(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】音声再生プログラム、音声再生装置、および音声生成方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/54 20140101AFI20231109BHJP
G10L 19/00 20130101ALI20231109BHJP
【FI】
A63F13/54
G10L19/00 312E
(21)【出願番号】P 2019204731
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 秀基
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 佑樹
【審査官】佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128492(JP,A)
【文献】特開2003-263166(JP,A)
【文献】特開2004-117414(JP,A)
【文献】特開2000-194375(JP,A)
【文献】特開平09-204175(JP,A)
【文献】特開2007-094060(JP,A)
【文献】特開2005-148210(JP,A)
【文献】特開平08-106286(JP,A)
【文献】一條 貴彰 TAKAAKI ICHIJOU,Unity サウンド エキスパート養成講座 初版 ,第1版,株式会社ボーンデジタル 村上 徹,2019年08月25日,pp. 72-76
【文献】特盛4 著作権フリーの名曲音源を収録 自由に使える!名曲JAZZ特選50 Special Project TOKUMORI-4,Mr.PC 第4巻 第7号 ,日本,株式会社晋遊舎,第4巻,p. 78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
A63F 9/24
G10L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
音声を再生する再生手段と、
前記再生手段を制御する再生制御手段と、
して機能させ、
前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、
前記再生制御手段は、
前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカー
(以下、第1マーカーという)に対応した位置まで進んだ場合に、前記再生手段に対して、前記選択された所定のマーカーとは異なるマーカー
(以下、第2マーカーという)の位置からの再生開始を指示する、
という動作を所定の終了条件が成立するまで繰り返す
ものであり、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーは、複数のマーカーの中から、乱数を用いてランダム選択されたものである
ことを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記再生手段は、前記他の位置からの再生を開始する場合には、選択された所定のマーカーの後に位置する音声と、前記他の位置から始まる音声とをクロスフェードさせることを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項3】
請求項
1または請求項2において、
前記他の位置は、前記音声の先頭、または、選択された所定のマーカーを除くマーカーに対応する位置であることを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項4】
請求項1から
請求項3の何れかの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、
前記音声再生プログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする音声再生装置。
【請求項5】
コンピュータを用いて音声を生成する音声生成方法において、
前記音声を再生する再生ステップを含み、
前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、
前記再生ステップでは、前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカー
(以下、第1マーカーという)に対応した位置まで進んだ場合に、前記選択された所定のマーカーとは異なるマーカー
(以下、第2マーカーという)の位置から再生を開始し、
前記再生ステップは、所定の終了条件が成立するまで繰り返される
ものであり、前記第1マーカーおよび前記第2マーカーは、複数のマーカーの中から、乱数を用いてランダム選択する
ことを特徴とする音声生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声再生プログラム、音声再生装置、および音声生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームプログラムの中には、音声をループ再生するとともに、単発の発音をランダムに再生するものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献では、プレイヤ(ユーザ)には、単なるループ再生ではないように聞こえるとされている。これを更に改善できると、臨場感をより高めることが可能になる。それには、例えば、音声データの長さ(例えば録音時間)を伸ばして、ループの周期を長くすることが考えられる。しかしながら、ループの周期を長くするには、より多くのメモリ容量が必要になる。
【0005】
本開示は、音声データ用のメモリ容量を抑制しつつ、音声の繰り返し再生の単調さを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
音声を再生する再生手段と、
前記再生手段を制御する再生制御手段と、
して機能させ、
前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、
前記再生制御手段は、
