(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】モリブデン層における傾斜した終端及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231109BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H03H3/02 B
(21)【出願番号】P 2021087329
(22)【出願日】2021-05-25
(62)【分割の表示】P 2017553066の分割
【原出願日】2016-04-11
【審査請求日】2021-06-24
(32)【優先日】2015-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ネン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス コストナー スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エス デラス
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0231329(US,A1)
【文献】特開2007-110281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0263287(US,A1)
【文献】特開平06-177085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H03H 3/02
H01L 29/41
C23F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデン層の傾斜した終端を製造する方法であって、
前記モリブデン層を形成することと、
フォトレジスト材料を前記モリブデン層につけることと、
レジストマスクを生成するために前記フォトレジスト材料を±11μmと±22μmとの間のデフォーカス状態下に露出することであって、前記露出されるフォトレジスト材料の端部が前記傾斜した終端に対応する、前記露出することと、
前記モリブデン層をエッチング材料でエッチングすることであって、前記エッチング材料が、前記デフォーカス状態下に露出される前記フォトレジスト材料を少なくとも部分的にエッチングし、前記エッチングが30度より小さい終端角度を有する前記傾斜した終端をもたらす、前記エッチングすることと、
を含
み、
前記エッチングすることが、酸素対塩素の比が3:1と5:1の間である塩素と酸素とを含むガスに前記モリブデン層と前記フォトレジスト材料とを露出することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記モリブデン層を形成することが、酸化物層上にモリブデン層を形成することを含む、方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法であって、
酸素対塩素の比が約4:1である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、275ワット~400ワットの低トランス結合プラズマを印加することを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、約300ワットで低トランス結合プラズマを印加することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、-125ピークボルト~-175ピークボルトのバイアスRFを印加することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、約-150ボルトのバイアスRFを印加することを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記デフォーカス状態が約±17μmである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチング材料が、100:1より大きいモリブデン対アルミニウム窒化物の選択比を有する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチング材料が、100:1より大きいモリブデン対酸化物の選択比を有する、方法。
【請求項11】
モリブデン層の傾斜した終端を有するブラッグミラーを製造する方法であって、
シード層上に前記モリブデン層を形成することと、
フォトレジスト材料を前記モリブデン層につけることと、
レジストマスクを生成するために前記フォトレジスト材料を±11μmと±22μmとの間のデフォーカス状態下に露出することであって、前記露出されるフォトレジスト材料の端部が前記傾斜した終端に対応する、前記露出することと、
