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特許7381882通信制御装置、通信制御システム、通信制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御システム、通信制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/42 20220101AFI20231109BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H04L45/42
H04M3/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020028780
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021136469
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦西 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴志
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019172(JP,A)
【文献】特開2019-041162(JP,A)
【文献】特開2000-244567(JP,A)
【文献】特開2000-305877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0173018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、前記通信装置を制御可能な制御装置との対応関係を保持する記憶部と、
前記通信装置の装置登録要求を受信した時、前記制御装置で制御可能な第1の通信装置である場合は前記第1の通信装置を実機として登録するように前記制御装置に指示し、前記制御装置で制御できない第2の通信装置である場合は前記第2の通信装置をダミー装置として登録するように前記制御装置に指示し、前記第1の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記第1の通信装置へのパス設定を前記制御装置に指示し、前記第2の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記ダミー装置へのパス設定を前記制御装置に指示する制御部と、
を有する通信制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記装置登録要求を受信した時、前記実機として登録された前記第1の通信装置のネットワーク構成情報と、前記ダミー装置として登録された前記第2の通信装置のネットワーク構成情報とを前記制御装置に送信する請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御装置が非接続の前記通信装置の設定登録を行うことができない装置である場合、前記制御装置が制御できない前記第2の通信装置の前記ダミー装置の装置情報を生成して生成した前記装置情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置に対して前記ダミー装置が疑似的に接続される状態にする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
第1の制御装置で制御可能な前記通信装置と、前記第1の制御装置で制御できない前記通信装置とを含む第1の通信装置群を配下に備える前記第1の制御装置に前記パス設定を指示して、前記第1の通信装置群が含まれる第1の仮想ネットワークを生成し、
第2の制御装置で制御可能な前記通信装置と、前記第2の制御装置で制御できない前記通信装置とを含む第2の通信装置群を配下に備える前記第2の制御装置に前記パス設定を指示して、前記第2の通信装置群が含まれる第2の仮想ネットワークを生成し、
前記第1の仮想ネットワーク内の前記実機の通信装置の通信経路と、前記第2の仮想ネットワーク内の前記実機の通信装置の通信経路との重ね合わせにもとづくネットワークを生成してパスを設定する、
請求項1記載の通信制御装置。
【請求項5】
通信装置の制御を行う制御装置と、
前記通信装置と、前記通信装置を制御可能な前記制御装置との対応関係を保持する記憶部と、前記通信装置の装置登録要求を受信した時、前記制御装置で制御可能な第1の通信装置である場合は前記第1の通信装置を実機として登録するように前記制御装置に指示し、前記制御装置で制御できない第2の通信装置である場合は前記第2の通信装置をダミー装置として登録するように前記制御装置に指示し、前記第1の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記第1の通信装置へのパス設定を前記制御装置に指示し、前記第2の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記ダミー装置へのパス設定を前記制御装置に指示する制御部と、を含む通信制御装置と、
を有する通信制御システム。
【請求項6】
コンピュータが、
通信装置と、前記通信装置を制御可能な制御装置との対応関係をメモリに保持し、
前記通信装置の装置登録要求を受信した時、前記制御装置で制御可能な第1の通信装置である場合は前記第1の通信装置を実機として登録するように前記制御装置に指示し、
前記制御装置で制御できない第2の通信装置である場合は前記第2の通信装置をダミー装置として登録するように前記制御装置に指示し、
前記第1の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記第1の通信装置へのパス設定を前記制御装置に指示し、
前記第2の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記ダミー装置へのパス設定を前記制御装置に指示する、
通信制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
通信装置と、前記通信装置を制御可能な制御装置との対応関係をメモリに保持し、
前記通信装置の装置登録要求を受信した時、前記制御装置で制御可能な第1の通信装置である場合は前記第1の通信装置を実機として登録するように前記制御装置に指示し、
前記制御装置で制御できない第2の通信装置である場合は前記第2の通信装置をダミー装置として登録するように前記制御装置に指示し、
前記第1の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記第1の通信装置へのパス設定を前記制御装置に指示し、
前記第2の通信装置のパス設定要求を受信した時、前記ダミー装置へのパス設定を前記制御装置に指示する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御システム、通信制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークは、制御対象装置としての通信装置(ルータ、スイッチ等)と、通信装置の運用管理を行う制御装置とを備えている。例えば、光通信のネットワークでは、光スイッチである通信装置と、NMS(Network Management System)である制御装置とを備えており、1台のNMSによって複数の光スイッチが運用管理されることで、光スイッチに対して光パスが設定される。
