(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】携帯通信端末の設定システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20231108BHJP
H04L 67/303 20220101ALI20231108BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20231108BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20231108BHJP
G06N 20/00 20190101ALN20231108BHJP
【FI】
H04L12/28 500C
H04L67/303
H04M1/72448
H04M3/42 D
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2023502532
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007837
(87)【国際公開番号】W WO2022181757
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2021031278
(32)【優先日】2021-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500260296
【氏名又は名称】フリービット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大泉 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正博
(72)【発明者】
【氏名】石田 宏樹
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125163(JP,A)
【文献】特開2008-206061(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 67/303
H04M 1/72448
H04M 3/42
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIMカードを装着した通信デバイスを設定するための通信デバイス設定システムであり
(1) コンピュータが、前記SIMカードを装着した通信デバイスから、この通信デバイスを設定するための設定データの要求を受け付ける設定データ受付工程と、
(2) コンピュータが、前記要求に含まれる上記SIMカードの固有情報に基づいて、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定する利用者属性特定工程と、
(3) コンピュータが、前記特定された利用者の属性情報を推論モデルに適用することで前記通信デバイスの設定データを決定する設定データ推論工程と、
(4) コンピュータが、決定された設定データを、前記通信デバイスに送信する設定データ送信工程と
を実行するものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項2】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記利用者属性特定工程は、前記コンピュータが、前記SIMカードを認証し、利用者の属性を特定するものであり、
上記
通信デバイス設定システムは、上記認証及び特定を行うためのSIMカード契約者・利用者の情報を格納したユーザデータベースを有する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項3】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記コンピュータが、前記設定データ推論工程で使用する推論モデルを生成・更新する推論モデル生成工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項4】
請求項3記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
コンピュータが、前記推論モデル生成工程で推論モデルを生成するための教師データを有し、この教師データは複数のSIMカード利用者による上記通信
デバイスの設定項目と設定値のデータを含むものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項5】
請求項4記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
コンピュータが、前記教師データを生成するために、SIMカード利用者による上記通信
デバイスの設定項目と設定値のデータを収集するユーザデータ収集工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項6】
請求項5記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記ユーザデータ収集工程は、インターネット上のサービスサーバから前記通信デバイスの設定項目及び設定値を収集するものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項7】
