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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】段差修正装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20231109BHJP
   E04G 27/00 20060101ALI20231109BHJP
   E01C 9/10 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
E04F11/00 100
E04G27/00
E01C9/10 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019205463
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021075964
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 素晴
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-022574(JP,A)
【文献】特開平09-268737(JP,A)
【文献】特開2000-110329(JP,A)
【文献】特開2009-097180(JP,A)
【文献】特開2002-349035(JP,A)
【文献】特開2008-248477(JP,A)
【文献】実開平6-85838(JP,U)
【文献】米国特許第6993801(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
E04G 27/00
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形により中空状の箱型に成形された、熱可塑性樹脂製の少なくとも1個の段差修正ユニットと、
該少なくとも1個の段差修正ユニットのうち少なくとも1個の最上段に配置された段差修正ユニットの上面に固定され該上面を覆う1枚の天板と、
を具備する段差修正装置。
【請求項2】
前記少なくとも1個の段差修正ユニットの中空部に材料を注入して保持可能に構成された、請求項1に記載の段差修正装置。
【請求項3】
前記少なくとも1個の段差修正ユニットが、底面に対して略平行に延びる上面を有する少なくとも1個の第1型段差修正ユニットを含
前記第1型段差修正ユニットは、前端側面に第1係合部を有し、後端側面に第2係合部を有し、
前記第1及び第2係合部うちの一方が他方を所定方向に受け入れることで、前記第1及び第2係合部が互いに係合可能に構成された、請求項1又は請求項2に記載の段差修正装置。
【請求項4】
上下方向に隣接する複数の前記段差修正ユニットを互いに固定可能な部材を備える、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の段差修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に開示された技術は、工事現場、道路及び建物等において第1の地点と第2の地点との間にある空間に配置され、第1の地点と第2の地点とを繋ぐ段差修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の地点とこれより高い第2の地点とを含む段差のある通路に配置され、第1の地点と第2の地点とを繋ぐスロープを形成する従来技術に係る装置として、特開2000-145080号公報(特許文献1)及び特許第3343519号公報(特許文献2)に開示されたものが知られている。特許文献1及び特許文献2は、いずれも段差の高さに応じた数の部材を積み重ねることにより段差を修正する装置を開示している。なお、特許文献1及び特許文献2は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-145080号公報
【文献】特許第3343519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、段差を修正する装置においては軽量化を図ることが望まれている。そこで、様々な実施形態により、軽量化を図ることが可能な段差修正装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る段差修正装置は、「中空状を呈し、熱可塑性樹脂製の少なくとも1個の段差修正ユニットと、該少なくとも1個の段差修正ユニットのうち少なくとも1個の最上段に配置された段差修正ユニットの上面に固定され該上面を覆う1枚の天板と、を具備する」ものである。
【発明の効果】
【0006】
様々な実施形態によれば、軽量化を図ることが可能な段差修正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る段差修正装置10と別の実施形態に係る段差修正装置20とを含む段差修正システム1の構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した段差修正システム1の構成をこの段差修正システム1の底面側からみて示す斜視図である。
図3図3は、図1に示した段差修正装置10と段差修正装置20とが係合した状態の段差修正システム1の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示した段差修正システム1の構成をY軸方向に沿って各段差修正ユニット100の中心を通る線からみて示す断面図である。
図5図5は、図3に示した段差修正システム1の構成を、天板200を省略して示す斜視図である。
図6図6は、図1及び図2に示した段差修正装置10の構成を示す分解組立図である。
図7図7は、図1に示した段差修正システム1に用いられる各第1型段差修正ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示した段差修正システム1に用いられ垂直方向に組み合わせられた2つの第1型段差修正ユニットの構成を示す斜視図である。
図9図9は、図1に示した段差修正システム1に用いられる各第2型段差修正ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
図10図10は、図9に示した第2型段差修正ユニットの構成の一例を底面側からみて示す斜視図である。
図11図11は、一実施形態に係る段差修正装置10とさらに別の実施形態に係る段差修正装置22とを含む段差修正システム1Aの構成の一例を示す斜視図である。
図12図12は、別の実施形態に係る段差修正システム1Bの構成をY軸方向に沿って各段差修正ユニット100の中心を通る線からみて示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要素には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0009】
1.段差修正システムの概要
本件出願に開示される段差修正システムは、簡潔にいえば、工事現場、道路及び建物等を含む任意の場所において、第1の地点と第2の地点との間にある空間に配置されることにより、第1の地点と第2の地点とを繋ぐために用いられるものである。第1の地点の高さと第2の地点の高さとが異なる場合には、段差修正システムは、第1の地点と第2の地点とを繋ぐスロープ及び/又は階段等として機能することができる。第1の地点の高さと第2の地点の高さとが同一又は略同一である場合には、段差修正システムは、第1の地点と第2の地点との間にある隙間(空間)を埋めるブリッジ(橋)等として機能することができる。
【0010】
段差修正システムは、少なくとも1つの段差修正装置を含むことができる。具体的には、段差修正システムは、第1の地点と第2の地点との間にある空間の長さに応じた数の段差修正装置を含むことができる。これらの段差修正装置は、第1の地点から第2の地点に向かう方向(Y軸方向)に沿って並べて配置され得る。
【0011】
このような段差修正システムの一例が図1に示される。図1は、一実施形態に係る段差修正装置10と別の実施形態に係る段差修正装置20とを含む段差修正システム1の構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示した段差修正システム1の構成をこの段差修正システム1の底面側からみて示す斜視図である。
