(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】成形体、金型及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 51/26 20060101AFI20231109BHJP
B29C 49/50 20060101ALI20231109BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20231109BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C49/50
B29C49/48
B29C51/10
(21)【出願番号】P 2019216634
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 洋介
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-098567(JP,A)
【文献】特開2016-049656(JP,A)
【文献】特開2016-083859(JP,A)
【文献】特開2011-073422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料で構成される成形体であって、
本体部と、バリとを備え、
前記バリは、
前記一方側の樹脂材料で構成された第1バリと、前記他方側の樹脂材料で構成された第2バリを備え、
第1及び第2バリは、それぞれ、前記本体部に隣接して設けられ、
第1及び第2バリは、それぞれ、主部と薄肉部とを有し、前記薄肉部を形成する部位が前記主部を形成する部位に比して薄肉に形成されるもの。
【請求項2】
請求項1に記載の成形体において、
前記薄肉部を形成する部位は、凹部を有するもの。
【請求項3】
金型であって、
第1面と、第2面とを備え、
前記第1面は
、成形体の本体部を成形する成形空間を規定するように構成され、
前記第2面は、第1真空溝を備え、
前記第1真空溝は、前記成形体の樹脂材料を吸引することで前記成形体のバリに薄肉部を形成するように構成され、ここで前記バリは、前記薄肉部を形成する部位が前記
薄肉部でない主部を形成する部位に比して薄肉に形成されるもの。
【請求項4】
請求項3に記載の金型において、
前記第2面は、第2真空溝を備え、
前記第2真空溝は、前記成形体の樹脂材料を吸引することで前記第1真空溝の両端に位置する前記主部を形成する部位を保持し、この両端よりも外側の部位が引き延ばされないように固定するように構成されるもの。
【請求項5】
請求項4に記載の金型において、
前記第1真空溝及び前記第2真空溝は、それぞれ異なる真空回路に接続されるもの。
【請求項6】
一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料で構成される成形体における本体部の製造方法であって、
垂下工程と、吸引工程と、成形工程と、バリ除去工程と、バリ分離工程とを備え、
前記垂下工程では、溶融状態の前記2種類の樹脂材料を、第1面と第2面とを備える一対の金型間に垂下させ、
前記吸引工程では、前記2種類の樹脂材料を吸引することで、これらが前記第1面と前記第2面とに沿った形状に賦形されるとともに、前記第2面に設けられる第1真空溝によって、前記成形体のバリに薄肉部が形成され、ここで前記バリは、前記薄肉部を形成する部位が前記薄肉部でない主部を形成する部位に比して薄肉に形成され、
前記成形工程では、前記一対の金型を閉じた後に開放することで、前記2種類の樹脂材料が前記本体部と前記バリとを備える前記成形体となり、
前記バリ除去工程では、前記本体部から前記バリを除去することで前記成形体における前記本体部を製造し、
前記バリ分離工程では、前記バリを前記2種類の樹脂材料ごとに分離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体、金型及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等において使用される成形体がブロー成形によって製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブロー成形では、成形体における本体部以外にバリが生じる。このバリは、本体部から切り離された後に再利用することが一般的だが、一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料を用いる場合には、両者が繋がって非分離に形成されるため、このままでは再利用することができなかった。