請求項5記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記コンピュータが、前記ユーザデータ収集工程で収集された設定項目及び設定値に基づいて継続的に教師データを更新する教師データ生成工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項8】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記設定データは、ホーム画面に関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項9】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記設定データは、通信デバイスの利用者の行動を見守るための見守りアプリ/サービスに関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項10】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、前記通信デバイスにインストールされた通信デバイス側設定システムを有し、
通信デバイス側設定システムは、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムに設定データの要求をする工程と、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムから受け取った設定データに基づいて当該通信デバイスを設定する工程と
を実行するものであることを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項11】
請求項1記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記通信デバイスは、自ら移動体通信可能なIoT機器である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【請求項12】
SIMカードを装着した通信デバイスを設定するための通信デバイス設定システムにより実行される方法であり
(1) コンピュータが、前記SIMカードを装着した通信デバイスから、この通信デバイスを設定するための設定データの要求を受け付ける設定データ受付工程と、
(2) コンピュータが、前記要求に含まれる上記SIMカードの固有情報に基づいて、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定する利用者属性特定工程と、
(3) コンピュータが、前記特定された利用者の属性情報を推論モデルに適用することで前記通信デバイスの設定データを決定する設定データ推論工程と、
(4) コンピュータが、決定された設定データを、前記通信デバイスに送信する設定データ送信工程と
を有する
ことを特徴とする通信デバイス設定方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
さらに、
前利用者属性特定工程は、コンピュータが、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定するためのユーザデータベースから利用者の属性を特定するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
さらに、
前記コンピュータが、前記設定データ推論工程で使用する推論モデルを生成・更新する推論モデル生成工程を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
さらに、
前記推論モデル生成工程は、コンピュータが、前記推論モデルを生成するための教師データを有し、この教師データは複数のSIMカード利用者による上記通信
デバイスの設定項目と設定値のデータを含むものである
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、
さらに、
コンピュータが、前記教師データを生成するために、SIMカード利用者による上記通信
デバイスの設定項目と設定値のデータを収集するユーザデータ収集工程を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、
前記ユーザデータ収集工程は、インターネット上のサービスサーバから前記通信デバイスの設定項目及び設定値を収集するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、
さらに、
前記コンピュータが、前記ユーザデータ収集工程で収集された設定項目及び設定値に基づいて継続的に教師データを更新する教師データ生成工程を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項12記載の方法において、
前記設定データは、ホーム画面に関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12記載の方法において、
