(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】バッテリ充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
H02J7/04 C
(21)【出願番号】P 2020567127
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019035208
(87)【国際公開番号】W WO2019232530
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ エル マーキ
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドロ ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】ロヒ バン
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-003329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0207571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1のコントローラ出力と第2のコントローラ出力とを有するコントローラであって、
時間期間の間に前記第1のコントローラ出力においてチャージイネーブル信号を一時的にアサート解除し、
前記時間期間内に前記第2のコントローラ出力においてチャージ制御信号を変更し、
前記時間
期間の経過の後に前記第1のコントローラ出力において前記チャージイネーブル信号を再アサートする、
ように構成される、前記コントローラと、
回路であって、
複数のトランジスタと、
トランジスタ制御回路であって、
前記複数のトランジスタと前記第2のコントローラ出力とに結合される複数のスイッチであって、バッテリチャージ信号を変更するために前記チャージ制御信号を変更することに応答して前記複数のスイッチの各々のそれぞれの状態を制御するように構成される、前記複数のスイッチと、
前記複数のスイッチと前記第1のコントローラ出力とに結合される制御トランジスタであって、
前記チャージイネーブル信号を一時的にアサート解除することに応答して前記時間期間内に前記バッテリチャージ信号の提供をディセーブルし、
前記チャージイネーブル信号を再アサートすることに応答して前記バッテリチャージ信号の提供をイネーブルする、
ように構成される、前記制御トランジスタと、
を含む、前記トランジスタ制御回路と、
を含む、回路と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数のトランジスタと前記制御トランジスタとが電界効果トランジスタである、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2のコントローラ出力に結合されるシフトレジスタ入力と、前記複数のスイッチに結合される複数のシフトレジスタ出力とを有するシフトレジスタを更に含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記複数のスイッチが複数のスイッチの相補対を含み、各スイッチの相補対が前記複数のトランジスタの異なる1つに結合される、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記コントローラが、コントローラ入力を更に有し、前記コントローラが、前記コントローラ入力におけるコマンド信号に応答して、前記チャージイネーブル信号をアサート解除し、前記チャージ制御信号を変更するように更に構成される、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記時間期間が10マイクロ秒と500ミリ秒との間である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記
バッテリチャージ信号の電流が、前記コントローラが前記チャージ制御信号を変更する前と変更する間と変更した後とに、安全閾値であるか又は安全閾値未満である、装置。
【請求項8】
バッテリを充電するための方法であって、
バッテリ電力レギュレータによって、チャージ制御信号とチャージイネーブル信号のアサートとに基づいて第1のチャージ信号をバッテリに印加することと、
コントローラによって、前記チャージ制御信号を変更すべきである旨を判定することと、
前記コントローラによって、前記判定することに基づいて前記チャージイネーブル信号をアサート解除することであって、それによって前記バッテリ電力レギュレータに前記第1のチャージ信号をディセーブルさせる、前記アサート解除することと、
前記コントローラによって、前記アサート解除することに応答して前記チャージ制御信号を変更することと、
前記コントローラによって、前記変更することの後に所定時間前記チャージイネーブル信号を再アサートすることと、
前記バッテリ電力レギュレータによって、前記変更されたチャージ制御信号と前記チャージイネーブル信号の再アサートとに基づいて第2のチャージ信号を前記バッテリに印加することと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記所定時間が10マイクロ秒と500ミリ秒との間である、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1のチャージ信号の電流と前記第2のチャージ信号の電流とが、前記チャージ制御信号の変更の前と変更の間と変更の後とに、安全閾値であるか又は安全閾値未満である、方法。
【請求項11】
回路であって、
バッテリ端子と、
チャージイネーブル出力とチャージ制御出力とを有するコントローラと、
チャージ制御回路であって、
第1の制御入力と第1及び第2のトランジスタ端子とを有する第1のトランジスタであって、前記第1の制御入力が前記チャージイネーブル出力に結合される、前記第1のトランジスタと、
トランジスタアレイであって、
第2の制御入力と第3及び第4のトランジスタ端子とを有する第2のトランジスタであって、前記第3のトランジスタ端子が前記第1のトランジスタ端子に結合され、前記第4のトランジスタ端子が前記バッテリ端子に結合される、前記第2のトランジスタと、
第3の制御入力と第5及び第6のトランジスタ端子とを有する第3のトランジスタであって、前記第5のトランジスタ端子が前記第1のトランジスタ端子に結合され、前記第6のトランジスタ端子が前記バッテり端子に結合される、前記第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタ端子と前記第2の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第1のスイッチと、
前記第1のトランジスタ端子と前記第2の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第2のスイッチと、
前記第2のトランジスタ端子と前記第3の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第3のスイッチと、
前記第1のトランジスタ端子と前記第3の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第4のスイッチと、
を含む、前記トランジスタアレイと、
を含む、チャージ制御回路と、
を含む、回路。
【請求項12】
請求項11に記載の回路であって、
前記チャージ制御出力を前記第1、第2、第3及び第4のスイッチに結合するシフトレジスタを更に含む、回路。
【請求項13】
請求項11に記載の回路であって、
前記第1、第2及び第3のトランジスタが電界効果トランジスタである、回路。
【請求項14】
請求項11に記載の回路であって、
前記第2のトランジスタ端子と前記第1のスイッチと前記第3のスイッチとに結合される電流源と、
前記電流源と前記第2のトランジスタ端子と前記第1のスイッチと前記第3のスイッチとに結合される第7のトランジスタ端子を有する第4のトランジスタと、
を更に含む、回路。
【請求項15】
請求項14に記載の回路であって、
前記第4のトランジスタが第4の制御
入力を
更に有し、
前記回路が、
参照入力と、前記第4及び第6のトランジスタ端子に結合されるオペアンプ入力と、オペアンプ出力とを有する演算増幅器(オペアンプ)と、
前記オペアンプ出力に結合され
た第5の制御入力と、前記第4の制御入力に結合される第8のトランジスタ端子とを有する第5のトランジスタと、
を更に含む、回路。
【請求項16】
請求項15に記載の回路であって、
前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタがPMOSトランジスタであり、前記第5のトランジスタがNMOSトランジスタである、回路。
【請求項17】
請求項14に記載の回路であって、
前記第4のトランジスタが第4の制御
入力を更に有し、前記電流源が第1の電流源であり、
前記回路が、
第5の制御入力と第8及び第9のトランジスタ端子とを有する第5のトランジスタであって、前記第8のトランジスタ端子が前記第1のトランジスタ端子に結合され、前記第5の制御入力が前記第2のトランジスタ端子と前記第1の電流源と前記第7のトランジスタ端子とに結合される、前記第5のトランジスタと、
第6の制御入力と第10及び第11のトランジスタ端子とを有する第6のトランジスタであって、前記第6の制御入力が前記第2のトランジスタ端子と前記第1の電流源と前記第7のトランジスタ端子とに結合され、前記第10のトランジスタ端子が前記第1のトランジスタ端子に結合され、前記第11のトランジスタ端子が前記第4及び第6のトランジスタ端子に結合される、前記第6のトランジスタと、
第7の制御入力と第12及び第13のトランジスタ端子とを有する第7のトランジスタであって、前記第12のトランジスタ端子が前記第9のトランジスタ端子に結合される、前記第7のトランジスタと、
