属缶へ装着される金属板、又は、螺合若しくは嵌合によってプラスチック成形品、金属缶又はガラス瓶へ装着される成形品である。
【0034】
パスタソースを収容した容器は、更に他の例によれば、パスタソースを収容する一次容器と、一次容器を収容した二次容器とを含んだものである。一次容器は、例えば、容器本体と蓋体との組み合わせであるか、又は、袋である。二次容器は、例えば、一次包装体を収容した箱若しくは袋であるか、又は、一次包装体を包んだフィルム若しくはシートである。
【0035】
なお、容器又は一次容器へパスタソースを収容してなる容器入り食品は、加熱殺菌処理、例えばレトルト処理を施した容器入り食品である。
【0036】
パスタソース希釈物中で乾燥パスタを加熱調理する際には、パスタソースは、例えば、これを収容した容器又は一次容器から他の容器へ移し替える。パスタソースを収容した容器又は一次容器は、パスタソース希釈物中で乾燥パスタを加熱調理するための容器として使用してもよい。即ち、加熱調理用容器は、パスタソースの流通に利用する流通用容器とは異なるものであってもよく、流通用容器を加熱調理用容器として使用してもよい。
【0037】
加熱調理用容器は、加熱調理の際、蒸気がヘッドスペース内に充満して、ヘッドスペースの圧力が大気圧よりも高まるように、封止可能なものであることが好ましい。
【0038】
例えば、加熱調理用容器が容器本体と蓋体とを含んだものである場合、蓋体は、螺合若しくは嵌合によって容器本体へ装着される成形品であることが好ましい。この場合、ヘッドスペースの圧力が過剰に高くなるのを防止するべく、蓋体は、ヘッドスペースの圧力の増加に応じて開くか又は開度が増加する弁が設けられたものであることが好ましい。
【0039】
或いは、加熱調理用容器が袋である場合、この袋は、ジッパー等によって封止を可能としたものであることが好ましい。この袋は、内圧が過剰に高くなるのを防止するべく、蒸気排出口が設けられているか、又は、内圧の増加に応じて蒸気排出口を生じるものであることが好ましい。また、加熱調理用容器が袋である場合であって、加熱調理時に電子レンジの庫内で袋が自立するように、加熱調理用容器はスタンディングパウチであることが好ましい。
【0040】
加熱調理用容器は、電子レンジ加熱対応包材からなる容器を使用することで、これを封止した状態においても、パスタソース希釈物へのマイクロ波の照射を可能とする。
【0041】
・乾燥パスタ
乾燥パスタは、上記の通り、ユーザが、指示書付食品とは別に用意する。乾燥パスタの一例は、ロングパスタである。ロングパスタは、例えば、略円柱状である。ここでは、一例として、乾燥パスタは、側面に溝が設けられていない略円柱状のロングパスタであるとする。
【0042】
ロングパスタの径は、0.9乃至2.0mmの範囲内にあることが好ましく、1.4乃至1.7mmの範囲内にあることがより好ましい。温かい状態で喫食するパスタ料理では、冷製パスタ料理と比較して、径がより大きなロングパスタを使用することが一般的である。但し、径が大きなロングパスタを使用した場合、径が小さなロングパスタを使用した場合と比較して、調理に要する最短時間が長くなる。
【0043】
・指示書
指示書は、一例によれば、上記の容器、一次容器又は二次容器に設けられた印刷部である。指示書は、他の例によれば、印刷部を含み、上記の容器、一次容器又は二次容器に貼り付けられたラベルである。指示書は、更に他の例によれば、印刷部を含んだ冊子又はカードである。
【0044】
指示書には、パスタソースを希釈する水の量並びに乾燥パスタを入れたパスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載されている。ここでは、指示書には、パスタソース希釈物と共に加熱するべき乾燥パスタの量が更に記載されている。
【0045】
指示書に記載された乾燥パスタの量は、パスタソースが一人前のパスタ料理用である場合、80乃至120gの範囲内にあることが好ましく、90乃至110gの範囲内にあることがより好ましい。一例によれば、パスタソースが一人前のパスタ料理用である場合、指示書に記載された乾燥パスタの量は100gである。パスタソースが二人前以上のパスタ料理用である場合、指示書に記載された乾燥パスタの量は、パスタソースが一人前のパスタ料理用である場合について上述した範囲に人数を乗じてなる範囲内にあることが好ましい。
【0046】
指示書には、乾燥パスタとして使用すべきものの種類に関する情報が記載されていることが好ましい。例えば、乾燥パスタとしてロングパスタを使用すべき場合、指示書は、ロングパスタを使用すべきことを、文字、図又はそれらの組み合わせによって表示していることが好ましい。また、乾燥パスタとしてロングパスタを使用すべき場合、指示書には、その径(又は太さ)について、推奨する数値又は数値範囲が記載されていることが好ましい。指示書に記載された数値又は数値範囲は、ロングパスタの径として上述した範囲内にあることが好ましい。
【0047】
指示書には、パスタソースを希釈する水の量として、水希釈液の量を、乾燥パスタの量に対して、質量基準で1.5乃至3.0倍の範囲内とする量が記載されていることが好ましく、2.0乃至2.5倍の範囲内とする量が記載されていることがより好ましい。
【0048】
指示書に記載された加熱条件は、加熱調理に電子レンジを使用することを含んでいる。指示書は、電子レンジを使用すべきことを、文字、図又はそれらの組み合わせによって表示していることが好ましい。
【0049】
指示書に記載された加熱条件は、加熱時間を含んでいる。なお、「加熱時間」は、電子レンジにおいてマイクロ波加熱を開始してから終了するまでの時間である。
