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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】光源ユニットと分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
G01N21/01 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019233085
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101177
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 剛人
(72)【発明者】
【氏名】檀 浩一郎
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-097701(JP,A)
【文献】特開昭62-280638(JP,A)
【文献】特開2012-024794(JP,A)
【文献】特開2011-075433(JP,A)
【文献】特開2013-077768(JP,A)
【文献】特開2010-096631(JP,A)
【文献】再公表特許第2005/101590(JP,A1)
【文献】特許第2854641(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0016106(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B、G01C,G01D、G01F、G01G、G01H、G01J、G01K、G01L、G01M、G01N、G01P、G01Q、G01R、G01S、G01T、G01V、G01W
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源を保持する光源ホルダと、
前記光源ホルダが取り付けられる円筒状のユニット筐体と、
前記ユニット筐体の周方向の全周に亘って、前記ユニット筐体と前記光源ホルダとの間に配置される環状の弾性体と、
前記弾性体を前記光源ホルダに向けて押圧する複数の押圧部材と、
を有してなり、
複数の前記押圧部材は、前記周方向において、等角度間隔で配置され、
前記弾性体は、全ての前記押圧部材と前記光源ホルダとの間に配置され、
複数の前記押圧部材のいずれかにより前記弾性体の一部が押圧されたとき、前記光源ホルダは、前記ユニット筐体に対して、前記押圧部材が前記弾性体を押圧した方向に移動するように構成される、
ことを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記ユニット筐体は、
本体部と、
前記本体部を貫通する第1貫通孔と、
前記第1貫通孔の内側の空間と、前記ユニット筐体の外側の空間と、を連通させる複数の第2貫通孔と、
を備え、
前記光源ホルダの少なくとも一部は、前記第1貫通孔に配置され、
前記弾性体は、複数の前記第2貫通孔と、前記光源ホルダと、の間に配置され、
複数の前記押圧部材それぞれは、複数の前記第2貫通孔のうち、対応する前記第2貫通孔に配置される、
請求項1記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記光源からの前記光が入射する入射面を有するレンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダと、
を有してなり、
前記レンズホルダは、前記ユニット筐体内において、前記入射面が前記光源と対向するように前記第1貫通孔に配置され、
複数の前記押圧部材のいずれかにより前記弾性体の一部が押圧されたとき、前記光源は、前記入射面に対して、前記押圧部材が前記弾性体を押圧した方向に移動するように構成される、
請求項2記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記光源ホルダは、
一方の開口端部に前記光源が保持される円筒状のホルダ本体部と、
前記ホルダ本体部の他方の開口端部から、前記ホルダ本体部の径方向外方に突出するフランジ部と、
を備え、
前記ユニット筐体は、
前記第1貫通孔が開口し、前記第1貫通孔の貫通方向に対して垂直な開口面、
を備え、
前記ホルダ本体部は、前記第1貫通孔に配置され、
前記フランジ部は、前記開口面に当接する、
請求項2または3記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記光源ホルダを前記ユニット筐体に締結する締結部材、
を有してなり、
前記締結部材が締められたとき、前記光源ホルダは、複数の前記押圧部材により移動不可能であり、
前記締結部材が緩められたとき、前記光源ホルダは、複数の前記押圧部材により移動可能である、
請求項4記載の光源ユニット。
【請求項6】
対象物に向けて光を出射する請求項1記載の光源ユニットと、
前記対象物反射した前記光を受光する受光部と、
前記受光部に受光された前記光に基づいて、前記対象物に関する情報を取得する取得部と、
を有してなる、
ことを特徴とする分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニットと分析装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
油膜検知器や濁度計、ガス分析装置などの光学式の分析装置は、光源からの光を対象物(例えば、液面や煙など)に照射して、同対象物からの反射光に基づいて対象物の情報(油膜の有無や、濁りの度合、ガス濃度など)を取得する。光学式の分析装置は、対象物に向けて光を照射する光源ユニットと、対象物で反射した光を受光する受光部と、受光部からの信号に基づいて対象物の情報を取得・演算する取得部と、を有してなる。
【0003】
光学式の分析装置は、例えば、浄水場や河川、湖沼、用水路、煙道に設置される。光学式の分析装置は、出荷時又は設置時に光軸の調整を必要とする。一般的に、光軸の調整は、対象物に対する光源ユニットの角度や位置を調整することにより実行される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、ガス分析計のレーザ光出力部が煙道に取り付けられるときのレーザ光の光軸を調整可能とする技術である。レーザ光出力部は、レーザ光を出力する発光部と、煙道に対する発光部の角度・位置を調整する調整装置と、を備える。発光部は、光源であるレーザ素子と、レーザ素子からの光を平行光にする光学系と、を備える。発光部は、調整装置に接続される。
【0005】
調整装置は、煙道の固定フランジに対応する調整フランジを備える。調整フランジの固定フランジに対向する面は、端部周辺に所定の傾斜角度のテーパ面を備える円錐台状である。調整フランジは、複数のボルトとナットとにより固定フランジに固定される。調整フランジと固定フランジとの間には、Oリングが挟み込まれる。この構成によれば、各ボルトの締め付けとOリングの弾性力とにより、調整フランジの周方向におけるテーパ面と固定フランジとの間隔が調整される。すなわち、調整フランジは、固定フランジに対して、テーパ面の傾斜角度の範囲内で傾斜可能である。その結果、発光部のレーザ光の光軸の角度は、テーパ面の傾斜角度の範囲内で調整可能である。