前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカーに対応した位置まで進んだ場合に、前記再生手段に対して、前記音声の他の位置からの再生開始を指示する、
という動作を所定の終了条件が成立するまで繰り返す
ことを特徴とする音声再生プログラムである。
【0007】
第1の態様において、
前記再生手段は、前記他の位置からの再生を開始する場合には、選択された所定のマーカーの後に位置する音声と、前記他の位置から始まる音声とをクロスフェードさせてもよい。
【0008】
前記態様においては、前記マーカーの選択は、複数のマーカーの中からランダムに行ってもよい。
【0009】
前記態様においては、前記他の位置は、前記音声の先頭、または、選択された所定のマーカーを除くマーカーに対応する位置としてもよい。
【0010】
第2の態様は、前記態様の何れかの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、
前記音声再生プログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする音声再生装置である。
【0011】
第3の態様は、コンピュータを用いて音声を生成する音声生成方法において、
前記音声を再生する再生ステップを含み、
前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、
前記再生ステップでは、前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカーに対応した位置まで進んだ場合に、他の位置から前記音声の再生を開始し、
前記再生ステップは、所定の終了条件が成立するまで繰り返されることを特徴とする音声生成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、音声データ用のメモリ容量を抑制しつつ、音声の繰り返し再生の単調さを改善するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】環境音データに付したマーカーを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態にかかる音声再生プログラム、および音声再生装置について、図面を参照して説明する。本発明の音声再生プログラムは、ゲームプログラムとして実装されている。音声再生装置は、ゲーム装置として実現されている。
【0015】
本実施形態で説明するゲームプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)などのゲーム装置において実行される。
【0016】
このゲームプログラムによるゲームでは、ユーザの操作を受けて、プレイヤキャラクタを三次元の仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間という)で活動させたり、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせたりする。
【0017】
そのプレイヤキャラクタの移動過程やアクション等において、所定のトリガ条件を満たすとBGMが流れる。所定のトリガ条件とは、例えば、プレイヤキャラクタの所定場所への移動、敵キャラクタの出現、敵キャラクタを倒したあと、などである。また、このゲームでは、音響的な表現として、いわゆる環境音(後述)も再生される。
【0018】
〈ゲーム装置の構成〉
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。
図1は、本実施形態のゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。ゲーム装置5では、例えば、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。なお、ゲーム装置5同士も、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示せず)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0019】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0020】
ネットワークインターフェース51は、例えばゲーム装置5や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、前記通信ネットワークに通信可能に接続される。
【0021】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、プレイヤキャラクタおよび仮想空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52はディスプレイ61と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0022】
オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部53はスピーカ62と接続されており、再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ62から出力される。
【0023】
操作部54は、コントローラ63と接続され、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。例えば、ユーザは、コントローラ63に設けられたボタン等の操作子(図示略)を操作することにより、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0024】
記憶部55は、HDD、RAMおよびROM等で構成される。記憶部55は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶することができる。また、記憶部55には、他のゲーム装置5から受信した他アカウント情報なども記憶される。