【0012】
2.段差修正装置10の構成
段差修正装置10は、中空状を呈し、熱可塑性樹脂製の少なくとも1個の段差修正ユニット100と、この少なくとも1個の段差修正ユニット100のうち少なくとも1個の最上段に配置された段差修正ユニット100の上面に固定されこの上面を覆う1枚の天板200と、を含むことができる。
【0013】
段差修正装置10は、上記少なくとも1個の段差修正ユニット100として、水平方向(X軸方向及びY軸方向)及び/又は垂直方向(Z軸方向)に沿って配列して組み合わされた複数個(ここでは6個)の段差修正ユニット100を含むことができる。具体的には、段差修正装置10は、少なくとも1個(ここでは2個)の第1型段差修正ユニット100A(ここでは100A及び100A)と、少なくとも1個(ここでは4個)の第2型段差修正ユニット100B(ここでは100B、100B、100B及び100B)と、を含むことができる。なお、後に説明するように、第1型段差修正ユニット100Aとは、底面に対して略平行に延びる上面を有し、この第1型段差修正ユニット100Aが組み込まれる段差修正装置10の高さを調節すること(所謂嵩上げ)に寄与する段差修正ユニットである。一方、第2型段差修正ユニット100Bとは、底面に対して傾斜して延びる上面を有し、この第2型段差修正ユニット100Bが組み込まれる段差修正装置10の斜面(スロープ)を形成することに寄与する段差修正ユニットである。
【0014】
さらに具体的には、段差修正装置10は、1列目の1段目には、水平方向(X軸方向)に配列された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bを含むことができる。段差修正装置10は、1列目の2段目には、何らの段差修正ユニット100を含まない。よって、1列目については、1段目が最上段に相当する。
【0015】
また、段差修正装置10は、2列目の1段目には、水平方向(X軸方向)に配列された2つの第1型段差修正ユニット100A及び100Aを含むことができる。さらに、段差修正装置10は、2列目の2段目には、水平方向に配列された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bを含むことができる。段差修正装置10は、2列目の3段目には、何らの段差修正ユニット100を含まない。よって、2列目については、2段目が最上段に相当する。
【0016】
さらにまた、段差修正装置10は、これら6個の段差修正ユニット100のうち、最上段に配置された段差修正ユニット100の上面に固定されこの上面を覆う1枚の天板200(200A)、を含むことができる。具体的には、天板200Aは、1列目の段差修正ユニット100のうち最上段(1段目)に配置された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bの上面、並びに、2列目の段差修正ユニット100のうち最上段(2段目)に配置された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bの上面に固定され、これらの上面を覆うことができる。
【0017】
天板200Aは、最上段に配置された、第2型段差修正ユニット100B及び100B、並びに、第2型段差修正ユニット100B及び100Bの各々に対して、少なくとも1つの締結部材(例えば、リベット、ネジ及びボルト等)により固定される。図1に示した例では、天板200Aは、最上段に配置された各段差修正ユニット100に対して、4つの締結部材により固定される。例えば、天板200Aは、第2型段差修正ユニット100Bに対しては、この天板200Aに形成された4つの孔(202)の各々を貫通する合計4つの締結部材により固定される(図1には、他の段差修正ユニット100に関連して形成される孔に対しては、簡略化のために参照符号は付されていない)。
【0018】
天板200Aは、例えば板状の部材である。一実施形態では、天板200Aは、樹脂により形成され、例えば約15mmの厚みを有するものとすることができる。このような天板200Aは、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(発泡ポリプロピレン)、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-プロピレン-ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、及び、これらの組み合わせをこれらに限定することなく含む群から選択される材料を用いることが可能である。別の実施形態では、天板200Aは、鋼により形成され(特に縞鋼板として形成され)るものとすることができる。なお、天板200Aは、一実施形態では、3.6kgの質量を有するものとすることができる(天板200Aのうち、最上段に配置される1個の段差修正ユニット100の上面を覆う部分に対応する質量は0.9kgであり、天板200Aは、最上段に配置される合計4個の段差修正ユニットの上面を覆うものであるため、天板200Aの全体の質量は0.9kg×4個=3.6kgである)。
【0019】
また、段差修正装置10の質量は、一実施形態では、6.4kgとすることができる。その内訳は、天板200Aの質量が3.6kgであり、合計2個の第1型段差修正ユニット100Aの質量が1.2kg(0.6kg×2個)であり、合計4個の第2型段差修正ユニット100Bの質量が1.6kg(0.4kg×4個)である。
【0020】
3.段差修正装置20の構成
段差修正装置20は、段差修正装置10と同様に、中空状を呈し、熱可塑性樹脂製の少なくとも1個の段差修正ユニット100と、この少なくとも1個の段差修正ユニット100のうち少なくとも1個の最上段に配置された段差修正ユニット100の上面に固定されこの上面を覆う1枚の天板200と、を含むことができる。
【0021】
段差修正装置20は、上記少なくとも1個の段差修正ユニット100として、水平方向(X軸方向及びY軸方向)及び/又は垂直方向(Z軸方向)に沿って配列して組み合わされた複数個(ここでは6個)の段差修正ユニット100を含むことができる。具体的には、段差修正装置20は、少なくとも1個(ここでは4個)の第1型段差修正ユニット100A(ここでは100A、100A、100A及び100A)と、少なくとも1個(ここでは2個)の第2型段差修正ユニット100B(ここでは100B及び100B)と、を含むことができる。
【0022】
さらに具体的には、段差修正装置20は、1段目には、水平方向(X軸方向)に配列された2つの第1型段差修正ユニット100A及び100Aを含むことができる。段差修正装置20は、2段目には、水平方向(X軸方向)に配列された2つの第1型段差修正ユニット100A及び100Aを含むことができる。段差修正装置20は、3段目には、水平方向(X軸方向)に配列された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bを含むことができる。段差修正装置20は、4段目には、何らの段差修正ユニット100を含まない。よって、3段目が最上段に相当する。
【0023】
さらにまた、段差修正装置20は、これら6個の段差修正ユニット100のうち、最上段に配置された段差修正ユニット100の上面に固定されこの上面を覆う1枚の天板200(200B)と、を含むことができる。具体的には、天板200Bは、最上段(3段目)に配置された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bの上面に配置された2つの第2型段差修正ユニット100B及び100Bの上面に固定され、これらの上面を覆うことができる。
【0024】
天板200Bは、最上段に配置された第2型段差修正ユニット100B及び100Bの各々に対して、少なくとも1つの締結部材(例えば、リベット、ネジ及びボルト等)により固定される。図1に示した例では、天板200Bは、最上段に配置された各段差修正ユニット100に対して、4つの締結部材により固定される。例えば、天板200Bは、第2型段差修正ユニット100Bに対しては、この天板200Bに形成された4つの孔(202)の各々を貫通する合計4つの締結部材により固定される(図1には、他の段差修正ユニット100に関連して形成される孔に対しては、簡略化のために参照符号は付されていない)。
【0025】