エッチング材料で前記モリブデン層をエッチングすることであって、前記エッチング材料が、前記デフォーカス状態下に露出される前記フォトレジスト材料を少なくとも部分的にエッチングし、前記エッチングが30度より小さい終端角度を有する前記傾斜した終端をもたらす、前記エッチングすることと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の方法であって、
前記シード層がアルミニウム窒化物シード層である、方法。
【請求項13】
請求項
11に記載の方法であって、
前記シード層が酸化物である、方法。
【請求項14】
請求項
11に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、前記モリブデン層と前記フォトレジスト材料とを3:1と5:1との間の酸素対塩素の比の酸素と塩素ガスとを含むガスに露出することを含む、方法。
【請求項15】
請求項
11に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、275ワット~400ワットの低トランス結合プラズマを印加することを含む、方法。
【請求項16】
請求項
11に記載の方法であって、
前記エッチングすることが、-125ピークボルト~-175ピークボルトのバイアスRFを印加することを含む、方法。
【請求項17】
請求項
11に記載の方法であって、
前記エッチング材料が、100:1より大きいモリブデン対アルミニウム窒化物の選択比と100:1より大きいモリブデン対酸化物の選択比とを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
集積回路における幾つかの構成要素は、モリブデン(Mo)、チタンタングステン(TiW)、及びアルミニウム窒化物(AlN)を含む幾つかの層から製造される。このようなデバイスの一つは、モリブデン、チタンタングステン、及び窒化アルミニウムの層から製造されるスタックを有する、バルク音響波(BAW)デバイスである。アルミニウム窒化物は、音響共振器にわたって電極として働くモリブデンの層を備える音響共振器を形成する。
【発明の概要】
【0002】
記載される例において、モリブデン層の傾斜した終端を製造する方法が、モリブデン層を提供すること、及びモリブデン層にフォトレジスト材料をつけることを含む。フォトレジスト材料は、エッジ部を有するレジストマスクを生成するため、脱焦点(デフォーカス:defocus)状態下に曝露される。モリブデン層は、結果としてモリブデン層の傾斜した終端となるように、レジストマスクの少なくとも端部においてエッチングされる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】アルミニウム窒化物ピエゾベースのバルク音響波デバイスの側部破断図である。
【0004】
【
図2】
図1のバルク音響波デバイスにおけるモリブデン終端の拡大図である。
【0005】
【
図3】
図1のバルク音響波デバイスにおける別のモリブデン終端の拡大図である。
【0006】
【
図4】モリブデン終端に近接して形成されるシームの拡大図である。
【0007】
【
図5】製造されるプロセスにおける
図1のバルク音響波デバイスの側部破断図である。
【0008】
【
図6】フォトリソグラフィ工程及びレジスト材料の残りの部分の除去を適用した後の
図5のデバイスの側部破断図である。
【0009】
【
図7】エッチング後の
図6のデバイスの側部破断図である。
【0010】
【
図8】モリブデン層において傾斜した終端を製造するための方法の一実施例を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
記載される例において、複数の層を有するスタックによって、構成要素が集積回路上に製造される。これらのデバイスは、スタック内のモリブデン層の終端において又は終端の近くにおいて、クラック及びシームの影響を受け易い。例えば、スタックにおける一つ又は複数の層としてモリブデンを有するデバイスは、モリブデン層がスタックにおいて鋭角で終端する箇所においてクラック又はシームの影響を受け易い。この鋭い角度は、スタックにおける他の材料を弱くし、クラックを形成させ、これは、スタックを介して伝搬し得る。幾つかの状況において、鋭い角度は、シーム又は折り目(folds)を形成させ、これもまた、スタックを介して伝搬する。クラック及びシームはいずれも、スタックが置かれている構成要素の欠陥となり得る。本明細書に記載されるデバイス及び方法は、モリブデン層の終端における角度を低減し、これにより、スタックにおいて形成するクラック及びシームの可能性が低減される。
【0012】
複数層を有するスタックを備えて製造される構成要素の一例は、バルク音響波(BAW)デバイスである。
図1は、複数の層から製造されるアルミニウム窒化物ピエゾベースの(BAW)デバイス100の一例である。BAWデバイス100は、図示しない一層大きな集積回路の一部であり得る。これらの層は、BAWデバイス100が位置する領域に近接する高まり(rise)となる、スタック102を形成する。音響共振器106が、スタック102内に形成される。