【0005】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、異なる2種類の樹脂材料で構成されるバリを再利用することができる成形体、金型及び成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料で構成される成形体であって、本体部と、バリとを備え、前記バリは、前記本体部に隣接して設けられ、主部と薄肉部とを有し、前記薄肉部を形成する部位が前記主部を形成する部位に比して薄肉に形成されるものが提供される。
【0007】
このような成形体によれば、異なる2種類の樹脂材料で構成されるバリを再利用することができる成形体を実現することができる、という有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本体部11,12とバリ13,14とを備える成形体1の態様を示している。
【
図2】
図1の状態からバリ13,14が除去された態様を示している。
【
図3】
図2の状態からバリ13,14を分離した態様を示している。
【
図4】成形体1を製造するための成形機3の態様を示している。
【
図5】成形体1の製造において、金型71,72が開放された態様を示している。
【
図6】成形体1の製造において、一対の金型71,72の両側から樹脂材料21,22を吸引して、樹脂材料21,22を一対の金型71,72に沿った形状に賦形した態様を示している。
【
図8】成形体1の製造において、金型71,72が閉じられた態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.全体構成
第1節では、本実施形態に係る成形体1について説明する。
図1は、本体部11,12とバリ13,14とを備える成形体1の態様を示している。
図2は、
図1の状態からバリ13,14が除去された態様を示している。
図3は、
図2の状態からバリ13,14を分離した態様を示している。
【0011】
図1に示されるように、一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料21,22(
図4参照)で構成される成形体1は、本体部11,12と、バリ13,14とを備える。より具体的には、一方側がある種の樹脂材料21で構成され、これが本体部11及びバリ13を成す。そして、他方側が別の種の樹脂材料22で構成され、これが本体部12及びバリ14を成す。例えば、樹脂材料21は黒色で、樹脂材料22が赤色等とすることで、一方側と他方側とで異なる彩色を有する成形体1が実施される。
【0012】
成形体1は、樹脂M2(
図4参照)からなる成形体である。特に、ローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂を用いて形成される。
【0013】
(本体部11,12)
本体部11,12は、車両等において使用される成形体の主体部品である。本体部11,12は、一対の金型71,72(
図5参照)に賦形された形状を有するものである。本体部11,12は、バリ13,14に隣接して設けられる。本体部11,12は、中空に構成され、その中空部分に発泡樹脂を挟み込むことで軽量性と頑健性とを有する部材を実現しうる。このような部材は、車両等において使用される部品として最適である。
【0014】
(バリ13,14)
バリ13,14は、成形体1から切り取られるものであり、原料樹脂として再利用されるものである。バリ13,14は、本体部11,12に隣接して設けられる。バリ13,14は、主部131,141と薄肉部132,142とを有し、薄肉部132,142を形成する部位が主部131,141を形成する部位に比して薄肉に形成される。なお、薄肉部132,142を形成する部位は、凹部を有することが好ましい。特に、本実施形態では、
図1等に示されるように、U字型の薄肉部132,142を有している。薄肉部132,142からピンチオフ713,723(
図5参照)までの距離は、0mm以上200mm以下が好ましく、0mm以上100mm以下がより好ましい。具体的には例えば、0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150,155,160,165,170,175,180,185,190,195,200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
バリ13,14は、
図3に示すように、バリ13,14を分離した態様において、根元部15を備える。根元部15は、ピンチオフ713,723で溶着される溶着部16(
図1参照)と薄肉部132,142との間に位置する部位である。根元部15は、例えば、樹脂材料21が黒色で、樹脂材料22が赤色の場合、一方側と他方側とで異なる2種類の彩色を有することになる。
【0016】