第1のオペアンプ入力と第2のオペアンプ入力と第1のオペアンプ出力とを有する第1の演算増幅器(オペアンプ)であって、前記第1のオペアンプ入力が前記第9及び第12のトランジスタ端子に結合され、前記第2のオペアンプ入力が前記第4、第6及び第
11のトランジスタ端子に結合され、前記第1のオペアンプ出力が前記第7の制御入力に結合される、前記第1のオペアンプと、
参照入力と第3のオペアンプ入力と第2のオペアンプ出力とを有する第2のオペアンプであって、前記第3のオペアンプ入力が前記第13のトランジスタ端子に結合される、前記第2のオペアンプと、
第8の制御入力と第14のトランジスタ端子とを有する第8のトランジスタであって、前記第8の制御入力が前記第2のオペアンプ出力に結合され、前記第14のトランジスタ端子が前記第4の制御入力に結合される、前記第8のトランジスタと、
前記第14のトランジスタ端子と前記第4の制御入力とに結合される第2の電流源と、
を更に含む、回路。
【請求項18】
請求項17に記載の回路であって、
前記第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7のトランジスタがPMOSトランジスタであり、前記第8のトランジスタがNMOSトランジスタである、回路。
【請求項19】
請求項11に記載の回路であって、
電圧入力端子と、
第7及び第8のトランジスタ端子を有する第4のトランジスタであって、前記第7のトランジスタ端子が前記電圧入力端子に結合される、前記第4のトランジスタと、
第9及び第10のトランジスタ端子を有する第5のトランジスタであって、前記第9のトランジスタ端子が前記第8のトランジスタ端子に結合され、前記第10のトランジスタ端子が前記第1、第3及び第5のトランジスタ端子と前記第2及び第4のスイッチとに結合される、前記第5のトランジスタと、
を更に含む、回路。
【請求項20】
システムであって、
バッテリ端子と、
前記バッテリ端子に結合されるバッテリ入力とバッテリ出力とを有するバッテリと、
前記バッテリ出力に結合されるプロセッサ入力とプロセッサ出力とを有するプロセッサと、
前記プロセッサ出力に結合されるコントローラ入力とチャージイネーブル出力とチャージ制御出力とを有するコントローラと、
チャージ制御回路であって、
前記チャージイネーブル出力に結合される第1の制御入力と第1及び第2のトランジスタ端子とを有する第1のトランジスタと、
トランジスタアレイであって、
第2の制御端子と第3及び第4のトランジスタ端子とを有する第2のトランジスタであって、前記第3のトランジスタ端子が前記第1のトランンジスタ端子に結合され、前記第4のトランジスタ端子が前記バッテリ端子に結合される、前記第2のトランジスタと、
第3の制御入力と第5及び第6のトランジスタ端子を有する第3のトランジスタであって、前記第5のトランジスタ端子が前記第1のトランジスタ端子に結合され、前記第6のトランジスタ端子が前記バッテリ端子に結合される、前記第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタ端子と前記第2の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第1のスイッチと、
前記第1のトランジスタ端子と前記第2の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第2のスイッチと、
前記第2のトランジスタ端子と前記第3の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第3のスイッチと、
前記第1のトランジスタ端子と前記第3の制御入力と前記チャージ制御出力とに結合される第4のスイッチと、
を含む、トランジスタアレイと、
を含む、チャージ制御回路と、
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に電子回路要素に関し、より具体的には、バッテリを充電するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ充電器又は再充電器とは、バッテリを介して電流を流すことによって、エネルギーをバッテリ内に投入するために用いられるデバイスである。バッテリの充電プロトコルは、電圧及び/又は電流のレベル、持続時間、並びに、充電が完了したときに実行される動作を示す。バッテリの充電プロトコルは、充電されているバッテリのサイズ及びタイプに依存する。或るタイプのバッテリは、過充電(例えば、バッテリがフル充電された後も引き続き充電すること)に対する高い耐性を有し、定電圧源又は定電流源への接続を介して再充電可能である。いくつかのバッテリ充電器は、およそ充電が完了したとき、なんらかの固定時間に充電電流を切断するためのタイマを採用する。他のバッテリタイプは、過充電、損傷(低減容量、低減寿命)、加熱、或いは破裂に耐えることができない。したがって、こうしたバッテリタイプのための充電器は、充電電流及び電圧を安全に調節し、充電の状態を判定し、充電の終わりに切断するための、温度及び/又は電圧感知回路、及びマイクロプロセッサコントローラを含む。
【0003】
電気工学において、スパイクは、電気回路において、電圧(電圧スパイク)、電流(電流スパイク)、又は伝達エネルギー(エネルギースパイク)における高速で短い持続時間の電気的過渡事象である。こうしたスパイクの間の過度の電流は、電子デバイスを破壊し得るか又は極度に減衰させ得る。
【発明の概要】
【0004】
第1の例において、バッテリ充電器が、チャージ制御信号及びチャージイネーブル信号に基づいてバッテリに提供されるチャージ信号を設定するように構成されるバッテリ電力レギュレータを含む。バッテリ充電器は、チャージ制御信号をバッテリ電力レギュレータに提供するように構成され、また、チャージ制御信号において変更が必要である旨の判定に応答して、所定時間の間チャージイネーブル信号を一時的にアサート解除するように構成されるコントローラを含む。また、コントローラは、所定時間の後、チャージイネーブル信号を再アサートするように構成される。
【0005】
第2の例において、システムが、バッテリを充電するための電力を提供するように構成される電力レギュレータを含む。システムは、バッテリを充電するための電力を受け取るように構成され、また、チャージ制御信号及びチャージイネーブル信号に基づいてバッテリに提供されるチャージ信号を設定するように構成される、バッテリ電力レギュレータも含む。システムは更にコントローラを含み、コントローラは、コントローラにおいて受信されたチャージコマンド信号に基づいて、チャージ制御信号をバッテリ電力レギュレータに提供するように構成される。また、コントローラは、チャージ制御信号における変更を命じるチャージコマンド信号に応答して、所定時間の間チャージイネーブル信号を一時的にアサート解除するように構成される。チャージイネーブル信号のアサート解除は、バッテリ電力レギュレータにチャージ信号をディセーブルさせる。コントローラは更に、チャージコマンド信号における変更に基づいてチャージ制御信号を変更するように、また、所定時間の後チャージイネーブル信号を再アサートするように構成される。再アサートは、バッテリ電力レギュレータにチャージ信号を再イネーブルさせる。
【0006】
第3の例において、バッテリを充電するための或る方法が、チャージ制御信号とチャージイネーブル信号のアサートとに基づいて、バッテリ電力レギュレータによって第1のチャージ信号をバッテリに印加することを含む。また、この方法は、コントローラによって、チャージ制御信号を変更すべきであると判定すること、及び、その判定に基づき、コントローラによってチャージイネーブル信号をアサート解除し、それによってバッテリ電力レギュレータに第1のチャージ信号をディセーブルさせることを含む。この方法は更に、アサート解除に応答して、コントローラによってチャージ制御信号を変更すること、及び、変更後所定時間に、コントローラによってチャージイネーブル信号を再アサートすることを含む。この方法はまた、変更されたチャージ制御信号とチャージイネーブル信号の再アサートとに基づいて、バッテリ電力レギュレータによって、第2のチャージ信号をバッテリに印加することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】バッテリを充電するためのシステムの一例の図である。
【0008】
【
図2】チャージイネーブル信号、データ信号、チャージ信号、バッテリ電界効果トランジスタ(FET)のゲートソース間電圧、及びいくつかのバッテリFET区画を、時間の関数としてプロットするグラフを図示する。
【0009】
【
図3】バッテリを充電するためのシステムの別の例の図である。
【0010】
【
図4】チャージイネーブル信号、データ信号、及びチャージ信号の電流を、時間の関数としてプロットするグラフを図示する。
【0011】
【
図5】チャージイネーブル信号、データ信号、チャージ信号の電流、及びチャージ信号の電圧を、時間の関数としてプロットするグラフを図示する。
【0012】
【0013】
【
図7】バッテリ電界効果トランジスタ(FET)制御の回路図である。
【0014】
【
図8】バッテリを充電するための例示の方法のフローチャートである。
【0015】
【
図9】バッテリを充電するための例示のシステムの状態図である。
【0016】
【0017】
【
図11】バッテリを充電するための別の例示の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本記載は、バッテリを充電するためのシステム及び方法に関する。いくつかの例において、バッテリ電界効果トランジスタが、チャージ制御信号とコントローラによって提供されるチャージイネーブル信号のアサートとに基づいて、チャージ信号をバッテリに印加する。チャージ制御信号及びチャージイネーブル信号は、外部システムから提供されるチャージコマンド信号に基づくか、又は、コントローラの内部論理に基づく。また、コントローラは、チャージ制御信号を変更すべきである旨を判定する。判定は、外部システムから提供されるチャージコマンド信号における変更に基づいて行われる。