【0050】
この加熱時間は、乾燥パスタが喫食可能な状態まで戻る前に終了するように設定される。パスタソースが一人前のパスタ料理用である場合、指示書には、加熱時間として、3乃至10分の範囲内の時間が記載されていることが好ましく、4乃至8分の範囲内の時間が記載されていることがより好ましい。なお、パスタソースが二人前以上のパスタ料理用である場合、指示書に記載される加熱時間は、通常、パスタソースが一人前のパスタ料理用である場合における加熱時間と比較してより長い。
【0051】
電子レンジの出力は様々である。従って、指示書には、出力毎に加熱時間が記載されていることが好ましい。一例によれば、指示書には、電子レンジの出力が第1出力、例えば500Wの場合における第1加熱時間が記載されるとともに、電子レンジの出力が第1出力と比較してより高い第2出力、例えば600Wの場合における第2加熱時間とが記載されている。第1加熱時間と第2加熱時間とは、等しくてもよく、異なっていてもよい。後者の場合、典型的には、第2加熱時間は、第1加熱時間よりも短くする。但し、加熱時間と蒸らし時間との合計時間を十分に短くすることができれば、第1加熱時間を、第2加熱時間よりも短くしてもよい。なお、指示書には、電子レンジによる加熱時間が、電子レンジの出力とは無関係に記載されていてもよい。
【0052】
指示書に記載された蒸らし条件は、蒸らし時間を含んでいる。上記の通り、電子レンジによるマイクロ波加熱は、乾燥パスタを喫食可能な状態とする前に終了する。電子レンジによるマイクロ波加熱後に十分な蒸らしを行うと、パスタの糊化及び吸水が進行して、パスタは喫食可能となる。
【0053】
指示書に記載された蒸らし時間は、例えば、パスタを確実に喫食可能とする時間である。即ち、指示書に記載された蒸らし時間は、パスタが十分に戻ったパスタ料理を確実に得ることを可能とする時間である。
【0054】
指示書に記載された蒸らし条件は、蒸らし時間として、電子レンジの庫内での放置時間を含んでいることが好ましい。また、この場合、指示書には、電子レンジによる加熱後に、電子レンジの扉を開けずに、庫内で蒸らすことが更に記載されていることが好ましい。
【0055】
電子レンジによるマイクロ波加熱を行うと、先ず、加熱調理用容器のヘッドスペースに蒸気が充満し、その後、加熱調理用容器から蒸気が放出される。加熱調理用容器から放出された蒸気は、電子レンジの庫内空間を温める。それ故、電子レンジによる加熱後に、電子レンジの扉を開けずに庫内で蒸らした場合、庫外で蒸らした場合と比較して、品温の低下を穏やかにすることができる。
【0056】
指示書には、蒸らし時間(又は放置時間)として、0.5乃至10分の範囲内の時間が記載されていることが好ましく、1乃至9分の範囲内の時間が記載されていることがより好ましい。
【0057】
上記の通り、電子レンジの出力は様々である。従って、指示書には、出力毎に蒸らし時間が記載されていることが好ましい。一例によれば、指示書には、電子レンジの出力が第1出力、例えば500Wの場合における第1蒸らし時間が記載されるとともに、電子レンジの出力が第1出力と比較してより高い第2出力、例えば600Wの場合における第2蒸らし時間とが記載されている。なお、指示書には、蒸らし時間が、電子レンジの出力とは無関係に記載されていてもよい。
【0058】
加熱時間に対する蒸らし時間(又は放置時間)の比は、0.1乃至3.3の範囲内にあることが好ましい。
【0059】
加熱時間と蒸らし時間(又は放置時間)との合計は、6乃至20分の範囲内にあることが好ましく、8乃至15分の範囲内にあることがより好ましい。
【0060】
なお、乾燥パスタが、側面に1以上の溝、例えば長さ方向に沿って伸びた1以上の溝が設けられた略円柱状のロングパスタ、即ち、早ゆでパスタである場合、乾燥パスタが、側面に溝が設けられていない略円柱状のロングパスタである場合と比較して、パスタの糊化及び吸水はより早く進行する。指示書には、早ゆでパスタについて、より短い加熱時間、より短い蒸らし時間、又はそれら双方が更に記載されていてもよい。或いは、指示書には、早ゆでパスタについて、蒸らしを省略できることが更に記載されていてもよい。或いは、指示書には、早ゆでパスタについて、より短い加熱時間と、蒸らしを省略できることとが更に記載されていてもよい。
【0061】
指示書には、喫食前に、パスタとパスタソースとを混ぜることが記載されていることが好ましい。例えば、指示書には、パスタ料理を加熱調理用容器から皿へ移すのに先立って、パスタとパスタソースとを混ぜることが記載されていることが好ましい。パスタとパスタソースとを混ぜることにより、パスタへのパスタソースの絡みが更に向上する。
【0062】
・調理法
上記の指示書付食品を使用すると、例えば、以下の方法によりパスタ料理を得ることができる。ここでは、指示書付食品においてパスタソースを収容した流通用容器は、加熱調理用容器として使用可能であるとする。更に、ここでは、乾燥パスタは、側面に溝が設けられていない略円柱状のロングパスタであるとする。
【0063】
先ず、乾燥パスタとして、径(又は太さ)が、指示書が推奨している数値と等しいか又は指示書が推奨している数値範囲内にあるロングパスタを準備する。そして、指示書に記載された量のロングパスタを量り取る。
【0064】
また、指示書に記載された量の水を量り取るとともに、パスタソースを収容した容器を開封する。そして、水と乾燥パスタとを容器へ入れる。容器の寸法と比較して乾燥パスタが長い場合は、乾燥パスタは、例えば半分に折って容器へ入れる。