図1の例において、共振器106は、モリブデンから形成される頂部電極112と、同じくモリブデンから形成される底部電極114との間に挟まれるアルミニウム窒化物(AlN)層110を含む。頂部及び底部電極112及び114は、スタック102内に製造される層である。本明細書に記載される層は、膜と称されることもある。
図1の例では、酸化物層116が、頂部電極112とAlN膜110との間に位置し、共振器106のための温度補償層として機能する。幾つかの実施例において、BAWデバイス100は酸化物層116を含まない。音波が、共振器106内で共振するために頂部電極112と底部電極114との間で反射する。
【0013】
スタック102は、上部ブラッグミラー120及び下部ブラッグミラー122を含む。ブラッグミラー120及び122は、共振器106からエネルギーが逃げないようにし、また、従来の共振器仕様を達成するように機能する。下部ブラッグミラー122は、複数の交互の層又は膜により形成され、これらは、
図1の例において、チタンタングステン及び酸化物の交互の層である。
図1の下部ブラッグミラー122は第1の酸化物層130を有し、第1の酸化物層130は、底部電極114に隣接し、BAWデバイス100の長さ延在する。第1の酸化物層130と第2の酸化物層134との間に第1のチタンタングステン層132が位置する。第2の酸化物層134は、第1の酸化物層130と同様、BAWデバイス100の長さ延在する。第2のチタンタングステン層136が、第2の酸化物層134と第3の酸化物層138間に位置する。基板(図示せず)が、第3の酸化物層138の下に位置し、これは、その上にBAWデバイス100が製造されるシリコンなどの材料である。第1のチタンタングステン層132及び第2のチタンタングステン層136は、いずれも、共振器106の下に位置し、共振器106の端部に近接して終端する。幾つかの実施例において、シード層(
図1には示していない)が、第1の酸化物層130と底部電極114との間に位置する。
【0014】
上部ブラッグミラー120は、下部ブラッグミラー122を形成する層に類似する又はそれと同一の複数の交互の層から形成される。
図1の例では、上部ブラッグミラー120は第1の酸化物層140を含み、第1の酸化物層140は、上部電極112に隣接して位置し、BAWデバイス100の長さ延在する。BAWデバイス100は、
図1には示していない回路に接続可能な2つのコネクタ142及び144を有する。コネクタ142及び144は、破断図として示されており、それらは比較的小さくされ得る。従って、上部ブラッグミラー120における酸化物層の一部が、コネクタ142及び144の周りに延在する。第1のチタンタングステン層146が、第1の酸化物層140と第2の酸化物層148との間に挟まれる。第2の酸化物層148は、BAWデバイス100の長さ延在する。第2のチタンタングステン層150が、第2の酸化物層148と第3の酸化物層152との間に挟まれる。第3の酸化物層152も、BAWデバイス100の長さ延在する。第1のチタンタングステン層146及び第2のチタンタングステン層150は、共振器106の端部において終端する。
【0015】
頂部電極112は、第1の終端160及び第2の終端162において終端し、底部電極114は、第1の終端164及び第2の終端166において終端する。従来のデバイスにおいて、終端160~166は、結果として急勾配の終端角度となる、従来の製造手法を用いて製造される。概して急勾配であることに加えて、終端160~166における終端角度は、所定の範囲内又は所定の角度より小さく一定に製造されるよう維持され得ない。
図2は終端160の拡大図であり、
図3は終端162の拡大図である。角度αは、終端160における終端角度である。
図2に示すように、終端角度αは、約70度であり、これは40~90度の範囲であり得る。
図3を参照すると、終端162における終端角度βも約70度であり、これは40~90度の範囲であり得る。終端164及び166の終端角度は、終端160及び162における終端角度α及びβに類似する。本明細書に記載される製造方法は、BAWデバイス100の層におけるクラック及びシームの形成を防ぐため、終端角度α及びβを、30度など、所定の角度より小さく低減する。幾つかの実施例において、終端角度α及びβは、12~30度である。モリブデン層における大きな終端角度は、BAWデバイス100の層において形成するシーム及び/又はクラックとなることが分っている。
【0016】
終端160~166における急勾配の終端角度の影響を示すために
図1を参照する。クラック170が、終端164から形成されており、クラック170は、AlN層110を介して及び上部ブラッグミラー120内に延在する。また、シーム172が終端166の上に形成しており、これは