前記通信デバイスにインストールされた通信デバイス側設定システムが実行する方法であって、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムに設定データの要求をする工程と、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムから受け取った設定データに基づいて当該通信デバイスを設定する工程と
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、SIMカードを装着した通信端末を設定するための設定システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「スマートフォン」は、例えばAndroid(登録商標)やIOS(登録商標)等の汎用モバイルオペレーティングシステム(OS)がインストールされてなる電話通信機能付きハンドヘルドコンピュータである。
【0003】
近年、求められる用途に応じてスマートフォンの機種、機能の多様化、高度化が益々進んでいる。これに従い、スマートフォンの初期設定や設定変更をするには、スマートフォンだけでなくコンピュータやネットワークに関する一定の知識が必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、インターネットによる通信販売等、スマートフォンの販売形態が多様化しており、特にオンラインでの販売等では、店頭の係員が契約者と一緒にスマートフォンの設定に立ち会えないため、適切な設定を行えないというということがある。
【0005】
また、店舗において設定を行う場合においても、店舗の混雑度や店員のスキル等に応じ、必要な設定がすべて行なえるわけではないし、適切な設定は行うのは難しい。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スマートフォン等の通信機器に必要な設定を行うことができるシステム及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明によれば以下の構成が提供される。
【0008】
(1) SIMカードを装着した通信デバイスを設定するための通信デバイス設定システムであり
コンピュータが、前記SIMカードを装着した通信デバイスから、この通信デバイスを設定するための設定データの要求を受け付ける設定データ受付工程と、
コンピュータが、前記要求に含まれる上記SIMカードの固有情報に基づいて、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定する利用者属性特定工程と、
コンピュータが、前記特定された利用者の属性情報を推論モデルに適用することで前記通信デバイスの設定データを決定する設定データ推論工程と、
コンピュータが、決定された設定データを、前記通信デバイスに送信する設定データ送信工程と
を実行するものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0009】
このような構成によれば、発行したSIMカードに格納されたデータおよび契約者・利用者の情報に基づいて、当該SIMカードを装着した通信デバイスの設定を行うことができ、その際、その設定データは推論モデルを用いた推論により求めることで、当該契約者・利用者の属性に基づいて最適な設定データを得ることができるものである。
【0010】
(2) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記利用者属性特定工程は、前記コンピュータが、前記SIMカードを認証し、利用者の属性を特定するものであり、
上記システムは、上記認証及び特定を行うためのSIMカード契約者・利用者の情報を格納したユーザデータベースを有する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0011】
(3) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記コンピュータが、前記設定データ推論工程で使用する推論モデルを生成・更新する推論モデル生成工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0012】
(4) 前記(3)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
コンピュータが、前記推論モデル生成工程で推論モデルを生成するための教師データを有し、この教師データは複数のSIMカード利用者による上記通信端末の設定項目と設定値のデータを含むものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0013】
(5) 前記(4)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
コンピュータが、前記教師データを生成するために、SIMカード利用者による上記通信端末の設定項目と設定値のデータを収集するユーザデータ収集工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0014】
(6) 前記(5)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記ユーザデータ収集工程は、インターネット上のサービスサーバから前記通信デバイスの設定項目及び設定値を収集するものである
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0015】