【0019】
いくつかのバッテリ充電システムにおいて、コントローラは制御信号を突然変更し、これがバッテリ電力レギュレータの内部論理を変更する。制御信号におけるこの急激な変更は、チャージ信号の電流において過渡スパイクを生じさせる。この過渡スパイクはバッテリの安全閾値を超えるため、過渡スパイクはバッテリの寿命を短くする。したがって、チャージ信号の電流における過渡スパイクは対処を必要とする問題である。
【0020】
チャージ信号の電流において前述の過渡スパイクを生じさせる、制御信号における急激な変更に関連する問題の解決策として、コントローラは、チャージ制御信号を変更する前にチャージイネーブル信号を一時的にアサート解除する。より具体的に言えば、チャージ制御信号を変更すべきである旨をコントローラが判定する状況において、コントローラは、所定時間の間(例えば、約10マイクロ秒(μs)から約500ミリ秒(ms))チャージイネーブル信号を一時的にアサート解除し、それによってバッテリ電力レギュレータにチャージ信号の電流を0A近く(例えば、+/-0.001A)まで減少させる。チャージイネーブル信号をアサート解除した後、約1μsから約1ms、コントローラはチャージ制御信号を変更し、それによって、変更されたチャージ制御信号を所定時間の間出力するためにバッテリ電力レギュレータに内部回路要素(例えば、スイッチ)を調節させる。したがって、チャージ信号のアサート解除はチャージ制御信号に対する変更につながる。所定時間の後、コントローラはチャージイネーブル信号を再アサートする。これに応答して、バッテリ電力レギュレータは、変更されたチャージ制御信号に基づいて、変更されたチャージ信号をバッテリに印加する。このようにして、バッテリに印加されるチャージ信号は、コントローラがチャージ制御信号を変更する前、変更する間、及び変更した後、安全閾値又は安全閾値より下にとどまる。したがって、バッテリ電力レギュレータにおける内部回路要素に対する調節における変更に起因して、チャージ信号における過渡スパイクは削減及び/又はなくされる。
【0021】
図1は、チャージ信号CHARGEの電流における前述の過渡スパイクを回避する、バッテリ102を充電するためのシステム100のブロック図である。いくつかの例において、システム100はバッテリ充電器を表す。システム100は、いくつかの例において、集積回路(IC)チップ、又は回路基板上に搭載される共働して動作する複数のICチップとして実装される。一例として、システム100は、スマートフォンなどのモバイルデバイス上に実装される。別の例として、システム100は、バッテリ駆動のモノのインターネット(IoT)デバイス上に実装される。しかしながら、システム100は、代替として、バッテリを充電する任意のシステムにおいて利用可能である。
【0022】
いくつかの例において、システム100は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLをバッテリ電力レギュレータ106に提供するコントローラ104を含む。本明細書で説明するように、チャージ制御信号CHARGE CONTROLは、チャージ信号CHARGEの電流及び/又は電圧がバッテリ電力レギュレータ106によるバッテリ102への出力として制御する。いくつかの例において、チャージ制御信号CHARGE CONTROLは、マルチビットワード信号などのデジタル信号である。他の例において、チャージ制御信号CHARGE CONTROLはアナログ信号である。コントローラ104は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEもバッテリ電力レギュレータ106に提供する。バッテリ電力レギュレータ106は、電源108(例えば、調整電源)から電力信号POWERを受信し、チャージ制御信号CHARGE CONTROL及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEに基づいて変動するチャージ信号CHARGEを提供する。
【0023】
いくつかの例において、コントローラ104は、バッテリ102によって電力供給されるシステム上で動作するマイクロコントローラ又は汎用処理ユニットなどの外部ソースから、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDを受信する。こうした状況において、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、チャージのレベル及び/又はバッテリ102のためのチャージのレベルを識別するデータを含む。この構成において、チャージ制御信号CHARGE CONTROLは、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDの関数として変動する。他の例において、コントローラ104は、任意の外部ソースからの入力なしにチャージ制御信号CHARGE CONTROLを生成する。
【0024】
図2は、
図1のシステム100によって対処される問題を例示するグラフ150の一例を図示する。グラフ150は、チャージ信号の電流CHARGE CURRENT、データ信号DATA、及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを、時間の関数としてプロットする。またグラフ150は、バッテリFETのゲートソース間V
GS of BATFET(例えば、チャージ信号をバッテリに供給するゲートソース間トランジスタ)もプロットする。時間t
1において図示されるように、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサートは、データ信号DATAに埋め込まれる第1のチャージ信号値に基づいて、バッテリ電力レギュレータに第1のチャージレベルにおいてチャージ信号をバッテリに提供させる。また、152において示されるように、データ信号DATAは第1のチャージ信号値から第2のチャージ信号値に変化する。
【0025】
データ信号DATAにおける変化に応答して、152における第1のチャージ信号値から第2のチャージ信号値への変化は、154によって示されるように、時間t2において、バッテリFET区画の数は、N数のバッテリFET区画の数からN+M数のバッテリFET区画に変化し、N及びMは1より大きいか又は1に等しい整数である。バッテリFET区画の数における急激な変化は、バッテリFETのゲートソース間VGS of BATFETにおける過渡降下156に対応する。また、バッテリFETのゲートソース間VGS of BATFETにおける過渡降下156は、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTにおける過渡スパイク158を生じさせる。チャージ信号の電流CHARGE CURRENTにおけるこの過渡スパイク158は、経時的にバッテリを損傷させる。したがって、過渡スパイク158は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEの制御なしに発生する望ましくない問題である。特に、過渡スパイク158は、バッテリについての安全閾値160(例えば、バッテリを損傷させないレベル)を超える。また、チャージ信号値の遷移数が多いほど、スパイク158のインスタンス数は多くなり、バッテリの寿命を短くする。
【0026】
図1を再度参照すると、
図2において提示される問題(すなわち、過渡スパイク158)を解決するために、バッテリ電力レギュレータ106は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサートされる場合(例えば、システムの設計に応じて、アクティブハイ又はアクティブロー)、バッテリ電力レギュレータ106は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLに基づいてチャージ信号CHARGEをバッテリ102に供給するように構成される。その逆に、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサート解除される場合(例えば、アクティブロー又はアクティブハイ)、電流チャージ信号CHARGEが0A又は0A近く(例えば、+/-0.001A)であるように、バッテリ電力レギュレータ106はバッテリ102のためにチャージ信号CHARGEをディセーブルする。
【0027】
チャージ制御信号CHARGE CONTROLが、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDにおける変化に応答するなどのチャージ信号CHARGEのレベル(電流及び/又は電圧)の変化を示すように変更されるべきである状況において、コントローラ104は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを調節するように構成される。また、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する前に、コントローラ104は、所定時間(例えば、約10μsから約500ms)の間チャージ信号CHARGEをディセーブルするために、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを一時的にアサート解除する。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除後、約1μsから約1ms、コントローラ104はチャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する。言い方を変えれば、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLへの変更を未然に回避する。所定の時間量は、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDにおいて示される変更に関する遅延として実装され、所定の時間量はコントローラ104のタイマを用いて追跡される。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのこの一時アサートは、これに対応してバッテリ電力レギュレータ106にチャージ信号CHARGEを一時的にディセーブルさせる。チャージ信号CHARGEを一時的にディセーブルする間、バッテリ電力レギュレータ106は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変化に応答して内部電流フローを調節するために、内部回路要素(例えば、スイッチ)を調節し、また、内部電流フローに対するこうした変更は、チャージ信号CHARGEの電流における過渡スパイクを回避させる。より具体的に言えば、本明細書で説明するように、内部電流フローの調節は、チャージ信号CHARGEを供給するために用いられるトランジスタの区画を追加又は除去する。