天板200Bは、例えば板状の部材である。一実施形態では、天板200Bは、上述した天板200Aと同様に樹脂により形成され、例えば約15mmの厚みを有するものとすることができる。別の実施形態では、天板200Bは、鋼により形成され(特に縞鋼板として形成され)るものとすることができる。なお、天板200Bは、一実施形態では、1.8kgの質量を有するものとすることができる(天板200Bのうち、最上段に配置される1個の段差修正ユニット100の上面を覆う部分に対応する質量は0.9kgであり、天板200Bは、最上段に配置される合計2個の段差修正ユニットの上面を覆うものであるため、天板200Bの全体の質量は0.9kg×2個=1.8kgである)。
【0026】
また、段差修正装置20の質量は、一実施形態では、5.0kgとすることができる。その内訳は、天板200Bの質量が1.8kgであり、合計4個の第1型段差修正ユニット100Aの質量が2.4kg(0.6kg×4個)であり、合計2個の第2型段差修正ユニット100Bの質量が0.8kg(0.4kg×2個)である。
【0027】
4.段差修正装置10と段差修正装置20との組み合わせ
図3は、図1に示した段差修正装置10と段差修正装置20とが係合した状態の段差修正システム1の構成の一例を示す斜視図である。図1及び図2を参照して説明した段差修正装置10に対してその後端に隣接する段差修正装置20が係合することにより、図3に示すように、段差修正システム1は、地点Pとこれより高い地点Pとの間にある空間(隙間)に配置され、地点Pと地点Pとを連続的に繋ぐスロープとして機能することができる。
【0028】
5.第1型段差修正ユニット100Aの構成
次に、第1型段差修正ユニット100Aの構成の具体例について、さらに図4乃至図8を参照して説明する。図4は、図3に示した段差修正システム1の構成をY軸方向に沿って各段差修正ユニット100の中心を通る線からみて示す断面図である。図5は、図3に示した段差修正システム1の構成を、天板200を省略して示す斜視図である。図6は、図1及び図2に示した段差修正装置10の構成を示す分解組立図である。図7は、図1に示した段差修正システム1に用いられる各第1型段差修正ユニットの構成の一例を示す斜視図である。図8は、図1に示した段差修正システム1に用いられ垂直方向に組み合わせられた2つの第1型段差修正ユニットの構成を示す斜視図である。
【0029】
図1及び図2等に示した各第1型段差修正ユニット100Aは、図2及び図7を参照すると、相互に略同一の形状(図7に例示する形状)を有することができる。第1型段差修正ユニット100Aは、中空状を呈し、熱可塑性樹脂により形成された箱型の形状を有することができる。具体的には、第1型段差修正ユニット100Aは、略矩形状の底面102と、底面102に対して略平行に延びる略矩形状の上面104と、底面102と上面104とを接続する複数の側面と、を含む、中空状の箱型形状を有し得る。
【0030】
第1型段差修正ユニット100Aは、熱可塑性樹脂を用いて中空状に形成されることにより軽量化を図ることができる。さらに、第1型段差修正ユニット100Aは、中空状の形状に起因する強度の低下を抑えるために、図4に例示されるように、上面104に形成され上面104から底面102に向かって延びる凹状の複数の上部リブ106と、底面102に形成され底面102から上面104に向かって延びる凹状の複数の下部リブ108と、を含むことができる。好ましくは、各上部リブ106は、第1型段差修正ユニット100Aの強度をより向上させるために、図4に示されているように、複数の下部リブ108のうちこの上部リブ106に対応して形成されたいずれか1つの下部リブ108に対向して延びるものとすることができる。
【0031】
複数の上部リブ106の各々及び複数の下部リブ108の各々は、任意の高さを有することができる。一実施形態では、第1型段差修正ユニット100Aの強度をより向上させるために、複数の上部リブ106の各々は、この上部リブ106の天面がこの上部リブ106に対向して設けられた下部リブ108の天面と(例えば溶着により)結合する程度の高さを有し得る。同様に、複数の下部リブ108の各々は、この下部リブ108の天面がこの下部リブ108に対向して設けられた上部リブ106の天面と(例えば溶着により)結合する程度の高さを有し得る。
【0032】
複数の上部リブ106の各々及び複数の下部リブ108の各々は、任意の形状を有し得る。複数の上部リブ106の各々及び複数の下部リブ108の各々は、一実施形態では、図4に示されているように、略円錐台形状を有することができ、別の実施形態では、略円柱形状を有することができる。
【0033】
図7を参照すると、第1型段差修正ユニット100Aは、複数の側面のうち前端を形成する側面110において凸状の係合部112を有することができる。凸状の係合部112は、側面110に結合された基部112aと、基部112aに結合された突起部112bとを含むことができる。係合部112は、図2及び図4に示されているように、当該第1型段差修正ユニット100Aの前端に隣接するいずれか1個の第1型段差修正ユニット100Aの後端に形成された凹状の係合部116(後述する)又はいずれか1個の第2型段差修正ユニット100Bの後端に形成された凹状の係合部316(後述する)に係合するものである。
【0034】
図4に示されているように、凸状の係合部112は、当該第1型段差修正ユニット110Aの軽量化を図るために、その全体又は一部が中空状に形成されていてもよい。別の実施形態では、凸状の係合部112は、当該第1型段差修正ユニット110A(係合部112)の強度を向上させるために、その全体又は一部が中実状に形成されていてもよい。
【0035】
図7に戻り、第1型段差修正ユニット100Aは、複数の側面のうち後端を形成する側面114において凹状の係合部116を有することができる。凹状の係合部116は、相互に第1距離(X軸方向に沿った距離)をおいて配置された2つの突起部116a及び116bと、第1距離より大きい第2距離(X軸方向に沿った距離)を有する開口部116cと、を含むことができる。
【0036】
この凹状の係合部116は、当該第1型段差修正ユニット100Aの後端に隣接するいずれか1個の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112と係合するものである。よって、凹状の係合部116の2つの突起部116aと突起部116bとの間の第1距離は、凸状の係合部112の突起部112bのX軸方向に沿った距離より小さく、凸状の係合部112の基部112aのX軸方向に沿った距離より大きい。また、凹状の係合部116の開口部116cの第2距離は、凸状の係合部112の基部112aのX軸方向に沿った距離より大きく、凸状の係合部112の突起部112bのX軸方向に沿った距離より大きい。
【0037】
これにより、第1型段差修正ユニット100Aは、凹状の係合部116の開口部116cに、他の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の突起部112bを垂直方向(Z軸方向)に受け入れることができる。同時に、第1型段差修正ユニット100Aは、凹状の係合部116の突起部116aと突起部116bとの間に、当該他の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の基部112aを垂直方向(Z軸方向)に受け入れることができる。
【0038】
このように当該第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と当該他の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とが係合した状態では、いずれか一方の第1型段差修正ユニット100Aが他方の第1型段差修正ユニット100Aから離れるようにY軸方向に移動しようとしても、当該第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116の2つの突起部116a及び116bが、当該他の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の突起部112bのY軸方向に沿った移動を規制するので、凹状の係合部116と凸状の係合部112との係合は維持される。
【0039】