【0006】
特許文献2に開示された技術は、光走査装置のレーザ光の光軸を調整可能とする技術である。光走査装置は、レーザ光を出力する光源と、光源からのレーザ光を平行光にするレンズと、を保持するホルダと、ホルダが取り付けられる基台と、基台に対するホルダの角度を調整する弾性材と、を有してなる。
【0007】
ホルダは、基台のボスと、弾性材と、により、基台に支持される。ボスは光源の下方に配置され、弾性材はレンズの下方に配置される。ホルダは、ボスと弾性材との中間であって、ホルダを挟むような位置に配置される2つのボルトで基台に固定される。そのため、2つのボルトの締め付けで弾性材の変形量を調整することにより、ホルダの向きは、ボスを支点として変化する。その結果、基台に対するホルダ(平行光)の向きは、弾性材の変形の範囲内で調整可能である。
【0008】
このように、特許文献1,2に開示された技術は、光源とレンズとを備える光源ユニットの向きを調整することにより、光源(レンズからの平行光)の光軸を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-122702号公報
【文献】特開平10-70340号公報
【0010】
ここで、光学式の分析装置において、光源ユニットは、メンテナンスなどにおいて交換される消耗品である。そのため、光源ユニットは、精密な光軸の調整が施された状態で出荷される。光源ユニットは、組み立てた状態で、分析装置に対する光軸が合うように設計される。しかし、光源ユニットを構成する各部品の寸法は、その製造時の機械誤差で公差の範囲内で変動する。そのため、通常、光源ユニットの組み立て時には、光軸の調整が必要となる。
【0011】
一般的に、光源ユニットにおける光軸の調整では、光軸の中心の調整と、光源とレンズとの間の距離の調整と、が同時に実行される。2つの調整は、例えば、光源ユニットの製造者の手作業で実行される。特に、光軸の中心の調整には、光源ユニットを構成する各部品の公差を利用した極めて微小な変位の調整が必要であり、手作業で調整するには熟練した技能が必要である。そのため、光源ユニットの製造には時間がかかり、光源ユニットの製造コストは大きい。
【0012】
一方、前述の特許文献1,2に開示された技術を光源ユニットの光軸の調整に適用することにより、光源ユニットの光軸の調整は、容易になり得る。しかしながら、光源ユニットは、特許文献1のレーザ光出力部や特許文献2の基台よりも小型である。そのため、同技術は、光源ユニットに直接適用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、容易に光軸の調整が可能な光源ユニットと分析装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、光を出射する光源と、光源を保持する光源ホルダと、光源ホルダが取り付けられるユニット筐体と、ユニット筐体と光源ホルダとの間に配置される弾性体と、弾性体を光源ホルダに向けて押圧する複数の押圧部材と、を有してなり、複数の押圧部材のいずれかにより弾性体の一部が押圧されたとき、光源ホルダは、ユニット筐体に対して、押圧部材が弾性体を押圧した方向に移動するように構成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容易に光軸の調整が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかる分析装置の実施の形態を示す構成図である。
図2】本発明にかかる光源ユニットの実施の形態を示す斜視図である。
図3図2の光源ユニットのA矢視図である。
図4図3の光源ユニットのBB線における断面図である。
図5図3の光源ユニットのBB線における分解断面図である。
図6】(a)図2の光源ユニットが備える第1光源ホルダの背面図であり、(b)第1光源ホルダの(a)のCC線における断面図である。
図7】(a)図2の光源ユニットが備える第2光源ホルダの背面図であり、(b)第2光源ホルダの(a)のDD線における断面図である。
図8】(a)図2の光源ユニットが備えるユニット筐体の背面図であり、(b)ユニット筐体の(a)のEE線における断面図である。
図9図4の光源ユニットが備えるユニット筐体と押圧部材それぞれのFF線における断面図である。
図10図2の光源ユニットの光軸の調整前後における光の状態を示す模式図である。
図11】(a)光軸が中心線上に有る状態の光源ユニットの図4のFF線における断面図であり、(b)X軸において光軸が移動した状態の同断面図であり、(c)Y軸において光軸が移動した状態の同断面図であり、(d)X軸とY軸それぞれにおいて光軸が移動した状態の同断面図である。
図12】本発明にかかる光源ユニットの変形例を示す模式断面図である。
図13】本発明にかかる光源ユニットの別の変形例を示す模式断面図である。
図14】本発明にかかる光源ユニットのさらに別の変形例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる光源ユニットと分析装置との実施の形態について説明する。
【0018】
以下に説明する実施の形態は、被検知面に光を反射させて被検知面上の油膜の有無を検知する油膜検知器を本発明にかかる分析装置の例として、本発明の内容について説明する。「被検知面」は、例えば、浄水場や河川、湖沼、用水路などの液面である。液面は、本発明における対象物の例である。
【0019】
●分析装置●
●分析装置の構成
先ず、本発明にかかる分析装置(以下「本装置」という。)について説明する。
【0020】
図1は、本装置の実施の形態を示す構成図である。
【0021】
本装置100は、液面W上の油膜の有無を検知する。本装置100は、光源部1と、放物面鏡2と、受光部3と、制御部4と、記憶部5と、操作表示部6と、出力部7と、を有してなる。
【0022】
光源部1は、液面W上の所定の領域を走査するように(なぞるように)、液面Wに光を照射する。光源部1は、光源ユニット10とスキャナ20と駆動回路30とを備える。
【0023】
光源ユニット10は、光を出射する。光源ユニット10の具体的な構成は、後述する。
【0024】
スキャナ20は、光源ユニット10から出射された光を、液面W上の所定の領域を二次元的に走査するように導く。
【0025】
駆動回路30は、後述する光源11(図4参照)に所定の電圧の電力を供給する電力制御回路である。
【0026】
放物面鏡2は、液面Wで反射した光源部1からの光(以下「反射光」という。)を受光部3に集光する。放物面鏡2は、通過孔2hを備える。放物面鏡2は、光源部1から液面Wまでの間の光路上に配置される。光源部1からの光は、通過孔2hを通過する。
【0027】
なお、本発明における放物面鏡は、光源部から液面までの光を避けるように、配置されてもよい。この場合、本発明における放物面鏡は、通過孔を備えなくてもよい。
【0028】