【0065】
次に、容器を封止し、水とパスタソースとを混合する。例えば、容器が袋である場合、これを軽く揉む。これにより、パスタソース希釈物を得るとともに、パスタソース希釈物を乾燥パスタの全体に行き渡らせる。
【0066】
次いで、容器を電子レンジの庫内に設置し、指示書に記載された加熱時間に従ってマイクロ波加熱を行う。続いて、電子レンジの扉を開くことなく、指示書に記載された蒸らし時間に従って、容器を電子レンジの庫内に放置する。
【0067】
その後、容器を電子レンジの庫外へ取り出し、これを開封する。続いて、容器内でパスタとパスタソースとをよく混ぜ、その後、パスタ料理を容器から皿へ移す。
【0068】
・効果
上記の指示書付食品において、容器又は一次容器へパスタソースを収容してなる容器入り食品は、加熱殺菌処理したもの、例えば、レトルト処理を施したレトルト食品である。このような容器入り食品は、保存に冷凍は不要である。特に、上記の容器入り食品がレトルト食品のように常温保存が可能である場合、保存に冷蔵も不要である。また、上記の指示書付食品を使用したパスタ料理の調理では、冷凍又は冷蔵保存が不要な乾燥パスタを使用する。即ち、これらパスタソース及びパスタは、冷凍庫又は冷蔵庫内の空間を占有することがない。特に、上記の容器入り食品がレトルト食品のように常温保存が可能である場合、パスタも常温保存が可能であることから、それらが冷凍庫又は冷蔵庫内の空間を占有することがない。
【0069】
また、上記の指示書付食品を使用すると、上述した方法でパスタ料理を調理することができる。即ち、上記の指示書付食品を使用すると、軽減された作業でパスタ料理を調理することが可能となる。
【0070】
更に、上記の指示書付食品を使用すると、以下に説明するように、品質に優れたパスタ料理を調理することができる。
【0071】
上述した調理方法でパスタソースがパスタによく絡んだパスタ料理を得るには、パスタソース希釈物の水分量を少なくすることが望ましい。しかしながら、この水分量を少なくすると、パスタの戻りが不十分になるとともに、パスタソースのパスタへの絡みが不十分になることがある。また、パスタを十分に戻すべく、長時間に亘る加熱を行うと、パスタ料理に焦げが発生することがある。
【0072】
上記の指示書付食品では、指示書に、乾燥パスタを入れたパスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載されている。加熱と蒸らしとを組み合わせて調理を行うと、加熱時だけでなく、蒸らし時においても、パスタの糊化及び吸水を進行させることができるため、加熱時間を短くすることができる。それ故、パスタ料理に焦げが発生するのを防止することができる。
【0073】
また、パスタソース希釈物において、これが含む水希釈液は、25℃における粘度及び可溶性固形分濃度が十分に低い。それ故、加熱時に、パスタソース希釈物とパスタとを含んだ混合物を十分に流動させることができ、また、加熱時及び蒸らし時に、パスタの糊化及び吸水を十分に進行させることができる。そして、これによって得られるパスタ料理は、パスタの吸水と水分の蒸発とによって水希釈液が濃縮され、パスタへパスタソースが十分に絡んでいるので、加熱前における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度が低いにも拘わらず、しっかりとした味となる。
【0074】
このように、上記の指示書付食品は、保存に冷凍や冷蔵を不要とするとともに、軽減された作業で品質に優れたパスタ料理を調理可能とする。
【0075】
また、上記の指示書付食品は、パスタ料理の調理時に、ユーザがパスタソースを水で希釈することを想定している。それ故、この指示書付食品は、質量及び体積が小さい。従って、この指示書付食品は、効率的な運搬が可能であり、また、小さなスペースに多数を保管することも可能である。
【0076】
(2)第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る指示書付食品は、以下の点を除き、第1実施形態に係る指示書付食品と同様である。即ち、第2実施形態に係る指示書付食品は、パスタソースの代わりに、上述したパスタソース希釈物を含んでいる。また、第2実施形態に係る指示書付食品が含んでいる指示書は、水によるパスタソースの希釈に関する事項が記載されていないこと以外は、第1実施形態に係る指示書付食品が含んでいる指示書と同様である。この指示書付食品を使用したパスタ料理の調理は、水によるパスタソースの希釈を行わないこと以外は、第1実施形態において説明したのと同様の方法により行うことができる。
【0077】
この指示書付食品も、第1実施形態に係る指示書付食品と同様に、保存に冷凍を不要とするとともに、軽減された作業で品質に優れたパスタ料理を調理可能とする。そして、この指示書付食品も、第1実施形態に係る指示書付食品と同様に、上記の容器入り食品がレトルト食品のように常温保存が可能である場合、保存に冷蔵も不要とする。
【0078】
また、この指示書付食品は、パスタソースが水で希釈されているため、第1実施形態に係る指示書付食品と比較すると、質量及び体積が大きい。但し、この指示書付食品を使用したパスタ料理の調理は、水によるパスタソースの希釈を行わないため、第1実施形態に係る指示書付食品を使用したパスタ料理の調理と比較すると、より簡便である。
【0079】
(3)変形例