【0003】
関連技術としては、例えば、ネットワークをドメインに分割して下位制御装置が管理し、集約されたネットワーク情報を生成して中央制御装置に送信して中央制御装置が処理する情報量を削減する技術が提案されている。
【0004】
また、ネットワーク内の異なる種類の装置に代わって機能を実行する装置独立型機能モジュール、装置動作を管理する特定機能モジュール、および装置独立型機能モジュールを呼び出す共通管理モジュールを含み、特定機能モジュールのインスタンスが作成される技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-156546号公報
【文献】特開2011-81809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような構成のネットワークにおいて、通信装置はネットワークの利用エリアの拡大に伴って設置台数の追加が求められる。しかし、追加した通信装置を含む新たなネットワークを構築する場合、従前では、新規の通信装置の追加がある度に該通信装置の運用管理を行うための機能を開発して制御装置に設定することになり作業効率が悪いという問題がある。
【0007】
1つの側面では、本発明は、装置の追加実装の作業効率の向上を図った通信制御装置、通信制御システム、通信制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、通信制御装置が提供される。通信制御装置は、通信装置と、通信装置を制御可能な制御装置との対応関係を保持する記憶部と、通信装置の装置登録要求を受信した時、制御装置で制御可能な第1の通信装置である場合は第1の通信装置を実機として登録するように制御装置に指示し、制御装置で制御できない第2の通信装置である場合は第2の通信装置をダミー装置として登録するように制御装置に指示し、第1の通信装置のパス設定要求を受信した時、第1の通信装置へのパス設定を制御装置に指示し、第2の通信装置のパス設定要求を受信した時、ダミー装置へのパス設定を制御装置に指示する制御部と、を有する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、上記通信制御装置と同様の制御を実行する通信制御システムが提供される。
さらに、上記課題を解決するために、コンピュータが上記通信制御装置と同様の制御を実行する通信制御方法が提供される。
【0010】
さらにまた、上記課題を解決するために、コンピュータに上記通信制御装置と同様の制御を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
1側面によれば、装置の追加実装の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態の通信制御システムの一例を説明するための図である。
図2】複数台の制御装置で通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。
図3】1台の制御装置で複数の通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。
図4】1台の制御装置で複数の通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。
図5】第2の実施の形態の通信制御システムの構成の一例を示す図である。
図6】ダミー装置の装置登録の一例を説明するための図である。
図7】ダミー装置の装置登録の一例を説明するための図である。
図8】通信制御装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図9】下位制御装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図10】装置間対応情報テーブルの一例を示す図である。
図11】API情報テーブルの一例を示す図である。
図12】ダミー装置生成情報テーブルの一例を示す図である。
図13】通信制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図14】装置登録が行われる通信装置の一例を示す図である。
図15】通信装置登録命令の一例を示す図である。
図16】装置登録の動作シーケンスの一例を示す図である。
図17】登録命令の一例を示す図である。
図18】登録命令の一例を示す図である。
図19】ネットワーク構成情報テーブルの一例を示す図である。
図20】ネットワーク構成情報テーブルの一例を示す図である。
図21】サービス設定命令の一例を示す図である。
図22】パス設定の動作シーケンスの一例を示す図である。
図23】パス設定命令の一例を示す図である。
図24】パス情報テーブルの一例を示す図である。
図25】通信装置で生成される仮想ネットワークの一例を示す図である。
図26】通信装置で生成される仮想ネットワークの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について図1を用いて説明する。図1は第1の実施の形態の通信制御システムの一例を説明するための図である。通信制御システム1-1は、通信制御装置1、制御装置2および通信装置3(ノード)を備える。
【0014】
通信制御装置1には制御装置2が接続され、制御装置2には通信装置3が接続される。なお、1台の通信制御装置1に複数の制御装置2が接続可能であり、1台の制御装置2に複数の通信装置3が接続可能である。
【0015】
通信制御装置1は、制御部1aと記憶部1bを備える。記憶部1bは、通信装置3と、通信装置3を制御可能な制御装置2との対応関係を保持する。
制御部1aは、通信装置3の装置登録要求の受信時、通信装置3(第1の通信装置の一例)が制御装置2で制御可能な場合(制御対象の場合)は、実機として登録するように制御装置2に指示する。また、制御部1aは、通信装置3(第2の通信装置の一例)が制御装置2で制御できない場合(非制御対象の場合)は、ダミー装置として登録するように制御装置2に指示する。
【0016】
さらに、制御部1aは、通信装置3のパス設定要求を受信した時、通信装置3が制御装置2で制御可能な場合は、実機の通信装置3へのパス設定を制御装置2に指示する。また、制御部1aは、通信装置3のパス設定要求を受信した時、通信装置3が制御装置2で制御できない場合は、ダミー装置へのパス設定を制御装置2に指示する。
【0017】
なお、制御部1aの機能は、通信制御装置1が備える図示しないプロセッサが、所定のプログラムを実行することによって実現される。
図1に示す例を用いて動作について説明する。通信装置3aは制御装置2が制御可能な装置であり、通信装置3bは制御装置2が制御できない装置であるとする。また、通信装置3の装置登録要求およびパス設定要求は、図示しないクライアント端末から送信されるものとする。
【0018】