このように当該第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と当該他の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とが係合した状態では、いずれか一方の第1型段差修正ユニット100Aが他方の第1型段差修正ユニット100AからZ軸方向に沿って移動する場合にのみ、凹状の係合部116と凸状の係合部112との係合は解消され得る。
【0040】
さらに、図7に示すように、第1型段差修正ユニット100Aは、複数の側面のうち少なくとも1つの側面(ここでは、側面120及び側面122)において、この側面から延びる板状部材124を有することができる。板状部材124は、この板状部材124の一端124aの周りに回動可能に形成されている。
【0041】
板状部材124は、当該第1型段差修正ユニット100Aの上に隣接して設けられる他の第1型段差修正ユニット100Aの側面(側面120又は側面124)に固定されることにより、当該第1型段差修正ユニット100Aと当該他の第1型段差修正ユニット100Aとを固定することができる。具体的には、図8に例示されるように、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に形成された板状部材124は、その一方の面を、当該他の第1型段差修正ユニット100Aの側面120に当接させられる。この状態において、板状部材124は、当該他の第1型段差修正ユニット100Aの側面120に少なくとも1つの締結部材124b(図8には2つの締結部材124bが用いられる例が示されている)により固定され得る。締結部材としては、例えば、リベット、ネジ及びボルト等が用いられ得る。さらに、一実施形態では、図8に示すように、板状部材124は、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に対しても少なくとも1つの締結部材124c(図8には2つの締結部材124cが用いられる例が示されている)により固定され得る。
【0042】
当該第1型段差修正ユニット100Aとその上に隣接して設けられた当該他の第1型段差修正ユニット100Aとが板状部材124を介して相互に固定された状態では、図2によく示されているように、当該第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と当該他の第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116とが垂直方向(Z軸方向)に沿って整列する。これにより、これらの2つの第1型段差修正ユニット100Aの後端に隣接して設けられるさらに別の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112は、垂直方向(Z軸方向)に移動することにより、これら2つの垂直方向に整列した凹状の係合部116に係合することができる。
【0043】
このような板状部材124は、当該第1型段差修正ユニット100Aの上に隣接して設けられる第2型段差修正ユニット100Bの側面に固定されることにより、当該第1型段差修正ユニット100Aと当該第2型段差修正ユニット100Bとを固定するためにも用いられ得る。具体的には、図5及び図6に例示されるように、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に形成された板状部材124は、その一方の面を、当該第2型段差修正ユニット100Bの側面320に当接させられる。この状態において、板状部材124は、当該第2型段差修正ユニット100Bの側面320に少なくとも1つの締結部材124b(図5及び図6には2つの締結部材124bが用いられる例が示されている)により固定され得る。締結部材としては、例えば、リベット、ネジ及びボルト等が用いられ得る。さらに、一実施形態では、図5及び図6に示すように、板状部材124は、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に対しても少なくとも1つの締結部材124c(図5及び図6には2つの締結部材124cが用いられる例が示されている)により固定され得る。
【0044】
当該第1型段差修正ユニット100Aとその上に隣接して設けられた当該第2型段差修正ユニット100Bとが板状部材124を介して相互に固定された状態では、図2によく示されているように、当該第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と当該第2型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部316とが垂直方向(Z軸方向)に沿って整列する。これにより、これら第1型段差修正ユニット100A及び第2型段差修正ユニット100Bの後端に隣接して設けられるさらに別の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112は、垂直方向(Z軸方向)に移動することにより、これら垂直方向に整列した凹状の係合部116及び凹状の係合部316に係合することができる。
【0045】
さらにまた、第1型段差修正ユニット100Aは、その側面120において、図7に示されるように、その下に隣接して設けられる他の第1型段差修正ユニット100Aの板状部材124を案内して収容するために用いられる凹部126を有することも可能である。このような凹部126は、図7には直接示されていないが、第1型段差修正ユニット100Aの側面122にも設けられていてもよい。
【0046】
このような第1型段差修正ユニット100Aは、例えば、ブロー成形などの一体成形技術を用いて製造することが可能なものである。かかる第1型段差修正ユニット100Aを構成する材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(発泡ポリプロピレン)、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-プロピレン-ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、及び、これらの組み合わせをこれらに限定することなく含む群から選択される材料を用いることが可能である。
【0047】
6.第2型段差修正ユニット100Bの構成
次に、第2型段差修正ユニット100Bの構成の具体例について、さらに図9及び図10を参照して説明する。図9は、図1に示した段差修正システム1に用いられる各第2型段差修正ユニットの構成の一例を示す斜視図である。図10は、図9に示した第2型段差修正ユニットの構成の一例を底面側からみて示す斜視図である。
【0048】
図1及び図2等に示した各第2型段差修正ユニット100Bは、図9及び図10を参照すると、相互に略同一の形状(図9及び図10に例示する形状)を有することができる。第2型段差修正ユニット100Bは、中空状を呈し、熱可塑性樹脂により形成された箱型の形状を有することができる。具体的には、第2型段差修正ユニット100Bは、略矩形状の底面302と、底面302に対して傾斜して延びる略矩形状の上面304と、底面302と上面304とを接続する複数の側面と、を含む、中空状の箱型形状を有し得る。
【0049】
上面304が底面302に対して成す角度(傾斜角度)は、任意に設定可能なものであり、一実施形態では、例えば約12度であり得る。この傾斜角度としては、段差修正システム1において用いられるすべての第2型段差修正ユニット100Bについて同一の傾斜角度を用いることもできるし、各段差修正装置(図1に示した例では、段差修正装置10及び段差修正装置20の各々)において用いられるすべての第2型段差修正ユニット100Bについてその段差修正装置に固有の傾斜角度を用いることもできる。別の実施形態では、段差修正システム1において用いられる各第2型段差修正ユニット100Bが、それぞれ任意の傾斜角度を有することもできる。
【0050】
第2型段差修正ユニット100Bは、熱可塑性樹脂を用いて中空状に形成されることにより軽量化を図ることができる。さらに、第2型段差修正ユニット100Bは、中空状の形状に起因する強度の低下を抑えるために、図4に例示されるように、上面304に形成され上面304から底面302に向かって延びる凹状の複数の上部リブ306と、底面302に形成され底面302から上面304に向かって延びる凹状の複数の下部リブ308と、を含むことができる。好ましくは、各上部リブ306は、第2型段差修正ユニット100Bの強度をより向上させるために、図4に示されているように、複数の下部リブ308のうちこの上部リブ306に対応して形成されたいずれか1つの下部リブ308に対向して延びるものとすることができる。