第1及び第2実施形態に係る指示書付食品には、様々な変形が可能である。例えば、第1又は第2実施形態に係る指示書付食品は、上記の乾燥パスタを更に含んでいてもよい。指示書付食品が適量の乾燥パスタを更に含んでいる場合、指示書には、パスタソース希釈物とともに加熱調理すべき乾燥パスタの量や乾燥パスタとして使用すべきものの種類に関する情報は示されていなくてもよい。
【実施例
【0080】
<1>試験A
蒸らしがパスタ料理の品質へ及ぼす影響を調べるべく、以下の試験を行った。
【0081】
<1.1>試験A1
パスタソースとして、以下の表1に配合を示すカルボナーラソースを調製した。
【0082】
【表1】
【0083】
また、乾燥パスタとして、太さが1.6mmであり、側面に溝が設けられていない略円柱状のロングパスタを準備した。
【0084】
次に、100gのパスタソースと160mLの水と100gの乾燥パスタとをスタンディングパウチへ入れ、スタンディングパウチを封止した。なお、乾燥パスタは、半分に折ってスタンディングパウチへ入れた。また、スタンディングパウチは、加熱時に内部に充満した蒸気を外部へ排出するための蒸気排出口を生じるように封止した。
【0085】
次いで、スタンディングパウチを軽く揉んだ。これにより、水とパスタソースとを混合してなるパスタソース希釈物を得るとともに、パスタソース希釈物を乾燥パスタの全体に行き渡らせた。
【0086】
次に、乾燥パスタとパスタソース希釈物とを収容したスタンディングパウチを、電子レンジの庫内に設置し、600Wの出力で5分30秒間に亘ってマイクロ波加熱した。続いて、電子レンジの扉を開くことなく、7分30秒間に亘って、これを電子レンジの庫内に放置した。
【0087】
その後、スタンディングパウチを電子レンジの庫外へ取り出し、これを開封した。続いて、スタンディングパウチ内でパスタとパスタソースとをよく混ぜ、その後、パスタ料理を容器から皿へ移した。
【0088】
このようにして得られたパスタ料理について、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0089】
また、このパスタ料理の調理において調製したのと同様のパスタソース希釈物を調製し、これを固液分離した。そして、これによって得られた水希釈液の温度を25℃に管理して、その粘度、可溶性固形分濃度、及び塩分濃度を測定した。粘度は、東機産業社製TVC-10型粘度計で測定した。可溶性固形分濃度は、アタゴ社製PAL-1を使用して測定した。結果を、以下の表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
<1.2>試験A2
マイクロ波加熱の完了後にスタンディングパウチを電子レンジの庫内に放置しなかったこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0092】
<1.3>試験A3
マイクロ波加熱の時間を8分間とし、マイクロ波加熱の完了後にスタンディングパウチを電子レンジの庫内に放置しなかったこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0093】
<1.4>評価A
試験A1乃至A3において得られたパスタ料理を、以下の基準で評価した。
【0094】
・パスタの戻り具合
◎:アルデンテよりも軟らかい。
〇:アルデンテ。
△:アルデンテよりも硬いが、十分に戻っている。
×:戻りが不十分である。
【0095】
・絡み具合
〇:皿の上でパスタから遊離しているソースが殆どない。
△:皿の上でパスタから遊離しているソースが僅かにある。
×:皿の上でパスタから遊離しているソースが多い。
【0096】
評価結果を、以下の表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
表3に示すように、加熱時間を5分30秒間とし、蒸らしを行わなかった場合、パスタが束状に固まった状態となることも、焦げを発生することもなかったものの、パスタの戻りが不十分であり、皿の上でパスタから遊離しているソースが多かった。また、加熱時間を8分間とし、蒸らしを行わなかった場合、パスタが束状に固まった状態となることはなく、また、皿の上でパスタから遊離しているソースは殆どなかったものの、パスタの戻りが不十分であり、焦げを発生した。これに対し、加熱時間を5分30秒間とし、蒸らし時間を7分30秒間とした場合、パスタが束状に固まった状態となることも、焦げを発生することもなく、パスタの戻りは十分であり、皿の上でパスタから遊離しているソースは殆どなかった。
【0099】
<2>試験B
水希釈液の量がパスタ料理の品質へ及ぼす影響を調べるべく、以下の試験を行った。
【0100】
<2.1>試験B1
パスタソースとして、上記の表1に配合を示すカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第1乃至第3カルボナーラソースを得た。
【0101】
次に、パスタソースとして第1乃至第3カルボナーラソースを使用するとともに、パスタソースの量及び水の量を以下のように変更したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。即ち、パスタソースの量及び水の量は、パスタソース100質量部に対する水の量が160質量部となり、パスタソース希釈物の固液分離によって得られる水希釈液の量が150gとなるように調節した。なお、上記のように量を調節したパスタソース及び水を混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる固形具材の量が平均で6gであった。