〔ステップS1〕制御部1aは、通信装置3aの装置登録要求を受信する。
〔ステップS2〕制御部1aは、通信装置3aが制御装置2で制御可能であることを判別すると、通信装置3aを実機として登録するように制御装置2に指示する。
【0019】
〔ステップS3〕制御部1aは、通信装置3bの装置登録要求を受信する。
〔ステップS4〕制御部1aは、通信装置3bが制御装置2で制御不可であることを判別すると、通信装置3bをダミー装置として登録するように制御装置2に指示する。
【0020】
〔ステップS5〕制御部1aは、通信装置3aのパス設定要求を受信する。
〔ステップS6〕制御部1aは、通信装置3aは制御装置2で制御可能であるので、実機の通信装置3aへのパス設定を制御装置2に指示する。
【0021】
〔ステップS7〕制御部1aは、通信装置3bのパス設定要求を受信する。
〔ステップS8〕制御部1aは、通信装置3bは制御装置2で制御不可であるので、ダミーとして登録されているダミー装置へのパス設定を制御装置2に指示する。
【0022】
ここで、従前では、1台の制御装置に新規の通信装置を追加する場合には、新規の通信装置の運用管理を行うための機能を開発して制御装置に設けることが行われている。
これに対し、通信制御システム1-1では、制御装置2を制御するための通信制御装置1を備えている。そして、通信制御装置1は、通信装置3の登録時、制御装置2が通信装置3を制御可能ならば実機として、制御不可ならばダミー装置として制御装置2に登録し、制御不可の通信装置3へのパス設定はダミー装置に対して行う。
【0023】
これにより、制御装置2には、複数の通信装置3で構築されうるエンドツーエンド(End to End)のネットワーク全体の構成情報を設定することができる。このため、新規の装置追加を行う場合でも、通信制御装置1に新たな制御装置と通信装置のペアを接続するだけで、接続した制御装置に対してエンドツーエンドのネットワーク全体の構成情報が自動設定されることになる。
【0024】
これにより、従前のような装置の追加実装時の開発が不要になるので、装置の追加実装時の作業工数および作業負担を軽減することができ、追加装置の実装の作業効率を向上させることが可能になる。
【0025】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。最初に、異なる機能の複数の通信装置に対して制御装置が運用管理するための既存システムとその課題について、図2から図4を用いて説明する。
【0026】
図2は複数台の制御装置で通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。システムsy0は、通信装置a1、a2および制御装置51と、通信装置d1、d2および制御装置52を備える。
【0027】
通信装置a1、a2、d1、d2は、ルータやスイッチ等であり、通信装置a1、a2と、通信装置d1、d2とは、互いに制御機能が異なる。例えば、通信プロトコルの違いや機種が異なる場合等が含まれる。
【0028】
このため、通信装置a1、a2を運用管理するための制御装置51が配置され、通信装置d1、d2を運用管理するための制御装置52が配置される。
制御装置51は、通信装置a1、a2に対する専用の制御機能51aを有し、制御装置52は、通信装置d1、d2に対する専用の制御機能52dを有する。また、制御装置51と制御装置52は互いに独立して動作する。
【0029】
このようなシステムsy0では、既設の通信装置とは異なる機能を持つ通信装置を追加する場合、追加する通信装置の制御機能を有する制御装置をあらためて開発することになる。
【0030】
図3は1台の制御装置で複数の通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。システムsy1は、通信装置a1、a2、通信装置b1、b2および制御装置53を備える。制御装置53は、制御機能53a、53bを含む。制御機能53aは、通信装置a1、a2に対する専用の制御機能であり、制御機能53bは、通信装置b1、b2に対する専用の制御機能である。
【0031】
このように、システムsy1では、1台の制御装置53に、制御機能が互いに異なる通信装置a1、a2および通信装置b1、b2が接続されている。この場合、制御装置53では、対応する制御機能53a、53bを有して、制御機能53aで通信装置a1、a2の運用管理を行い、制御機能53bで通信装置b1、b2の運用管理を行う。
【0032】
ここで、既設の通信装置に対して機能が異なる新規の通信装置の追加を行うとする。この場合、従前では、追加した通信装置を運用管理するための制御機能をあらためて開発することになる。システムsy1-1は、新規の通信装置を追加したときの状態を示している。
【0033】
システムsy1-1では、通信装置a1、a2、b1、b2とは異なる機能を持つ通信装置c1、c2が追加されている。この場合、通信装置c1、c2に対する専用の制御機能53cが開発されて制御装置53に実装されることになる。
【0034】
図4は1台の制御装置で複数の通信装置を運用管理するシステムの一例を示す図である。図4のシステムでは、制御装置が複数の通信装置の共通の制御機能を有し、制御装置および通信装置が共通インタフェースを有するシステムである。
【0035】
システムsy2は、通信装置a1、a2、通信装置b1、b2および制御装置54を備える。制御装置54は、通信装置a1、a2、b1、b2の共通の制御機能54-1を有する。また、制御装置54および通信装置a1、a2、b1、b2はすべて共通インタフェースを有して接続されている。共通インタフェースは例えば、共通のプロトコルや共通の設定コマンドである。
【0036】
このように、制御装置および通信装置を共通インタフェースで実現することにより、制御装置54では、共通インタフェースを介して、通信装置a1、a2および通信装置b1、b2の運用管理を行うことができる。
【0037】
ここで、新規の通信装置の追加を行うとする。この場合、従前では、追加する通信装置の共通インタフェースをあらためて開発することになる。システムsy2-1では、新規の通信装置c1、c2が追加されている状態を示している。この場合、追加する通信装置c1、c2のインタフェースを、通信装置a1、a2、b1、b2に合わせて開発して、通信装置c1、c2を実装することになる。
【0038】
このように、図2から図4に示した従前のシステムでは、通信装置を追加する度に制御機能の追加開発または共通インタフェースの追加開発を要することになり、いずれの場合も作業工数および作業負担が増大する。
【0039】
また、図4の例では、さらに、通信装置の提供者が異なると、共通インタフェースの開発が困難であるという問題がある。例えば、新規に追加する通信装置が他社製品である場合、既設の制御対象機種の通信装置と同一のインタフェースの開発をすることは困難である。本発明ではこのような点に鑑みてなされたものであり、新規装置の追加時において、作業工数および作業負担を軽減して、装置の追加実装の作業効率の向上を図るものである。
【0040】
<システム構成>
以降、第2の実施の形態について詳しく説明する。なお、以降では、通信装置の制御を行う制御装置を下位制御装置と呼ぶ場合がある。