【0028】
コントローラ104がチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを再アサートすると、バッテリ電力レギュレータ106はチャージ信号CHARGEを再活性化し、そのため、チャージ信号CHARGEは、チャージ制御信号CHARGE CONTROLによって示されるレベルに調節される。したがって、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変更の前、変更の間、及び変更の後、チャージ信号CHARGEの電流は、バッテリ102のための安全閾値又は安全閾値より下(例えば、バッテリ102を損傷させないレベル)にとどまる。このようにして、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変更に応答して、バッテリ電力レギュレータ106の内部回路要素を介した電流フローにおける変更に起因して、チャージ信号CHARGEにおける過渡スパイクは削減及び/又はなくされる。したがって、こうした過渡スパイクからのバッテリ102への損傷は低減及び/又はなくされる。有利には、この説明は、バッテリ102のセルが満足のいく動作に失敗するまでに可能な充電/放電のサイクル数によって測定され得る、バッテリ102の寿命を延ばす解決策を導入する。
【0029】
図3は、チャージ信号CHARGEの電流における前述の過渡スパイクを回避する、バッテリ202を充電するためのシステム200の別の例を図示する。システム200は、ICチップとして、又は回路基板上に搭載される共働して動作する複数のICチップとして実装される。一例として、システム200は、スマートフォンなどのモバイルデバイス上に実装される。別の例として、システム200は、バッテリ駆動のIoTデバイス上に実装される。しかしながら、システム200は、バッテリによって電供給される任意のシステムにおいて利用可能である。
【0030】
システム200は、電源(例えば、
図1の電源108)から電力信号を受信するために用いられ得る電力レギュレータ204を含む。いくつかの例において、電力レギュレータ204は、入力電圧端子205において直流(DC)電圧信号を電流制限モジュール206に提供する入力電圧レールVINを含む。入力電圧端子205は電源の出力ノードに結合される。電流制限モジュール206は、第1のnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(NMOS)208及び第2のNMOS210によって形成される。より具体的に言えば、NMOS208のソースが入力電圧端子205に結合され、NMOS208及びNMOS210のドレインが共に結合される。NMOS208及びNMOS210のゲートは、電流制限コントローラ212に結合される。電流制限コントローラ212はアナログ制御ループとして実装される。電流制限コントローラ212は、電流制限モジュール206を介した電流フローを制限するために、NMOS208及びNMOS210のゲートの電圧レベルを制御するようにプログラム/構成される。NMOS210のソースが、ノード216を介して中間点電力端子214に結合される。ノード216はバッテリ電力レギュレータ220に結合される。バッテリ電力レギュレータ220は、
図1のバッテリ電力レギュレータ106を実装するために用いられる。
【0031】
システム200は、チャージ制御信号CHARGE CONTROL及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEをバッテリ電力レギュレータ220に提供するコントローラ224も含む。バッテリ電力レギュレータ220はデジタルコアプロセッサとして実装される。チャージ制御信号CHARGE CONTROLはMビットデジタル信号であり、Mは2より大きいか又は2に等しい整数である。
【0032】
コントローラ224は、チャージ制御信号CHARGE CONTROL及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを生成するための内部論理を含む。他の例において、コントローラ224は、プロセッサなどの外部ソースからチャージコマンド信号CHARGE COMMANDを受信する。チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、外部ソースからの複数の個々の信号から形成されるコンポジット信号を表す。
【0033】
チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、バッテリ202に提供されるチャージ信号CHARGEのレベルを特徴付けるデータ信号DATAを含む。いくつかの例において、データ信号DATAは、チャージ信号CHARGEにおける電流のレベルを示す。他の例において、データ信号DATAはチャージ信号CHARGEにおける電圧のレベルを示す。データ信号DATAによって示されるチャージ信号CHARGEのレベルは、経時的に変更可能であり、データ信号DATAが、バッテリ202の状態に基づいて増加又は減少するチャージ信号CHARGEについての値を、コントローラ224に提供するようにする。例えば、データ信号DATAによって示されるチャージ信号CHARGEのレベルは、バッテリ202がほぼ完全に充電された状況において低減される。逆に、データ信号DATAによって示されるチャージ信号CHARGEのレベルは、バッテリが部分的に充電された後、プリチャージレベルから高速チャージレベルに引き上げられる。データ信号DATAは、I2Cバスなどの標準バスを介して提供される。チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、検出されたバッテリ202の温度が閾値を超える事象においてアサートされる、温度センサスロットル信号TS THROTTLEも含む。チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、バッテリの充電をチャージ前動作から高速チャージ動作に切り替えるためにアサートされる、チャージ遷移信号CHARGE TRANSITIONも含む。
【0034】
バッテリ電力レギュレータ220は、バッテリ電界効果トランジスタ(FET)制御228に提供されるチャージ制御信号CHARGE CONTROLをデジタル信号からアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ(DAC)226を含む。バッテリFET制御228は、簡潔にするために単一のFET230として図示されるFETのアレイを制御する、スイッチのネットワークとして実装される。したがって、バッテリFET制御228は、単一のFET230として図示されるFETのアレイの状態を制御する。また、バッテリ電力レギュレータ220は、バッテリ202の充電の状態が、バッテリ202がフル充電されたことを示す最大又は最大近くのレベルに達することに起因して、(アサートされた場合)チャージ信号CHARGEをディセーブルするように要求する、終了フィードバック信号TERMを提供する。
【0035】
中間点電力端子214は、入力電圧レールVINが0より大きい状況において、およそ、入力電圧レールVINの電圧レベルから、電流制限モジュール206の電流I
ILIMに電流制限モジュール206の抵抗R
ILIMを掛けたものに等しい電流制限モジュール206の電圧降下を引いた、電圧レベルPMIDを有する。また、システム200が、外部電力源からプラグを抜くか又は他の方式で切断された電子デバイス上で動作している状況、或いは、電源が故障している状況など、入力電圧レールVINが0Vに近い状況において、中間点電力端子214における電圧PMIDは、バッテリ202の電圧V
BATからトランジスタアレイ230の電圧降下を引いた電圧に、およそ等しい。こうした(入力電圧レールVINが0Vに近い)状況において、トランジスタアレイ230の電圧降下は、(トランジスタアレイ230における少なくとも一つがターンオンされるものと仮定して)バッテリの電流I
BATに、トランジスタアレイ230のドレインソース抵抗R
DSARRAYを掛けたものに、およそ等しい。したがって、中間点電力端子における電圧PMIDは、数式1によって提供される。
【数1】
【0036】
コントローラ224は、チャージコマンド信号CHARGE COMMAND及び終了信号TERMを検査して、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを生成する。チャージ制御信号CHARGE CONTROLは、バッテリ電力レギュレータ220に、チャージ信号CHARGE(例えば、制御された電流及び/又は制御された電圧を伴う信号)をチャージ制御信号CHARGE CONTROLによって示されるレベルにおいてバッテリ202へと出力させる。しかしながら、コントローラ224は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサート解除される場合、チャージ信号CHARGEの電流がチャージ制御信号CHARGE CONTROLとは関係なく、0Aに近いレベル(例えば、+/-0.001A)まで降下するように構成される。