【0102】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0103】
<2.2>試験B2
パスタソースとして第1乃至第3カルボナーラソースを使用するとともに、パスタソースの量及び水の量を以下のように変更したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。即ち、パスタソースの量及び水の量は、パスタソース100質量部に対する水の量が160質量部となり、パスタソース希釈物の固液分離によって得られる水希釈液の量が200gとなるように調節した。なお、上記のように量を調節したパスタソース及び水を混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる固形具材の量が平均で8gであった。
【0104】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0105】
<2.3>試験B3
パスタソースとして第1乃至第3カルボナーラソースを使用するとともに、パスタソースの量及び水の量を以下のように変更したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。即ち、パスタソースの量及び水の量は、パスタソース100質量部に対する水の量が160質量部となり、パスタソース希釈物の固液分離によって得られる水希釈液の量が約250gとなるように調節した。なお、上記のように量を調節したパスタソース及び水を混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる固形具材の量が平均で10gであった。
【0106】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0107】
<2.4>試験B4
パスタソースとして第1乃至第3カルボナーラソースを使用するとともに、パスタソースの量及び水の量を以下のように変更したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。即ち、パスタソースの量及び水の量は、パスタソース100質量部に対する水の量が160質量部となり、パスタソース希釈物の固液分離によって得られる水希釈液の量が270gとなるように調節した。なお、上記のように量を調節したパスタソース及び水を混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる固形具材の量が平均で11gであった。
【0108】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0109】
<2.5>試験B5
パスタソースとして第1乃至第3カルボナーラソースを使用するとともに、パスタソースの量及び水の量を以下のように変更したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。即ち、パスタソースの量及び水の量は、パスタソース100質量部に対する水の量が160質量部となり、パスタソース希釈物の固液分離によって得られる水希釈液の量が300gとなるように調節した。なお、上記のように量を調節したパスタソース及び水を混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる固形具材の量が平均で12gであった。
【0110】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0111】
<2.6>試験B6
パスタソースとして、以下の表4に配合を示すボロネーゼソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第1乃至第3ボロネーズソースを得た。
【0112】
【表4】
【0113】
パスタソースとして第1乃至第3ボロネーズソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。なお、パスタソースと160gの水とを混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる水希釈液及び固形具材の量がそれぞれ平均で214g及び46gであった。
【0114】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0115】
<2.7>試験B7
パスタソースとして、以下の表5に配合を示すペペロンチーノソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第1乃至第3ペペロンチーノソースを得た。
【0116】
【表5】
【0117】
パスタソースとして第1乃至第3ペペロンチーノソースを使用するとともに、パスタソースの量を70gとしたこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。なお、上記量のパスタソースと160gの水とを混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる水希釈液及び固形具材の量がそれぞれ平均で215g及び15gであった。
【0118】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0119】
<2.8>試験B8
パスタソースとして、以下の表6に配合を示すたらこソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第1乃至第3たらこソースを得た。