受光部3は、放物面鏡2により集光された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた信号(以下「受光信号」という。)を出力する。受光部3は、例えば、フォトダイオードである。受光部3からの受光信号は、制御部4に出力される。
【0029】
制御部4は、本装置100全体の動作を制御すると共に、液面Wに関する情報(以下「液面情報」という。)を取得する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリと、により構成される。制御部4は、本発明における取得部の例である。
【0030】
「液面情報」は、例えば、反射光の強度や、液面Wの反射率、液面W上の油膜の有無、などの情報である。液面情報は、本発明における対象物に関する情報の例である。制御部4は、受光信号に基づいて反射光の強度を算出すると共に、反射光の強度に基づいて液面Wの反射率を算出する。また、制御部4は、例えば、算出した光量と、所定の閾値と、を比較して、光量が閾値を超えたときに液面W上に油膜が有ると判定する。所定の閾値は、例えば、ROMや記憶部5に予め記憶されている。液面情報は、記憶部5に記憶されると共に、操作表示部6と出力部7とに出力される。
【0031】
記憶部5は、液面情報を記憶すると共に、制御部4の処理に必要な情報を記憶する。記憶部5は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカードなどのフラッシュメモリである。
【0032】
操作表示部6は、本装置100の使用者に対して光量や判定結果を表示すると共に、使用者による設定変更などの操作を受け付ける。操作表示部6は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル式のディスプレイである。
【0033】
出力部7は、例えば、監視室などの外部に、光量や判定結果を出力する。出力部7は、例えば、伝送出力、接点出力を含む有線または無線式の通信モジュールである。
【0034】
●光源ユニット●
●光源ユニットの構成
次に、本発明にかかる光源ユニット(光源ユニット10)について説明する。
【0035】
図2は、光源ユニット10の実施の形態を示す斜視図である。
図3は、光源ユニット10の図2のA矢視図である。
図4は、光源ユニット10の図3のBB線における断面図である。
図5は、光源ユニット10の図3のBB線における分解断面図である。
【0036】
以下の説明において、「前方」は、光源ユニット10からの光が出射される方向(図4の紙面右方向)である。「後方」は、前方の反対側の方向(図4の紙面左方向)である。
【0037】
光源ユニット10は、光源11と、光源ホルダ12と、弾性体13と、ユニット筐体14と、レンズ15と、レンズホルダ16と、押圧部材17と、締結部材18と、を備える。
【0038】
光源11は、光を出射する。光源11は、例えば、レーザダイオードである。
【0039】
光源ホルダ12は、光源11を保持する。光源ホルダ12は、第1光源ホルダ121と第2光源ホルダ122とを備える。
【0040】
図6(a)は第1光源ホルダ121の背面図であり、(b)は第1光源ホルダ121の(a)のCC線における断面図である。
【0041】
第1光源ホルダ121は、第1本体部121aと第1フランジ部121bとを備える。第1光源ホルダ121は、例えば、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製である。
【0042】
第1本体部121aは、前端と後端とに開口を有する円筒状である。第1本体部121aは、光源11(図4参照)へ電力を供給するケーブル(不図示)が挿通されるケーブル挿通孔121ahを備える。ケーブル挿通孔121ahは、第1本体部121aを第1本体部121aの軸方向(前後方向)に貫通する。第1本体部121aの後端部は、第1本体部121aの径方向外方に向けて突出して、リング板状の第1フランジ部121bを構成する。
【0043】
第1フランジ部121bは、4つの第1ねじ挿通孔121bh1,121bh2,121bh3,121bh4を備える。第1ねじ挿通孔121bh1-121bh4は、第1フランジ部121bを前後方向に貫通する。第1フランジ部121bの周方向において、第1ねじ挿通孔121bh1,121bh2は180°間隔で第1フランジ部121bに配置され、第1ねじ挿通孔121bh3,121bh4は180°間隔で第1フランジ部121bに配置される。
【0044】
図7(a)は第2光源ホルダ122の背面図であり、(b)は第2光源ホルダ122の(a)のDD線における断面図である。
【0045】
第2光源ホルダ122は、第2本体部122aと第2フランジ部122bとを備える。第2光源ホルダ122は、例えば、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製である。
【0046】
第2本体部122aは、前端と後端とに開口を有する円筒状である。第2本体部122aは、第1本体部121a(図4図6参照)が挿入されるホルダ挿入孔122ahと、光源11(図4参照)が保持される光源保持部122aaと、を備える。第2本体部122aは、本発明におけるホルダ本体部の例である。ホルダ挿入孔122ahは、第2本体部122aを第2本体部122aの軸方向(前後方向)に貫通する。第2本体部122aの前端部の内周面は、階段状に縮径されて光源保持部122aaを構成する。第2本体部122aの後端部は、第2本体部122aの径方向外方に向けて突出して、リング板状の第2フランジ部122bを構成する。第2本体部122aの前端部は本発明における一方の開口端部の例であり、同後端部は本発明における他方の開口端部の例である。
【0047】
第2フランジ部122bは、2つの第2ねじ挿通孔122bh1,122bh2と、2つの雌ねじ孔122bh3,122bh4と、を備える。第2ねじ挿通孔122bh1,122bh2と雌ねじ孔122bh3,122bh4とは、第2フランジ部122bに配置され、第2フランジ部122bを前後方向に貫通する。第2ねじ挿通孔122bh1,122bh2は、第1ねじ挿通孔121bh1,121bh2(図6参照)に対応する位置に配置される。雌ねじ孔122bh3,122bh4は、第1ねじ挿通孔121bh3,121bh4(図6参照)に対応する位置に配置される。
【0048】
図4図5とに戻る。
弾性体13は、光源ホルダ12とユニット筐体14との間の緩衝材であると共に、ユニット筐体14に対する光源ホルダ12の位置を調整する。弾性体13は、例えば、シリコン樹脂製の環状のOリングである。弾性体13の外径は第2本体部122aの外径より大きく、弾性体13の内径は第2本体部122aの外径より小さい。後述するとおり、弾性体13は、光源ホルダ12とユニット筐体14との間に配置される。
【0049】
なお、本発明における弾性体は、シリコン樹脂製に限定されない。すなわち、例えば、本発明における弾性体は、ネオプレンゴムや、バイトン(登録商標)ゴム、ニトリルゴムなどの合成樹脂製でもよい。
【0050】
図8(a)はユニット筐体14の背面図であり、(b)はユニット筐体14の(a)のEE線における断面図である。
【0051】