【0037】
コントローラ224は、データ信号DATAに基づいてチャージ制御信号CHARGE CONTROLを設定するように構成される。また、コントローラ224は、データ信号DATAへの変更に基づいて、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを調節するように構成される。また、コントローラ224は、温度センサスロットルTS THROTTLE、チャージ遷移信号CHARGE TRANSITION、及び/又は終了信号TERMに基づいて、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを調節するように構成される。このようにして、外部システムは、バッテリ202を再充電するために、ほぼいずれの再充電アルゴリズム及び/又はプロトコルも利用することができる。
【0038】
バッテリ電力レギュレータ220は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLと、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサートとに基づいて、バッテリ端子234に印加されるチャージ信号CHARGEを生成するように構成される。より具体的に言えば、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサートされる場合、DAC226は、バッテリFET制御228にアナログ信号を提供し、これによってバッテリFET制御228に、トランジスタアレイ230の状態を制御する内部回路要素(例えば、本明細書で説明するようなスイッチ)を調節させる。トランジスタアレイ230は、バッテリ202のためのチャージ信号CHARGEを生成する。しかしながら、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサートされない場合、バッテリFET制御228はトランジスタアレイ230における各トランジスタをオフにして、バッテリ202に印加されるチャージ信号CHARGEは0Aに近くなる(例えば、+/-0.001A)ようにする。
【0039】
コントローラ224は、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する前の所定時間の間、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEを一時的にアサート解除するように構成される。この所定時間は、コントローラ224のタイマに基づく遅延とすることができる。したがって、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する前に、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEは所定時間の間アサート解除され、所定時間の後、再アサートされる。所定時間は、バッテリFET制御228が内部論理構成要素を調節して、チャージ信号CHARGEにおける過渡スパイクを回避できるようにする。より具体的に言えば、所定時間の間、バッテリFET制御228は、トランジスタアレイ230を制御するスイッチを調節して、スイッチの状態における変化からの過渡電流が、バッテリ202のためのチャージ信号CHARGEに印加されないようにする。したがって、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変更の前、変更の間、及び変更の後に、チャージ信号CHARGEはバッテリ202のための安全閾値又は安全閾値より下にとどまる。
【0040】
図4は、
図3のチャージ信号CHARGE、データ信号DATA、及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEの制御された電流の一例を時間の関数としてプロットするグラフ300を図示する。時間t
1において示されるように、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサートは、データ信号DATAに埋め込まれた第1のチャージ電流値に基づいて、第1のチャージ電流レベルにおいて、バッテリ電力レギュレータ220に、制御されたチャージ電流を伴うチャージ信号CHARGE CURRENTを提供させる。また、302に示されるように、データ信号DATAは第1のチャージ電流値から第2のチャージ電流値へと変化する。
【0041】
データ信号DATAが302において第1のチャージ電流値から第2のチャージ電流値へと変化することに応答して、時間t
2において、コントローラ224は、約10μsから約500msなどの所定時間の間、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEをアサート解除する。これに応答して、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTは0Aの近く(例えば、+/-0.001A)まで降下する。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除後、約1μsから約1ms、コントローラ224はチャージ制御信号(
図3のCHARGE CONTROL)を変更する。したがって図示されるように、所定の時間Δtの間、バッテリ電力レギュレータ220は、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTにおける過渡スパイクを回避するために、チャージ制御信号(
図3のCHARGE CONTROL)における変化に応答して内部スイッチングを調節する。時間t
3において、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEは再アサートされ、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTは、0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルから第2のチャージ電流レベルまで上昇する。また、第1のチャージ電流値から第2のチャージ電流値への変更の前、変更の間、及び変更の後、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTはバッテリ202の安全閾値304dより下にとどまる。
【0042】
図5は、
図3のチャージ信号の電流CHARGE CURRENT、チャージ信号の制御された電圧CHARGE VOLTAGE(バッテリ電圧)、データ信号DATA、及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEの一例を時間の関数としてプロットするグラフ350を図示する。時間t
1において示されるように、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサートは、データ信号DATAに埋め込まれた第1のチャージ電圧値に基づいて、第1の電圧レベルにおいて、バッテリ電力レギュレータ220に、制御されたチャージ電圧を伴うチャージ信号CHARGE VOLTAGEを提供させる。また、352に示されるように、データ信号DATAは第1のチャージ電圧値から第2のチャージ電圧値へと変化する。
【0043】
データ信号DATAが352において第1のチャージ電圧値から第2のチャージ電圧値(チャージ電圧CHARGE VOLTAGEの電圧における変化を示す)へと変化することに応答して、時間t
2において、コントローラ224は、約10μsから約500msなどの所定時間の間、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEをアサート解除する。これに応答して、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTは0Aの近く(例えば、+/-0.001A)まで降下する。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除後、約1μsから約1ms、コントローラはチャージ制御信号(
図3のCHARGE CONTROL)を変更する。図示されるように、所定の時間Δtの間、バッテリ電力レギュレータ220は、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTにおける過渡スパイクを回避するために、チャージ制御信号(
図3のCHARGE CONTROL)に応答して内部スイッチングを調節する。時間t
3において、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEは再アサートされ、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTは、0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルから上昇し、以前のレベル(チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除前のレベル)に戻る。また、時間t
3において、チャージ電圧レベルは第1のチャージ電圧レベルから第2のチャージ電圧レベルまで上昇する。また、第1のチャージ電圧値から第2のチャージ電流値への変更の前、変更の間、及び変更の後、チャージ信号の電流CHARGE CURRENTはバッテリ202のための安全閾値354より下にとどまる。
【0044】
再度