ここで、成形品を取り出した後における主部131,141を形成する部位の最も厚い肉厚をt1、薄肉部132,142を形成する部位の最も薄い肉厚をt2と規定すると、t1>t2であり、具体的には例えば、(t2/t1)=0.9,0.89,0.88,0.87,0.86,0.85,0.84,0.83,0.82,0.81,0.8,0.79,0.78,0.77,0.76,0.75,0.74,0.73,0.72,0.71,0.7,0.69,0.68,0.67,0.66,0.65,0.64,0.63,0.62,0.61,0.6,0.59,0.58,0.57,0.56,0.55,0.54,0.53,0.52,0.51,0.5,0.49,0.48,0.47,0.46,0.45,0.44,0.43,0.42,0.41,0.4,0.39,0.38,0.37,0.36,0.35,0.34,0.33,0.32,0.31,0.3,0.29,0.28,0.27,0.26,0.25,0.24,0.23,0.22,0.21,0.2,0.19,0.18,0.17,0.16,0.15,0.14,0.13,0.12,0.11,0.1,0.09,0.08,0.07,0.06,0.05,0.04,0.03,0.02,0.01であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
なお、t2は、0mmより大きく10mm以下が好ましい。具体的には例えば、t2=0,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
図2に示されるように、バリ13,14は、本体部11,12から除去されるが、さらに、t1>t2を満たすように実施することで、
図3に示されるように、樹脂材料21で構成されたバリ13と、樹脂材料22で構成されたバリ14とを分離することができる。したがって、バリ13,14を、それぞれ別々に粉砕及び溶解して、樹脂材料21,22としてそれぞれ再利用することができる。
【0019】
2.成形体1の製造方法
第2節では、成形体1の製造方法について説明する。
図4は、成形体1を製造するための成形機3の態様を示している。
図5は、成形体1の製造において、金型71,72が開放された態様を示している。
図6は、成形体1の製造において、一対の金型71,72の両側から樹脂材料21,22を吸引して、樹脂材料21,22を一対の金型71,72に沿った形状に賦形した態様を示している。
図7は、
図6の部分省略拡大図を示している。
図8は、成形体1の製造において、金型71,72が閉じられた態様を示している。
【0020】
2.1 成形機3の構成
ここでは、成形機3の構成について説明する。成形機3は、樹脂供給装置4と、Tダイ5と、一対の金型71,72とを備える。樹脂供給装置4は、ホッパー41と、押出機42と、アキュームレータ44とを備える。押出機42とアキュームレータ44は、連結管61を介して連結される。アキュームレータ44とTダイ5は、連結管62を介して連結される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0021】
(ホッパー41、押出機42)
ホッパー41は、原料樹脂M1を押出機42のシリンダ43内に投入するために用いられる。原料樹脂M1の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂M1は、ホッパー41からシリンダ43内に投入された後、シリンダ43内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ43内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ43の先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ43内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端には、ギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ43内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0022】
(アキュームレータ44、Tダイ5)
原料樹脂M1と樹脂M2は、シリンダ43の樹脂押出口から押し出され、連結管61を通じてアキュームレータ44内に注入される。アキュームレータ44は、シリンダ45とその内部で摺動可能なピストン46を備えており、シリンダ45内に溶融された樹脂M2が貯留可能になっている。そして、シリンダ45内に樹脂M2が所定量貯留された後にピストン46を移動させることによって、連結管62を通じて樹脂M2をTダイ5内に設けられたスリットから押し出して垂下させて2種類の樹脂材料21,22を形成する。
【0023】