【0051】
複数の上部リブ306の各々及び複数の下部リブ308の各々は、任意の高さを有することができる。一実施形態では、第2型段差修正ユニット100Bの強度をより向上させるために、複数の上部リブ306の各々は、この上部リブ306の天面がこの上部リブ306に対向して設けられた下部リブ308の天面と(例えば溶着により)結合する程度の高さを有し得る。同様に、複数の下部リブ308の各々は、この下部リブ308の天面がこの下部リブ308に対向して設けられた上部リブ306の天面と(例えば溶着により)結合する程度の高さを有し得る。
【0052】
複数の上部リブ306の各々及び複数の下部リブ308の各々は、任意の形状を有し得る。複数の上部リブ306の各々及び複数の下部リブ308の各々は、一実施形態では、図4に示されているように、略円錐台形状を有することができ、別の実施形態では、略円柱形状を有することができる。
【0053】
図9及び図10を参照すると、第2型段差修正ユニット100Bは、複数の側面のうち後端を形成する側面314において凹状の係合部316を有することができる。この凹状の係合部316は、一部(支持面330)を除き、第1型段差修正ユニット100Aに形成された凹状の係合部116と同一の形状を有するものである。具体的には、凹状の係合部316は、相互に第1距離(X軸方向に沿った距離)をおいて配置された2つの突起部316a及び316bと、第1距離より大きい第2距離(X軸方向に沿った距離)を有する開口部316cと、を含むことができる。但し、凹状の係合部316は、凹状の係合部116とは異なり、この凹状の係合部316の垂直方向上方は、上面304と一体的に繋がった支持面330により覆われ得る。このような支持面330は、当該第2段差修正ユニット100Bの天板200を支持する面を増加させることにより、上面304全体が天板200(及びその上に乗る人及び物等)から受ける単位面積当たりの力(すなわち圧力)を減少させ、上面304が破損する可能性を低くすることができる。なお、別の実施形態では、凹状の係合部316は、凹状の係合部116と同様に、垂直方向上方において開放される構成を採用することも可能である。
【0054】
この凹状の係合部316は、当該第2型段差修正ユニット100Bの後端に隣接するいずれか1個の第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112と係合するものである。よって、凹状の係合部316の2つの突起部316aと突起部136bとの間の第1距離は、凸状の係合部112の突起部112bのX軸方向に沿った距離より小さく、凸状の係合部112の基部112aのX軸方向に沿った距離より大きい。また、凹状の係合部316の開口部316cの第2距離は、凸状の係合部112の基部112aのX軸方向に沿った距離より大きく、凸状の係合部112の突起部112bのX軸方向に沿った距離より大きい。
【0055】
これにより、第2型段差修正ユニット100Bは、凹状の係合部316の開口部316cに、第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の突起部112bを垂直方向(Z軸方向)に受け入れることができる。同時に、第2型段差修正ユニット100Bは、凹状の係合部316の突起部316aと突起部316bとの間に、当該第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の基部112aを垂直方向(Z軸方向)に受け入れることができる。
【0056】
このように当該第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316と当該第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とが係合した状態では、これらのうちいずれか一方が他方から離れるようにY軸方向に移動しようとしても、当該第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316の2つの突起部316a及び316bが、当該第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112の突起部112bのY軸方向に沿った移動を規制するので、凹状の係合部316と凸状の係合部112との係合は維持される。
【0057】
このように当該第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316と当該第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とが係合した状態では、いずれか一方が他方からZ軸方向に沿って移動する場合にのみ、凹状の係合部316と凸状の係合部112との係合は解消され得る。
【0058】
さらに、第2型段差修正ユニット100Bが第1型段差修正ユニット100Aの上に隣接して設けられる場合には、図5及び図6を参照して上述したように、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に形成された板状部材124が、その一方の面を、当該第2型段差修正ユニット100Bの側面320に当接させられる。この状態において、板状部材124は、当該第2型段差修正ユニット100Bの側面320に少なくとも1つの締結部材124b(図5及び図6には2つの締結部材124bが用いられる例が示されている)により固定され得る。締結部材としては、例えば、リベット、ネジ及びボルト等が用いられ得る。さらに、一実施形態では、図5及び図6に示すように、板状部材124は、当該第1型段差修正ユニット100Aの側面120に対しても少なくとも1つの締結部材124c(図5及び図6には2つの締結部材124cが用いられる例が示されている)により固定され得る。このようにして、第2型段差修正ユニット100Bは、その下に隣接して設けられた第1型段差修正ユニット100Aの板状部材124を介して第1型段差修正ユニット100Aに固定され得る。
【0059】
さらに、第2型段差修正ユニット100Bは、図9及び図10に示すように、その側面320において、その下に隣接して設けられる他の第1型段差修正ユニット100Aの板状部材124を案内して収容するために用いられる凹部326を有することも可能である。このような凹部326は、図7には直接示されていないが、第2型段差修正ユニット100Bの側面322にも設けられていてもよい。第2型段差修正ユニット100Bの側面322に設けられた凹部326は、この第2型段差修正ユニット100Bの下に隣接して設けられた第1型段差修正ユニットの側面122に形成された板状部材124を案内して収容することができる。
【0060】
このような第2型段差修正ユニット100Bは、例えば、ブロー成形などの一体成形技術を用いて製造することが可能なものである。かかる第2型段差修正ユニット100Bを構成する材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(発泡ポリプロピレン)、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-プロピレン-ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、及び、これらの組み合わせをこれらに限定することなく含む群から選択される材料を用いることが可能である。
【0061】
7.段差修正システム1の使用方法
次に、上記構成を有する段差修正システム1の使用方法の具体例について説明する。
まず、複数の第1型段差修正ユニット100A、複数の第2型段差修正ユニット100B、及び、様々な大きさを有する複数の天板200(天板200A及び天板200B等)が、例えば、工場、倉庫、オフィス及び家庭等において保管されている。
【0062】