図3を参照すると、一例として、動作において、システム200は第1の充電状態でプリチャージチャージレベル(例えば、初期チャージレベル)を設定する。第1の充電状態において、バッテリ電力レギュレータ220は、第1のチャージ信号CHARGEをバッテリ202に印加する。またある時点において、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、(例えば、データ信号DATAを介して)チャージ信号CHARGEを変更する指示を提供する。これに応答して、システム200は遷移状態を変更する。遷移状態において、コントローラ224は、所定時間の間チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEをアサート解除し、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する。これに応答して、バッテリ電力レギュレータ220は、チャージ信号CHARGEをディセーブルし、チャージ制御における変更に応答して内部回路要素(例えば、スイッチ)を変更する。所定時間の後、システム200は第2の充電状態で動作して、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEが再アサートされる。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEの再アサートは、バッテリ電力レギュレータ220に、第2のチャージ信号CHARGEをバッテリ202に印加させる。
【0045】
また、ある時点において、温度スロットル信号TS-THROTTLE及び/又は終了信号TERMはアサートされ得る。同様に、データ信号DATAは、チャージ信号CHARGEのディセーブルを指令し得る。これらの状況(終了信号TERMがアサートされる任意の状況を含む)のうちのいくつかにおいて、システム200は終了状態に変化する。例えば温度スロットル信号TS THROTTLEは、極端に高温又は低温の状況において終了状態をトリガすることができる。終了状態において、コントローラ224はチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEをアサート解除し、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを変更する。これに応答して、バッテリ電力レギュレータ220は、チャージコマンドCHARGE COMMANDによって再活動化が要求されるまで、チャージ信号CHARGEをディセーブルする。
【0046】
システム200を利用することによって、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変更に応答するバッテリ電力レギュレータ220の内部回路要素を介した電流フローにおける変更に起因するチャージ信号CHARGEにおける過渡スパイクは、削減及び/又はなくされる。そのため、こうした過渡スパイクからのバッテリ202への損傷は低減及び/又はなくされ、それにより、バッテリ202の寿命がのびる。したがって、データ信号DATAにおける変更の前、変更の間、及び変更の後、チャージ信号CHARGEは、バッテリ202のための安全閾値又は安全閾値より下により下にとどまる。また、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEは短い時間間隔(例えば、約1μsから約500ms)の間アサート解除されるため、バッテリ202についての変更時間全体における影響はごくわずかである。
【0047】
図6は、
図1のバッテリ電力レギュレータ106及び/又は
図3のバッテリ電力レギュレータ220を実装するために採用可能なバッテリ電力レギュレータ400の回路図を図示する。バッテリ電力レギュレータ400は、コントローラ403において実装されるシフトレジスタ402からのシフトされた制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLを受信する。コントローラ403は、
図1のコントローラ104及び/又は
図3のコントローラ224などのデジタルコントローラを表す。いくつかの例において、チャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLはMビットデジタルワードである。
【0048】
シフトレジスタ402は、シフトされたチャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLを生成するために、コントローラ403のチャージ制御信号CHARGE CONTROLによって調節される。シフトされたチャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLは、チャージ制御信号CHARGE CONTROLの構成成分である。シフトされたチャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLはチャージ制御回路404に出力される。チャージ制御回路404は、
図3のDAC226、バッテリFETコントローラ228、及びトランジスタアレイ230の組み合わせを表す。
【0049】
チャージ制御回路404は、コントローラ403からチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEも受信する。チャージ制御回路404は、2つの信号、すなわちチャージ信号CHARGE及びフィードバック電流I
SETを生成するように構成され、フィードバック電流は、シフトされたチャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROL及びチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEに応答して、チャージ信号CHARGEの一部分である電流を有する。また、チャージ信号CHARGEは、バッテリ406(例えば、
図1のバッテリ102及び/又は
図3のバッテリ202)に印加される。
【0050】
フィードバック電流ISETはノード410に印加され、ノード410はまた、レジスタR1に結合される。ノード410における電圧、すなわち電圧フィードバック電流レベルVFB_CCが、動作増幅器(オペアンプ)412の反転入力に提供される。また、基準チェック電流信号VREF_CCがオペアンプ412の非反転に印加される。図に示されるように、チャージ信号CHARGEはバッテリ406に印加される。また、電圧フィードバック制御電圧VFB_CVに対応するバッテリ406における電圧が、動作増幅器(オペアンプ)414の反転入力に提供される。また、基準チェック電圧信号VREF_CVがオペアンプ414の非反転に印加される。オペアンプ412の出力が、ダイオード416のアノードに印加される。同様に、オペアンプ414の出力がダイオード418のアノードに印加される。ダイオード416及び418は、ソースフォロワ回路の結果である(物理デバイスではなく)概念デバイスを表す。ダイオード416及び418のカソードが、ノード420に結合される。ノード420はまた、電流IBを提供する電流源422に結合される。ノード420において、チャージ信号CHARGE及びフィードバック電流ISETを調節するために制御電圧VCTRLがDAC 404に印加される。
【0051】
電圧フィードバック制御電流VFB_CCは、コンパレータ430の反転入力にも印加される。また、基準電圧終了レベルVREF_TERMがコンパレータ430の非反転入力に印加される。コンパレータ430は、終了信号TERMをコントローラ403に出力する。コントローラ403は、チャージ制御回路404に出力されるシフトされるチャージ制御信号SHIFTED CHARGE CONTROLを生成するために、チャージ制御信号CHARGE CONTROLを用いてシフトレジスタ402を内部的に調節する。シフトレジスタ402はコントローラ403の外にあるように図示されているが、いくつかの例において、シフトレジスタ402はコントローラ403内に実装されるデータ構造である。
【0052】
動作において、オペアンプ412及び414の出力は、チャージ信号CHARGEが(閾値)基準電圧及び/又は電流を超えないことを保証する。同様に、図に示されるように、終了信号TERMは、フィードバック電流信号ISETが限界を超えた場合、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサート解除されることを(コントローラを介して)保証する。
【0053】
またコントローラ403は、チャージ信号CHARGEがチャージ制御信号CHARGE CONTROLによって示される電流に実質的にマッチすることを保証するために、シフトレジスタ402の出力、すなわちシフトされたチャージ制御SHIFTED CHARGE CONTROLを調節する。更にまたチャージ制御回路404は、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEがアサート解除される場合、チャージ信号CHARGE及びフィードバック電流信号ISETをディセーブルするように構成される。
【0054】
図7は、
図5のチャージ制御回路404を実装するために採用可能なチャージ制御回路500の一例の回路図を図示する。分かりやすくするために、更に説明することなく、
図3~
図7全体を通じて同じ構造を示すために同じ参照番号及び信号名が用いられる。
【0055】
チャージ制御回路500は、
図3のトランジスタアレイ230に対応するPMOSアレイ501を含む。PMOSアレイ501にはM+1のPMOSが存在し、シフトレジスタ402はMビットのチャージ制御信号CHARGE CONTROLを受信する。PMOSアレイ501において、各PMOSのソースがノード504に結合される。
図3に図示される中間点電圧PMIDは、ノード504に印加される。PMOSアレイ501における第1のPMOS510のソース(フィードバックトランジスタ)及び第2のPMOS512のソースは、電圧制御信号VCTRLによってエネルギーが与えられる制御電圧ノード513に結合されるゲートを有する。制御電圧ノード513は、チャージイネーブルPMOS514のドレインにも結合される。