【0041】
図5は第2の実施の形態の通信制御システムの構成の一例を示す図である。通信制御システム1-2は、通信制御装置10、下位制御装置A、B(総称して下位制御装置20と呼ぶ場合がある)および通信装置a、bを備える。通信制御装置10は図1の通信制御装置1に対応し、下位制御装置A、Bは図1の制御装置2に対応する。通信装置a、bは図1の通信装置3に対応する。
【0042】
下位制御装置Aは、通信装置aに対する制御機能を有し、通信装置aは、下位制御装置Aからの制御指示を受けて動作する。下位制御装置Bは、通信装置bに対する制御機能を有し、通信装置bは、下位制御装置Bからの制御指示を受けて動作する。下位制御装置A、Bは互いに独立して動作する。通信制御装置10は、下位制御装置A、Bの上位に位置して、下位制御装置A、Bの制御を行う。
【0043】
通信制御システム1-2aは、通信制御システム1-2に装置追加を行った場合の構成を示している。通信装置cを追加する場合、通信装置cの制御機能を有する下位制御装置Cが通信制御装置10に接続され、下位制御装置Cに通信装置cが接続される。下位制御装置Cは、通信制御装置10によって制御される。
【0044】
<ダミー装置の登録>
通信制御装置10は、下位制御装置に対して通信装置の装置登録要求を行う。この場合、通信制御装置10は、下位制御装置が配下の通信装置の制御が可能ならば、その通信装置を実機として登録するように指示する。また、通信制御装置10は、下位制御装置が配下の通信装置の制御が不可ならば、その通信装置をダミー装置として登録するように指示する。
【0045】
ただし、下位制御装置には、通信装置が接続されていなくても、その通信装置の設定登録が可能な装置と、通信装置が接続されていないと、その通信装置の設定登録を行うことが不可の装置とがある。以下、それぞれの下位制御装置に対するネットワーク構成情報の登録方法について、図6図7を用いて説明する。
【0046】
図6はダミー装置の装置登録の一例を説明するための図である。下位制御装置Aにとって、通信装置aは制御対象であるので通信装置aは下位制御装置Aに対して実機であるが、通信装置bは制御対象ではないとする。この場合、下位制御装置Aに対して通信装置bはダミー装置となる。
【0047】
また、下位制御装置Aは、通信装置が接続されていなくても、その通信装置の設定登録が可能な装置とする(非接続通信装置への設定登録が可能な装置とする)。このような下位制御装置に対しては、現在接続している通信装置の設定登録の他に、接続していない通信装置の設定登録も行うことができる。
【0048】
したがって、通信制御装置10は、下位制御装置Aに対して、実機のネットワーク構成情報(通信装置aのネットワーク構成情報)を含む登録命令m1を下位制御装置Aに送信する。さらに、通信制御装置10は、下位制御装置Aに対して、制御不可の通信装置である通信装置bをダミー装置として、ダミー装置のネットワーク構成情報(通信装置bのネットワーク構成情報)を含む登録命令m2を下位制御装置Aに送信する。
【0049】
下位制御装置Aは、登録命令m1にもとづいて、実機の通信装置aのネットワーク構成情報を登録する。また、登録命令m2にもとづいて、ダミー装置の通信装置bのネットワーク構成情報を登録する。なお、登録命令m1、m2は、1つの命令フォーマットに含まれて送信されてもよい。
【0050】
図7はダミー装置の装置登録の一例を説明するための図である。下位制御装置Bにとって、通信装置bは制御対象であるので通信装置bは下位制御装置Bに対して実機であるが、通信装置aは制御対象ではないとする。この場合、下位制御装置Bに対して通信装置aはダミー装置となる。
【0051】
また、下位制御装置Bは、通信装置が接続されていないと、その通信装置の設定登録を行うことが不可の装置とする(非接続通信装置への設定登録が不可の装置とする)。したがって、下位制御装置Bに通信装置aの設定登録を行う場合、通信制御装置10において下位制御装置Bにとって制御不可の通信装置である通信装置aのダミー装置を生成し、そのダミー装置を下位制御装置Bに設定する。すなわち、通信装置aのダミー装置は通信制御装置10で生成されて、通信制御装置10から下位制御装置Bに、そのダミー装置が設定される。
【0052】
下位制御装置Bにダミー装置が設定されることで、下位制御装置Bにはダミー装置が疑似的に接続される状態になる。このため、下位制御装置Bは、ダミー装置が制御対象の通信装置として疑似的に見えるので、ダミー装置のネットワーク構成情報の登録が可能になる。なお、通信制御装置10におけるダミー装置の生成および設定とは、例えば、ダミー装置となる通信装置のIP(Internet Protocol)アドレス等の装置情報を生成し、その装置情報を下位制御装置に設定するものである。
【0053】
通信装置aのダミー装置の下位制御装置Bへの設定後、通信制御装置10は、通信装置aのネットワーク構成情報と、通信装置bのネットワーク構成情報との両方のネットワーク構成情報を含む登録命令m3を下位制御装置Bに送信する。下位制御装置Bは、登録命令m3にもとづいて、実機の通信装置bおよびダミー装置の通信装置aのネットワーク構成情報を登録する。
【0054】
図6のように、下位制御装置が、制御対象の通信装置が接続されていなくても、その通信装置の設定登録が可能な装置である場合は、実機とダミー装置それぞれのネットワーク構成情報を登録命令で送信して登録する。
【0055】
また、図7のように、下位制御装置Bが、制御対象の通信装置が接続されていないと、その通信装置の設定登録を行うことが不可の装置である場合は、通信制御装置10で生成したダミー装置を下位制御装置Bに設定して、下位制御装置Bに対してダミー装置が疑似的に接続している状態にする(下位制御装置Bからは実機として見える)。そして、実機とダミー装置それぞれのネットワーク構成情報を登録命令で送信して登録する。
【0056】
これにより、通信装置が接続されていないと、その通信装置の設定登録を行うことができない下位制御装置に対しても、制御対象でない通信装置のネットワーク構成情報を登録することができる。
【0057】
<機能ブロック>
図8は通信制御装置の機能ブロックの一例を示す図である。通信制御装置10は、制御部11および記憶部12を含む。制御部11は、図1の制御部1aに対応し、制御受付部11a、ダミー装置生成部11bおよび命令生成部11cを含む。記憶部12は、図1の記憶部1bに対応し、装置間対応情報テーブル12a、API(Application Programming Interface)情報テーブル12bおよびダミー装置生成情報テーブル12cを含む。
【0058】
制御受付部11aは、通信制御装置10に接続されるクライアント端末4からの制御命令の受付を行う。具体的には、制御受付部11aは、制御命令の受付として、通信装置の装置登録命令の受付と、複数の通信装置を流れるエンドツーエンドのパスを設定するためのパス設定命令の受付とを行う。
【0059】
ダミー装置生成部11bは、下位制御装置がダミー装置のネットワーク構成情報の登録が不可である場合、ダミー装置の装置情報を生成する(上述の図7の場合の下位制御装置に対してダミー装置生成を行う)。
【0060】