ここで、天板200としては、まず、1個の第2型段差修正ユニット100Bの上面304の面積をN倍した面積に基づく大きさを有することにより、N個の第2型段差修正ユニット100Bの上面を覆うことが可能な天板200(但し、Nは1以上の自然数)が、用意され得る。このような様々な大きさを有する(N種類の)天板200は、1列目からM列目(但し、Mは1以上の自然数)の各々の最上段に配置された合計N個の第2型段差修正ユニット100Bの上面304を覆うことができる。例えば、図1に例示した段差修正装置10については、最上段に配置された合計4個(N=4)の第2型段差修正ユニット100Bの上面304を覆うために、1個の第2型段差修正ユニット100Bの上面304の面積を4倍した面積に基づく大きさ(上面304の面積を4倍した面積を所定値だけ大きく又は小さくした大きさ等)を有する天板200Aを用いることができる。同様に、図1に例示した段差修正装置20については、最上段に配置された合計2個(N=2)の第2型段差修正ユニット100Bの上面304を覆うために、1個の第2型段差修正ユニット100Bの上面304の面積を2倍した面積に基づく大きさ(上面304の面積を2倍した面積を所定値だけ大きく又は小さくした大きさ等)を有する天板200Bを用いることができる。
【0063】
また、天板200としては、さらに、1個の第1型段差修正ユニット100Aの上面104の面積をN倍した面積に基づく大きさを有することにより、N個の第1型段差修正ユニット100Aの上面を覆うことが可能な天板200(但し、Nは1以上の自然数)が、用意され得る。このような様々な大きさを有する(N種類の)天板200は、1列目からM列目(但し、Mは1以上の自然数)の各々の最上段に配置された合計N個の第1型段差修正ユニット100Aの上面104を覆うことができる。
【0064】
次に、例えば、工場、倉庫、オフィス及び家庭等において、図1に例示された段差修正装置10及び段差修正装置20がそれぞれ組み立てられる。このように組み立てられた段差修正装置10及び段差修正装置20が、これらを配置すべき現場(例えば、工事現場、道路及び建物等の任意の場所)に搬送される。
【0065】
次に、上記現場において、段差修正装置10と段差修正装置20とが相互に係合させられる。具体的には、図2を参照すると、段差修正装置10に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と、第1型段差修正装置100Aの上に隣接して設けられた第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316とは、垂直方向(Z軸方向)に沿って整列している。同様に、段差修正装置10に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116と、第1型段差修正装置100Aの上に隣接して設けられた第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316とは、垂直方向(Z軸方向)に沿って整列している。
【0066】
図1を参照すると、段差修正装置20に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112と、第1型段差修正ユニット100Aの上に設けられた第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とは、垂直方向(Z軸方向)に沿って整列している。同様に、段差修正装置20に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112と、第1型段差修正ユニット100Aの上に設けられた第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112とは、垂直方向(Z軸方向)に沿って整列している。
【0067】
段差修正装置20に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112を、段差修正装置10に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116の真下に位置させ、かつ、段差修正装置20に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112を、段差修正装置10に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116の真下に位置させた状態において、段差修正装置20が段差修正装置10に対して垂直方向上方に移動させられる。
【0068】
これにより、第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112が、第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116(の開口部116c等)を垂直方向に通過して第2型段差修正ユニット100B4の凹状の係合部316(の開口部316c等)に収容され、第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112が、第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116(の開口部116c等)に収容される。
【0069】
同様に、第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112が、第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116(の開口部116c等)を垂直方向に通過して第2型段差修正ユニット100Bの凹状の係合部316(の開口部316c等)に収容され、第1型段差修正ユニット100Aの凸状の係合部112が、第1型段差修正ユニット100Aの凹状の係合部116(の開口部116c等)に収容される。これにより、段差修正装置10と段差修正装置20とが組み合わせられ相互に固定される。このように組み合わせられた状態の段差修正装置10及び段差修正装置20が、図3に例示されている。
【0070】
このような段差修正システム1は、図3に例示されているように、地点Pとこれより高い地点Pとの間にある空間(隙間)に配置され、地点Pと地点Pとを連続的に繋ぐスロープとして機能することができる。なお、天板200Aの前端には、地面に固定される締結部材を貫通させる少なくとも1つの貫通孔250(図3には2つの貫通孔が示されている)が形成されていてもよい。
【0071】
なお、このように段差修正システム1が設置された後、この段差修正システム1に含まれる複数の段差修正ユニット100のうち少なくとも1つの段差修正ユニット100の中空部分には、水、セメント及びコンクリート等を含む任意の材料が注入されるようにしてもよい。これにより、段差修正システム1は、所望の空間(隙間)において、外力として加えられる振動及び衝撃等に対してより強固に設置され得る。
【0072】
この後、段差修正システム1の使用が完了した場合には、段差修正装置10が段差修正装置20に対して垂直方向上方に移動させられることにより、又は、段差修正装置20が段差修正装置10に対して垂直方向下方に移動させられることにより、両者が分離される。これら段差修正装置10及び段差修正装置20は、それぞれ、工場、倉庫、オフィス及び家庭等に搬送され(必要に応じて分解され)保管される。
【0073】
8.変形例
図1及び図2等に示した例では、段差修正システム1が2つの段差修正装置(段差修正装置10及び段差修正装置20)を含む場合について説明した。しかし、段差修正システムは、当該段差修正システム1が設置される場所の長さ(Y軸方向に沿った長さ)に応じて、任意の数の段差修正装置を含むものであってもよい。この場合、各段差修正装置は、図2によく示されているように、その後端には必ず垂直方向に整列した少なくとも1つの凹状の係合部(116、316)を有する。よって、或る段差修正装置において垂直方向に整列した少なくとも1つの凹状の係合部(116、316)に対して、その後端に配置された別の段差修正装置において垂直方向に整列した少なくとも1つの凸状の係合部(112)を係合させる、という手順を繰り返すことにより、任意の数の段差修正装置を組み合わせて固定することができる。
【0074】