(7) 前記(5)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、
前記コンピュータが、前記ユーザデータ収集工程で収集された設定項目及び設定値に基づいて継続的に教師データを更新する教師データ生成工程を実行する
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0016】
(8) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記設定データは、ホーム画面に関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0017】
(9) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記設定データは、通信デバイスの利用者の行動を見守るための見守りアプリ/サービスに関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0018】
(10) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
さらに、前記通信デバイスにインストールされた通信デバイス側設定システムを有し、
通信デバイス側設定システムは、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムに設定データの要求をする工程と、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムから受け取った設定データに基づいて当該通信デバイスを設定する工程と
を実行するものであることを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0019】
(11) 前記(1)記載の通信デバイス設定システムにおいて、
前記通信デバイスは、自ら移動体通信可能なIoT機器である
ことを特徴とする通信デバイス設定システム。
【0020】
(12) SIMカードを装着した通信デバイスを設定するための通信デバイス設定システムにより実行される方法であり
コンピュータが、前記SIMカードを装着した通信デバイスから、この通信デバイスを設定するための設定データの要求を受け付ける設定データ受付工程と、
コンピュータが、前記要求に含まれる上記SIMカードの固有情報に基づいて、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定する利用者属性特定工程と、
コンピュータが、前記特定された利用者の属性情報を推論モデルに適用することで前記通信デバイスの設定データを決定する設定データ推論工程と、
コンピュータが、決定された設定データを、前記通信デバイスに送信する設定データ送信工程と
を有する
ことを特徴とする通信デバイス設定方法。
【0021】
(13) 前記(12)記載の方法において、
さらに、
前利用者属性特定工程は、コンピュータが、前記SIMカードの利用者の属性情報を特定するためのユーザデータベースから利用者の属性を特定するものである
ことを特徴とする方法。
【0022】
(14) 前記(13)記載の方法において、
さらに、
前記コンピュータが、前記設定データ推論工程で使用する推論モデルを生成・更新する推論モデル生成工程を有する
ことを特徴とする方法。
【0023】
(15) 前記(14)記載の方法において、
さらに、
前記推論モデル生成工程は、コンピュータが、前記推論モデルを生成するための教師データを有し、この教師データは複数のSIMカード利用者による上記通信端末の設定項目と設定値のデータを含むものである
ことを特徴とする方法。
【0024】
(16) 前記(15)記載の方法において、
さらに、
コンピュータが、前記教師データを生成するために、SIMカード利用者による上記通信端末の設定項目と設定値のデータを収集するユーザデータ収集工程を有する
ことを特徴とする方法。
【0025】
(17) 前記(16)記載の方法において、
前記ユーザデータ収集工程は、インターネット上のサービスサーバから前記通信デバイスの設定項目及び設定値を収集するものである
ことを特徴とする方法。
【0026】
(18) 前記(16)記載の方法において、
さらに、
前記コンピュータが、前記ユーザデータ収集工程で収集された設定項目及び設定値に基づいて継続的に教師データを更新する教師データ生成工程を有する
ことを特徴とする方法。
【0027】
(19) 前記(12)記載の方法において、
前記設定データは、ホーム画面に関する設定項目及び設定値である
ことを特徴とする方法。
【0028】
(20) 前記(12)記載の方法において、
前記通信デバイスにインストールされた通信デバイス側設定システムが実行する方法であって、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムに設定データの要求をする工程と、
コンピュータが、上記通信デバイス設定システムから受け取った設定データに基づいて当該通信デバイスを設定する工程と
を有することを特徴とする方法。
【0029】
この発明の上記特許請求の範囲に記載していない他の特徴については、この後の発明の最良の実施形態及び図面中に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示す概略図。