ユニット筐体14は、光源ホルダ12(図5参照)とレンズホルダ16(図5参照)とを保持する。ユニット筐体14は、本体部141と、フランジ部142と、2つの締結孔14h1,14h2と、を備える。ユニット筐体14は、例えば、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製である。
【0052】
本体部141は、前端と後端とに開口を有する円筒状である。本体部141は、ホルダ保持孔141hと、溝部141aと、雌ねじ部141bと、4つの雌ねじ孔141h1,141h2,141h3,141h4と、を備える。ホルダ保持孔141hは、本体部141を本体部141の軸方向(前後方向)に貫通する。ホルダ保持孔141hは、本発明における第1貫通孔である。ホルダ保持孔141hの後半部は、光源ホルダ12(図5参照)が保持される第1ホルダ保持孔141haを構成する。一方、ホルダ保持孔141hの前半部は、レンズホルダ16(図5参照)が保持される第2ホルダ保持孔141hbを構成する。第1ホルダ保持孔141haの内径は、第1ホルダ保持孔141haと第2本体部122a(図5参照)との間に後述する隙間G(図4参照)が形成される程度に、第2本体部122aの外径よりも大きく設定される。第2ホルダ保持孔141hbの後半部の内径は、同前半部の内径よりも大きい。
【0053】
溝部141aは、弾性体13(図5参照)が嵌め込まれる溝である。溝部141aは、リング状で、前後方向における断面視において矩形状である。溝部141aの幅(前後方向の長さ)と深さ(本体部141の径方向の長さ)とは、弾性体13の大きさにより定まる。溝部141aは、第1ホルダ保持孔141haの前部の内周面(ホルダ保持孔141hの内周面)に、本体部141の周方向に沿って配置される。
【0054】
雌ねじ部141bは、後述する第2レンズホルダ162の雄ねじ部162b(図9参照)に対応する雌ねじが形成された面である。雌ねじ部141bは、第2ホルダ保持孔141hbの後半部の内周面(ホルダ保持孔141hの内周面)に配置される。
【0055】
図9は、図4のユニット筐体14と押圧部材17それぞれのFF線における断面図である。
同図は、説明の便宜上、光源11と光源ホルダ12と弾性体13とレンズ15それぞれの図示を省略する。
【0056】
雌ねじ孔141h1-141h4は、押圧部材17に対応する雌ねじが形成された貫通孔である。雌ねじ孔141h1-141h4は、本発明における第2貫通孔である。雌ねじ孔141h1-141h4それぞれは、本体部141を本体部141の径方向に貫通する。すなわち、雌ねじ孔141h1の中心を通る中心線X11は、ホルダ保持孔141hの中心を通る中心線X1に直交する。同様に、雌ねじ孔141h2の中心を通る中心線X12は、中心線X1に直交する。雌ねじ孔141h3の中心を通る中心線X13は、中心線X1に直交する。雌ねじ孔141h4の中心を通る中心線X14は、中心線X1に直交する。
【0057】
雌ねじ孔141h1-141h4それぞれは、本体部141の周方向において90度間隔で本体部141に配置される。換言すれば、雌ねじ孔141h1-141h4は、中心線X1を中心とした円周方向において、90度間隔で本体部141に配置される。雌ねじ孔141h1-141h4は、前後方向において、溝部141aと同じ位置に配置される。すなわち、雌ねじ孔141h1-141h4は、溝部141aを介して、ホルダ保持孔141hの内側の空間と、本体部141の外側の空間と、を連通させる。
【0058】
図5図8とに戻る。
本体部141の後端部は、本体部141の径方向外方に突出して、リング板状のフランジ部142を構成する。フランジ部142は、3つの取付孔142h1,142h2,142h3を備える。取付孔142h1-142h3は、フランジ部142を前後方向に貫通する。取付孔142h1-142h3それぞれは、フランジ部142の周方向において、等角度間隔(本実施の形態では120度間隔)でフランジ部142に配置される。
【0059】
締結孔14h1,14h2は、後述する第1締結部材181,182がねじ込まれる孔である。締結孔14h1,14h2は、ユニット筐体14の後面14aであって、第2ねじ挿通孔122bh1,122bh2(図7参照)に対応する位置に配置される。ここで、ユニット筐体14の後面14aは、中心線X1(ホルダ保持孔141hの貫通方向)に対して直交する平面である。後面14aには、ホルダ保持孔141hが開口する。後面14aは、本発明における開口面の例である。
【0060】
図4図5とに戻る。
レンズ15は、光源11からの光を平行光にして出射する。レンズ15は、例えば、ガラス製のコリメータレンズである。レンズ15は、正面視において円形で、平面状の入射面15aと、凸面状の出射面15bと、を有する。
【0061】
なお、本発明におけるレンズは、ガラス製に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるレンズは、アクリルなどの合成樹脂製でもよい。
【0062】
「平行光」は、例えば、レンズ15から液面W(図1参照)までの光路において、上流側(レンズ15から出射直後)の光と下流側(液面Wに入射直前)の光それぞれの横断面積が同じ、あるいは、略同じである光をいう。
【0063】
レンズホルダ16は、レンズ15を保持する。レンズホルダ16は、第1レンズホルダ161と第2レンズホルダ162とを備える。
【0064】
第1レンズホルダ161は、前端と後端とに開口を有する円筒状である。第1レンズホルダ161は、例えば、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製である。第1レンズホルダ161は、光通過孔161hと、雄ねじ部161aと、を備える。光通過孔161hは、第1レンズホルダ161を第1レンズホルダ161の軸方向(前後方向)に貫通する。第1レンズホルダ161の後端部の外周面は、第1レンズホルダ161の径方向外方に突出して、雄ねじ部161aを構成する。雄ねじ部161aは、後述する雌ねじ部162cに対応する雄ねじが形成された面である。
【0065】
第2レンズホルダ162は、前端と後端とに開口を有する円筒状である。第2レンズホルダ162は、例えば、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製である。第2レンズホルダ162の外周面は、前部・中部・後部の順に拡径される。第2レンズホルダ162は、第1レンズホルダ161が挿入されるホルダ挿入孔162hと、レンズ15が保持されるレンズ保持部162aと、雄ねじ部162bと、雌ねじ部162cと、を備える。ホルダ挿入孔162hは、第2レンズホルダ162を第2レンズホルダ162の軸方向(前後方向)に貫通する。雄ねじ部162bは、雌ねじ部141bに対応する雄ねじが形成された面である。雄ねじ部162bは、第2レンズホルダ162の中部の外周面に配置される。ホルダ挿入孔162hの後端部の内周面は、縮径されてレンズ保持部162aを構成する。ホルダ挿入孔162hの前部の内周面は、拡径されて雌ねじ部162cを構成する。雌ねじ部162cは、雄ねじ部161aに対応する雌ねじが形成された面である。
【0066】
図5図9とに戻る。