【0120】
【表6】
【0121】
パスタソースとして第1乃至第3たらこソースを使用するとともに、パスタソースの量を70gとしたこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。なお、上記量のパスタソースと160gの水とを混合してなるパスタソース希釈物は、固液分離することによって得られる水希釈液及び固形具材の量がそれぞれ平均で204g及び26gであった。
【0122】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0123】
<2.9>評価B
試験B1乃至B8において得られたパスタ料理を、試験Aと同様の基準で評価した。評価結果を、以下の表7に示す。
【0124】
【表7】
【0125】
なお、試験B1乃至B8の各々では、3つのパスタソースを使用して、3皿のパスタ料理を調理している。これら3皿のパスタ料理による評価結果は互いに等しかったことから、表7には、3皿のパスタ料理に対する評価結果を、個別には記載せず、纏めて記載している。
【0126】
表7に示すように、水希釈液の量を、乾燥パスタの量に対して、質量基準で1.5乃至3.0倍の範囲内とした場合、パスタが束状に固まった状態となることも、焦げを発生することもなく、パスタの戻りは十分であり、皿の上でパスタから遊離しているソースは殆どなかった。特に、水希釈液の量を、乾燥パスタの量に対して、質量基準で2.0乃至2.7倍の範囲内とした場合、パスタをアルデンテ又はそれよりも軟らかい状態まで戻すことができ、また、皿の上でパスタから遊離しているソースが殆どない状態とすることができた。
【0127】
<3>試験C
水希釈液の粘度がパスタ料理の品質へ及ぼす影響を調べるべく、以下の試験を行った。
【0128】
<3.1>試験C1
パスタソースとして、上記の表1に配合を示すカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第4乃至第6カルボナーラソースを得た。
【0129】
次に、パスタソースとして第4乃至第6カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度(以下、Brixと呼ぶこともある)がそれぞれ平均で7mPa・s及び5.7%であった。
【0130】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0131】
<3.2>試験C2
パスタソースとして、可溶性固形分濃度へ影響を及ぼさない増粘剤を0.23質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第7乃至第9カルボナーラソースを得た。
【0132】
次に、パスタソースとして第7乃至第9カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で38mPa・s及び5.8%であった。
【0133】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0134】
<3.3>試験C3
パスタソースとして、可溶性固形分濃度へ影響を及ぼさない上記増粘剤を0.31質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第10乃至第12カルボナーラソースを得た。
【0135】
次に、パスタソースとして第10乃至第12カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で53mPa・s及び6.2%であった。
【0136】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0137】
<3.4>試験C4
パスタソースとして、可溶性固形分濃度へ影響を及ぼさない上記増粘剤を0.42量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第13乃至第15カルボナーラソースを得た。
【0138】
次に、パスタソースとして第13乃至第15カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で129mPa・s及び5.9%であった。
【0139】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0140】
<3.5>試験C5
パスタソースとして、可溶性固形分濃度へ影響を及ぼさない上記増粘剤を0.52質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第16乃至第18カルボナーラソースを得た。
【0141】
次に、パスタソースとして第16乃至第18カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で190mPa・s及び5.8%であった。
【0142】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0143】
<3.6>試験C6
パスタソースとして、可溶性固形分濃度へ影響を及ぼさない上記増粘剤を0.83質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第19乃至第21カルボナーラソースを得た。
【0144】
次に、パスタソースとして第19乃至第21カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で418mPa・s及び5.8%であった。