図4の拡大図に示されている。クラック170及びシーム172は、共振器106及びブラッグミラー120及び122と干渉し、共振器106内で共鳴する音響波の共鳴及び品質を変え得る。また、クラック170及びシーム172は、共振器106と電気的コンタクト142との間の頂部モリブデン電極112の不連続につながり得る。従って、クラック170及び/又はシーム172は、クラック170及び/又はシーム172が位置する箇所に応じて、BAWデバイス100を故障させ得る。クラック及びシームは、BAWデバイス100における、又はモリブデン層が急勾配の角度で終端するその他のデバイス上の、モリブデン終端の任意のものに近接して位置し得る。
【0017】
本明細書に記載されるデバイスは、その製造手法が、モリブデン層における、12~30度であり得る所定の値より小さな終端角度を維持するので、従来のデバイスほどクラック及びシーム形成の影響を受け易くない。モリブデン層の終端における30度又はそれ以下の終端角度が、クラック及びシームがスタックにおいて生じ得る尤度を低減することが分かっている。従来のモリブデン層終端は、金属ドライ又はウェットエッチングプロセスを用いて製造され、こういったプロセスは、70度より大きいなどの急勾配の角度を有する終端を生じさせる。傾斜金属ウェットエッチング手法を用いるプロセスもあるが、こういった手法は、30度より大きくなり得る一貫性のない終端角度を生成する。本明細書に記載されるプロセスでは、モリブデン層における終端角度が一貫して30度未満となる。
【0018】
図5は、製造されるプロセスにおけるデバイス500の側面図である。本明細書に記載される製造プロセスは、主としてモリブデン層の製造に関連し、そのため、プロセスは、モリブデン層502が酸化物層504上に製造されることで開始する。幾つかの実施例において、モリブデン層502は、酸化物層504を覆うように延在し得る非常に薄いアルミニウム窒化物シード層503上に製造される。
図1のBAWデバイス100に関連させると、モリブデン層502は底部電極114に対応し、酸化物層504は、第1の酸化物層130に対応する。モリブデン層502の厚みは、モリブデン層502が置かれるデバイスのタイプに応じて変化する。幾つかの例において、モリブデン層502は約400nmである。
【0019】
フォトレジスト層510がモリブデン層502上に製造される。エッチングプロセスが、モリブデン層502より速くフォトレジスト層510をエッチングする。例えば、フォトレジスト層510は、双方が以下に説明するようにエッチング材料に曝露されるとき、モリブデン層502より約4倍速くエッチングし得る。フォトリソグラフィ工程がデバイス500に対して実施され、この工程において、フォトレジスト層510は、レジスト傾斜端部514及び516を生成するために脱焦点条件下に曝露される。幾つかの実施例において、脱焦点は約+17μm又は-17μmである。他の例において、脱焦点は、完成したモリブデン層502における所望の終端角度を達成するために、+/-11μm~+/-22μmである。フォトリソグラフィ工程及びフォトレジスト層510の残りの部分の除去を適用した後のデバイス500の図である、
図6を参照する。フォトリソグラフィ工程は、フォトレジスト層510からレジストマスク600をつくり、モリブデン層502の、レジストマスク600により覆われた部分は、エッチングされないか、又は、後続のエッチング工程の間、モリブデン層502を覆うレジストマスク600の厚みに比例してエッチングされ得る。
【0020】
図6に示すフォトレジスト層510は、曝露されなかったフォトレジスト層510における残りのフォトレジスト材料を取り除くため、フォトリソグラフィ工程の間、処理されている。その結果のフォトレジスト層510がレジストマスク600である。
図6に示すように、レジストマスク600は、傾斜した終端となるモリブデン層502の一部の上に位置する、傾斜した端部514及び516を有する。フォトレジスト層510に適用されるフォトリソグラフィにおける脱焦点は、傾斜した端部514及び516の傾斜を確立し、これは、上述のように最終的なモリブデン層502における終端角度を決める。従来の製造手法において、レジストは、ほぼ垂直のレジスト側壁プロファイルを提供するために最良の焦点条件で曝露される。
【0021】
フォトリソグラフィ工程における脱焦点は傾斜端部514及び516を生成した。モリブデン層502をエッチングするエッチング材料は、エッチングプロセスの間、レジストマスク600の一部を消費する。しかし、レジストマスク600の傾斜端部514及び516は、レジストマスク600の他の部分より薄く、エッチング材料に対する耐性がより低く、そのため、それらは一層速く消費される。エッチング後の
図6のデバイス500の図である、付加的な
図7を参照する。傾斜端部514及び516の一層厚い内側部分604及び606は、傾斜端部514及び516の一層薄い外側端部608及び610より遅く消費される。その結果は、傾斜端部514及び516の外側部分608及び610に近接するモリブデン層502の、内側部分604及び606より多くエッチングされるエッチングであり、このエッチングの結果、所望の終端角度710及び712を有するモリブデン層502の終端700及び702となる。幾つかの実施例において、3.5μmのフォトレジスト層510上の正又は負の17μmの脱焦点が、28度の終端角度を生成した。幾つかの実施例において、角度710及び712は30度より小さく、これは、モリブデン層502が位置するデバイスにおいてつくられるクラック及びシームの尤度を低減する。