押圧部材17は、弾性体13を光源ホルダ12(第2光源ホルダ122)に向けて押圧する。押圧部材17は、例えば、ステンレススチール製の止めねじ(すなわち、雄ねじ)である。押圧部材17は、ユニット筐体14の4つの雌ねじ孔141h1-141h4それぞれに対応する4つの調整ねじ171,172,173,174を含む。調整ねじ171-174それぞれは、対応する雌ねじ孔141h1-141h4に配置される。すなわち、調整ねじ171は雌ねじ孔141h1に、調整ねじ172は雌ねじ孔141h2に、調整ねじ173は雌ねじ孔141h3に、調整ねじ174は雌ねじ孔141h4に、それぞれ配置される(ねじ込まれる)。
【0067】
図3図5とに戻る。
締結部材18は、光源ホルダ12をユニット筐体14に締結すると共に、第1光源ホルダ121を第2光源ホルダ122に締結する。締結部材18は、例えば、ステンレススチール製のねじである。締結部材18は、2つの第1締結部材181,182と、2つの第2締結部材183,184と、を含む。第1締結部材181,182は、光源ホルダ12をユニット筐体14に締結する。第2締結部材183,184は、第1光源ホルダ121を第2光源ホルダ122に締結する。
【0068】
●光源ユニットの組み立て
次に、図4図9を参照しながら、光源ユニット10の組み立てについて説明する。
【0069】
先ず、光源11は、出射面を前方に向けた状態で、第2光源ホルダ122のホルダ挿入孔122ahに挿入され、光源保持部122aaに配置される。次いで、第1光源ホルダ121の第1本体部121aがホルダ挿入孔122ahに挿入される。このとき、第1本体部121aの前端は、光源11に当接する。次いで、第2締結部材183が、第1ねじ挿通孔121bh3に挿通されて、雌ねじ孔122bh3にねじ込まれる。また第2締結部材184が、第1ねじ挿通孔121bh4に挿通されて、雌ねじ孔122bh4にねじ込まれる。その結果、第1光源ホルダ121は第2光源ホルダ122に締結(固定)される。また、光源11は、第1光源ホルダ121と第2光源ホルダ122とに挟持される。光源11へ電力を供給するケーブルは、ケーブル挿通孔121ahに挿通される。
【0070】
このように、光源11は、第1光源ホルダ121と第2光源ホルダ122とに挟持されることで、接着剤を用いることなく光源ホルダ12に保持される。そのため、光源11は、第2締結部材183,184の締結が解除されるだけで、容易に交換できる。
【0071】
次に、レンズ15は、入射面15aを後方に向けた状態で、第2レンズホルダ162のホルダ挿入孔162hに挿入され、レンズ保持部162aに配置される。次いで、第1レンズホルダ161がホルダ挿入孔162hに挿入される。次いで、第1レンズホルダ161の雄ねじ部161aは、第1レンズホルダ161の後端がレンズ15に当接するまで、第2レンズホルダ162の雌ねじ部162cにねじ込まれる。その結果、レンズ15は、第1レンズホルダ161と第2レンズホルダ162とに挟持される。第1レンズホルダ161は、例えば、止めねじ(不図示)により、第2レンズホルダ162に固定される。
【0072】
このように、レンズ15は、第1レンズホルダ161と第2レンズホルダ162とに挟持されることで、接着剤を用いることなくレンズホルダ16に保持される。そのため、レンズ15は、第1レンズホルダ161が第2レンズホルダ162から取り外されるだけで、容易に交換できる。
【0073】
次いで、弾性体13が、ユニット筐体14の第1ホルダ保持孔141haに挿入され、溝部141aに嵌め込まれる。このとき、弾性体13の内周面部を除く部分は、溝部141aに配置され、弾性体13の内周面部は、第1ホルダ保持孔141haの内周面よりも内側に突出する。
【0074】
次いで、光源11を保持した光源ホルダ12が、第1ホルダ保持孔141haに挿入される。すなわち、第2光源ホルダ122の第2本体部122aは、第1ホルダ保持孔141haに挿入され、第1ホルダ保持孔141ha内に配置される。第2光源ホルダ122の第2フランジ部122bは、ユニット筐体14の後面14aに当接する。弾性体13の内周面部は、第2本体部122aにより、弾性体13の径方向外方に押圧される。その結果、弾性体13は、雌ねじ孔141h1-141h4と第2光源ホルダ122との間、すなわち、光源ホルダ12とユニット筐体14との間に配置される。また、第2本体部122aの外周面と第1ホルダ保持孔141haの内周面との間には、隙間Gが形成される。
【0075】
前後方向において、溝部141aは、光源保持部122aaの後端と略同じ位置に配置される。前述のとおり、弾性体13は、溝部141aに配置される。したがって、前後方向において、弾性体13の一部は、光源11と同じ位置に配置される。換言すれば、前後方向において、弾性体13は、光源11と略同じ位置に配置される。
【0076】
次いで、各調整ねじ171-174は、対応する雌ねじ孔141h1-141h4にねじ込まれる。その結果、各調整ねじ171-174は、対応する雌ねじ孔141h1-141h4内に配置される。
【0077】
次いで、第1締結部材181は、第1光源ホルダ121の第1ねじ挿通孔121bh1と第2光源ホルダ122の第2ねじ挿通孔122bh1とに挿通され、ユニット筐体14の締結孔14h1にねじ込まれる。また、第1締結部材182は、第1ねじ挿通孔121bh2と第2ねじ挿通孔122bh2とに挿通され、締結孔14h2にねじ込まれる。その結果、光源ホルダ12は、第1締結部材181,182により、ユニット筐体14に締結(固定)される。このように、光源ホルダ12は、ユニット筐体14に取り付けられる。ここで、第1ねじ挿通孔121bh1,121bh2と第2ねじ挿通孔122bh1,122bh2それぞれの内周面と、第1締結部材181,182と、の間には、隙間Gと略同じ間隔を有する隙間が形成される。
【0078】
次いで、レンズ15を保持したレンズホルダ16が、ユニット筐体14の第2ホルダ保持孔141hbに挿入される。次いで、第2レンズホルダ162の雄ねじ部162bは、ユニット筐体14の雌ねじ部141bにねじ込まれる。このとき、レンズホルダ16は、ユニット筐体14の内側において、レンズ15の入射面15aが光源11と対向するように、第2ホルダ保持孔141hbに配置される。光源11とレンズ15との間の間隔は、雌ねじ部141bに対する雄ねじ部162bのねじ込み量が変更されることにより、変更可能である。レンズホルダ16は、例えば、止めねじ(不図示)により、ユニット筐体14に固定される。
【0079】
●光源ユニットの光軸の調整
次いで、図3図5図9とを参照しながら、光源ユニット10の光軸の調整について、説明する。
【0080】
「光軸の調整」は、光軸の中心の調整、すなわち、レンズ15の中心に対して、光源11からの光の光軸の中心(光源11の中心)を合わせ込む調整である。本実施の形態において、光軸の調整は、4つの調整ねじ171-174により弾性体13の一部を押圧して、ユニット筐体14に対する光源ホルダ12の位置を動かすことにより、実現される。
【0081】
図10は、光軸の調整前後におけるレンズ15からの光の状態を示す模式図である。