また、図1及び図2等に示した例では、各段差修正装置(の天板200)が傾斜面を形成する場合について説明した。しかし、別の実施形態では、段差修正装置が、第2型段差修正ユニット100Bを含まず、少なくとも1個の第1型段差修正ユニット100Aと、これら第1型段差修正ユニット100Aのうち最上段に配置された第1型段差修正ユニット100Aの上面を覆う天板200と、を含むものとすることも可能である。この場合、段差修正装置は、傾斜面を形成せず、或る高さを維持したブリッジとして機能することが可能である。このような段差修正装置は、第1の地点とこれと略同一の高さにある第2の地点との間にある隙間(空間)を埋めるブリッジ(橋)として機能することができる。この場合、さらに、各々が第1の高さ乃至第P(但しPは2以上の自然数)の高さを有する複数の段差修正装置を第1の地点と第2の地点との間においてY軸方向に沿った方向に並べることも可能である。このような複数の段差修正装置は、第1の地点と第2の地点とを繋ぐ階段として機能することが可能である。
【0075】
或いはまた、このようにブリッジとして機能する段差修正装置は、傾斜面を形成する少なくとも1つの段差修正装置(例えば、段差修正装置10及び段差修正装置20)と組み合わせ用いることも可能なものである。その一例が図11に示されている。
【0076】
図11は、一実施形態に係る段差修正装置10とさらに別の実施形態に係る段差修正装置22とを含む段差修正システム1Aの構成の一例を示す斜視図である。なお、図11において図1に示したものと共通した構成要素については、図1におけるものと同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
段差修正システム1Aは、傾斜面を形成する段差修正装置10と、ブリッジを形成する段差修正装置22と、を含むことができる。段差修正装置10は、図1等を参照して上述したものである。段差修正装置22は、少なくとも1個の第1型段差修正ユニット100A(ここでは、第1型段差修正ユニット100A、100A、100A及び100A)と、これら第1型段差修正ユニット100Aのうち最上段に配置された第1型段差修正ユニット100A(ここでは、第1型段差修正ユニット100A及び100A)の上面を覆う天板210Bと、を含む。段差修正装置22は、図1等に示された段差修正装置20とは異なり、第2型段差修正ユニット100Bを欠くものである。
【0078】
天板210Bは、1個の第1型段差修正ユニット100Aの上面304の面積をN倍した面積に基づく大きさを有することにより、N個の第1型段差修正ユニット100Aの上面に固定されこの上面を覆うことが可能なものである(但し、Nは1以上の自然数)。
【0079】
このような段差修正装置22の後端には、傾斜面を形成する少なくとも1つの段差修正装置、及び/又は、ブリッジを形成する少なくとも1つの段差修正装置が、任意の順序で結合され得る。以上、図11に例示した段差修正システム1Aについて説明した。
【0080】
また、図1及び図2等に示した各段差修正装置に含まれる第1型段差修正ユニット100Aの個数は、単なる一例に過ぎず、実際には、当該段差修正装置が配置される場所に関連して必要とされる高さ(Z軸方向に沿った長さ)(当該段差修正装置が傾斜面を形成する場合には、第1の地点の高さと第2の地点の高さとの差であり、当該段差修正装置がブリッジを形成する場合には、第1の地点及び第2の地点の各々の高さである)、及び/又は、当該段差修正装置が配置される場所の幅(X軸方向に沿った長さ)に応じて計算された個数とすることが可能である。
【0081】
さらに、図1及び図2等に示した例では、すべての段差修正ユニット(100A、100B)が複数のリブを有する場合について説明したが、少なくとも一部の段差修正ユニットのみが複数のリブを有することも可能であるし、すべての段差修正ユニットがこのようなリブを欠くものであってもよい。
【0082】
また、図4等を参照して説明した実施形態では、第1型段差修正ユニット100Aが複数の上部リブ106及び複数の下部リブ108を有し、第2型段差修正ユニット100Bが複数の上部リブ306及び複数の下部リブ308を有する場合について説明した。しかし、別の実施形態では、図12に示すように、段差修正システム1Bに用いられる第1型段差修正ユニット100Aは、上面104に形成され、底面102に向かって延びる、例えば円錐台形状の複数の上部リブ160のみを有し、底面102に形成され上面104に向かって延びる下部リブを欠くものであってもよい。
【0083】
この場合、各上部リブ160は、任意の高さを有することが可能であり、一実施形態では、その天面が図12に例示されるように底面102に(例えば溶着により)結合する高さを有し得る。同様に、段差修正システム1Bに用いられる第2型段差修正ユニット100Bは、上面304に形成され、底面302に向かって延びる、例えば円錐台形状の複数の上部リブ360のみを有し、底面302に形成され上面304に向かって延びる下部リブを欠くものであってもよい。この場合、各上部リブ360は、任意の高さを有することが可能であり、一実施形態では、その天面が図12に例示されるように底面302に(例えば溶着により)結合する高さを有し得る。これにより、各第1型段差修正ユニット100A及び/又は各第2型段差修正ユニット100Bは、下部リブを欠くフラットな底面を有することにより、下部リブに泥及び汚物等が蓄積して底面が汚れるという事態の発生を抑えることができる。なお、図12には、第1型段差修正ユニット100A及び/又は第2型段差修正ユニット100Bが複数の上部リブのみを有する(下部リブを欠く)実施形態が示されているが、別の実施形態では、第1型段差修正ユニット100A及び/又は第2型段差修正ユニット100Bが底面に形成され底面から上面に延びる複数の下部リブのみを有する(上部リブを欠く)ことも可能である。
【0084】
また、上述した様々な実施形態において用いられるリブの形状は、任意の形状を有し得るものである。例えば、リブの形状は、円錐、円柱、多角錐及び多角柱等に限定されず、任意の方向(例えば、X軸方向、Y軸方向、これらの方向に交差する方向等)に沿って延びる溝を形成するものであってもよい。さらに、各溝状のリブは、直線状を呈するものに限定されず、少なくとも1つの直線と少なくとも1つの曲線との組み合わせによる形状を呈するものであってもよい。
【0085】
さらにまた、このような様々な形状を有する複数種類のリブを組み合わせて用いることも可能である。例えば、各段差修正ユニット100の上面及び/又は底面には、複数種類のリブ(例えば、円錐状/円柱状のリブと多角錐/多角柱状のリブとの組み合わせ、溝状のリブと円錐状のリブとの組み合わせ、円錐状のリブと円柱状のリブとの組み合わせ、X軸方向に沿って延びる溝状のリブとY軸方向に沿って延びる溝状のリブとの組み合わせ、X軸方向に沿って延びる溝状のリブとY軸方向に沿って延びる溝状のリブとX軸方向及びY軸方向に交差する方向に延びるリブとの組み合わせ等)が形成されることも可能である。さらにまた、上面に形成される1種類以上のリブと、底面に形成される1種類以上のリブとは、相互に同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
【0086】
また、1枚の天板200(200A、200B、210B等)の質量は、50kg/m以下、好ましくは、30kg/m以下、さらに好ましくは、20kg/m以下、さらに好ましくは、15kg/m以下、13kg/m以下であり、対象積載物によって強度を設定することが望ましい。
【0087】
さらに、1つの段差修正装置(天板を含む)の質量は、55kg以下、好ましくは25kg以下、さらに好ましくは15kg以下、さらに好ましくは、10kg以下とすることができる。各段差修正装置(1つの段差修正装置)は、このような範囲の質量を有することにより、1人又は少人数で運ぶことが可能なものとなる。特に、各段差修正装置は、工場等において、少なくとも1個の段差修正ユニット100と1枚の天板200とを組み付けることにより、組み立てられた後、倉庫等において保管され得る。この後、施工現場において必要とされる場合に、各段差修正装置は、施工現場に搬送され得る。各段差修正装置は、人によって施工現場に運ばれるため、軽い程、好ましいものであるといえる。このような理由により、上記範囲の質量を有する各段差修正装置は、1人又は少人数で運ぶことが可能なものであるので、好ましいものである。
【0088】