【0145】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0146】
<3.7>試験C7
パスタソースとして、上記の表4に配合を示すボロネーゼソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第4乃至第6ボロネーゼソースを得た。
【0147】
次に、パスタソースとして第4乃至第6ボロネーゼソースを使用したこと以外は試験B6と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で7mPa・s及び9.3%であった。
【0148】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0149】
<3.8>試験C8
パスタソースとして、上記の表5に配合を示すペペロンチーノソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第4乃至第6ペペロンチーノソースを得た。
【0150】
次に、パスタソースとして第4乃至第6ペペロンチーノソースを使用したこと以外は試験B7と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で4mPa・s及び3.9%であった。
【0151】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0152】
<3.9>試験C9
パスタソースとして、上記の表6に配合を示すたらこソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第4乃至第6たらこソースを得た。
【0153】
次に、パスタソースとして第4乃至第6たらこソースを使用したこと以外は試験B8と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で5mPa・s及び3.1%であった。
【0154】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0155】
<3.10>評価C
試験C1乃至C9において得られたパスタ料理を、試験Aと同様の基準で評価した。評価結果を、以下の表8に示す。
【0156】
【表8】
【0157】
なお、試験C1乃至C9の各々では、3つのパスタソースを使用して、3皿のパスタ料理を調理している。これら3皿のパスタ料理による評価結果は互いに等しかったことから、表8には、3皿のパスタ料理に対する評価結果を、個別には記載せず、纏めて記載している。
【0158】
表8に示すように、水希釈液の粘度が高くなると、パスタの戻りやパスタへのソースの絡みが不十分になるとともに、パスタは束状に固まった状態となった。
【0159】
<4>試験D
水希釈液の可溶性固形分濃度がパスタ料理の品質へ及ぼす影響を調べるべく、以下の試験を行った。
【0160】
<4.1>試験D1
パスタソースとして、上記の表1に配合を示すカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第22乃至第24カルボナーラソースを得た。
【0161】
次に、パスタソースとして第22乃至第24カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で7mPa・s及び5.7%であった。
【0162】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0163】
<4.2>試験D2
パスタソースとして、粘度へ影響を及ぼさない水溶性食物繊維を12.5質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第25乃至第27カルボナーラソースを得た。
【0164】
次に、パスタソースとして第25乃至第27カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で8mPa・s及び10.7%であった。
【0165】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0166】
<4.3>試験D3
パスタソースとして、粘度へ影響を及ぼさない上記水溶性食物繊維を17.5質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第28乃至第30カルボナーラソースを得た。
【0167】
次に、パスタソースとして第28乃至第30カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で8mPa・s及び13.7%であった。
【0168】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0169】
<4.4>試験D4
パスタソースとして、粘度へ影響を及ぼさない上記水溶性食物繊維を25質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第31乃至第33カルボナーラソースを得た。
【0170】
次に、パスタソースとして第31乃至第33カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で9mPa・s及び15.7%であった。
【0171】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0172】