【0031】
【
図2】
図2は、同じく、システムの全体構成を示す概略図。
【0032】
【
図3】
図3は、同じく、ユーザDBに格納されるユーザ情報の内容を示す概念図。
【0033】
【
図4】
図4は、同じく、教師データの内容を示す概念図。
【0034】
【
図5】
図5は、同じく、動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0036】
この実施形態は、SIMカードがMVNO事業者、すなわち、仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)によって提供される場合を例にとって説明する。また、移動体通信事業者(Mobile Network Operator、以下「MNO事業者」という)が実施する場合にも同様に適用可能である。
【0037】
MVNO事業者とは、モバイルネットワークという物理的な移動体回線網を自社では持たず、実際に保有するMNO事業者から借りて、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のことをいう。
【0038】
以下、本発明の説明の便宜のため、まず
図1を参照して、MVNO事業者のSIMカードを利用した場合のデータ通信環境の一例について説明する。
(SIMカードを利用したデータ通信構成)
図1中、図に1で示すのがMNO事業者のモバイルネットワークシステムであり、2で示すのがMVNO事業者(本発明の通信事業者)のネットワーク接続システムである。
【0039】
この実施例では、MVNO事業者と契約してSIMカード3を購入したユーザが、自己の携帯通信端末4にそのSIMカード3をセットして有効化する。このことで、この携帯通信端末4は、基地局5を介してMNO事業者のモバイルネットワーク6に接続された後、前記MVO事業者側のサービスゲートウェイ7(SGW)からMVNO事業者側のパケットデータネットワークゲートウェイ8(PGG)、帯域制御ルータ9を介してインターネットの各種サービス提供サーバ10a~10dに接続できるようになる。
【0040】
これらMVO事業者側のサービスゲートウェイ7(SGW)とMVNO事業者側のパケットゲートウェイ8(PGW)の間には、MVO事業者とMVNO事業者との契約に基づいた通信帯域、例えば100Mbpsが確保されるように構成されている。そして、MVNO事業者の帯域制御ルータ9は、前記SIMカード3ユーザとの契約内容に基づいて、必要な接続帯域を確保してデータ通信を行わせるようになっている。
【0041】
前記ユーザの携帯通信端末4は、SIMカード(エレクトッリックSIM(eSIM)を含む)3がインストールされモバイル通信ができる端末、典型的にはスマートフォンやタブレットであって、図示しないCPU、RAM、及びROMを有する。ROMにはiOS(商品名)やAndroid(商品名)、Windows(商品名)等のオペレーションシステムソフトウェアプログラム(以下「OS」という)11と、各種アプリケーションソフトウェアプログラム(以下、単に「アプリ」という)12がインストールされている他、これらのOS11やアプリ12で利用するデータが格納されるようになっている。
【0042】
このユーザの携帯通信端末4にインストールされたアプリケーション12(アプリ)としては、動画ソフト、IP電話、SNSアプリ、ブラウザ、メーラ、子供見守りアプリ等の一般的なアプリの他、ユーザが自己の好みや目的等で追加のアプリを自由にインストールできるようになっている。これら携帯通信端末4上のアプリ11は、CPUにより適宜RAM上に呼び出されて展開され実行されることで、上記MNO事業者1のモバイルネットワークシステムとMVNO事業者2のネットワーク接続システムを介して、インターネット15を介してそれぞれのアプリに応じたサービスサーバ10a~10dに接続できるようになっている。
【0043】
(この発明の特徴的構成)
図2は、上記
図1に示した本発明の実施形態にかかる通信環境に、本発明の特徴的構成を重畳して示したブロック図である。
【0044】
この発明の実施形態では、
図2に示すように、SIMカード3を取り付けたユーザの携帯通信端末4には、端末設定アプリ13がプリインストールされていると共に、前記SIMカードをユーザに発行したNVNO事業者2には、前記端末設定アプリ13と通信する通信端末設定システム14が設けられている。
【0045】
(端末設定アプリ)
【0046】
この実施形態の前記端末設定アプリ13は、特定のNVNO事業者のSIMカード3を用いた通信端末4を設定するために、上記MVNO事業者自身によって提供されたものであり、この端末4にプリインストールされたものである。
【0047】
この端末設定アプリ13は、この図に示すように、大きく分けて、設定データ取得モジュール13aと、端末設定モジュール13bとを有する。
【0048】
設定データ取得モジュール13aは、上記通信端末設定システム14に対してこの通信端末4を設定するための「端末設定データ」を要求して、ユーザに最適の設定データを受け取るように構成されている。また、上記端末設定モジュール13bは、上記で受け取った設定データに基づいて、ユーザインターフェース上でユーザに対して各種設定に対する提案を行い且つ、ユーザの承認に応じてこの通信端末4を設定するように構成されている。
【0049】