【0056】
図示された例において、PMOSアレイ501は第3のPMOS516及び第4のPMOS518も含む。しかしながら、他の例において、PMOSアレイ501においてより多くの又はより少ないPMOSが存在し得る。第3のPMOS516のゲートが、相補スイッチの対応する対520に結合される。相補スイッチの対520はスイッチネットワークの要素である。一般に、スイッチネットワークにおいて、相補スイッチの各対は、トランジスタアレイ(例えば、PMOSアレイ501)における対応するトランジスタ(例えば、PMOS)の制御ノード(例えば、ゲート)のバイアスを制御するように配置される。より具体的に言えば、相補スイッチの各対における第1のスイッチが、ノード504と、PMOSアレイ501内の対応するPMOSのゲートとに結合される。また、相補スイッチの各対における第2のスイッチが、制御電圧ノード513と、PMOSアレイ501における対応するPMOSのゲートとに結合される。より具体的に言えば、相補スイッチの対520は、シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)における対応するビットに基づいて、第3のPMOS516の状態を制御する。具体的には、対応するビット(ビット1)が論理0(例えば、低電圧信号)である状況において、第3のPMOS516のゲートをノード504に接続するスイッチは閉じられ、第3のPMOS516のゲートを制御電圧ノード513に接続するスイッチは開かれ、それによって第3のPMOS516はオフにされる。逆に、対応するビット(ビット1)が論理1(例えば、高電圧信号)である状況において、第3のPMOS516のゲートをノード504に接続するスイッチは開かれ、第3のPMOS516のゲートを制御電圧ノード513に接続するスイッチは閉じられ、それによって、制御電圧VCTRLが第3のPMOS516の状態を制御し得る。
【0057】
同様に、第4のPMOS518のゲートが、相補スイッチの対応する対524に結合される。相補スイッチの対524の状態は、第4のPMOS518の状態を制御するための相補スイッチの対520の状態と同様に、シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)の0番目のビット(最下位ビット)の状態によって制御される。
【0058】
チャージイネーブルPMOS514のソースがノード504に結合され、チャージイネーブルPMOS514のゲートがチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEによって制御される。したがって、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート(例えば、高電圧信号)が、チャージイネーブルPMOS514をカットオフ領域において動作させ、そのため、チャージイネーブルPMOS514はオフにされるようにする。逆に、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除(例えば、低電圧信号)が、チャージイネーブルPMOS514を線形領域において動作させ、そのため、チャージイネーブルPMOS514はオンにされ、それによってPMOSアレイ501の第1のPMOS510及び第2のPMOS512のゲートソース電圧(V
GS)が約0Vに駆動され、それによって第1のPMOS510及び第2のPMOS512をオフにする。また、第3のPMOS516及び/又は第4のPMOS518がオンにされる状況において、シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)及び/又は制御電圧VCTRLにおける対応するビットの状態に関係なく、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除が、第3のPMOS516及び/又は第4のPMOS518をオフにする。
【0059】
また、第1のPMOS510のドレインが、オペアンプ530の反転入力及びPMOS531のソースに結合される。第2のPMOS512、第3のPMOS516、及び第4のPMOS518のドレインが、充電ノード532に結合され、充電ノード532はオペアンプ530の非反転入力にも結合される。より一般的には、トランジスタアレイ(PMOSアレイ501)におけるトランジスタのサブセット(例えば、第2のPMOS512、第3のPMOS516、及び第4のPMOS518)の出力ノード(例えば、ドレイン)が、充電ノード532に結合される。充電ノード532は、(
図6に関して説明した)バッテリ406とオペアンプ414の非反転入力とに結合される。オペアンプ530の出力がPMOS531のゲートに結合される。
図7に関して詳細に説明するように、PMOS531のドレインがノード410に結合され、フィードバック電流I
SET及び電圧フィードバック制御電流VFB_CCをオペアンプ412に提供する。
【0060】
動作において、シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)の値は、オンにされたPMOSアレイ501におけるPMOSの数を制御し、それによってバッテリ406へのチャージ信号CHARGEを制御する。また、電圧制御信号VCTRLに対応する電圧制御ノード513における電圧レベルは、PMOSアレイ501における各PMOSのゲート電圧を少なくとも部分的に制御する。
図3~
図5に関して説明するように、チャージ制御信号CHARGE CONTROLの値が変化する(シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)における変化を伝搬する)状況において、チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEは、所定時間の間(例えば、約0.5msから約1ms)一時的にアサート解除される。この所定時間の間のチャージイネーブル信号CHARGE ENABLEのアサート解除後、チャージ信号CHARGEの電流は0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルまで降下し、相補スイッチの対520は、シフトされたチャージ制御信号(
図6におけるSHIFTED CHARGE CONTROL)の変化した値に基づいて(必要であれば)状態を変更する。チャージイネーブル信号CHARGE ENABLEが再アサートされると、チャージ信号CHARGEは、更新されたチャージ制御信号CHARGE CONTROLによって示されるレベルに設定される。したがって、そうでなければスイッチネットワークにおけるスイッチの状態の変化に起因してチャージ信号CHARGEの電流において生じる過渡スパイクは、削減されるか又はなくされる。その代わりに、チャージ制御信号CHARGE CONTROLにおける変更の前、変更の間、及び変更の後、チャージ信号CHARGEは、バッテリ406のための安全閾値に又は安全閾値より下にとどまる。
【0061】
図8は、バッテリを充電するための例示の方法600のフローチャートを図示する。いくつかの例において、方法600は、
図1のシステム100及び/又は
図3のシステム200によって実装される。610において、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ104)が、バッテリ電力レギュレータ(例えば、
図1のバッテリ電力レギュレータ106)に印加されるチャージ制御信号を設定する。いくつかの例において、チャージ制御信号は、外部ソースからのチャージコマンド信号に基づいて設定される。他の例において、チャージ制御信号は、コントローラ104の内部論理に基づいて設定される。
【0062】
615において、コントローラは所定時間の間(例えば、約0.5msから約1ms)、(例えば、タイマに基づいて)遅延を印加する。620において、コントローラはバッテリ電力レギュレータ106へのチャージイネーブル信号をアサートする。チャージイネーブル信号はチャージ制御信号と共に、バッテリ電力レギュレータに、チャージ信号をバッテリ(例えば、
図1のバッテリ102)に印加させる。また、615における遅延の印加により、バッテリ電力レギュレータ106は、チャージ信号における過渡スパイクを回避するために内部スイッチングを調節することができる。
【0063】
625において、コントローラは、バッテリの充電がディセーブルされるべきであるかどうかを判定する。625における判定は、バッテリがフルに充電されている、閾値温度を超えている、及び/又は、閾値電圧又は電流を超えているという、外部システムによる判定に基づく。625による判定が肯定(例えば、はい)である場合、方法600は630に進む。625における判定が否定(例えば、いいえ)である場合、方法600は635に進む。630において、コントローラはチャージイネーブル信号をアサート解除し、それによってバッテリ電力レギュレータ106にチャージ信号をディセーブルさせ、それによってチャージ信号の電流を0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルまで低下させる。
【0064】