<4.5>試験D5
パスタソースとして、粘度へ影響を及ぼさない上記水溶性食物繊維を32.5質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第34乃至第36カルボナーラソースを得た。
【0173】
次に、パスタソースとして第34乃至第36カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で9mPa・s及び18.2%であった。
【0174】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0175】
<4.6>試験D6
パスタソースとして、粘度へ影響を及ぼさない上記水溶性食物繊維を40質量部の量で更に添加し、この添加量だけ水の量を減じたこと以外は上記の表1に示したのと同様の配合でカルボナーラソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第37乃至第39カルボナーラソースを得た。
【0176】
次に、パスタソースとして第37乃至第39カルボナーラソースを使用したこと以外は試験A1と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で10mPa・s及び21.7%であった。
【0177】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0178】
<4.7>試験D7
パスタソースとして、上記の表4に配合を示すボロネーゼソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第7乃至第9ボロネーゼソースを得た。
【0179】
次に、パスタソースとして第7乃至第9ボロネーゼソースを使用したこと以外は試験B6と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で7mPa・s及び9.3%であった。
【0180】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0181】
<4.8>試験D8
パスタソースとして、上記の表5に配合を示すペペロンチーノソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第7乃至第9ペペロンチーノソースを得た。
【0182】
次に、パスタソースとして第7乃至第9ペペロンチーノソースを使用したこと以外は試験B7と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で4mPa・s及び3.9%であった。
【0183】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0184】
<4.9>試験D9
パスタソースとして、上記の表6に配合を示すたらこソースを調製した。ここでは、パスタソースの調製を3回行って、第7乃至第9たらこソースを得た。
【0185】
次に、パスタソースとして第7乃至第9たらこソースを使用したこと以外は試験B8と同様の方法により、パスタ料理の調理を行った。これらパスタ料理の調理において得られたパスタソース希釈物は、25℃における水希釈液の粘度及び可溶性固形分濃度がそれぞれ平均で5mPa・s及び3.1%であった。
【0186】
そして、このようにして得られたパスタ料理についても、目視による観察と、パスタの戻り具合の確認とを行った。
【0187】
<4.10>評価D
試験D1乃至D9において得られたパスタ料理を、試験Aと同様の基準で評価した。評価結果を、以下の表9に示す。
【0188】
【表9】
【0189】
なお、試験D1乃至D9の各々では、3つのパスタソースを使用して、3皿のパスタ料理を調理している。殆どの試験において、これら3皿のパスタ料理による評価結果は互いに等しかった。具体的には、試験D1乃至D4及びD6乃至D9の各々では、これら3皿のパスタ料理による評価結果は互いに等しかった。また、試験D5では、2皿でソースのパスタへの絡みは不十分であり、残りの1皿で皿の上でパスタから遊離しているソースが僅かにあったものの、パスタの戻り具合及び焦げ/束の有無は3皿で同様であった。従って、表9には、3皿のパスタ料理に対する評価結果を、個別には記載せず、纏めて記載している。
【0190】
表9に示すように、水希釈液の可溶性固形分濃度が高くなると、パスタへのソースの絡みが不十分になった。これは、水希釈液の可溶性固形分濃度が高くなると、パスタの戻りが不十分となり、その結果、パスタ料理におけるパスタに対するパスタソースの相対的な量が過剰になったためである。
【要約】
【課題】保存に冷凍が不要であり、軽減された作業で品質に優れたパスタ料理を調理可能とする食品を提供する。
【解決手段】電子レンジ調理用指示書付食品は、マイクロ波加熱によってパスタソース希釈物中の乾燥パスタを加熱調理するために使用するものであって、調味液と固形具材とを含み、水で希釈することにより、前記調味液の水希釈液と前記固形具材とを含んだ前記パスタソース希釈物を生成するパスタソースと、前記パスタソースを希釈する水の量並びに前記乾燥パスタを入れた前記パスタソース希釈物の加熱条件及び蒸らし条件が記載された指示書とを備え、前記パスタソースを前記指示書に記載された前記量の水で希釈した場合に生成する前記パスタソース希釈物は、25℃における前記水希釈液の粘度が130mPa・s以下であり且つ25℃における前記水希釈液の可溶性固形分濃度が16質量%以下である。
【選択図】なし