命令生成部11cは、各種の制御命令を生成して下位制御装置に送信する。例えば、実機の通信装置のネットワーク構成情報を下位制御装置に登録するための命令(登録命令m1)や、ダミー装置の通信装置のネットワーク構成情報を下位制御装置に登録するための命令(登録命令m2)を生成する。
【0061】
また、実機のネットワーク構成情報と、ダミー装置のネットワーク構成情報との両方を実機のネットワーク構成情報として下位制御装置に登録させるための命令(登録命令m3)を生成する。
【0062】
さらに、命令生成部11cは、クライアント端末4からの指示にもとづくパス設定命令を生成する。なお、記憶部12内の各テーブルの構成については、図10から図12で後述する。
【0063】
図9は下位制御装置の機能ブロックの一例を示す図である。下位制御装置20は、装置登録・パス設定部21および記憶部22を備える。記憶部22は、ネットワーク構成情報テーブル22aおよびパス情報テーブル22bを含む。
【0064】
装置登録・パス設定部21は、通信制御装置10からの装置登録命令またはパス設定命令にもとづいて装置登録およびパス設定を行う。なお、記憶部22内の各テーブルの構成については、図19図20および図24で後述する。
【0065】
<テーブル構成>
次に図10から図12を用いて通信制御装置10が有するテーブル構成について説明する。なお、以降の説明では、下位制御装置Aは非接続装置への登録が可能であり(図6で上述した下位制御装置)、下位制御装置Bは非接続装置への登録が不可であるとする(図7で上述した下位制御装置)。
【0066】
図10は装置間対応情報テーブルの一例を示す図である。装置間対応情報テーブル12aは、下位制御装置と、該下位制御装置が制御可能な通信装置と、の対応関係が登録されるテーブルである。
【0067】
装置間対応情報テーブル12aは、項目として、下位制御装置および通信装置種別を含む。欄L1には、(下位制御装置、通信装置種別)=(下位制御装置A、通信装置a)と登録され、下位制御装置Aは通信装置aを制御対象とすることが示されている。同様に、欄L2には、(下位制御装置、通信装置種別)=(下位制御装置B、通信装置b)と登録され、下位制御装置Bは通信装置bを制御対象とすることが示されている。
【0068】
図11はAPI情報テーブルの一例を示す図である。API情報テーブル12bは、下位制御装置に対してAPI情報を設定するためのテーブルである。API情報テーブル12bは、項目として、下位制御装置、命令種別、API宛先およびAPIフォーマットを含む(図中のAPIフォーマットの表記は一例である)。
【0069】
欄L11aにおいて、(下位制御装置、命令種別、API宛先)=(下位制御装置A、装置登録、http://a/ne_reg)と登録され、下位制御装置Aの配下に通信装置を装置登録することが示されている。また、欄L11a内のAPIフォーマットにおいて、“type”には通信装置が実機かダミー装置であるかが設定される。また、“name”は通信装置の名称、“addr”は通信装置のIPアドレス、“port”には、対向する通信装置の名称(対向装置名)や対向する通信装置のポート(対向ポート)が設定される。
【0070】
欄L11bにおいて、(下位制御装置、命令種別、API宛先)=(下位制御装置B、装置登録、http://b/no-do_toroku)と登録され、下位制御装置Bの配下に通信装置を登録することが示されている。また、欄L11b内のAPIフォーマットにおいて、通信装置の名称(装置名)、通信装置のIPアドレス、通信装置のポート名、対向する通信装置の名称(対向装置名)および対向する通信装置のポート(対向ポート)が設定される。
【0071】
欄L12aにおいて、(下位制御装置、命令種別、API宛先)=(下位制御装置A、パス設定、http://a/path_comp)と登録され、下位制御装置Aの配下の通信装置にパスを設定することが示されている。また、欄L12a内のAPIフォーマットにおいて、通信装置の名称(装置名)および通信装置のポートが設定される。
【0072】
欄L12bにおいて、(下位制御装置、命令種別、API宛先)=(下位制御装置B、パス設定、http://b/path_sette)と登録され、下位制御装置Bの配下の通信装置にパスを設定することが示されている。また、欄L12b内のAPIフォーマットにおいて、通信装置の名称(装置名)および通信装置のポートが設定される。
【0073】
図12はダミー装置生成情報テーブルの一例を示す図である。ダミー装置生成情報テーブル12cは、通信制御装置10が下位制御装置に対してどのようにダミー装置を設定するかを決定するための情報を示すテーブルである。
【0074】
ダミー装置生成情報テーブル12cは、項目として、下位制御装置、ダミー装置生成要否、ダミー装置生成方法を含む。
欄L21では、(下位制御装置、ダミー装置生成要否)=(下位制御装置A、不要)となっており、下位制御装置Aは非接続通信装置への設定登録が可能であることが示されている。また、欄L21内のダミー装置生成方法には、APIフォーマットのtypeに実機またはダミー装置のいずれかを指定することが示されている。
【0075】
したがって、下位制御装置Aに対しては、通信制御装置10は、送信する命令が実機対象のものか、またはダミー装置対象のものかをAPI情報のtypeに設定して下位制御装置Aに送信することになる。
【0076】
一方、欄L22では、(下位制御装置、ダミー装置生成要否)=(下位制御装置B、要)となっており、下位制御装置Bは非接続通信装置への設定登録が不可であることが示されている。
【0077】
また、欄L22内のダミー装置生成方法には、ダミー装置(ダミー装置のIPアドレス等の装置情報)を、通信制御装置10内のシミュレータ装置を起動して生成することが示されている(生成手順がさらに示されていてもよい)。したがって、下位制御装置Bに対しては、通信制御装置10がダミー装置を生成して下位制御装置Bに設定し、その後に命令(実機またはダミーの対象区別のない命令)を送信することになる。
【0078】
<ハードウェア>
図13は通信制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。通信制御装置10は、プロセッサ(コンピュータ)100によって全体制御されている。プロセッサ100は、制御部11の機能を実現する。
【0079】
プロセッサ100には、バス103を介して、メモリ101、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104が接続されている。
プロセッサ100は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ100は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0080】
メモリ101は、記憶部12の機能を実現し、通信制御装置10の主記憶装置として使用される。メモリ101には、プロセッサ100に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ101には、プロセッサ100による処理に要する各種データが格納される。
【0081】