(通信事業者側端末設定システム)
この通信事業者側端末設定システム14は、図示しないCPU,RAM,入手力力インタフェースが接続されてなるバスに、データ格納部14a及びプログラム格納部14bが接続されてなる。
【0050】
これらデータ格納部14a及びプログラム格納部14bは実際にはハードディスクやSSD等の記憶媒体であり、これらに記憶されたデータやプログラムが上記CPUによって適宜呼び出されてRAM上に展開されて実行されることで、この発明の各機能部を構成するようになっている。
【0051】
ここで、データ格納部14aには、この発明に関係する構成のみ挙げると、ユーザDB17と、教師データ16と、推論モデル23とが格納されている。
【0052】
また、プログラム格納部14bには、この発明に関係する構成のみ挙げると、図示しないOSの他、SIMカード情報取得モジュール18と、ユーザデータ収集モジュール19と、教師データ生成モジュール20と、推論モデル生成モジュール21と、設定データ生成モジュール22と、が格納されている。
【0053】
以下詳細に説明する。
【0054】
(ユーザデータ及び教師データ)
まず、ユーザDB17は、
図3に示すように、SIMカード3の情報(電話番号等)に関連付けて各種ユーザデータを格納するものである。ここで格納するユーザデータは、上記SIMカード3の発行時にMVNO通信事業者2がユーザから取得した契約者属性情報の他、このMVNO通信事業者2が提供する様々なサービスを通して習得した実際の利用者の属性情報(利用者属性情報)及びその利用者が実際に設定した情報(利用者設定情報)も含まれる。これら契約者属性情報、利用者属性情報及び利用者設定情報は、上記SIMカード3の情報に関連付けて格納されている。
【0055】
また、教師データ16は、前記「設定データ」に含まれるべき設定項目(項目1,2,3、、、)に関連付けて上記ユーザDB17に格納された利用者設定情報(ユーザ1設定情報、ユーザ2設定情報、、、、)を再構成したものである。設定項目は、通信端末4の機種及びインストールされたアプリ12に関連付けて定義されており、この設定項目は新たな機種の登場や、新たなアプリの登場に応じて適宜新たに生成されたり更新されたりするようになっている。
【0056】
(SIMカード情報取得モジュール)
上記SIMカード情報取得モジュール18は、ユーザがSIMカード3を購入する販売店の契約端末やサーバ24と接続され、SIMカード情報を取得して前記ユーザDB17に格納するものである。
【0057】
ここで上記SIMカードの販売店24は実際の店舗だけでなくオンライン上の店舗であってもよい。ユーザがこの契約店で新規携帯電話回線の契約をすると、通信事業者は前記SIMカード3を発行する。このSIMカード3には契約者(利用者)の識別番号や当該SIMカードの携帯電話番号、メールアドレス(メールアドレスが与えられる場合)が記録される。そして、それ以外の、契約に必要な契約者属性情報、利用者属性情報が上記契約に際して利用者から取得される。
【0058】
そして、これらのSIMカードに格納される情報(SIMカード情報)及び契約者属性情報・利用者属性情報は、前記SIM販売店端末/サーバ24を通して上記SIMカード情報取得モジュール18に送信される。そして、このSIMカード情報取得モジュール18は、これらのユーザ情報を上記SIMカードを特定する固有情報(電話番号等)に関連付けて上記ユーザDB17に書き込むものである。
【0059】
(ユーザデータ収集モジュール)
前記ユーザデータ収集モジュール19は、このMVNO通信事業者2や他者が提供する各種ウェブサービスサーバ10a~10dから前記利用者に関するデータを収集し、上記ユーザDB17に格納するものである。
【0060】
すなわち、利用者情報は、このユーザの携帯通信端末4にインストールされた各種アプリ12を通して利用するサービスサーバ10a~10dによっても収集される。各アプリ12では、提供するサービスに応じて、利用者属性や趣向に応じた各種設定(利用者設定情報)を許容するようにデザインされているのが一般であり、これらの情報も上記ユーザデータ収集モジュール19によって収集されるようになっている。
【0061】
ただし、この実施形態では、プライバシー情報管理上の制約から、各種アプリ12のうち上記MVNO通信事業者2自身が運営するサービスサーバからの情報のみを収集するように構成されている。
【0062】
そして、このユーザデータ収集モジュール19は、上記利用者について取得した情報(設定項目名および設定内容)を、利用者の固有情報を用いて前記SIMカードとデータマッチングし、上記SIMカード情報に関連付けて上記ユーザDB17に格納する。
【0063】
(教師データ生成モジュール)
教師データ生成モジュール20は、前記ユーザDB17に格納されたユーザ情報に基づいて上記設定データを推論するための教師データ16を生成するものである。
【0064】
この実施例では、教師データ生成モジュール20は、上記ユーザDB17に格納されたユーザ情報(利用者設定情報)を、携帯通信端末4及び各種アプリ12の設定項目で整理したものを教師データとして生成する。上記携帯通信端末4の設定項目は図示しない機種情報DBから取得すれば良く、上記アプリの設定項目は上記各サービスサーバから取得したものを用いれば良い。
【0065】
なお、この教師データは、この教師データ生成モジュール20が作成したものに加え、外部の情報提供会社等で生成したものを用いるようにしても良い。