なお、2種類の樹脂材料21,22は、それぞれ異なる樹脂材料で構成される。例えば、異なる2種類の樹脂材料21,22とは、樹脂材料が同一で彩色が異なる物、添加剤の種類が異なる物、添加量が異なる物、樹脂材料自体が異なる物、樹脂材料を組み合わせた配合が異なる物、などが挙げられる。また、2種類の樹脂材料21,22は、
図4に示すように、それぞれ異なる樹脂材料であるため、別々の押出機3から形成される。
【0024】
(一対の金型71,72)
図5~
図8に示されるように、一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料21,22で構成される成形体1を成形するための金型71,72は、第1面712,722と、ピンチオフ713,723と、第2面714,724とを備える。樹脂材料21,22は、一対の金型71,72間に導かれる。特に、
図6に示されるように、一対の金型71,72は、多数の吸引を行う真空回路81~84に接続されており、樹脂材料21,22を吸引して一対の金型71,72に沿った形状に賦形することが可能になっている。
【0025】
第1面712,722は、成形体1の本体部11,12を成形するためのものである。第1面712,722は、成形体1の本体部11,12を成形する成形空間7sを規定するように構成される(
図8参照)。第1面712,722には、凹状のキャビティ711,721が形成されている(
図5参照)。第1面712,722は、ピンチオフ713,723に隣接して設けられる。第1面712,722は、吸引孔833,843を備える(
図6参照)。吸引孔833,843は、第2真空吸引室831,841に連通し、吸引孔833,843と第2真空吸引室831,841とで第2真空回路83,84が構成される。第2真空回路83,84によれば、成形体1の樹脂材料21,22を吸引孔833,843から第2真空吸引室831,841に向かって吸引して一対の金型71,72に沿った形状に賦形することが可能となる。なお、
図4~
図8に示すように、吸引孔833,843は、視認性向上のために、あえて大きく記載している。
【0026】
ピンチオフ713,723は、第1面712,722と第2面714,724との境界に設けられる。ピンチオフ713,723は、第1面712,722と、第2面714,724とを分離するように突出している。本実施形態において、ピンチオフ713,723で囲まれる部分の内側に形成されるものは、成形体1の本体部11,12であり、外側に形成されるものは、バリ13,14である。
【0027】
第2面714,724は、ピンチオフ713,723に隣接して設けられる。第2面714,724に沿って、成形体1のバリ13,14が生じる。第2面714,724は、第1真空溝715,725を備える(
図5参照)。第1真空溝715,725は、第1吸引孔812,822を備える(
図6参照)。第1吸引孔812,822は、第1真空吸引室811,821に連通し、第1吸引孔812,822と第1真空吸引室811,821とで第1真空回路81,82が構成される。第1真空溝715,725は、成形体1の樹脂材料21,22を第1吸引孔812,822から第1真空吸引室811,821に向かって吸引することで成形体1のバリ13,14に薄肉部132,142を形成するように構成される。ここでバリ13,14は、薄肉部132,142を形成する部位が薄肉部132,142でない主部131,141を形成する部位に比して薄肉に形成される。
【0028】
なお、第1真空溝715,725の幅は、5mm以上50mm以下であることが好ましい。具体的には例えば、5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
また、第1真空溝715,725の幅は、主部131,141を形成する部位の肉厚に対して1倍以上3倍以下であることが好ましい。具体的には例えば、1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0030】
なお、第1真空溝715,725の深さは、5mm以上50mm以下であることが好ましい。具体的には例えば、5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0031】
また、第1真空溝715,725の深さは、主部131,141を形成する部位の肉厚に対して1倍以上5倍以下であることが好ましい。具体的には例えば、1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0032】
ここで、薄肉部132,142は、第1真空溝715,725の壁面に接していない。換言すると、薄肉部132,142は、金型71,72と接していない。また、薄肉部132,142は、上述の吸引によって、薄く引き延ばされる。
【0033】
また、第2面714,724は、第2真空溝716,726と第1面712,722と同様の吸引孔833,843とを備える(
図5及び