また、メモリ101は、通信制御装置10の補助記憶装置としても使用され、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。メモリ101は、補助記憶装置として、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置やHDD(Hard Disk Drive)等の磁気記録媒体を含んでもよい。
【0082】
バス103に接続されている周辺機器としては、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104がある。入出力インタフェース102は、キーボードやマウス等の情報入力装置を接続可能であって、情報入力装置から送られてくる信号をプロセッサ100に送信する。
【0083】
さらにまた、入出力インタフェース102は、周辺機器を接続するための通信インタフェースとしても機能する。例えば、入出力インタフェース102は、レーザ光等を利用して、光ディスクに記録されたデータの読み取りを行う光学ドライブ装置を接続することができる。光ディスクには、Blu-rayDisc(登録商標)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(Rewritable)等がある。
【0084】
また、入出力インタフェース102は、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、入出力インタフェース102との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込み、またはメモリカードからのデータの読み出しを行う装置である。メモリカードは、カード型の記録媒体である。
【0085】
ネットワークインタフェース104は、ネットワークに接続してネットワークインタフェース制御を行う。ネットワークインタフェース104には、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード等を使用することもできる。ネットワークインタフェース104で受信されたデータは、メモリ101やプロセッサ100に出力される。
【0086】
以上のようなハードウェア構成によって、通信制御装置10の処理機能を実現することができる。例えば、通信制御装置10は、プロセッサ100がそれぞれ所定のプログラムを実行することで本発明の処理を行うことができる。
【0087】
通信制御装置10は、例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。通信制御装置10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0088】
例えば、通信制御装置10に実行させるプログラムを補助記憶装置に格納しておくことができる。プロセッサ100は、補助記憶装置内のプログラムの少なくとも一部を主記憶装置にロードし、プログラムを実行する。
【0089】
また、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ100からの制御により、補助記憶装置にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ100が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。なお、下位制御装置20もコンピュータを備えて、図13に示した同様のハードウェアにより実現することができる。
【0090】
<装置登録>
次に装置登録の動作例について、図14から図20を用いて説明する。図14は装置登録が行われる通信装置の一例を示す図である。通信制御システム1-2bは、通信制御装置10と下位制御装置A、Bを備え、下位制御装置Aには通信装置a1、a2、a3が接続され、下位制御装置Bには通信装置b1が接続される。通信装置a1、a2、a3、b1の装置登録が行われるものとする。
【0091】
通信装置a1、a2、a3は下位制御装置Aで制御可能な通信装置であり、通信装置b1は下位制御装置Bで制御可能な通信装置である。なお、下位制御装置Aは非接続通信装置への登録が可能な装置であり、下位制御装置Bは非接続通信装置への登録が不可の装置である。
【0092】
また、追加する通信装置a1、a2、a3、b1によって、ネットワークN10が生成されるものとする。ネットワークN10において、通信装置a1のポートp1と通信装置a2のポートp1が接続され、通信装置a2のポートp2が通信装置b1のポートp1に接続され、通信装置b1のポートp2と通信装置a3のポートp1が接続されて、エンドツーエンドのパスP1が設定される。
【0093】
図15は通信装置登録命令の一例を示す図である。通信装置登録命令は、通信装置を追加する際に、クライアント端末4から通信制御装置10に送信される命令である。この例では、クライアント端末4から通信制御装置10に対して、4台分の通信装置a1、a2、a3、b1を追加するための通信装置登録命令m0が送信される。
【0094】
通信装置登録命令m0は、項目として、通信装置名、種別、IPアドレス、ポート名、対向装置名および対向ポート名を有する。欄L31では、(通信装置名、種別、IPアドレス、ポート名、対向装置名、対向ポート名)=(通信装置a1、A、1.1.1.1、ポートp1、通信装置a2、ポートp1)となっている。
【0095】
したがって、欄L31では、追加する通信装置a1は下位制御装置Aの制御対象であり、通信装置a1はIPアドレスが1.1.1.1で、ポートp1を有し、対向する通信装置a2のポートp1に接続して通信することが示されている。
【0096】
図16は装置登録の動作シーケンスの一例を示す図である。
〔ステップS11〕クライアント端末4は、通信制御装置10に通信装置登録命令m0を送信する。
【0097】
〔ステップS12〕通信制御装置10内の制御部11は、通信装置登録命令m0および装置間対応情報テーブル12aにもとづいて、追加される通信装置がどの下位制御装置で制御されるかの下位制御装置と通信装置との対応関係を判別する。この例では、制御部11は、通信装置a1、a2、a3は下位制御装置Aで制御され、通信装置b1は下位制御装置Bで制御されることを判別する。
【0098】
〔ステップS13〕制御部11は、ダミー装置生成情報テーブル12cにもとづいて、下位制御装置A、Bに対してダミー装置の生成要否を判別する。この例では、下位制御装置Aは、制御対象の通信装置が接続されていなくても、その通信装置の設定登録が可能な装置である。このため、制御部11は、下位制御装置Aに対してはダミー装置の生成は不要と判別する。
【0099】
一方、下位制御装置Bは、制御対象の通信装置が接続されていないと、その通信装置の設定登録を行うことが不可の装置である。このため、制御部11は、下位制御装置Bに対してはダミー装置の生成を要すると判別する。
【0100】
〔ステップS14〕制御部11は、通信装置a1、a2、a3それぞれのダミー装置(装置情報)を生成し、下位制御装置Bに設定する。これにより、下位制御装置Bに通信装置a1、a2、a3のダミー装置が設定され、下位制御装置Bには、通信装置a1、a2、a3が疑似的に接続されている状態になる。