635において、チャージ制御信号を変更するべきかの判定がコントローラによって成される。635における判定は、バッテリのためのチャージ信号がチャージ前レベルから高速チャージレベルに変更されるべきであるとの判定に基づく。635における判定が否定(例えば、いいえ)である場合、方法600は625に戻る。635における判定が肯定(例えば、はい)である場合、方法600は640に進む。640において、コントローラはチャージイネーブル信号をアサート解除し、それによってバッテリ電力レギュレータにチャージ信号をディセーブルさせ、そのため、バッテリ電力レギュレータがチャージ信号の電流を0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルまで減少させるようにする。645において、コントローラはチャージ制御信号を変更する。チャージ制御信号の変更は、バッテリ電力レギュレータ106の内部回路(例えば、スイッチ)に対する調節でチャージ信号を変更させ、方法600は615に戻る。方法600において例示されるように、バッテリ電力レギュレータには、そうでなければバッテリを損傷させることになるチャージ信号における望ましくない過渡スパイクを防ぐために、(620における)チャージイネーブル信号のアサートの前に、内部回路要素(例えば、スイッチ)を調節するための時間が(遅延615において)与えられる。また、図示されるように、バッテリの充電サイクル全体を通じて、チャージ制御信号は複数回調節され得る。したがって方法600は、充電が(625において)ディセーブルされるまで繰り返し実行される2つのループを含むように示される。
【0065】
図9は、チャージ信号の電流における過渡スパイクを回避する、バッテリを充電するためのシステム700の状態図を示す。システム700は、
図1のシステム100及び/又は
図3のシステム200を表す。第1の充電状態710において、バッテリ(例えば、
図1のバッテリ102)はバッテリ電力レギュレータ(例えば、
図1のバッテリ電力レギュレータ106)によって第1のレベルで充電される。第1の充電状態710において、バッテリ電力レギュレータは、チャージ制御信号と、コントローラからのチャージイネーブル信号のアサートとに基づいて、チャージ信号をバッテリのための第1のレベルに設定する。
【0066】
システム700は、チャージ信号における変更が必要である旨の判定に応答して、遷移状態に変化する。遷移状態において、チャージイネーブル信号は、所定時間(例えば、10μsから約500ms)の間、コントローラによってアサート解除され、それによってバッテリ電力レギュレータにチャージ信号をディセーブルさせ、そのため、チャージ信号の電流が0A近く(例えば、+/-0.001A)まで低減されるようにする。また遷移状態において、コントローラはチャージ制御信号を変更し、チャージ制御信号は、チャージ信号の電流を0A近く(例えば、+/-0.001A)に維持しながら、バッテリ電力レギュレータに内部スイッチを調節させる。
【0067】
システム700は、コントローラがチャージイネーブル信号を再アサートすることに応答して、新たな充電状態730に変わる。新たな充電状態730において、バッテリ電力レギュレータは、チャージ制御信号への変更に基づいて、変更されたチャージ信号をバッテリに印加する。また、内部スイッチの調節はチャージ信号の電力が0A近く(例えば、+/-0.001A)である間に実行されるため、こうした調節に起因して、チャージ信号における過渡スパイクが削減及び/又は回避される。
【0068】
システム700は、チャージ信号における第2の(又は後続の)変更が必要である、及び、チャージイネーブル信号が所定時間(例えば、10μsから約500ms)の間、コントローラによって(再び)アサート解除されるとの判定に応答して、遷移状態720に変わる。遷移状態で動作を実行すると、コントローラがチャージイネーブル信号を再アサートすることに応答して、システムは、新たな充電状態730の第2の(又は後続の)インスタンスに変更する。したがって、バッテリの充電必要性及び/又は環境要因に基づき、いくつかの例において、システム700は、遷移状態720と新たな充電状態730との間で繰り返し変更(例えば、ループ)する。
【0069】
またシステム700は、バッテリがもはや充電されるべきではない(例えば、バッテリがフルである、温度閾値を超えている、及び/又は、電圧又は電流閾値を超えている)旨の判定に応答して、終了状態740に変わる。終了状態において、チャージイネーブル信号はアサート解除され、それによってバッテリ電力レギュレータにチャージ信号をディセーブルさせ、そのため、チャージ信号の電流は0A近く(例えば、+/-0.001A)まで低減されるようにする。また、チャージ制御信号は、チャージ信号の電流が0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルに設定されるべきであることを示すように調節される。システム700は、バッテリが再充電されるべきとなるまで終了状態740にとどまり、バッテリが再充電されるべきとなった時点で、システム700は第1の充電状態710に戻る。
【0070】
図10は、バッテリ802を充電し、チャージ信号の電流における過渡スパイクを回避する、電子デバイス800の一例を図示する。いくつかの例において、電子デバイス800はスマートフォンとして実装される。他の例において、電子デバイス800はバッテリ駆動のIoTデバイスとして実装される。バッテリ802はバッテリ充電器804を用いて充電される。いくつかの例において、バッテリ充電器804は、
図1のシステム100及び/又は
図3のシステム200を用いて実装される。モバイルデバイス800は、
図1及び
図3に関して説明される外部システムを表すプロセッサ806も含む。
【0071】
プロセッサ806は、機械実行可能命令を記憶するメモリ808にアクセスする。メモリ808は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ)、又はそれらの組み合わせなどの、非一時的機械可読媒体である。いくつかの例において、プロセッサ806は一つ又は複数のプロセッサコアを含む汎用プロセッサとして実装される。
【0072】
プロセッサ806は、プロセッサ806によって収集されるバッテリデータBATTERY DATAに基づいて、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDを生成する。より具体的に言えば、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDは、バッテリ802のためのバッテリプロトコルに基づいて制御される。
【0073】
チャージコマンド信号CHARGE COMMANDに応答して、バッテリ充電器804は、バッテリ802のための安全閾値に又は安全閾値より下にとどまるチャージ信号CHARGEを生成する。より具体的に言えば、チャージ信号CHARGEが(例えば、チャージコマンド信号CHARGE COMMANDにおける変更に起因して)変更される状況において、変更前に、チャージ信号CHARGEは一時的にディセーブルされて、バッテリ充電器804の内部回路要素(例えば、スイッチ)が調節され得るようにする。また、チャージ信号CHARGEは、バッテリ充電器804の内部回路要素に対する調節の後、チャージ信号CHARGEにおける過渡スパイクを削減及び/又は回避するために再イネーブルされる。
【0074】
図11は、チャージ信号の電流における過渡スパイクを回避する、バッテリを充電するための別の例示の方法900のフローチャートを図示する。いくつかの例において、方法900は、
図1のシステム100及び/又は
図3のシステム200によって実装される。905において、バッテリ(例えば、
図1のバッテリ102)によって電力供給される電子デバイスがイネーブルされる。910において、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ104)が、バッテリ電力レギュレータ(例えば、
図1のバッテリ電力レギュレータ106)に印加されるチャージ制御信号を設定する。いくつかの例において、チャージ制御信号は、外部ソースからのチャージコマンド信号に基づいて設定される。他の例において、チャージ制御信号はコントローラの内部論理に基づいて設定される。
【0075】
915において、チャージイネーブル信号がイネーブル(アサート)され、コントローラによって維持されるカウンタがリセットされる。920において、コントローラは、チャージ制御信号における変更が必要であるかどうかを判定する。920における判定は、バッテリがフルに充電されている、閾値温度を超えている、及び/又は、閾値電圧又は電流を超えているとの、外部システムによる判定に基づく。920における判定が否定(例えば、いいえ)である場合、方法900は915に戻る。920における判定が肯定(例えば、はい)である場合、方法900は925に進む。
【0076】
925において、コントローラはバッテリの充電をディセーブルし、カウンタを開始する。より具体的に言えば、バッテリの充電をディセーブルするために、コントローラは、チャージイネーブル信号をアサート解除して、バッテリ電力レギュレータ106にチャージ信号をディセーブルさせ、それによってチャージ信号の電流を0A近く(例えば、+/-0.001A)のレベルまで減少させる。また、タイマは所定の時間(例えば、約0.5msから約1ms)を測定するように設定可能である。930において、コントローラは、新たなチャージ制御信号に応答して、電力レギュレータにチャージ信号の新たな電力を設定させるために、新たなチャージ制御信号を設定する。チャージ制御信号の変更は、チャージ信号の電流を変更するようにバッテリ電力レギュレータ106の内部回路(例えば、スイッチ)を調節させる。935において、コントローラはカウンタを増分する。
【0077】
940において、コントローラはカウンタが満了したかどうかを判定する。940における判定が肯定(例えば、はい)である場合、方法900は915に戻る。940における判定が否定(例えば、いいえ)である場合、方法900は935に戻る。
【0078】
方法900において例示されるように、(915における)チャージイネーブル信号のアサートの前に、そうでなければバッテリを損傷させることになるチャージ信号における望ましくない過渡スパイクを防ぐために、内部回路要素(例えば、スイッチ)を調節するための時間が与えられる。また、例示されるように、バッテリの充電サイクルにわたって、チャージ制御信号は複数回調節され得る。したがって方法900は、繰り返し実行される2つのループを含むように示される。