図6参照)。第2真空溝716,726は、第2吸引孔832,842を備える(
図6参照)。第2真空溝716,726は、成形体1の樹脂材料21,22を第2吸引孔832,842から第2真空吸引室831,841に向かって吸引することで第1真空溝715,725の両端に位置する主部131,141(特に主部131a,131b,141a,141b)を形成する部位を保持し、この両端よりも外側の部位が引き延ばされないように固定するように構成される。仮にこのように固定せずに、第1真空溝715,725によって吸引すると、主部131,141を形成する部位と、薄肉部132,142を形成する部位との肉厚が略均等となってしまう。換言すると、主部131a,131b,141a,141bを固定して、その間に挟まれる樹脂材料21,22を吸引することで、薄肉部132,142を形成する部位が薄肉になる。なお、第2真空溝716,726は、薄肉部132,142以外の部位が伸びないように、ある程度保持されるように構成されていればよい。
【0034】
上述のように、第1真空溝715,725及び第2真空溝716,726は、それぞれ異なる真空回路81~84に接続される。本実施形態において、第1真空溝715,725は、第1真空回路81,82に接続され、第2真空溝716,726は、第2真空回路83,84に接続される。なお、第2真空溝716,726における真空回路83~84は、さらに別の真空回路であってもよい。
【0035】
図4~
図6に示されるように、一対の金型71,72の上下には、型枠9が備わる。型枠9は、密封状態で摺動可能に外嵌し、図示しない型枠移動装置により、型枠9それぞれが、一対の金型71,72に対して相対的に移動可能としている。より具体的には、型枠9は、2種類の樹脂材料21,22に向かって突出することにより、一対の金型71,72間に配置された2種類の樹脂材料21,22の側面に当接可能である。
【0036】
2.2 製造方法の流れ
続いて、成形体1の製造方法の流れについて説明する。一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料21,22で構成される成形体1における本体部11,12の製造方法は、垂下工程と、吸引工程と、成形工程と、バリ除去工程と、バリ分離工程とを備える。以下、詳細に説明する。
【0037】
(垂下工程)
図4及び
図5に示されるように、垂下工程では、溶融状態の樹脂M2をTダイ5のスリットから押し出して形成した2種類の樹脂材料21,22を、第1面712,722と第2面714,724とを備える一対の金型71,72間に垂下させる。
【0038】
本実施形態では、Tダイ5から押し出された2種類の樹脂材料21,22をそのまま使用するダイレクト真空成形が行われるので、2種類の樹脂材料21,22は、成形前に室温にまで冷却されて固化されることがなく、固化された2種類の樹脂材料21,22が成形前に加熱されることもない。
【0039】
(吸引工程)
次に、
図6~
図8に示されるように、吸引工程では、2種類の樹脂材料21,22を吸引孔833,843によって吸引することで、これらが第1面712,722と第2面714,724とに沿った形状に賦形されるとともに、第2面714,724に設けられる第1真空溝715,725によって、成形体1のバリ13,14に薄肉部132,142が形成される。ここでバリ13,14は、薄肉部132,142を形成する部位が薄肉部132,142でない主部131,141を形成する部位に比して薄肉に形成される。なお、この時点において、薄肉部132,142の薄肉部分は、破れていないことが好ましい。
【0040】
(成形工程)
次に、
図1に示されるように、成形工程では、一対の金型71,72を閉じた後に開放することで、2種類の樹脂材料21,22が本体部11,12とバリ13,14とを備える成形体1となる。
【0041】
(バリ除去工程)
次に、
図2に示されるように、バリ除去工程では、成形工程で成形した成形体1を一定時間冷却し形状が安定した後に、本体部11,12からバリ13,14を除去することで成形体1における本体部11,12が得られる。。
【0042】
(バリ分離工程)
最後に、
図3に示されるように、バリ分離工程では、バリ13,14を2種類の樹脂材料21,22
ごとに分離する。具体的には、薄肉部132,142で、バリ13,14の主部131,141と根元部15とを分離する。ここで、バリ13,14は、
図3に示されるように、バリ除去工程における硬度と比べ、硬くなっているが、薄肉部132,142を設けているため、薄肉部132,142から容易に切り取ることができる。
【0043】
このような製造方法によって、異なる2種類の樹脂材料21,22で構成されるバリ13,14を再利用することができる成形体1を製造することができる。
【0044】
3.変形例