【0066】
ここで、この教師データの概念を、前記見守りサービスサーバ10dによって提供される前記見守りアプリ/サービスを例にとって説明する。
【0067】
この場合、前記通信端末4には、特定の利用者(例えば家族の子供やお年寄り)を見守るための見守りアプリをインストールする。
【0068】
この実施形態では、前記見守りアプリ/サービスは、このMVNO事業者によって運営、提供されるもので、上記ユーザデータ収集モジュール19によって見守りサービスの利用者設定情報が収集される。そして、この利用者設定情報は、上記SIMカードのユーザ情報に関連付けられて前記ユーザDB17に格納される。
【0069】
ここで、利用者設定情報としては、契約者(親)の属性情報(年齢、性別等)に加えて見守り対象者、すなわち実際の利用者(子供やお年寄り)の属性情報(年齢や性別)が含まれる。また、契約者/ユーザが本サービスに関連して設定した項目及び値も前記ユーザDB17に格納される。この場合の設定項目/値としては、基本設定(機能自体のON/OFF、通知の音等)の他、歩きスマホの検知に関する設定(ジオフェンスを地図上に設定してその場所に出入りするタイミングで通知する等)、ジオフェンスの設定/値が挙げられる。
【0070】
この場合、上記教師データ生成モジュール20は、上記で収集した利用者設定情報を、設定項目(ユーザの属性項目、および上記見守りに関する設定項目)に関連付けて整理し、教師データとして構成するものである。
【0071】
なお、設定項目・設定値として、アンドロイド(登録商標、OS)のホーム画面の設定が含まれていても良く、この場合、教師データにはホーム画面の表示に関する項目とその項目に対する実際のユーザ設定値とが格納される。この実施例では、見守りサービスに関連してホーム画面の設定を行ってもよく、対象者がお年寄りの場合には、上記ホーム画面の設定項目は上記対象者の属性とともに設定されることが好ましいが、上記教師データには、利用者の属性とOSの設定とが含まれる。
【0072】
(推論モデル生成モジュール)
前記推論モデル生成モジュール21は、前記教師データ16に基づいて設定データ項目に関する推論モデルを生成し、前記推論モデル23としてデータ格納部14aに格納するものである。
【0073】
推論モデルの生成方法は、様々なものが考えられるが、この実施形態では、ニューラルネットワークを用いた深層学習により行う。
【0074】
なお、前記推論モデル生成モジュール21は、上記利用者設定情報(項目、値)が更新や新設されるに従い、それを学習することにより教師データを最新のものに更新していくようになっている。例えば、アプリ12や端末4の機種に応じた設定項目が増加されたり変更された場合もそれに従い更新されていくようになっている。
【0075】
(設定データ生成モジュール)
前記設定データ生成モジュール22は、前記通信端末4から受け取ったSIMカード3の情報を元に上記ユーザDB17からユーザ情報を特定することでこのSIMカードを認証しすると共に、取り出したユーザ情報を前記推論モデル23に適用することで上記通信端末4に対する設定データを生成するものである。
【0076】
すなわち、上記通信端末4にインストールされた端末設定アプリ13から、前記SIMカード3に格納された情報、例えばSIMカードに関連付けられた電話番号と共に設定データの要求がこの通信端末設定システム14に対してなされる。すると、この設定データ生成モジュール22が、前記通信端末4から受け取ったSIMカード3の情報を元に上記ユーザDB17からユーザ情報を取り出して認証する。そして、このユーザ情報を前記推論モデルに適用することで上記通信端末4に対する設定データを生成し出力するものである。
【0077】
(動作例)
以下、上記通信端末設定システム14の動作例を説明する。
【0078】
この実施形態においては、スマートフォン4若しくはSIMカード3は、上述したように、SIMカード販売店の端末/サーバ24を通して提供される。
【0079】
すなわち、上記販売店は、例えば、上記端末/サーバ24の情報入力用のインターフェースから、新規契約の設定に必要な情報を販売員やユーザに入力させる。
【0080】
すなわち、契約に際しては、契約者の氏名・住所等の契約者属性情報、販売業者(この例ではフリービット.com)ドメインのメールアドレスの希望ID及びパスワード、クラウドアカウント用の希望ID及びパスワード等の利用者属性情報が求められ、ユーザ若しくは販売者がこれらの情報を入力して、OKボタンを押すことで、これらの情報は上記SIMカード情報取得モジュール18で取得され、上記ユーザDB17に登録される。
【0081】
ついで、上記販売店端末/サーバ24は、前記通信端末4(契約者/利用者)に新規契約電話番号を割り当て、その後、このSIMカード3を上記通信端末4に取り付けた状態若しくはSIMカード単独で契約者/利用者に提供される。
【0082】
次に、
図5のフローチャートを参照して通信端末4の初期設定時の動作を説明する。
【0083】
まず、通信端末4を受け取った新規契約者/利用者は、通信端末4を起動する。この実施例では、この通信端末4を起動すると自動で上記端末設定アプリ13も起動する(ステップS1)。この設定アプリ13は、上記設定システム14のグローバルIPアドレスを記憶しており、インターネットを介して上記通信端末設定システム14との接続を確立する。