【0101】
〔ステップS15〕制御部11は、下位制御装置Aに対して、実機のネットワーク構成情報(通信装置a1、a2、a3のネットワーク構成情報)の登録命令m1をAPI情報テーブル12bにもとづいて生成して、登録命令m1を下位制御装置Aに送信する。
【0102】
〔ステップS16〕制御部11は、下位制御装置Aに対して、ダミー装置のネットワーク構成情報(通信装置b1のネットワーク構成情報)の登録命令m2をAPI情報テーブル12bにもとづいて生成して、登録命令m2を下位制御装置Aに送信する。
【0103】
〔ステップS17〕下位制御装置Aは、登録命令m1にもとづいて、実機の通信装置a1、a2、a3のネットワーク構成情報を登録する。また、登録命令m2にもとづいて、ダミー装置の通信装置b1のネットワーク構成情報を登録する。
【0104】
〔ステップS18〕制御部11は、下位制御装置Bに対して、通信装置a1、a2、a3のネットワーク構成情報と、通信装置b1のネットワーク構成情報とを含む登録命令m3をAPI情報テーブル12bにもとづいて生成して、登録命令m3を下位制御装置Bに送信する。
【0105】
〔ステップS19〕下位制御装置Bは、登録命令m3にもとづいて、通信装置b1のネットワーク構成情報と、通信装置a1、a2、a3のネットワーク構成情報を登録する。
図17図18は登録命令の一例を示す図である。図17は、下位制御装置Aに送信される登録命令m1、m2の一例を示している。図中の“Node”は通信装置を示す。
【0106】
登録命令m1は、下位制御装置Aに対して実機の通信装置a1、a2、a3のネットワーク構成情報の登録を命令する。例えば、通信装置a1の登録命令m1は、(type、name、addr)=(実機、Node-a1、1.1.1.1)となっており、通信装置a1は下位制御装置Aに対して実機で、識別名がNode-a1であり、IPアドレスが1.1.1.1であることが示されている。また、登録命令m1のportは、p1:Node-a2,p1になっており、通信装置a1のポートp1は、通信装置a2のポートp1に接続されることが示されている。
【0107】
登録命令m2は、下位制御装置Aに対して、ダミー装置の通信装置b1のネットワーク情報の登録を命令する。例えば、通信装置b1の登録命令m2は、(type、name、addr)=(ダミー、Node-b1、3.3.3.3)となっており、通信装置b1は下位制御装置Aに対してダミー装置で、識別名がNode-b1であり、IPアドレスが3.3.3.3であることが示されている。また、登録命令m2のportは、p1:Node-a2,p2およびp2:Node-a3,p1になっており、通信装置b1のポートp1は、通信装置a2のポートp2に接続されること、および通信装置b1のポートp2は、通信装置a3のポートp1に接続されることが示されている。
【0108】
図18は、下位制御装置Bに送信される登録命令m3の一例を示している。登録命令m3は、下位制御装置B対して通信装置a1、a2、a3、b1のネットワーク構成情報の登録を命令する。
【0109】
図19図20はネットワーク構成情報テーブルの一例を示す図である。図19のネットワーク構成情報テーブル22a-1は、下位制御装置Aに装置登録が行われた後の下位制御装置Aが保持するネットワーク構成情報を示している。また、図20のネットワーク構成情報テーブル22a-2は、下位制御装置Bに装置登録が行われた後の下位制御装置Bが保持するネットワーク構成情報を示している。
【0110】
図19のネットワーク構成情報テーブル22a-1は、項目として、通信装置名、種別、ポート、対向装置および対向ポートを有する。欄L41は、(通信装置名、種別、ポート、対向装置、対向ポート)=(通信装置a1、実機、ポートp1、通信装置a2、ポートp1)になっている。よって、通信装置a1は下位制御装置Aに対して実機であり、通信装置a1のポートp1と対向の通信装置a2のポートp1とを通じて通信が行われることが示されている。
【0111】
また、欄L42は、一段目が(通信装置名、種別、ポート、対向装置、対向ポート)=(通信装置b1、ダミー装置、ポートp1、通信装置a2、ポートp2)であり、二段目が(通信装置名、種別、ポート、対向装置、対向ポート)=(通信装置b1、ダミー装置、ポートp2、通信装置a3、ポートp1)になっている。
【0112】
よって、通信装置b1は下位制御装置Aに対してダミー装置であり、通信装置b1のポートp1と対向の通信装置a2のポートp2とを通じて通信が行われることが示され、また、通信装置b1のポートp2は、対向の通信装置a3のポートp1を通じて通信が行われることが示されている。
【0113】
図20のネットワーク構成情報テーブル22a-2は、項目として、通信装置名、ポート、対向装置および対向ポートを有する。下位制御装置Bでは、実機とダミー装置との区別はないので種別の項目は有していない。テーブル内容は図19と同じである。
【0114】
<パス設定>
次にパス設定の動作例について、図21から図24を用いて説明する。図21はサービス設定命令の一例を示す図である。サービス設定命令m10は、装置登録を行った後に、通信装置にエンドツーエンドのパスを設定するために、クライアント端末4から通信制御装置10に送信される命令である。
【0115】
サービス設定命令m10は、項目として、パス、通信装置名およびポートを有する。パスには、通信サービスが行われる経路としてサービス経路と登録されており、サービス設定命令m10のテーブルの上段から下段に向かってパスが設定されるように通信装置とポートが登録されている。
【0116】
図22はパス設定の動作シーケンスの一例を示す図である。
〔ステップS21〕クライアント端末4は、サービス設定命令m10を通信制御装置10に送信する。
【0117】
〔ステップS22〕通信制御装置10内の制御部11は、サービス設定命令m10およびAPI情報テーブル12bにもとづいて、下位制御装置A、Bに対するパス設定命令m11、m12を生成する。
【0118】
〔ステップS23〕制御部11は、パス設定命令m11を下位制御装置Aに送信し、パス設定命令m12を下位制御装置Bに送信する。
〔ステップS24〕下位制御装置Aは、パス設定命令m11にもとづいて、パスを設定して、パス設定後のパス情報を保存する。
【0119】
〔ステップS25〕下位制御装置Bは、パス設定命令m12にもとづいて、パスを設定して、パス設定後のパス情報を保存する。
ここで、下位制御装置Aは、通信制御装置10からのパス設定命令m11にもとづいて、通信装置a1、a2、a3、b1に対してパス設定を行う。通信装置a1、a2、a3は、下位制御装置Aに対して実機であるから、下位制御装置Aは通信装置a1、a2、a3にパス設定を行って、通信装置a1、a2、a3からの応答を受信してパスを確立する。
【0120】
なお、ダミー装置にパス設定が行われる場合は、ダミー装置からの応答はなくスルーされる。すなわち、下位制御装置Aに対して通信装置b1はダミー装置であるから、下位制御装置Aから通信装置b1に対してパス設定を行っても応答はなくスルーされる(応答待ち等の処理は行わず、ダミー装置にパス設定を行ったことでダミー装置へのパス設定処理は終了する)。