第3節では、成形体1に係る変形例について説明する。すなわち、下記のような態様によって成形体1を実施してもよい。
【0045】
吸引工程において、バリ13,14は、薄肉部132,142を形成する部位が薄肉部132,142でない主部131,141を形成する部位に比して薄肉に形成されるが、型締め後、薄肉部132,142の薄肉部分を破った後に、成形体1における本体部11,12を製造してもよい。
【0046】
薄肉部132,142は、コの字型又はU字型を有せずとも、最終的に薄肉になっていればよい。例えば、外部から押し潰して薄肉部132,142を形成してもよい。
【0047】
第1真空溝715,725から吸引するのではなく、第2真空溝716,726の間の部位を凹形状に賦形することで薄肉部132,142を形成してもよい。
【0048】
根元部15は、2種類の樹脂材料21,22のうち、どちらか一方(例えば、濃い色の方など)に再利用されればよい。
【0049】
根元部15が再利用できる場合においては、薄肉部132,142のうちどちらか一方が形成されていればよい。
【0050】
垂下工程において、カーペット等の表皮部材を、一対の金型71,72間に樹脂材料21,22に並列して垂下させ、一体溶着するように実施してもよい。
【0051】
4.結言
このように、異なる2種類の樹脂材料で構成されるバリを再利用することができる成形体、金型及び成形体の製造方法を提供することができる。
【0052】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記成形体において、前記薄肉部を形成する部位は、凹部を有するもの。
金型であって、第1面と、第2面とを備え、前記第1面は、前記成形体の本体部を成形する成形空間を規定するように構成され、前記第2面は、第1真空溝を備え、前記第1真空溝は、前記成形体の樹脂材料を吸引することで前記成形体のバリに薄肉部を形成するように構成され、ここで前記バリは、前記薄肉部を形成する部位が前記凹部でない主部を形成する部位に比して薄肉に形成されるもの。
前記金型において、前記第2面は、第2真空溝を備え、前記第2真空溝は、前記成形体の樹脂材料を吸引することで前記第1真空溝の両端に位置する前記主部を形成する部位を保持し、この両端よりも外側の部位が引き延ばされないように固定するように構成されるもの。
前記金型において、前記第1真空溝及び前記第2真空溝は、それぞれ異なる真空回路に接続されるもの。
一方側と他方側とで異なる2種類の樹脂材料で構成される成形体における本体部の製造方法であって、垂下工程と、吸引工程と、成形工程と、バリ除去工程と、バリ分離工程とを備え、前記垂下工程では、溶融状態の前記2種類の樹脂材料を、第1面と第2面とを備える一対の金型間に垂下させ、前記吸引工程では、前記2種類の樹脂材料を吸引することで、これらが前記第1面と前記第2面とに沿った形状に賦形されるとともに、前記第2面に設けられる第1真空溝によって、前記成形体のバリに薄肉部が形成され、ここで前記バリは、前記薄肉部を形成する部位が前記薄肉部でない主部を形成する部位に比して薄肉に形成され、前記成形工程では、前記一対の金型を閉じた後に開放することで、前記2種類の樹脂材料が前記本体部と前記バリとを備える前記成形体となり、前記バリ除去工程では、前記本体部から前記バリを除去することで前記成形体における前記本体部を製造し、前記バリ分離工程では、前記バリを前記2種類の樹脂材料ごとに分離する方法。
もちろん、この限りではない。
【0053】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 :成形体
3 :成形機
4 :樹脂供給装置
5 :Tダイ
7s :成形空間
11 :本体部
12 :本体部
13 :バリ
14 :バリ
21 :樹脂材料
22 :樹脂材料
41 :ホッパー
42 :押出機
43 :シリンダ
44 :アキュームレータ
45 :シリンダ
46 :ピストン
61 :連結管
62 :連結管
71 :金型
72 :金型
81 :第1真空回路
82 :第1真空回路
83 :第2真空回路
84 :第2真空回路
131 :主部
131a :主部
131b :主部
132 :凹部
141 :主部
141a :主部
141b :主部
142 :凹部
711 :キャビティ
712 :第1面
713 :ピンチオフ
714 :第2面
715 :第1真空溝
716 :第2真空溝
721 :キャビティ
722 :第1面
723 :ピンチオフ
724 :第2面
725 :第1真空溝
726 :第2真空溝
811 :第1真空吸引室
812 :第1吸引孔
821 :第1真空吸引室
822 :第1吸引孔
831 :第2真空吸引室
832 :第2吸引孔
833 :吸引孔
841 :第2真空吸引室
842 :第2吸引孔
843 :吸引孔
M1 :原料樹脂
M2 :発泡樹脂