【0084】
この場合、設定データ生成モジュール22は、設定アプリ13の設定データ取得モジュール13aから、この通信端末4のための設定データの要求を受け取る(ステップS1)。この要求には、前記SIMカード3に格納されたこの通信端末4の電話番号等、契約者・利用者を含むユーザ情報が含まれており、上設定データ生成モジュールはこの情報に基づいて、まず、SIMカード/端末認証を行う。具体的には、受け取った電話番号及び契約者・利用者情報のうちのいくつかと、前記ユーザDB17に格納された電話番号等が一致するかを確認する。
【0085】
次に、設定データ生成モジュール22は、前記認証された電話番号等に関連付けられた契約者・利用者の名前、住所、年齢、性別などを含むユーザ情報(契約者/利用者属性)をユーザDB17から取り出す(ステップS2)。前記設定データ生成モジュール22は、取り出したユーザ情報を推論モデルに適用し、その出力として設定項目及びその設定項目の設定値からなる設定データを得ることができる(ステップS3)。
【0086】
この設定データは、上記設定データ生成モジュール22から前記通信端末4に送信され、前記通信設定アプリ13の設定データ取得モジュール13aが受け取る(ステップS4)。
【0087】
ついで、前記端末設定モジュール13bが、前記受け取った設定データに基づく設定内容をこの通信端末4上に表示する。そして、ユーザ(契約者/利用者)が上記設定内容に同意したらならば、この端末設定モジュール13bは、前記設定データに基づいて通信端末4及びアプリの設定を行うように構成されている。
【0088】
このような構成によれば、SIMカードを起点として、通信端末の機種を問わず、スマートフォンであろうとその他のIoTデバイス等通信端末の種類に関わらず、ユーザの属性に応じた通信端末の設定を行うことができる。
【0089】
通信端末4の設定項目としては、通信端末自体の設定や、OSのクラウドアカウントの設定が含まれるだけでなく、様々なアプリに関する設定項目も含まれる。
【0090】
たとえば、この実施形態では、そのようなアプリ/サービスとして、子供やお年寄り見守ることができる見守りアプリ/サービスを例に挙げたが、上述したようにその設定項目は多岐にわたる。例えば、通信端末4上のアプリの利用の制限、歩きスマホの検知、ジオフェンス設定による、設定エリアへの「入った」「出た」の設定、不適切な画像を撮影した場合の通知のスタイル等である。
【0091】
このような設定項目は、契約者や利用者がマニュアルで行うものであり、その際、みまもり対象者(子供)の年齢や性別、居住地域等を考慮して適宜行う必要がある。しかしながら、これまでアプリでは、一般的で固定的な初期設定を提供するのみであった。
【0092】
これに対して、この発明の実施例によれば、利用者のデータから人工知能による推論を実施してより適切な設定を提案することができるようになる。
【0093】
なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形させても構わない。
【0094】
例えば、上記一実施形態では、通信端末4はスマートフォンであったがこれに限定されない。例えば、通信端末4は、インターネットに接続可能な家電等のIoT機器であっても良い。この場合、IoT機器の利用者は実際の人である必要はない。この場合には、SIMカードの契約者に関連付けられた当該IoT機器自体を利用者とすれば良い。
【0095】
また、この場合、IoT機器は最低限、本発明の通信端末設定システムに対してSIMカードの固有情報に基づいて設定データの要求および受領、そして、このIoT機器の設定を行える構成を備えていればよい。
【0096】
さらに、上記一実施形態では、通信端末4を設定するための設定データとして、見守りアプリ/サービスの設定項目及び設定値、ホーム画面の設定項目及び設定値を例に挙げたが、これに限定されるものではない。
【0097】
また、上記一実施例では、上記通信端末設定システムは、SIMカードを発行するMVNO事業者自身やMNO事業者自身に設けられるものであったが、これに限定されるものではなく、上記SIMカードを発行する他事業者や上記通信端末を製造するメーカー等にOEMする形で設けられていても良い。
【0098】
さらに、上記一実施形態では、SIMカードの認証をこのSIMカードに格納された電話番号やユーザ情報を用いて行っているが、それらの情報に加えて認証する通信端末の固有情報を用いて認証を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0099】
1…MNO事業者
2…MVNO事業者
3…SIMカード
4…携帯通信端末
5…基地局
6…モバイルネットワーク
7…サービスゲートウェイ
8…パケットデータネットワークゲートウェイ
9…帯域制御ルータ
10a~10d…サービスサーバ
10d…見守りサービスサーバ
11…OS
12…アプリ
13…端末設定アプリ
13a…設定データ取得モジュール
13b…端末設定モジュール
14…通信端末設定システム
14a…データ格納部
14b…プログラム格納部
15…インターネット
16…教師データ
17…ユーザDB
18…SIMカード情報取得モジュール
19…ユーザデータ収集モジュール
20…教師データ生成モジュール
21…推論モデル生成モジュール
22…設定データ生成モジュール
24…SIM契約店端末/サーバ