【0022】
幾つかの実施例において、デバイス500のエッチングは、その上に製造されたレジストマスク600を備えるデバイス500を、プラズマエッチングチャンバ内に置くことを含み、そのチャンバにおいて、モリブデン層502の、レジストマスク600によりマスクされていない部分がエッチングされる。上述のように、レジストマスク600により覆われるモリブデン層502の部分は完全にはエッチングされない。しかし、傾斜端部514及び516は、所定の終端角度710及び712をもたらすために上述のように部分的にエッチングされ得る。幾つかの実施例において、エッチングプロセスは、エッチングチャンバ内に塩素ガス及び酸素ガスを含有するガス混合物を流すことで実施される。4:1の酸素ガス対塩素ガスの比が、更に、上記で説明した終端角度712及び714がモリブデン層502内に形成され得ることを可能にすることが分っている。より具体的には、塩素及び酸素混合物は、終端角度710及び712が傾斜端部514及び516に近接して形成されるように、フォトレジスト層510をエッチングする。幾つかの実施例において、酸素対塩素ガス比は、3:1と5:1との間である。このプロセスは、100:1より大きいモリブデンの窒化アルミニウム又は酸化物に対する高エッチング選択比を提供することが分ってきている。プロセスはまた、湾曲した終端ではなく、実質的にまっすぐな終端700及び702をもたらす。
【0023】
エッチングは更に、約300Wの低トランス結合プラズマ(TCP RF)を用い得る。幾つかの実施例において、パワーは275W~400Wである。約-150Vのピーク電圧又は-125~-175Vのピーク電圧を有するバイアスRFが、エッチングの間、デバイス500に印加され得る。脱焦点、ガス比、及びRFの組み合わせは、モリブデン層502が、一貫して30度又はそれ以下の終端角度710及び712を有することを可能にする。
【0024】
上述のガス比及び/又はRFパワーで、エッチング工程は、エンドポイントにより終端する。時限のオーバーエッチング工程が、モリブデン残存物を洗浄する同じプロセスを用いて続き得る。モリブデン層502がエッチングされた後、デバイス500は、プラズマアッシングチャンバ内に置かれ得、そこでアッシングプロセスがチャンバを用いてレジストマスク600に適用される。幾つかのプロセスにおいて、デバイス500は、酸素ガスをアッシングチャンバ内に流すことを用いてプラズマアッシングプロセスを実施するため約175℃の温度まで加熱される。アッシングは制御され、このプロセスの後、如何なるフォトレジスト残存物をも取り除くための時限のオーバーアッシュが続く。
【0025】
結果の終端角度710及び712を
図7に図示する。
図7における終端角度710は、
図2からの角度αに対応し、角度712は
図3の角度βに対応する。終端角度710及び712は所定の値内であり、本明細書に記載される例においてこれは30度未満である。これらの小さい終端角度710及び712は、上述のクラック及びシームが、終端700及び702に近接して形成することを防止する。デバイス500における全てのモリブデン層が、上述の急勾配の終端角度を防ぐために上述のように製造され得る。
【0026】
上述の方法の異なる変形が製造プロセスにおいて実装され得る。例えば、フォトレジスト材料510は、3.5μm~5.5μmであり得る。フォトレジスト材料510が5.5μmで+/-17μmの脱焦点である場合、終端角度710及び712は約11度であり得る。エッチング材料は、100:1より大きいモリブデン対アルミニウム窒化物選択比及び100:1より大きいモリブデン対酸化物選択比など、高い選択比を有し得る。幾つかの実施例において、終端角度710及び712は、上にモリブデン層502が位置するデバイスにわたって1パーセント内に維持される。
【0027】
上述の製造プロセスの一実施例を
図8のフローチャート800に図示する。プロセスは、モリブデン層を提供する工程802で開始する。
図5を参照すると、提供されるモリブデン層は、酸化物層504上に製造されるモリブデン層502、又は酸化物層504上に製造されるシード層(図示せず)であり得る。工程804で、フォトレジスト材料がモリブデン層につけられる。フォトレジスト材料は、
図5を参照して説明されるフォトレジスト層510であり得る。工程806において、エッジ部を有するレジストマスクを生成するために、フォトレジスト材料が脱焦点状態下に曝露される。レジストマスクはマスク600に対応し得、曝露されたフォトレジスト材料の端部が、傾斜端部514又は516のいずれか一つに対応し得る。工程808において、結果としてモリブデン層の傾斜した終端となるように、レジストマスクのモリブデン層が端部においてエッチングされる。
【0028】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。