【0121】
同様に、下位制御装置Bは、通信制御装置10からのパス設定命令m12にもとづいて、通信装置a1、a2、a3、b1に対してパス設定を行う。通信装置b1は、下位制御装置Bに対して実機であるから、下位制御装置Bは通信装置b1にパス設定を行って、通信装置b1からの応答を受信してパスを確立する。
【0122】
また、下位制御装置Bに対して通信装置a1、a2、a3はダミー装置であるから、下位制御装置Bから通信装置a1、a2、a3に対してパス設定を行っても応答はなくスルーされる。
【0123】
図23はパス設定命令の一例を示す図である。パス設定命令m11は、下位制御装置Aに送信される命令である。下位制御装置Aはパス設定命令m11にもとづいて、パスを設定する。パス設定命令m12は、下位制御装置Bに送信される命令である。下位制御装置Bはパス設定命令m12にもとづいてパスを設定する。
【0124】
パス設定命令m11、m12において、通信装置a1のポートp1と通信装置a2のポートp1が接続され、通信装置a2のポートp2が通信装置b1のポートp1に接続され、通信装置b1のポートp2と通信装置a3のポートp1が接続される情報が含まれて、パスP1が設定される内容になっている。
【0125】
図24はパス情報テーブルの一例を示す図である。パス情報テーブル22bには、下位制御装置A、Bがパス設定を行ってパスP1を生成した後の下位制御装置A、Bが保持するパス情報が保存される。
【0126】
<仮想ネットワークの重ね合わせ>
図25は通信装置で生成される仮想ネットワークの一例を示す図である。通信制御装置10は、下位制御装置Aに対して、実機の通信装置a1、a2、a3と、ダミー装置の通信装置b1との各ネットワーク構成情報を登録する。そして、通信制御装置10は、下位制御装置Aに対してこれらのネットワーク構成情報にもとづくパス設定を指示する。これにより下位制御装置Aの配下では、実機とダミー装置を有する通信装置群g1が含まれる仮想ネットワークNv11が生成される。
【0127】
また、通信制御装置10は、下位制御装置Bに対して、実機の通信装置b1と、ダミー装置の通信装置a1、a2、a3との各ネットワーク構成情報を登録する。そして、通信制御装置10は、下位制御装置Bに対してこれらのネットワーク構成情報にもとづくパス設定を指示する。これにより下位制御装置Bの配下では、実機とダミー装置を有する通信装置群g2が含まれる仮想ネットワークNv12が生成される。
【0128】
ここで、ネットワークN10は、下位制御装置Aにより管理される仮想ネットワークNv11に含まれる実機の通信装置a1、a2、a3の通信経路と、下位制御装置Bにより管理される仮想ネットワークNv12に含まれる実機の通信装置b1の通信経路との重ね合わせになる。したがって、ネットワークN10は、信号疎通可能なパスP1が含まれる実ネットワークとして構築される。このように仮想ネットワーク内の実機の通信装置の通信経路の重ね合わせによって、信号疎通可能なパスを含む実ネットワークを効率よく構築することができる。
【0129】
図26は通信装置で生成される仮想ネットワークの一例を示す図である。図25に示す状態に下位制御装置Cおよび通信装置c1が追加されるものとする。下位制御装置Cは通信装置c1を制御可能な装置である。下位制御装置Cおよび通信装置c1が追加されることで、パスP2のような通信経路が構成されるものとする。
【0130】
通信制御装置10は、下位制御装置Aに対して、実機の通信装置a1、a2、a3と、ダミー装置の通信装置b1、c1との各ネットワーク構成情報を登録する。そして、通信制御装置10は、下位制御装置Aに対してこれらのネットワーク構成情報にもとづくパス設定を指示する。これにより下位制御装置Aの配下では、実機とダミー装置が含まれる仮想ネットワークNv21が生成される。
【0131】
また、通信制御装置10は、下位制御装置Bに対して、実機の通信装置b1と、ダミー装置の通信装置a1、a2、a3、c1との各ネットワーク構成情報を登録する。そして、通信制御装置10は、下位制御装置Bに対してこれらのネットワーク構成情報にもとづくパス設定を指示する。これにより下位制御装置Bの配下では、実機とダミー装置が含まれる仮想ネットワークNv22が生成される。
【0132】
さらに、通信制御装置10は、下位制御装置Cに対して、実機の通信装置c1と、ダミー装置の通信装置a1、a2、a3、b1との各ネットワーク構成情報を登録する。そして、通信制御装置10は、下位制御装置Cに対してこれらのネットワーク構成情報にもとづくパス設定を指示する。これにより下位制御装置Cの配下では、実機とダミー装置が含まれる仮想ネットワークNv23が生成される。
【0133】
ここで、ネットワークN20は、下位制御装置A、B、Cにより管理される仮想ネットワークNv21、Nv22、Nv23それぞれに含まれる実機の通信装置の通信経路の重ね合わせになる。
【0134】
すなわち、仮想ネットワークNv21内の通信装置a1、a2、a3の通信経路と、仮想ネットワークNv22内の通信装置b1の通信経路と、仮想ネットワークNv23内の通信装置c1の通信経路との重ね合わせになる。したがって、ネットワークN20は、信号疎通可能なパスP2が含まれる実ネットワークとして構築される。このように仮想ネットワーク内の実機の通信装置の通信経路の重ね合わせによって、信号疎通可能なパスを含む実ネットワークを効率よく構築することができる。
【0135】
以上説明したように、本発明によれば、通信装置の登録時、下位制御装置が通信装置を制御可能ならば実機として、制御不可ならばダミー装置として制御装置に登録し、制御不可の通信装置へのパス設定はダミー装置に対して行う。これにより、装置の追加実装時の開発が不要になるので、装置の追加実装時の作業工数および作業負担を大幅に軽減することができ、追加装置の実装の作業効率が向上する。
【0136】
上記で説明した本発明の通信制御装置および通信制御システムは、コンピュータによって実現することができる。この場合、通信制御装置および通信制御システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0137】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD-ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0138】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0139】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0140】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0141】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0142】
1-1 通信制御システム
1 通信制御装置
1a 制御部
1b 記憶部
2 制御装置
3、3a、3b 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26