【0025】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、ゲーム装置5自身の動作を制御する。例えば、制御部56は、前記ゲームプログラムを実行することにより、グラフィック処理部52およびオーディオ処理部53を動作させる。
【0026】
〈オーディオ処理部の機能的構成〉
オーディオ処理部53は、音声データの再生や合成の機能を発揮する、いわゆるミドルウエアを実行する。このゲームプログラムの実行中には、例えば、BGM、環境音、ユーザの操作に応じて流れる効果音などの種々の音声が、オーディオ処理部53によって再生される。
【0027】
このゲームプログラムの下では、ゲーム音声には、いわゆる環境音も含まれる。環境音としては、例えば、水たまりに落ちてくる水滴の音、風の音、町の雑踏の音(通行人の声や付近を通過する自動車の音等)、森や草原に吹く風の音、鳥、虫、動物の鳴き声等が挙げられる。
【0028】
環境音は、ゲームの状況(プレイヤキャラクタがおかれている環境など)を説明するために有用な音ではあるが、ゲームにおいて主役となる音ではない。したがって、これらの環境音の音源の存在(音が発生する位置など)は、ゲーム中に殆ど意識されることがない。
【0029】
オーディオ処理部53は、前記ミドルウエアを実行することにより、再生手段531として機能する。再生手段531は、音声を再生する機能を有している。
【0030】
このゲームプログラムでは、環境音用に複数の音源データ(音声のデジタルデータ)が用意されている。環境音用の音源データ(以下、環境音データという)には、再生の区切り位置を示すマーカーが対応づけられている。この例では、1つの音源データに対して、複数のマーカーが設定されている。
【0031】
図2に、環境音データに付したマーカーを模式的に示す。
図2には、環境音データを波形で示してある。
図2では、横軸が時間軸である。縦軸は、環境音の振幅である。ただし、
図2は、単に波形を説明するものである。
図2は、実際に再生されるときの、環境音の振幅(音量)を示すものではない。
【0032】
図2の例では、5つのマーカー(M1~M5)が設定されている。この例では、これらのマーカーは、ゲームプログラムの開発者が、ゲームプログラムの開発段階に、設定したものである。マーカーの数および位置は、開発者が任意に定めてよい。
【0033】
再生手段531は、制御部56の制御に従って、環境音データの先頭から再生の開始処理を行ったり、指示されたマーカー位置から再生の開始処理を行ったりできる。また、再生手段531は、指示されたマーカー位置で再生の終了処理を行うことができる。
【0034】
再生手段531は、再生の終了処理の際に、再生を終える音声と、次に再生する音声とをクロスフェードさせることができる。このゲームプログラムでは、再生手段531は、クロスフェード実行の指示を制御部56から受け取った場合に、クロスフェードを終了処理の一環として行う。
【0035】
〈制御部の詳細〉
このゲームプログラムでは、環境音を再生する際に、環境音データの実際の記録長さよりも長時間の再生を行うことができる。その環境音の再生は、所定の終了条件(後述)が成立した場合に終了する。この機能を実現するために、制御部56は、ゲームプログラムを実行することにより、選択手段561、および再生制御手段562として機能する。
【0036】
選択手段561は、再生対象の環境音データに関して、2つのマーカーを選択する機能を有している。選択手段561は、マーカーの選択を、再生制御手段562の指示に応じて行う。
【0037】
選択手段561における選択方法としては、一例として、マーカーのリストの中から、乱数を用いてランダムに、2つのマーカーを選ぶことが考えられる。以下では、記憶部55に格納されている状態における環境音データを、説明の便宜のため、「元データ」と呼ぶ。また、2つのマーカーを、元データの時系列で比較して、後の方の位置にあるマーカーを終了マーカーと呼び、もう一方のマーカーを開始マーカーと呼ぶ。
【0038】
再生制御手段562は、再生手段531における環境音データの再生を制御する。この例では、再生制御手段562は、以下の動作1、および動作2を所定の終了条件が成立するまで繰り返す。
動作1:環境音データ(音声)の再生位置が、終了マーカーに対応した位置まで進んだ場合に、再生手段531に対して、再生位置の変更を指示する。
動作2:選択手段561に対して、マーカーの選択の実行を指示する。
【0039】
再生制御手段562は、動作1において「再生位置の変更」を指示する場合には、再生手段531に対して、開始マーカーからの環境音データの再生開始を指示する。この場合、再生制御手段562は、再生手段531に対して、クロスフェードの処理を指示する。
【0040】
再生手段531は、クロスフェードの指示を受け取ると、終了マーカーの後に位置する音声と、開始マーカーの位置から始まる音声とをクロスフェードさせる。より詳しくは、終了マーカーの後に位置する音声をフェードアウトし、開始マーカーから始まる音声をフェードインさせる。なお、「終了マーカーの後に位置する音声」とは、元データの時系列で見て終了マーカーに後続する音声である。
【0041】
終了条件には、任意の条件を設定できる。例えば、再生の継続時間、動作1と動作2の繰り返し回数、ゲームの状況変化等を終了条件とすることができる。ゲームの状況変化には、プレイヤキャラクタの移動、仮想空間における天候の変化等を例示できる。
【0042】
〈動作例〉
図3は、本実施形態の再生手法を説明する図である。
図3は、環境音データの波形を模式的に示している。この環境音データでは、4つのマーカー(マーカーM
n~マーカーM
n+3)が設定されている。
【0043】
本実施形態では、プレイヤキャラクタが所定の場所に移動すると、環境音が再生される。例えば、プレイヤキャラクタが所定の森に入ったときには、鳥の鳴き声が環境音として再生されるように設定されていたとする。
【0044】
この場合は、再生制御手段562は、再生手段531に対して、鳥の鳴き声の環境音データの再生を指示する。再生制御手段562は、選択手段561に対しては、マーカーの選択を指示する。ここでは、選択手段561の選択の結果、開始マーカーとしてマーカーMnが選択され、終了マーカーとしてマーカーMn+2が選択されたものとする。