同図は、光軸の調整前の状態を破線で、光軸の調整後の状態を実線で、それぞれ示す。図10に示されるとおり、光軸の調整前のレンズ15からの光は、中心線X1に対して所定の角度、傾斜した方向に出射される。一方、光軸の調整後のレンズ15からの光は、中心線X1に沿う方向に出射される。
【0082】
先ず、光軸の調整の前準備として、第1締結部材181,182が緩められる。このとき、光源ホルダ12は、弾性体13によりユニット筐体14に仮止めされている状態である。そのため、光源ホルダ12に外力が加えられない限り、光源ホルダ12は、ユニット筐体14に対して移動しない。このとき、光源ホルダ12は、調整ねじ171-174により移動可能な状態である。光源ホルダ12の第2フランジ部122bは、ユニット筐体14の後面14aに当接している。
【0083】
以下の説明において、「X軸」は、雌ねじ孔141h2の中心線X12(雌ねじ孔141h4の中心線X14)を通る仮想軸である。すなわち、X軸は、ホルダ保持孔141hの中心線X1に直交する。説明の便宜上、中心線X1に対して、雌ねじ孔141h2側を+X方向、雌ねじ孔141h4側を-X方向とする。
【0084】
また、以下の説明において、「Y軸」は、雌ねじ孔141h1の中心線X11(雌ねじ孔141h3の中心線X13)を通る仮想軸である。すなわち、Y軸は、中心線X1とX軸それぞれと直交する。説明の便宜上、中心線X1に対して、雌ねじ孔141h1側を+Y方向、雌ねじ孔141h3側を-Y方向とする。
【0085】
図11(a)は光軸が中心線X1上に有る状態の光源ユニット10の図4のFF線における断面図であり、(b)はX軸において光軸が移動した状態の光源ユニット10の同断面図であり、(c)はY軸において光軸が移動した後の光源ユニット10の同断面図であり、(d)はX軸とY軸それぞれにおいて光軸が移動した後の光源ユニット10の同断面図である。
【0086】
図11(a)に示される状態から調整ねじ172が-X方向に締め付けられると、調整ねじ172は、弾性体13を-X方向に向けて押圧する。このとき、弾性体13は、X軸上に配置されている部分を中心に圧縮される。その結果、光源ホルダ12は、図11(b)に示されるとおり、ユニット筐体14に対して、-X方向に移動する。すなわち、光源11の中心は、レンズ15(図5参照)に対して-X方向に移動する。反対に、図11(b)に示される状態から調整ねじ172が+X方向に緩められると、光源ホルダ12は、弾性体13の弾性力(復元力)により、図11(a)に示される状態に戻る。すなわち、光源ホルダ12は、図11(b)に示される状態から+X方向に移動する。同様に、調整ねじ174が+X方向に締め付けられると、光源ホルダ12は、ユニット筐体14に対して、+X方向に移動する。光源ホルダ12は、隙間Gの範囲内、すなわち、第1本体部121aの外周面がユニット筐体14の第1ホルダ保持孔141haの内周面に当接するまでの範囲内で移動可能である。
【0087】
図11(a)に示される状態から調整ねじ171が-Y方向に締め付けられると、調整ねじ171は、弾性体13を-Y方向に向けて押圧する。このとき、弾性体13は、Y軸上に配置されている部分を中心に圧縮される。その結果、光源ホルダ12は、図11(c)に示されるとおり、ユニット筐体14に対して、-Y方向に移動する。すなわち、光源11の中心は、レンズ15に対して-Y方向に移動する。反対に、図11(c)に示される状態から調整ねじ171が+Y方向に緩められると、光源ホルダ12は、弾性体13の弾性力(復元力)により、図11(a)に示される状態に戻る。すなわち、光源ホルダ12は、図11(c)に示される状態から+Y方向に移動する。同様に、調整ねじ173が+Y方向に締め付けられると、光源ホルダ12は、ユニット筐体14に対して、+Y方向に移動する。
【0088】
図11(a)に示される状態から調整ねじ171,172が締め付けられると、調整ねじ171,172は、弾性体13を-XY方向に向けて押圧する。その結果、光源ホルダ12は、図11(d)に示されるとおり、ユニット筐体14に対して、-XY方向に移動する。すなわち、光源11の中心は、レンズ15に対して-XY方向に移動する。反対に、図11(d)に示される状態から調整ねじ171,172が緩められると、光源ホルダ12は、弾性体13の弾性力により、図11(a)に示される状態に戻る。すなわち、光源ホルダ12は、図11(d)に示される状態から+XY方向に移動する。
【0089】
このように、調整ねじ171-174の締め付け量を調整することで、光源ホルダ12(光源11)は、隙間Gの範囲内において、調整ねじ171-174が弾性体13を押圧した方向に移動できる。そのため、光源ユニット10は、調整ねじ171-174の締め付け量を調整することで、光源11の光軸の調整を容易に実行できる。
【0090】
また、前述のとおり、前後方向において、弾性体13の一部は、光源11と同じ位置に配置される。そのため、調整ねじ171-174は、光源11を真横から押すように移動させ得る。
【0091】
光軸の調整後においても、光源ホルダ12は、弾性体13によりユニット筐体14に仮止めされている状態である。そのため、第1締結部材181,182が緩められている状態であっても、光源ホルダ12は、光軸の調整後の位置でユニット筐体14に仮止めされている。この状態において、第1締結部材181,182が締め付けられることで、光源ホルダ12は、光軸の調整後の位置でユニット筐体14に締結(固定)される。このとき、光源ホルダ12は、調整ねじ171-174により移動不可能な状態となる。
【0092】
このように、光源ユニット10では、光源11(光軸)の移動に使用されるねじ(調整ねじ171-174)は、光源11(光軸)の固定に使用されるねじ(第1締結部材181,182)と、異なる。そのため、光軸の調整後に、第1締結部材181,182で光源11の位置を固定しても、光源11の位置は光軸の調整後の位置から変化し難い。すなわち、光源ユニット10は、極めて容易、かつ、確実な光軸の調整を可能とする。また、仮に経年劣化などにより弾性体13が劣化・破損しても、光源11の位置は、光軸の調整後の位置から変化しない。この場合、弾性体13を交換するだけで、光源ユニット10は、常に容易かつ確実な光軸の調整を可能とする。
【0093】
ここで、前述のとおり、第2フランジ部122bは、ユニット筐体14の後面14aに当接している。そのため、第1締結部材181,182が、同当接を維持し、かつ、光源ホルダ12がユニット筐体14に対して移動可能な程度に緩められることで、第2フランジ部122bは、ユニット筐体14の後面14a上を摺動可能である。その結果、光源ホルダ12は、中心線X1に対して平行に(中心線X1に直交する方向に)移動可能である。すなわち、光源ユニット10では、光源11は、ユニット筐体14に対して傾斜することなく、平行に移動できる。
【0094】
また、ユニット筐体14の雌ねじ部141bに対するレンズホルダ16の雄ねじ部162bの締め付け量を調整することで、光源11とレンズ15との間の距離は、容易に調整できる。すなわち、雄ねじ部162bの締め付け量を増す(締め付ける)と同距離は短くなり、雄ねじ部162bの締め付け量を減ずる(緩める)と同距離は長くなる。レンズ15の焦点距離に光源11が位置するように雄ねじ部162bの締め付け量を調整することで、レンズ15から出射される光は、平行光となる。