さらにまた、各段差修正装置(1つの段差修正装置)は、上記範囲の質量を有するものである限りにおいて、垂直方向(Z軸方向)に重なる2個の段差修正ユニット100の間に配置された第1の補強板と、最下段に配置されたすべての段差修正ユニット100の下面を覆う第2の補強板と、を含むものであってもよい。これにより、各段差修正装置の強度をさらに向上させることができる。なお、第1の補強板及び第2の補強板の各々は、樹脂又は金属により形成されたものであってもよい。
【0089】
さらにまた、上述した様々な実施形態では、段差修正ユニット100は、一例として中空状を呈するものとして説明されてきたが、その中空部分において発泡体等を内包することも可能である。これにより、このような発泡体を内包する段差修正ユニット100は、より増加した強度を有することができる。
【0090】
また、図3等に例示した実施形態では、天板200Aは、その前端(下端)において形成された例えば2つの貫通孔250を貫通する2つの締結部材を用いて地面に固定され、さらに、天板200Aは、1つの段差修正ユニット100ごとに形成された例えば4つの孔202を貫通する4つの締結部材を用いて、各段差修正ユニット100に固定される場合について例示した。しかし、台車や人などによって天板200Aに局所的に荷重が加わると、天板200Aに対しては、その前端(下端)が地面及び各段差修正ユニット100からめくれ上がる方向に力が加わることがある。そのような力に対抗すべく、天板200Aの前端(下端)にはより多くの貫通孔250が形成され、天板200Aの前端は、これら貫通孔250を通るより多くの締結部材によって地面に固定されるようにしてもよい。同様に、天板200Aは、その前端(下端)に近い(前端から離れていてもよい)段差修正ユニット100に対しては、天板200Aに形成されたより多くの孔202を通る締結部材を用いて固定されるようにしてもよい。これらの孔202(ひいてはこれらの孔202に係合する締結部材)は、天板200Aの端部(端部以外の部分であってもよい)に沿って、Y軸方向及び/又はX軸方向に沿って所定の間隔をおいて設けられるようにしてもよい。
【0091】
さらに、地面と接する天板200Aは、その上を台車や人などが通ることによって、その特に前端(下端)部分において、地面との接触を繰り返したり、台車や人と衝突することが多いため、天板200Aの前端(下端)部分は傷み易くなる。これを防止すべく、天板200Aの特に前端(下端)付近には、X軸方向に沿って延びる補強部材が取り付けられるようにしてもよい。このような補強部材は、天板200Aの上面及び/又は底面に取り付けられ得る。天板200Aが金属により形成される場合には、補強部材としては補強テープ等が用いられ得る。また、天板200Aが樹脂により形成される場合には、補強部材としては例えば金属や樹脂等により形成され得る。
【0092】
さらにまた、各段差修正装置(すなわち、最下段に配置された少なくとも1つの段差修正ユニット100)の底面には、地面との摩擦低減及び/又は衝撃吸収のために、最下段に配置された少なくとも1つの段差修正ユニット100の底面を全体的に又は部分的に覆う滑り止め部材を取り付けることが可能である。このような滑り止め部材としては、ゴム、樹脂、木材及び金属等により形成された板状部材を含む任意の部材(滑り止めとして機能するようにX軸方向及び/又はY軸方向に延びる複数の溝、突起、凹部及び凸部等が形成されていてもよい)を用いることができる。
【0093】
なお、各段差修正装置に含まれる天板200と各段差修正ユニット100とは、両者を固定する締結部材を取り外すことにより、分解することが可能なものである。このような固定及び分解を容易に行うために、天板200と各段差修正ユニット100とは、全体として略コ字状に延び、2つの端部が鋭利となるように形成された締結部材により固定されるものとすることができる(2つの端部が天板200を貫通して各段差修正ユニット100に食い込むことができる)。
【0094】
また、各段差修正装置に含まれる複数の段差修正ユニット100は、Z軸方向(垂直方向)に隣接する2つの段差修正ユニット100同士を固定する板状部材124を取り外し、Y軸方向(前後方向)に隣接する2つの段差修正ユニット100同士の各係合部を介した係合(凸状の係合部と凹状の係合部との係合)を解除し、X軸方向(左右方向)に隣接する2つの段差修正ユニット100同士の係合を(天板100を取り外して)解除することにより、相互に分解可能である。なお、X軸方向、Y軸方向及び/又はZ軸方向に隣接する2つの段差修正ユニット100同士は、上述した手法に加えて又は上述した手法に代えて、上述した全体として略コ字状に延びる締結部材を用いて固定されるようにしてもよい(このような締結部材を各段差修正ユニット100から取り外すことは容易である)。
【0095】
さらにまた、上述した実施形態では、複数の段差修正装置が、Y軸方向(前後方向)に沿って配置された上で、固定及び分解される場合について説明した。しかし、複数の段差修正装置が、Y軸方向(前後方向)及びX軸方向(左右方向)の両方に沿って配置された上で、固定及び分解されるようにしてもよい。この場合には、X軸方向に沿って隣接する2つの段差修正装置同士は、例えば、上述した全体として略コ字状に延びる締結部材を用いて相互に固定されるようにしてもよい(Y軸方向に沿って隣接する2つの段差修正装置同士もまた同様に、上述した全体として略コ字状に延びる締結部材を用いて相互に固定されるようにしてもよい)。
【0096】
なお、上述した様々な実施形態は、矛盾の生じない限りにおいて、相互に組み合わせて用いることが可能なものである。
【0097】
9.効果
上述した様々な実施形態によれば、段差修正装置を構成する各段差修正ユニットは、中空状を呈し、熱可塑性樹脂により形成されるものである。これにより、段差修正装置の軽量化を図ることができる。さらに、段差修正装置を構成する少なくとも1個の段差修正ユニットのうち最上段に配置された段差修正ユニットの上面には、この上面を覆う天板が固定される。かかる天板は、段差修正装置に載る人及び/又は物の重量がこの段差修正装置に対して単位面積当たりに加える力(圧力)を小さくすることができる。これにより、段差修正装置は、少なくとも1個の段差修正ユニットに加えて、天板を用いることにより、軽量化を図りつつ強度を増加させることができる。
【0098】
また、一実施形態では、段差修正装置を構成する少なくとも1個の段差修正ユニットのうち、少なくとも一部の段差修正ユニットは、複数のリブを含むことができる。これにより、段差修正装置は、さらに強度を増加させることができる。
【0099】
さらに、一実施形態では、段差修正装置は、底面に対して略平行に延びる上面を有する少なくとも1個の第1型段差修正ユニットにより構成され得る。これにより、段差修正装置は、第1の地点と第2の地点とを繋ぐブリッジとして機能することができる。
【0100】
さらにまた、一実施形態では、段差修正装置は、底面に対して傾斜して延びる上面を有する少なくとも1個の第2型段差修正ユニットにより構成され得る。これにより、段差修正装置は、第1の地点と第2の地点とを繋ぐスロープ(傾斜面)として機能することができる。
【0101】
さらにまた、一実施形態では、段差修正装置は、少なくとも1個の第1型段差修正ユニットと少なくとも1個の第2型段差修正ユニットとにより構成され得る。これにより、段差修正装置は、高さを調節することが可能なスロープとして機能することができる。
【0102】
さらにまた、一実施形態では、少なくとも1個の段差修正ユニットのうち最上段に配置されたN個の段差修正ユニットに固定される天板は、これらN個の段差修正ユニットを構成するいずれか1個の段差修正ユニットの上面の面積をN倍した面積に基づく大きさを有することにより、これらN個の段差修正ユニットの上面を覆うもの(但し、Nは1以上の自然数である)とすることができる。これにより、任意の大きさ(X軸方向の長さ及びY軸方向の長さ)を有する段差修正装置に用いられる天板を簡単かつ柔軟に用意することができる。
【0103】
以上のように、様々な実施形態によれば、軽量化を図ることが可能な段差修正装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 段差修正システム
10、20 段差修正装置
100A(100) 第1型段差修正ユニット
100B(100) 第2型段差修正ユニット
200、200A、200B 天板
104、304 上面
102、302 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12