【0045】
再生手段531は、再生制御手段562から再生の指示を受けると、環境音データの先頭から再生を開始する。再生が進んで環境音データにおける再生位置が終了マーカー(マーカーMn+2)に到達すると、再生制御手段562は、再生手段531に、開始マーカー(マーカーMn)からの再生、およびクロスフェードの実行を指示する。
【0046】
再生手段531は、クロスフェードの実行が指示されたら、終了マーカー(マーカーMn+2)の後に位置する音声のフェードアウト行う。再生手段531は、開始マーカーから始まる音声のフェードインを行う。
【0047】
このようにクロスフェードが行われると、例えば、開始マーカーにおける音源データの振幅と、終了マーカーにおける音源データの振幅とが、元データにおいてかけ離れていたとしても、ユーザには音声のつなぎ目が分かりにくくなる。換言すると、このクロスフェードによって、あたかも、連続した環境音のように音声が再生される。
【0048】
ここで、例えば、プレイヤキャラクタが森から出たとする。すなわち、ゲームの状況変化があったとする。そうすると、再生制御手段562は、現在の環境音に関する、動作1、動作2の繰り返し実行を終了する。
【0049】
その後、再生制御手段562は、必要に応じて、別の環境音の再生を再生手段531に指示する。再生制御手段562は、新たに再生する環境音についても、動作1、および動作2を所定の終了条件が成立するまで繰り返す。
【0050】
以上をまとめると、本開示は、コンピュータを、音声を再生する再生手段と、前記再生手段を制御する再生制御手段と、して機能させ、前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、前記再生制御手段は、前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカーに対応した位置まで進んだ場合に、前記再生手段に対して、前記音声の他の位置からの再生開始を指示する、という動作を所定の終了条件が成立するまで繰り返すことを特徴とする音声再生プログラムである。
【0051】
また、本開示は、コンピュータを用いて音声を生成する音声生成方法において、前記音声を再生する再生ステップを含み、前記音声には、それぞれが前記再生の区切り位置を示す、複数のマーカーが対応づけられており、前記再生ステップでは、前記音声の再生位置が、選択された所定のマーカーに対応した位置まで進んだ場合に、前記音声の他の位置から再生を開始し、前記再生ステップは、所定の終了条件が成立するまで繰り返されることを特徴とする音声生成方法である。
【0052】
〈本実施形態の効果〉
以上のように、本実施形態の再生手法では、動作1,2を繰り返すことで、環境音データの実際の記録長さよりも長時間の再生を行うことができる。その際、本実施形態では、再生の終了位置(切り替わりの位置)をランダムに変更しながら、1つの音声の、いろいろな部分を順次再生している。
【0053】
つまり、本実施形態では、記憶部55へ格納されている状態における環境音データの並び(時系列)と、再生時における環境音データの並びとが互いに異なっている。その結果、本実施形態によれば、ユーザが再生の周期性を感じさせないように、実際の記録長さよりも長時間の再生が可能になる。
【0054】
しかも、本実施形態では、再生の再開位置(開始マーカーの位置)がランダムに選択される。この点からも、本実施形態では、ユーザが再生の周期性を感じにくくできる。
【0055】
従来は、音声データを先頭から終端まで再生したら先頭に戻るという動作を繰り返す単純なループ再生(以下、従来手法と呼ぶ)が一般的であった。従来手法において再生の周期性をユーザに気づかれないようにするには、音声データの長さ(例えば録音時間)を伸ばして、ループの周期を長くすることが考えられる。しかしながら、ループの周期を長くするには、より多くのメモリ容量が必要になる。
【0056】
それに対して、本実施形態では、再生の終了位置をランダムに変更しているので、用意すべき音源データの長さを従来手法と比べて少なくしても、ユーザが周期性に気づきにくい。したがって、本実施形態では、従来手法と比べて、音声データの格納に必要なメモリ容量を少なくできる。
【0057】
本実施形態では、環境音の再生時に、環境音データ内の互いに異なる位置同士を、クロスフェードでつないでいる。そのため、環境音データ内のどの位置でつなぎ合わせても、つなぎ目が不自然になることはない。
【0058】
つまり、本実施形態では、プログラムの開発者が、マーカー位置を自由に設定できる。換言すると、本実施形態では、音声再生プログラム(ゲームプログラム)の開発工数の低減が可能になる。
【0059】
[その他の実施形態]
なお、マーカーは、ゲーム中(音声再生プログラムの動作中)に動的に設定してもよい。
【0060】
本実施形態の再生手法は、環境音以外の音声の再生に適用してもよい。
【0061】
再生制御手段562では、終了マーカーに到達した後は、常に、音源データの先頭から再生を再開するように制御してもよい。換言すると、開始マーカーは、必須ではない。
【0062】
選択手段561が選んだ2つのマーカーのうちの、元データの時系列で見て、後の方のマーカーを開始マーカーとして取り扱ってもよい。
【0063】
ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。ゲームプログラムがオンラインゲーム用である場合には、制御部56やオーディオ処理部53で行っていた処理をそれらに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。
【0064】
本実施形態の再生手法を適用するゲームの種類には限定はない。本実施形態の再生手法は、ゲームプログラム以外に適用してもよい。例えば、映画に音響効果を付すプログラムや装置にも応用できる。
【0065】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
5 ゲーム装置
55 記憶部
56 制御部
531 再生手段
562 再生制御手段