【0095】
このように、光源ユニット10では、光軸の調整と焦点距離(光源11とレンズ15との間の距離)の調整とが、略同時に容易に実行できる。
【0096】
前述したとおり光軸が調整された光源ユニット10は、例えば、取付孔142h1,142h2,142h3に挿通されるボルト(不図示)で、本装置100に取り付けられる。その結果、本装置100において、光軸の調整は、略不要となる。
【0097】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、光源ユニット10は、光源ホルダ12とユニット筐体14との間に配置される弾性体13と、弾性体13を光源ホルダ12に向けて押圧する調整ねじ171-174と、を備える。調整ねじ171-174のいずれかにより弾性体13の一部が押圧されたとき、光源ホルダ12は、ユニット筐体14に対して、調整ねじ171-174が弾性体13を押圧した方向に移動する。この構成によれば、光源ユニット10は、調整ねじ171-174の締め付け量を調整することで、光源11の光軸の位置を容易に移動できる。したがって、例えば、光源ユニット10の使用者や製造者(以下「使用者等」という。)は、容易に光軸の調整を実行できる。
【0098】
また、以上説明した実施の形態によれば、第2光源ホルダ122の第2本体部122aは、ホルダ保持孔141hに配置される。弾性体13は、雌ねじ孔141h1-141h4と第2本体部122aとの間に配置される。複数の調整ねじ171-174それぞれは、対応する雌ねじ孔141h1-141h4に配置される。この構成によれば、使用者等は、調整ねじ171-174の締め付け量を調整することで、光源11の光軸の位置を容易に移動できる。したがって、使用者等は、容易に、光源ユニット10の光軸の調整を実行できる。
【0099】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、光源ユニット10は、レンズ15を保持するレンズホルダ16を備える。レンズホルダ16は、ユニット筐体14内において、入射面15aが光源11と対向するようにホルダ保持孔141hに配置される。調整ねじ171-174のいずれかにより弾性体13の一部が押圧されたとき、光源11の光軸は、入射面15aに対して、調整ねじ171-174が弾性体13を押圧した方向に移動する。この構成によれば、使用者等は、調整ねじ171-174の締め付け量を調整することで、光源ユニット10の光軸の調整を容易に実行できる。
【0100】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、光源ホルダ12は、第2フランジ部122bを備える。ユニット筐体14は、ホルダ保持孔141hの貫通方向に対して垂直な後面14aを備える。光源ホルダ12の第2本体部122aはホルダ保持孔141hに配置され、第2フランジ部122bは、後面14aに当接する。この構成によれば、第2フランジ部122bを後面14a上で摺動させることで、光源11は、後面14aに沿って中心線X1に平行に移動できる。
【0101】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、光源ユニット10は、光源ホルダ12をユニット筐体14に締結する第1締結部材181,182を備える。第1締結部材181,182が締められたとき、光源ホルダ12は、調整ねじ171-174により移動不可能である。一方、調整ねじ171-174が緩められたとき、光源ホルダ12は、調整ねじ171-174により移動可能である。この構成によれば、光軸の調整後に、第1締結部材181,182で光源11の位置を固定しても、光源11の位置は、光軸の調整後の位置から変化し難い。すなわち、使用者等は、極めて容易、かつ、確実に光源ユニット10の光軸の調整を実行できる。
【0102】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、雌ねじ孔141h1-141h4の中心線X11-X14は、ホルダ保持孔141hの中心線X1と直交する。この構成によれば、光源11(光源ホルダ12)は、ユニット筐体14に対して、調整ねじ171-174が弾性体13を押圧した方向に確実に移動できる。また、光源11は、中心線X1に直交する方向に対して平行に移動できる。
【0103】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、雌ねじ孔141h1-141h4のうち、少なくとも2つは、中心線X1を中心とする円周方向において、90度間隔でユニット筐体14に配置される。この構成によれば、光源11(光源ホルダ12)は、直交する2軸(X軸、Y軸)上で移動できる。
【0104】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、調整ねじ171-174は止めねじであり、雌ねじ孔141h1-141h4は止めねじに対応する雌ねじである。この構成によれば、使用者等は、調整ねじ171-174の締め付け量を調整するだけで、極めて容易に光軸の調整を実行できる。
【0105】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ユニット筐体14は、弾性体13が配置される溝部141aをそなえる。この構成によれば、弾性体13は、雌ねじ孔141h1-141h4(調整ねじ171-174)と光源ホルダ12との間に確実に配置される。
【0106】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、弾性体13は、環状のOリングである。この構成によれば、光源ユニット10では、光源ホルダ12とユニット筐体14との間に規格品であるOリングを配置するという簡易な構成で、容易に光軸の調整が実行できる。
【0107】
このように、本発明にかかる光源ユニットは、雌ねじ孔141h1-141h4と、調整ねじ171-174と、弾性体13と、(溝部141aと)を備えるだけで、前述した光軸の調整を実行できる。
【0108】
●その他
なお、本発明における光源ホルダとユニット筐体とレンズホルダそれぞれは、アルマイト処理が施されたアルミニウム合金製に限定されない。すなわち、例えば、本発明における光源ホルダとユニット筐体とレンズホルダそれぞれは、アルマイト処理が施されなくてもよく、あるいは、アルミニウム、銅合金、ステンレススチールなどの金属製でもよい。
【0109】
また、本発明におけるユニット筐体が備える雌ねじ孔の数は、「4」に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるユニット筐体は、中心線同士が直交する2つの雌ねじ孔のみを備えてもよく、対向する2つの雌ねじ孔のみを備えてもよい。
【0110】
図12は、本発明にかかる光源ユニットの変形例を示す模式断面図である。
同図は、光源ユニット10Aが、ユニット筐体14Aと、中心線X11,X12同士が直交する2つの雌ねじ孔141h1A,141h2Aと、2つの調整ねじ171A,172Aと、を備えること、を示す。調整ねじ171Aは雌ねじ孔141h1Aに配置され、調整ねじ172Aは雌ねじ孔141h2Aに配置される。この構成によれば、光源ホルダ12の移動範囲は、2つの調整ねじ171A,172Aが弾性体13(図5参照)を押圧可能な範囲に限定されるが、使用者等は、2つの調整ねじ171A,172Aの締め付け量を調整することで、容易に、光軸の調整を実行できる。
【0111】
図13は、本発明にかかる光源ユニットの別の変形例を示す模式断面図である。
同図は、光源ユニット10Bが、ユニット筐体14Bと、対向する2つの雌ねじ孔141h1B,141h3Bと、2つの調整ねじ171B,173Bと、を備えること、を示す。調整ねじ171Bは雌ねじ孔141h1Bに配置され、調整ねじ173Bは雌ねじ孔141h3Bに配置される。この構成によれば、光源ホルダ12の移動範囲は、1つの軸(本変形例ではY軸)上に限定されるが、使用者等は、2つの調整ねじ171B,173Bの締め付け量を調整することで、容易に、光軸の調整を実行できる。
【0112】
さらに、本発明におけるユニット筐体は、ユニット筐体の周方向において120度間隔で配置される3つの雌ねじ孔を備えてもよい。
【0113】
図14は、本発明にかかる光源ユニットのさらに別の変形例を示す模式断面図である。
同図は、光源ユニット10Cが、ユニット筐体14Cと、3つの雌ねじ孔141h1C,141h2C,141h3Cと、3つの調整ねじ171C,172C,173Cと、を備える、ことを示す。雌ねじ孔141h1C,141h2C,141h3Cは、ユニット筐体14Cの周方向において、120度間隔でユニット筐体14Cに配置される。調整ねじ171Cは雌ねじ孔141h1Cに配置され、調整ねじ172Cは雌ねじ孔141h2Cに配置され、調整ねじ173Cは雌ねじ孔141h3Cに配置される。この構成によれば、使用者等は、3つの調整ねじ171C,172C,173Cの締め付け量を調整することで、容易に光軸の調整を実行できる。
【0114】
さらにまた、本発明における調整ねじは、4つの雌ねじ孔のうち、中心線同士が直交する2つの雌ねじ孔にのみ配置されてもよい。この構成によれば、使用者等は、前述した光源ユニット10Aの光軸の調整と同様に、光軸の調整を実行できる。
【0115】
さらにまた、本発明における調整ねじは、対向する2つの雌ねじ孔にのみ配置されてもよい。この構成によれば、使用者等は、前述した光源ユニット10Bの光軸の調整と同様に、光軸の調整を実行できる。
【0116】
さらにまた、本発明における光源ホルダは1つの部材(例えば、第2光源ホルダ)で構成されてもよい。この場合、本発明における光源は、例えば、接着剤などで光源ホルダに固定されてもよい。
【0117】
さらにまた、本発明における光源ホルダのフランジ部(第1フランジ部、第2フランジ部)は、リング板状に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるフランジ部は、複数の円弧状の突起により構成されてもよく、外周縁に他のねじの干渉を回避する切欠きを備えてもよい。
【0118】
さらにまた、本発明における光源ホルダは、レンズホルダを備えなくてもよい。この場合、例えば、本発明におけるレンズは、ユニット筐体に固定されてもよく、あるいは、光源ホルダが取り付けられる本装置が備えてもよい。
【0119】
さらにまた、本発明における光源ホルダの形状は、弾性体と押圧部材とにより光軸を移動可能であれば、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における光源ホルダは、フランジ部(第1フランジ部、第2フランジ部)を備えなくてもよく、あるいは、ユニット筐体の形状と連続する形状を有してもよい。
【0120】
さらにまた、本発明におけるレンズホルダは、1つの部材(例えば、第2レンズホルダ)で構成されてもよい。この場合、本発明におけるレンズは、例えば、接着剤などでレンズホルダに固定されてもよい。
【0121】
さらにまた、本発明における弾性体は、Oリングに限定されない。すなわち、例えば、本発明における弾性体は、円筒状の合成樹脂で構成されてもよく、あるいは、筒状に巻かれた板状の合成樹脂で構成されてもよい。この場合、本発明における光源ユニットは、溝部を備えなくてもよい。
【0122】
さらにまた、本発明における弾性体は、1つの部材で構成されなくてもよい。すなわち、例えば、本発明における弾性体は、各雌ねじ孔と光源ホルダとの間それぞれに配置される、複数の部材で構成されてもよい。この場合、本発明における弾性体は、雌ねじ孔に配置可能な円柱状、球状、楕円球状などでもよい。
【0123】
さらにまた、本発明における弾性体は、雌ねじ孔に挿入可能な突起を有してもよい。
【0124】
さらにまた、本発明における弾性体の横断面形状は、円形に限定されない。すなわち、例えば、本発明における弾性体の横断面形状は、楕円形や矩形、台形でもよい。
【0125】
さらにまた、本発明における弾性体は、雌ねじ孔に挿入可能な微小なスプリングで構成されてもよい。この場合、スプリングは、調整ねじと光源ホルダとの間に配置される。
【0126】
さらにまた、本発明における溝部は、第2光源ホルダの第2本体部の外周面に配置されてもよく、あるいは、同第2本体部の外周面とホルダ保持孔の内周面とのいずれにも配置されてもよい。
【0127】
さらにまた、本発明におけるユニット筐体は、ホルダ保持孔と雌ねじ孔とを備えていれば、円筒状に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるユニット筐体は、キューブ状や円錐台状でもよい。
【0128】
さらにまた、本装置は、光源ユニットが用いられる装置であればよく、油膜検知器に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、濁度計やガス分析装置などの光学式の分析装置でもよい。
【符号の説明】
【0129】
100 分析装置
3 受光部
4 制御部(取得部)
10 光源ユニット
11 光源
12 光源ホルダ
122a 第2本体部(ホルダ本体部)
122b 第2フランジ部(フランジ部)
13 弾性体
14 ユニット筐体
14a 後面(開口面)
141 本体部
141a 溝部(溝)
141h ホルダ保持孔(第1貫通孔)
141h1
-141h4 雌ねじ孔(第2貫通孔)
15 レンズ
15a 入射面
16 レンズホルダ
171-174 調整ねじ(押圧部材)
181,182 第1締結部材(締結部材)
X1 中心線(第1中心線)
X11-X14 中心線(第2中心線)
W 液面(対象物)
10A 光源ユニット
141h1A
,141h2A 雌ねじ孔(第2貫通孔)
171A
,172A 調整ねじ(押圧部材)
10B 光源ユニット
141h1B
,141h3B 雌ねじ孔(第2貫通孔)
171B
,173B 調整ねじ(押圧部材)
10C 光源ユニット
141h1C
-141h3C 雌ねじ孔(第2貫通孔)
171C
-173C 調整ねじ(押圧部材)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14